約 4,868,918 件
https://w.atwiki.jp/i_am_a_yandere/pages/1074.html
201 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/10(土) 11 09 26 ID mfkORfA5 200 嫉妬修羅場スレで嫌われている作者さんだよ 今は投下が多すぎて荒らしとして認識されている あまりにも日本語がおかしすぎて、うんざりしている人が多い 202 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/10(土) 11 16 41 ID vIlaKCYk で、他スレでそんなことをいきなり持ち出してくるお前は何なんだ? 荒らしなのか?ww 203 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/10(土) 11 26 52 ID mfkORfA5 いや、私はトライデントって誰と聞かれたので親切に答えただけだが 実際に嘘を言っているわけではないし、真実ばかりを述べているので 荒らし扱いされるのは本当に不愉快です。 荒らしであるトライデントを批判すれば荒らしになるんですか? そんな馬鹿な話あるはずないじゃないですか 204 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/10(土) 12 00 06 ID ZjEEq9ph こんなところまで出張してトライデント氏叩きかよ… 一部が騒いでるだけなのに、さもスレ住人全体の意見みたいに書くのはやめてくれ 見てるこっちが恥ずかしいわ 205 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/10(土) 12 08 08 ID kURf/EqL NGID mfkORfA5 206 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/10(土) 12 15 54 ID mfkORfA5 叩きというよりは真実を書き込んでいるだけですが 何か? いい加減に皆さんは冷静になって欲しいとこですね ここはヤンデレスレであり、嫉妬スレじゃあないんですよ 207 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/10(土) 12 33 27 ID 20rVNGEW 歪んでるな 208 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/10(土) 12 36 06 ID OT6Bz5IA とりあえず巣に帰ってくれ いや、荒らしに帰られてもあちらのスレでも迷惑だわな 209 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/10(土) 12 36 54 ID 2gJmIkou 何が歪んでいるんだ? 俺には何も見えないのだが 210 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/10(土) 12 42 27 ID iqlAh2e4 女教師に萌えたのは俺だけでいい 211 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/10(土) 12 43 16 ID 4r9JmKqT 空気壊すのやめてくれないか? 嫉妬スレみてる俺からすると かなりむかつくんだが 大体嫉妬スレの事なんて誰も言ってないだろうが お前が勝手に嫉妬スレのトライデント氏を説明しだしたんだろ 荒らしであるトライデント氏を叩いたら荒らしになるんですか? ↑ だがな 当たり前だろうが トライデント氏が居るわけじゃない、ヤンデレ関係ない、 空気壊してる時点でお前は完璧な荒らしだよ。 俺が認定証を授与してやってもいい位にな。 最後に前から思ってたが、 言葉遣い統一しろ。 はっきり言って、 言動が舐めてる様にしか思えん。 とか言って俺も空気壊してすまない。 言いたい事は言ったし、これで俺はROMに徹する ノシ 212 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/10(土) 12 46 25 ID sgWL7ivI 210 よお俺。 てか実は真犯人は女教師だったらいいなと期待している俺ガイル 213 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/10(土) 12 50 09 ID I7p4FLo+ そういや、トライデント氏はもうこのスレにこないんだろうか。 214 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/10(土) 13 01 19 ID 2gJmIkou 嫉妬スレで長編書いてる間は無理じゃないか? 今は他の作品を投下する余裕はなさそう 215 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/10(土) 13 01 52 ID dWKBN5dY トライデント氏が来ても荒れるから別に来なくていいです 嫉妬スレのお荷物をこっちまで持ち込むなよ 216 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/10(土) 13 03 21 ID b02qHKve そのお荷物がもうこちらに届いているようですが 217 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/10(土) 13 46 33 ID sIe1N1yQ 荒らしだと思うならスルーしときゃいいのになんでわざわざ空気を悪くするようなことを書き込むかな 218 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/10(土) 16 00 23 ID 1bEJQZEr 嫉妬スレの基地害がついにこのスレまでやって来たか。 こっちのスレには常識のある者だけ来て欲しいものだ。 219 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/10(土) 16 11 32 ID 6BeVbFf4 お兄ちゃんの人、GJ! お兄ちゃんには葉月さん一筋で、傍観者(だけど実は巻き込まれ型)として 頑張って欲しい! このシリーズは他のとは珍しく、クロスオーバーでないのに群像劇風なので期待してる。 220 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/10(土) 16 33 52 ID EjdY+W74 218 常識ある人間はむしろヤンデレとか理解できないんじゃねw 221 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/10(土) 19 43 55 ID 1bEJQZEr 220 ごめん、今では反省している。 222 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/10(土) 21 36 03 ID Bf0CxXQs つまり、純文学オタでお団子引っ詰め髪の黒縁眼鏡の タイトスカートきょにう女教師が良いということですね。 まったくもって異存ありません。 223 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/10(土) 22 13 06 ID lwF7seZY 後輩の想い人って弟なんだよな? なんか葉月さんって言う人もいるが・・・ 224 名前:ACTER ◆irhNK99GCI [sage] 投稿日:2007/11/10(土) 22 14 28 ID JCzgfpY5 空気が読めない俺が流れをぶったぎる 概要:一発ネタ 過去ログ全部は見てないから被ってるかはわかんね スレ違い? NGの準備は出来たか? みんなで幸せになろうよ 近藤さんちのやんでれ事情2/2 225 名前:近藤さんちのやんでれ事情1/2 ◆irhNK99GCI [sage] 投稿日:2007/11/10(土) 22 15 53 ID JCzgfpY5 勉強を終えてスタンドの灯りを消し、ベッドにもぐりこむ。 冷えたシーツが心地よく熱を奪う、その感触を味わっていた頃。 「お兄ちゃん、愛してる。だから……私の為に死んで♪」 部屋に入ってきた妹は笑顔でそういった。 「…はは、冗談だろ?」 「私はいつだって真剣だよっ」 けして崩すことの無いこの笑顔、それに抗えない自分に嫌気が差す。 そのおかげで僕は何度も派手に包帯を巻いて学校に通うことになった事か。 「勘弁してくれ、命は一つしかないんだ、ほら腕でも脚でも……な? 今まではそれでよかったじゃないか」 どうにか説得できないかと話しかける。 「もう、後には引けないの」 そういって僕に抱きついき、胸に顔を埋めて言葉を続ける。 「お父さんも、お母さんも殺しちゃった」 「なっ! 入院させるだけって言ってたのは嘘だったのか!?」 僕は妹の肩を揺すり問い詰めた。 「ごめんなさいっ…でもでも、仕方なかったんだもん!」 「去年の夏におじさんとおばさんを殺した時の事忘れたわけじゃないだろっ! あんなに騒ぎになったのに……また繰り返すのか!」 「ごめんなさいっごめんなさいっ…あたし、あたしにはもう… お兄ちゃんしかいないのっ! 大好きだからっ! お願い!」 「……」 泣き崩れる妹の姿を眺めながら考える。 きっと誰の為にもならない愚かな考え。 ただ目の前で泣いている女の子を放って置けないだけなのかもしれない。 「わかった、でも一つだけ約束してくれ。絶対に後悔しないって」 「……お兄ちゃん? うん、ありがとう…大好きっ」 妹の唇がそっと触れた。 それだけで全て許せてしまうのは僕もまた妹の事を…… 「おやすみなさい、そしてありがとう。お兄ちゃん……」 返事を返す事無く、僕の意識は闇に飲み込まれていった。 226 名前:近藤さんちのやんでれ事情2/2 ◆irhNK99GCI [sage] 投稿日:2007/11/10(土) 22 17 21 ID JCzgfpY5 翌日の朝、チャイムがなっても教室にはまだ一つ席が空いていた。 「なぁ、アイツやっぱり……?」 「ん? 今日も学校休みじゃないかな」 「まさか今日もなのか? こう立て続けに不幸があるって…なぁ……」 「あら、知らないの? いつもの事よ」 「おーっし席につけぇー!」 担任がクラスに入ってくると、慌しかった教室が静まり返る。 「あー、今日はなぁ、近藤はお兄さんが不幸に会って休みだそうだ。 藤崎、お前学校終わったら帰りに寄って行ってやってくれ」 「はぁ~い」 「それじゃしっかり授業うけるんだぞ! 委員長、号令たのむわ」 「なぁ、帰り、俺も一緒にいっていいか? もうあいつんち誰も居なく……」 「来るのはかまわないけど、どうせ追い返されるわよ? あの子、お兄ちゃん以外には見向きもしないから」 「はぁ? だって今…その…不幸があったって……」 「私は中学からの付き合いだからもう慣れたけど、アンタは知らなかったわね。 近藤のトコはね、水泳の授業が始まると不幸に見舞われるのよ」 「なんだって?」 「生理、食中毒、骨折、風邪。出席日数で詰まったら身内の事故とか忌引きね。 お兄さんとかもう全身の骨折れたんじゃなかったかしら」 「それって……ただの仮病じゃねぇかっ!」 「とっても病んでるわね♪」 227 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/10(土) 23 02 39 ID 3ykgrOin ちょwwほのぼの いいなあこれ 228 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/10(土) 23 03 08 ID g9EKICJr 226 うむ、つまりこれは妹が水泳の授業に出たくないがため、忌引を理由に欠席する口裏あわせを兄に頼み込むと言う話か。 どう考えてもすれ違いだろうがゴルァ! まあワロタwww 229 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/10(土) 23 09 07 ID LzAbLFSP 和んだww GJ。 230 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/10(土) 23 32 21 ID uE9zN9gC うまいな 微妙にスレ違いだが面白い 231 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/11(日) 00 11 08 ID FaarDbSw 227 本文を一回読んだだけじゃ理解できなかったが、 228を見た後で読み直したらワロタw 232 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/11(日) 01 09 37 ID fQ4L7Ogr 飛ばしっぷりが尋常じゃねえなw 233 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/11(日) 05 06 52 ID ScSBMw75 殺すってのは釣りバカのハマちゃんと同じって事でおk? 234 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/11(日) 12 21 47 ID 1mbj8oEn ちょww クソワロタwwww 235 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/11(日) 23 08 40 ID 1qylnN1u これはうまいなw 236 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/12(月) 12 57 37 ID +QM7dklJ ちゃんとデレもあるから一応ヤンデレだなw 237 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/12(月) 15 47 11 ID DdxCH2mH ちゅーしてたもんな 238 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/12(月) 16 10 05 ID qoptHiRB ×ゲームはいい病みっぷりだな。 作者このスレと修羅場スレ見てんじゃないかと思えてくる。 239 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/12(月) 16 38 05 ID S5+keeck あの作者好きじゃないから 240 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/12(月) 23 35 18 ID n5qze9u3 ヤンデレオンリー二回目行ったヤツいる? 何か、ヤンデレ大全を基にした格付けが貼りだされてて ヒグラシキャラ数人が上位にランクインしてたとか聞いたんだけれど……。 241 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/12(月) 23 50 24 ID pEznejE3 ひぐらしは詩音以外はヤンデレじゃないだろ。 そもそも格付けとかするものでもないだろうに…… 242 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/12(月) 23 56 01 ID wX8wwypg 格付けか……そのうち海原雄山が神認定されてしまった ツンデレのようになるんだろうか 243 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/13(火) 01 02 30 ID FgVjCi6/ 今更ながら病み鍋2のイベントレポをここに書いていいかな? 同人板覗いたけど無いのか探し方が悪いのかみつからなかったんだ。 個人的に持って行った小ネタが意外に受けてたしユーザーズイベント(?)も スタッフ巻き込んでかなり盛り上がってかなり楽しいイベントだったんだが。 244 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/13(火) 01 16 50 ID 8/7Cq7/W 243 よく分からんがどぞ SSのネタになるかもしれないし。 245 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/13(火) 01 32 55 ID Ihi6N0ZC 240 ああいうミーハー本はとりあえずそれっぽいのかき集めただけだからな~ まあこの病み鍋やらもあと何回続く事か・・・ 246 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/13(火) 06 50 04 ID mC2ufwBQ 前から聞きたかったんだが、詩音はともかく、なんでひぐらしキャラを無理矢理ヤンデレにしたがるんだ? 247 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/13(火) 08 00 59 ID YFaLzBfG バナナはオヤツに入りません。 狂人(アスカやレナ)はヤンデレに入りません。 248 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/13(火) 08 17 58 ID CLw0E2Ze レナの行動がヤンデレっぽいからじゃないかな、と思う。 「嘘だっ! あはははは(ry」とか 圭一の家の玄関から顔をのぞかせたりとか 雨の中圭一の部屋を見てたりとか。 あと、鉈を振るっているイメージが強いのかも。 デレてはいないけど、異常行動だけはヤンデレがやりそうなこと。 249 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/13(火) 09 54 09 ID 3ESI/0lw 242 なるに決まってる。現実を見つめろ 250 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/13(火) 10 23 47 ID AEFc/Bjz 言葉様とアニメ版シャッフルの楓は、文学少女の美羽はヤンデレであってる? 251 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/13(火) 12 59 10 ID MrQcMpsB というか前2つは火付け役だろw 252 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/13(火) 13 25 02 ID IXwTeIlZ ぶっちゃけ本気でヤンデレな彼女ができたとしたら俺はSSの主人公みたいな常識的な反応する自信がないぞ わざと他の女と話してヤキモキさせてみたり 気のないそぶりをしてみたりして病み具合が増幅していくのを愛たりして たぶんそして刺されるか監禁されるかして初めて自分の愚かさを知るんだろうな 253 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/13(火) 13 58 12 ID Wyp69xGW 監禁されるって、何をされるだろうね ヤンデレなら愛しい人にキスしまくり以上のことをされるに違いない 254 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/13(火) 15 28 47 ID CLw0E2Ze 体中のありとあらゆる体液を舐めとられるんだよ、きっと。 俺は愛するあまりに監禁されているのなら殴られても構わんが、 足の裏をくすぐられるのだけは勘弁だな。 255 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/13(火) 17 31 49 ID hH7/Y8xx ひぐらしうろ覚えで語ってしまうが、自分が詩音=ヤンデレに違和感をおぼえるのは 基本的に復讐のために動いてるから、男を愛するあまりの行動ではあっても 男を手に入れるための行動ではないからなんだよな。 (「こうすればサトシが帰ってきてくれる」といった脳内補完は一応あるんだっけ?) ブチ切れたきっかけも「あんなことやっといて、てめぇらだけ幸せ面しやがって」みたいな妬みだったおぼえがある。 自分の中では、どうも復讐者もの=ヤンデレとはなりにくい。 解釈次第で、死後でも他者排除によって「自分だけのもの」という満足感を 得るという展開もありえるにしろ、無理は残るし。 256 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/13(火) 20 12 07 ID 2IXt4wLj まあどうでもいいけどな 257 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/13(火) 21 00 42 ID FgVjCi6/ ヤンデレ定義の議論中すみませんが、病み鍋のレポをしたいと思います。 と言っても私は一般参加者なので、スタッフ・サークル参加者とはまた目線が違うでしょうが。 当日開場10分前に会場に着くと既に長蛇の列。 会場は7階で列は階段に並んでいたのですが、最後尾は2~3階という状況。 そしてサークル確認(?)の不手際から5分遅れで開場、列の大部分が大手のサークルさんに。 自分は大手はあまり興味なかったので最初にラクガキコーナーへ。コーナーには机に大きな白紙が 設置してあり自由にラクガキが可能とのことで、まだ何も描かれていなかったので大きく「2Get!」の 文字を書いて記念撮影してました。 今回は前回と違って参加サークルさんもかなり増え、大手さんの新刊が出るということもあって 入場者数は500人以上は居たと思います。 ところが多すぎて品物を小数しか持ち込んでおらず開始1時間かからずに完売してしまった サークルさんもちらほらと。 既出のヤンデレ格付けや、ヤンデレ格闘ゲーム、オリジナルのヤンデレミュージックなどもありました。 あと血塗れ竜と食人姫は落ちてました。 ジャンルはオリジナル・ひぐらし・スクデイ・ハルヒ・シャッフル・未来日記など。 開始から少し経ち、大手目当ての人たちが去ると今度はラクガキコーナーが熱い。 イラスト、テキストだけでなくスタッフの預かり知らぬユーザーズイベント(?)としてヤンデレしりとりが発生。 ヤンデレ風のセリフでしりとりを紙に書いていくものですが紙の端まで来てしまったら矢印を追加して 紙中を駆け巡るネタテキストにまで成長。 もちろん最後は最後の文字が1番目の最初の文字に繋がるように調整されてループ状態にして完成。 みんなで拍手して完成を祝って終わりかと思いきや、前回紙の外周を「あはははは」と病んだ笑い声で 一周させた人が発起人となって今回は1人1ナイスボートで外周を埋めると宣言。 その場のノリで近くに居た人みんなが代わる代わる紙にナイスボートと書き込んでいく風景が。 ひとり書き終わると拍手しながら「ナイスボート! ネクストボート、プリーズ!」とまだ描いていない人にペンを 渡す光景にスタッフが様子を見に来るとスタッフまで巻き込んでナイスボートを続行。 スタッフもノリノリで近くに居た手隙の他のスタッフを呼んで描かせたり、放送でナイスボートを呼びかけたりと やりたい放題。最後は主催者さんにまでナイスボートを描いてもらって完了。 そうしたところで終了時間に。 アフターイベントのヤンデレカルタ大会は応募者多数で参加者は抽選に。 私は抽選に漏れたので見学することなく会場を出ました。カルタのあと、ジャンケン大会もあったみたいです。 258 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/13(火) 22 23 51 ID h3BcTm9H 257 レポ乙です。そして地方民の俺涙目。 259 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/13(火) 22 42 55 ID r4Cqfgyo 257乙 前回寒かったらしいが、賑やかになってきたのはいいことだ 260 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/13(火) 22 51 34 ID mC2ufwBQ 255 果てしなく禿同 俺もひぐらしにはヤンデレはいないんじゃないかと思ってる 261 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/13(火) 23 26 48 ID FQm2JqMf 250 言葉さまと楓さまはヤンデレの代表格ではないか ヒエラルキーで言えば頂点に御座していらっしゃる 美羽もヤンデレ認定 255 ひぐらしキャラは雛見沢補正で無駄にキレやすくなってるのを忘れてはいけない レナは全然ヤンデレじゃないし、詩音もヤンデレというよりは雛見沢症候群でアヒャってるだけに見える 262 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/14(水) 01 06 20 ID GkFCrw+E ひぐらし議論ってたびたび起きるけど正直どうでもいいから 263 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/14(水) 01 16 31 ID DBicCVxx ひぐらしはヤンデレであってほしいという願いがあるのかもしれんね。 鬼隠し編は可愛かったし。 264 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/14(水) 03 21 39 ID C/cMf1xi そもそもひぐらしは鬼隠しを頂点としてあとはひたすら下っていく感じだった・・・・ 265 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/14(水) 08 46 18 ID 3zHBrCc/ いいかげんスレ違いも甚だしいのです ひぐらしはヤンデレじゃないっていうならヤンデレスレの話題にしないでください 266 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/14(水) 14 06 53 ID GkFCrw+E ひぐらしの評判が下がるだけだしな ↓以下唐突に自分がヤンデレにされたいこと 267 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/14(水) 14 36 16 ID cf0wg8aQ 依存と嫉妬 268 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/14(水) 15 37 09 ID SlZI4AFP 監禁と血の飲み合い 269 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/14(水) 17 18 25 ID VRxycf7S ストーカー行為と大量のメール&着信 270 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/14(水) 18 45 48 ID ufV4DOdM 入籍 271 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/14(水) 20 15 43 ID SZR2kSBJ 自分にはして欲しくありません。 272 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/14(水) 21 41 41 ID cf0wg8aQ 271 お前正気か!!? 自分に依存してくれるキモ馴染みもキモ馴染みに嫉妬と独占欲を剥き出しにするキモウトもキモウトを出し抜こうとするキモ級生もいらないと申すか!? 273 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/14(水) 21 53 54 ID xeSAoR4g 272 逆に考えるんだ! 271はそう答えることに彼女らをその気にさせようとしている。やっちゃだめと言われるとやりたくなる、そうあれだ。さらに言うならば、彼はツンデレにちが 274 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/14(水) 22 10 39 ID iJaMSTUw なんという動揺 275 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/14(水) 22 24 12 ID tOhVCPfD まぁ嫉妬はしてほしいよな 276 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/14(水) 22 45 28 ID dk/AHKL3 とりあえず、監禁は確実にして欲しいな。 あとは首を締めるのと包丁で刺すのも。 277 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/14(水) 22 58 13 ID AuFWFJUD まずは飲み物に睡眠薬を一服 それで自分のほうを見てくれなかったら、致死量でいっしょに一服 278 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/14(水) 23 51 19 ID ctQop8s+ あれだろ? 271は主人公じゃなく、主人公の親友的ポジションにつきたいんだよ 主人公がヤンデレに付き纏われている姿を見ながら 安全な立ち位置で「お前、大変だなwwモテモテww」的なことを言いたいんだろ? ごめん、俺だ・・・ 279 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/14(水) 23 56 32 ID XibefLto 正に俺 280 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/15(木) 08 39 34 ID 3ZizRT26 俺もヤンデレに追いかけ回されるより傍観者として見ていたい 281 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/15(木) 09 25 22 ID Ls7KNOeK 友(傍観者)くんが消えれば男くんが私に構ってくれる時間が増えるよね♪ があり得るんじゃないか? 282 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/15(木) 17 03 21 ID K70bdTXD 最初に気付いたのは西園寺世界だった 愛する誠の命により、二階からの円を禁じられていた 世界は正門に移動し、人民の動向を監視していたが 上空を見上げる、嫌な予感がしていた。 その嫌な予感が確信に変わる 敵 上空から降りてくるモノが ただならぬ戦闘能力を讃えていることと 世界の直感が通常より 冴えていた事は無関係ではないだろう 鋸 鋸に目を奪われていたのは一瞬 真に見るべきものはその背にいた 世界の円に鋸が触れた瞬間 互いの力量を察知する と同時に世界は円を解いた 完全な臨戦体勢に入るために だが 鋸は分裂、 無数の光る鋸となって 宮殿全体に降り注いだ あのお姉ちゃんの強さの秘密? まぁ…いくつかあるが まず肌がおそろしく純白じゃ 奴の潜伏スキルの流れから次の展開を読むのは誰にも出来んな 伊達に長くストーカーしてない訳よ 精神的にはもうヤンデレ廃人の域じゃろ なにしろあのお姉ちゃん ワシが赤子の頃からお姉ちゃんじゃ 西園寺世界とケンカして生存しておる唯一の人間じゃし お姉ちゃんには違いない……ウム…ま持ちつ持たれつ銭と金 アホッ 対等なわけあるか! いつもこっちが泣かされとるわい!! ん?ああ 強さの秘密だったな あとは……そうさな 戦闘の方でいえば 〝言葉様信者召喚〟これが最も厄介じゃろ 283 名前:保守[sage] 投稿日:2007/11/15(木) 19 53 51 ID q9jWAy+q 「ついに明日が決戦の日ね」 赤い髪の女がそう言った。 俺と共に旅を続けてきた勇者だ。 俺はああ、と頷き決意を新たにする。 ここまでの旅は長かった。 女の勇者など前代未聞だったので、周りの者の理解はなかなか得られなかった。 2人旅なのも困難に拍車をかけた。 高潔な聖騎士、聡明な賢者、偉大な神官、求道者の格闘家、狡猾な盗賊。 多くの者が同行を提案してくれたが、勇者は全て丁重に断った。 曰く、少数精鋭で行きたい、と。 だから、魔術師である俺と勇者だけの旅となった。 時おり、「2人きりの旅なのに…」などとブツブツ言っていて、世界を救う旅に出る自覚があるのかと不安になったが、今日の様子を見ればそれも杞憂だった。 あと、料理についてもいささか不満があった。 交代で料理をしていたが、勇者はたまに、猫を料理するのだ。 最初に出されたのは確か…パン屋の娘に割引してもらって、パンを買った時だったか…あれは旨かった。 「泥棒猫に罰を与えたのよ…」 俺の抗議に対しそう言って微笑んだが、どうせ食料をちょろまかそうとしたとかそんな程度だろう。 たかが猫ごときに大人気ない。 それでも旨ければまだ良かったが、まずくて俺の口には合わなかった。 それでも、何度も猫を出すのを止めなかった。 まあ、旅も明日で終わるはずだ。 俺たちは魔王を滅ぼす。 調べたところでは、魔王は「滅びの呪文」を使い世界を滅ぼそうとしているらしい。 俺たちはその呪文が完成する前に魔王を止めなければならない。 そして、戦いが終わったら勇者にプロポーズしよう。 もし、OKが貰えれば2人でどこかに暮らしたい。 ダメだったら…その時考えよう。 「おやすみ…」 俺たちは決戦に備え休んだ。 翌日。 魔王城には魔物がひしめいていた。 だが、いくつもの死線をくぐり抜けた俺たちはそれらを突破し、最後の番人を倒した。 「…この先に魔王がいるのね」 「ああ」 俺たちは扉を開けた。 そこには青い髪の女が1人でこちらに背を向けて立っていた。 ゆっくりと振り返る。 哀しそうな顔の女は静かに問いかけてきた。 「あなたたちは、何者ですか?」 「私たちはあなたを滅ぼしにきたのよ、魔王!」 勇者が勇ましく言った。 俺は勇者の言葉を聞きながら、魔王の背後に目を奪われた。 水晶のなかに男がいる。 「この男もお前が殺したのか?」 「違う!この人は私の愛する人よ…」 284 名前:保守[sage] 投稿日:2007/11/15(木) 19 54 40 ID q9jWAy+q 俺の問いかけに一瞬激する魔王。 ならば、なぜ水晶に? 俺の疑問に答えるように魔王が続ける。 「この人と私は愛し合いました…ですが、この人は病に倒れたのです…私には彼の時を止めて病の進行を止めることしかできませんでした…」 まだ、この男は生きているのか? 魔王は語り続ける。 「私はこの人を助ける方法を探しました…そして、見つけました。命が失われる時の魂の慟哭、それを集めれば彼を助けられるのです…」 つまり、他の人間を犠牲にして、1人の男を助けようと言うのか。 この女は哀しみで狂ってしまったのか。 確かに魔王の恋人は哀れなのかもしれない。 だが、魔王の行おうとしていることを認めるわけにはいかない。 俺たちはこの哀れな女を止めなければならない。 「だからと言って、世界を滅ぼすことは許されないだろう…?」 俺の問いかけに対して魔王は答える。 「全て滅ぼす必要はないのです。そのようなことをしなくても、彼は助けられる…そして、私は彼と幸せになるのです…」 うっとりした表情で、だから世界を滅ぼす必要はないと魔王は言った。 そして、いくつかの国の名をあげる。 魔王に言わせればそれ「だけ」で彼を救えるのだそうだ。 この女を生かしておいてはいけない。 自分しか見えていない。 この女の恋人が助かった後、多くの犠牲と引き換えに助かったことを知っても喜ぶと思っているのだろうか? 結局、魔王は自分のために、多くの命を犠牲にしようとしている。 「あなたたちも…邪魔をするのですか…?」 魔王の問いかけに対する俺の答えは決まっていた。 そう、それはこの旅を始めた時から決して変わらないものだ。 「ああ、俺たちは…」 俺の言葉はそこで途切れる。 「素晴らしいわ!」 勇者が瞳を輝かせてそんなことを叫んだからだ。 俺はあっけにとられる。 何を言っているんだ、勇者? 「愛する人のために、世界と戦うなんて…私たちも協力するわ!」 ちょ…待っ… 「そうですか…ありがとうございます…あなたたちの協力があれば呪文が早く完成します」 魔王が微笑む。 いや、俺たちはそれを止めに… だが、俺を無視して勇者と魔王が呪文を詠唱する。 「「保守」」 その日、多くの国が滅びを迎えた。 この日より、後の世に語りつがれる「魔王大戦」が幕を開けた。 赤き魔王と青き魔王、歴史書にはこの2人の名が残る。 END 285 名前:保守[sage] 投稿日:2007/11/15(木) 19 55 34 ID q9jWAy+q 「ねぇ、ママー、このお話って本当?」 赤い髪の少年が本を閉じ、母親に問いかける。 「ただの、お話よ」 少年と同じ赤い髪の女性は微笑んで答える。 「ママとお隣のマオちゃんのママの髪って赤と青で、お話と同じだね」 「そうね。でも、坊やとマオちゃんも赤い髪と青い髪よね」 「うん、そうだね!」 少年は元気良く答える。 「マオちゃんのこと、好き?」 「うん、大好き!」 母親の問いかけに少年は元気よく答える。 「そう…」 「でもね、みんなと遊ぼって言ってもね、2人じゃなきゃ嫌って怒るの…」 微笑む母親に少年は悲しそうに付け加える。 みんなと一緒の方が楽しいのに…と少年は言う。 「マオちゃんも坊やのことが大好きなのよ…」 そう言って母親は少年を抱きしめる。 「そっか…」 笑顔を浮かべ眠りに就く少年。 お隣の少女の苦労を思い母親は苦笑する。 彼女自身、愛しい人を捕まえるのに苦労した。 お隣のマオちゃんも頑張ってほしい…何しろ、親友の娘なのだから… 泥棒猫を退治する方法を教えてあげようかしら? そんなことを思いながら、彼女はかつて親友と唱えた呪文を口ずさむ。 「保守…」 ホントにオシマイ 286 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/15(木) 20 12 57 ID CMj9esaH まだ、 282の方が面白いな 287 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2007/11/15(木) 20 18 39 ID bVpHgJyE 282 ピトーが世界でネテロが言葉、ゼノが心かよwww 285 息子も大変そうだなw 288 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/15(木) 20 25 43 ID M/zt9FqY 285 >「保守」 でワロタw GJなんだけどこれタイトルも保守でいいんだろうか 289 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/15(木) 20 32 33 ID 9mNvJffi H×H信者の俺 笑い死に 290 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/15(木) 21 55 43 ID GIUdOFHF しかし最近、単発物はちょくちょく来るけど連載物があんまり投下されないな ほトトギす待ってるんだが… 291 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/15(木) 22 57 42 ID M/zt9FqY そんなこと言ったら俺なんか両手の指で足りないぐらいの作品を待(ry ま、色々都合があるんだろ 例の病み鍋に参加した作者さんもいるみたいだし。 292 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/15(木) 23 43 04 ID 1WxBr0lP あー、そっか。あっちに書き手が引っ張られるのはもっともか。忘れてた。 293 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/16(金) 08 37 34 ID xuC/Rl9n 282 >西園寺世界とケンカして云々 この一言で俺の腹筋は崩壊した。 294 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/16(金) 10 19 36 ID oEX2nyWj 278 よく分かったなwwwww される側じゃなくて見てるほうが萌えるんだ。 295 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/16(金) 12 45 28 ID sixw2Q8e そんなSSが外部であったよーな・・・・ ヤンデレ、嫉妬というよりハーレムものだが 296 名前:赤いパパ[sage] 投稿日:2007/11/16(金) 18 22 29 ID d558cimu そんな中、短編を投下します。 297 名前:姉弟遊戯[sage] 投稿日:2007/11/16(金) 18 23 13 ID d558cimu お姉ちゃんに恋人が出来たらしい。 「修也く~ん、修也く~ん♪ スキスキ~~♪」 アッコちゃんの替え歌を口ずさみながら、上機嫌でマフラーを編んでいる我がお姉ちゃんの姿はなんというかとてつもなく鬱陶しい。 「お姉ちゃん。ちょっとマフラー編むなら黙ってやってよ。テレビの音が聞こえないじゃん」 「いいじゃない。こうやって修也くんのこと想いながら編むと、一本一本に愛が込められてるように思えるんだ~」 「なんか呪文みたいで気持ち悪いよ……」 「あはっ、いいね。愛の呪文かぁ。えへへ、いいなぁ。ソレ」 ありゃ。気分を乗せちゃった。どちらかと言えば呪文というより呪詛のように聞こえるんだけどね。 「ねぇ、ねぇ、修也くん、このマフラー喜んでくれるかなぁ?」 「あー、はいはい。喜んでくれるんじゃないかねー……」 ボクはなげやりに答える。そんな答えでもお姉ちゃんは「そうだよねぇ」とまた情熱的に身悶えながら、ちくちくと熱心に毛糸を編んでいた。 お姉ちゃんの弟やって十五年になるけど、近頃は毎日がこんな調子だ。 一ヶ月ほど前、お姉ちゃんに恋人が出来たそうだ。名前は田上修也さん。お姉ちゃんの学校のクラスメイトなんだってさ。 お姉ちゃんが言うにはお姉ちゃんとその男の人は毎日いちゃいちゃいちゃいちゃしている校内一ラブラブなカップルでなんだそうな。まぁお姉ちゃんの言うことだから誇張がかなり混じっているだろうけどねー。 登校するときはその人の家にお迎えに行って二人一緒に登校、放課後はその人の家で晩御飯を作ってあげてから帰ってくる(修也さんは一人暮らしなんだって)。帰ったら帰ったで、携帯電話片手に修也さんとメールだ。 一度文面を見せてもらったけど、新婚さんかと思うくらいのお姉ちゃんの甘甘ラブラブメールに僕は呆れた。 毎日朝早く起きて修也さんのお弁当を作ったりしたり、修也さんに何度もメールしたり、週末は毎週のようにデートにでかけたりと、お姉ちゃんはかなりその男の人に入れ込んでるようだった。 まぁお姉ちゃんも顔は悪くないし、体のラインを隠している服の下は実は隠れ巨乳で胸おっきいし、健気だし、ちょっとボケボケなことに目をつぶれば、弟の僕の視線から見てもかなりの美人なんだよね。 本当、いままでどうして彼氏が出来なかったんだろうと思うよ。 そんな優しいお姉ちゃんに、それだけ慕われたらその男の人も本望だろうなぁ。羨ましいね。うんうん。 「お姉ちゃん。明日もお弁当作るんならついでに僕のお弁当も作ってくれないかな?」 「それはダメー♪」 「けち」 うーん。その優しさをもう少し弟の僕に分けてくれればいいんだけどねぇ。 298 名前:姉弟遊戯[sage] 投稿日:2007/11/16(金) 18 24 08 ID d558cimu ★ あー、変な夢を見た。 僕の目の前でチャゲがマフィアに囲まれる夢。別に僕はチャゲファンじゃないんだけどさ……、夢というものは時々本当に変なものを見せるね。 時計を見ると深夜2時……。ふわぁあ。寝たのが12時ちょうどだったからまだあんまり寝てないなぁ。 トイレ行って牛乳飲んでもう一度寝よう。体を起こすと、部屋の中はひんやりと寒い。床に脱ぎ捨てていたドテラを着込むと、僕は部屋を出て台所へと歩く。 うう。寒いなぁ。 そろそろストーブも出さないと、風邪ひいちゃうな……。 ……ん? 「お姉ちゃん?」 「あ、起きてたの」 台所の前でばったりとお姉ちゃんと会った。 「どうしたの? お姉ちゃん……どこか行くの?」 お姉ちゃんは深夜2時だというのに、外行きの格好だったのだ。 黒いGパンに防寒ジャンバーを着込んで長い髪の毛をすっぽりとニット帽に収めている、そして肩からおっきく膨らんでいるバックをかけていた。 少なくとも、寝る時の格好ではない。まるでこれから泥棒にでも行くような服装だ。見事に黒ずくめだし。 「えっとね。修也くんのところ」 お姉ちゃんは無邪気な顔で答える。 「え、今から行くの? 今午前2時だよ?」 「うん。行くよ」 「でもさすがに修也さんに迷惑なんじゃないの」 「そんなことないよ。毎日行ってるしぃ」 「え!? 毎日っ?」 みんなが寝静まった頃、お姉ちゃんは毎日出て行ってたのか? 「それって、どういうことなの。修也さんが来いって言ってるの? そうだとしたら、こんな夜中に呼び出すなんて非常識にも程があるよ」 「そうかな? でもお姉ちゃんからしたら、夜でも修也くんに逢えるだから、別にいいんだけど」 「ダメだよ。もし道中で誰かに襲われたらどうするんだよ! 非常識だよっ」 「むぅ……」 お姉ちゃんの無警戒っぷりに僕は呆れた。一応これでも僕の大事なお姉ちゃんだ。暴漢に襲われたりなんかしたらどうする。 修也さんも修也さんだ。顔も見たことないけど、うちのお姉ちゃんをこんな夜中に毎日呼び寄せるなんてどうかしているよ。 「うーん、でもお姉ちゃん。修也くんに会いたい……」 「明日朝逢えるじゃん。毎日迎えに行ってるんでしょ?」 「夜も会いたいの!」 「あんだけメールしてるのに……、わかった。お姉ちゃん。じゃあ僕も一緒に行くよ。夜道を一人で歩かせるわけには行かないもん」 僕はお姉ちゃんを待たせ部屋に戻り、パジャマの上からコートを着こんで再び玄関へ。 「さ、行こう。お姉ちゃん」 「うん」 いい機会だ。これを機にお姉ちゃんの恋人である修也さんに会ってみよう。 そして、もし修也さんが毎日お姉ちゃんを真夜中に逢いに来させてるなら、お姉ちゃんの弟として厳重に注意してやる! ★ 299 名前:姉弟遊戯[sage] 投稿日:2007/11/16(金) 18 25 17 ID d558cimu ん、お姉ちゃん。ここ修也さんの家。ふーん……。 電気ついてないけど。もう寝てるんじゃないの。それか留守なんじゃ。え、好都合? どういうこと。お姉ちゃん。 ドアかぎ掛かってるし。お姉ちゃん。本当にここが修也さんの家? ……ん。合鍵もってないの? お姉ちゃん。あんなにラブラブって言ってたじゃん。ん、カバンから何か出した。 「鍵はこれだよ」 ん。針金と……ドリル? お姉ちゃん。なにする気だよ。それって、もしかして……。 (見事なサムターン回しのため、防犯上描写を割愛します) 「開いた」 「お、お姉ちゃん。ちょっと待って」 今なにしたの。 「ドア開けたの」 「うん。確かに思いっきり開いてるけど……」 でも、それは明らかに正規の方法で開けたんじゃないよね。鍵じゃないし。 ちょ、ちょっ! お姉ちゃん! お姉ちゃんはドアノブを掴み開ける。チェーンががちゃりとかかっていたので、少しの隙間だけしか開かない。 お姉ちゃんは慣れた手つきでカバンから、チェーンカッターを取り出すと…………。お、お姉ちゃん!? チャッキン! 「修也く~ん。おじゃましまぁす」 今度こそ完全に開いたドアを開けてお姉ちゃんは普通に入っていった。 ……お姉ちゃん。普通の恋人は、彼氏の部屋のドアを開けるのにサムターン回しは使わないよ……? チェーンロックを切断しないよ……? ……そういえば。よく考えてみよう。お姉ちゃんは何度も修也さんにメールをしていた。でも修也さんからメールが返信された所を僕は見たことあるか? なんだか怖くなってきた。 「お、お姉ちゃん!」 僕はドアを開けた。小声でオジャマしますとつぶやき、暗い部屋の中へ。 修也サンの部屋は1LDKで、小さな台所と障子で区切られた部屋しか無い。開けっ放しの障子の間からお姉ちゃんの姿が見えた。 おそるおそる覗き込むと……。 「うふふふふふふ……。修也くんの寝顔、かぁわいい……、食べちゃいたぁいよぉ」 うちの姉は、ベッドで寝てるであろう修也さんを四つんばいに覆いかぶさっていた。 「えへへ。修也くぅん……。いつもいつも、見てるからねぇ。教室でも、登校のときも、家で寝てるときも、こうやってずーっとあたしが見てるから」 そう呟くと、お姉ちゃんはベッド脇に置いたカバンに手を伸ばす。中から取り出したのは、今日編んでいたあのマフラー。 「修也くんのために一生懸命編んだの。所々私の髪の毛で編んでるから、これを使ってくれたらいつも一緒だよ……」 寝ている修也さんの首元にマフラーを被せるお姉ちゃん。 「うふふふふ、ふふふ、ふふふふふふふふ……」 そういえば僕はトイレに行きたくて、起きたんだった。 明日も学校だし、早く家に帰って寝ないと。僕はきびすを返し、お姉ちゃんを置いたままおじゃましましたと部屋を出る。 外は満天の星空。 「修也くぅ~ん」 「!……おまえ! どっから入ってきた!」 「ふふふ、修也くん。マフラー編んだのぉ」 「そ、それで俺の首を絞めるつもりだな。やめろぉ! 近づくなぁ! うわぁぁぁぁああああ!!」 なんか、修也さんの部屋から叫び声が聞こえるが、多分気のせいだろう。もしくは木の精だろう。 さーて。これまで積んだお姉ちゃんに対する尊敬をいくらか見直さないとなー。あははー…………はぁ…・・・。 (おしまい) 300 名前:赤いパパ ◆oEsZ2QR/bg [sage] 投稿日:2007/11/16(金) 18 26 01 ID d558cimu 軽い感じで。 どなたかの電波受信に一役買えばいいなと思います。 301 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/16(金) 18 40 23 ID RlW5GiY3 一番槍GJ! 姉ちゃん怖いよ。 302 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/16(金) 19 21 08 ID Inm+/rAc GJ 弟助けてやれよw 303 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/16(金) 20 20 07 ID gUyoepzl 300 GJ! でも姉スキーの俺としてはデレの対象が弟君でないのがただただ残念なのであった。 でもGJ 304 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/16(金) 20 51 18 ID ZVqp02xK あー、それはすげぇ思ったw>デレの対象~ 305 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/16(金) 22 03 59 ID QS5SpaEY やべぇ・・・俺の真っ赤な〇〇に火がついちまったよ ちょっと夜空に真っ赤な誓いを叫びに逝ってくる・・・ 306 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/16(金) 22 19 00 ID NDfWgZXg 仕事早いな すぐ上で話題になったやつだろ 307 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/17(土) 06 44 17 ID Dp9OIXMT 305 この~手を離~すも~んか~ 真っ赤な誓~い~ スレ的に真っ赤って血だろ? 308 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/17(土) 08 01 13 ID 1mJ8FaIr 運命の赤い糸かも知れんよ まあ最初から繋がってるかどうかは知らんが 309 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/17(土) 08 52 51 ID U8jETMf7 300 302 そこで弟が修也君を助け、急速に深まる二人の仲 だがそれに嫉妬する姉は・・・ というのを考えてみた 310 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/17(土) 11 14 16 ID nY6w11CU 300 グッジョブすぎて茶吹いたwww デレ対象が他人なのが逆にツボ。 311 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/18(日) 00 35 50 ID y6A79RdV 300 新しい方向性GJ! 確かにヤンデレ姉が居る家族は大変だろうなぁ、としみじみしてしまった(´・ω・`) 312 名前:名無しさん@ピンキー[age] 投稿日:2007/11/18(日) 07 10 57 ID RsNOKuTm 300これは怖いwwwwwwwwwww 是非弟君もヤンデレを学んで欲しいですな。 GJ! 313 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/18(日) 11 35 31 ID jBa/CvXa efのみやこを見て思った ヤンデレスレの小説は生温いとw 314 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/18(日) 11 50 48 ID ILirCnw0 313 みやこがどんな感じなのかkwsk 315 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/18(日) 11 55 47 ID VxDn3HKc あれはヤンではなくトラウマだろ 316 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/18(日) 22 27 33 ID 3sQj79yM 古事記のスセリヒメってヤンデレじゃない?スセリヒメが大国主の浮気(?) に嫉妬する歌はかなりゾクゾクきたんだが ぬばたまの 黒き御衣をまつぶさない 取り装ひ 沖つ鳥 胸見る時 はたたきも これは適はず へつ波 そに脱ぎ棄て ソニ鳥の 青き御衣を まつぶさに 取り装ひ 沖つ鳥 胸見る時 はたたきも 此も適はず へつ波 そに脱ぎ棄て 山縣に 蒔きし あたね春き 染木が汁に 染め衣を まつぶさに 取り装ひ 沖つ鳥 胸見る時 はたたきも 此し宜し いちこやの 妹の命 群鳥の 我が群れ住なば 引け鳥の 我が引け住ねば 泣かじとは 汝は言ふとも 山トの 一本薄 項傾し 汝が泣かさまく 朝雨の 霧に立たむぞ 若草の 妻の命 事の 語り言も 是をば 317 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/18(日) 23 20 48 ID Rzjn93BR だ、だれか理系特攻型の俺に日本語で説明してくれ 318 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/18(日) 23 29 41 ID 6YqBRAU2 つ ttp //www15.plala.or.jp/kojiki/Okuninushi/okuninushi_06.html 319 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/19(月) 01 20 20 ID skgKDxaj 317 いちおそれ日本語だぞ 現代語ではないがw 320 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/19(月) 01 43 19 ID 3xsCgFKI 俺的にはイザナミもヤンデレだと思うんだ 321 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/19(月) 02 18 02 ID Cr8Z1irV そんな事言ってたら、ギリシャ神話は宝庫だぞ 322 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/19(月) 02 21 11 ID es7Ms+ao 愛情が異常加速するのは太古からあることさ 323 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/19(月) 07 52 35 ID Kn5Y5tGB てか、それ正確には大国主がスセリビメの気持を代弁した歌 最初の六行の解釈によっては、心中に誘っているようにも聞 こえるというのは有名な話 320 夫を殺そうとしたあげく逃げられたら、八つ当たりで一日千人 縊り殺すのだから、立派なヤンデレ 324 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/19(月) 15 57 02 ID WM5gjJg/ 嫉妬深くて絶対に好きな人を傷つけたりしないがまわりに容赦無いのもヤンデレ? 325 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/19(月) 17 19 11 ID jp1jYLtg 単に周囲に冷たいのならツンデレと区別が付きにくいなあ 恋人や恋路の妨げになりそうな存在には善悪問わず容赦なしっていうんならヤンデレっぽいかな 326 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/19(月) 17 20 05 ID JrEfvuGG 間違いなくヤンデレ 327 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/19(月) 22 18 22 ID 0Bb5l8t4 ドジで「こいつは守ってやらなくちゃいけないなー」って思ってる奴が実は超頭がキレててヤンデレだったら怖いな。立ちが悪い。 328 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/19(月) 23 20 37 ID 4H9gXUOI やべぇw その設定に 鳥肌がたったww 329 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/19(月) 23 45 13 ID 8ApdAiPh 327 おまいのお陰で電波を受信した。 書いてみるわ 330 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/20(火) 00 19 00 ID NOt9Zd1b wktkしながら まったり待ちますか 331 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/20(火) 00 19 13 ID tzwcl2Mk 329 超期待 332 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/20(火) 00 26 56 ID xk2+FrRh 320 イザナミは、自分の醜い姿を夫に見られて怒り狂って殺そうとしたんじゃなかったけ? それはヤンデレではないような…。普通のキレやすい女性では。 333 名前:リッサ ◆v0Z8Q0837k [sage ] 投稿日:2007/11/20(火) 01 05 50 ID gJdem6/T お久しぶりです、病み鍋の原稿にかまけていたので久々になりますが投稿します。…しかし殆ど イラストばっかり描いていたのでブランクを埋められるのか少し不安です。 「料理上手な彼女」 世の中で素敵な女性はどんな人か?そう考えるとまず真っ先に思い浮かぶのは…やっぱり家庭的 で、さらに料理が上手な人なのかな?と僕はそんなことを考えた。 「ねぇねぇまーくん、今日のお弁当は…どうかなあ?」 そういって彼女…僕の幼馴染である登呂玖 泉はいつものように僕の席に自分の席をくっつける と僕に手製のお弁当の味を聞いてくる。 彼女はボーイッシュな見かけ、かつ男勝りな性格によらず料理を作るのが大変得意だ。 「うん、とってもおいしいよ…冷めるのが前提でこんなにもおいしく食べられるお弁当なんて一流 シェフでも作るのは難しいんじゃないかなあ?」 「本当!やったー!!やっぱり僕って才能あるんだよね!ね!」 そういって彼女は本当に嬉しそうにガッツポーズをとる…僕の いう言葉にお世辞はない、本当に彼女の料理は美味しい。給食の 出ない土曜学級の日のみ味わえる彼女のお弁当は僕にとって本当に格別なも のだった…彼女が初めてお弁当を作ってくれた頃は一緒に食べるのも少し恥 ずかしかったが今ではそれも気にならないくらいに彼女の料理の味は上達していた。 「…えへへ、嬉しいなあ…まーくんに認められただけで三ツ星シェフになれた気分だよ」 「それは気が早いよ、まずはちゃんと調理師学校に行かなきゃさ」 「うん…でも、マー君にあえなくなるのは少しさびしいかな…」 彼女…泉の将来の夢は調理師になることらしい、もともと子供のころから手作りお菓子やら 料理やらを振舞ってくれた彼女がそんな自分の夢を語ってくれたときはある程度納得したが 彼女の覚悟は半端ではなかったようだった…僕は後数日もすれば高校受験を受けて、晴れて 周りの平均クラスの連中と同じ高校に進学できるのだが…泉はそんな怠惰で甘美な日々を振 り切って調理師学校に進学する道を選んでいた。 322 最後の部分の「一日に千人の~」のくだりで愛を感じる、なんていう解釈を里中美知子が漫画ギリシャ神話でしていたような気がします。 334 名前:リッサ ◆v0Z8Q0837k [sage ] 投稿日:2007/11/20(火) 01 08 18 ID gJdem6/T 「料理上手な彼女」① 「何いってるのさ?家だって近所だし、それに休みの日はまたいつでも遊んであげるからさ」 「ぶー、そういうことじゃないの、僕はまーくんと今みたいに会いたいんだもん!!」 そういって泉は少し冗談めかした膨れっ面を浮かべた、そういわれて見るともうこうして 他愛ない話をしながら彼女のお弁当を食べられる日が来なくなるのはさびしい事なのかも しれない…でも僕らはまだ若い、きっと高校に行けばもっと楽しい事もあるはずだ…僕はそう 考えて、彼女のお弁当を出来るだけゆっくり食べてあげる事にした。 「じゃあ高校生になっても一緒に登校してやるよ…だから機嫌直せって」 「本当に!?絶対だよ!まーくん!」 今にして考えれば、このときに僕は泉の気持ちに気づいてやるべきだったのかも知れない。 このとき僕は気づいていなかった…そうやって未来はいい方向に向かっていくって考えることを…彼 女はもうすでにこの時、全思考を持って否定していたってことを…。 335 名前:リッサ ◆v0Z8Q0837k [sage ] 投稿日:2007/11/20(火) 01 10 17 ID gJdem6/T 料理上手な彼女…の日記 2月某日 曇りのち雪 まーくんは今日も僕の料理をほめてくれた、とても嬉しかった、でも悲しい、僕の気持ちをわかって くれない。 僕だって同じ学校に行きたいよ、さびしいよ、でも僕は同じ学校にいけないんだ、だってそうしない とお母さんがぶつんだ、嫌な事をするんだ…あなたは私の跡を継ぐために育ててきたのよ!って。 本当は僕、料理なんか嫌いなんだよ・・・でも君が喜んで僕の料理を、お母さんみたいに怒らないで食 べてくれたから…僕はまーくんにお弁当を…いや、まーくんが大好きなんだ、だから僕はお弁当を作る んだ…だから、ひとりでしたときの、おつゆも…隠し味に入れてるんだから…。 ねえまーくん、早く僕の気持ちに気づいてよ…僕のうちの台所には…媚薬とかないから…君に襲わせ るのは無理だけど…でもこんなにも、僕はいつもそばにいるんだから…(以降、解読不可能) 336 名前:リッサ ◆v0Z8Q0837k [sage ] 投稿日:2007/11/20(火) 01 14 00 ID gJdem6/T 料理上手な彼女 ② そしてそのまま季節は春を向かえ、僕は晴れて高校生に、泉は調理師学校の生徒になった。 しかし不思議なもので幼馴染との登校は、学校が変わっているというのにいまだに続けられていた。 「はい、今日のお弁当だよ」 「うん、いつも悪いな」 高校生になれば自然に給食はなくなって弁当生活が始まるのだがあいにく僕の家は父子家庭なので …もう季節はとうに五月だと言うのに僕はいまだに泉の好意に甘えて弁当を恵んでもらうという生活を 続けていた。泉が僕の家庭の事情を察していてくれる分ありがたいのだが…いかんせん彼女の家も母子 家庭なので内心とても悪い気がする。 「…そうだ、今度遊びに行こ!おれがおごるから、どこでも好きなところに連れてってやるよ!」 「あ…ゴメンね、僕の学校、あんまり休みがなくて…」 「そうか、でも夢をかなえるんだもんな…がんばれよ!」 「うん…」 そういう泉の表情はどこか暗く、中学校時代のような覇気がないように感じられる…俗に言う五月病 と言う奴だろうか?最近は指先に絆創膏をまいていたり、なかなか一緒に遊べないあたり、やっぱり料 理を仕事にするための勉強と言うのはとても大変なのかもしれない。 「っと、それじゃあおれはここで…あ、舞ねーちん!」 そういって角学校への近道である三叉路の角を曲がろうとしたとき、僕はもう一人の幼馴染の気配に 気づいた。 「あ…おはようまーくん、それからイズミン…」 「…あ、お姉ちゃん!今日はちゃんと起きられたんだね!」 先ほどの態度から少し回復したのか、泉はいつもの調子を取り戻す…彼女の名前は 来栖 舞 僕ら 二人とは一つ違いなのだが子供のころからの付き合いで、さらに僕と同じ学校似通っているためこうし て三人が顔を合わせるのはねーちんが寝坊をしないかぎりは恒例の行事となっていた。 「はい、お姉ちゃんのお弁当、スッポン入りだからきっと寝つきがよくなるよ!」 「あらあら…ありがとうねイズミン…今度私もお礼に特製の紅茶を入れてあげますからね…」 「うん、その時はスコーン焼いてあげるから楽しみにしててね!!」 ねーちんは紅茶を入れるのが趣味、なんていう浮世離れした趣味を持つ、とろいのが特徴の高校二年 生だ…しかしそんなねーちんと明らかに対照的な泉は凄くウマが合うらしい、嬉しそうにねーちんとし ゃべる泉。二人は僕も遠慮するぐらいに、まるで本当の姉妹のように仲がよかったりする…やっぱりこ ういう場合はねーちんと話した方が元気になれるのかな、と考えると少し悔しくなった。 「あ…それじゃあもうそろそろ学校に行かなきゃ…」 「うん!二人ともいってらっしゃい!!」 「おう!泉も頑張れよ!」 こうして僕たちはそれぞれの学校へ向かった、二人を待っているうちに遅刻まで時間ギリギリとなっ てしまったが、それでも泉が少しでも元気になればいい、そう思うことにして僕は舞ねーちんと二人で 陸上部も顔負けの遅刻ギリギリ猛ダッシュをして学校への坂を駆け上がった。 337 名前:リッサ ◆v0Z8Q0837k [sage ] 投稿日:2007/11/20(火) 01 16 51 ID gJdem6/T 料理上手な彼女 ② 高校生活というものは意外に慣れてしまえば中学校と変わらない怠惰なものだった。クラスの友人達 もそれほど変わり映えはせず、部活動も文系なのでこれと言って頑張れるものではない…しかし強いて いうなれば、僕の横にいるのが泉でなく、舞ねーちんになった事が一番の変化といったことだろうか。 舞ねーちんは泉ほど積極的ではないのだが、それでもよく僕をお弁当に誘ってくれた、部活道も実を 言えばねーちんの誘いで入部していたりする…たまに遊びに行く回数なんかも中学校の頃から比べると 何倍も増えていった…そしてその分、朝顔を合わせる以外では、だんだん泉とは疎遠になっていった。 「ねぇねぇ誠君、やっぱり君って舞ちんと付き合ってるの?」 放課後、部活動である茶道部のあとかたづけ中に先輩からそんなことを聞かれる、女子…しかも舞ね ーちんの友人が多めのこの部活動ではある意味関係を怪しまれても当然のことだった。 「え…いや別に…僕は舞ねーちんとは…」 「えー!そうなのー!?…でも仕方ないかー、何てったって舞”ねーちん”だもんねえ」 先輩はそういってけらけらと笑う…その直後、がらがらと部室のドアを開けて、ねーちんが部室に入 ってきた…その顔はどこか悲しげで、僕は凄い申し訳のない気分になった…。 もう、僕は心のどこかで気づいているんだろう、舞ねーちんが僕を一人の男として好意を持ってみて いて…僕もその気持ちに答えたいってことを…。 恋愛は儚い、ならばそれを全て捨てて友情に走れるのか?…そんな青春時代ではごく当たり前の葛藤 を抱きつつも時は流れ…季節は春から夏へと変わり始めていた。 338 名前:リッサ ◆v0Z8Q0837k [sage ] 投稿日:2007/11/20(火) 01 18 04 ID gJdem6/T 料理…下手なねーちんの日記 6月某日雨 明日は誕生日だ、でもとても嬉しくない事があった。イズミンに相談されてしまったのだ…まーくん が好きで好きでたまらない、どうしても付き合いたい…でも家の事情と、学校のスケジュールのせいで 会えない、そう涙交じりで相談されてしまったのだ。 ずるいよイズミン、わたしだってもう我慢の限界なんだよ。 私もずっとまーくんのことが大好きだったんだよ、でも中学校を卒業して、いつもイズミンのそばに はまーくんがいたから遠慮してたのに…。 大好き、まーくん大好き…でも、イズミンも大好きなんだよ…コレだけは信じて、いつもお家や学校 の事で相談に乗ってあげてるのも…同情なんかじゃないんだよ…でも。 もう、私も我慢の限界なんだよ。 339 名前:リッサ ◆v0Z8Q0837k [sage ] 投稿日:2007/11/20(火) 01 23 35 ID gJdem6/T 料理上手な彼女 ③ その日は舞ねーちんの誕生日だった、僕は以前からねーちんが欲しがっていた変なデザインの抱き枕 を買い、泉はケーキと料理に腕を振るう…そんないつも通りな、恒例の分担で二人で誕生日の準備を始 めていた。 会場には僕の家が使われる事になった、ちょうど両親も旅行で出かけている事だし、遅くまで騒いで も問題はないだろうという判断からだった。 「イズミン…遅いねえ…」 「うん、なんだかケーキを焼くのに少し時間がかかるみたいだよ」 泉の到着が遅れたため、僕たち二人は少しの間待たされる事になった…二人きりなのが原因なのか それともねーちんが珍しく露出度の高い私服をきているせいなのか…緊張気味の僕ともともととろいね ーちんとの会話はだんだんと少なくなり…次第に僕らは無言のまま隣通しでソファーに座ることになっ てしまった。 「…ねえ、まーくん…舞ねーちんはね…欲しいものがあるんだよねぇ…」 何故か生唾を飲み込むとねーちんは重い口を開いた…その声はどこか震えている。 「うん…僕もそう思って…今日、プレうわああ!!」 ねーちんはいきなり立ち上がると僕の肩を掴んだ、そしてそのまま僕をソファーに押し倒した。 「ちがうよ…モノじゃないの…まーくんが、お姉ちゃんは…まーくんが欲しいの!!」 「ちょ!駄目だよねーちん!それにほら…もうすぐ泉が!!」 ねーちんは僕の声が聞こえないかのように、僕の両手を押さえると、そのまま僕にキスをした。 「ん…大丈夫だよ…だってもう、私我慢できないもん…それに、嫌じゃないんでしょ?まーくん」 「そ…それは…」 舞ねーちんはそういうなり僕の口腔にに舌を押し込んでくる…もちろん、こうなることは僕自身も望 んでいた事だ…僕はそれを受け止めた。もう完全に泉のことなんてどうでもよくなっていた。 泉が僕の家の、玄関に近づいていることなんて思いもせずに。 「おねーちゃーん!ハッピーバースデー!!」 私はケーキの完成で遅れた時間を取り戻すため、慌てて、なおかつ威勢良くまーくんの家の玄関を開 けた、なんだか恥ずかしさで自分が誕生日の主役になったみたいだ…そんな気分だった。 …馬鹿みたいだ、その玄関を開けることが、地獄の入り口だったと言うのに。 「ん…あああ!!!はああ!ん!!」 僕はねーちんと体を重ねていた、あいにく男性経験は初めてのねーちんのそこはとても硬く閉ざされ ていて、内部に侵入するのは一苦労だったが一度入ってしまえば後は楽らしく、ねーちんは僕の腰の動き に対して艶っぽい声を上げていた…。 「ん…ああ…出すよ、ねーちん!」 「あ…来て!来てぇ!いっぱい出して!もう私も、いくぅ!」 「は…んん!!」 そのまま僕はねーちんの内部に射精した。 ガシャン!! それと同時に玄関に大きな音が響いた、僕は放心状態のねーちんをソファーに寝かせるとそのまま玄 関に近づいた。 「泉…なのか?」 弱弱しい声で僕が呟く、返事は帰ってこない…意を決して玄関へ向かうと…そこにはたくさんの料理 と、それを乗せたお皿とかごがぶちまけられていた…。 340 名前:リッサ ◆v0Z8Q0837k [sage ] 投稿日:2007/11/20(火) 01 24 16 ID gJdem6/T 料理上手な彼女 ③ 「…泉!!」 僕は急いで外に出る、しかしその先に泉の姿はなかった、もしやショックを受けて家に帰ったのかな そう思って泉の家の方角を見ると。 「じゃあね」 泉は僕の真横にいた、その目は恐ろしくなるくらいに空ろで、視線も一向に定まっていなかった。 「あの…泉、実は…これはその…」 「お姉ちゃんと、お幸せに…」 泉はそう言うとふらふらとした足取りで自宅に戻っていった。 「泉…」 義務、なのだろう。男ならここで彼女を引き止めて、きちんと事情を説明する必要がありのだろう… だって気づいてたはずだろ、あいつが僕とはなれても毎日毎日弁当を作ってくれた理由くらい…だった ら、それこそ今すぐにでも事情を説明して、きちんとした対応を…。 がちゃん!! そんな大きな音を立てて泉の家のドアが閉められた、それは彼女からの僕たちに対する完全な拒絶の 合図に思えた。 いや、そう思い込んで逃げていただけなのかもしれない、だって、もしもここで彼女に対して、きち んと僕が事情を説明できたなら、未来は…あの未来はかえられたのかもしれないのだから。 341 名前:リッサ ◆v0Z8Q0837k [sage ] 投稿日:2007/11/20(火) 01 25 42 ID gJdem6/T 料理上手な彼女…の日記② 6月某日 未記入 お姉ちゃんに裏切られた、まーくんを取られた、私のまーくんを。 どうして?お姉ちゃんはいつでも私の悩みを聞いてくれた、アドバイスもしてくれた、それ以上に私 のお姉ちゃんで…いつもわたしの大事なお姉ちゃんでいてくれたのに、どうして?なんで?。 恨めないよ、嫌いになれないよ・・・でも、でもまーくんを取っちゃった事は許せないよ。 何がいけなかったのかな?何が悪かったのかな?解らないよ、わからないよ。 そうだ、私の料理が下手だからいけないんだ…そうだよね、私の料理がもっと美味しかったら…お姉ち ゃんも私とまーくんが上手くいくように協力してくれたはずだ、まーくんももっと早くに私の気持ちに 気づいてくれてたはずだ。 じゃああの人が悪いんだよね、そうだよね、だっていつも私のことぶって、自分にはかなわないって ののしりながら料理の事を教えてたくせに…結局何一つ、私の大切なものを振り向かせる方法すら教え てくれなかったんだもん…悪いのはあの人だよね。じゃあ、殺すしかないよね。 (以降、多量の血痕により解読不能) 342 名前:リッサ ◆v0Z8Q0837k [sage ] 投稿日:2007/11/20(火) 01 27 45 ID gJdem6/T 料理上手な彼女 ③ よくは知らないが、彼女との初デート後に一番大事なのは次の日のフォローだという。 なら、こういう場合はどうすればいいのだろうか? 次の日、僕とねーちんがきちんと今回の事情を説明するために学校への通学路で泉を待っていると… そこに泉は現れず、変わりに二人の警察官が現れた。 任意同行をお願いできますか?と、警察官はそういった。 泉はあの後、寝室で眠る自分の母親をハンマーで滅多打ちにして殺し、調理師学校に…その、調理し た母親の死体…その生首を持っていったらしい。 見て!皆!この人ね、料理が大好きだったけど…どんなに調理してもおいしくないんだよ、最低だよ ね、料理人として最低だよね…あはははははははは! 彼女は即、そのまま警察に逮捕された…僕たちはせめてものつぐないに、と事情を包み隠さずに説 明した。 何がどうあれ、僕たちは一人の少女を、大切な幼馴染を二人して傷つけたのだ…そのための罰ならい くらでも受けるつもりだった。 「わ…私が我慢すればよかったのかな…ひぐ…私があんなことしなきゃ、泉ちゃんは…うぐ…」 「いや…僕だ…僕が悪いんだ…僕がしっかりしてないから…うあああ!!!」 僕たちは泣いた、泣き明かした、まるで自分たちが被害者だったかのように…。 そして年が終わる頃、泉の事件は判決が下された。医療少年院送致、それが彼女に下された刑罰だっ た…彼女は完全に精神を病んでいるらしく、弁護士との接見はおろか面会も断られる状況、と言った感 じだった。 実の母親による虐待、そして思春期ゆえの精神の不安定さ…そして僕らの行動のせいで彼女は、壊れ てしまったのだ。 僕たちは誓った。もし彼女が帰ってきたら、その心が治ったら…今度こそ二人できちんと事情を説明 して謝罪しよう、そして僕たちの罪を償おう、と。 そして、更に数ヶ月が流れ、また季節がねーちんの誕生日に近づいたとき…泉は医療少年院を脱走し て…そのまま姿をくらませた。 343 名前:リッサ ◆v0Z8Q0837k [sage ] 投稿日:2007/11/20(火) 01 28 33 ID gJdem6/T 料理上手な彼女…の思考 …やっと解ったよ、お姉ちゃん。どうすればおねえちゃんを許せるのか解ったよ…そうだよ、ずぅー っと眠りながら考えていたけどやっと解ったよ。お姉ちゃんがお姉ちゃんだからいけないんだよ…お ねえちゃんが私と、まーくんと同じになればいいんだよ…うふふ、あはははははは!そうだよ、同じな らいいんだよ、同じになれば…そう、全て…。 待っててね、今行くからね…お姉ちゃん…。 私もおねえちゃんのこと、あいしてるからね。 344 名前:リッサ ◆v0Z8Q0837k [sage ] 投稿日:2007/11/20(火) 01 30 32 ID gJdem6/T 料理…下手なねーちんの日常 その日、普段は人一倍とろい私は、珍しく緊張して体を震わせていた。 数日前、イズミンが医療少年院を脱走した後、始めて私の家に電話をかけてきたのだ。 「会いたいの…どうしてもお話したい事があるの」 イズミンはかれた声でそう言った、待ち合わせ場所は郊外の廃鉱山で、とのことだった。 殺されるかもしれない、下手をすれば生きては帰れないかもしれない、そんな思考も頭をよぎった… でも行かなければい、そうも思った…そうしなければ、私は一生彼女にした事に対して償いが行えないと 感じた。 もちろん、数日前から私の周りには警察の監視の目が合った、多分この連絡も筒抜けだろうと思う。 それでも、せめて彼女を説得するべく、私は郊外に向かって自転車を走らせた。 夕方、やっと山間部付近の廃鉱山にたどり着いた時にはもう日が暮れそうになっていた、鉱山の入り 口に近づいて、入り口の鎖がきられている事を確認して大声で叫んでみる。 「イズミーン!いるのなら返事して!私だよ…お姉ちゃんだよ!!」 声が坑道の奥深くに響き渡る、しかし反応は返ってこない…もう警察に捕まってしまったのだろうか …そう考えながらも坑道の奥深くに進もうとしたそのとき、背後に気配がした。 「こんばんは、お姉ちゃん」 背後に彼女がいた、突然の事に驚きながらも私はゆっくり振り向こうとする…夕暮れ時が近いので顔 が確認できるのか、不安になりながら振り向いた時…ごん!という衝撃が、私の頭部を襲った。 気絶して倒れそうになる中、逆行を浴びて、手にかなづちを持った…懐かしい、それでいてどこか禍 々しい顔の泉を、私はしっかりと確認した。 345 名前:リッサ ◆v0Z8Q0837k [sage ] 投稿日:2007/11/20(火) 01 31 32 ID gJdem6/T 取りあえず今日はここまで貼ります、後半は微グロ予定ですので…ではまた明日 346 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/20(火) 01 33 34 ID Ox+fUX38 なんか、どっち選んでも片方がヤン化しそうなんだが・・・ 347 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/20(火) 03 07 31 ID 5OmaJUFU いきなりセクロスシーンに遭遇しなければヤン化はしなかったと思うが にしても自分の好きな人と親友がヤってるのを見たら死にたくなるだろうな。 しかも誕生日祝いを持ってきた時に。 348 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/20(火) 03 24 42 ID dmcgyp4R みんなで一緒になりたくて料理が得意、しかも次はビグロらしい wktkですね 349 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/20(火) 07 34 36 ID 6o+HgEGh 348 ___ ∧_ / \_____/|0| |\ \  ̄ ̄ ̄ /___/ ノo| |0| 《 // \ /\●__/ /o|\ |0| |\_/△ \/ /Oノ \ |0| \/ \\ //\ /〇/ /\ |0| \ \\ _ _[@〉\_______/____/ 〇(__(⊂( ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ((⊂(__(⊃〇  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ θ//θ θ//θ // // /―▽―、 | | ̄ ̄ ̄| | \> </ 350 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/20(火) 09 37 41 ID c9OxE3u/ それは違う 351 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/20(火) 13 55 52 ID ouuQtGV2 あえてザクレロ辺りを出していれば突っ込みがいもあったものを 352 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/20(火) 21 09 19 ID f5yyzHYR まぁ、しょうがない ところでこのスレのテーマソングを「地獄のズバット」にしようと思うんだがどう思う? 単に俺がよく聞きながらヲチしてるからなんだが・・・ 353 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/20(火) 21 37 57 ID ecXSRppa 俺はこれかなあ ttp //www.youtube.com/watch?v=R6KAHEVtQcg mode=related search= うん、完全に趣味丸出しなんだ。すまない。 354 名前:リッサ ◆v0Z8Q0837k [sage ] 投稿日:2007/11/20(火) 23 47 46 ID gJdem6/T こんばんは、遅くなりましたが残り文を投稿させていただきます。一応微…?グロ注意です 料理…下手なねーちんの最期 「あれ…ここは?」 「おはよう、お姉ちゃん、目は覚めた?」 気がつくと私の目の前には泉の顔があった。その顔は記憶の最後にある顔よりも痩せこけて、その服は血まみれな上にぼろぼろだった…それでいてぎらぎらと光る様なまなざしははどこか不気味な 雰囲気さえ漂わせていた。 「イズミン…その…怪我とかは大丈夫?」 「ああ、これ?…大丈夫、返り血だから…たいした事ないよね、警察っていってもさ…」 「…ゴメンね、私があの日、あんな事したせいで…あなたを…そんな風に…」 私は泉の言葉で彼女の服についた血が誰のものなのかをさとり…そこまで泉を追い込んだ自分を恥じた。そして嘆いた…もしも自分があの時あんな行動を取らなければ…そんな考えが頭をよぎる。 「自首しろ、なんてことは言わない…私が憎いなら殺してくれても一向に構わない…だからもうこれ以上、お願いだから誰も殺さないで…それから、本当に、あの時は本当にごめんなさい、もういくら 謝ってもどうにもならない事だろうけど…本当にごめんなさい」 私は謝った、誠心誠意謝った、最悪の場合の命の覚悟ももう出来ていた。たぶんもう私は助からないのだろう…この両手を縛りつける荒縄がその事実をしっかりと告げていた。 「いいんだよお姉ちゃん、お姉ちゃんは全然悪くない…悪いのはあの女と…私たち二人を虜にしちゃうような…まーくんのやさしい所…それくらいだから…だから」 さくり!と小気味のいい音がする。 泉は手に持っていたナイフを私の首に突き刺した…。 「ご…め…ん…ね…」 気絶しそうな意識の中で私は謝った、ぐりぐりと、泉はナイフの刃で私の首の肉をえぐるように執拗に刃を突き刺してくる…痛い、気絶しそうなほどに痛い、でも 耐えなくては…私の意識がある限り…謝って…。 そう思考したのを最後に舞の意識は吹き飛んだ。それでも執拗に泉はその首に突き刺したナイフをぐちゃぐちゃとかき混ぜた。 「あれ…おねえちゃんは悪くないのに…どうしてだろ?どうしてだろ?」 泉はぽろぽろと涙を流し、手に持ったナイフをようやく放した。 「こうすれば…きっと二人とも、ううん、三人とも幸せになれるのに…どうしてだろ…あはははははははは!解らないや!これは解らない や、あははははははははは!!」 泉は泣いていた、泣きながら笑っていた、でももうすぐそれも終わる…彼女の狂った理性はそう告げていた。 「そう…あと少しだからね、まーくん…」 彼女の視線の先には、手足を縛られたまーくん、こと誠が横たわっていた。 355 名前:リッサ ◆v0Z8Q0837k [sage ] 投稿日:2007/11/20(火) 23 48 40 ID gJdem6/T こんばんは、遅くなりましたが残り文を投稿させていただきます。一応微…?グロ注意です 料理…下手なねーちんの最期 「あれ…ここは?」 「おはよう、お姉ちゃん、目は覚めた?」 気がつくと私の目の前には泉の顔があった。その顔は記憶の最後にある顔よりも痩せこけて、その服は血まみれな上にぼろぼろだった…それでいてぎらぎらと光る様なまなざしははどこか不気味な 雰囲気さえ漂わせていた。 「イズミン…その…怪我とかは大丈夫?」 「ああ、これ?…大丈夫、返り血だから…たいした事ないよね、警察っていってもさ…」 「…ゴメンね、私があの日、あんな事したせいで…あなたを…そんな風に…」 私は泉の言葉で彼女の服についた血が誰のものなのかをさとり…そこまで泉を追い込んだ自分を恥じた。そして嘆いた…もしも自分があの時あんな行動を取らなければ…そんな考えが頭をよぎる。 「自首しろ、なんてことは言わない…私が憎いなら殺してくれても一向に構わない…だからもうこれ以上、お願いだから誰も殺さないで…それから、本当に、あの時は本当にごめんなさい、もういくら 謝ってもどうにもならない事だろうけど…本当にごめんなさい」 私は謝った、誠心誠意謝った、最悪の場合の命の覚悟ももう出来ていた。たぶんもう私は助からないのだろう…この両手を縛りつける荒縄がその事実をしっかりと告げていた。 「いいんだよお姉ちゃん、お姉ちゃんは全然悪くない…悪いのはあの女と…私たち二人を虜にしちゃうような…まーくんのやさしい所…それくらいだから…だから」 さくり!と小気味のいい音がする。 泉は手に持っていたナイフを私の首に突き刺した…。 「ご…め…ん…ね…」 気絶しそうな意識の中で私は謝った、ぐりぐりと、泉はナイフの刃で私の首の肉をえぐるように執拗に刃を突き刺してくる…痛い、気絶しそうなほどに痛い、でも 耐えなくては…私の意識がある限り…謝って…。 そう思考したのを最後に舞の意識は吹き飛んだ。それでも執拗に泉はその首に突き刺したナイフをぐちゃぐちゃとかき混ぜた。 「あれ…おねえちゃんは悪くないのに…どうしてだろ?どうしてだろ?」 泉はぽろぽろと涙を流し、手に持ったナイフをようやく放した。 「こうすれば…きっと二人とも、ううん、三人とも幸せになれるのに…どうしてだろ…あはははははははは!解らないや!これは解らない や、あははははははははは!!」 泉は泣いていた、泣きながら笑っていた、でももうすぐそれも終わる…彼女の狂った理性はそう告げていた。 「そう…あと少しだからね、まーくん…」 彼女の視線の先には、手足を縛られたまーくん、こと誠が横たわっていた。 356 名前:リッサ ◆v0Z8Q0837k [sage ] 投稿日:2007/11/20(火) 23 58 59 ID gJdem6/T 書き込みミスと誤爆失礼しました、それではいよいよ最終章になります 料理上手な彼女 ラストオーダー 「まーくぅん、ご飯できたよお!」 あの日、舞ねーちんを捕まえたと舞ねーちんのケータイから泉のメールがとどいて、急いで廃鉱山に向かってからもうどれほどの日が流れたのだろうか。 もう数日が過ぎたのかもしれない…舞はいつもの事のように僕に裸エプロンでご飯を振舞ってくれる …メニューはバターソテーをはじめ、チョリソー、生レバーや刺身に鍋、更にステーキやハンバーグにデザートなどと実に豊富に取り揃えられている。 …食材は何かって?決まっているだろう、ねーちんその人に決まっているじゃないか!! あの日、監禁された僕を待っていたのはねーちんの死体と、泉によるねーちんの解体ショーだった。 「…僕思いついたんだ…こうやってねーちんを、まーくんの大好きなねーちんを全部食べれば…僕もねーちんと同じ存在になれるって…それで、さらにそのねーちんのもう半分をまー君が食べてくれれば… もう、二人はずっと仲良しでいられるって…あはははははは!」 解体された死体を調理しながら泉はそういった、僕は…いっそ殺してもらいたい気分になった。 「はい、あーん」 こうして数日間?の間に僕は彼女と一緒にねーちんの体を文字通り味わう事になった、最初の数日は食べる事を拒否して何度となくはいていたが、僕の体は泉によって完全に拘束されている上に、吐けば 泉がそれを口移しで返してくれるというお返しが待っていた…そしてもちろん、僕の体は空腹には耐え切れなかった。 それに泉の振舞うねーちん料理は…何よりも、おいしかったんだ…彼女は言った、捕まっていた間に研究した味付けだと。 僕は愚かだ、何が謝罪だ、結局僕には何も出来なかったじゃないか…僕が出来た事なんて、結局は女性を苦しめた挙句、足りない覚悟と準備で一人の女性を死なせてしまった事…それだけじゃないか?何でだよ、何で僕は、何で生きてるんだよ…。 「…かわいそう、泣いてるの?まーくん…でも大丈夫、お姉ちゃんと一緒になれば、もう何も寂しくないからね…」 そういって泉は僕の涙を拭くと、僕の口に、ねーちん料理を運んだ…。 「ごちそうさまでした…それじゃあ、子作りしようか、ほら、お腹のお姉ちゃんも、まーくんの子供が欲しいっていってるよ」 そういうと泉はいつものようにエプロンをたくし上げ、自分の濡れた股間を見せた。 「はあ…いいよ、とってもいいよ!まーくん…ん!」 ・・・僕が絶頂を迎える瞬間、泉は手に持っていたナイフで、僕の心臓を一突きした。 「はあ…ん!!!まーくん…大好きだよ…大好き…だから…まーくんもおねえちゃんと、私と一緒になろう…」 「…ありがとう…いずみ…」 彼女の言葉に僕はそう返すしかなかった、というかそこで僕の意識は…永遠に途絶えた。口ではえらそうな事を言ってるくせに…情けない男だ…僕も。 「お姉ちゃんは全部私とまーくんが食べた、そしてまーくんは私が食べてあげる…うふふふふ、あはははははははは!うれしいよ、うれしいよまーくん!あははははハハハ!!」 廃鉱の中ではいつまでも、いつまでも悲しげな、それでいて嬉しそうな泉の声が響いていた。 廃坑の奥では今日も泉が料理を作っていた、材料はもちろん大好きなまーくんのお肉だ。 「ふふふ、今日もおいしいよ、まーくんは」 彼女はテーブルに載った誠の首に話しかける、防腐処理を施されたそれはまるでマネキンのような空ろな目でこちらを見ていた。 「うん…そうなんだ、もう少しで、生まれるとおもうから…」 泉はお腹をさする、大きく膨れ上がったそれは妊娠6ヶ月、といったところだろうか。 「大丈夫、一人で産むわけじゃないから…そう、皆ずっと一緒だから…ね?」 そう言うともう一度、泉は誠の生首に対して微笑んだ。 FIN 357 名前:リッサ ◆v0Z8Q0837k [sage ] 投稿日:2007/11/21(水) 00 01 49 ID gJdem6/T 以上で終わります、二日にわたって自分のSSにお付き合いいただき本当にありがとうございました。 それから次の作品の参考に、スレ住人の皆さんにお伺いしたいのですが…ヒロインに当たるキャラが ショタの作品はどう思われますか? 358 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/21(水) 00 06 21 ID hywa4N2u Nice cooking そして貴方のID GJ 359 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/21(水) 00 13 24 ID iaxGTIpg グッジョブ! ショタとヤンの組み合わせは良さげだな 360 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/21(水) 00 58 38 ID m1mOLYK1 357 GJ。 やはり予想通りにカニバリズム。 あと、 耐えなくては…私の意識がある限り…謝って…。 このへんの文に感動した。 ところでみんなに聞きたいんだが。 ショタって「可愛い男の子」という意味で解釈していいの? 俺はショタと聞いたら正太郎くんしか思いうかばんのだよ。 ブリジットとか準にゃんは女装少年という属性だと思っていたから。 361 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/21(水) 01 00 43 ID hK85Bt7J GJ! これは正しいヤンデレですね。 ショタヤンも一度呼んでみたいです。 362 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/21(水) 05 31 53 ID KzhreXZH ショタは正太郎少年みたいに小さな子供のことだな まあ可愛い少年ってのは分からない、マイナーな人もいるからさ でもそう考えていいかも 363 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/21(水) 15 21 39 ID 9xR+96vY 360 ショタは小さい男の子という意味で外見的な条件はない ロリの男版と考えてよかろう。年齢は4-12ってところだろうか だが実年齢よりも外見年齢を優先で考えるのがいいと思う ロリババアという表現もあるしな ブリジットみたいな「女の子のような外見のショタ」に該当する「ロリショタ」なる単語も存在し 少年らしいショタ原理主義とロリショタ愛好家の間には大きな溝と長年の紛争が存在する これらは完全に別物として扱った方がいいだろう 364 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/21(水) 15 33 35 ID HjEPsfm6 なんかヤンデレと離れていってるぞw 365 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/21(水) 15 58 40 ID hywa4N2u 誰だヤンデレスレでショタっ子の話題なんか振ったのは!? ………………職人さんだった。スマソ 366 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/21(水) 17 23 08 ID KzhreXZH あ 、私は別段構いませんので、ショタ。 367 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/21(水) 18 16 09 ID Y6PLITIf ショタ……正直に言えば個人的には全く受け付けないなあ。 以前それっぽいSS読んだけど引いてしまったし。 まあ書くのなら最初ショタ注意と宣言してくれれば スルーするなり対応できるのでありがたいんだけど。 368 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/21(水) 18 45 21 ID IOne9Arf むしろ主人公がショタなのを読みたい俺は末期の変態 369 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/21(水) 20 42 48 ID FQgO0Zta ヤンデレ(♀)×ショタなら大歓迎。 370 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/21(水) 20 58 17 ID IEmbDW58 ヤンデレ(♀)×ショタは意外と萌えるかも…。ぜひお姉さんで。 371 名前:こんな感じ?[sage] 投稿日:2007/11/21(水) 21 52 15 ID 1pm+NHzU 「おねぇちゃん!」 またおねぇちゃんがぼくのパンツを持っていった。 このまえ小学校でともだちがじまんしてたガチレンジャーパンツ。 お母さんにたのんでやっと買ってもらえたのに! おねぇちゃんはぼくの隣の家に住んでいる。 おしごとが忙しいぼくのお母さんにたのまれてよくぼくとあそんでくれる。きれいでやさしいおねぇちゃんだ。 でもときどきおねぇちゃんはぼくのパンツやお弁当のおはしをどこかにもっていっちゃう。 しばらくすると返してくれるんだけどパンツなんかだと時々へんなにおいがついてたりしみがついてたり お母さんに言っても「あんたのおねしょパンツ洗濯してくれてるんでしょ」とか言ってあいてにしてくれないし・・・ 今日こそはとりかえすゾ! 「おねぇちゃん!ぼくのパンツかえして!」 おねぇちゃんの家に行ったぼくはなぜかおねぇちゃんの部屋につれていかれた。 でもそんなことよりはやくパンツかえしてもらわなきゃ。 「え?ゆう君のパンツなんて私知らないよ?」 なんだかおねぇちゃんの顔がいつもより赤くなってる。 「うそだ!おねぇちゃんいっつもぼくのパンツもっていってるじゃん」 「そんなコトよりゆう君。お菓子食べない?」 お菓子でぼくをごまかそうとしてるな。でもそんなこt 「いいから!早く食べて!」 うっ・・・なんだか今日のおねぇちゃんいつものおねぇちゃんじゃない。 「う・・・うん。」 とにかくお菓子をたべればいいんだ。そのあとでパンツを返してもらおう。 「お茶も飲むよね?飲みたいよね?ね?!」 「い・・・いただきま・・す」 ・・・ アレ?なんだかめのまえがフラフラする?あ・・・れ? 372 名前:続き[sage] 投稿日:2007/11/21(水) 21 53 27 ID 1pm+NHzU ふ・・ふふふハハハハあハハハハハキャハはは ついに手に入った!私の!私だけのゆう君! もう誰にも邪魔させない!ゆう君に纏わりつくあのうざったいメス豚共! これでようやくゆう君を魔の手から守れる!一生ゆう君仕えることができる! そのためにもまずゆう君に私の純潔を捧げなくちゃ・・・ 「ゆう君。お姉さんの純潔もらってね。」 ゆう君を裸にして私のベッドに縛る。ちょっと申し訳ないけどあのメス豚共の 洗脳にかかっているゆう君の目を覚まさせてあげるためだ。 もう私のあそこはびしょびしょになっていた。 16年守り通した純潔を捧げることが出来る喜びで。いまから始まる誓いの儀式を想像するだけでイッてしまっている。 もうゆう君のパンツでお箸で自分を慰めることもなくなる。 それはそれで寂しい気もするがゆう君に仕える私がゆう君以外でイッてはゆう君に申し訳ない。 そんなことを考えている間になんとか儀式の準備は終わった。 「かぁわいい♪」 ゆう君のまだ小さなおちんちん。いまからこれが私の中に入るんだ・・・ それを想像しただけでまた達してしまった。しばらくぼおっとしてしまったけど気を取り直しゆっくりとおちんちんをシゴく。 だんだん硬くなる小さなゆう君♪今度はゆっくり口の中に入れるまだ皮をかぶってるおちんちんの先から少しずつ甘い液が出てきた。 皮の中も丁寧に舌を使って舐めあげる。一瞬ゆう君の体がビクンって反応した。 その仕草全部が私の体に快感を与えてくれる。 「アハ・・・もうこんなになってる・・・そろそろいいよね。」 おちんちんから口を離しゆう君の体を跨ぐ。 狙いを定めゆっくりと私のあそこに導いた。 「あっああああああああああああ!」 凄い!入れただけで私イッちゃった!自分で慰めてた時とは比べ物にならない快感が私を襲う。 「ッくううぅんっゆう君ゆうくんゆうくんゆうくぅぅん!」 腰を動かしもっとゆう君を感じる。もっともっともっともっと! 「あああああああアアアアアあああああああ!」 瞬間私のナカにあたたかいものが弾けた。 それを感じて私もさらに高いところへ連れて行かれる。 しばらく頭が真っ白になりゆう君に覆いかぶさっていたがのそのそとゆう君の上からどく。 「あ・・・アハ♪ゆう君のはじめてもらっちゃった♪」 これでゆう君はわたしだけのもの。 ワタシダケノタカラモノ 373 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/21(水) 21 55 40 ID 1pm+NHzU むしゃくしゃしてやった 反省はしていない。 374 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/21(水) 22 12 29 ID ZOA8sxH1 373 すまん、GJなので保管庫に入れたいんだがタイトルどうしたらいいんだ 375 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/21(水) 22 21 34 ID hoVCKEd0 374 ヤンデレおねぇちゃんとガチレンジャーパンツ ・・・ すんません。俺の足りない脳だとこんなのしか出てきませんでした。 376 名前:373[sage] 投稿日:2007/11/21(水) 22 24 11 ID hoVCKEd0 あれ? ID変わってる。 373です。 377 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/21(水) 22 45 09 ID O1lbkH7P 373 GJ!! こういうのかなり好きだ。 次回作があれば、首を長くして待ってるぜ!! 378 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/21(水) 23 42 33 ID IEmbDW58 この質…速さ…まさしく、職人!GJ! 379 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/21(水) 23 53 58 ID FQgO0Zta 言ってみて良かった!!GJ!!! 380 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/22(木) 00 01 41 ID 3n/xLCs+ ガチレンジャーに吹いたww 373のネーミングセンスに嫉妬。 381 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/22(木) 00 30 00 ID 8ei8vQfa 373 続きがあったら読みたいんだが 382 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/22(木) 00 36 11 ID M+vRdzZ5 381 スマソ これネカフェで30分で書いたやつだから続きどころか構成も何も考えてないんだ。 いずれ機会があれば書く 383 名前:一発で治ります[sage] 投稿日:2007/11/22(木) 02 24 23 ID ghPg8ye2 高校二年生の、夏のことだ。 そのとき俺は、校庭から聞こえてくる野球部のかけ声を遠くに聞きながら、じめじめ暑い教室で、 イライラしながら美香を待っていた。 「あれ、川田君?」 声をかけられて顔を上げると、入り口のところにジャージ姿のクラスメイトが立っていた。 「ん? ああ、氷川か」 氷川は陸上部に所属している女子だ。明るく人当たりのいい性格で、男女問わず人気のある奴だっ た。 「なんだ、部活か?」 「うん。これから校庭行くとこ。川田君はどうして残ってるの?」 「美香の奴が、忘れ物したーって言って美術室だか音楽室だかに行ったっきり戻ってこなくてさ」 「へえ。それで教室で待ってるわけね」 「そういうこと。ったく、いくつになっても世話が焼けるっつーか……」 うんざりした俺の声にかすかな笑いで答えたあと、氷川は少し躊躇いがちに聞いてきた。 「……二人は幼馴染なんだっけ?」 特に隠すようなことでもない。俺はあっさりと頷いた。 「まあね。家が隣なせいで、昔っからピーピーうるせーあいつのお守りばっかでさー。やんなるよホ ント」 しかも、不思議なことに幼稚園時代からずっと一緒の組ばかり。美香とは一度も離れたことがない。 「わたしたちが寂しい思いをしないように、神様が頑張ってくれてるんだよ!」 とは美香の弁だ。 さすがに神様の頑張りだとは思わないが、確かに何かしらの作為を感じないでもない。 (っつっても、美香と俺が一緒にいて得する人間なんていないと思うしなあ) そんな訳で、俺の思考はいつもその段階で止まってしまうのだった。 そうやってぼんやりと考えこむ俺を見て、氷川が意味深に笑う。 「ふふ。でも、皆は二人が恋人同士だと思ってるみたいだけど?」 その認識はあんまりだ、と思ったので、すかさず反論する。 「はぁ!? 冗談じゃない、子供とその保護者、みたいなもんだよ」 氷川は一瞬驚いたように目を瞬かせた。小首を傾げて、探るような口調で聞いてくる。 「……そうなの?」 変な噂を立てられてはたまらないと思い、俺は早口に答える。 「そうなの。おかげでこっちは毎朝毎朝起こしに行ったり忘れ物ないかチェックしてやったり、 帰りだって猫に気ぃ取られて道に迷ったりボロボロボロボロなんか落としてたり……」 改めて思い返してみると、本当に世話が焼ける奴だ。 ホント、俺がいなきゃどうなってんだか」 俺が時間を込めて深々とため息を吐くと、氷川はおかしそうに笑った。 「苦労してるのね」 「そうなんだ。あー、俺はいつまであいつの面倒見てやらなきゃならねえんだか……」 そうぼやいたとき、不意に氷川がじっとこちらを見つめて、囁くような声で言った。 「……ね。それじゃ、これからはわたしも一緒に、あの子の面倒見てあげましょうか?」 384 名前:一発で治ります[sage] 投稿日:2007/11/22(木) 02 25 10 ID ghPg8ye2 「……へ?」 何を言われたか分からず、間抜けに口を開いたまま相手を見る。氷川はほんの少し不安そうに目を 細める。 「……いや?」 「いや、っていうか……え、それって、つまり、あの……」 唐突な状況に混乱して、俺は何も言えなくなってしまう。 氷川はそんな俺を数秒も無言で見ていたが、こらえきれなくなったように吹きだした。 「……ぷっ」 「あ?」 「あははははは、川田君、顔真っ赤!」 腹を抱えて笑う彼女を見て、ようやくからかわれたのだと気がついた。顔が熱くなる。 「ひ、氷川が変なこと言うからだろ!?」 「あははは、ごめんごめん……あら?」 ふと、氷川が教室の入り口の方を見て、笑いを収めた。 つられて俺もそちらも見るが、特に変わったものは見当たらない。 「どした?」 「今、あそこのところに、チラッと黄色いリボンが見えたような……」 黄色いリボン、と言われて、俺の脳裏に見慣れた女の子の姿が浮かぶ。 「……美香か? でも、足音もしねえし……それに、あいつが来たなら、大騒ぎしながら飛び込んで くるはずだけどな」 「そうよね。ごめん、わたしの気のせいだったかも」 氷川は軽く謝ったあと、「さてと」と言って、踵を返しかけた。 「それじゃ、わたし、そろそろ行くね?」 引き留める用事もないので、俺は気楽に手を振った。 「おう。じゃーな」 「うん。……あ、川田君」 教室の半ばまで行きかけたところで、不意に氷川が振り返る。 「なんだ?」 氷川は悪戯っぽく微笑んだ。 「……さっきの、半分だけ、冗談だからね?」 「え?」 「……じゃ」 聞き返す間もなく、氷川の細い背中が教室の外に消える。 俺はその方向から目をそらすこともなく、ぼんやりしたまま先程の言葉の意味を考える。 「……半分っつーことは、もう半分は本気ってことか?」 氷川の悪戯っぽい笑顔が、再び脳裏に蘇る。心臓が無闇に高鳴り始めた。 「クーッ! あのちんちくりんの相手をすること早十数年、俺にもようやく他の女と縁を結ぶ機会が 回ってきたって訳かっ!」 あまりの喜びを抑えることが出来ず、俺は帰り道でもウキウキしっぱなしだった。 いつもはうるさい美香がその日は何故かあまり喋らなかったので、俺は思う存分明日からの楽しい 日々に思いを馳せることができた。 385 名前:一発で治ります[sage] 投稿日:2007/11/22(木) 02 26 02 ID ghPg8ye2 翌日になると、美香はいつも通りの騒がしいちんちくりんに戻っていた。 「んでね、百円玉がころころ転がっちゃって、追いかけてったらボッチャンって」 何が楽しいのか、無駄に身振り手振りをつけながら、昨日の思い出を喋り捲っている。 夜中部屋の電気が消えているから妙だとは思っていたが、百円玉を追いかけていたとは。 (相変わらず間抜けな奴だなあ) 朝の廊下は人が多いが、こういう美香の姿はいつもどおりのことなので、今更注目を集めることも ない。 同時に、そういう無駄話を聞かされる迷惑さ加減も、いつもどおりのことだった。 「なんで朝っぱらからお前がドブに落っこちた経緯聞かなくちゃならねーんだよ……?」 うんざりしながら教室に入ったとき、俺は異変に気がついた。 「なんだ、なんかヤケに騒がしいな。泣いてる奴もいるぞ……?」 「……どうしたんだろうねえ……?」 隣で美香も首を傾げる。クラスメイトの一人が俺に気がついて、慌てた様子で駆け寄ってきた。 「あ、おい川田! 大変だ、氷川が昨日死んだってよ!」 出し抜けに言われて、俺は一瞬何を言われたのか分からなかった。 「……は?」 ぽかんとしたまま聞き返すと、そのクラスメイトはもどかしそうに繰り返した。 「だから、死んだんだよ、氷川が!」 ようやく言葉の中身が理解できた。 「死んだって……な、なんで!?」 昨日の悪戯っぽい笑顔が頭に浮かぶ。あんなに元気だったのに、急に死んだと言われても信じられ ない。 混乱する俺の前で、クラスメイトは顎に手を当ててもっともらしい口調で言った。 「それが、死因は不明らしい。昨日の晩飯食ったあとに急に苦しみ出して……そのまま、とか。 でも食中毒でもなさそうだし、体の中から有害な物質が……ってのもないらしいんだよ」 「……」 「謎だよなあ。毒でも盛られたんじゃねーかって話もあるけど、氷川に限って恨みを買ってた噂もね えし……お前はどう思う?」 不意に、怒りが沸いてきた。クラスメイトである氷川が死んだというのに、こいつは何を面白がっ ているんだ? 「……クラスメイトが死んだのに謎解きごっこってのは、不謹慎なんじゃねえのか?」 怒鳴り声にならなかったのは奇跡だったと思う。 目の前のクラスメイトは、はっとした様子で俺から目をそらした。 「あ……わ、悪い。なんか落ち着かなくて、ついつい、さ……ごめん」 そう言われて、ようやく少しだけ冷静になれた。 「いや……すまん、俺も、どうかしてるみたいだ」 そのクラスメイトに謝ったあと、俺は誰とも話すことなく自分の席に向かった。 椅子に座ると、完全に力が抜けてしまった。もう、何をする気にもならない。 「……大丈夫、コウちゃん?」 隣に座った美香が、心配そうに声をかけてくる。教室と同じく、席順もまた、こいつとは大抵隣と か後ろとかになるのだ。 (ああ、いけねえ。俺がこんな顔してちゃ、こいつも元気なくしちまう) 頭の片隅に、少しは冷静な部分が残っていたらしい。 俺は無理矢理笑おうとしたが、結局形にならなかった。 情けない表情を、美香に見せていることが悔しい。 「……悪い。なんか、急すぎてさ……俺、昨日の放課後氷川と話したんだぜ? あんなに元気だったのに、いきなり死んだ、なんて……何がなんだか分かんねえよ」 しかも、口から出るのは言い訳じみた泣き言ばかりだった。 頭が無闇にグルグル回っているようで、何も考えられない。 美香もまた突然のことに混乱しているらしく、いつもの無邪気さが信じられないような無表情で、 俺を見下ろしていた。 386 名前:一発で治ります[sage] 投稿日:2007/11/22(木) 02 27 03 ID ghPg8ye2 こうして、氷川は死んだ。 彼女の死は深い傷となって俺の心に残ったが、悲劇はそれだけに留まらなかった。 一週間後、西田が死んだ。 氷川の死を引き摺る俺のことを元気付けようとしてか、一緒に遊びに行こうと誘ってくれた女の子 だ。 それから三日後、新谷が死んだ。 ほとんど鬱のようになって、何も出来なくなってしまった俺を、あれこれと助けてくれていた女の 子だ。 その翌日、三浦が死んだ。 ひょっとして自分に原因があるのでは、という俺の疑いを、気楽に笑い飛ばしてくれた女の子だ。 さすがにこうも連続して俺の周囲で人が死ねば、誰だって不信感を抱く。 それはクラスメイトだけでなく、警察関係者も同様だった。 俺は連日のように取調べを受けたが、結局証拠は何も出てこなかった。 俺だって何も知らないのだから、話せることは何もない。 ただ、その頃になると、何か自分に原因があるらしいということには薄々感付いていた。 また俺に優しくしてくれた奴が死んでしまうのではないかと思うと、人に近づくのが怖かった。 周りの連中も同じ事を考えていたらしく、俺は徐々に孤立していった。 誰に話しかけることもなく、誰かから話しかけられることもない。 唯一美香だけは俺に構ってくれていたが、正直な話、何の救いにもならなかった。 俺は学校に行かなくなった。 部屋に引きこもるようになってから、夢に死んだ奴らが出てくるようになった。 彼女らは闇の中から何かを必死で叫んでいるのだが、俺の耳には声が届かない。 最初は恨み言を言われているのかと思ったが、何故か彼女らの表情は、いつもこちらを案じている ような感じだった。 そんな顔で必死に呼びかけてくれているのに、俺にはやはり聞き取れないのだ。 悔しさで目を覚ますと、涙に滲んだ視界の中央に、美香の心配そうな顔がある。 「大丈夫? うなされてたよ、コウちゃん」 美香は今も普通に学校に通っているが、毎朝、登校する前に俺を起こしに来てくれる。 昔とは、立場が逆転してしまった。俺は邪険に手を振って美香を追い払おうとする。 「行けよ。いちいち来なくてもいいって言ってんだろ」 「ダメだよ。コウちゃんに元気になってもらいたいもん。ね、本当に大丈夫、コウちゃん? 具合悪 くない?」 美香の優しい声が胸に染みる。荒んだ心が温かくなってくるのが分かる。 その感情を、俺はあえて胸の奥に押し込んだ。代わりに、舌打ち混じりに怒鳴りつけてやる。 「うぜえんだよ! なんでお前なんかに見下さなくちゃなんねえんだ、クソがっ!」 「そんな、見下すなんて、わたし……ごめん、そんなつもりじゃなかったの」 俯く美香の目が涙で潤む。その小さな体を抱きしめたい衝動を必死に抑えて、俺はひっ掴んだ枕を 思い切り投げつけた。 「そういう態度が見下してるって言うんだよ。人をキチガイみたいに扱いやがって」 「違うよコウちゃん、そんなんじゃ」 「うるせえ、お前なんかに俺の気持ちが分かるかよ! さっさと出てけ、バカ!」 子供じみた口調で喚き散らし、俺は布団の中に潜り込む。 この態度に呆れて、美香がこの部屋に寄り付かなくなればいいと思った。 だが、心の隅では、そんなことは絶対にあり得ないと知っていたのかもしれない。 387 名前:一発で治ります[sage] 投稿日:2007/11/22(木) 02 27 55 ID ghPg8ye2 「コウちゃん」 優しく囁いた美香が、布団の上からそっと俺の体を抱きしめる。 「わたしのこと、心配してくれてるんだね」 やはり、美香は俺の考えなど完全にお見通しだったようだ。 「……何のことだよ」 「わたしがコウちゃんのそばにいると、他の女の子たちみたいに死んじゃうかもしれない、って思っ てるんでしょ」 違うよ、と言おうとしたが、声が詰まった。 俺は観念して、深く息を吐き出した。ゆっくりと布団をどけて、ベッドの上で身を起こす。傍らに 立っている美香は、静かな微笑を浮かべてこちらを見下ろしていた。その表情を見ていられず、俺は 俯いて目をそらす。 「分かってるのなら、俺にはもう近づくな」 声が震えた。情けないことに、涙が止まらない。 「お前が心配してくれるのは、正直凄く嬉しい。でも、だからこそ、この上お前まで失っちまったら、 俺は今度こそ……」 「大丈夫だよ」 女々しい俺の泣き声を遮って、美香が底抜けに明るい声で言った。顔を上げると、そこにはいつも どおりの、能天気そうな笑顔があった。その笑顔がやけに眩しく感じられて、俺は思わず目を細める。 「何が、大丈夫なんだ」 「大丈夫なものは大丈夫。わたしは絶対死なないよ。コウちゃんを一人ぼっちになんかしない」 「どうしてだ。お前と他の連中と、何が違うって言うんだよ。何の根拠があってそんなこと言うんだ」 「簡単な話だよ」 美香は迷いなく言い切った。 「だって、わたしのことはコウちゃんが守ってくれるもの」 俺は内心呆れてしまった。意味不明と表現してもいいほど、美香の言葉は無茶苦茶だった。 だが、その無茶苦茶な理屈から、俺に対する絶対的な信頼感が窺える。 また目頭が熱くなって、俺は気がつくと夢中で美香を抱きしめていた。 「痛いよ、コウちゃん」 胸の中で身じろぎする美香を、さらに強く抱きしめる。 「お前がバカなこと言うからだ」 「理屈になってないよ」 「お互い様だろ」 「そだね」 美香がおかしそうに笑い、おもむろに目を閉じる。 その小さな唇に自分の唇を重ねながら、俺は確かな希望を感じていた。 こいつだけは、ずっと俺のそばにいてくれる。 何故か、理由もなくそう確信できた。 こうして、俺はまたこわごわながらも外に出られるようになった。 長い間学校を休んでいたせいで遅れを取り戻すのにはかなり苦労したが、いつもそばにいてくれる 美香のおかげで何とか乗り切ることが出来た。 卒業、進学、就職と、それからの俺の人生は驚くほど順調に進んだ。 高校時代のように周囲の人間が死ぬこともなく、時は穏やかに流れていく。 それでも、念のため警戒して、出来る限り美香以外の人間とは親しくならないように注意していたが。 そんな風に生活していれば当然ながら愛情も深くなっていくわけで、俺は20代前半にしてめでたく 美香と結婚することになった。 周囲からは散々冷やかされたが、俺は間違いなく幸せだった。 ずっと変わらずそばにいてくれる女性と、一緒になれたのだから。 388 名前:一発で治ります[sage] 投稿日:2007/11/22(木) 02 28 34 ID ghPg8ye2 「そう言えばよ」 「なあに、コウちゃん」 椅子に座って編み物をしていた美香が、顔を上げてこちらを見る。 そのお腹は大きく膨らんでいる。照れくさいが、二人の愛の結晶というわけだ。 「いや、お前がずーっと大事そうに持ってる小箱さ。あれ、何が入ってるんだ?」 同居するようになってから、ずっと不思議に思っていたことだった。 美香は何でもなさそうに答える。 「ああ、あれ? あれにはね、お薬が入ってるんだよ」 「薬? 何の?」 持病などなかったはずだ。不思議に思って聞くと、美香は俺の顔をじっと見つめてきた。。 「特効薬だよ」 「特効薬?」 「そう」 美香がにっこりと微笑む。 「コウちゃんが、悪い病気にかかっちゃったときのための」 何故か、背中がぞくりと震える。 それを誤魔化すように、俺は美香に笑い返した。 「へえ。悪い病気って、なんだ?」 「凄く深刻な病。それにかかっちゃうとね、コウちゃんはとっても不幸になっちゃうの」 淡々とした声だ。 「でも、安心していいよ。あの薬さえあれば、病気は一発で治っちゃうから。副作用もないんだよ」 何故か、死んだ女の子達の顔が脳裏を過ぎる。 どうして自分がそんなことを考えるのか、俺にはさっぱり分からない。 頭の隅で、何かが激しく警告音を鳴らしているような気がした。 (何だってんだ? 別に、何も悪いことなんか、ねえだろ?) 自分にそう言い聞かせながら、俺は無理に会話を続ける。 「そりゃ頼もしいな。今度風邪引いたとき飲んでみるかな」 そう言った瞬間、美香が物凄い声で怒鳴った。 「それはダメ!」 驚くほどに大きな声。美香は怒鳴ったあとではっとして、誤魔化すような笑みを浮かべた。 「あ、えーと、あのね、取っておきの薬だから、風邪なんかに使っちゃったら勿体無いよ」 「じゃあ、どんな病気に使うんだ?」 「悪い病気だよ」 「だから、具体的な病名とかさ」 「悪い病気」 あくまでも答えないつもりらしい。胸に広がる嫌な感じから目を背けて、俺は笑った。 「なんだよそりゃ。秘密ってことか?」 「まあ、そうかな。それにね」 と、美香は含みを持たせた口調で付け加えた。 「心配しなくても、コウちゃんはもうその病気にはかからないと思うよ 「どうしてだよ」 妙に自信ありげな様子に疑問を感じて聞くと、「だって」と美香は大きなお腹を撫でながら答えた。 「もう、免疫が出来てるはずだもんね」 再び背中がぞくりと震えたのを、俺はあえて無視した。 俺は今でもよく、あの夢を見る。 死んだ女の子達が、必死に何かを伝えようとしている夢だ。 その夢を見るたびに、俺は彼女達の声が聞こえないように両手で耳を塞ぐ。うるさい黙れと叫んで、 声を掻き消してしまう。 今さら、死んだ奴らの言葉を聞くつもりはなかった。 だって、俺は幸せだから。 ずっと美香がそばにいてくれる。それだけで十分だ。それ以上は何も求めない。何も知る必要がない。 恐れたり疑ったりするものなど、何もないのだ。 389 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/22(木) 02 30 13 ID ghPg8ye2 329ではないが 327を見て思いついた話を書いてみた。 あんまりヤンデレっぽくなくなったのが心残りだ。 390 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/22(木) 02 34 27 ID 55Q1/8Jx や、素敵にヤンデレだったぞ。 でもこういう風に淡々と泥棒猫潰していくのもなかなかいいな。 391 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/22(木) 02 36 42 ID 6VxpazuC GJ!! 392 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/22(木) 08 35 00 ID cKK0U4pE 普通な女の子が静かな狂気に狂うのっていいよな! 393 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/22(木) 12 03 59 ID sjpt2QGH 389 テラGJ。しかしこれは怖い。 女の子達が夢に延々出てくるあたり、何かまだもっと恐ろしい事が隠されているような。 394 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/22(木) 12 35 54 ID /NGxv23c いい夫婦の日になんてもん投下しやがんだwwww GJ!! 395 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/22(木) 16 26 33 ID 3ohliu/g きっと続編は生まれてきた子供が四つ子で 「お母さんに殺されたのはこんな晩だったねぇ」 とか言って父親を寝取るんだな 396 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/22(木) 23 47 06 ID ignoZwkr まさにヤンデレの連鎖だね 397 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/23(金) 00 17 06 ID FNdg7F3y 395 落語ネタだが、その発想は素敵だなあ。 398 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/23(金) 13 49 53 ID QCBVBA+W 389 GJ!!まさか本当に書くとは思わなかった(^^; by327 俺も書こうかと思ったが馬鹿だから主人公とヒロイン以外を上手く設定出来ない。 399 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/23(金) 20 59 37 ID ErgPvPGu 久しぶりに来ました。携帯のデータが7月に全部飛んで書いてたSSが消えて心が折れて以来です。 来たら書きたくなったので書きなぐってみました。 久しぶりに書いたんで悲惨です。 読み流して下さい。 400 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/23(金) 21 02 01 ID ErgPvPGu …う………… 目が覚める。当たり前だが自分の部屋だ…… ………………いや違う。ここはどこだ。 跳ね起きる………言葉ほど俊敏な動作にはならなかったけれど体を起こすと 下腹部に鈍い感覚となにかがどろっと流れ落ちる感覚がした。 見たくないと思いながら目を向けると見慣れた血の色と、見慣れない白。 あ………うそ………… 呟いたつもりだったがその声は空気を震わせてはいなかった。 ここはどこで私はどうしたんだ。上手く思い出せない。脳の中までどろっとしてしまって 混乱すら出来なかった。冷静に考えよう、といったレベルではない。思考事態が成り立たない。 窓から薄明かりの刺してきているところを見ると早朝なのだろうか。六畳一間の アパートのような部屋だった。畳が随分古くなっている。おそらく白かったであろう壁は 薄く汚れて陰鬱な空気を放っていた。家具は無い。自分の下にある布団と膝に かかっている毛布、それと部屋の隅にモニターがあった。 薄型のテレビ……PC?それだけが場違いで異質だった。
https://w.atwiki.jp/i_am_a_yandere/pages/1075.html
401 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/23(金) 21 05 43 ID ErgPvPGu がちゃり 「あ、マユミ起きてたんだ」 名前を呼ばれて視線を向けると、ユキが部屋に入って来たところだった。 ユキ。高校時代に一緒だっ 来るな!!!!! ユキを見た途端に全てを思い出した。 そうだ。 昨日久しぶりに飲もうと誘われてコイツとあって飲んでたら体が重くなってきて そしたら知らない男が5、6人出て来て車に押し込まれてこの部屋に連れ込まれて 怖くて声が出なくて体に上手く力も入らなくて布団の上に投げ出されてたくさんの目が ぎらついた目がこっちを見ててユキが笑って服に手がかかってボタンが飛んで手が いっぱい伸びてきて息が舌が手がそれからそれからそれからそれからああああああああ 「まだ薬残ってるのかな。ごめんね」 上手く動かない体で必死に逃げようとしたがユキに簡単に捕らえられた。 がちゃりと手錠が嵌められる。次いで足にも枷が嵌められた。 「まだ起きないと思ったから拘束衣は下なの。後で着せてあげるね」 なんでこんなことするの 涙が頬を伝った。相変わらず声は音にならず私の中にたまっていく。 402 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/23(金) 21 08 39 ID ErgPvPGu 「マユミ、汚れちゃったね」 ユキが私の肌を撫でながら静かな笑顔でポツリと言った。 そして顔をあげ、私の目を見て深い笑みを作る。 「もうカズキさんのところには帰れないね」 カズキさんには手を出さないで! 「大丈夫だよ関係ない人のことなんてすぐ忘れるから」 恋人の名前を出されて動揺する私を宥めるようにユキは笑った。 そんなことより言ってる意味が分からない。関係ない?彼は私の恋人だ。忘れる? 「ねえ、今日からマユミは私のモノだよ。ずっとずっと欲しかった」 ユキが私を抱きしめる。 「女だからって理由であなたを諦めなきゃいけないのは辛かった。そして諦めきれなかった。」 彼女の手が私の頭を撫でる。 「もう、私のモノだよ。こんな汚れたらどこにもいけないでしょう?体も動かないのに」 彼女は……泣いている。 「やっと手に入れたよ。マユミ。逃げたらまたあいつらが犯すからね」 私の心はじわじわと恐怖に染まって行った。 「もうどこにも行かないでね。マユミ。愛してる」 ユキの唇が私に触れた。 彼女の狂気が流れ込んで来た。 403 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/23(金) 21 11 29 ID ErgPvPGu 以上です。スレ汚しすみませんでした。 タイトルは無いです。続きが浮かんだけれど書く体力はありませんでしたorz 暮らしが落ち着くまでリハビリして 逃亡作者になってしまってる分の続きを書きたい……とは思ってます。 404 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/23(金) 21 26 20 ID vzzNGVTy GJ! 405 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/23(金) 21 44 06 ID /q2T6qAy 402 超怖っ……あれ、なんかおちんちんが…… 406 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/23(金) 21 49 19 ID /NDXokSL 403 GJ!!レズ注意は欲しかった気もするけど、それだとオチバレになるし難しいか。 407 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/23(金) 22 43 23 ID ErgPvPGu そうでしたすみませんでした。百合モノなんで注意迷ったんですがすみませんでした。 408 名前:きゃの十三 ◆DT08VUwMk2 [sage] 投稿日:2007/11/24(土) 02 06 36 ID E4af3Dlk 投下します。 409 名前:お見舞い ◆DT08VUwMk2 [sage] 投稿日:2007/11/24(土) 02 08 10 ID E4af3Dlk 「気が乗らないなぁ~」 僕は、そう思いつつ今日、風邪で休んだ高島さんにプリントを届けに彼女の家へ向かった。 普通は、高島さん家に一番近い吉田がこの役を先生に任せられるべきなのだろうが どうやら高島さんが電話で先生に俺に来させろっと電話してきたそうだ 普通なら却下されるところだが いかんせん高島さんのおじいちゃんは、うちの学校の理事長らしい だから一介の教師であるうちの担任は、高島さんに頭が上がらない 「しかし、いつ見てもでっかい屋敷だなぁ~」 僕は、(これまたでかい)門の前のインターホンを鳴らす 3秒もしないうちにインターホンから 「はぁ~い、努くんですか?森野努くんですね今、門は開いていますよぉ」と 高島さんのとても風邪とは、思えない元気いっぱいの声が聞こえた。 門を通り屋敷の戸を開けると玄関に綺麗な黒髪の割れ目から見えるオデコに 冷えピタシートを装着しパジャマ姿の美少女が立っていた。 彼女が今日、風邪で休んだ高島詩織である あぁ~本当に風邪ひいてたのね 「さぁ努くん、あがって下さいな」 「いや…プリント渡しに来ただけだから………」 「まぁ私の為にはるばる我が家へ!? まさかとは思ってましたがやっぱり私達は、相思相愛だったのですね」 僕は、高島さんが来いって呼んだんじゃんっと言いそうになったが辞めとこう…きっと無駄だ そんな事より早く用事を済ませて帰ろう 「えぇ~っと、これが今日渡されたプリントで…」 「ここじゃ寒いでしょうから中に入ってお話しましょう」 「いや結構でs「そんな遠慮しないで努くんと私の仲じゃないですか」 そう言うとどこから出るのか細い腕で僕を客間へと連れてった。 客間には、お茶とお菓子が置いてあった。 多分…というか確実に媚薬かしびれ薬、もしくは両方が入っていると思っていいだろう 先週、コレのせいで危うく高島さんに童貞を奪われるところだった(いやぁ~あの時は危なかった) 410 名前:お見舞い ◆DT08VUwMk2 [sage] 投稿日:2007/11/24(土) 02 08 49 ID E4af3Dlk 「さぁ努さん、私が作った手作りお菓子を食べてくださいな」 芸がないな高島さん、同じ過ちを二度繰り返す僕じゃない!! 「ご・ゴメン、僕、虫歯だから悪いけど食べられないや」 「あらそうでしたの?それは、失礼を」 高島さんは、残念そうな顔でお菓子を片づけに炊事場に行った。 悪い事したかな?否、断じてそんな事はない ってそんな事より早くプリント渡して帰らなきゃそろそろ危険だ 「努くん♪」 どうやら炊事場から戻って来たみたいだ 「高島さん、はいプリン………と」 そこには、素っ裸になった高島さんが立っていた。 上半身を見ると小さいながらも形の良い胸が見える 下半身の方を見ると薄い桜色の秘所が見え…なかった。 「た・高島さん、なんでそんな格好を…っていうかアンタ風邪引いてるんだぞ!!」 「うぅ…だってだって努くんがあまりに素直になってくれないから」 「素直じゃない?」 「本当は、私の事好きなのに嫌いな振りして意地悪するから」 そう言うと高島さんは、座っている僕に回り込み背中を抱きしめてきた。 「もう絶対に離しませハックシュン…んがらね」 「高島さん、とりあえず服着たほうがいいよ寒いでしょ?」 「ぞんな事言っでまだ逃げる気でじょう?努くん湯だんぽがあるがら寒ぐありまぜん」 鼻水声で何言ってるかわかんないけどとりあえず離さないらしい こりゃまた帰るの徹夜になりそうだ やれやれ家に電話しておこう 411 名前:お見舞い ◆DT08VUwMk2 [sage] 投稿日:2007/11/24(土) 02 09 57 ID E4af3Dlk (1時間後) なんとか寝かしつけられた。 思ったより速く寝付いてくれてよかった。 あの後、なんとか説得しパジャマを着せるのに成功したはいいが 「一緒にお布団入ってくれなきゃ死んでやる」っとペーパーナイフを自分の首に向けられ しぶしぶ一緒に布団に入らされる事になってしまった。 その後、「男女が一緒に寝る時って…その…セックスする時ですよね? 私、風邪で弱ってるから犯そうと思えば…努くん、聞いてますか?」と色っぽい声で コチラを誘惑してくるのだった(我が理性、よくぞ頑張った) 高島さんが起きないようにそっと高島さんの寝部屋を後にした。 そして僕は、高島さんの部屋に向かった。 別に高島さんの下着を盗んで家に帰ってスーハースーハーしようと言うわけじゃない っというかそんな回りくどい事せんでも高島さんの事だから下着はおろか使用済みタンポンとかくれそうな気がする まぁしないけどね 「あった」 高島さんの机からどこで隠し撮りしたのかわからない僕の排泄シーンが写った写真が数枚。 きっとおじいちゃんに頼んで隠しカメラを設置してもらったのだろう こういう陰湿なところがなかったら付き合うんだけどなぁ こっちの写真は、修学旅行の時に撮られた僕の寝顔写真。これは、前田に金渡して撮ってもらったのだろう 最後に僕と高島さんのツーショット写真2枚(1枚は無理矢理撮らされもう1枚は合成) どの写真も高島さんの唾液と愛液まみれでベタベタしてる とりあえず排泄写真は、家に帰ってゆっくり処分。 寝顔写真とツーショット写真は、流石に取り上げるのかわいそうなのでそのままに さてと、じゃあそろそろお暇させていただきますか さてと家に帰って『銀魂』観るかな 自分の今日のスケジュールを考えながら靴を履こうと靴を取ろうとした時 「どこ行くの?努くん!!」 いつの間に高島さん、起きたんだろう? 「やっぱり私を置いて出て行こうとしましたね?一緒にいるって約束したのに」 そんな約束した覚えは断固としてない 約束した覚えはないのでそそくさと靴を履きダッシュで高島さん家を後にした。 「あっ待ちなさい!未来の奥様の約束を破る悪い人はお仕置きです!!」 高島さんは、パジャマ姿で追っかけてきた。 こうして今日もいつ果てるとも知れぬ鬼ごっこを繰り返すのであった。 あぁ~『CLANNAD』始まる前には帰りたいなぁ~ 412 名前:きゃの十三 ◆DT08VUwMk2 [sage] 投稿日:2007/11/24(土) 02 13 15 ID E4af3Dlk 投下終了です。 嫉妬やグロエロのないヤンデレを書こうとしたらいまいちヤンデレっぽくない物が出来てしまった。 413 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/24(土) 02 17 27 ID fmHmhBQ2 個人的には彼女の方は十分ヤンデレだと思う。 ただ、慕われてる方が怖がらなければ物語の上での脅威度が薄れるってだけで。 怪物や幽霊に対抗する手段が出た途端に、ホラー映画がアクション映画に切り替わるような感じ。 っつーか努君余裕ありすぎだろw このぐらい器がデカい男なら、ヤンデレ相手でも普通に対処出来てしまうに違いない。 414 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/24(土) 03 14 05 ID HAgQ6NZf 412 これはまた明るく良いヤンデレです 415 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/24(土) 13 19 15 ID uX2E3vqm GJ! ヤンドジっぽい感じもする。個人的には続けてほしい。 416 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/24(土) 13 29 22 ID Ge8dQqZ4 「~」をみると岡山の糞親父を思い出してだめだw 417 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/24(土) 14 10 25 ID JECmWZMr 412 うむ。高島さんは立派にヤンデレなんだが 努くんの度量の広さというか能天気さでお馬鹿な印象になっているような気がしないでもない。 とにかくGJ 418 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/24(土) 17 36 50 ID 8nn39tfs 本保管庫のBBS、アダルトサイトの宣伝がさりげなく削除されている……。 管理人さん、ちゃんと見てるんだな。 419 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/24(土) 20 58 04 ID WeiTbhQG wikiについての提案。 1スレから前スレまでのログをHTMLで見られるようにしようと思うんだが。 俺がやってもよろしいか? 420 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/24(土) 21 11 49 ID WVaTjaa0 419 ログ消しちゃった俺には吉報だ。 よろしくたのむ 421 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/24(土) 22 12 27 ID KS9/mzXJ 一応、保管庫の中に前々スレまではhtml化されたのがあったぜ。 どうやってftpの中身を見たかについては聞かないでくれよ。 ttp //yandere.web.fc2.com/thread/ 422 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/24(土) 22 28 44 ID KS9/mzXJ うはwwwwwwwwwもう消されてるwwwwwwwww 保管庫の人、まだここみてるんだなwwwwwwwwww 423 名前:419[sage] 投稿日:2007/11/24(土) 22 47 27 ID WeiTbhQG 過去ログを見られるようにしといたよ。 424 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/25(日) 01 26 08 ID sJRlPWsq 電波を受信した。 主人公(おまいら)は電話相談の人(いじめとかの)。 ある日電話がかかってくる。それは、高校生の男の子からで、 姉が自分のことを本気で愛している事、そのせいで性的ないじめを受けている事などをその子から聞く。 主人公はできるだけのアドバイスを彼にして、 「次があった時の為に」と、名前と電話番号を伝える。 次の日、彼からの電話がかかってくる。 「助けてほしい」と。 自分の考え一つで彼を幸せにもできるし、又その逆も。 あなたはどうする? …うん、長々とごめん。 どこかで見たやつに妄想付け加えただけなんだ。本当にごめん。 425 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/25(日) 01 54 14 ID DvD+xI7G それはキモ姉、キモウトスレの範疇じゃないか それがクラスメイトとか先輩とかならこのスレでOKだろうけど 当然このスレの住人なら「2人」が幸せになるように煽るだろうな。 426 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/25(日) 02 24 40 ID eP4QT8Oo そーいや、たとえばヤンデレだった女の子が浄化されてまともになる、 みたいな感じのもここの範疇でいいのか? それとも最終的に二人とも堕ちる筋書きじゃないとダメなんだろうか。 427 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/25(日) 03 00 53 ID K9fL5Dsu 426 少なくともスレ違いにはならないと思うが。 428 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/25(日) 04 26 23 ID BagYiQGw 堕ちる以外のも見てみたいな。 429 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/25(日) 05 19 03 ID YwD9rO2U 読みたいな、それ。 たまにはこのスレの娘達にも普通の幸福を手に入れて欲しい。 430 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2007/11/25(日) 07 35 33 ID QLG5I9lw 431 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/25(日) 08 13 13 ID QCgLMV5B 426 つ『あなたと握手を』 432 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/25(日) 10 54 26 ID 1rtHo8AE 424 キモ姉スレの保管庫で似たような話を見かけた気がする 433 名前:ヤンデレの薬[sage] 投稿日:2007/11/25(日) 21 36 33 ID gK1hC/nj 「ついに完成だ!」 怪しげな研究者が怪しげな研究室で何か薬を開発していた。 「ヤンデレの薬が!」 この科学者の名前は薬丸、ヤンデレが大好物でヤンデレ系作品で彼がやったり読んだことが無い作品は無い程だ。そんな彼はどんな人でも(女限定)ヤンデレにできる薬の研究をしていたすべては自分の欲望を満たす為に 「宮本君!」 名前を呼ぶとくるぶしまでとどく長いツインテールで背丈は158くらい、割とスレンダーな女の子が出てきた。 「なんですか教授」 「この薬を全国に散布してくれ」 薬瓶を彼女に渡す。 「わかりました」 434 名前:ヤンデレの薬[sage] 投稿日:2007/11/25(日) 21 38 42 ID gK1hC/nj 研究室を出た後彼女は考えていた 「彼氏と別れて気付いたのは良いけどこの想い教授にどう伝えよう、とにかく仕事頑張ってチャンスを探しましょう!」 ちなみに彼女はしっかりしているけどドジです。 「きゃ!?」 自分のツインテール踏んでこけました パリーン 「教授……」 「お、早かったね宮本くんぐ!?」 いきなり抱きつかれキスされました。 「私教授が好き!」 彼女は半泣きで自分の気持をうったえてきた。 「でも君には彼氏が」 「ずっと前にわかれましただから私のモノになってください」 「わかったこれからは君を真剣に愛そう!ぐッ?」 いきなり腹から激痛が走る 「アハハじゃあずっと私しか見れないようにしてあげます!他の女なんかに渡さない!」 ぐりぐりと包丁を動かす。 「みやもとく……」 薄れゆく意識の中で彼は思った、最高に幸せだ! 変態は死ぬまで変態だった。 彼女は血だらけだった、多分他の助手の女の子達も殺したのだろう 「さて、ホルマリンとか用意しなきゃね、教授待っててくださいねアハハハアハハハアッハハハハハハ」 研究室無いに響くのは彼女の悲しく狂った笑い声とスキップする音だけだった。 435 名前:ヤンデレの薬[sage] 投稿日:2007/11/25(日) 21 49 13 ID gK1hC/nj ヤンデレ初めて書いたんですがこんなんで大丈夫ですか?(´・ω・`) 436 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/25(日) 22 06 36 ID QCgLMV5B なんとわかりやすいヤンデレキャラ。 そしてGood Job. 長いツインテールと聞いて宮本くんのイメージが初音○クになったのは俺だけでいい。 437 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/25(日) 22 43 59 ID ksGoxaSF 敢えて言おうと思う。展開が早い。薄い。あと刺さなくても、むしろ刺さない方がヤンデレになれると思う。 もっと丁寧に作れば、素敵になると思う。次に期待。 438 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/25(日) 22 48 10 ID nEQ9b22z 句読点はきちんと入れましょう 特に読点をもっと使ってみては あと擬音は止めておいた方が 439 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/25(日) 22 52 56 ID G0LDmkGF 何でも狂気があればヤンデレって訳じゃない。 狂ってるベクトルが全身全霊で愛に向かっているのがヤンデレなんだ! だからそれはヤンデレではないと個人的に思う。 別に非難してるわけじゃないんでスルーしてくれてもかまわない。 だが最近になってヤンデレじゃないキャラがヤンデレと呼ばれてたりしていないかい? 目のハイライトが消えればヤンデレですか? 鉈やナイフを振り回せばヤンデレですか? 440 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/25(日) 23 06 29 ID dRCV+Tzd 量産機とカスタム機の違いだな 441 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/25(日) 23 10 49 ID LIEiMn/E ヤンデレとはな・・・・・・ 萌えるんだ。とってもな。もう、様を付けたくなる程に愛おしいんだよな 小動物の女の子が愛しい主人公を手に入れるために黒化して 必死に着信99件にしたり、主人公の家の合鍵を作ったり、 盗聴器も仕掛けて24時間監視したりと そんな健気な行動が評価されて今があったらいいなと思う。 個人的にはヤンデレ化したヒロインの頭を優しく撫でると 喜んで尻尾を振るのか? 難問に俺は立ち向かっている 442 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/25(日) 23 51 26 ID CFJAVw4r 「べ、別にただの残り物だよ!捨てるの勿体無いし、俺は腹空いてないし…え~とっ、残飯処理!そうお前は残飯処理係な」 ヤンキーデレスレはここでつか? 443 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/25(日) 23 55 26 ID Ja5nu43W 439 いかなる言葉も、普及するにつれて意味が拡散していく。 ツンデレとかゴスロリとか見てると分かるだろう? まったく別物になっちまった。 444 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/26(月) 00 08 55 ID 53kU/T/b 441 「病み」の質に寄るんじゃないかな? 仮に優しく頭を撫でても「この人は優しい振りで私を騙しているだけなんだ」と思えば「私のものにならないならいっそ・・・」と邪魔な連中共々デストロイしちゃうだろうし 「彼が私以外の人間に優しくするはずないもん!」と信じ込んでいるなら「あいつ等がいなくなれば私ダケノモノ・・・」と相手だけをデストロイするだろう ヤンデレは無限大の可能性がある ヤンデレは俺たちを育む宇宙なんじゃないかと俺は思うよ 445 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/26(月) 01 26 28 ID SZjTJRlX 443 明確な定義があればいいんだけどね。 広辞苑あたりがビシッと載せてくれればそれで解決だぜ。 446 名前:429[sage] 投稿日:2007/11/26(月) 02 11 31 ID bi7ww6P2 431 ありがとう、俺の心が浄化された。 俺の携帯からだと少し面倒臭い事しないと読めなかったから飛ばしてたみたいだわ。 447 名前:ヤンデレの薬[sage] 投稿日:2007/11/26(月) 08 38 45 ID u5ECGHpw みなさんありがとうございます。 自分シリアスが苦手なんでシリアスな話になりやすいヤンデレを笑いにしようってコンセプトで書いてみたんですが、ヤンデレと笑いって合い入れないものなんですかね(´・ω・`) それともただ単に自分の力量不足なだけかもしれませんがw なんにせよ次は頑張ります。 ヤンデレを 萌のかわりに 笑にする 448 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/26(月) 10 00 19 ID FBz1G16h ヤンデレのコメディはなんだろうな 病的にまで愛してるんだけど、どこか憎めない、どこか怖くないって感じが強いかもな 住人は基本ヤンデレになった過程と理由を重視するので、 「病んでしまうくらい愛してしまった」過程になんか面白みを入れてみるのもいいかもな 例えば夢見がちな女の子がいたとして、主人公がたまたま毎回毎回 その女の子が困ってたりするときに助けてくれたりするうちに 『私の王子様!』みたいな感じでとってしまってたりな でも主人公には自覚なくてただ偶然に助けたりしてるだけなかんじ で、いっつも告白しようとしたりするんだけど妄想がひどいので いっつも言いたいことが伝わらなかったりとかなw 449 名前:リッサ ◆v0Z8Q0837k [sage ] 投稿日:2007/11/26(月) 10 16 49 ID USB98JEl こんばんは、大変時間がかかってしまいましたが無事にショタヤンデレ作品が完成しましたのでさっそくですが 投稿します。 ショタヒロインに関して貴重なご意見を頂けて大変嬉しかったです、どうもありがとうございました。 それでは始めます、一応ショタとグロ、そしてインチキ時代劇注意です、長くなりますがご覚悟を…。 「月輪に舞う」① …あらあ、兄ちゃんここいらじゃ見かけない顔だわね…いやいやあ、こんな狭めー村じゃあよその人なんて一発で解っちまうからよお……そんで、今日は何かい?こんな山奥の村の、よりにもよって居酒屋によお…へえ、学生さんで、こんなところまで民俗学の研究ってかい…。 そんで…昔話?そんなモンを調べてんのかい?…いいぜえ、んならおらっちさが教えてやっからよお…。 …これはむかーしむかし、まぁだ織田信長がガキ大将をしてた頃…そこの筑摩山に、忍者の里があったころのお話でよぉ…。 …空からは大粒の雪が降っていた、まだ季節は神無月の初旬であるというのに…。 男は走っていた、といってもただあてもなく走っていたわけでもない、久々に仕事を終えて久々に里に帰るために走っていたのだ。 「寒いな…全く…」 男の口からはそんな言葉が漏れた、無理もない。時刻は丑三つ時、さらに雪が降っていると言うのに男は傘もかぶらず薄い綿入りを着ているだけといった格好で、更に汗で髪と、眼帯と顔を濡らしながらもすさまじい速度で街道を走っているのだ。 普通の人間ならばこの季節柄、凍傷…最悪凍死しまってもおかしくないだろう。しかし男は普通の人間ではなかった。 男の生業は忍者だった、しかもただの下忍ではない…里の土地柄ゆえか活動範囲こそ限定されてしまっているが、それでもそこそこ名の知れた流派の腕扱きとして、たった今まで任務をこなして…やっと里に帰ろうとしたときにこんな目にあってしまったのだ。 「今日はついていないな…本当に…」 そういいながら男は立ち止まると街道の右側にある山の獣道に向かって走り出した…獣道をまっすぐ入り、そのまま山を二つ越えれば男は見事里の家に帰れるといった具合である。 (二刻ほど掛かるかな…早く帰らねば本当に風邪を引いてしまう) 男はそんなことを考えながら懐かしい故郷の山道の土を踏みしめて…ふと異変に気づいた。 臭い…何かが匂う…それも普通の糞尿の類の匂いではない、これは…人間の血糊の匂いだ。 「…死体か?」 男は呟いて辺りを見回した、訓練された目はこんな夜道でも梟のごとくものを見ることが出来るのだ。 男は視線を周囲にめぐらし…自分の横にある大木の下に目を向けた。 そこには一人の…裸の人間が横たわっていた。まだ雪が降り積もっていない分熱を帯びているようだ…辺りには衣服が乱雑に散らばっており、血の匂いもそこから漂っている…。 「…生きているのか?」 倒れこんだ人間にそう男が尋ねた瞬間、背後にまばゆい光が迫った…。 450 名前:リッサ ◆v0Z8Q0837k [sage ] 投稿日:2007/11/26(月) 10 19 24 ID USB98JEl 「月輪に舞う」① 「水雲さま!帰ってこられましたか!蓑虫は嬉しゅうございますぞ!!」 男…水雲が背後に振り向くと、そこには提灯を持った初老の…隻眼の男 が立っていた。 「…何だ、蓑虫か…驚かすなよ…」 「へへぇ…すいやせん…」 そういって蓑虫は顔をくしゃくしゃにして微笑んだ…その手には蓑と傘、更に はかんじきと酒徳利までもが握られている…どうやら帰るのが遅い自分を心配して 迎えに来てくれたようだった。 「出迎え有難う…ところで蓑虫、少し提灯を貸してはくれぬか?」 「へえ?いいですが一体何を?」 「…あれだ」 そう言うと水雲は蓑虫から提灯を受け取り、大木の根元を照らした。 「…こりゃあ…死体?ですかい?」 「いや…息があるな……これは」 水雲はそういいかけて…息をのんだ。 根元に横たわっていたのは少年…いや、少年だった、と言うべきか… その見た目は少年と言うにはあまりにも美しすぎた。 …まるで雪と同化したような真っ白な肌と髪、そして少女のように 整った顔立ち…そして前文全てを否定するかのように股間に生えた可愛らしい一物 …脱がされた服と、下腹部の出血から考えれば乱暴され、そして口封じがわりに刀で斬られた のは明白だったが…その光景さえも美しく感じるぐらいに少年は魅力的な…まるで、妖気を放っていた。 「うう…」 光に反応したのか、少年は弱弱しい声を上げる…そのわずかに見開かれた目と、紫色の唇は…。 …どういうことだコレは、俺は狸にでも化かされているのか?…コイツは、コイツは一体?…。 「…鬼灯…」 「ひ…ひい!いけません水雲様!すぐお離れください!こいつはきっと妖の類です!…でなければ あんな、ほ、鬼灯様のような顔は!」 後ずさる蓑虫を、水雲は睨み付けた。 「・・・蓑虫、少し黙れ」 その目は普段の穏やかな水雲の目ではない、近頃関八州を騒がせる忍…天目水雲の目だ。 そういうと水雲は蓑虫に手を差し出した、蓑虫は事情を察してすぐに酒徳利を手渡す。 水雲はそれを手に取ると口に含み、少年のそばに寄ると、酒を傷口に吹き付けた。 「…ぎああああああ!!!」 少年はまだそれほどの力が残っていたのか甲高い絶叫を上げる、水雲はついで懐にしまった 路銀代わりの絹糸を取り出し、持っていた針に糸を通す。 「…助けるのでございますか?水雲様?」 「ああ、このままほおっておいたのでは気分が悪い」 そう言うが早いか水雲は絹糸で少年の傷口を仮縫いして、自分の着ていた綿入りを着せ、蓑虫 の持ってきた傘と蓑を被せた。 「これを飲め…体が温まる…」 「う…あう…」 「もう大丈夫だ、お前は必ず助かる」 水雲は普段の柔和な顔でそう呟きながらかんじきを履いた。 451 名前:リッサ ◆v0Z8Q0837k [sage ] 投稿日:2007/11/26(月) 10 24 59 ID USB98JEl 月輪に舞う」① …これは、やはり神様仏様が下された罰なのか…?。 …少年を担ぎ、少年を気味悪がる蓑虫を連れて里に向かって走っている間 水雲はずっと考えていた、背に担いだ少年は微弱ながら脈もあり、声も上げ られる、急いで里に帰れば命は助けられるかもしれなかった。 しかしその少年の容姿は…あまりにも似ていた、いや…瓜二つだった… まるで金型で鋳造したかのような容姿…そして、よくよく見ればその姿は… 白子(アルビノ)というところまで全く同じだった。 …水雲、好きだよ…そう、今にも少年は自分にそう呼びかけてきそうな気がした。 「…馬鹿な事を考えるな、こいつは鬼灯ではない…」 水雲はそう呟いて自分の考えを否定した…そう、こいつは鬼灯ではない、彼女はあの 日死んだのだ…だから、そんなことはもうあるわけがないのだ…。 水雲は動揺する心を必死に押さえつけて二つの山を越え、やっとの思いで筑摩の里に たどり着いたのはやや空が白くなり始めた頃だった。 筑摩の里は周りを山野に囲まれた小さな小さな村である、しかし塩が取れないと言う 事情からか物流は行われ、人の行き来は常人が思うよりは多少はある…忍者を育成する のに適した、それでいて程よい閉鎖環境を保っている村だった。 「先生!起きてくれ!頼むから起きてくれ!!」 明朝、朝一番に筑摩の村の診療所に乗り込んだのは水雲だった。 水雲はまだ鶏が鳴く前に医者をたたき起こすと、すぐさまに少年の怪我を直すように頼み込んだ。 そしてそのまま家にたどり着くと、水雲は死んだように眠った、実際二日も目を覚まさなかった ので蓑虫は本気で水雲が死んだのではないのかと心配したくらいだった。 「…遅れましたが報告終わりまして、以上にございます」 そして二日後、水雲はすぐ様に飛び起きると里の長に仕事の報告をした かりにも水雲は里でも腕扱きの忍…筑摩七本槍の四位である。これを三日も 怠って臥せっていては七本槍の名が泣くだろう。 「ご苦労であったな…時に水雲よ」 「はっ…何でございましょうか?」 「某はあの山で…鬼灯に似た少年を拾ったそうだな」 「はっ!」 「…陰間にでもなるつもりか?」 ぎりりと、水雲は唇をかんだ…。 「いえ…そんな気はありませぬが、どうも罪無き手負いのものは頬って はおけないゆえ…怪我が治ったらば、事情を聞いて元居た所に帰そうかと…」 「ならばよいがな…お主は里の宝故…間違いがあってはいけぬのでな」 「…ありがたきお言葉…ではこれにて」 内心苦々しい顔のまま、一礼をして水雲は里長の屋敷を後にした。 「鬼灯のことは忘れるのだ…」 里長の言葉はどんな攻撃よりも、水雲の心を傷つけた。 452 名前:リッサ ◆v0Z8Q0837k [sage ] 投稿日:2007/11/26(月) 10 27 04 ID USB98JEl 「月輪に舞う」① 鬼灯を忘れろ、か…よくも言えたものだな。そう内心をいらいらさせながら も水雲は家に帰り、蓑虫の用意した茶漬けを食い、そのまま診療所に向かった。 「経過は良好だがな…どうにも人を怖がってかなわん…」 ため息をついて医者はそういった、もともと子供好きな男だったのだが、少年 には全くなついてもらえず、さらに自分を見ておびえられるという行為には耐えられなかったようだ。 「それで今、あの少年はどこに…」 「縁側で日向ぼっこをしているよ…しかしあの年で乱暴されて斬られるとは…不憫だな」 「…全て時代が悪いのですよ、それ一言で飲み込みたくは無い言葉ですが…失礼」 そういうと水雲は土間から診療所に上がり、縁側に向かった。 少年は縁側にたたずんで、飛んできた鳥と戯れていた、白子、と言う見た目と少女のように整った 顔はまるで風景を一枚の絵に変えていくようだった。 「…調子はいいようだな」 「…っ!!……あなたは…」 少年は水雲の声とともに竦み、びくりと体を震わせたが…その顔を見るなり、まるで地獄に仏、と いったような笑顔で水雲に微笑み返した。そして立ち上がると水雲にぺこりと頭を下げた。 「私のようなものの命を助けていただいて…本当に有難うございました…貴方がいなければ、僕はあ のまま死んでいたでしょう…本当に何度お礼を言っても言い足りないぐらいです…有難うございました」 「いや…例には及ばない、狭い里だがゆっくり休んでいくといい…怪我が治ったら元居た場所に送り届けてやるから安心しなさい」 「…お優しいのですね、有難うございます…」 忍びの性か、声や顔には出さなかったが水雲は大きく動揺していた、少年の凛、とした声は、そして笑顔はまるきり鬼灯と同じだった のだ…このまま押し倒したい、着物の襟から除く少年の白い首筋を見ると、水雲はそんな感情を抱きはじめ…また必死にその感情を抑えた。 「…しかし、申し訳ありませんが、自分には…もうきっと帰る家はありません。野党に襲われて…家は、屋敷は焼かれました…父様も、母様 も…生きているのかは怪しいものです…それに、家に帰っても…白子の自分は…」 座敷牢くらいしか居場所は無い、そう言いたいのだろう…この地方では白子は福を招く富の象徴だ…箱入りで閉じ込めて大切にはされるかも しれないが、人並みの幸せは与えられない…きっと少年を襲った連中もそのご利益だのといったくだらない理由で少年を犯したのだろう…と、なんとなく想像がついた。 それに少年がそういう身の上かもしれないことはうすうす気づいていた…もちろんその場合の返答も…苦心はしたが、考えてはいた…自分はもう二十歳で、さらに里 で責任ある立場にいるのだ、拾った孤児を放り出すのは恥だ…取るべき責任はきちんと取るべきだ。 怖がらせないように笑顔でそっと、そしてやさしく、水雲は少年に声をかけた。 「ならばうちに来るといい、ちょうど小間使いが欲しかったところだ…うちで使ってやろう…」 「…迷惑では、ございませんか?こんな、私のようなものなど…」 「迷惑などではないさ、それにこの村の住人もいい奴ばかりだから安心するといい…きっともう、つらい思いをする事はないだろう」 「う…う、うああああああ!!!ありがとうございます!ありがとうございますぅううう!!!」 少年は大粒の涙を零すと水雲に抱きついた、乱暴された記憶からか、男を見て怯えるという症状を起こしていたのが嘘のように、ぎゅ っと強く水雲を抱きしめた。 「…大丈夫、もう大丈夫だ…」 そういって少年を抱きしめ返す水雲の心境は複雑なものだった。あまりにも鬼灯と同じ外見を持った少年は…どれほど心で否定しても、水雲 のその心を惑わせるものでしかなかった。 …怖いよ、水雲…怖いよ… 少年の柔らかい肌…その感触で記憶が蘇る、初めて鬼灯を抱いたあの日の記憶が…。 「私の名は…天目水雲…お前の名は?」 「弧太郎…弧太郎と申します」 悲劇は、このときにもう始まっていたのかもしれなかった…。 453 名前:リッサ ◆v0Z8Q0837k [sage ] 投稿日:2007/11/26(月) 10 28 19 ID USB98JEl 月輪に舞う① それから二週間ほど時が流れた、弧太郎はある程度心の傷が癒え始めたのか、水雲以外の他の男を見ても あまり怯えなくなってきた…。 弧太郎は村人たちとの交流も上手くいっているようだった、同い年の子供たちも始めはよそ者とあって近寄り がたいようだったが…それでもその人をひきつける容姿と優しい性格から打ち解けあい…やがては鬼灯の亡霊と 気味悪がっていた村の大人たちとも交流が出来るようになっていった。 「蓑虫様、それではそろそろ出かけましょう!」 「あいさあ!それでは早速行きましょうか!」 蓑虫も例外ではなかった…早くに子を失い、熱病で枯れたこの男もまるで 孫が出来たかのように弧太郎を可愛がってくれた。 「…よかった、本当に…」 水雲はほっとしていた、もしも弧太郎が皆と上手くいかなかったらどうしよう かと思っていたが…どうやらそのような心配は要らないようだった、まあ…しかし今一番の問題は…。 「よお!弧太郎ちゃん!釣りに行くなら俺も…うわっと!!!」 玄関から盛大に転ぶ音が聞こえる、妖気に弧太郎に声をかけるこの男は名を冬士郎といった…男が転ぶ 理由はただ一つ、男も水雲と同じ筑摩七本槍の上…片目を眼帯で覆っているからだ。 「馬鹿だねえアンタ…ねえ水雲、あんたもそう思わないかい?」 そしてその背後にもう一人、やはり眼帯の女が立っていた。 「門女まで…一体どうしたんだお前ら…?」 「っつ!どうしたもこうしたもないさ…弧太郎が釣りにいくって言うから俺も一緒に行こうと思ったのよ!」 「…そうか、人気者なんだな…あいつは…よかった」 「ああ、人気者だよあの子は…化粧もよく似合うしねぇ…ふふふ」 そういって笑う門女と冬士郎の笑顔を見て水雲は笑った…。 「しかし、遅かったな冬士郎…弧太郎なら今さっき蓑虫と沢に向かっていったところだぞ」 「何ぃ!早く言えよ!じゃあな!」 水雲と門女は急いで駆け出す冬士郎の背中を見送った。 「…しかし不思議だねえ、鬼灯の実の兄貴だったアイツが…あんなにもあの子と遊びたがるなんて」 「…それをいうなら、鬼灯と許婚の俺はもっと不思議と言う事になるな…ところで門女」 「ああ、私もあの子と遊びたいのは山々だけど…アンタに用があったんだよ、はい!」 そういうと門女は懐に持っていた札を水雲に差し出した、真っ赤に塗られた札には、甲斐という文字が書かれている。 「…仕事か、今度は甲斐の国とは…長くなりそうだな」 「ああ、そうだろうね…」 「冬士郎共々…弧太郎を頼むぞ…色々と、な」 「任せときなって、それよりあんたも…生きて帰ってくるんだよ、弧太郎ちゃんが悲しむから」 「ああ…それから」 水雲は門女の言葉に安心すると、身支度を始めた。 赤札は暗殺の印だ、詳しい情報は甲斐にいる草の者にでも聞けば解るだろう…。 「あの子は何が何でもこの世界にかかわせないでくれ…頼むぞ」 「…任せときな…」 水雲にとって一番の心配事、それはやはり…弧太郎がこの忍の世界にかかわる事だった。 454 名前:リッサ ◆v0Z8Q0837k [sage ] 投稿日:2007/11/26(月) 10 29 56 ID USB98JEl 月輪に舞う① 翌朝、水雲は泣きじゃくる弧太郎をおいて村を出た、名残惜しかったが仕方のない事ではあった。 いかないでくださいませ!水雲様…そういう小太郎を振り切って、水雲は甲斐の国へ向かった。 休息が終わり、任務に戻れば日々はまたいつものように殺伐としたものだった。 今回の仕事は近々行われる戦の情報収集というものだった、水雲は主に的に作戦を傍受してそれを伝え さらに作戦に重要な指揮官を暗殺してくる任務を負わされた。 普通の忍なら甲斐お抱えの根来衆の目をくぐって諜報活動をするのは至難の技だろう、しかし水雲には それを可能にする特殊能力があった。 水雲は甲斐の陣よりやや離れた森にいた、見回りの来る心配のないそこで深呼吸をすると水雲は片目を 覆う眼帯を取った…象牙で出来た眼帯の下には、大きなくぼみと…青い義眼が埋め込まれていた。 青い義眼は筑摩の里の秘法…忍術を使える者にのみ与えられる証明だ…そして水雲の忍術は…一瞬にして 背景と自分とを同化して、視覚と聴覚、さらに嗅覚から自分を消し去るというものだった。 (いっそ任務も俺のように消え去って、早く里に帰れればいいのにな…) 敵たちの横を悠々と通りながら水雲はそう考えた…早く帰って弧太郎に会いたかった…。 その頃、弧太郎は一人深夜の神社に御参りに行っていた、俗に言うお百度参りというものである… 願いはもちろん、水雲が無事に帰ってくるように…それだけだった。 (水雲さま…生きて、帰ってきてください…) 弧太郎は無心に祈っていた、自分の命の恩人の生還を…それはもちろん救ってもらった恩義もあったが 弧太郎はそれ以上に一刻も早く水雲に会いたかった…会って、何時もの笑顔を浮かべたまま、自分をやさしく 抱きしめてもらいたかった…。 まだまだ子供とはいえ…弧太郎は水雲に対して淡い恋をしていたのだ。 「水雲さま…弧太郎は、早く会いとうございます…」 「そうか、それほど会いたいのか…ならいい方法を教えてやろうか?」 背後からいきなり声をかけられて弧太郎は一気に後ろに振り向いた。その先には …眼帯をした老人がいた。 「何者です!?」 「安心しろ、わしはこの村の者だ…」 老人はそう言うと微笑んだ、そしてこう言った。 「水雲に会いたいのなら忍になれ、さすれば嫌でも一緒に仕事をすることになるだろう …それに、あの男の役に立ちたいとは思わんか?」 「…役に、立つ…」 その言葉に、弧太郎は悩んだ…今こうしてあの人の帰還を望むだけでいいのか、恒にそう も考えていた彼にとっては…老人の言葉は渡りに船、といった所だった。 目の前にいる笑顔の老人の正体がこの筑摩の村の長であるという事も知らずに…。 455 名前:リッサ ◆v0Z8Q0837k [sage ] 投稿日:2007/11/26(月) 10 31 54 ID USB98JEl 月輪に舞う① それから半年後、やっとの思いで任務を終えた水雲は一刻も早く帰郷するべく、筑摩の里への山道を 凄まじい速度で上っていた。 その背には大きな風呂敷包みがある、中には露店で買った弧太郎へのお土産が山ほど詰まっていた。 (弧太郎、喜んでくれるといいのだがな…) と、顔をにやつかせながら走る水雲の前に、白い影が現れた。一瞬で立ち止まって身構える水雲。 「山河と筑摩…その意は」 白い影はそう訪ねた、夕暮れ時の山道で顔はよく見えないが…これは筑摩の里特有の、確認の合図だ… 水雲は答えた。 「ただ一人、月輪に舞う…」 「水雲様!!帰ってまいられましたか!!」 白い影はそう言うと、水雲の胸に飛び込んだ…その小さな姿、そして香る少女のような匂い…間違いない… コイツは弧太郎だ…。 「ああ…さびしい思いをさせてすまなかったな、弧太郎…」 「嬉しゅうございます、手も…足もある…ぐ・・・ぐず…」 弧太郎は水雲の胸で泣きじゃくった…無理もない、半年も文もよこせずに任務に没頭していたのだ。 さぞ寂しかったのであろう…やはりこう言う所は鬼灯とは違うのだな…だが、それでいい…。 そう考えて…ふと、感じた違和感を拭うため、水雲は一気に弧太郎を押し倒した。 「うわ!!ああ!!水雲様…何を…!?」 水雲は一気に弧太郎の服の胸元をはだけさせる…そして、白い肌とともに現れたあるものに、水雲は愕然とした。 「……お前、忍になるのか?…誰に技を教わった!?」 「は…はい…まだまだ至りませんが…蓑虫様に…」 弧太郎は少し嬉しそうに、顔を赤らめながらも答えた…。 「里へ帰る!帰るぞ!!」 水雲はそういうと、凄まじい速度で山道を駆け出した、そんな態度に弧太郎はきょとんとしながらも… 衣服の乱れを直し始めた。 弧太郎は嬉しかった、水雲は自分の変化と…服の下に隠れた…稽古の後の痣に気づいてくれたのだ。 きっと水雲は驚いて、嬉しさで言葉も出ずに走り出してしまったのだろう…そう考えた。 …恥ずかしがり屋なのかな…でも、こうして水雲様に…思ってもらえているというのは…悪くないなあ ・・・でもどうしたんだろう、いきなり僕の裸を見て…興奮したのかなあ?…そうだったら、少し嬉しいな…。 弧太郎は気づいていなかった、水雲の顔が完全に青ざめていた事に。 「お館様!これは一体どういうことでございますか!?」 水雲は一気に里の館に向かうと、任務の報告もそこそこに里長に事を問いただした。 「どうもこうもない…あのものは忍の素質があるでな、わしが蓑虫に育てるように命じた」 「…里の秘法を、部外者に教えるということは…」 「これは里の総意だ、そのような小さなことはどうでもいい…それにお主も見ておろう、弧太郎は この半年で…蓑虫の攻撃全てを交わし、反撃を二手三手いれるほどになったのだぞ…あの実力は素晴らしい きっと鬼灯のように抜け忍などにならずに…里の反映に手を貸してくれようぞ」 …水雲はぎりぎりと、歯をかみ締めた…。 最も起こってはいけない事が起こってしまったのだ。 456 名前:リッサ ◆v0Z8Q0837k [sage ] 投稿日:2007/11/26(月) 12 27 01 ID USB98JEl 月輪に舞う① 弧太郎は戸惑っていた、あれから数日の間、水雲はまるで口も聞いてくれないのだ。 「水雲様…今日は、蓑虫様ではなく、水雲様に術を教えていただきたいのですが…」 「成らぬ、師が二人つく事は里の掟に反する」 そういって昼ごろに起きると、いつもどこかにふらふらと出かけてしまうのだ。 …やはりまだ自分は半人前故に、厳しくしてくれるのかな?…弧太郎はそう考えた それはある意味いつか自分を認めてくれるのだろうという期待に繋がった…。 「行きますぞ!弧太郎様!」 蓑虫は師として厳しく、時には何時ものようにやさしく弧太郎に師事した、水雲の 任務に比べれば軽い仕事なども任されるようになった。 泣きたくなるような日もあった…そして、時に人も殺した…それでも、この行いが いつの日か水雲への恩返しに繋がるのなら…そう考えた。 「もう…駄目なようだな…あれほどの才能が有れば…今夜辺りには…」 「ごめんね…水雲…私、力になれなくて…」 そんな様子を門女と共に影で眺めながら、水雲は涙をこぼした…。 「…そうではない、あれほどの才能があれば里の忍は誰も放ってはおけないさ…でも でも俺は…あの子に…なんて事を…」 「…ごめんね、ごめんね…私が悪いんだ…鬼灯の時だって…私が…」 「…いうな、かどめ…うう、うう…」 二人は抱き合って、泣いた。 457 名前:リッサ ◆v0Z8Q0837k [sage ] 投稿日:2007/11/26(月) 12 31 18 ID USB98JEl 月輪に舞う① その晩、弧太郎は蓑虫に里の近くを流れる渓流に呼び出された…奥義の伝授、そういう話だった。 「あ…蓑虫様…」 弧太郎は影から音もなく現れた蓑虫のその格好に驚いた…服は黒の忍服、鉄鋼と脚半を装備した その姿は…まるで修行ではなく、本当の任務に向かうときのような服装だったからだ…。 「…先手は譲ろう…来い、弧太郎!!」 「は、はい!!」 言うなりいきなり抜き身の刀を渡すと、蓑虫は後ろを向いた。 「こ、これは一体…」 「この里では奥義の伝授は…師を殺して初めて行われるのだ!!…水雲と並ぶ実力が欲しいの ならば…ためらわずに来い!!」 「う…うおおおおお!!!」 蓑虫の声はぞっとするほど冷たい…しかし…ここまで来て、ためらうわけには行かない…そう 弧太郎は…水雲の手助けをするため…そのために忍になったのだ。 刀を水平に構えて、一気に蓑虫の背後に迫る。しかしそうもうまくはいかない、蓑虫は軽く その攻撃を受け流すと、後方に弧太郎を弾き飛ばした。 「ぐう…っつ!」 倒れこむも一気に飛び起きて襲い掛かろうとする弧太郎、しかし眼前に蓑虫の姿はなく…いや、 その姿は上空にあった…蓑虫は服の袖からは黒い縄が四本、まるで触手のように飛び出していた。 蓑虫の術は袖から出した縄をまるで本当の腕のように使う、といったものだった・・・伸縮自在な上 にまるで鉄鞭のような硬度を持ったそれでいっぺんに叩かれては、普段の練習とは違い…弧太郎の肉 は簡単に裂けてしまうだろう。 ヒュ!!ヒュ!!!ビシイ!!!! 凄まじい音が響く、しかし縄が叩いたのは蓑虫が手渡した刀であった。 弧太郎は一気に後ろに飛ぶと、手に持っていた標で次々に三本の縄を切り落とす、これが弧太郎の 修行の成果だった。 もちろんこんな芸当は水雲でも出来ない。 「はあ!!」 蓑虫は残った一本の縄で木に飛び移ろうとする、しかしその縄すらも切り落とされると…一気に地面 に落ちた、いや、叩き落された。 「…ぐ、うう…」 それほどの高さではなかったので何とか息はあった、しかし片手の骨が折れたようで…老体の蓑虫に 反撃は不可能なように思えた。 「はあ、はあ…」 その体の上に弧太郎が馬乗りになる、手には大きな標が握られていた…勝ちはもう決まっていた、しかし 弧太郎は…息を荒げたまま 刃を刺せないでいた。 「どうした…やれんのか…」 「…はあ、はあ…あなたをそう簡単に…出来るわけ…」 「…やはりな、余所者の上に…陰間にはそのような根性はありはせぬか…」 「な…なあ!!!」 まだ数えで11である弧太郎にとって…蓑虫を、水雲のいない間、まるで孫のように可愛がって くれた蓑虫を本気で尊敬する弧太郎にとってその言葉は…ただただ動揺するしかなかった。 「忍になって水雲の気を引きたいのであろう…しかし、哀れよ…愛するもの以外を殺す覚悟のない お前には…陰間のお前には…水雲に愛される資格などは…抱かれる資格等はないわ!…あやつにとって お前はただの…拾った子犬に過ぎぬ!!」 弧太郎は動揺していた、訳がわからなかった。 何で、何でそんなことを言うのです…蓑虫様…僕は、貴方を尊敬しているというのに、水雲さまの次に 僕をかわいがってくれた貴方を…親同様に、好きだったというのに…わからない…なぜこの様な目にあうのか 人を愛するのがこんなにつらくて大変な事なのか…何故こんなにも苦しむのか…わからない、わからないわからない わからないわからないわからない……うああああああああ!!!嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!!!!こんなことせずに…いっそ僕が… でも…でも水雲様…僕は貴方の事が、僕は貴方の事が…ダイスキナンデス・・・オヤクニタチタインデス…ソバニイタインデス…ダカラ… ごめんなさい、本当にごめんなさい…みのむしさま。 「は…はははっ!!はははははははははははは!!!!」 どすり!!と…笑い声と共に、弧太郎は標を蓑虫の胸に突き刺した。 ぐう!と蓑虫が悲鳴を上げる。 458 名前:リッサ ◆v0Z8Q0837k [sage ] 投稿日:2007/11/26(月) 12 33 33 ID USB98JEl 「…お見事…もう、これで…水雲様の守護のお役目は任せられますな…弧太郎様…」 そういうと、蓑虫は弧太郎の頬を優しくなでた…弧太郎はきょとんとする。 「…貴方の実力なら…その覚悟がおありなら…たとえ子は宿せずとも、夫婦には なれずとも…ずっと水雲さまをお守り出来ましょう…なに、元は里一といわれたこの 蓑虫を殺せたのです…しんぱいは…」 「あ…ああああああ!!!いやだ、蓑虫様!!いやだああああああ!!!!」 弧太郎は全てを悟ったのだ、蓑虫の想いを…しかし時はもう遅かった、蓑虫の呼吸は 次第に弱弱しくなっていく…その間、弧太郎には蓑虫とすごした日々の走馬灯が見えた …たった半年とはいえ、彼との思い出は…弧太郎にとっては大切なものだった。 そして数秒後、蓑虫の息は完全に途絶えた…。 「ふ…ふふふ、あははっ!!ははははははは!!!あはははははははは!!!!」 顔を血にぬらし、涙を流しながら笑う弧太郎…その背後に突如として篝火が現れ… 弧太郎の周りを七つの影が取り囲んだ。 「大儀であったな弧太郎…これでお前は晴れて筑摩の里の忍…それもその上の、筑摩七本槍 の七位の位が授けられようぞ…」 七つの影を引き連れて、弧太郎の眼前に現れたのはあのときの老人…この筑摩の里の里長だった。 「…あなたは…そうですか、貴方が里長なのですか…」 微笑む里長と、空ろな目と言葉でそれを帰す弧太郎…弱弱しいながらも弧太郎は里長にぺこりと頭 を下げる…その瞬間に、弧太郎は二つの影に両手を掴まれた。 「悪く思うなよ、弧太郎…」 影の正体の一人は冬士郎だった、冬士郎はそう耳元で呟くと、懐から竹筒を取り出して里長に渡した。 この筒を使って里長は継承儀式で師を殺した忍の目をえぐり…秘伝の義眼を埋め込む事で奥義を継承させる ことでこの儀式は終了する…それが手順だった。 「・・・・・・いえ、里長殿と、冬士郎様の手を煩わせるまでもありません…」 しばしの沈黙の後、弧太郎はそういった…するり、と二人の拘束を解いて竹筒を里長の手から取り上げる。 「これも、必要ありません…」 ヒュ!という音と共に手刀で竹筒を割る。そして弧太郎はそのまま…人差し指を一気に瞼に当てた。 これは罰だ、自分を大切にしてくれた人を殺した自分への罰だ。 「ぐ……ぎああああああ!!!!」 ブチュ!グチュ…血の音と共に甲高い声で悲鳴を上げながらも一気に目玉を引き抜く弧太郎…ひときわ 甲高い声を上げると同時に…目玉は弧太郎の手中に落ちた。 「よろしい…それではこれからも…せいぜい…水雲と、筑摩の里のために働くがよいぞ、弧太郎」 里長は弧太郎の目玉を受け取ると、それと引き換えに白い義眼と、象牙の眼帯を与えた。 …弧太郎はそれを聞くとその場にへたり込んだ、里長と七本槍のうち四人はそのまま渓流を去り… 残りの二人…門女と冬士郎は蓑虫の死体を担ぎ上げて墓地へ向かう、そしてその後には…水雲と弧太郎 のみが残された…水雲はそのまま弧太郎を優しく担ぎ上げる。 水雲は泣いていた…蓑虫を失ったという悲しみもあったが…それ以上に、これまでさせるまいと思って いた弧太郎に…つらい思いをさせてしまったのが申し訳なかった。 「私は…水雲さまを守ります…絶対に守ります…ふふふ、あははははは…」 うわごとのように、こんな言葉を繰り返させるくらいに…弧太郎の心を追い詰めていた原因が自分にある のが…とても悲しかった。 「おしたい申しております…大好きです、水雲さま…」 こんな自分でもなお、慕ってくれている弧太郎…水雲は、その弧太郎の姿をいとおしく思うと共に…それでも 鬼灯の事を忘れられずに弧太郎の気持ちに答えられない自分を恨めしく思った。 459 名前:リッサ ◆v0Z8Q0837k [sage ] 投稿日:2007/11/26(月) 12 35 18 ID USB98JEl 月輪に舞う ① それから二日の間、弧太郎は屋敷の自分の部屋にこもってしまい、たとえ水雲がなれない 食事をつくろうとも…部屋から出てこなくなってしまった…。 三日目、水雲は意を決して弧太郎の部屋に飛び込んだ。 「弧太郎…いい加減に飯を食わないと死んでしまうぞ…」 炊いた粥をもって部屋に飛び込む。その先では痩せこけて青ざめた弧太郎が…抱きしめた布団 に何かを呟いていた。 「…大好きですよ…すいうんさま…え、もちろんみのむしさまもだいすきですよ…うふふ…」 心が壊れたのか…いたたまれない…そう思い、それでもあきらめきれない水雲は弧太郎を抱き 起こすと、その唇に口付けをした…それならば、せめてものこいつの願いをかなえてやろうと。 「うわあ!…ん…ちゅ…はあ…」 そのまま舌を口腔内部に侵入させる…唾液もほとんどなく、乾いたそこは甘い味がした。それに あわせるかのように、弧太郎も水雲の舌に自分の舌を絡ませ…そのまま、長い長い接吻が続いた。 「ん…水…雲さま…弧太郎は…弧太郎は…水雲さまを…愛しております…だから…」 抱いて欲しい、そういうことなのだろう…水雲は無言で了承して、弧太郎の寝巻きを脱がせた。 「あ…恥ずかしいです…」 弧太郎はまるで少女のように胸と股間を隠す…そんなことはしなくても、何度となく見ているという のに…水雲はその行為を微笑ましく思った。 ……いや、違う…水雲は頭の中で浮かび上がる思考を必死に否定した…あの時も同じだったのだ…自分の 師を、祖母を殺して…自ら片目をえぐって儀式を終え…引きこもる鬼灯を抱いた日も…今日と同じこの日この季節…。 「水雲さま・・・やはり、私は…男は…嫌いですか?」 「そうではない、そうではないのだ…俺は、お前を…別の女と…死んだ許婚と…重ねようとしているのだ、そんな 俺にお前を抱く権利など…」 肩を震わせる水雲、弧太郎はその体を優しく抱いた。 「ふふふ…いいのですよ水雲様…私は…たとえ貴方が…貴方がどう思おうと…たとえどんな女性と私を重ねようと… 私は貴方を、愛しておりますから…」 水雲は情けなかった、涙を流した…しかし、それでも、弧太郎が元気になればと…弧太郎を抱いた。 「っ…痛くないか…弧太郎…」 「はい…嬉しいです、嬉しいです…ん…ああ…うれしいです…すいうんさま…ああ!!」 「…くう…は!あ!」 二人は同時に達した…事後…水雲は弧太郎にやさしく口付けをし、抱きしめ…明朝、里長の指令を受けて 奥羽に向かうべく屋敷を後にした。 「もしもこの任務を断れば、弧太郎にはもっときつい任務を与える」 里長はじかに水雲の前に現れてそういった…応仁の乱をとうに過ぎたとはいえ、まだまだ未開の地である 奥羽への遠征はたとえ水雲であってもそれなりに危険が伴うだろう…それでも、それでも水雲はたった一人 奥羽へ向かった。きっと弧太郎は悲しむだろう、でも…この指令を聞かねば、それだけはすまないのも事実だろう。 (何があっても…俺は必ず守る、弧太郎を…この命にかけてでも…) 水雲の決意は固かった…里を離れると言う事がどういう意味を持つ事なのかも考えずに。 460 名前:リッサ ◆v0Z8Q0837k [sage ] 投稿日:2007/11/26(月) 12 37 13 ID USB98JEl 月輪に舞う② そしてそれから一年の月日が流れた、水雲は奥羽から里に帰る前にさらに尾張の任務に向かわされ… ある日、尾張の町で薬屋に変装して蕎麦屋で食事を取っていると…こんな噂を聞いた。 「-近頃、腕利きの白子のくの一が現れる-」と 水雲は嫌な予感を抑え、必死の思いで任務をこなし…里へ戻った。 里に戻った水雲が見たのは…月日が流れて男らしく成長するどころか…まるきり、そう、まるで鬼灯 の生き写しのように…化粧のよく似合う、女のように育った弧太郎だった。 「お前らは里長にいいように使われてたのさ…」 冬士郎は久々にあった水雲にそう言った…里長は同じ事を弧太郎にいい、そして弧太郎をきつい任務 につかせて…二人を使っている、冬士郎はそう断言した。 「なぜ…そんな事を…」 「お前が不安要素だからさ…お前の力は強いが、抜け人の鬼灯の許婚だ、いつ裏切るかわからない分 こうやって弧太郎っていう子犬を人質に取っておけば裏切られる心配はないし…忠実な子犬を安心して飼う事も出来る…」 「なぜ、我々はこうも…あの子はこうも…辛い目に合わされるのだ?」 「そうするしかないのだよ、それが忍だ…そう割り切らなければ、お前に殺された妹は…鬼灯は、もっと簡単に抜け出せたはずだ…」 二人は同時に俯く、とそこに弧太郎が走ってきた。 「…水雲様…お会いしとうございました!お会いしとうございました!」 弧太郎はそう言うなり水雲をひしと抱きしめた、事態を悟った冬士郎は気を使ってその場を離れる。 「少し、背が高くなったな…ただいま、弧太郎…」 「はい、はい…お帰りなさいませ!!水雲さま…大変お疲れだったでしょう、今夜はごゆっくりお休みくださいませ・・・」 弧太郎の顔は少し痩せているように見えた…そして表情もあの日からあまり変わらず、どこかその瞳も空ろに見えた…。 弧太郎は水雲の体を話すことなく、そのままぼろぼろと涙を流し始める…そんな弧太郎を水雲はせいいっぱいの気持ちで労う為… 口付けをして、その場に弧太郎を押し倒した。 それから数日の間、弧太郎と水雲は交わり続けた、弧太郎は何度となく水雲を求め続け、水雲もそれに応じた…まるで埋められなかった 時間を体で埋めるかのように…そして、事が終われば二人は抱き合って眠りについた…そんな生活が二、三日続いた。 なぜそこまで執拗に弧太郎が体を求めてきたのか?・・・その謎はその日、呼び出された里長の屋敷で判明した…里長は水雲に命じたのだ 門女との結婚を…。 461 名前:リッサ ◆v0Z8Q0837k [sage ] 投稿日:2007/11/26(月) 12 39 15 ID USB98JEl 月輪に舞う② 「もう…ここまでなのですかね…」 弧太郎は川原にいた、たった一人・・・里の中でもっとも信頼した師である蓑虫を殺した川原で、手に短刀を持ってたたずんでいた。 弧太郎は悩んでいた…せっかく得た水雲を守るという誓い、たった一人で彼に仕える…その想いすら打ち砕かれる事になってしまう ことに、彼の心はもう耐え切れなかった。 いっそ門女を殺したかった、でもそれは出来なかった…もう誰も傷つけたくない、蓑虫を殺した時のような想いはしたくない…そして 何より、水雲の悲しむ顔を見たくはなかった。 「よせ、自害などするな…」 背後から声をかけたのは冬士郎だった、彼は涙で頬をぬらす弧太郎に手ぬぐいを渡すと弧太郎の横に座った。 「冬士郎様…しかし自分は…怖いのです、このまま壊れて…誰かを傷つけてしまうくらいなら…いっそこの手で…」 「俺の妹も、鬼灯もそうだった…あいつはお前と同じく、心が壊れるのを防ぐために逃げて…最も愛する水雲に殺されたのさ」 「…!!…何故…一体鬼灯さまという方に何があったというのですか!?」 「あいつは心が壊れたのさ…師であるおばあを殺した日から水雲に依存を重ねてたんだ…そしてその挙句、水雲に横恋慕して迫った くの一を殺して…」 里掟を破り、責任を取るべく送り込まれた水雲に殺された…それが鬼灯をめぐる事件の顛末だった。里の友人である門女を人質に 取られた水雲は悩んだ挙句…斬り殺したのだ、鬼灯を。 「うれしいよ…こんな私でも泣いてくれるんだね…水雲…」 彼女はそういって事切れたらしい。 「…私はその方と同じように生きていたのですね…でも、その方と同じになって…水雲さまに迷惑をかけるくらいなら…いっそ! うわあ!!な、何を!?」 言い終わるのを待たずに冬士郎は弧太郎を押し倒した、そしてそのまま一気に着物の服をはだけさせる。 「…俺の話がここで終わると思ったか?…俺はお前に言いたいのだ…弧太郎、もう俺は我慢できん…俺の女…いや、男になれ、俺は 絶対にお前を幸せにする!悲しませることなどしない!…もう嫌なのだ…水雲に、あの男にお前を取られるのは…こたろう、こたろう!!」 「い…いやあ!!お止めくださいませ!!冬士郎様!!あ!ああ!!」 弧太郎の弱弱しい叫びを無視して冬士郎は弧太郎の乳首を舐めまわす…そしてその唇を弧太郎に近づけたとき…冬士郎の首は綺麗こぼれ落ちた。 「あ…ああああああああああ!!!!嫌嗚呼嗚呼アアア!!!!!」 条件反射、といった方がよいのだろうか…弧太郎はいつも、暗殺任務のときにそうしていたように手に隠し持った大型の標で一気に冬士郎の首を 切り落としたのだ…初めて里の皆にあったとき、陽気に自分に話しかけてくれて…まるで実の兄のように遊びを教え、蓑虫と同様に自分を気にかけて くれた男を…冬士郎を…。 「・・・…うああああああああ!!!!ああああああああ!!!!!」 弧太郎は泣いた、泣きながら走り出した…もう何が何かわからなかった、自分の生き方を呪った……自分に優しくしてくれた人を殺し、愛してくれた 男に迷惑をかけ続ける自分を呪った、でも…それでも、弧太郎は…愛していた、水雲を、愛していた。 「あはははははははははは!あはははははは!!水雲様、もう、もう弧太郎に生きる資格はありません! でも、それでも貴方を!貴方が!私は貴方が好きなのです!!!あははははははははは!!」 せめて、里掟にしたがって水雲に自分を殺させないようにと…山の谷に向かって弧太郎は走った。 462 名前:リッサ ◆v0Z8Q0837k [sage ] 投稿日:2007/11/26(月) 12 41 14 ID USB98JEl 月輪に舞う② 弧太郎に相談があると呼ばれて、所用で少し遅れながらも川原にたどり着いた門女は冬士郎の 首なし死体を見て…ここで起こった事の全てを悟った。 「…このままじゃだめだ!弧太郎を助けなきゃ!!」 門女は眼帯を取って術を使った…門女の術は一種のレーダーのようなものである、弧太郎の残 した気配をたどれば彼がどこに向かうのかは察しが着いた。 門女はいそいで水雲の家に向かう、そして水雲に全てを話して…自分の持っていた巾着袋を放り投げた。 「このままいけばあの子は自殺しちまうだろうし…もしもそれを食い止められても、里掟でまたあんたは あの子を鬼灯と同じように殺す羽目になる…だから、逃げな…それを持って、唐にでも」 以外に大きな袋の中には金塊と宝石が入っていた、これだけの量が有れば唐まで逃げるのは余裕だろう。 「…かたじけない、しかし…そうなればお前は…」 脱走幇助でどの道死ぬ羽目になる、そう言おうとした瞬間、門女は怒鳴った。 「馬鹿野郎!あの子はアンタが好きなんだよ!蓑虫を殺して!心を壊しながらも忍びになって!冬士郎を 殺せるくらいにあんたの事が好きだったんだよ!?それを…また助けてあげないでどうするのさ!また助け られなかった私はどうなるのさ!…早く行っちまえよ馬鹿野郎!!」 「…すまない、門女…」 そういって水雲は門女に背を向けると、山の谷に向かって走り出した…門女はそれを涙目で見送ると…胸に 短刀を当てながらこう呟いた。 「あの子を幸せにしろよ…大好きだったよ、水雲…」 門女は一気に自分の胸元を短刀で刺し貫いた。 弧太郎は崖の前で立ちすくんでいた…そろそろ、潮時かな…そう考えて崖に飛び込もうとしていた。 このまま飛び込めば下は岩石がごろごろした大きな穴が広がっている、きっと死ぬ事は簡単だろう。 「愛していますよ…水雲様…ふふふ…」 …ありったけの思い出を思い出して、たっぷり感傷に浸った後、弧太郎は一歩一歩、崖に向かって歩き 出した。一歩、また一歩…そして最後の一歩を踏み出そうとしたとき、弧太郎は首根っこを掴まれた。 「なら…死ぬな、ずっと一緒にいよう、弧太郎」 弧太郎はその手の主が誰なのかを一瞬で判断した。 「でも…このまま一緒にいれば…私は必ず貴方を…水雲様を不幸せにしますよ?大切な人の命を奪う かもしれませんよ…もう、もう…私など…貴方のために、死ねたほうが…!!」 ばちいん!!と、弧太郎の頬を叩く水雲、彼はその後すぐに弧太郎の体を抱きしめ、言った。 「俺はお前が好きだ、もう放したくない…たしかにこれまで多くの、俺の大切な人が死んだかもしれない… お前はその人を手にかけたかもしれない…それでも、それでも俺は…お前が愛しいのだ!!お前と一緒にいたい たとえ病めるときも…老いて死ぬときも…片時も離れずに、同じく死に、腐れ落ちる…俺はそうありたいのだ! …たとえ里も、国も…全てを敵に回してでも!!俺はお前が好きなのだ!」 水雲の言葉に偽りはなかった、鬼灯への想いは…未練と後悔は、捨てていた。 「本当に…いいのですか…本当に…わたしなど、わたし…う、うああああああああああああああ!!!!ああああ ああああ!!!!!」 弧太郎は水雲の胸で泣いた、水雲はそれを抱きしめた。 そして二人は手をとり、里から街道へ抜ける道を、手をつないで目指した。 瞬間、ぐさり!という音と共に血を噴出して水雲は倒れた。 青ざめる弧太郎たちを…鉄砲を持った忍の群れが囲んでいた。理由は一つしかない…抜け忍に対する 制裁行為だろう。 パン!パン!パン!パン!! 次々に弾丸が飛び交う、水雲は弧太郎を守るべく必死に立ち上がって自分の体を盾にしようとしたが… それもむなしく、二人は倒れこんだ。 463 名前:リッサ ◆v0Z8Q0837k [sage ] 投稿日:2007/11/26(月) 12 43 06 ID USB98JEl 月輪に舞う② 里長は二人が死んだ事の報告を受けて、本当に嬉しそうな笑顔を見せた。 自分の娘である鬼灯と、出来損ないとはいえ息子の冬士郎の仇が討てたのだ… それも鬼灯の仇である水雲はさんざん苦悩させた挙句、一番の幸福を与えてから殺す というサディスティックな方法が行えた…里長にとってこれほど嬉しい事はなかった たとえ里にとっては逸材の、とても優秀な忍を二人失う結果になったとしても、である。 里長は村を守らねばならない立場だ、でもそれでも…掟で、自分が命令を出したとはいえ …娘を殺した水雲が憎かった…いや、誰かを憎まねば気がすまなかった。 冷酷な里掟の矛先は…歪んだ男の逆恨みの復讐劇を成就させた、たとえその行為が矛盾だらけ な上に…全く理のないものだとしても、男…里長は満足していた。 ふと、里長が床に眼をやると…そこには何かが転がっていた。よくよく見ればそれは…見覚えの ある七つの玉…七本槍に与えた、さまざまな色の義眼だった。 「たあああああああ!!!」 里長が手槍を取って身構えた瞬間、その首は簡単に落とされた。 里長の背後には、標を構えた弧太郎がいた。 「あはははははは、あはははははははははは!!!!」 弧太郎の体は血にまみれていた、先ほど鉄砲で撃たれた傷の出血も十分に酷かったが…その血の殆どは …水雲を殺そうとした七本槍と…それを見てみぬ振りをした、村人達の返り血だった。 「あははははは!あはははははは!!!」 弧太郎の心は完全に壊れた、そしてその怒りを村の住人にぶつけて…本気で暴れた結果、小さな村は一夜に して軽々と全滅したのだ…。 かつて死を恐れぬと言われた南洋の戦士は第一次世界大戦の際、十二発もの弾丸を心臓と頭部に打ち込まれ ながらも動き回り、二人の騎兵を軽々と切り殺したと言う…忍の天才である弧太郎にとって、重傷を負いながら の戦闘行為は…至極可能なものだったのかもしれない。 戦闘が終わり、村に朝日が昇る頃…弧太郎は再度崖の近くに向かい…そして、水雲と一緒に埋まれるような、大きな 大きな墓穴を掘った。 「老いて死ぬときも…片時も離れずに、同じく死に、腐れ落ちる…ふふふ、いっしょですよ、ずーっといっしょですよ すいうんさま…」 穴に綺麗に水雲の死体を寝かせると、そんな言葉を呟きながら…弧太郎は穴に入って水雲の死体を抱きしめ…その中で ようやく絶命した。 …自分が上になっていいのかなあ…水雲さま、きっと恥ずかしがるだろうなあ…。 そんな事を考えながら、弧太郎の意識は途絶えた。 464 名前:リッサ ◆v0Z8Q0837k [sage ] 投稿日:2007/11/26(月) 12 44 20 ID USB98JEl 月輪に舞う エピローグ …おしまいおしまい、と…ああ、猛こんな時間かい…悪かったない、こんな遅くまで くだらねえ忍者の話なんかでつき合わせちまってよう…って、泣いてんのかい?… 涙もろいやねえ兄ちゃんはよお…。 へ?二人が可哀想だって?まあまだ話には続きがあってさね…このあと二人は地獄に 落ちるってんだけどよお、あの世で二人を哀れに思った閻魔様は…二人を畜生…狐にして この筑摩の山に夫婦として永遠に転生させるってことに決めたってんだわなあ…。 そうして今でもあの山では…二人は中むつまじく、夜もすればおどってんだとよ…どうだい? これで安心したかい…っと、これで店じまいだな、お代はいらねえよ…くだらねえ年寄りの話に 付き合ってくれたお礼だ…また来てくんな、今度はもっと泣ける話をしてやっからよお…。 筑摩の山ではかつての里の跡も消え、今では木々が広がっていた。 そしてちょうど木々がなくなった原っぱでは…満月ともなれば、どこからともなく二匹の狐が現れて くるくると…まるでダンスを踊るかのように双方が回って、戯れていた。 空には月がさしていた、そしてそこには弧太郎と水雲の二人がいた。 二人の愛は、たとえ姿が変わっても永遠だったのだ。 …山河と筑摩…その意はただ二人、永久に月輪に舞う… FIN 465 名前:リッサ ◆v0Z8Q0837k [sage ] 投稿日:2007/11/26(月) 12 46 20 ID USB98JEl 以上で終わります、長文な上になんかあまりショタヤンデレっぽくないかなあ?な出来でしたが 長文にお付き合いいただき有難うございました。 466 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/26(月) 13 10 10 ID kxLbGy42 465 GJ! どうでもいいが1970年~1990年代のドラマは女がヤンデレって言うケースが多いな。 最近は見かけないけど規制とかかけられたのかな。 467 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/26(月) 15 59 51 ID FWyskqo5 466 単に今やっても受けが悪いからじゃないかな なんか今は綺麗事並べる恋愛の方が受け良さそう 468 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/26(月) 16 17 57 ID u5ECGHpw 465 (´;ω;`)ぶわっ GJ!すぎてなんて言えば良いかわかんない ところでヤンデレ男×女ってありかな? ストーカーっぽくなりそうだけど 469 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/26(月) 17 01 09 ID 2vXOBINk 1にヒロインって書いてあるから多分なしじゃないか? 需要については俺一人の意見で決めつけるわけにはいかないから、↓を参考にしてくれ 470 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/26(月) 17 04 47 ID jArq0QpM あれ?そうなると、 465の小説もスレ違いになるなね。 だってヤンデレ化するのはショタだし……。 471 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/26(月) 17 05 36 ID z/rMFJ17 過去ログ読めば分かるがその話は毎回議論が続くんだが結局男のヤンデレは基本NGって事になる。 472 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/26(月) 17 20 39 ID 2vXOBINk 470 ショタなら許容範囲って意見も少なくないからスレ全体の判断は難しいんだよな 473 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/26(月) 17 36 14 ID 7lJ/mAI4 主人公がショタだと思ってたんだが違うのか 昔他スレでそれっぽいの読んでグッときたせいで勘違いしてた 474 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/26(月) 18 28 14 ID dYQ6FbdK そんな事だったら百合物も駆逐してほしいわ まあ、無しとかそういう話はやめにして個人個人がNGすればいいだろ 475 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/26(月) 18 54 21 ID SZjTJRlX 474 だな。 百合注意とか書いておいてくれればおkだろ。 476 名前:溶けない雪[sage] 投稿日:2007/11/26(月) 19 24 15 ID MLwnsq7n 遅くなり気味ですが投下します 477 名前:溶けない雪[sage] 投稿日:2007/11/26(月) 19 25 36 ID MLwnsq7n 8 カーテンを開ける。 カーテンを開けた瞬間に差し込む健康的な光。 天気は、今日の幸先の良さを思わず感じさせる程の晴天だった。 ベッドから本格的に起き上がり、 始めに感じたのはとてつもない空腹感。 凄くオーバーなリアクションを取るとしたら、 ベタだが死にそうな位と言いたくなる程に、お腹が空いていた。 考えてみれば、昨日の夜から今日の昼まで何も食べていない。 お腹が空いているとなればやる事は一つしかない。 携帯をポケットにしまい、一階の冷蔵庫に向かう。 短い廊下を通って、階段を降りる。 階段を降り終わると、直ぐに目的地、リビングに着いた。 リビングと聞くと賑やかなイメージが自分の中ではあるのだが、 今自分の視界に入っている居間の雰囲気は、賑やかとは到底言えない静けさだ。 「またいないのか………」 誰に言うでもなく一人呟く。 ただ、口から溢れただけの声は、リビングの静けさの中で反響した様に聞こえた。 柄にもなく久しぶりに感傷に浸ってしまったお陰で、本来の目的を忘れる所だった。 今はさほど気にしていない静かな居間の中央を通りすぎて、キッチンにある冷蔵庫へ向かう。 何かないかな?と思い、冷蔵庫を開ける。 幸いにも、鮭が入っていた。 昼ご飯を食べ終え、暫くボーッとしている。 ボーッとしている内に、眠くなってきてしまったので、 そのまま、カーペットで保護されている床に体を倒す。 と同時に、ポケットの辺りに圧迫感を感じる。 何だ?と思いながらポケットから何かを出す。 あぁ…… そういえば携帯をポケットに入れていたんだっけ……。 ポケットから取り出した携帯をじっと眺める。 水無月さんのメールの事を忘れていたわけではない。 ただ、考えるのを後回しにした。 それだけの話だ。 携帯の受信ボックスは再度見る。 そこに書かれている差出人は全て水無月さんだ。 「何でだろうなぁ…………」 そう呟きながら、さっき見ていなかった残りのメールを見ていく。 478 名前:溶けない雪[sage] 投稿日:2007/11/26(月) 19 26 42 ID MLwnsq7n 見ていく事で、ある事に気が付いた。 全てのメールが、30分の間隔で送られている。 妙に律義というかなんというか…… そしてもう一つ気が付いた。 メールが約12時頃に終わっている。 これが意味する事は何か。 確か僕はメールで寝る時間帯は12時だと答えた。 そして、水無月さんの少し異常とも取れるメールの数。 30分間隔、12時にピタリとメールを送るのをやめている。 つまり、水無月さんは少なくとも普通にメールを送っていたという考えが浮かぶ。 その普通が、少し異常なのが問題なのだろうけど……… 考えても、これからどうすればいいのかが分からない。 無視しようかとも考えたが、結局そんな事は出来ず、 水無月さんに昨日のメールの返信をする事にした。 (ごめんね、昨日は早く寝ちゃってた(汗)) 嘘は付いていない。 色々理由はあったのだけど、早く寝たのが一番の理由なのだから。 昨日のメールの返信なので、届くまで時間が掛かると予測したねで、 それまでの間にテレビの電源を入れようと立ち上がった。 立ち上がったのだが、床に置いた携帯から着歌が流れたので直ぐに腰を降ろす。 さて………、差出人は水無月さんだった。 もしかしたら水無月さんは携帯を常に自身の回りに置いているのかな? などとおぼろげに考えながら、返ってきたメールを見る。 (そうだったんだ……いきなりメールが戻ってこないから心配しちゃったよ) 心配………か 僕が少し考え過ぎていただけだな………… 何でもかんでも僕は深く考えすぎるんだよ。 深く考えるという事は、日常的にはあまり意味がない事だ。 お陰で昨日なんかはトラックに轢かれそうになったし。 (本当にごめん(汗)) 分かっていて返信をしなかった事もあって、もう一度謝罪のメールを送る。 今度も大して待たずに返信がきた (うーん………じゃあ、お詫びという形で買い物に付き合ってくれないかな?) (それ位なら全然構わないよ) 誘いのメールを即座に受ける。 ちょっとした罪悪感と、どうせ今日は暇だからだ。 (じゃあ、2時30分に繁華街の北入り口で) (了解) メールを送り、携帯で現在の時刻を確認する。 携帯に表示されている数字は1と50、 479 名前:溶けない雪[sage] 投稿日:2007/11/26(月) 19 27 17 ID MLwnsq7n つまり1時50分だ。 ここから繁華街に着くまで6分程度、充分に時間はある。 準備は先に済ませてしまおう。 使用した食器を片付け、2階にある自室に向かう。 廊下を一歩、一歩と進む毎に足元から木が軋む音が聞こえる。 足元から軋む音が聞こえる度に、床が抜けやしないかと冷や汗をかく。 簡単に床が抜けるわけがないと分かっていても、そう思ってしまう。 何より、さっき通った時は鳴ってなかった気がするんだけどな……… ひやひやしながら廊下を通り、階段を登る。 自室に入り、着替えを済ませる。 着替えが終わった頃には、時間が2時を回っていた。 「うーん……」 待ち合わせの時間は2時30分、 今の時間は2時近くだ。 「今から行くか……少しのんびりしてから行くか………」 今は寒い季節ではなく、これから歩いて10分頃には着く。 約束は30分からなので20分位待つという事になる。 しかし、のんびりしてギリギリ位に行けば相手を待たせる事になる可能性もある。 「………行くか」 結局、今から出る事にする。 少し待つ位、別にいいじゃないか。 そう考えて、薄着で外に出る。 徒歩で歩くこと約6分、水無月さんとの待ち合わせ場所に着いた。 待ち合わせ場所には、 誰が作ったのかが全く分からない、犬と人間の像が中央に建てられていて、 像の近くには、ところどころにベンチが設置されている。 やはり少し早すぎた様で、まだ水無月さんは来ていないみたいだ。 辺りを見回すと、待ち合わせ場所としてはそこそこ人気なのか、それなりに人が集まっている。 再度時計を見る。 現在2時8分。 多分あと10分位で水無月さんは来ると思う。 とりあえずはベンチに座って待つ事にしt 「約束20分前行動とは、感心しますね」 ベンチに腰掛けようとした時、背後から声をかけられた。 480 名前:溶けない雪[sage] 投稿日:2007/11/26(月) 19 30 22 ID MLwnsq7n 投下終了 最近は続きがなかなか書きだせない・・・ 逃亡作者にはならないようにします 481 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/26(月) 20 29 47 ID z/rMFJ17 まあ簡単に言えば 水無月さんが可愛いのでオールOKw なんかバランス取れてきた気もするけどこれからどうなるのやらw 482 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/26(月) 21 49 06 ID eYhb8Oas 溶けない雪GJ これからどういう風な 展開になるのかwktkして待ってるぜ 483 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2007/11/27(火) 01 02 29 ID nZgZ3m6t 投下します。10レス使用。第四話目になります。 484 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2007/11/27(火) 01 03 25 ID nZgZ3m6t 保健室。そこにいくのは本日二回目になる。 一回目にやってきたときは怪我した指に絆創膏を貼るのが目的だった。 そして二回目たる今は、怪我はともかく病気などろくにしないくせに、今日どういうわけか廊下で 倒れていたらしい弟の様子をみるのが目的である。 弟は成績はそれほどよくはないが、その代わりに自身の持つ身体能力を活かして体育や部活動では かなりの活躍を見せている――らしい。 噂でしか聞いたことがないので、その辺りのことは詳しくは知らないのだ。 あえて知ろうとは思わないだけであって、知りたくないわけではない。 兄弟であり同居人であるため、ただでさえ俺は弟のことをいろいろ知っているのだから。 弟が高校にあがってからも妹と風呂に入っていることなど、学校にいる連中は誰一人として知らないだろう。 妹の仲を誤解されるようなことを弟が自分から口にするはずがない。俺だってもちろん口外していない。 他に知っていることとしては、弟が未だに自慰行為の意味すら知らないことがあげられる。 ちなみに、これは嘘ではない。 弟が嘘を言っているのでなければだが。 以前、話の流れで弟にさりげなく「弟。オナ……自慰をしたことがあるか?」と質問したところ、 「示威? ……兄さん、人を脅すのは良くないよ」という天然ボケを思わせる回答が返ってきたのだ。 あの時は、あえて自慰と言い直した俺の言い方が悪かったのかもしれない。 だが、『じい』と言ったら示威よりも自慰の方をすぐに思い浮かべるはずだろう。高校生であるならば。 それはまあ、高校生と言っても様々な人間がいるから自慰のことを知らない者がいてもおかしくはない。 しかし、まさか俺の弟がそうであるなどとは足の小指の爪先ほどにも思わなかった。 この他にも、弟に関して知らなくてもいいのに知っていることはたくさんある。 その代償として、家族として知っておかなければいけないことは全て把握している。 今まで弟が貧血を起こして倒れたりしたことは一度もなかった。持病があるという話も聞いたことはない。 うちの兄妹が近親相姦で生まれたと知ってから今まで、兄妹のうち誰かの体に欠陥がないかと疑ってきたから、 俺はその手のことに関してはかなり気を配っている。 今のところ、俺が平凡で、弟が身体能力が優れていて少し天然ボケが入っていて、妹が弟に対して異常なまでの ブラザーコンプレックスによる執着と独占欲を見せているぐらいで、誰の体にも変なところは見られない。 だというのに、今日弟は倒れた。 もしかしたら何かの病気が発症したのかも、と不安にはなる。 だが、今日に限ってはその不安は外れていると考えられる。 それは、保健室であの女の子に出会ったからだ。 あの子は、俺の身近にいる誰かを気絶させようと目論んでいた。 学校にいて俺と接点のある人間というと、弟と葉月さんとクラスにいる数人の友人ぐらいだ。 それ以外は教師や顔も知らない生徒たちだけだが、あまりに対象が多すぎる。知り合いには含まれない。 それを考慮に入れると、保健室で会った女子生徒の狙いは弟である可能性が高い。 もちろん、あの子に全ての嫌疑をかけるわけではない。 日々大量のラブレターや遊びの誘いのメールを受け取る(らしい)弟は、同学年の女子生徒のあこがれだろう。 弟を無力化して無理矢理モノにしようとする過激な女子がいてもおかしくない。 恋の力というのは人間の正常な判断力を奪うものだ。 俺だってそんな気分になったことがあるのだから、犯人の感情は否定しない。また責めもしない。 しかし、弟や妹や友人に手を出したのならば、俺は犯人を断固否定する。 事を無理に押し進めようとすれば周囲との軋轢が生じるものだ。 その軋みがいかなる結果を生むのか、犯人は分かっていない。 これから先の長い人生を犠牲にしてしまうような取り返しの付かないことになる前に、何としても止めなければ。 485 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2007/11/27(火) 01 04 44 ID nZgZ3m6t 幸いにも廊下を走っている現場を教師に発見されることもなく、保健室に到着した。 保健室の入り口は、その地点だけが高い人口密集度を見せていた。 男女の比率は男ゼロで女が百。集まっているのは全員が女子生徒であった。 事情を知らない生徒であれば一体どんなアイドルが保健室に匿われているのかと疑う状況だ。 しかし俺は知っている。保健室の中にいるのは歌って踊れて演技もできるアイドルではない。 俺の弟だ。特技が『特撮ヒーローの必殺技のモノマネ』の弟である。 ここにいる女子達が弟を心配してやってきたということは言うまでもない。 ポイント稼ぎのつもりだったのだろう。 だが、これだけ集まっていたら弟のポイントは全員に行き渡る前になくなるな。 「ちょっと御免なさい。通してね」 葉月さんが女子達の中へ突っ込んでいった。 俺もそれに続こうとしたのだが、葉月さんの真似をするには難度が高すぎることに気づいた。 女子生徒の人混みに紛れ込んでいいのは同性である女子か、人気者の弟みたいな男ぐらいである。 特徴を挙げるなら地味の一言に尽きる俺がとっていい行動ではない。 先に進むことを逡巡しているうちに、葉月さんは保健室の入り口に到着していた。 しかし、どういうわけか葉月さんはドアを開こうとしない。何かあったのだろうか。 女子達は俺に背中を向けていて、俺の存在には気づいていない。 これ幸いと女子達の人混みに少しだけ接近する。 ……むう。あまりドキドキしないのは俺が葉月さんと話すことに慣れているからなのであろうか。 葉月さんと数人の女子の会話が聞こえる。 「……ちょっと。どいてくれない? 保健室に用事があるのよ」 「駄目です。いくら葉月先輩でも、いやむしろ葉月先輩だからこそ、中に入れるわけにはいきません」 葉月さんに先輩をつけて呼んでいるということは、相手は一年生のようだ。 しかし、なぜ一年の女子は保健室に通してくれないのであろうか。 「中にいる男子生徒に用があるの。倒れたって聞いたけど」 「やっぱり彼に会うのが目的なんですね。……怪我はしていないから安心して帰ってください」 「直接見なくちゃ信じられないわよ。別に変なことしないって。ただ様子を見に来ただけだから」 「それでも駄目です。他の女子生徒を中に入れることはできません」 これはおかしい。まるで面会謝絶状態ではないか。 怪我をしていないのなら、ここまで強硬につっぱねることもないだろうに。 入れられない理由でもあるのか? 「ハア……。あなたたち、やっぱりあれ?あの、噂の」 ん、噂? 「そういうことです」 「確かにあの子は顔もいいし運動もできるから、あなたたちみたいなミーハーな子が騒ぐのも無理ないけど。 だからって私が中に入れない理由にはならない。勝手な決まりを作るなら内輪だけでやって頂戴」 「できません! 会員第四条特例項目、『葉月先輩は要注意』! それに、個人的にも葉月先輩を彼に近づけたくないんです!」 今、変な単語が出たぞ。会員? 第四条特例? 何の会の、どんな決まりのことを言っているんだろう。 「……いいからそこ、どきなさいよ。力づくで通ってもいいのよ、私は」 「できるならやってみてください。すぐに先生を呼びますから」 「言うわね。一人じゃ近づくこともできない、告白する勇気もない、だからせめて誰も近づけないようにしよう、 なんて甘い考えのお嬢様集団が」 まずい。葉月さんの声が低くなり出した。おまけにセリフに毒がにじみ出している。 このままじゃ、葉月さんと対面している女子の身に危険が及ぶかもしれない。 だが、こんな離れた場所からじゃどうにもならない。止めようがない。 お願いだ、見知らぬ女子よ。これ以上葉月さんをヒートアップさせないでくれ。 486 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2007/11/27(火) 01 06 52 ID nZgZ3m6t 「葉月先輩みたいに綺麗な人にはわかりませんよ。私は、自分に自信が持てないんですから……」 「あなたが自分に自信を持っていようがいまいが、私には関係ないでしょう」 「だって……葉月先輩が彼と付き合いだしたら、私は邪魔なんかできないじゃないですかぁ……。 絶対、葉月先輩には勝てないもん……」 涙声。泣いているのは葉月さんと向かい合っている女の子だろう。 そりゃまあ、容姿で葉月さんに勝っている女子はそうはいないから、勝てないと思い込んでも無理はない。 しかし、容姿が良くても恋愛成就するとは限らないぞ。 事実、弟は葉月さんの容姿を褒めることはあっても付き合いたいと言ったことはない。 というか、弟は誰かと付き合いたいという話を持ちかけてこない。 弟が中学時代に女子に付きまとわれ始めてから今まで、ただの一度もだ。 誰か好きな人がいるのかと問い質しても答えをはぐらかすばかりで、未だに奴の真意はつかめない。 ただ、その相手が妹でないのは確かだろう。 もし弟が妹に惚れているのならば、今以上の心労がたたって俺は色々な部分がボロボロになっているはずである。 「言っておくけど、私はあの子と付き合うつもりなんかさらさらないわよ。 だって…………他に好きな人がいるから」 葉月さんのカミングアウト。続いて女子の集団から大きなざわめきが起こる。 「ええっ! ほ、本当ですかっ?!」 「相手は? 三年の男子の小山さんですか?」 「数学教師の奥ちゃんだよ、きっと!」 「そんな……憧れの葉月姉様が……」 保健室のドアの前が多数の驚きの声と少しの悲しみの声で騒々しくなる。 女子達の放つ熱気は俺の足を勝手に後退させるのに十分な勢いを持っていた。 しかし後ずさりしたのは熱気に押されたことだけが理由ではない。 ――激しく嫌な予感がしたのだ。 葉月さんが好きな人。以前ならそれが誰であるのか、俺だって興味津々だった。 今では、葉月さんが誰を好きなのか知っている。 彼女はその相手にラブレターを書き、屋上で告白をし、相手の家に押しかけまでした。 羨ましくも葉月さんにそこまで想われている相手は―― 「そこにいる、彼よ」 葉月さんが短く、しかしはっきりとその場にいる全員に聞こえるように言った。 そう、未だになぜ好かれているのか自分の行いを省みても全く心当たりがないのだが、 どういうわけだか葉月さんが想いを寄せている相手というのは俺なのである。 葉月さんの言葉に反応した女子全員が俺の方を向いた。 振り向いた瞬間の彼女たちの目は隠しきられていない好奇心で一杯だった。 言葉にするなら、一年女子の一部に憧れの目で見られている葉月さんが好意を寄せる相手はどんな人間なのか、 ものすごく素敵な人に違いない、という感じだろう。 だからであろう。全員が俺の顔を見た瞬間に肩透かしを食らったような表情をしたのは。 「えー……っと」 「この人を? 葉月先輩が?」 「あの……とりあえず、こんにちは」 一番近くにいた女子生徒が軽く会釈してきた。頷きで返事する。 ……いや、いいんだけどね。そういう反応されてもさ。 自分の顔は毎日鏡で拝んでどんなものかよくわかっているし、クラスの女子にも似たような反応をされているし。 彼女たちは、なんで俺みたいな地味な奴が葉月さんに好かれているのかわからないのだろう。 俺だってわからない。だから彼女たちに何かを言う資格は俺には無い。 だがそこまで落胆してもらうと、さすがにこっちまで落ち込むというか、なんで同じ親から生まれた兄妹なのに ここまで扱いに差が出るのかとか、そんな微妙な気持ちになってしまうではないか。 最近葉月さんに優しくされているから錯覚していたようだ。 やはり、異性は俺に対して薄い印象しか抱かないらしい。 487 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2007/11/27(火) 01 08 01 ID nZgZ3m6t この空気に耐えかねてそろそろ立ち去ろうかと思ったとき、葉月さんが俺の方へ戻ってきた。 立ちすくむ俺の腕を取り、保健室の入り口の方向へと連れて行く。 ドアの前にはやはり知らない女子生徒が立ちはだかって進路を妨げていた。 「そういうわけだから、あなたたちの心配するようなことはしないわよ。 もう一人男子が一緒に行くんだから、変なことをする心配もしないで済むしょう?」 「ええ、そういうことでしたら。疑ってすみませんでした、先輩」 女の子は申し訳なさそうに頭を下げると、ドアの前からどいてくれた。 「いいのよ。なるべく危険因子は近づけたくないっていうその気持ち。よくわかってるつもりだから」 「先輩。最後にひとつだけ聞いてもいいですか?」 「何?」 「その人、何者ですか?」 「……質問の意味がよくわからないんだけど」 同意である。何者と言われても、ただのいち高校生としか答えられない。 以前は久しぶりに会った親戚に実年齢より五歳以上年上に見られたりしたが、今は制服を着ているのだから 高校生にしか見えていないはずだ。 「いろいろと疑問に思うことはあるんですけど、一番わからないのはその先輩まで保健室に入ることです」 「あ、そういう意味なの」 「葉月先輩の付き添いできたんですか? それともただ心配で来たんですか?」 「後者よ。だって彼、あの子のお兄さんだもの」 「……お兄さん?」 「そうよ。知ってるでしょ、あの子にお兄さんがいることぐらい」 「じゃあ、この人が、あの」 女子生徒はここで言葉を飲み込んだ。 あの、ってなんだろう。俺に関する噂でも流れ出しているのか? 葉月さんと一緒に登下校するようになってから変な噂が流れていないか耳を澄ませているが、 タチの悪いものはまだ耳にしていない。軽い恨み程度ならしょっちゅう聞いているが。 「そうなんだあ……お兄さんか」 人形でも見るような無機質な女の子の目に色が宿った。 俺の正体が知人の兄だということがわかって、ようやく警戒が解けたようだった。 だが、どうにもそれだけではないような気もする。 さっきまで邪魔者でも見るような目つきだったのに、今ではにこやかに微笑んでいるのだ。 視線を横に流す。他の女子も雰囲気を柔らかくしていて、排斥する気配を消していた。 変わり身が早すぎるだろう、後輩諸君。 俺が憧れの男の兄だとわかっただけでここまで手のひらを返されると、弟の人気者ぶりに少しの誇りと たくさんの嫉妬を覚えてしまうではないか。 左にいた女の子が俺の左手を握った。しかも両手で。 「あの、お兄さん。私村田って言います。いつも弟さんには仲良くしてもらってます。よろしくお願いしますね」 「……はあ」 どう答えたらいいかわからないので、こんな声しかでない。 ぼんやりしているうちに、今度は周囲から色々な声を投げかけられた。 「村ちゃんずるい! あの、私は石川です!」 「平田です! 気軽に平ちゃんって呼んでください!」 「みんな少しは落ち着きなさい。……広瀬です。私の名前だけは覚えてください」 自己紹介の嵐。続々と女の子が俺に向けて名乗りを上げる。 悪いけれど、左手を握ってきた女の子以外の名前はちっとも耳に残っていない。 俺は基本的に人の名前を覚えるのが苦手なのだ。 いや、仮に得意であったとしても十人以上の女の子の名前と顔を一致させる離れ業まではできない。 この子達も、俺に自己紹介したところで弟の好感度がアップするわけではないというのにご苦労さまなことである。 488 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2007/11/27(火) 01 09 34 ID nZgZ3m6t さて、今の俺は右手を葉月さんに、左手を村田という名の女子に握られたままの状態にある。 両手に華とはまさにこの様子のことをいうのだろう。 むしろ周りは女子だらけなわけだからお花畑の中にいるとでもいった方がふさわしいかもしれない。 しかし、どうにも納得のいかないこともある。 なぜ俺の右手は握られている痛みで悲鳴をあげているのであろうか。 「なによ……あんたたち……勝手に手なんか握って……しかもいきなり馴れ馴れしくなって……! 私でさえ、簡単に声をかけられなかったのに…………」 この声は葉月さんか。いつもと違って声を絞り出すようにして喋っているからすぐにわからなかった。 どうやら葉月さんは怒っているご様子。女の子達が俺に話しかけだしたのが気に入らないらしい。 もしかして、やきもちというやつか? 葉月さんは後輩の女子に嫉妬している? それほど葉月さんに想われているなんて、俺はなんと幸せ者なんだろう。 右手に痛みどころか触覚まで感じなくなるほど今の俺は喜びに打ち震えている! 学年一の美女プラス多数の後輩女子による似非ハーレム状態を堪能していると、突然保健室のドアが開いた。 「みなさん、少し騒ぎすぎですよ」 と言いながら扉から顔を出してきたのは――我が2年D組の担任であった。 なぜ担任が保健室からでてくるのだろう。授業中以外は職員室で茶を飲みつつ文庫本を読んでいるか 図書館にて分厚い本を読んでいるかという行動パターンしかとらないはずなのに。 「中には寝ている生徒がいるんですから、心配してきたのならもっと気を配ってください」 担任の声を聞き、女子達は急に静かになった。 少しの注意であれだけ騒いでいた女子を鎮めるとは意外である。 もしかしたらうちのクラスの担任は生徒からの人望を集めているのかもしれない。 「あら? お二人ともどうしてここに?」 担任が俺と葉月さんに向けて疑問の声を向けてきた。 「実は弟が倒れたって聞いたもんで。ちょっと見に来たんですよ」 「弟? ああ、そういえば名字が同じでしたね。 ふー……む」 担任は俺の顔を見たまま右手を顎に当てた。何かを考えているようである。 「あまり似ていな――――いえ、なんでもありません」 「……今、似ていないって言おうとしませんでした?」 「弟さんは中にいます。どうぞ、中に入ってください」 この教師は、人のツッコミに対してなんと見事なスルーをするのであろうか。 流石、その年になっても独身でいられるだけある。 聞きたくない人の言葉を切り捨てる技術は並ではない。そこだけは見習いたいものだ。 「ところで先生はなんで保健室に来てるんですか?」 「私が弟さんの倒れていた現場の第一発見者だからです。廊下を歩いていたら偶然倒れている生徒を 見つけたので、他の生徒の手を借りて保健室に運び込んだんです」 「そうだったんですか。それは、どうも……ありがとうございます」 「弟さんは体調管理を怠っているのではないですか? 倒れた場所が校内、しかも廊下だったから よかったものの、車道の近くで倒れたりしたら命に関わりますよ」 「はい、家に帰ったら言い聞かせときます……」 「まったく。……あら?」 担任の視線が斜め下、俺の右手へと向けられた。 つられて自分の右手を見る。俺の手と葉月さんの手は繋がったままだった。 それはいい。それはいいのだが――指が紫色になっているのはよろしくない。 そして、手が危険な色になっているというのに痛みを感じないのはどういうわけだ。 489 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2007/11/27(火) 01 10 34 ID nZgZ3m6t 「あの、葉月さん?」 「また……女が増えた……」 「手を離して――いえ、お手を離していただけないでしょうか?」 「年増のくせに…………!」 これは――葉月さん、相当頭にきてらっしゃる。やきもちを妬くとかそういうレベルではない。 俺でさえ担任に向けて年増という暴言は頭の中でしか吐かないというのに、葉月さんは口に出してしまった。 ぽつりとつぶやいた感じだったが、これだけ近ければ担任にも聞こえているはずだ。 しかし、担任は相変わらずのやる気があるのかないのかわからない事務的な表情をしたままであった。 「葉月さん、そろそろ手を離してあげてはどうですか?」 葉月さんは答えない。俺の手を握りしめて俯いたままだ。 「そのまま握り続けていると、彼の右手は使い物にならなくなってしまいますよ?」 その通りだ。こんな紫色の手では塗料の瓶の蓋を開けることすら出来ない。 ぜひとも今すぐに離して欲しいところである。 「私と彼の繋がりを……断とうっていうの? そんなのは……」 「まったく……仕方がないですね」 担任はため息を吐くと、葉月さんの耳に口を寄せた。そして小さな声で呟く。 「彼の右手が使い物にならなくなったら、指で弄ってもらえなくなりますよ?」 「――――――あっ!」 突然声をあげた葉月さんから俺の右手がようやく解放された。 右手には葉月さんの手形がはっきりと残っていた。 紫に染まった手の中でそこだけは白いままで、まるで葉月さんの手形によって守られていたみたいだった。 もちろん、右手を変色させてくれたのは葉月さんなわけであるから、感謝しようとは思わない。 「ごめんね! 大丈夫だった?!」 葉月さんが俺の右手をとってマッサージをしだした。 見ている分にはしきりに手を揉み続けているようだったが、どうにも指の感覚があらわれてこない。 「ごめんなさい、ごめんなさい! つい頭に血が上っちゃって、それで……」 「いや、いいよいいよ。そんなに謝ってくれなくても。たいしたことないし、それに感覚も戻ってきたし」 マッサージが効いたのであろう。指の辺りにこそばゆい痺れがあらわれだした。 よかった。まだ俺の右手は生きている。 これからも趣味を継続していける。そんな当たり前のことがこんなに嬉しく感じられるなんて。 幸せというのは日々の生活の中に溶けこんでいるものなんだなあ。 490 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2007/11/27(火) 01 13 26 ID nZgZ3m6t 謝り続ける葉月さんをどうにかなだめ、保健室の中へ。 「あ……兄さん」 するとそこには、どういうわけか相も変わらず柔和な表情の弟が立っていた。 廊下で倒れていたことなどまったく連想させない顔色。 安堵すると同時に、拍子抜けした。無駄な心配をした気分だ。 しかし心配したのが無駄だったとは思わないのも事実。 いつ何時、どんな場所で、俺たち兄妹は体に異常をきたすかわからないから気を配りすぎても配りすぎ、 ということはない。 とはいえ、弟の顔を見て心配させやがって、とか小言を言うと弟を心配していた兄だと葉月さんに思われかねない。 こういうむきだしな感情はなるべく人には見せたくない。俺は冷静な男というイメージを守りたいのだ。 ――待てよ。 今時家族に対する情が厚い男というのはなかなかいないのではないか? だとすれば、意外に葉月さんの受けもとれるのでは? よし。ここは兄として、弟を心配していたような振りをするとしよう。 「ごめん、兄さん。心配させて」 「心配させやが…………は?」 「倒れたって聞いて、心配だったから来たんでしょ? だから、ごめん」 なぜこんなときにしおらしい態度をとりやがる、弟。 そんな台詞を聞くと頬がひくつくだろうが。 「…………別に心配してたわけじゃないぞ。勘違いするな」 「そう……」 弟が表情のベクトルをほんの少しだけ残念そうな方へ向けた。 ――しまった。つい天の邪鬼な性質を表に出してしまった。 だって、それはあれだ。家族に謝られたらなんだか気恥ずかしいんだよ。だからついやってしまったんだよ。 軽くさらっと礼を言われたり、憎まれ口を叩かれている方が俺は気楽だ。 弟だって普段勉強を教わった後は深々と頭を下げたりしない。ありがと、とか言うだけだ。 だというのに今日はどうしてそんな反応をとるんだ。 なぜ弟の見舞いに来た俺が、弟からの予想外の謝罪を見舞われなければならない。 機会を逃しては普段通りに冷静で厳しい兄として振る舞うしかないではないか。 葉月さんへの好感度を上げる絶好のチャンスがふいになってしまった。 弟から目を逸らし、回れ右。保健室の出口へ体を向けて、後ろにいる弟に告げる。 「体調が良くなったんならさっさと帰るぞ。葉月さんも送って行かなきゃならないんだから」 「うん……」 やけに低い調子の弟の声。しかし俺は謝らない。 俺は少し不機嫌なのだ。帰りは遅くなるし、ポイントは取り損ねるし。 と、その時。 「ふふふ……」 背後からささやくような笑い声が聞こえてきた。 肩越しに視線を向けると葉月さんが右手を唇に当てながら微笑んでいた。 「弟君。残念がることないわよ。お兄さんはあなたが倒れたって聞いて、 すっとんきょうな声を上げるほどに驚いたんだから」 んな! 「……何を言っているんだい、葉月さん。俺がそんな声出すわけがないじゃないか」 そう。あの時声を上げたのは、――かけ声を出しただけだよ。 うん、文化祭で呼び子をしなきゃいけないから、その練習をしただけさ。 一通り頭の中でそんなことを考え、さらにごまかしついでにハハハハハ、と笑ってみる。 「そうなの? 兄さん」 返答代わりに、ハを連発させる。今度はちょっと長めに。ハハハハハ、ハッハッハッハッハ。 「イエス、だってさ。弟くん」 「兄弟の仲はよろしいようですね。 正直お兄さんの方が劣等感を――いえ、遠慮をしているのではないかと思っていましたが。 仲良きことは美しきかな。これからもご兄弟で助け合っていってくださいね」 声の調子から意外なことに葉月さんのポイントを稼げていたことがわかったとか、担任のごまかしきれていない 失言が聞こえたとか、そんなことはどうでもよかった。 ただ俺は笑った。笑い続けたらこの状況から逃れられそうな気がしたからだ。 491 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2007/11/27(火) 01 18 13 ID nZgZ3m6t ***** 俺と葉月さんと弟の三人で校門から出たときには、時刻はすでに六時近くになっていた。 最近は平均気温低下の進行に連動するように、日の暮れるペースもだいぶ早まっている。 そのため六時、つまり今頃の時間には辺りはすっかり暗くなってしまうのである。 黒の色合いを濃くした路地を俺、その左に葉月さん、そのまた左に弟という陣を組んで進む。 正面から見れば俺と弟で葉月さんの両脇を固めているように映るはずだ。 もっとも、暴漢に襲われた際、三人の内で無傷でいられる可能性が高いのは葉月さんである。 だが、もちろんそんなことは言わない。 そんなことを言うのは失礼だし、何より葉月さんだって無敵ではないのだ。万が一ということもある。 いや、万が一という言い方も失礼か。もしかしたらということもある、に訂正。 それに、葉月さんの武道家としての実力云々を別にしても、俺自身が葉月さんを家に送りたいのだ。 学内でも美人と評判の女子生徒との下校。さらにその子は自分の憧れの女の子。 本来ならこちらから頭を下げてでもお願いしたいシチュエーションだ。 幸いにして、俺の場合は葉月さんからの申し出を二つ返事するだけで引き受けることができた。 そんな経緯を経て、頼りない実力皆無の葉月さん専用ナイト(俺)が誕生したわけである。 実は、葉月さんが家に入ったのを確認してから俺の警戒レベルが数段上がるのは秘密である。 最近は学校の中でも冷ややかな視線を浴びている俺としては、暗い夜道など避けたい状況でしかない。 誰かが俺を影から狙っているかもしれない。しかもそれがクラスメイトの誰かである可能性まである。 したがって、葉月さんと別れた後の俺の下校方法は競歩ではなく、またジョギングでもない。 サブスリーを目指すマラソンランナーのようなペースでの疾走である。 走っていると、緊張感から自分の足音を追ってくるような靴の音まで聞こえてくる。 強迫観念により、俺の足はさらに加速する。自分がどんな呼吸をしているのかも意識できなくなる。 よって葉月さん宅から自宅までの距離を、俺が何分で走り抜けているのかは未だに計測していない。 しかし、路地を走る自転車をあっさり抜いている点から考えて結構な記録が出ているのではなかろうか。 足が速くなったところでプラモデル作りの腕が上がるわけではないのだから、嬉しくはないのだが。 俺が考え事をしている間に、左側にいる葉月さんと弟は親しく会話を交わしていた。 「僕、葉月先輩の家に行ったことがないんですよ。学校から遠いんですか?」 「ううん。歩いて十分ちょっとで着くよ。……ほら、見えてきた」 葉月さんの視線の先には、立派な構えの門がそびえ立っていた。 永い時の経過を感じさせてくれる漆黒としけった茶の混ざり合った木柱が四本と、それに支えられて鎮座する 瓦を被った屋根の組み合わせである。長く連なる塀が門の威容を慎ましくも壮大なものとして見せつけている。 「はー……すごいですね。先輩ってもしかしてお嬢様ですか?」 「そんな大したものじゃないよ。道場が敷地の中にあるから、おっきいだけ。 昔からある家をそのまんま残しただけだから、うちの両親も武道が出来る以外は平凡な夫婦だよ」 「そうなんですか。うちの両親は普通――――だけど、ここまで大きな家は持ってないから、ちょっとうらやましいです」 「あははっ。お兄さんと同じこと、言うんだね。実際は知り合いも多いからめんどくさいんだけど。 ほら、家が長く続いてると親戚も比例して増えていくからさ。その分お年玉はがっぽり、ね」 「お年玉、ですか……」 「二人とも、お年玉とかどれぐらいもらうの?」 「えっと……そこそこです。はい」 「そうなの?」 と、葉月さんが俺に話を振ってきた。 「そうだねぇ……。うん、やっぱりそこそこかな。月の小遣いよりも多く、だが決して無駄には使えない、って感じ」 「へー、そうなんだ」 葉月さんは納得したように二回頷いた。どうやら、ボロは出さずに済んだようだ。 492 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2007/11/27(火) 01 20 17 ID nZgZ3m6t 両親が血の繋がったブラザーアンドシスターである我が一家でも、葉月さんの家族のように正月は迎える。 盆と正月ばかりはさすがに両親も実家に帰る。そして両親の生みの親である祖母と過ごす。 他の家庭では正月には親戚なども集まるらしい。だがうちの家族はひと味違う。 親戚がろくに来ないのだ。当然である。別々の家同士を結びつけるはずの結婚を身内同士で行ったのだから。 来てくれるのは祖父方の親族が数名のみ。しかも軽く挨拶して、祖父に線香を供えるだけで帰って行く。 その時に上手く鉢合わせできればお年玉を戴けるのだが、タイミングを逃せば無論のこと……である。 そのため、うちの兄妹はお年玉にあまり縁がない。 祖母と両親からは毎年もらえているから、絶縁状態でないだけマシかもしれないが。 さて、あまり人様の門前で立ち話するのも失礼だ。今日は帰るとしよう。 「葉月さん。また明日、学校で」 「先輩、さようなら。今日はどうもありがとうございました」 「うん、それじゃあね。二人とも気をつけて帰ってね。……バイバイ」 葉月さんに見送られ、弟と二人で自宅への帰途につく。 今日は弟がいるから走って帰る必要はない。 さすがに二人を相手にしてまで襲いかかってくるほど、敵も不用心ではあるまい。 事前に二人を相手にする準備をしていたのならともかく、俺が弟と帰るのは久しいのだから、今日のことは 予想していないはずだ。 冷たい空気の中、腕で伸びをしながら歩きつつ弟に話しかける。 「お前、今日は一体どうした?」 「ん、どうしたって、倒れたことを言ってるの?」 「ああ。お前が倒れるなんて今まで一度もなかったからな。ご飯を抜いて、そのせいで……とかじゃないんだろ?」 「朝も昼も、妹の料理をちゃんと食べたから、それはないよ」 ふと、そのせいで倒れたのではないかとか考えてしまった俺は兄貴失格なのであろうか。 長男としては末っ子の妹のことも信じてやるべきなのだろう。 だが、どうにもなあ。弟よ、わかっているんだろう? 料理しているときの妹の嬉しそうな表情の意味を。 愛しの兄に料理を作っているという理由だけでは、絵本に出てくる魔女みたいに唇の端をあげないぞ。 あれは、興奮状態とか恍惚状態って言うんだぞ。言い換えればエクスタシーだ。 まあいい。今までも弟は妹の料理を食べても倒れなかったのだから、血の繋がった魔女の仕業ではないということだろう。 ――では、一体なぜお前は倒れたんだ、弟? 「実は、僕のクラスは文化祭でコスプレ喫茶なんてものをやるんだ」 「……ほう。どんなプレイをするんだ?」 「プレイって言わないでよ。そうだね、巫女さんとかメイドさんとか、侍とか甲冑を着た騎士とか。 あ、ピーターパンなんてのもあったっけ。僕はヒーローの役をやりたいんだけどね」 「ほっほぅ。それはそれは。素晴らしい事じゃないか」 「うん。で、まだ準備が終わってなくて。放課後も残って作業なんかしてるんだけどね」 くくく、結構結構。僥倖だ。 「僕も残ろうと思ってて、HRが終わってからすぐにトイレに行ったら……後ろからチョークスリーパーをかけられて、 顔にいきなりスプレー……かな、あれは。それを吹き付けられたら眠くなって、たぶんそれで」 「なるほどなあ。ま、無事だっただけ儲けもんだな」 「うん。篤子先生には感謝してるよ」 突然知らない名前が出てきた。 「誰だ? 篤子先生って。担任の先生か?」 「……兄さんのクラスの担任でしょ。名前、覚えてないの?」 「特徴的な外見をしているからすぐにわかる。名前なんて必要ないだろう」 常に文庫本を片手に持ち歩いているセーターとジーンズも似合うけどどんな格好も似合いそうな文学オタ美人、 とでも覚えておけばいいんだ。おっと、年増と独身というフレーズも忘れてはならないか。失礼した、篤子女史。 493 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2007/11/27(火) 01 22 42 ID nZgZ3m6t 「いいけどね、別に。ともかく、さっき説明した通りの状況で眠らされたんだよ」 「ふむ。後ろから襲われたということは顔も見ていないわけか」 「うん。小さい手だったから女の子じゃないかとは思うけど、それだけ」 「女の子、か……」 どうしても今日保健室で会った美少女の顔が浮かんでしまうな。 彼女の不審な言動。俺のことを知っているような素振り。今のところ、彼女が一番疑わしい。 というより、今のところ他にいないか。 女の子という条件で弟を狙いそうな女子というと……保健室の前に集合していた女子達が全員疑わしくなる。 今のところは犯人を特定できない。ヒントが少なすぎる。 ――ならば、こちらから探ってやろうではないか。 「弟、さっき文化祭の準備が遅れている、と言っていたな」 「うん。接客する人だけ衣装を用意すればいいんだけど、クラスの半分以上がやるつもりみたいだから。 裁縫係の女の子たちはすっごいぴりぴりしてるよ。小道具担当もね」 弟の言葉を聞き、自然と頬がつり上がる。 最高だ。この状況こそ、俺が望んだものだ! 「誰か手伝ってくれる人、いないかな。誰でもいいんだけど。兄さん、心当たりはない?」 「ここにいるだろう」 「ここに? ……って兄さんしかいないけど」 「だから、俺がいるだろう、という意味で言っている」 「え……でもさ。兄さんのクラスは?」 「ふん。純文学喫茶など灰にして塵として土に帰してやればいい。俺にはやらなければならないことがある。 そう。お前のクラスのコスプレ喫茶を成功させるため、力を貸すという大事な仕事がな」 正直に言えば俺の欲求不満を満たすのが目的なのだが。 だが、弟はそんな俺の本心など微塵も悟ってはいない。 「ありがとう! 兄さんみたいな器用な人が居れば、準備がもっと早く終わるよ!」 このように、俺の助けを得られるとわかって神の手でも得たときのようにありがたがっている。 期待に応えようではないか。俺の覚悟は今すぐに学校に引きかえすことも辞さない。 途中で通り魔に遭おうと知ったことではない。 襲いかかってくるナイフを鞄で受けて、ウエスタンラリアットの一撃でコンクリートのマットに沈めてやる。 「じゃあ、早速明日からよろしくね! 兄さん!」 「応ともよ」 文化祭まで、あと一週間もない。 だがそれは、一週間近くも時間があるということでもある。 なにせ一日は二十四時間もあるのだ。数日あれば十分だ。十分すぎる。 弟の素晴らしきクラスメイトたちよ――もう、安心していい。俺が居れば全てが上手くいく。 ------ 今回はここまでです。 494 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/27(火) 01 53 04 ID DY+ELF68 493 GJ 例の美少女が誰狙いなのか次回には明かされることを 期待して待つよ。 495 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/27(火) 02 10 00 ID N3DqyGoF 493乙。そしてGJです。 それにしても葉月さんは可愛いなw 続きを楽しみにまったりと待ってます。 496 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/27(火) 02 21 29 ID 8CgDs1O3 493 GJ!葉月さん可愛すぐる それにしても兄貴は文化祭で何をするつもりなのか怪しく見えるぞww 497 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/27(火) 02 58 06 ID VyLR6Dyt 弟の好きな人、・・・いや、なんでもない。忘れよう。GJ! 498 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/27(火) 03 27 20 ID U0IjNHUH 男が軽くヤンデレになるSSなんだけどここが該当するのか? 499 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/27(火) 03 30 59 ID nzxekUae 493GJ! 葉月さんも可愛いのだが、兄のキャラがすごくつぼにはまる 500 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/27(火) 03 48 07 ID inV+gPrq まさか弟…ウホッではなかろうな 501 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/27(火) 10 15 53 ID OkiUSePz すでに不測の事態に備えて弟を鰤に脳内変換している自分は 石橋を叩いてわたる派 502 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/27(火) 10 32 00 ID 02+niPWa 498 みたくないやつはフィルターかけるしあらかじめNGワードふっとけば良いんじゃね? 俺は読んでみたい 503 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/27(火) 11 37 26 ID NuzDpeQh 男を病ませて一体誰が得するんだと何度 鬱屈したキモい奴か陵辱モノの主人公かのどっちかになると思う 他の住人が良いんなら試しに見てはみたいけど…惨状必死 504 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/27(火) 11 52 42 ID ogY1vAem 男でヤンデレというとすげこまくんが頭に浮かぶ。 あれくらいはっちゃけてて、殺傷方面にいかないなら読んでみたいかも。 505 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/27(火) 12 10 01 ID i//yxhr4 見たくなければNG登録を住人が徹底できればいいが、 過去に百合でも突っかかってくる人とかいて荒れたりしたからなあ。 慎重にやらないと空気悪くなるのは避けられないので配慮していただければ。 まあ読みたいか読みたくないかで言えば俺は読みたくない。 506 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/27(火) 14 04 39 ID GjpQSCFo 過程にもよるんけど ヤンデレ女にMCされて男が病むとかだったら読んでみたい 507 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/27(火) 16 50 00 ID U0IjNHUH 最終的に嫉妬スレに書いたんでよろ 508 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/27(火) 19 44 20 ID gPOzsm69 493 GJでした。 しかし、兄さん。もはや傍観者じゃないだろw 509 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/27(火) 21 32 51 ID hM8hQ68V 507 明らかにプロットに見えない件www 510 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2007/11/27(火) 22 21 19 ID P3ImyfcO 493 GJ 篤子女史が弟を気絶させたのではないかと考えている俺 511 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/27(火) 23 58 10 ID zS2alqz5 弟の思い人が篤子女史であると推測。 512 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2007/11/28(水) 00 39 05 ID CkzdOEiH 弟が、実は女で兄を慕っているなんて話だとかなり嬉しい俺 513 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/28(水) 02 48 20 ID wK9GFkl8 弟が、実は兄を慕っていると推測。 514 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/28(水) 11 36 15 ID QLkMAClv 何度読んでも弟→兄にしか見えない 515 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/28(水) 13 17 10 ID QjtXn+Gr 脳内変換「準にゃん」 516 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/28(水) 19 40 47 ID edWuJzEc アッー!は某プロ野球選手だけで十分なんだぜ 517 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/28(水) 20 21 06 ID /1Nd5e28 てかおまいら明らかに期待してるだろw 518 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/28(水) 21 01 46 ID ufvIBa6S 男は度胸!なんでも試してみるモンだ。きっと気持ちいいぞ! 519 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/28(水) 21 34 43 ID 7IQmR5w+ そういえば、ガチホモのSSがなぜか投下されていた時期もあったなぁ… 懐古してしまった、スマソ 520 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/28(水) 22 47 06 ID 52NVVfRb 初代スレだよな!ログはなくなってしまったが覚えてるぞおー 521 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/28(水) 23 15 46 ID /1Nd5e28 あれは荒らされてただけだw 懐古ついでに言えば初代の頃は「ヤンデレ」でスレタイ全板検索しても こことVIPしか引っかからなかったなあ。 522 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/29(木) 00 21 01 ID P4TdiHns 懐かしいなww あの小説を読んでおっきしたのも今となってはいい思い出だ… 523 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/29(木) 00 44 42 ID fpaMTy/S 唐突だけど 臨時保管庫にて編集作業している人、乙です ほとんど時間を置かずに保管してくれていつでも見られるので感謝してますよ これからもよろしく 524 名前:トライデント ◆J7GMgIOEyA [sage] 投稿日:2007/11/29(木) 00 58 00 ID rCB25aQZ お久しぶりです。以前の投稿から半年以上が経っていますが 投下致します 525 名前:幽霊の日々 ◆J7GMgIOEyA [sage] 投稿日:2007/11/29(木) 01 00 50 ID rCB25aQZ 第1話『幽霊屋敷』 この春。 俺はめでたく浪人することが決定した。 そりゃ、大学受験の当日に受験会場へ辿り着かなかった不運の持ち主だったら、 来年は頑張って志望の大学に受かってやるという意気込みが沸いてくるのだが。 学力以外の方法で試験に合格する手段はある。正真正銘のアホである俺は裏技を使わざるえなかった それは……カンニング。 数学関連は適当に解けばいいんだが、暗記が必要とされる科目に関してはお手上げだ。 事前に用意したカンニングのために仕込んだ消しゴム。目が怪我しているように装い、左目の包帯に いろいろと英単語や別に覚えてなくていいだろう歴史や地理の名前など。 完璧に用意したカンニング方法は……試験開始5分ぐらいでバレた。 試験官が俺の背中を優しく叩いた瞬間に、皆がテストを受けている時に 俺は相手の胸に頭突きしたサッカー選手のようにレッドカ-ドで退場。 後は偉そうな天下りしてそうな貫禄のあるハゲに人生とは何か? だんご大家族とは何かと延々と説教させられた。 悪質なカンニング行為をした懲罰として俺は試験を受けさせてもらう資格を剥脱された。試験を受けさせないなら受験料を返せよ。 そんな感じで俺は浪人することになった。 両親も息子がカンニング行為をやったぐらいでお前は勘当だ。 家から出ていけと怒鳴られて、僅かなお金を渡されて家に追い出される始末。 まあ、母親が仕送りと予備校の学費と引っ越し予定のボロいアパートの家賃を送ってくれなければ、 念願の独り暮らしなんてできなかっただろう。その事に感謝しながら。 引っ越してきたボロいアパートで俺の新生活が始まろうとしていた。 さて、引っ越したアパートの物件を選んだ理由は家賃が安いし、周囲には駅も近く遊ぶ所には困らない。 今時、家賃1500円なんて信じられない家賃に少しでも仕送りのお金を節約して 小遣いを増やそうとこすいことを考えていた俺は速攻で契約した。敷金も保証金も0円という。本気で有り難い。 ただ、物件を仲介した人は本当にいいんですか? 何度も何度も確認を求めてくる。 怪しい態度に気付いた俺は何を隠しているのかと怯えている仲介人の胸倉を掴まさせて、白状させた。 なんと、俺が契約したアパートには幽霊が住んでいるらしいのだ。 そう、この物件と契約した人たちはたったの三日ぐらいで契約解除して泣きながら助けを求めてきたらしい。 正直、俺も信じがたい話だが、その仲介人も幽霊の存在を見たことがあると自分の恐怖体験を延々と語りだした。 深夜零時頃になると幽霊がうらめしやーと叫びながら姿を現す。 予想もしていない異物な存在にパニックを起こした仲介人が唯一確信を持って言えたのは、幽霊は女性だった。 たった、それだけのことである。 526 名前:幽霊の日々 ◆J7GMgIOEyA [sage] 投稿日:2007/11/29(木) 01 03 23 ID rCB25aQZ その事実を知ってから、松山光一(俺)は中古アパートに引っ越して一週間。 何事も起こらなかった。 幽霊なんて噂話に過ぎなかったのではないか? 住人の全てが麻薬中毒者で幻覚症状に陥っていた可能性すらも浮かんでくる。 ともあれ、夜だ。 「今夜も秘蔵のお宝をインスト-ルするか」 浪人生である俺が自宅から持ってきたPCでお目当てのゲームをインスト-ルするのは 真面目に受験に取り込んでいる人たちが見るとお前絶対に必ず落ちると指を差して笑われるかもしれないが、断固として言うであろう。 激しい受験勉強で数々のストレスが体に蓄積しているので、少しぐらいゲ-ムをやってもいいだろ。 そんな感じでPCを起動して、スピーカーの差し込み口にヘッドホンをする。隣に住人はいないが、外に声が漏れるのはよろしくはない。 完全最強装備を整えた俺はいざ勝負っ!! 「う~ら~め~し~や~」 「ん? 何か聞こえたような?」 スピーカの音量をMAXにしているため、僅かな小さな声が聞こえるだけである。 「そんなことよりもヤンデレヒロインを頑張って病んでもらわないとステ-ジクリアができねぇよ」 「う~ら~め~し~や~」 「最近のヤンデレヒロインは着信99件に、ポストに五年分の手紙が入っていると年々と凄くなってきているな」 「う~ら~め~し~や~」 「ひゃっほっっっ!! ヤンデレゾンビが鉈を装備かよ。誰かロケットランチャ-持ってきてくれ」 「う~ら~め~し~や~。う~ら~め~し~や~」 「う~む……。精神世界にダイブするとまともだったヒロインがヤンデレ化して、 自分のために死んでよと嘆願されてもなぁ。男は余裕でひくって……」 「う~ら~め~し~や~。うらめし~や」 「ん?」 後ろを振り返ると……そこには見慣れない少女がいた。 白い服だけ身に纏っていた少女が涙目になって、うらめしやと呟いていた。 年頃は俺と同じくらいであろう。腰まで届く長い髪に、整った可愛らしい容姿。 これが幽霊と言われると、押し掛けてきたストーカーが家に侵入してきたように思える。 「とりあえず、うらめしいんですよぉ!!」 と、目の前の幽霊は振り返った来た俺の身体にポカポカと力を入れずに叩き出した。 何がうらめしいのか、その小さなお口でちゃんと事情を説明して欲しいもんだ。 「その前に。あんたは噂になっている幽霊なのか?」 「そうですよ。すでに故人です!! お墓もありますよ!!」 「それは良かったな。じゃあ、俺はヤンデレオンラインRPGの攻略するからじゃあ」 「ひ、酷いです。わ、私のお話も聞いてくれてもいいじゃないですか……」 「いや、聞いてもさ。生前、私は犬でしたがご主人さまのために転生しましたオチでしょ?」 「犬なんかじゃあありません。生前はまともな人間でしたよ!! それに私が話したいことはそういうことじゃあないんです」 この幽霊はしつこく俺に歯向かってくる。せっかく、至福の時間を潰す奴は極楽へ行かせてあげたい気分になってきた。 527 名前:幽霊の日々 ◆J7GMgIOEyA [sage] 投稿日:2007/11/29(木) 01 05 43 ID rCB25aQZ 「大体、光一さんはあなたは一体何ですか!! あなたがアパ-トにやってきた日からずっとずっと、 うらめしやうらめしやって言っているのに全然気付いてくれないじゃないですか? あなたは本当に人間なんですか。他の人なら私の声に気付いて、すぐに逃げるんですよ」 と、幽霊はポカポカと俺の頭を叩いてくる。力が篭もっていないので全く痛くも痒くもないが、幽霊の愚痴はまだまだ続く。 「なのに……光一さんは毎日毎日PCゲ-ムで夢中になって、本当に受験生なの!? って感じに朝になるまでゲ-ムをやっているだもん。 私、一度その人に姿を見られない限りは朝になると見えなくなるんですよ。 だったら、夜は早く寝てください。そうじゃないと私の声が聞こえないでしょう!!」 「ようするに気付かなかったことに怒っているのか」 「そうです!! 寂しがっている女の子の気持ちに気付かないと背後から鋸から刺されますよ」 俺に無視されて、寂しかったのか幽霊。 「まあ、気付かないのは真面目に受験勉強に取り込んでいた俺の落ち度ということは認めよう」 「誰がが真面目に勉強していたんですか?」 「ともあれ、幽霊が実在していると証明されたので。それじゃあ」 「それじゃあないんです!!」 と、先程から幽霊は自分の受けた仕打ち分は怒る権利があると言うばかりに怒鳴り散らしていた。 可愛いらしい容姿をしていても、カルシウム不足の女は男にモテないと思うんだが。 「どうして、光一さんは私のことを恐がらないんですか? 仮にも、私はすでに死んでいるんですよ」 「恐がると言われてもな……」 これが筋肉ダルマの幽霊や顔が半分潰れている生理的に受け付けない幽霊なら 裸足でお宝のソフトコレクションを持ちながら逃げ出していただろう。 だが、目の前の少女は和やかな雰囲気を部屋に充満させているおかげでそんな恐怖を微塵も感じなかった。 「幽霊が居てくれないと家賃が上がるじゃん」 「家賃って」 「幽霊が出ると噂されているボロいアパ-トのおかげで家賃が安くて助かっているんだ。恐れるどころか、逆に感謝したいとこです」 「感謝って……」 「でも、遠きヴァルハラの道に行きたいなら、別に成仏してもいいんだけど」 「いいえ。まだ、私は成仏したくありません。この世に未練はたっぷりとあるんですよ」 528 名前:幽霊の日々 ◆J7GMgIOEyA [sage] 投稿日:2007/11/29(木) 01 08 24 ID rCB25aQZ 「その未練とは?」 幽霊がこの世に固執した理由を肴にして、今晩は暇つぶしができそうだ。 軽い気持ちで聞いた俺とは違って、幽霊は前髪で表情を隠して陰気な雰囲気を漂わせてから言った。 「私が死んでから15年の月日が経ちました。 生前は光一さんと同じように新築したアパ-トの部屋に住んでいました。 ここに住んだ理由は一生懸命勉強して入った大学に通うために下宿したんです。 この大学に入るために青春の全てを犠牲にして猛勉強しました」 小さな手で鉛筆を動かしている幽霊の姿を思い浮べる。バカと書かれていた鉢巻きを頭にしている 彼女の健気な受験勉強に声援の一つとバナナの皮を持ってきて、 その場で滑って見せたりといろいろな悪戯もやりたくなるわけだが。 幽霊は感情が強くこもった声が周囲の空気を更に重くした。 「せっかく、ギリギリで受かった大学も勉強が難しくてついていくことがやっとでした。 毎日毎日、自習や勉強に貴重な時間を費やしたときに気付いたんです。 他の皆は大学を勉強している場所ではなくて、男遊びにやってきた雌だということに。 友達も勉学よりも医大や一流大学のボンボンばかりを狙う狩人でしたし。 そこで私は勉強のおかげで自分の初恋もまだだったことに気付きました。 これからは男を、彼氏を作って、失われた青春を取り戻してやるんです!! 宮野由姫(みやの ゆい)20才。運命を変える決心した日ですぅ」 宮野由姫……男に泣かされるフラグが見事に立ちやがった瞬間だな。 「ところが、私は情けない事故で死ぬことになりまして。 若い年頃の女の子が初恋もできずに死んでしまうということは幽霊になる理由としては充分すぎると思いませんか? それがこの世に未練を残すことになったんです。本当に可哀相だと光一さんも思ってくれますよね?」 「俺が言えることはたった一つだけだよ」 宮野由姫の悲しい過去に同情することはできないだろ。 どう受け止めるかは人それぞれ違うものだから。 俺は俺の真実を大声で告げるだけだ。 「実年齢35才!!?? いや、それよりも。驚くべきことは…… この鍛え抜かれた鋼鉄の肉体!!!!」 「鍛え抜いていませんし、普通の女の子の体ですよぉぉ!!」 幽霊・宮野由姫は頬を膨らませて、女の子に鋼鉄の肉体って嫌味ですかとジト目で睨まれていた。 小動物が少しムクれている姿は幽霊であっても可愛いもんだ。 と、俺は今まで話を聞いてとある事実に気付いた。 「未練を残して幽霊になったってことは……宮野由比さんが初恋するまでは成仏できないのか?」 「その通りです」 「それまでは俺の部屋で居座るつもりかよ」 「ううん。ずっと、光一さんの傍にいますから。よろしくお願いしますね」 こうして、俺と幽霊の奇妙な共同生活が始まった。 やれやれだぜ。 529 名前:トライデント ◆J7GMgIOEyA [sage] 投稿日:2007/11/29(木) 01 10 26 ID rCB25aQZ 投下終了です。 一応、短編で終わらせる予定です。 ヤンデレスレは二度目の投稿になるので よろしくお願いします。 530 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/29(木) 03 40 52 ID lmJpuons 所謂ヤンデレコメディ的なノリですな。 こういう笑えるの大好物だwww てか男のキャラに吹いたwwwニヤニヤしながら癒されましたww GJ!! 531 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/29(木) 04 17 11 ID 8topzTfM トライデントってあの荒らしのトライデントか? 532 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/29(木) 07 31 44 ID fZEMAy9O NG指定:8topzTfM 533 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/29(木) 07 33 49 ID glm/58lu 529 GJ 黒の領域好きでした 続きを楽しみに待ってます 534 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/29(木) 12 43 12 ID dKmP0TWA 529 GJ!! こういうの大好きだ。 短編なのが残念だ。 535 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/29(木) 12 52 53 ID vRFIwkkU 529 GJと言いたい所だけど、言葉の使い回しとか誤字が多いので、しっかり推敲してほしいです 536 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/29(木) 13 33 32 ID 8X5oLiXt 535 そんなに誤字が多かったけ? よくわからないけど 537 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/29(木) 17 18 58 ID X3e5tVc7 一瞬「えっ!!桜荘はっ!?」 って思ったけど ここはヤンデレスレだったな 538 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/29(木) 17 37 49 ID g+HB/JQ1 529 GJGJ!!!!1 3年前に北海道の会社に就職したとき家賃3000円の部屋に幽霊が出たのを思い出した。 539 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/29(木) 18 05 14 ID bzDg5k5i トライデントさんは荒らしに好かれてるからな、もれなく荒らしが着いてくるんよね しかし文法間違いや誤字が多いのは事実 540 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/29(木) 18 44 49 ID FN75cyde 539 だったら、ちゃんと間違いを指摘してあげたら? 個人的にはネタが良ければ、それでいいんだが 541 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/29(木) 18 58 35 ID 74u0AYNO 例えばこことか。 >他の皆は大学を勉強している場所ではなくて、男遊びにやってきた雌だということに。 まああんだけ言われてんのに直らないってことは この人の芸風なんじゃね?って俺は解釈してるけど。 542 名前: ◆5PfWpKIZI. [sage] 投稿日:2007/11/29(木) 19 04 18 ID DLC4FQNb トライデントさんGJです 誰がなんと言おうと俺は書き続けるあなたを尊敬するしあなたのファンです。 逃亡したと思われているであろう俺が投下します。リハビリ投下で書く希望をもらいました。 本当にすみませんでした。 初見の方もたくさんいらっしゃると思います。 本保管庫の方にまとめていただいているので興味が合ったら読んで下さい。 では投下します↓ 543 名前:恋人作り ◆5PfWpKIZI. [sage] 投稿日:2007/11/29(木) 19 09 03 ID DLC4FQNb シャラン 湯の中で鎖を揺らすと耳に心地良い音が鳴った。聖佑人はだいぶのぼせた頭で鎖を 鳴らして遊んでいた。そろそろ姫野亜弓にでも助けを求めようか、と考えながら どうにも面倒で体が動かない。このままいたら立てなくなるな。頭の隅でそう呟く。 先ほど、姫野真弓は佑人に口づけた。 唇はすぐに離れて一瞬だけ2人の瞳が交錯する。 「あっいや……今のは……」 目を逸らして口ごもると次の瞬間に真弓は弾かれたように立ち上がり素早く 手錠を蛇口に付け替えると風呂場から逃げ出してしまった。 「ゆっ佑人が見つめるからいけないんだからね!!!!」 扉ごしにそう意味の分かるような分からないようなことを叫ばれて佑人は放置された。 そして今に至る。ぼーっと湯に浸かり続けて一時間、佑人はのぼせきっていた。 ■■■■■■ ■■■■■■ 急にに鮮烈な空気が入ってきて顔をあげる。風呂場のドアが開いて亜弓が立っていた。 「のぼせちゃったかしら……ごめんなさいね、真弓を宥めるのに時間がかかってしまって」 言いながら入ってきてカチャリと手錠を外す。湯気で青白いほどの肌に黒髪が 張り付いていた。生き物のようにも見える黒髪。その下に見えるうなじから鎖骨に かけて目を走らせると平素よりか幾分色づいている。血が通っているのだ。 この人も生きてるんだな。佑人は妙な実感を覚えた。 「ありがとうございます」 「いいのよ……部屋で真弓が待っているわ。行ってあげて」 そう言いながら亜弓は佑人の首輪の鎖を有無を言わさずに引いていた。 ■■■■■■ 544 名前:恋人作り ◆5PfWpKIZI. [sage] 投稿日:2007/11/29(木) 19 12 05 ID DLC4FQNb ■■■■■■ 暗い部屋に入る。亜弓は音も立てずに真弓の首輪に鎖を繋ぐと出て行った。 「……真弓」 黙っているのも気まずいので話しかける。返答は、無い。一メートル程度の距離の所で 背中を向けてうずくまる真弓は酷く小さく見えた。こんな子に俺は繋がれてるのか。 酷くバカバカしい事実だったが、事実は事実だった。もうすぐ終わるであろうにしても 今現在繋がれていることに変わりはない。薬がまた回ってきたのか体が酷く重かった。 「真弓。寝ようか」 肩に手をかけると真弓の体がびくんと震えた。 「真弓?」 「……っ佑人は、佑人は私に興味ないの?」 「は?」 佑人には脈絡なく感じる問いだった。 「だから、佑人は、私と、その……その、えっちな事とかしたくないの?」 暗闇でも分かる。真弓の顔は赤かった。 「いや…」 「だって好きなんでしょ?好きだったらしたいものでしょ?」 一度言ってしまうと真弓は吹っ切れたのか一気に言葉を継ぐ。 「私は……佑人と、したいよ?体も佑人のものになりたい。佑人が、好きだから」 言い切ると真弓は一旦俯いて、それから驚きで硬直している佑人にキスをした。 545 名前:恋人作り ◆5PfWpKIZI. [sage] 投稿日:2007/11/29(木) 19 16 33 ID DLC4FQNb 始めは唇が触れるだけの。 その次は触れた後に舌でなぞって。 三度目に触れた時に真弓は佑人の中に舌を差し込んだ。 口腔の中に真弓が入って来るに至って佑人の鈍った頭にも警鐘が鳴りだした。 まずい。このままではまずい。また侵食されてしまう。だがそう思う間にも真弓の舌は 佑人を犯していた。絡みつき、隅々まで舐めていく。ゆっくりとした動きだが確実に 佑人の脳は快感を感じていた。いつの間にか腕が首に回されており体が密着している。 薄いパジャマを通して真弓の胸が、太ももが、腹が、佑人に密着していた。 彼女の鼓動――早鐘を打っている鼓動が伝わってくる。 その暖かさは、愛しささえ錯覚させて来る。しがみつくように、離さないように 腕や足に力が込められ、軽い圧迫感すら与えた。 軽い呼吸音。 息が続かなくなったのか真弓が顔を離した。小さく佑人、と囁いて首に回していた 腕をとく。そのまま佑人のパジャマのボタンを外し始めた。 「真弓っ何し」 止めようとすると唇を塞がれる。舌を吸われながら、佑人はそれでもまだ抵抗 しようとしていた。自由にならない体に加えて抵抗しようとする気さえ萎えていく。 546 名前:恋人作り ◆5PfWpKIZI. [sage] 投稿日:2007/11/29(木) 19 19 57 ID DLC4FQNb いいじゃないか。殺される訳では無い。 だがそう思う一方でこれ以上進めば戻って来られない領域に足を踏み込むことに なることも分かっていた。取り返しのつかない、帰って来られない領域へ。 あまり自分を明け渡してはいけない。分からないけど何かが危険だ。 これ以上自分を削られてはいけない。名前を読んでキスをして愛を告げて もう自分は随分真弓に取り込まれていないか? 佑人の頭の中で鳴る警鐘を押し流すように真弓は行動を続けた。舌が這う。 佑人の上半身を脱がしたところで唇を離し、そのまま首筋を伝って行く。 首輪に沿ってキスをされ、一瞬痛みのような感覚が走る。 547 名前:恋人作り ◆5PfWpKIZI. [sage] 投稿日:2007/11/29(木) 19 24 42 ID DLC4FQNb 「痕、つけちゃった」 軽く笑いながらいつの間にか彼女のパジャマのボタンも外されきっていた。 少し涙で潤んだ瞳が見上げて来る。 「佑人、脱がして?」 「俺は」 「女の子が必死で迫ってるのに……」 「そういう問題じゃなくて」 「佑人」 暗くて見えない筈なのに分かった。 真弓の瞳の色が変わった。 持ち上がって来た手が首輪に繋がる鎖にかかる。 じわじわと力がかかって首が締まって行く。 真弓の瞳には佑人が写っている。写っているがそれは真弓の佑人ではない。 真弓の佑人は優しくキスをして真弓を抱き締めて頭を撫でてくれる。 今真弓の瞳に写っているのはそうでは無い佑人だ。 そんな佑人は、真弓には必要ではない。 「……ま…ゆみ…」 意識が遠のく。殺されないんじゃ無かったのか。 死にたくない。 死にたくない。 まだ明日も生きたい。真綾に会いたい。……真綾。 彼女を思い出すのも随分久しぶりかもしれない。 かすみそうな意識の中で佑人は決めた。 俺は生きたい。 手を伸ばして少女の頬に触れ、そのまま下に下ろして羽織っているだけだった パジャマを滑り落とす。 佑人は自分を明け渡すことに決めた。 ■■■■■■ ■■■■■■ 548 名前: ◆5PfWpKIZI. [sage] 投稿日:2007/11/29(木) 19 25 45 ID DLC4FQNb 今回は以上で終わりです。 すいませんでしたorz すみませんでしたorz 549 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2007/11/29(木) 19 28 53 ID +9AjyI/l 548GJ 550 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/11/29(木) 19 35 51 ID o/mwFYq7 548 誰だっけ? 嘘です。 うおおおーー! 素で忘れていたじゃないか! 初代スレの話題が出たり、カムバックが最近の流れなのか? 大歓迎だぜ!
https://w.atwiki.jp/i_am_a_yandere/pages/472.html
601 名前:シアン・マゼンダ・イエロー・ストーカー ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/02/10(土) 22 27 56 ID +Ky50rQJ 600 パスタGJ!! 崩壊していく光景を眺めながらバジリコのパスタを食べたいもんです。 では、続けて投下します。 WARNING! WARNING! 警告です。途中の注意書きをよく読んでください。 602 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/10(土) 22 28 20 ID mCeR+K8E ノベルゲーの人どうなったんだろ? 流石に二、三日で出来てるとは思わないがタイトルとか気になる 603 名前:シアン・マゼンダ・イエロー・ストーカー ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/02/10(土) 22 29 18 ID +Ky50rQJ 真也は今、自宅の玄関前で目を閉じている。 (鍵を回したらすぐにドアを開けて、PC本体を床に叩きつける。 そしてフィギュアを見たら踏み潰してハンマーで粉々にする。 その後でハードディスクを取り出して叩き割る。よし) 自分がこれから行うべきことをおさらいし、いざ―― ズッ! ガチャリ! ばん! ドアを開けて、彼が目にしたものは―――― いつも通りの自分の部屋だった。 「あ、あれ、れ?」 真也は拍子抜けした。 何かおかしなことが起こるだろうと覚悟していたからだ。 たとえば『オカエリナサイ シンヤクン オソカッタネ』って言いながら歩いてきたりとか、 PCから触手が出てきてゲームの中に閉じ込めたりするとか。 しかし、現実はあっけないものだった。 部屋のレイアウトは変わっていないし、フィギュアも当然どこにも無い。 PCにインストールされているプログラムを確認してもあのエロゲーの タイトルは見つからなかった。メールにも送信履歴は残っていない。 「なあんだ。白昼夢だったのか。 はああああ・・・・・・」 一気に疲れが押し寄せてきた。 「あーーーーー。 昨日は寝るのも遅かったしな。今から寝よ」 仕事着のままベッドに倒れ込む。 そのまま横になっているとすぐに睡魔がやってきた。 「もうエロゲーはこりごりだ・・・・・・」 そう言うと真也はゆっくりと寝息を立て始めた。 しかし、この男はまたしてもとんでもないミスを犯した。 部屋の鍵を開けっ放しにしていたことを忘れていたのだ。 そしてこの後にすぐ――ではなく、眠りから覚めた後にそれを後悔することになる―――― 604 名前:シアン・マゼンダ・イエロー・ストーカー ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/02/10(土) 22 31 13 ID +Ky50rQJ 夢の中で真也は天国を味わっていた。 「ああ・・・・・・そんないきなり、おっぱいに・・・・・・」 「いいじゃねえか。お前も好きなんだろ?」 エロゲーのヒロインの胸を後ろから揉んでいる。 昨晩ナニのネタにしなかった方のヒロインだ。 「ん・・・・・・やあ、ん・・・・・・直に触っちゃだめよぉ・・・・・・」 「天国を味あわせてあげるって。お前言っただろ?」 最初はあの時の恐ろしい描写を思い出してしまい、ためらったが・・・・・・ 彼の胸フェチぶりはやはり常軌を逸していた。 「確かに・・・言ったけど・・・・・・でも・・・・・・ ふえ? あ! ・・・・・・こんなの恥ずかしいよ。 ・・・・・・ね、口じゃだめなの?」 「俺は挟んでもらうのが好きなんだよ!」 経験なんか一度も無いくせに。 まあ、彼は自分のことを非童貞にして超絶倫のイケメンだと 妄想の中で変換しているから、夢の中限定でそういうことにしてもいい。 「ひあっ! ふぁん! やあっ! 待ってよ! 真也くん! 激っ・・・しすぎるよお!」 「あーーーー、やっぱでかい方が締りがいいわ」 真也は声を上げながら激しく動いている。 しかしここではカットさせていただく。聞かせられるようなもんじゃないし。 「っ!・・・・・・んあっ、・・・や! 待って! 息が、ちょっと! 止まってよ! 真也くん!」 「もう無理だ! いくぞ!」 もう少し粘れよ!黒川真也! ええい、検閲だ! ピ――――――――――――――――――――――――――――――― 「あ、白いのが、いっぱい出てる・・・・・・」 「ふううう、はああああ、いい・・・・・・・・・」 自家発電よりもだいぶ良かったらしい。 検閲も長めになってしまった。 絶頂を味わった真也は、このヒロインの虜になってしまった。 ーーーーーーーーーーーーー ※エグイ描写が嫌いな方はこのまま『ジャンプ先』へ向かってください。 男性の場合は、『特に』それをオススメします。 605 名前:シアン・マゼンダ・イエロー・ストーカー ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/02/10(土) 22 31 53 ID +Ky50rQJ ※ジャンプすることを推奨します。 コトが終わってからもまだ真也は夢の中にいた。 夢だったらコトが終わってから目が覚めるものだが、 まだ彼の横には巨乳のヒロインが上半身裸で寝そべっていた。 「・・・・・・ね、真也くん。 私の話、聞いてくれる?」 「んーーー? 別にいいけど、何?」 ヒロインは体を起こし、真也の足の間に座った。 「私の人形をさ、ゴミ袋に入れたよね?」 どきっ・・・・・・ 「あれさ、どういう意味だったのかなあ? まさか、焦らしプレイ? 放置プレイ? 放棄プレイ?」 「いや・・・・・・あれは・・・・・・・・・・・・その・・・・・・・・・・・・」 まさかその話を今されるとは思っていなかったらしい。 真也は答えることが出来ずに口をぱくぱくさせている。 「答えられないの? じゃあ・・・・・・」 「おしおきだよ」 ぐあっ! 「ひえっ?!」 ヒロインが大きく口を広げた。 そしてそのまま―――― 606 名前:シアン・マゼンダ・イエロー・ストーカー ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/02/10(土) 22 32 41 ID +Ky50rQJ ※ジャンプすることを推奨します。 「はむ・・・・・・ん、・・・・・・んちゅ・・・・・・ れろ・・・・・・ちゅる。んふ・・・・・・ん・・・・・・ ぷはあ。・・・・・・私の必殺技、受けてもらうよ」 真也のナニを咥えながら口淫を開始した。 それは自信を持って必殺技と呼ぶに値するほどの技術だった。 ちゅばっ ちゅる れろれろ 「う、ああ・・・・・・く、かあ・・・・・・」 真也は再び天国に連れて行かれた。 夢の中だというのに、信じられないほどの快楽が襲いかかってくる。 真也はこのプレイにすっかり夢中になってしまった。 自分の体が動かないことに気づかないほど。 かり かり 「うああ・・・・・・いた、気持ちいい・・・・・・」 ヒロインがナニを根元近くまで咥えながら甘噛みしてきた。 かり かり かり それは、次第にエスカレートしていく。 甘噛みから、噛み切る動きへと。 607 名前:シアン・マゼンダ・イエロー・ストーカー ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/02/10(土) 22 33 34 ID +Ky50rQJ ※ジャンプすることを推奨します。 がり がり がり 「?! ・・・・・・っつぅ、おい。何を」 がりっ! (うがあああああああああああ! 何しやがるんだ!) がり みちみち ぶち (あがああああああ! ああああああああああああ! いてえ! いてえええええええええ!) ヒロインが、真也のペニスを噛み千切ろうとしていた。 真也が悲鳴をあげようとしても、暴れようとしても何もできない。 ・・・・・・まるで人形のように。 ぎり ぎり ぎり ぎりぃっ! (ーーーーーーーーーっ!!!!! ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!! ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーああっ!!!!) 真也のペニスはすでに原型を成していない。 そして、無慈悲にも。 ぎりぎりぎりぎり! ガチンッ!! 「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア! ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」 夢から覚めた真也は地獄の痛みに苦しみ―― その後、彼の男性としての命は失われた。 608 名前:シアン・マゼンダ・イエロー・ストーカー ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/02/10(土) 22 34 13 ID +Ky50rQJ ※『ジャンプ先』 もしあなたがエロゲーをしていたとして、ヒロインの一人を スルーして別のヒロインに夢中になったとします。 その後でもしもスペシャルステージやアナザーストーリーが 画面上に出てきたら、注意してください。 ゲームの特典としてフィギュアやポスターが付属していたら、 さらに注意が必要です。 クリアしていない状態では決して捨てないでください。 もしクリアせずに捨ててしまうと、彼と同じ目に遭うかもしれません。 終 609 名前:シアン・マゼンダ・イエロー・ストーカー ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/02/10(土) 22 34 58 ID +Ky50rQJ 終わりです。 今度こそエロゲやってる人。ごめんなさい。 タイトルはCMYKからとりました。 最後のストーカーというのは『stalKer』の『K』からとりました。 610 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/10(土) 22 57 08 ID DDHJWf5a 600GJ!これからが楽しみ!wktk! 609ちょwwwwwこれはwwwww (((((((( ;゚Д゚)))))))ガクガクブルブルガタガタブルガタガクガクガクガクガク 611 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/10(土) 22 58 48 ID OApDMel9 こえ~ 612 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/10(土) 22 59 24 ID q3jSbcqG これ世にも奇妙な話じゃね?GJ 613 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/10(土) 23 08 44 ID 6L6iLFF5 600 幼なじみの方もただのツンデレでは無いようで…wktk 609 GJ!!!なんとか事件を思い出した。 614 名前:伊南屋 ◆WsILX6i4pM [sage] 投稿日:2007/02/10(土) 23 09 01 ID mCeR+K8E 609 GJ!好みの内容だw なんちゃってパッケージ描いてた http //imepita.jp/20070210/831400 けどここまで描いてキモウトと神無士乃の入る余地が無いことに気付いたorz 615 名前:上書き ◆kNPkZ2h.ro [sage] 投稿日:2007/02/10(土) 23 12 43 ID EZ/bc10q 589 楽しみにしてますw 600 これは次回に期待w 609 GJ過ぎwww エロゲ出来ないww て事で投下します 616 名前:上書き第2話 ◆kNPkZ2h.ro [sage] 投稿日:2007/02/10(土) 23 16 03 ID EZ/bc10q 今日もいつもと変わらない朝。 朝の新鮮な空気をたっぷり吸い込みながら、家の前で加奈を待つ誠人。 「誠人くん~!もうちょっと待ってぇ~!」 「はいはい待ってるよ」 開いたままのドアから加奈の叫び声が聞こえる。 ひどく慌てた様子が誠人に伝わる。 いつも寝坊する加奈を待つのは、誠人の日課だ。 家中に縦横無尽に動き回る加奈の足音が広がる、それを聞くのが楽しかった。 「ごめ~ん!すぐ行こう!」 両手を合わせ真剣な表情で謝る加奈をおかしく思う誠人。 「あっ!笑ったな!?」 「笑ってないから、さっさと行こうぜ」 「ちょっと待ってよぉ!」 早足で歩く自分に並ぶために必死についてくる加奈を見つめる誠人。 (本当可愛いな…) あんまりにも見とれていた加奈が不審な目で誠人を見つめ返す。 「どうしたの?あたしの顔なんか付いてる?」 自分より一回り小さい少女に指摘され、ようやく自分が彼女を見続けていた事に気付く誠人。 紅潮した表情を悟られないよう前を向き、ちょっと走り出す。 「誠人くん~!」 走る誠人の背中を追う加奈。 誠人が後ろをチラ見してみると、中身の少ない鞄を振り回しながら必死に走る少女の姿が映る。 一生懸命にしているほど、誠人は意地悪な気持ちになっていく。 (相当参っているな、俺も…こんな好きなんてな…) 「もうちょっとゆっくり行こうよ!」 「早くしないと遅刻だぞ」 そう言いながらも走るペースを緩めてやり、距離差を縮めてやるようにする。 ようやく追いついた加奈が息を切らして誠人を見上げる。 「誠人くん早過ぎ…」 「お前が遅いだけだ」 「もう…!」 頬を膨らして怒っている加奈も、誠人にとっては天使の微笑みだった。 こんな関係であり続けたい、心からそう思った誠人であった。 617 名前:上書き第2話 ◆kNPkZ2h.ro [sage] 投稿日:2007/02/10(土) 23 17 04 ID EZ/bc10q 「それじゃ!」 俺は加奈に手を振って教室へと入っていった。 加奈とはクラスは分かれている、といっても隣同士なんだけど。 お互い学校ではそこまで親しくはしない、加奈にも、俺にも付き合いというものはある。 学校ではなるべくそれを大事にしたい、恋にうつつを抜かして友達一人も出来ませんでしたじゃ充実した青春とは言えない。 こんな気遣いがお互いに嬉しい…んだと俺は思っている。 無理はせず、相手を思い遣っていられる、そういう関係に情熱的な恋とは違った、落ち着きを伴った感情を俺は抱いている。 きっと、加奈もそのはず…。 今は日本史の授業中な訳だが、欠伸が出ちまう…。 そんな単語の羅列を板書されてもわかんねぇよ…なんて風に愚痴を溢しながら寝ようとした時、ポケットに入っている携帯が震えた。 差出人を確認してみると、加奈からだ。 『誠人くん今日本史だよね? あたしは数学だけど、全く意味不明…。 当てられないかビクビクしてます…』 全く…授業中はメールはよそうって言っていたのに………。 まぁ俺も今寝ようとしてたし、何よりも加奈からのメールだ、素直に嬉しい。 机の下で手馴れた感じでメールを打っていく。 『安心しろ、数学は俺の専売特許。 当てられたらすぐにメールしろ、答えてやるよ』 送信後一分もしない内に返信メールが届く。 『誠人くん中間テスト数学39点だったじゃん! そもそもメールしてその返信を待つってどれだけ時間かかるのよ~!』 全く以ってその通り…だが、俺の数学の点数は93点だ。 どうして逆さまに脳内変換してんだよ…、ちょっとムッときたので、メールを無視してみる。 五分くらい経つと、また加奈からメールが届く。 『ごめん、怒っちゃった? 言い過ぎたのなら謝るから…』 何真に受けてんだか、その反応が見たくて無視した訳だが。 本当にコイツは俺の心を的確に射やがるな…朝天使だと思ったが前言撤回、こいつは悪魔だ。 そんな悪魔が見せる無邪気さに打ちのめされながら、メールを返信する。 『冗談だよ、怒ってないから気にすんな』 送信ボタンを押しながら、時刻を確認する。 後もうちょいで授業終わるな…。 重苦しい空気から開放されると思うと、嬉しくなる。 そんな中、やや遅れて返信がくる。 『良かったぁ~! ねぇ?もうすぐお昼ご飯だし、今日は一緒に食べよ?』 そうか、この授業四時間目だった…と確認した。 いつも友達と食ってるしな、たまにはそれもいいか。 久しぶりの加奈との昼飯に何となく新鮮さを覚えながら、携帯を弄る。 『いいよ、終わったら俺んとこきて』 618 名前:上書き第2話 ◆kNPkZ2h.ro [sage] 投稿日:2007/02/10(土) 23 18 45 ID EZ/bc10q チャイムが拷問のような時間の終わりを告げる。 今日は加奈とメールしてたからそこまで苦じゃなかったけど。 席で弁当を用意して加奈を待っていると、近づいてくる奴が見えた。 「沢崎くん………」 「島村…またか?」 俺が呆れた顔で邪魔臭そうに言ってみるも、表情は変わらない。 「本当にごめんなさい、何か私こういう事妙に気にするタイプで…」 「気にすんなって、てかそんな常に相手に気使ってたら疲れるぞ?」 俺の目の前で申し訳なさそうに頭を深々と下げているのは、クラスメイトの島村由紀だ。 何でこんな風にいるかというと…昨日の授業中に俺の前の席にいる島村が突然奇声を発しながら立ち上がったのだ。 そこで椅子が俺の机に当たって、俺は転がり落ち、右腕を床に擦ってしまったのだ。 その事に関して島村は昨日から何度も謝っている。 友達からわざわざ親しくない俺のメルアドを聞き出してまで謝ってきた時にはさすがに驚いた。 「別に掠り傷なんだから気にすんなって」 「でも…」 心配そうに俺の右腕を見つめている島村を確認した俺は、やれやれと思いながら制服の上着を脱いでワイシャツを捲くった。 「な?大した傷じゃないだろ?」 怪我した時は血がやけに出たが、止血が終われば大したもんではなかった。 「…良かった………」 ホッと胸を撫で下ろす島村の様子が見て取れる。 ずれた眼鏡を直しながら、やっとの事で笑顔を俺に向ける。 「ま、そういう事だから」 俺がワイシャツを再び着ようとした時、腕に痛みが奔った。 一瞬顔をしかめるほどの痛みに、何事かと思ってみてみると、そこには……… 小刻みに震えながら俺の腕を片手で掴んでいる加奈の姿があった。 反射的に傷を隠そうとするが、細い腕からは到底想像のつかない力に振り払う事が出来ない。 目が静かに俺を見下ろす…そのあまりの怒りの視線に、俺は恐怖を覚えた。 昼休み教室にこいと言ったのは俺だ………迂闊だった、自ら俺は…。 「ちょっと来て」 有無を言わさず加奈が俺の腕を引っ張る、落ちた弁当に目もくれない加奈。 加奈の腕を媒介にして俺に恐怖が伝わる…ヤバイ! 619 名前:上書き第2話 ◆kNPkZ2h.ro [sage] 投稿日:2007/02/10(土) 23 19 16 ID EZ/bc10q 「おい!加奈ここ女子トイレ…」 俺の声なんか無視して加奈は強引に女子トイレの個室に押し込める。 独特の異臭が鼻をつく中、只ならぬ雰囲気の加奈に寒気を感じる。 「誠人くん…」 名前を呼んだかと思うと加奈は俺の唇をいきなり奪った。 壁に押し付けられながら、普段の様子からは到底想像のつかない情熱的なキスを交わす。 舌まで入れてきて、口の中で厭らしい痺れが広がる。 俺の唾液を掻っ攫って満足したのか、加奈は口を離した。 「か、加奈…?」 無言で俯く加奈、不安になってくる…嵐の前の静けさとはこんな事を言うのかな…? 「あたし…誠人くんが好き」 顔を上げ分かりきっている事を口にしてくる。 笑顔だが目に色がない。 「俺もだよ…!」 「ありがとう…。でも、あたし短気なのかな…?他の人に誠人くんを触らせたくない。 その傷が…他の人が誠人くんに触れた証拠があるのが耐えられない! そんなの見てるとあたし壊れちゃうよ!!!」 押し付ける力が弱くなったと思った瞬間、加奈が掴んでいた右腕を見つめてきた。 嫌な予感がした…。 「…ハハ…こんな、こんな傷があるのがいけないんだよ…?あたしも誠人くんも悪くない…”この傷”がいけないんだよ!?」 すると加奈が俺の傷を引っ掻き始めた。 瘡蓋が剥がれピンク色の皮膚が覗く。 その皮膚の周りを上から下へと懇親の力で引っ掻いてくる。 「いぇが!痛ぇ!やめてくれ加奈!!!」 皮膚が破れる鈍い音が聞こえる。 加奈は相変わらず笑いながら俺の皮膚から血が出る様子を楽しんでいるように見える。 俺の声など無視して一人笑っている。 「あああ!!!か、加奈ぁ~~~!!!」 「大丈夫大丈夫大丈夫…すぐに消えるから………傷も、痛みもすぐに消えるから!」 昼飯時でトイレには誰も来ない、俺の悲鳴だけが虚しく響き渡った…。 「はぁはぁ…終わった………あはっ」 加奈は俺の血まみれの腕を見て満足そうに笑っている。 止め処なく溢れる血に俺は呆然としていた。 「痛い?誠人くん…ごめん………こんなあたしでごめん…」 突然態度を翻してくる加奈、いや、これが本当の加奈なんだ! そう思いたかった…。 心配そうに下から覗き込むように見上げる加奈、さっきまでの鬼神の如き表情じゃない…いつもの加奈だ。 「あたしが弱くてごめん…。ホントごめんなさい!あたし誠人くんが好きなの!好きで好きで…ごめんなさい…」 ずるいよ…加奈、そんな風に謝られたら………。 「き、気にすんな。俺も怪我しないように気をつけるから」 自分でも何を言っているのか分からなかった。 ただ今加奈が一番喜ぶであろう言葉を本能的に選択しただけだ。 案の定、涙目だった顔に光が差し込む。 この笑顔の為なら、許してしまう…どうしようもないな…俺。 620 名前:上書き ◆kNPkZ2h.ro [sage] 投稿日:2007/02/10(土) 23 21 50 ID EZ/bc10q 投下終了です。 こんな感じなんですかね…。難しいですわ。 614 GJ! 621 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/10(土) 23 30 54 ID DDHJWf5a 620 GJ!これはいいヤンデレですね(*゚∀゚)=3ハァハァ 622 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/10(土) 23 44 38 ID vNNnHOPO 609 天国の後に地獄が! 620 通常時がまったくまともなだけに恐ろしい。 どちらもGJです! 623 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/10(土) 23 47 20 ID 13yW4C4n 614 大丈夫ですよ! 世の中にはFDになった途端パッケージから消えるメインヒロインだっているんですから! 「それ、誰のこと(ですか)?」 「――あ」 暗転 624 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/10(土) 23 52 24 ID Rd11u8D4 609 怖いお。エロゲーのヒロインならエロゲーの主人公を追ってろお(つД`) でもGJだお。 625 名前:いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs [sage] 投稿日:2007/02/10(土) 23 52 58 ID 8jgVWqnM 614 彩色してロゴ入れたらまさにパッケージだ パッケージにメインヒロインがいないことだってあるさ…… ノベルゲーの方、必要ならば追加シナリオとか追加エンドとか書きますので、遠慮なく言ってください 埋めネタとして投下するはずだったのを投下 『終わったあとのお茶会』全三話です 登場人物はマッド・ハンター如月更紗、一般人須藤幹也、三月ウサギの兄妹 パラレルワールドというか楽屋裏のようなものだと思ってください 626 名前:終わったあとのお茶会 ◆msUmpMmFSs [sage] 投稿日:2007/02/10(土) 23 54 12 ID 8jgVWqnM 「チェンジ」 二枚のカードを、里村冬継は机の上に放り投げる。ダイヤの7とスペードのエース。代わり にやってきた二枚は、ダイヤの8とハートの7。手元にあるカードは、ハートの8、クローバ ーの2、スペードの2。 8のツーペアだった。 「おや、おや、おや。なんとも微妙な顔をしているね」 くすくすと笑いながら、角の席に座る如月更紗が言う。いや、今は如月更紗ではなく、マッ ド・ハンターなのかもしれない。男物のタキシードに小さなシルクハット、黒い杖は逆向きに して肩にかけている。 手に持つのは、五枚のカード。片手で持つそれを、指先だけで器用に閉じ、開いた。その際 に落ちた一枚が、ひらりと机の上、冬継が捨てたカードの上に落ちた。ゲームを始めたばかり なので、机の上にはまだ三枚しかカードがない。 捨てたカードは、ハートの4。 「一枚でいいのか?」 冬継の対面――椅子に座り、退屈そうな顔をした少年、須藤幹也が問いかける。マッドハン ターは黙って頷き、手元の山から幹也は一枚を引き抜いて手渡す。冬継の位置からでは、一体 何を貰ったのかは判別できない。マッドハンターは常に笑っているせいで、表情から手のうち を読みとることはできそうにもなかった。 ――一枚交換ってことは、良い手か。 そう思考することしかできない。 ポーカー、である。 ルールは単純だ。カード交換の回数は一回、枚数は自由。入っているジョーカーは一枚。あ とは掛け金を積み上げて、ハッタリとブラフと騙しと賺しで勝負を決める。捨て札を切ること はなく、山札を使い切るまでが一ゲーム。この場にいるのは三人なので、平均して三回の勝負 が出来る。 ただし、かけるのは金銭ではない。 ――御伽噺だ。 勝った人間が、負けた人間に、質問をする。負けた方は御伽噺を聞かせるように、昔のこと を物語る。そういう、狂気倶楽部内に伝わる遊びだった。 コール(勝負に乗る)をせずに、ドロップ(降りる)をした場合、質問されることはない。 ただし、質問することもできないので、完全に蚊帳の外だ。 そういう、微妙な損得を釣鐘にかけ、相手の真理を読み解くのが――ポーカーというゲーム だった。 もっとも。 627 名前:終わったあとのお茶会 ◆msUmpMmFSs [sage] 投稿日:2007/02/10(土) 23 55 28 ID 8jgVWqnM 「なら僕も一枚だ」 淡々と、あくまでも退屈そうに須藤幹也――五月生まれの三月ウサギは、自身のカードを一 枚捨て、山札から一枚引く。捨てたカードはダイヤのA。 退屈そうな須藤幹也と。 楽しそうなマッドハンター。 表情を変えない二人を前に、心理ゲームは、圧倒的に不利だということを冬継は自覚してい た。その上、頭が痛くなることに、須藤幹也の後ろには―― 「あら兄さん、この手で本当にいいんですか?」 真顔で囁くのは、須藤幹也の片膝の上に身を座らせ、生身の手で首に抱きつくようにしてい る『妹』だ。べったりと、兄にくっついて離れようとしない。右腕以外の腕と両脚は義手・義 足であり、それらを動かすことなく、右手一本で兄に寄り添っている。時折思い出したかのよ うに幹也の首筋や耳にキスをするので、そのたびに冬継はなんともいえない気分に襲われる。 実の兄妹、なのだ。 そして、『女王知らずの処刑人』、八月生まれの三月ウサギという仇名を授かる、狂気倶楽 部の住人だ。 マッド・ハンター。 元・五月生まれの三月ウサギ。 その跡継ぎであり妹である、八月生まれの三月ウサギ。 周りを狂気倶楽部で囲まれてることに対する居心地の悪さがあった。 里村冬継は、狂気倶楽部の住人ではない。 住人だったのは、今は亡き彼の姉で――その姉もまた、元・三月ウサギなのだ。かつてマッ ド・ハンターの友人であり、五月生まれの三月ウサギと付き合い、そして殺されたという、絡 み合った人間関係の中にある。死してなお、その影響力は残っている。 居心地が、悪くならないはずがなかった。 「……なんで僕がお前らと和気藹々とポーカーしなきゃなんないんだろうな」 「和気藹々?」 答えたのは、幹也だった。カードに眼を落としていた幹也が顔を上げ、 「和気藹々としてると言えるのかなこれは」 「言える、言えるさ、言えるとも。なあ忘れてしまったのかい三月ウサギくん。私たちはずっ と、こうしていたよね」 「私は――知りません。兄さんたちとは、時期が違いますから」と、妹。 「そうだね、そうだよ、そうだとも。かの黄金のお茶会時代においては、いつでもいつだって こうしていたのさ。ヤマネとグリムは学校になどいっていなかったからね」 「ヤマネ? グリム? おい如月更紗、誰だそれ」 知らぬ名前に冬継が反応し、対するマッド・ハンターはにやりと笑った。 「それが、君の質問かい?」 「……まさか。それじゃ、賭けるよ」 百円玉を机の上に置く。ゲームの形式上、硬貨は必要だった。ちなみに賭けられた金は、す べて一階にある喫茶店のコーヒー代になるらしい。 628 名前:終わったあとのお茶会 ◆msUmpMmFSs [sage] 投稿日:2007/02/10(土) 23 56 11 ID 8jgVWqnM 「コール」 マッド・ハンターは短く続き、 「兄さんはどうします?」 「僕もコールだ」 示し合わせたように、幹也も百円玉を机の上に置いた。 「…………」 わずかな緊張。 公開するこの瞬間が、一番気の張る時間だった。 「……8のツーペア」 「負け、負け、負けたね」 スペードの6とクローバーの6、クローバーのKとハートの3、ダイヤの3。 クローバーの2ペアだった。 2ペア同士ならば、数字の高いほうが強い。そして、最後の一人、幹也は―― 「僕も負けた」 ハートのAとハートの10、クローバーの9とスペードの7、ダイヤの4。 ブタ、だった。 「…………」 「…………」 「だから言ったでしょう兄さん? その手じゃ負けますよ、って」 「二人が降りてくれることを期待したんだけどね」 「あら兄さん。兄さんが三番目なんだから、それは無理だわ」 「ああ、それもそうだね」 「兄さんはお茶目ですね――」 うふふ、と妹は笑い、兄は笑わなかった。 マッドハンターの笑いはいつも通りで――冬継の笑みは引き攣っていた。 「……おい、如月更紗」 「なんだいなんだね冬継くん」 「こいつら、いつもこうなのか?」 「当然だ」 彼女にしては珍しく、はっきりときっぱりと、ただの一言で切り捨てた。 この兄妹は、いつだってこうなのだと。 「そう、当然です。私と兄さんは、この世界で唯一の家族なんですから」 「……唯一?」と、冬継が首を傾げる。 「よくある話だよ。父親も母親も殺された。それだけのことさ」 あっさりと、幹也が答える。声には動揺も憤慨もない。そんなことは、自分にとってはどう でもいいことなど、その態度に表していた。 あまりにも――乾いている。 見た目は、普通の高校生にしか見えないのに。 「それより、質問はそれで終わり?」 「あ、いや――あんたには質問はないよ」 言いながら、冬継は心の中でこっそりと思う。 本当に訊きたいことは。 跪かせ、命乞いと共に訊いてやる――と。 今はまだ、そのときではない。 代わりに、前々から気になっていたことを訊ねた。本編だと、なし崩し的に監禁ルートに突 入したため聞く暇がなかったのだ。 629 名前:終わったあとのお茶会 ◆msUmpMmFSs [sage] 投稿日:2007/02/10(土) 23 56 45 ID 8jgVWqnM 「如月更紗。お前、いつから此処にいるんだよ。少なくとも一年前からはいるんだろ? その ――姉さんと、友人だったってんなら」 「そうだね、そうかな、そうかもね。一年といわず……」ひい、ふう、みい、とマッドハンタ ーは指折り数えて、「七年ほどいるよ」 「七年!?」 「そんなに前から……」 「ふぅん」 驚きと、呆れと、無関心。 三者三様の返事は、前から冬継、幹也、妹である。 「七年ってことは……九歳からマッドハンターを?」 言いながら、冬継は頭の中で想像する。 九歳の如月更紗が、あの馬鹿でかい鋏を振り回している姿を。むしろそれは、鋏に振り回さ れているといってもいい想像だった。可愛らしいといえなくもないが――それ以上に物騒極ま りない。 けれども、マッドーハンターは。 「いや、いや、いや」 と、大仰に首を振った。 「七歳の頃は違うのさ――そう、違うのよ。あの頃の私はまだマッドハンターじゃあなかった」 「まだ、か」 呟く幹也に、マッドハンターは「その通りだよ、その通りだ元・三月ウサギくん」と微笑み、 「ここにきたときに振り当てられた役柄は――『ハンプティ・ダンプティ』」 ハンプティ・ダンプティ。塀の上で狂っている、擬人化された卵。世界を内包したキャラク ター。 それは――鏡の国のアリスに出てくる登場人物だ。 マッド・ハッターのように。 三月ウサギのように。 あるいは――白の女王の、ように。 「狂気倶楽部は代替わりがあるからね。演劇の役者変更みたいなものだよ」 幹也が、冬継の方を向いて言った。この場で唯一、狂気倶楽部に所属しない彼へと説明した のだろう。そんなことは知っている、と言いたかったが、ここで噛み付いても何にもならない ので我慢した。 須藤幹也は、きっと何を言われたところで――堪えたりはしないだろう。 退屈だな、と返すだけだ。 何を言っても無駄な相手に、何かを言うことほど、虚しいことはない。 630 名前:終わったあとのお茶会 ◆msUmpMmFSs [sage] 投稿日:2007/02/10(土) 23 57 51 ID 8jgVWqnM 「ところが、ところが、ところがだ! 一年もしないうちに事件が起きて――ハンプティ・ダ ンプティはくだけ散った。それはもう、見事に、砕け散って、元には戻らなくなった」 「…………」 それも、また。 原作と、同じように。 ハンプティ・ダンプティが塀の上。 ハンプティ・ダンプティがおっこちた。 王様の馬みんなと、王様の家来みんなでも ハンプティを元には戻せない。 壊れたハンプティ・ダンプティは――元には戻らない。 「『卵の中身のダンプティ』は『白の女王』へとプロモーション。そしてそして、『卵の殻の ハンプティ』は――ご存知の通り、イカレ帽子屋に成り下がり。おかげで白い女王陛下のため に働く、しがない首狩り役人になってしまったというわけさ」 自嘲するように。 おどけるように。 あざけるように。 嘲笑うように。 マッド・ハンターは、そう言った。 「マッド・ハンター。以前言ってた、『首切り女王』っていうのが?」 訊ねたのは。 かつて、マッド・ハンターとお茶会を共にした、須藤幹也だった。 かつて、マッド・ハンターは、自身の立場をこう表現した。 ――首切り女王のために働く、狂った狩り人にしてイカレ帽子屋だけどね。 そのことを、幹也は覚えていたのだろう。 「おや、おや、おや。よく憶えているね――本当によく憶えている。私としても、あまり関わ りたい人物ではないのよ」 「ふうん……お前にも、色んな過去があるんだな」 納得したように、冬継は頷く。 白の女王。 首切り女王。 ハンプティ・ダンプティ。 マッド・ハンター。 七年前。 九歳。 情報が多すぎて、何について考えればわからない。 ふと、最初に思いついたことを、冬継は口にした。 「なあ如月更紗。ってことは、ハンプティ・ダンプティって――」 その問いを遮って、マッド・ハンターは高らかに言った。 まるで、そこには触れてほしくないと、言わんばかりに。 「さぁさぁさぁ! 質問はそこまでだよ冬継くん。次のゲームといこうじゃないか。あとは本 編でのお楽しみ、という奴さ」 「なんのことだよなんの……」 ぶつくさと、それでも冬継は従った。一気に話を聞いても、全てを理解できるとは思わなか った。 カードはまだ三分の二は残っている。あと二回は出来るだろう。 「それじゃあ、配るよ」 言って、幹也がカードを配り出す。 奇妙なお茶会は、まだ、続く。 631 名前:いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs [sage] 投稿日:2007/02/10(土) 23 59 26 ID 8jgVWqnM ・使用済み ハート A 34 7 十 ダイヤ A 34 78 クローバー 2 6 9 K スペード A2 67 以上で(1)終了です。 ぶっちゃけると本編で張ってた伏線が弱かったので補強もかねてます あとは単に、ありえないメンバーで平和にゲームをするところを書きたかったという 次はちゃんと本編投下します 632 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2007/02/11(日) 00 14 51 ID fR7UUWKX 誠に良いヤンデレだ! GJ!! 633 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2007/02/11(日) 00 17 05 ID fR7UUWKX 誠に良いヤンデレだ! GJ!! 634 名前:伊南屋 ◆WsILX6i4pM [sage] 投稿日:2007/02/11(日) 00 38 10 ID Wy/5ziQ0 GJでありました! パッケージリベンジ編 今度は全員入った。 http //imepita.jp/20070211/020390 ラフなので分かりにくい為一応解説。 上段左から神無士乃、里村冬継、須藤冬華 下段左から須藤幹也、ヤマネ、マッドハンター となっております。 635 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/11(日) 00 40 12 ID W1wZyw7C 型月ネタで敬遠する方もいるかも知れませんが、以前月姫のFDである歌月をプレイしていた際、投稿された二次創作を収録していたのを思い出しました。 そこで、お茶会もお茶会の二次創作を募り、優秀な作品を収録する。というのはいかがでしょうか? 636 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/11(日) 00 48 26 ID cTVOpEhn 635 ふむん? 確かに面白いアイデアではあるのだが、気が早くないか? それに優秀かどうかをスレで語りだしたら荒れる可能性がある。 それだけのために別スレを用意するというのも微妙だな。 別の板ならもしかしたら・・・・・・だが。 637 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/11(日) 00 52 43 ID W1wZyw7C 636 勿論それを決めるのは作者様で、発売まで誰の作品が収録されるのかワクワクするのも良いかと思ったのですが…… 638 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/11(日) 00 54 14 ID 3IO5fhab 二次創作!? 止めとけ止めとけ。 最悪の場合スパシン(ザザーン)、U-1、スレナルとかと同じ方向に走るぞ。 639 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2007/02/11(日) 00 57 09 ID Y6fxQTxR 634 神無士乃が個人的にすげーぐっとくる(*´ρ`*) 635 TYPE-MOONに限ったわけじゃないけど、二次創作っていうのはすこぶるデリケート。 わざわざ荒れる種を蒔く事はないでしょ。 640 名前:慎 ◆lPjs68q5PU [sage] 投稿日:2007/02/11(日) 00 58 57 ID jmw5a2Dm 投下された職人様GJです。 活気出てきましたね。 635 いいアイデアだとは思いますが・・・ 636氏が仰ってる通り、少し気が早い話だと思います。 後は批評による荒れもありえないわけではないでしょう。 したらばかなんかに二次創作、そして それについて批評するスレを立てるというのも 手でしょうけど、まだその時期ではないと思います。 未完の作品も多いですし・・・・ ただ需要があれば建てに行きますが。 641 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/11(日) 01 32 10 ID eieYISQQ 635 ならば言い出しっぺの君が(ry 642 名前:伊南屋 ◆WsILX6i4pM [sage] 投稿日:2007/02/11(日) 01 45 12 ID Wy/5ziQ0 みんなに質問。 今までの冬継と http //imepita.jp/20070211/061840 ではどちらが良い? 素直な意見を聞きたい。 643 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/11(日) 01 49 58 ID nccjQsTV 642 自分的には、今回の冬継君の方がいいかも。 何と言うか、今まで以上に「らしさ」が出てて良い感じ。 644 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/11(日) 03 03 40 ID 82LinrPT 642 あくまでもお茶会の人の意見が最優先ではあろうが、自分としては今回の方かな。 645 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/11(日) 06 05 48 ID UzgpzIlV 642 俺も今回の方が良いです 個人的に雰囲気がピッタリ合っています 646 名前:伊南屋 ◆WsILX6i4pM [sage] 投稿日:2007/02/11(日) 08 33 44 ID Wy/5ziQ0 どうやらリテイクの方が公表。 以下はこちらに統一しますかね。 ぶっちゃけ前のバージョンはアシメトリーの髪型のせいで自分でも向きによる髪型の描き分けが出来なかった……orz 647 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/11(日) 09 13 05 ID NE4Gly5N 前のシスコンはヤンキー臭がしたし、個人的にはリテイクの方がしっくり 648 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/11(日) 09 21 53 ID cTVOpEhn リテイク後の方が姉に似てる気がする。 あと、後輩に寸止めされてもおかしくない顔に見えるw 649 名前:伊南屋 ◆WsILX6i4pM [sage] 投稿日:2007/02/11(日) 09 42 50 ID Wy/5ziQ0 648 似てるっていうか似せた。 そしてパッケージ2(偽)/線画 http //imepita.jp/20070211/348380 キモウトの後頭部については背景に同化って事で。 650 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/11(日) 14 40 10 ID lO8FfN+d そういや、ヤンデレに該当するスレが他にないからここで言うけど、 病み鍋PARTYっていうヤンデレオンリーイベントが開くらしい。 ヤンデレのイベントなんて前例がない分すっげぇ不安。 ただのキチガイや邪悪ヒロインをヤンデレと勘違いする人が絶対来そう。 とりあえず、竜宮レナはヤンデレじゃないぞ。デレてないもん。 651 名前:伊南屋 ◆WsILX6i4pM [sage] 投稿日:2007/02/11(日) 15 34 49 ID Wy/5ziQ0 650 不安だが楽しみでもある。 ま、どうせ僕は行けないんだけどね。 ノベルゲーについて フラグ規制でクリアする度にルートが増えて全ヒロインを攻略すると全ての謎(お茶会、喫茶グリムについてとか)が解けるとかどうだろうか? ただし各ルートの謎解きの折り合いが難しいが。 BGMを既存の曲から使うならイノセンスの曲が良い感じ。特にオルゴールの曲が狂気的。 キャラ絵 再びマイナーキャラ。 呼び水の猫/チェシャ http //imepita.jp/20070211/559070 ペン入れ用の筆ペン変えたら乾く時間を見誤ったという。スマンただのグチ。 652 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/11(日) 16 11 45 ID cTVOpEhn 650 ひぐらしは漫画しか読んだことないからはっきりと言えないが、 あれはデレじゃなくて友達想いなだけだよな。 アプローチをかけていればヤンデレとして成立したんだけどな。 ていうかヤンデレって難しいわ。 愛情と狂気を結び付けなきゃいけないわけだし。 話は変わるが、『死国』って映画をレンタルして見た。 正直言ってあまり怖くなかったな。 むしろ萌えたよ。栗山嬢に。 653 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/11(日) 17 26 10 ID iA+Bj06e なんか大量投下来すぎて読むのが追いつかない みなさんGJ! エロゲーは控えますw 654 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/11(日) 18 34 36 ID eieYISQQ 650 けっこう前にこのスレで言った 655 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/11(日) 19 24 34 ID lO8FfN+d 652 簡単だと思うよ。ストーカーや拉致監禁等の性犯罪者を出せばいい。 つまり、狂おしいがまでに強烈な愛を書けばいいんだよ。 656 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2007/02/11(日) 19 46 04 ID fR7UUWKX スレ違いで非常に申し訳ないのですが、嫉妬スレまとめサイトSUGEEEEEE!! ま、まさかこれ程のヤンデレがいるとは・・・。 このスレも盛況だし俺はどっちをとればいいんだぁぁぁぁぁ!? と言うか、嫉妬スレとヤンデレスレとの関係自体がかなり修羅場なのでは・・・? 嫉妬「名無しちゃん、また来てくれるよね?」 ヤンデレ「ハァ? 何言ってんのよ! 名無しは私のところだけに来るんだからその薄汚い手で私の名無しに触れないで頂戴!!」 読み手としては両方とりたいところなのですが 657 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/11(日) 20 05 00 ID cTVOpEhn 656 両方とればいいじゃないか。 そしたら・・・・・・ 656が嫉妬SSスレへ遊びに行った日のことだ。 「えへへ。やっぱり 656は私を選んでくれたんだね。 また、明日もイイコトしようね!」 嫉妬SSスレの自宅を出て、 656は足取りも軽く自宅へと帰った。 がちゃ ドアを開けたらすぐ目の前にヤンデレスレがいた。 「おかえりなさい 656。 ・・・・・・また、アイツのところへ行ったのね。 あれだけ行かないように、って釘を刺したのに」 「いや、つい魔が差してしまって・・・・・・」 「ちょっとこっち来て」 ヤンデレスレが居間へと 656を引っ張っていく。 「手、出して」 「え。」と言う前にちゃぶ台の上に手を押し付けられた。 「今度こそ、『釘』を刺しておかないとね」 ヤンデレスレの右手にはハンマーが握られている。 そして左手で 656の掌の上に釘を構えている。 そして―― ぶんっ! ガン!! 「うっ・・・・・・ギャアアアアアアアアアア!」 ・・・・・・なんてな。 ちなみに嫉妬スレとヤンデレスレは仲悪くないよ。 時々変わった人が行き来してるだけ。 658 名前:上書き ◆kNPkZ2h.ro [sage] 投稿日:2007/02/11(日) 20 14 07 ID AcKNDcu5 両方とって 657みたいになるなら喜んで… それは置いといて、投下します。 話はほとんど進みませんが…。 659 名前:上書き第3話 ◆kNPkZ2h.ro [sage] 投稿日:2007/02/11(日) 20 15 22 ID AcKNDcu5 ――――――――――――――――――――――――――――――― 「それじゃ!」 そう言ってあたしは誠人くんと別れた。 本当はもっと一緒にいたいけど、クラスが違うから仕方がない。 普通恋人同士なら、学校でも一緒にいたいって気持ちは普通だと思う。 だけど誠人くんは違う。 ”お互い学校での付き合いってのもあるだろ”と極力会わない様に仕向けてくる。 あいさつは勿論交わすし、時々は一緒に弁当食べてくれたりもしてくれるから誠人くんがあたしを好きでいていくれるのはわかるけど、 でもやっぱり足りない。 あたしにも友達だっているし、友達と話してたりしている時は楽しけど、誠人くんと一緒の時間に比べれば他愛ないものだ。 誠人くんと一緒にいられるなら他に何もいらない、そう思っているけど誠人くんは”今しかできない事”を全うしたいらしい。 本当はもっと恋人らしい事をしたい、もう付き合い始めて八年にもなるんだ。 そう思うのはおかしい事じゃないはず、誠人くんにもそう思って欲しいのにな…。 660 名前:上書き第3話 ◆kNPkZ2h.ro [sage] 投稿日:2007/02/11(日) 20 16 28 ID AcKNDcu5 昼休み、あたしは隣のクラスへと向かう。 四時間目の授業の時、誠人くんとメールしてお昼を一緒に食べる事になったのだ。 誠人くんとのお昼は久しぶり、承諾してくれるか不安だったけど何の問題もなく了承してくれた。 弁当箱を大事に抱えながら、軽くスキップする。 誠人くんはやっぱり優しい。 確かに微妙にすれ違っていたりはするけど、誠人くんはあたしを愛してくれている。 今はそれだけでいい、誠人くんがあたしのものだけってわかれば何でも我慢できる。 そんな事を思いながら教室へ入ると、誠人くんが誰か女子と話していた。 あたしに気付いていないみたい、ちょっと脅かしてやろう。 そんな悪戯心で足音を立てず誠人くんにそっと近づくあたし。 誠人くんの背後まで忍びよっていって、いよいよびっくりさせてやろうとした時、突然誠人くんが制服の上着を脱ぎ始めた。 「な?大した傷じゃないだろ?」 ………傷?どういう事?そんなもの昨日はなかったはず…あっ、そっか。 誠人くんいつも上着着てたから、見えなかっただけか…てそんな事はどうでもいい…それ何の傷? 「…良かった………」 誠人くんと話していた女子が胸を撫で下ろして安堵の表情を浮かべている………誠人くんが傷を見せてそれでこの女が安心する理由って……… そんなの一つしかない! 瞬間あたしは誠人くんの傷のある右腕を掴む。 弁当を落とした事なんかどうでもいい。 また付けられた、また汚された、あたしだけの誠人くんが、他の人にっ! あたしがいる事に気付いた誠人くんが見上げてくる。 心なしか、何だか怯えているように見えるけど…そんな事どうでもいい。 早くこの傷”上書き”しなきゃ!、その思いだけがあたしを支配している。 冷静でいられず手が震える…早く!早く! 「ちょっと来て」 あたしは腕を掴んだまま誠人くんを強引に椅子から引き上げる。 早くしないと、あたしだけの誠人くんが汚れていっちゃう、早く早く早く!!! 661 名前:上書き第3話 ◆kNPkZ2h.ro [sage] 投稿日:2007/02/11(日) 20 17 34 ID AcKNDcu5 勢いに任せ女子トイレに入って行く。 「おい!加奈ここ女子トイレ…」 誠人くんの言葉を無視して一番遠い方の個室に押し込める。 今どんな顔してるのかわからないけど…誠人くんやっぱり怯えている。 ごめんね…でもこうするしかないの! 「誠人くん…」 子供のように弱々しい目の誠人くんを一瞬だけ安心させるためにあたしは誠人くんにキスをする。 呆気にとられている誠人くんをよそに舌も入れてみる、こんなの初めてだった。 人形のように動かない誠人くんの口の中をひたすら貪る。 絡めた舌がありえないほどの熱気を帯びている、すごく興奮する…。 ありたっけの唾液を吸い尽くし、やっと口を離す。 あたしも誠人くんも息が荒い。 目を合わせるのが恥ずかしくなり俯いてしまう、誠人くん今どんな気持ちなんだろ…でも、今はそれどころではない。 「あたし…誠人くんが好き」 確認を要求してあたしは言う。 いい答えを期待して必死に笑っているけど、ちゃんと出来てるか不安…。 「俺もだよ…!」 良かった、ちゃんと笑えてた。 良かった、誠人くんはまだあたしの誠人くんだ。 「ありがとう…。でも、あたし短気なのかな…?他の人に誠人くんを触らせたくない。 その傷が…他の人が誠人くんに触れた証拠があるのが耐えられない! そんなの見てるとあたし壊れちゃうよ!!!」 さっきまで押さえ込んでいた感情が爆発する、もう駄目だ、限界だ。 誠人くんの右腕にある傷、誠人くんを蝕もうとしている諸悪の根源! それを見つめながら、一歩だけ後ろに下がる。 「…ハハ…こんな、こんな傷があるのがいけないんだよ…?あたしも誠人くんも悪くない…”この傷”がいけないんだよ!?」 そう、あたしは悪くない、誠人くんも悪くない、この傷なんだ! あたしの誠人くんを”他の人が触れた”という事実で汚そうとしているこの傷がいけないんだ。 こんなものさえなければ、いつものあたしでいられるのに………この傷が! あたしは我を忘れ、その傷を引っ掻き始める。 瘡蓋が剥がれるけどまだ駄目だ、まだ根は潰し切っていない。 もっと深く、根から摘み取ってやらなければならない! そうしないと幾らでも再生する…二度と寄生しないように、奥の奥まで抉り取ってやる! 誠人くんが悲痛の叫びをあげている、痛そう…ごめんね。 でも、大丈夫だよ…もうすぐ終わる…。 「大丈夫大丈夫大丈夫…すぐに消えるから………傷も、痛みもすぐに消えるから!」 子供をあやすように優しく囁く、その声は誠人くんの悲鳴によってかき消されていった…。 662 名前:上書き第3話 ◆kNPkZ2h.ro [sage] 投稿日:2007/02/11(日) 20 18 19 ID AcKNDcu5 あたしの爪から指にかけては血だらけだ。 それはあたしが傷を上書きしてあげた証、これで良かったんだ。 誠人くんは確かに痛い思いをしたけど、そうしなければあたしだけの誠人くんじゃなくなってた。 あたしたちの仲を取り持つにはこれしかなかったんだ…。 「痛い?誠人くん…ごめん………こんなあたしでごめん…」 それでも罪悪感は感じる、他に方法がないとはいえ、こんなに誠人くんは血だらけになっている…。 呆然としている誠人くんを見つめながら、何度も許しを乞う。 「あたしが弱くてごめん…。ホントごめんなさい!あたし誠人くんが好きなの!好きで好きで…ごめんなさい…」 嫌われたくない! 伝わって欲しい、流れる血はあたしの誠人くんへの想いだって…。 さっきまで無言だった誠人くんがようやく口を開く。 「き、気にすんな。俺も怪我しないように気をつけるから」 分かってくれた、あたしの想いを分かってくれた! 自然に笑顔がこぼれてしまう。 許してきれてありがとう…誠人くんも同じ気持ちなんだ、きっと! 朝はちょっと不安だったけど、やっぱり誠人くんはあたしのもの。 何者にも汚させはしない、絶対に。 その為なら、何だってするから、安心してね…誠人くん。 ――――――――――――――――――――――――――――――― 663 名前:上書き第3話 ◆kNPkZ2h.ro [sage] 投稿日:2007/02/11(日) 20 18 57 ID AcKNDcu5 「動ける?」 加奈は誠人に手を差し伸べる。 「あぁ…ちょっと保健室行って来くるから、先食べててよ…」 「あ、そっか!弁当食べるんだ…って弁当!?」 加奈はようやく誠人と一緒に食べるはずだった弁当の事を思い出す。 「あたしどこに置いてきちゃったっけ?」 焦って問い詰めてくる加奈を笑いながら誠人は頭を左手で掻く。 「教室の俺の机んとこに落としてたよ」 それを聞きホッとする加奈。 そんな加奈に一安心した誠人は、右手の傷口をハンカチで押さえながら立ち上がった。 痛みはさほど感じていない、もう慣れたようだ。 「あっ、あたしも一緒に保健室行くよ!」 「何言ってんだよ、俺の事より弁当を保守しときな」 誠人の事に気をとられ、またしても弁当の存在を忘れていた加奈が口に手を当てる。 数秒心の中で葛藤して、頭を下げる。 「ごめんね、待ってるから」 そう言い残して加奈は去っていった。 取り残された誠人も出て行こうとした時、かなり重大な事に気がついた。 「おい…嘘だろ…?」 認めたくない事実に、もう一度座り込みたくなってしまった。 「ここ女子トイレじゃねぇか…」 そう、誠人が今いるのは女子トイレ、男子禁制の場所だ。 それを理解して急に押し黙ってしまう誠人。 (物音一つだって立てられない…) さっきまで大声で喚いていた人間が考えるとは思えない事を考えている。 (万が一出て行こうとした時に誰か入ってきたら…俺は卒業まで変態として避けられちまう…) 沈み込む誠人、こんなんなら加奈と一緒に出ればよかったと後の祭り尚且つ筋違いな事を思う。 (で、でも、慎重に行けば多分…どの道次の授業までには出なきゃならないんだ!) 誠人は意を決した。 強い決心の割りにはゆっくりと扉を開ける。 誰もいない事を二回も三回も確認する、青信号の状態で三回確認してから渡る子供のように。 (よしっ!) 誠人は一気に女子トイレを出ようとする、焦る気持ちを何とか押さえ込む。 (もうちょいもうちょい!) 本当にもうすぐのところだった、しかし不運な事に誠人は遭遇してしまう。 「さ、沢崎くん…?」 「なっ!島村…」 二人の間に重苦しい沈黙が舞い降りた。 664 名前:上書き第3話 ◆kNPkZ2h.ro [sage] 投稿日:2007/02/11(日) 20 21 06 ID AcKNDcu5 以上投下終了。 650のイベント行きたいなw 665 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/11(日) 20 25 10 ID cTVOpEhn 664 GJ!! 嗚呼、誠人はこのまま変態の烙印を押されてしまうのか? 666 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/11(日) 20 29 12 ID AZd0RGPA 上書きキタ━━(゚∀゚)━━!! GJ! 次回は修羅場か変態認定か?w 667 名前:伊南屋 ◆WsILX6i4pM [sage] 投稿日:2007/02/11(日) 20 34 53 ID Wy/5ziQ0 GJ!これからが楽しみだ! そいでもって神無士乃 http //imepita.jp/20070211/736670 中央の空白には各自、お好きなナニかを当てはめて下さい。 ……いや、大丈夫だよな。コレ? 怒られない? 668 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/11(日) 20 39 23 ID AZd0RGPA 667 ちょwwwエロktkr GJ! 669 名前:上書き ◆kNPkZ2h.ro [sage] 投稿日:2007/02/11(日) 20 45 01 ID AcKNDcu5 今回はちょい進まなかったから次回は頑張ります。 667 これはwww 伊南屋さん最高ww 670 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/11(日) 20 48 54 ID cTVOpEhn お前は「これなんてエロゲ?」と言う!↓ 671 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/11(日) 20 52 40 ID W1wZyw7C 667 冬継のサイズって標準サイズなんですね。 幹也はどれくらいなんだろ? 672 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/11(日) 21 02 00 ID nccjQsTV 667 671に代わって言う。これなんてエロゲ? 673 名前:伊南屋 ◆WsILX6i4pM [sage] 投稿日:2007/02/11(日) 21 06 10 ID Wy/5ziQ0 おまけ 地下室/束縛と悪戯(主観) http //imepita.jp/20070211/758380 土下座する準備は出来ている。 674 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/11(日) 21 12 19 ID AZd0RGPA 673 うはwwwテラGJ! 675 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/11(日) 21 25 08 ID UhInmlj9 (*´д`*)ハァハァ 676 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/11(日) 21 54 15 ID NE4Gly5N シスコンのくせにいいいいい 677 名前:伊南屋 ◆WsILX6i4pM [sage] 投稿日:2007/02/11(日) 22 16 24 ID Wy/5ziQ0 THE・主人公 S 諦観の少年/妄執の少年 http //imepita.jp/20070211/800750 エロスよりこういう絵の方が描きやすいなやっぱり。 678 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/11(日) 23 41 38 ID UzgpzIlV 伊南屋氏GJ! 679 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/11(日) 23 45 51 ID ACgqNhIR ゲーム化を企む者です… 677 GJ!二人はお茶会では貴重な男性キャラですね~。 ところで、伊南屋様のキャラデザをトレースして 勝手に描いてゲームに使用してよろしいでしょうか? あ~あと、お茶会シリーズのゲーム化についての話は スレ違いになりかけだと思うので、 お茶会作者様、伊南屋様、その他意見有る方は、 kyoukikurabu_gameka@hotmail.co.jp までメール下さい。 入手したアドレスは もちろんゲーム化以外には使用しませんので、 フリーアドレスでも作って送ってやって下さい。 特に作者様と伊南屋様。 680 名前:伊南屋 ◆WsILX6i4pM [sage] 投稿日:2007/02/12(月) 00 00 48 ID Wy/5ziQ0 勿論でありますよ。 むしろ使ってくれないかな~っていう下心全開ですから。 本当は原画が出来れば良いんですがね。 なんでまあドシドシ使ってやってくださいませ。 こういう絵が見たいとかあれば応えますし。これはノベルゲー作者様に限らずスレ住人からも。 だもんで要望はただ一つ。 完成だけはさせて下さい。その為の協力は惜しみませんから。 681 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/12(月) 00 07 02 ID gUrHAfpe もうアレだ。 ゲームは伊南屋さんに原画任せちゃったらどうだろう。 ハッキリ言って絵のレベルとんでもなく高いし、スレ住民としてはゲーム化した時親しみやすいし。 どうだろ? 682 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/12(月) 00 18 49 ID YJ0sg9qM 681 そういう意見は、上のアドレスに送ったほうが良いんじゃない? 683 名前:伊南屋 ◆WsILX6i4pM [sage] 投稿日:2007/02/12(月) 00 26 33 ID zj6Fc85K 書き込んだばっかだけど再登場。 神無士乃再び。 幼き躯/特異点二つ http //imepita.jp/20070212/014160 紙がクシャってしまった残念な絵。 684 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/12(月) 00 39 08 ID iHZWMzxV (;´Д`)ハァハァ・・・ GJ!!!! ここで、保健室での更紗が見てみたいと言ってみる 685 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/12(月) 00 46 26 ID +fVGc6IS それじゃリクで出来れば如月更紗・学生服verお願いできますか。 それと出来れば線画だったキャラのカラーを見てみたいっす。 686 名前:いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs [sage] 投稿日:2007/02/12(月) 00 53 32 ID PlyyGhUv 638 「うおおお! この力はなんなんだ如月更紗!」 「それが冬継くんの中に眠っていたジャバウォックの力だ! 反物質で全てを塵に出来るぞ!」 「そうか分かったぞ! ジャバウォック・ハンマーコネクト! 光になれ如月更紗――!」 こういうことですね。 伊南屋 氏 リテイク後の方がしっくりきますね リテイク前は、もう二年後くらいに育った感じです そしてパッケージはもう本当に存在しそうで驚き 650 狂ってるほどの愛情が可愛いと思うんだ 主人公が受け入れられなければホラー、受け入れれば純愛。 687 名前:いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs [sage] 投稿日:2007/02/12(月) 00 57 36 ID PlyyGhUv 神無士乃エロ これなんてエロゲ? GJ! 671 とりあえずメールお送りしました 伊南屋 氏と同じで、きちんと完成さえできればいうことはないです こちらも協力しますので、何でも言ってください 688 名前:伊南屋 ◆WsILX6i4pM [sage] 投稿日:2007/02/12(月) 01 56 17 ID zj6Fc85K 朝の自室、保健室。 如月更紗/白布の海で http //imepita.jp/20070212/066750 あれだ背景の差分で自室と保健室で使い回しだ。 カラー化について 今回で肌色のコピックを切らしたのでしばらくは無理。 むしろゲーム版のCGに期待……ってダメ? 689 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/12(月) 02 20 55 ID BJCQe24c 如月更紗、増量中(主に胸が)!? 690 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/12(月) 02 47 44 ID 9WEbGmpv 各キャラのバストに関しては作者の方のご意見を伺いたいですねw 691 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/12(月) 03 10 11 ID UaLvR0ph ここ最近の流れにはついていけぬ… 692 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/12(月) 04 33 00 ID aUpOEiWP 確かにちょっと過熱気味かなと思ったりもする いやクオリティはすっごい高いんだけどね 693 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/12(月) 05 35 05 ID O6duMRrj 690 とりあえず、描写からちょっと抜き出してみると 如月更紗は「女性的な膨らみとは彼方の関係だが、絵画的な綺麗さがある」という「人間味のない彫刻」で 神無士乃の方は「小さな背と大きな胸」で「丸い瞳と、女性らしい体つき」をした「人間味に溢れる少女」 とのこと。あと如月更紗は生えてない。 691-692 それぞれにハイクオリティな小説と絵が投下されて、ゲームにしたいという人までいる状況だからなぁ。 ちょっと加熱気味になっちゃうのも仕方ないところがあるんじゃない? もう少し落ち着いてもいいとは思うけど。 694 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/12(月) 09 20 24 ID wqvf+upe まくなく次スレの時期だな。440KB超えてる。 今度投下があったら立てた方がいいかも 前スレは消費するまで半年くらいかかったっけ。 それなのにどの辺からこんなに活発化したんだ? 695 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/12(月) 09 21 48 ID nuQO+uZd 作者様方はメールでやりとりも始めたみたいだし スレも落ち着いてくると信じてる。 696 名前:伊南屋 ◆WsILX6i4pM [sage] 投稿日:2007/02/12(月) 11 16 27 ID zj6Fc85K そうだった。更紗はひんぬーだった……。 てわけで 如月更紗/白布の海で(リテイク) http //imepita.jp/20070212/404420 横にして見る絵です。念の為。 697 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/12(月) 11 31 10 ID pPuhHdo9 696 絵画的な美しさキターー!! 貧乳好きにはたまらん…… 698 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/12(月) 12 41 54 ID 9WEbGmpv コスチュームからしてもマニッシュなイメージですね カッコイイ 699 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/12(月) 12 43 46 ID kMEZ1UDW Operaイメピタ見られないからいちいちIEで開かないといけない 700 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/12(月) 13 01 41 ID yPOnFcDW 699 つ[保管庫]管理人さんの迅速な保管ですぐに見れるよ 701 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/12(月) 13 10 20 ID pPuhHdo9 本当だw管理人さん超GJ 702 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/12(月) 13 16 13 ID kMEZ1UDW うおおおおお! 703 名前:伊南屋 ◆WsILX6i4pM [sage] 投稿日:2007/02/12(月) 14 17 12 ID zj6Fc85K イベント絵っぽい何か。 http //imepita.jp/20070212/513350 ラフ画で力尽きた。 704 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2007/02/12(月) 15 00 14 ID 7tTv6zZw 修羅場ッテルーーーーーー!? ヤンデレ+刃物=修羅場系血の海地獄 705 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/12(月) 15 33 14 ID YJ0sg9qM 6話後編のイベント絵ですね? 個人的には、Aルート13話キボンヌ(゚∀゚)!! 706 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/12(月) 16 19 36 ID T+uQkUaN ちょ、冬継まで刃物持ってるwww 707 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/12(月) 16 25 07 ID 0Na19PY6 704 sageようね 708 名前:伊南屋 ◆WsILX6i4pM [sage] 投稿日:2007/02/12(月) 16 37 55 ID zj6Fc85K 冬継の刃は本編に出て来た春香の遺品(魔術短剣) 場面は 705が正解。 そして懲りずにリテイク 如月更紗/白布の海で(TAKE3) 絵の元ネタはアレクサンドル・カバネルの“The Birth of Venus(ヴィーナスの誕生)” 有名な貝殻に立つヴィーナスのやつはウィリアム・ブゲロー作。 チャールズ・シャノン作の“ヴィーナスの誕生”もあるんだけど、どれもやたらエロく、それ以上に美しい。 スマン。関係ないですね。 709 名前:伊南屋 ◆WsILX6i4pM [sage] 投稿日:2007/02/12(月) 16 39 29 ID zj6Fc85K リンク張り忘れ……orz http //imepita.jp/20070212/594010 710 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/12(月) 17 37 37 ID 7UHLx3tv 708 GJ!そしてこれはエロい(*゚∀゚)=3ハァハァ 711 名前: ◆5PfWpKIZI. [sage] 投稿日:2007/02/12(月) 17 44 47 ID pPuhHdo9 709 ……(*´д`)ハアハア これは素敵な更紗ですね ↓投下します。 712 名前:恋人作り ◆5PfWpKIZI. [sage] 投稿日:2007/02/12(月) 17 45 49 ID pPuhHdo9 真綾が家に帰り着くとちょうど祐人からメールが届いた。 to;真綾 from;祐人 message;無事家着いたか? 「はぃはい着いたよぉっと……」 メールを返しながら鍵を開けて家に入る。 「ただいまー。お母さーん?」 「おかえり真綾。今日はずいぶん早いのね。さては祐人くんと喧嘩でもした?」 「もぅやめてよお母さん。私と祐人はラブラブですょうだ。 ってかお母さんが電話くれたから早く帰って来たんだけど?」 「え?電話なんかしてないわよ?」 「え?だって早く帰って来てって…」 真綾が着信履歴を確認する。そこにはしっかりと履歴が残っていた。 「変ねぇ…電話してないわ。ほら」 母親の携帯にはもちろん発信履歴など無かった。 ■■■■■■ ■■■■■■ 「お姉ちゃん。祐人が目覚まさないんだけど」 「真弓……まだ眠らせてから一時間しか経って無いわ。 最低六時間は目覚めないと言ったでしょう」 「でもこのまま眠ったままだったらどうしよう。どうしたらいい?」 713 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/12(月) 17 46 31 ID DlOueibL 絵の投下は別に専用スレ立ててやったほうがいいんじゃないか? 714 名前:恋人作り ◆5PfWpKIZI. [sage] 投稿日:2007/02/12(月) 17 46 50 ID pPuhHdo9 倒れてから深く眠ったままの祐人を見続けるうちに不安に駆られた真弓はほとんど 半泣き状態だった。 さっきまで眠った祐人を部屋へ運んだり祐人の携帯から真綾にメールを送ったりと 忙しくしていたために余り祐人をゆっくり眺められ無かったため気にならなかった。 が、家に着いた祐人が体がダルいので早く寝た、と真綾に思いこませてメールが一段落 したところで改めて見ると本当に文字通り死んだように眠っていた。まるで二度と 目覚めないかのように。 「目覚めなかったら……絶対にどこにも行かないからそれでいいんじゃないかしら」 「お姉ちゃんは良くても私は良くないわ!私は人形が欲しいんじゃない、 生きて動いている祐人が欲しいの!」 「大丈夫よ。十時間は効くって意見も載ってたから……むしろ今すぐ目覚めた方が どんな体質なのか不安だわ……」 「他人事だと思って!」 「大丈夫よ真弓、泣かないで……それより貸した機械返して欲しいのだけど」 「あ、忘れてた。ごめんね」 真弓は電池式の充電器のような機械を拾うと亜弓に返した。もちろん充電器では無い。 携帯のロックを強制解除するためのものだった。 715 名前:恋人作り ◆5PfWpKIZI. [sage] 投稿日:2007/02/12(月) 17 48 12 ID pPuhHdo9 「それと真綾に電話かけてくれたのありがとう。助かったわ。お姉ちゃんがいないと 関係ない真綾にまで実力行使しなきゃいけないとこだったから」 「それなら思ったより簡単だったわ……薬を探すことの方がむしろ大変だったもの」 「お姉ちゃんには感謝してるよ。本当にいつかこの借りは返すね」 真弓は不安そうな目を祐人に戻した。 「祐人……本当にごめんね」 真弓は祐人の手を握りしめた。 そして数秒、祈りを込めるような仕草で手の甲に口付けると立ち上がった。 「じゃあお姉ちゃん、行ってくるね」 真弓は暗くなりはじめた街へ消えていった。祐人を自分だけのものにするために。 ■■■■■■ 716 名前:恋人作り ◆5PfWpKIZI. [sage] 投稿日:2007/02/12(月) 17 49 02 ID pPuhHdo9 ■■■■■■ 結局姫野真弓が帰ってきても聖祐人が目を覚ましておらず、彼が目覚める前に真弓は 眠ってしまった。もちろん祐人の手は握ったままで。やはり疲れきっていたのだろう。 「夕食ぐらいは食べて欲しかったのだけど……」 亜弓は2人の微笑ましい光景を見ながら祐人が起きるのを待つかどうかを迷っていた。 別に真弓に頼まれたわけでは無いので待っている必要は無いのだが。それに起きたら 起きたで状況を説明するのが面倒くさい。 「……あら」 ぐずぐずと悩んでいるとちょうど祐人が目をあけた。 「おはよう……祐人くん」 祐人はまだ薬が抜けきって無いようでぼんやりと視線をさまよわせている。彼の 視界には白っぽい部屋と微笑んでいる見慣れない――長い黒髪の青白い顔のどこか 見覚えのある女性が写っていた。 「ぇぇと……とりあえず朝になったら真弓が起きるから。そしたら状況を説明して もらってね……多分真弓もそうしたいと思うわ」 亜弓の生き方は少し独特だった。彼女は妹の真弓と自分の「運命の人」以外の全ての 事象に固執しない。興味が無い。配慮が無い。亜弓は―― 「真弓には内緒ね。じゃあおやすみなさい……」 スタンガンで祐人をもう一度眠らせた。 ■■■■■■ ■■■■■■ 717 名前: ◆5PfWpKIZI. [sage] 投稿日:2007/02/12(月) 17 50 21 ID pPuhHdo9 今回はここまでです。 話全然すすんでないorz 718 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/12(月) 17 58 34 ID gcg1Uoes 717 乙 続きを楽しみにしてます 719 名前: ◆kNPkZ2h.ro [sage] 投稿日:2007/02/12(月) 18 15 54 ID laI97l2T 713のIDに嫉妬w 717 真弓の監禁劇場は先延ばしのようですね、焦らしますねw 今日の夜くらいには4話投下します。 それにしても、ゲーム化が本格化してて嬉しいw 720 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/12(月) 18 23 19 ID YJ0sg9qM 姫野姉妹キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!! これから祐人をどのように堕としていくのか、楽しみです。 721 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/12(月) 18 23 54 ID rR6YJAWq 今日彼女に 「私という彼女がいるんだから、T君にはこんなもの要らないよね!?」 みたいなことを怒鳴られた、あまりの剣幕に俺が(゚Д゚)ポカーンとしてると俺の携帯アプリのデジモンがデリートされた 俺のガルルモンが・・・・・・orz スレ違いだな・・・・・・ガルルモンに会いに逝くよ ノシ 722 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/12(月) 18 28 36 ID wqvf+upe 721 それは本当にキミの彼女かい? 俺の統計によるとそんなことを言う女性はストーカーしかいないと出ているのだが。 723 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/12(月) 18 37 32 ID rR6YJAWq 722 マジで? 付き合って2週間位だけど、今まではこんなこと無かったし・・・・・・あっても嫌だけど 何回デリートされても俺はまたガルルモンを育てようと思う 724 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/12(月) 18 39 52 ID kMEZ1UDW クマー 725 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/12(月) 18 49 24 ID DlOueibL rR6YJAWqは死亡フラグ立ちかけか? うらやましい…。 726 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/12(月) 19 49 56 ID 2kVD3lGM きみのその体験はヤンデレスレではなく嫉妬修羅場スレ向きだと思う。 727 名前: ◆kNPkZ2h.ro [sage] 投稿日:2007/02/12(月) 19 52 48 ID laI97l2T 721 最高の彼女だな…。 て事で4話投下します。 728 名前:上書き第4話 ◆kNPkZ2h.ro [sage] 投稿日:2007/02/12(月) 19 53 37 ID laI97l2T マズイ、絶対にマズイ! まだ女子トイレ内にいる俺を見ながら固まっている島村。 状況を理解し切れていないのか、微動だにしない体に反し目がきょろきょろとしている。 それがせめてもの救いだった、この場で悲鳴でもあげられようものならその瞬間俺の高校生活は幕を閉じる。 軽蔑の眼差しを常に受けながら無視され続け、友達も思い出もないまま俺の青春が終わる。 そんな情景を思い浮かべて思わず身震いしてしまう。 絶対にそれだけは免れなければならない、俺はその一心で島村の左腕を掴む、加奈によって上書きされた右腕で。 痛みは先程より若干増しているが、それどころではない。 「えっ!?」 一瞬周りに誰もいない事を確認すると、驚く島村と顔を合わせないように前を向き、俺は掴んだ手を引っ張る。 とにかく今はこの場を去った方がいいだろう、島村が事を理解しない内に。 「ちょっと、どこ行くんですか?」 島村の言葉を完全無視して強引に連れて行く、人気のなさそうな場所へと。 729 名前:上書き第4話 ◆kNPkZ2h.ro [sage] 投稿日:2007/02/12(月) 19 54 52 ID laI97l2T 早走りさせる事数十秒、俺と島村は体育館裏にいる。 人気のない場所で体育館裏というのもベタだが、ここより安全なところはそうないだろう。 とりあえずここなら誤解を解く前に叫ばれても誰にも聞こえない。 息切れしたのか、胸を押さえて俯いている島村。 表情が読み取れない事に不安を覚えつつ、その思いを振り払う。 今は一刻も早く説明をしなければならない時だ。 「島村…」 返事はない、というより出来ない様子だ。 どうやら無意識の内にかなり走らせてしまったらしい。 僅かに覗く島村の眼鏡の縁が光っているのが妙に気になりつつ、もう一度呼び掛けようとした。 しかし、俺の声は突如顔を上げた島村の言葉に遮られる。 「…変態………」 思い切り胸に突き刺さった。 まだ肩で呼吸している島村のまじまじと俺を見つめる、もとい睨む目線がかなり痛かった。 何となく驚いた、俺は島村とはほとんど面識はないが、結構おとなしめの子だろ思ってた…そりゃ昨日は突然叫び出したりしたけど、それを入れたって信じられなかった。 島村が、こんな相手への尊厳をまるでなくしたかのような視線を送れるなんて事が…。 こんな対応をされるなら、まだ泣きながら発狂された方が何倍もマシだと思った。 しかし、もっと驚いたのはこの後だ。 「なんですね、沢崎くんって」 突然島村が笑顔になったのだ。 さっきまで幻滅したと言わんばかりの表情だったのに、突然手の平を返したように明るくなった。 何が何だか分からないが、とりあえず島村の言葉は否定しなければならない。 「ち、違うんだ島村っ!」 「何の前触れもなく女子トイレから出てきた男のどこが変態じゃないんですかね?」 こいつ…昼飯前までは散々俺にペコペコ頭下げてたくせに、急に偉そうになっていやがる。 いや、俺が悪いからなんとも言えないんだけれどもさ…。 最初こそ暗かったものの、島村は今はくすくす笑っている…女子トイレから出てきた男がそんなに可笑しいのか? 「これにはなぁ、色々と訳があってだなぁ…」 「訳ってどんな訳です?相当な理由でないと私は納得しませんよ?」 730 名前:上書き第4話 ◆kNPkZ2h.ro [sage] 投稿日:2007/02/12(月) 19 55 39 ID laI97l2T 試すように俺の顔を見つめてくる島村…俺の考えを読み取ろうとするかのようにジッと視線を外そうとしない。 困ったな…素直にそう思った。 本当の事は口が裂けても言えないし、かと言って相当な理由なんて即興で思いつくはずがない。 女子トイレから出てきて許されるのは小学校低学年がいいところだ。 声変わりもした男臭い高校生が女子トイレから出てきて正当化される理由って………? 先生から何かしらの罰で掃除してたってのは先生に訊けばすぐバレるし、落し物したって言ったって俺は今ペンの類を持ち合わせていない。 妙な予感がしてなんてのはどうだ!………いや、変態プラス電波ってレッテルを貼られてしまう。 女子トイレのタイルを急に舐めたくなって…って落ち着け俺! どんどんおかしい方向に行っている事にいい加減気付け、とにかく…とにかく………。 「やっぱり、理由もなく女子トイレに入ったって訳ですね」 俺が押し黙っているところを島村が追い討ちをかけてくる。 何故だか楽しそうにしているのが腹が立つ…でも、言い逃れは出来ない。 「いや…その………」 「見苦しい言い訳は結構」 ビシッと俺の事を指差す島村、完全に形勢逆転してしまったな…始めっから不利な状態だったけど…。 「私、言い訳する人は好きじゃありませんね。素直に謝ればとりあえずは誰にも言いませんよ?」 言い訳うんぬん以前に女子トイレから出てくるような男を好きになる女なんて天然記念物並の希少な存在だろ、と思ったが口には出さなかった。 ”とりあえずは”というのが引っ掛かったが、今は謝罪する他ない。 「す、すまないっ!」 プライドは捨て自分より小さな少女の前に跪き、土下座をする。 頭を地面に擦り付けないのはちっぽけな意地だ。 「謝ったって事は、認めるんですね?”入りたくて女子トイレに入った”って事を」 一瞬反論しようとしたが寸でのところで思い止まった。 今は感情的になってはいけないと必死に自分に言い聞かせる。 この場はもう島村が主導権を握ったと言っても過言じゃない。 「返事は!?」 「…は、はい………」 生まれて今までで多分一番の屈辱だったと思う。 別に男尊女卑の気なんてないけど、やっぱり女に頭を下げるのは抵抗のある事だ。 それでもこれで許してもらえるなら…と思っている自分が悔しい。 731 名前:上書き第4話 ◆kNPkZ2h.ro [sage] 投稿日:2007/02/12(月) 19 56 26 ID laI97l2T 「はぁ…まさか沢崎くんがそんな事する人だったとは…」 わざとらしく溜息をつく島村、頭は下げたままの状態だからはっきりと表情は読み取れない。 「いつまで土下座してるつもりですか?」 許しの印かと思い頭を上げようとすると、後頭部に衝撃が奔った。 思い切りのある力に今度は地面に擦り付けられてしまう。 何事かと思って視線だけを見上げると…一瞬信じられなかった。 あんなに謙虚な態度の…まぁ俺がそう思っていただけかもしれないが、その島村が俺の頭を靴で踏みつけているのだ。 「誰がやめていいと言ったんです?」 もう俺は島村の事が分からなくなっていた…それは確かに島村の事は昨日の事があるまでは名前しか知らなかった。 特に関わりがあった訳でもないから何とも言えないのだが、土下座した人間を踏みつけられるような女が同じクラスにいた事が信じられない。 「ま、それは冗談として…」 呆気に取られている俺をよそに、島村の足の力が緩む。 何となく未だに不安で島村の顔を伺っていると、手を微妙に上げる動作をしてきた。 どうやら、これで本当に許してもらえたようだ…と思ったのは俺だけだった。 「じゃあ、俺はこれで」 「待って下さい」 立ち上がって即座にこの場を立ち去りたかった俺の動きを言葉で制す島村。 丁寧語だが俺には明らかに命令口調に聞こえる、勝手にそう脳内変換されてしまう。 俺のこいつに対しての印象はどうやら180度変わってしまったらしい。 「本当に謝罪の意があるなら、態度で示すべきだと思いませんか?」 「だから土下座したんじゃ…」 「別に沢崎くんが土下座したからといって私が得をした訳ではありません」 「そりゃそうだけど…」 物凄く嫌な予感がした。 こういう時、大抵パターンは決まっている…でも、まさか島村に限って…有り得るな。 心の中を絶望感が支配する中、予想通りの事を島村は口にした。 「これからしばらくは私はご主人様、沢崎くんは奴隷ね」 笑顔で肩を叩きながらまた試すような視線を送る島崎。 逆らったら皆にバラすとか言うんだろうな…ある意味もう終わったと言っていいな…。 「”しばらくは”って、いつまでだよ?」 「私が満足するまでです」 当然といえば当然の返答…まぁ島村が満足すれば俺の高校生活はとりあえずは安泰になるんだ…安く思おう…。 こんな事考えるなんて、きっともう感覚が麻痺してしまったんだろうな。 732 名前:上書き第4話 ◆kNPkZ2h.ro [sage] 投稿日:2007/02/12(月) 19 57 08 ID laI97l2T 「分かったよ…」 「それじゃ早速、一つ目の注文」 「もうかよ…」 意気消沈する俺…でも覚悟は出来ている、どんな理不尽な要望でも了承する覚悟はある!…女子トイレ入る以外ならな。 「一歩こっちに来て下さい」 腕組をしながら命令する島村に、情けないほどげっそりとした俺は渋々一歩前進する。 ぶたれるのかな…なんて暗い想像をしていた。 「まずは”首輪”を付けないといけませんね…」 そう言った瞬間、島崎は俺の首を掴んで思い切り引き寄せてきた。 あまりの勢いに、倒れそうになる俺を島村が支えたかと思うと、首元にひんやりとした感覚が奔った。 変態と言われた時よりも…軽蔑の眼差しを送られた時よりも…踏みつけられた時よりも…多分一番驚いた。 島崎が俺の首元に自分の唇をつけてきていたのだから。 抵抗する気力も起きない…というかどこから抵抗したらいいのか分からなかった。 俺が想定していた光景とはあまりにもかけ離れている、何の脈絡もないこの行動に俺は何も言えずにいた。 茫然自失の俺を置いてきぼりにしひたすら首元を蹂躙している島村。 永遠にも感じられた何十秒の後、ようやく島村は唇を離した。 「これで良しっ!」 満足そうにさっきまで繋がっていた部位を見つめてくる島村。 心なしか、濡れているその部位から唾液の香りまで漂ってきそうだ。 ようやく意識を取り戻した俺は、同時に恐怖を覚えた。 「おまっ、まさかつけたのか!?」 頼むから否定して欲しかった…そんな俺の期待虚しく、島村は笑顔で言い放つ。 「勿論、くっきりとキスマークついてますよ」 その言葉を聞いた瞬間、最悪の未来像が俺の頭の中を駆け巡った。 「さ、これで第一の命令はお終い。第二の命令は一緒に保健室にくる事です」 そう言って島村は最初とは逆に俺の腕を掴み引っ張った。 しかし、そんな事は今の俺にはどうでもいい事だった…頭の中にはもう最悪の想像しか浮かばない。 (もしこいつが、加奈に見つかったら………俺は…) 733 名前: ◆kNPkZ2h.ro [sage] 投稿日:2007/02/12(月) 19 58 14 ID laI97l2T 投下終了です。 ヤンデレから激しく遠ざかって…orz 734 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/12(月) 20 05 49 ID BJCQe24c うはww え ぐ ら れ る 735 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/12(月) 20 14 42 ID zj6Fc85K 頸動脈に“上書き”して大量出血。失血死の死亡フラグw 736 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/12(月) 20 14 47 ID 7UHLx3tv 今日も連続投下キタ━━(゚∀゚)━━!! 717 GJ! 姉妹揃っていい病みっぷりです! 733 GJ! 島村さん怖いよ島村さん(*´Д`)ハァハァ 737 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/12(月) 21 22 09 ID dJAJczQi 誠人不幸すぎワロタwww こうまで顕著な死亡フラグが立った主人公が今までにいただろうか、いやいない 738 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/12(月) 21 37 37 ID T+uQkUaN 修羅場フラグキタコレ 735 ってやっぱキスマークにも傷で上書き!?キスで上書きじゃなくて?? そうだよなぁ・・・。やっぱそういうやり方しかしそうにないよなぁ・・・。 739 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/12(月) 21 47 10 ID wqvf+upe 俺の予測 誠人は熱湯を首にかけられる ↓ 首が水ぶくれになる ↓ その状態になってから皮をはがし、キスで上書き 740 名前:赤いパパ ◆oEsZ2QR/bg [sage] 投稿日:2007/02/12(月) 22 41 04 ID MD4+xJFQ 真夜中のよづり、投下します。 741 名前:真夜中のよづり3 ◆oEsZ2QR/bg [sage] 投稿日:2007/02/12(月) 22 42 16 ID MD4+xJFQ 「私に優しくしないでね。かずくん」 よづりは俺をリビングに案内するなり、こう宣言した。俺は眉をひそめる。 あれか、これは今流行の不思議系とかお姫様系とかそういうのか。しかし、この姫はクリームいっぱいのいちごショートケーキのお姫様というよりかは、蝙蝠や墓場が立ち並ぶ暗黒世界の姫に近い。 俺の説明で、ゴシック系を浮かべたら俺は違うと言い張る。そんな上品なものじゃない。もっと毒々しい感じだ。毒の沼とかそんなの。 榛原よづり宅のリビングは床暖房が効いているのか、足からぬくぬくしていてとてもあったかかった。 しかし、榛原よづりはその上をまるで氷の上に立つかのように冷たそうに歩く。この人もしかしたら体温無いんじゃないのかと疑ってしまうほど、彼女はこのあったかそうなリビングとはミスマッチだった。 リビングは木のテーブルに対面したソファがふたつ。大きな本棚がふたつあるがどれも大きくて厚い本が詰まっている。背表紙には英語やたぶんドイツ語あたりの文字が羅列してあって、妙な圧迫感を覚える。 ひろいリビングだが、妙に殺風景だった。こんな一般家庭でテレビも無いリビングなんて初めて見たぞ俺。 「コーヒーでいい?」 「あ、お構いなく」 「優しくしないでいいから」 遠慮も勘弁して欲しいらしい。俺は何も言えず、憮然とした顔で黙るしかなった。 榛原よづりがひたりひたりと歩いて台所に消える。なんだか、リビングが急に明るくなった気がした。 「しかし、予想外だ……」 俺は頭を抱えた。軽い気持ちで挨拶して終わるつもりだったが、相手は二十八歳の引きこもりだった。俺より十以上も年上である。どんな対応の仕方をすればいいのかわからない。 こんな相手とこの三学期中仲良くしろと言うのか? 会話が絶対つづかねぇよ。 うーん、こんなことなら副委員長の仕事ちゃんとやっときゃよかった……。最後の最後にものすごい爆弾な仕事落としやがって。 俺が委員長の愚痴をぶつくさ呟いていると、榛原よづりが戻ってきた。 「えへへ……。おまたせ、かずくん」 彼女はコーヒーカップをひとつだけお盆に乗っけて、小さなリビングのテーブルにコーヒーを並べた。 それを俺の前に差し出す。どうやら俺のコーヒーしか淹れていないようだ。俺は無言で受け取ると、ついていた角砂糖を2・3個茶色いのコーヒーに落としかき混ぜる。 榛原よづりはえへへとはにかみ気味に笑うと、ソファに座る俺の横に体を預けた。 ……なんで俺のすぐ横に座るんだよ……。 ソファは確かに広いけどわざわざそこに座らなくてもいいだろ。 「飲んで、かずくん」 「は、はい」 榛原よづりは俺の前に乗り出すように顔を近づけて笑いかける。前髪の間から見える口元はにんまりと笑っていて妙に不気味だった。 俺は一口、コーヒーを含む。ほんのりと香りが口の中を支配して、独特の渋みと苦味が舌に乗る。結構美味い。 「……どう?」 「うん、美味しい、です」 まるでホテルで淹れてもらうコーヒーのようだ。俺がそう言うと、よづりはにんまりとした口元をさらにきつくゆがめた。俺は褒めたのが気に入らなかったのかと思ったが、そうではないらしい。 「敬語じゃなくていいよ。年上だけど、同級生だもん」 「そ、そうか? じゃあ……おいしいぞ、コレ」 「えへへ……」 優しくしないでくれと言われたが褒められるのは純粋に嬉しいようだった。 二十八歳のくせに妙に子供っぽい笑い方だ。黒い服に包まれて、高校生には不釣合いな体つき(改めて巨乳だ……!)だけど精神年齢は俺より低そうである。いや、むしろ精神防御率が低いのかな? 俺は榛原よづりの黒いセーターを押し上げる二つの丘に目線が釘付けになっていた。まてまて、それを引き剥がすと茶色く濁ったコーヒーに目線を落とす。 コーヒーの表面は小さな泡がくるくるりとまわっている。俺はそれを一気に飲み干した。 「ねぇ……」 「ん?」 俺はすぐ横の榛原よづりに顔を向ける。 「えっとね、ごにょごにょ……」 榛原よづりは相変わらず辛気臭い顔を俯かせ、消え入りそうな声で喋っていた。 「え、なんて言った? よく聞こえねーんだけど」 「うん、ごにょごにょ……」 心なし榛原よづりの顔が赤い。俺はさらに消え入りそうになって行く声に耳を傾けた。しかし、ぼそりぼそりと喋る榛原よづりの声はなかなか聞き取れない。 742 名前:真夜中のよづり3 ◆oEsZ2QR/bg [sage] 投稿日:2007/02/12(月) 22 42 55 ID MD4+xJFQ 「え、なんて言った? よく聞こえねーんだけど」 「うん、ごにょごにょ……」 心なし榛原よづりの顔が赤い。俺はさらに消え入りそうになって行く声に耳を傾けた。しかし、ぼそりぼそりと喋る榛原よづりの声はなかなか聞き取れない。 「ごめん、もう一回言ってくれない?」 「……んっ」 突然、榛原よづりが俺の左手を両手で掴み、勢いよく引っ張られた。俺の頭や体は突然の引力に油断し、左手からの引力にくっついていく。 引力に引っ張られた上半身は斜めに傾いてバランスを崩し、今度は重力に従って榛原よづりの方向に倒れ掛かってしまう。 ぼふっと、やわらかい何かに顔が当たった。頬あたりに黒いセーターの毛糸の玉があたる。クッションのようなやわらかい何か。 ちょっと待て、今俺の顔に当たっているのは……。榛原よづりのバストっ? 俺は榛原よづりの体に体重を預けて、胸に顔をうずめた状態になっていたのだった。二十八歳の独特の体のやらしげな感触を間近に感じて、俺は妙な気分になった。 「えへへ……」 目線をあげると、榛原よづりが俺を見下ろしていた。ちょうど、俺の頭は彼女の長い髪の毛のカーテンの中に入っていたのだ。首筋にかかる彼女の髪の毛がくすぐったい。 榛原よづりはえへへと笑うと、その顔を下ろして胸に抱かれる俺の頭の耳元にその小さな唇を寄せた。 そして、先ほどから言っていたであろう言葉を、消え入りそうな声で再度告げる。 「今日、ご飯食べていかない……?」 ぶにゅっ。 榛原よづりの細い右の二の腕が俺の首元にかかる。そして左腕も同じようにして俺の頭をかき抱いた。そして俺の頭をなでなでと撫でる。 やわらかい体と細くて硬い腕に掴まれて、俺は身動きが取れなかった。 「え、えっと………」 「かずくんのために、一生懸命つくるから……食べてって……」 榛原よづりが俺を見る目はまるでキュピンと光りそうなほどぎらついていた。俺は得体の知れない寒気に襲われる。彼女を振りほどくのは簡単だ。しかし、恐怖で体が動かない。 ただ、首元に回された腕が締め付けないことを祈っていた。 俺の頭の中の危険信号が光りだす。やべぇ、コイツは危険だ。 十七年の経験と直感が俺の脳内に警告を続けている。俺のこの危険信号がなったのは十年ぶりだった。最後に鳴ったのは小学生の頃、グラウンドで上級生が屋上から投げたセロハンテープ台が俺の脳天に直撃する直前だったか? 「お肉も、お魚も、いっぱいいっぱいあるから……食べてって……」 ぎゅうっと榛原よづりの腕が締められていく、体も押し付けられていき顔に当たる柔らかな感触に頬がどんどん埋もれてゆく。 くそっ、乳に顔をうずめて死ぬのは男の夢だけど……、今死にたいとはまったく思ってねぇよ! しかもこんな暗い女にな! ここは頷くしか離してもらえないだろう。 俺は締まっていく首を限界まで動かしてこくりこくりと頷いた。 「そう……よかった」 その瞬間。榛原よづりの腕ははずされ俺の頭は彼女の膝の上にダイブする。今度は膝枕か? 「ふぅ、助かった」 俺は安堵の息を吐いた。 膝の上、榛原よづりの長い髪の毛がかかってすこし首筋がくすぐったかった。 「じゃあ、美味しいものいっぱい作るからね。待ってて、かずくん」 ごとん、俺を膝の上に乗せたまま榛原よづりは立ち上がった。当然、おれの頭は重力に乗ってごろりと転がる。俺はソファから落っこちてしまった。 「いてぇ!」 「ふんふんふんー♪」 「む……無視かよ」 あれだけ、俺に密着していたにもかかわらず榛原よづりは、俺が落ちたのにも一瞥せず、鼻歌まで歌いながらリビングを出て行った。 「……わけわからん」 そんなに料理を作るのが好きなのか? 俺はぽりぽりと頭を掻きながら起き上がる。そのままやわらかいソファへぽふりと腰を落とした。 それにしても、 「気に入られたのかな……?」 俺は彼女の対応が気になっていた。初対面の人にいきなりメシ作ってくれるってことは、好意を持ってくれてるってわけだよな。いや、もしかしたらめっちゃくちゃ嫌ってて、アーモンド風味の白飯が出てくる可能性も否定できないぞ。 743 名前:真夜中のよづり3 ◆oEsZ2QR/bg [sage] 投稿日:2007/02/12(月) 22 43 48 ID MD4+xJFQ だけど。いまのところ、俺は彼女に対して何も失点は無いはず。たいした話はしていないし。やられたのはおっぱいを顔に押し付けられただけ。 にへらー、 だらしなく頬が緩む。いやぁ、あの高校生には無い体系とバストはすっげぇ煩悩を刺激されるなぁ……。いや、まてまて。胸にだまされるな。 俺は彼女の本質を見て判断しないといけない。人間を測るのに胸は単なるオプションの一部だ。まぁ、プラス修正はかかりまくるけど。それにしても感触まだ残ってるよ、ノーブラかなぁ……。 「かずくん……」 「うわっ!」 いつのまにか、俺の目の前に榛原よづりが立っていた。やっぱり気配はなかった。 「ニヤニヤしてどうしたの……?」 「な、なんでもないっ!」 どうやらニヤけていた顔を見られていたようだった。俺は慌てて顔を背ける。 気配が読めなかったのは俺が胸の事ばっかり考えていたからなのかもしれない。俺は自分の煩悩の深さに頭を押さえた。不覚だ。 「で、どうしたんだ?」 俺は、自らを軽く反省すると榛原よづりに向き合う。 向き合うが、自然に目線は胸に行ってしまう。彼女が着けたエプロンが押し上げられている。まてまて、さっき反省したばかりだろ。俺は胸に行く目に心の中で叱ると、彼女の顔へ四川を移動させた。 だが、彼女の長い髪に包まれた顔からは表情が読めない。長い髪が邪魔なんだよな。 「えへへ……」 彼女の含んだような笑い声が聞こえた。 すると、彼女が右手を動かして、背中を掻くようにゆっくりと背後へ腕が回る。俺は身構えた。 一拍おいて、彼女の背中から出てきたのは、大きなはさみだった。 刃渡り約20センチの鋏で、親指と人差し指を動かせばじゃきんじゃきんと音が響く大きな凶器。 なんだ、お前は。実は如月更紗か、もしくは双識か! 俺はさらに警戒を強めた。幸い手の届くところにカバンがあった。それを掴み、いつでも反撃できるようにする。 まさか、これを俺に突きつけるとか言うなよ? が、俺の身構えなど榛原よづりには関係ないことらしい。彼女は身構える俺にその含んだ笑い声を浴びせると、そのまま右手の鋏を自分の顔の前まで持っていった。人差し指と親指が開き、二枚の刃が大きく口を開ける。 そして、 じゃきんっ。 彼女はその長い長い前髪を切り落とした。 「え……」 ぱらぱら、ではなくどさりと落ちる黒い髪の毛。呆然とする俺を尻目に、榛原よづりははにかんだような笑顔でさらにじゃきんじゃきんと鋏を動かすと、自分の前髪をばっさりと切り落としていく。 髪の毛の束が足元に散乱し彼女の前方1メートルは黒いじゅうたんと化した。 じゃきんっ。 最後に、一文字にまとめるようにおでこの前を斬る。 まるで日本人形のような髪型だ。前髪で隠れていた彼女の顔がすべて露わになる。彼女の美人な表情が日の光を浴びた。 日の光を浴びていないだけではない、天然の決め細やかな白い肌。クマののこる目つきは目じりが垂れていて、柔らかな印象を受ける。 「えへへ」 「な……なんでいきなり?」 俺はワケがわからなかった。 榛原よづりは俺に、その露わになった目元、口元で感情を表現して、 「……君に料理を振舞うためなら、こんな前髪いらないね……」 まるで俺に喜んでもらえるように。そんな声で言う。 「邪魔だし……。人に出す料理だから……」 確かに、その前髪で料理するには不便だろう。第一衛生的にも問題だ。それに長い髪の毛が火に引火したら火事なんてものじゃない騒ぎになる。 しかし、しかしだ。 俺のために、そう、今日いきなり会った俺のために、 その長く伸びた髪の毛を何のためらいも無くばっさりと切ってしまうのか? 「でもさ。 ほら、か、髪の毛は女の命と言うし」 「いいの。君のためなら命なんてどうでもいい……」 じゃきんじゃきん。 彼女は顔に笑顔を貼り付けたままハサミを鳴らし、エプロンのポケットにしまう。そして、床に散らばった黒髪をそのままにふらりふらりと台所へ消えていった。 「……」 俺はしばらくの間、呆けていた。 ダメだ。この女は。俺はふるふると頭を振る。 想像を超える相手だ。改めて思う。 耳を澄ませば、聞こえてくる彼女の楽しそうな鼻歌。これだけなら、ただの家事好きのお母さん。しかし、実態は刃渡り20センチのハサミを所持する元引きこもりの高校生二十八歳巨乳だ。 そもそも、二十八歳で高校生でひきこもりってどういうことなんだよ! くそっ。ヤツの行動がまったく予測できない。 ……もしかしたら、本当にメシの中に青酸カリ入れてないよなぁ? 「やべぇ、不安になってきた」 744 名前:真夜中のよづり3 ◆oEsZ2QR/bg [sage] 投稿日:2007/02/12(月) 22 45 12 ID MD4+xJFQ 様子を見てみよう。俺は音を立てぬようにしのび足でリビングを横断する。台所にはレースカーテンがかかってあり中の様子が良く見えない。 俺は台所の壁に体を貼り付けて、ちょうど覗き込むように頭を出してレースのカーテン越しに榛原よづりを観察する。 ……。 榛原よづりはテーブルの前で卵をといていた。細い腕と指が菜ばしを掴み、かちゃかちゃとボウルの中の黄色い卵を空気を混ぜるようにかき回していた。 彼女の長い髪の毛はちゃんと、後ろで結ばれ食材に触れないようにしてある。料理を熱心に見る目は先ほどまでの緩んだ表情とはかけ離れたように真剣だった。 「……ちゃんと料理できるんだ」 俺は安堵する。 テーブルを見ると、玉ねぎやハム、にんじんが細かく刻まれ、ケチャップのチューブが何本も並べられていた。 「オムライスかな?」 幸いにも俺の大好物である。俺は期待しつつ榛原よづりを眺めていた。料理をしている榛原よづりはとても美人だった。 ……こういう姿は様になっているのにな……。 俺は静かに息を吐く。 「ふんふんふんふ~♪」 まったく、楽しそうだ。人に料理を振舞うだけでそんなに気分が乗るものなのか? ……ん、ちょっと待て。そういえば、さっきあいつはなんて言った。たしか、人に料理を振舞うのははじめてだと言っていた。 と、いうことはなんだ? あいつは二十八歳になるまで、誰にも料理をしてあげたことはないのか? いや、あの手つきや手際のよさは料理経験者のものだ。彼女は付け焼刃でやっているわけではなく、 きちんと毎日規則正しく料理をしていると見れる。 では、こうか。料理はするけど披露したことは無い。披露する相手がいないのか? 友達も? 家族も? そういえば、この家に来て俺は家族の姿を見ていない。 というより、このリビングや家の中。全てにおいて生活感が感じられないのだ。人が住んでいるところ家はある程度はなにか、人の匂いや手垢など、住んでいる証というものがでるものなのだが……。 今俺が居るリビングも殺風景すぎて、まるで無人の部屋のようだ。いや、俺が居るが。 「……もしかして、あいつは一人でこの家に居るのか?」 榛原よづりの姿を眺めながら俺は呟く。 くそっ、なんだよ。ひきこもりが居るって言うのに家族は居ない。助けるものはおらず彼女はずっとひきこもっていたのか? 二十八歳の女が? 物事はどうやら単純ではないようだ。 俺は改めて、副委員長の仕事を呪った。やっぱりサボりキャラを貫いて委員長に行ってもらえばよかった。面倒ごとばかりだ。 「ふんふんふ♪ ……………」 「……ん?」 突然、榛原よづりの鼻歌が止まった。 俺は考え事をしてあさっての方向に向いていた意識と視線を元に戻す。 レースのカーテン越し、榛原よづりは卵の入ったボウルをといていた。そういう風景だった。 が、改めて意識を戻して見直してみると、彼女の動きが止まっている。 菜ばしを回す手をとめ、ボウルを顔に近づけていた。 「なんだ?」 榛原よづりはボウルの中の卵をじっと眺めていた。まるで呆けたような半開きの口。俺の第六感が急に冴えわたる。頭の中には『これ以上見てはいけない』という一文。 しかし、俺はそれを無視して彼女の挙動を見続けていた。 「……えへっ」 榛原よづりは卵を見つめて、にやりと笑う。そして半開きの口から赤い舌をぺろりと突き出すと。 べと。 べとべと。 べとべとべとべとべとべとべとべと。 その赤い舌から流れる自らの唾液を、ボウルの中へ落としていった。 「!!!」 俺は思わず声を上げそうになり……あわてて口を押さえる。 何をやってるんだ!? あいつは……。 「えへ、えへへっ、えへ、えへへへへへへへ……」 俺が見ていることも知らず、恍惚の表情で榛原よづりは俺に振舞うであろうとき卵の中に唾液を混ぜてゆく。 彼女の笑顔が歪み、目つきは狂ったように潤む榛原よづり。口から赤い舌をぺろりと突き出す、口元からねばりと透明な液が溢れ、ぼとりぼとりと落とす。 そしてそれを一心不乱にボウルに入れていき、時折菜ばしでかちゃかちゃと混ぜ合わす。 「食べてくれるんだぁ……えへ。かずくんがぁ、あたしの料理と……これ。 えへ、えへ……、えへへ、えへへへへへへへへ……」 べとべとべとべとべとべとべとべとべとべと。 べとべとべとべとべとべとべと。 べとべとべとべと。 745 名前:真夜中のよづり3 ◆oEsZ2QR/bg [sage] 投稿日:2007/02/12(月) 22 45 48 ID MD4+xJFQ 榛原よづりの顔は恍惚に歪んでいた。赤く染まった頬にどこか知らない場所を眺める淀んだ瞳。それは俺を喜ばせるための笑顔ではなく、ただの自己満足の極みの顔だった。 「……やべぇ。コイツやべぇ……」 俺はあまりの恐怖に腰を抜かしそうになった。 幽霊を見たとか、ゾンビ映画を見たとか、そういう怖さじゃない。まるでなにか人の心の裏側を見たような得体の知らない怖さだ。 頭の中の警告音はすでに鳴りっぱなし。 「……逃げなきゃ……」 俺はしのび足でリビングのソファに戻って、自分のカバンを掴んだ。リビングに散らばるヤツの髪の毛が一本一本意思を持って襲ってきそうで怖かった。 「あの変態がよだれを入れている夢中なうちに逃げなきゃっ……!」 榛原よづりに気付かれないように、リビングを出るとそのまま廊下を歩く。 玄関に合った俺の靴を履く。がさりがさりと土間と靴の裏の小石がする音が響いた。 刹那。 「かずくんっ!?」 とんとんとんとんとんとんとんとんっっ!! 台所から走ってくる足音! 「やばっ!」 俺は靴を履き終わると玄関のドアノブを掴む。鍵はかかっていなかった。すんなりと開く。 瞬間。玄関に榛原よづりが走りこんできた。 「かずくんっ!! どこ行くの!?」 長い髪の毛を振り回し、榛原よづりは先ほどまでの消え入りそうな声とはうって変わった、大きく甲高い声で叫ぶ。 その手は包丁が握られていた。 それを見た途端。とっさに、俺は「刺される!?」と思ってしまった。 「ごめっ! 用事ができた! 俺帰るわ!!」 恐怖で俺は早口でそれだけしか言うことができなかった。早くこの家から出たかったのだ。 「待って!」 「じゃあな!」 俺は開いたドアに体を滑り込ませる。榛原よづりの顔なぞ怖くて見れなかった。そして、バキィンと壊れそうなほど力強くドアを閉めた。 「かずくぅぅぅぅんっっっっ!!」 玄関のドア越しに響く彼女の声。 俺はそれを背後に聞きながら出入り口の門を開き、夕闇が辺りを覆い始める住宅街走って逃げていった。 足が千切れそうなほど、全速力で走り。時折後ろを振り返って後をつけてないか確認しつつ住宅街の坂道を駆けて、気がつけばヤツの家から500メートルも離れたコンビニエンスストアまで走りこんでいた。 「ふぅ、ふぅ、ふぅ……」 自販機でジュースを買う。普段は炭酸系が好みだが、今は落ち着きたかった。スポーツドリンクを購入。ボトルタイプの缶が排出される 俺はそれを掴むと、寒い冬空の下、胃に響く冷たいスポーツドリンクを一気に飲み干した。 榛原よづり。 彼女とのファーストコンタクトは不気味さと恐怖の感情しか残らなかった。 「帰っちゃった……。まぁ、いいわ……。また逢えるもん。だって、明日迎えに来てくれるだもんね、かずくん?」 (続く) 746 名前:赤いパパ ◆oEsZ2QR/bg [sage] 投稿日:2007/02/12(月) 22 46 28 ID MD4+xJFQ ゲーム化の話も動いてスレが加速している中、真夜中のよづり第三話をお送りしました。 書いていくうちにやっぱり彼女もどんどん性質がおかしくなってますが、気持ちのよい終わり方になるように努力していきますのでよろしくお願いします。 魔女とよづり、この二つを平行して作っているので更新は遅めですが、ライトなヤンデレを目指していきますのでよろしくお願いします。 お茶会の方は、ぶれない世界観やじわじわとくる女の子の恐怖などが素晴らしいです。ぜひ、ゲームの完成を期待しています。 747 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/12(月) 22 48 11 ID YJ0sg9qM ギャアアアアアアアアアアアアアアッッ!!!!!!! やっぱり、最初から病んでる!!? 748 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/12(月) 23 02 12 ID dJAJczQi やべえよづりが俺の中でかなり大ヒットだ エロいヤンデレというかなんというか ていうかここからライトなヤンデレ……?(´・∀・`) 749 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/12(月) 23 04 25 ID wqvf+upe うわあああああああああああ どう見てもこれライトじゃないだろ! すでにハードコアだよハードコア! もしかしてコーヒーにも何か入っていたんじゃなかろうか? 750 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/12(月) 23 06 09 ID GBfGW7RC そろそろ500k 俺は無理っぽいから誰か新スレ頼む。しかしこのスレは速かったな。 751 名前:慎 ◆lPjs68q5PU [sage] 投稿日:2007/02/12(月) 23 12 40 ID 3F4iYY5m 750 うぃいってみる。 テンプレは 1ので大丈夫? 752 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/12(月) 23 18 22 ID T+uQkUaN GJですた。しかし、冒頭の心中エンド・・・。気になる・・・。 753 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/12(月) 23 19 07 ID wqvf+upe 751 既存キャラの~っていうのは無くしてもいいのでは? それ専用のスレは大量にあることだし。 というかすでにあっちでヤンデレ化?してるしな。 754 名前:慎 ◆lPjs68q5PU [sage] 投稿日:2007/02/12(月) 23 21 40 ID 3F4iYY5m 753 了解。あとは、関連すれとして修羅場スレを入れるかどうかだが・・・ 自分としては入れなくてもいいかな?と思ってるのですが。 755 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/12(月) 23 22 38 ID dJAJczQi いいんじゃねいですか? 756 名前:慎 ◆lPjs68q5PU [sage] 投稿日:2007/02/12(月) 23 25 17 ID 3F4iYY5m ヤンデレの小説を書こう!Part3 http //sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1171290223/ 完了・・・かな? 職人様のすばやい仕事がこのスレの活況につながってます。 GJだけでは足らない・・・ では埋めていきましょう。 757 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/12(月) 23 25 34 ID NnICWW/f お互い無干渉のほうが面倒なこと起きないしいいんじゃないかな 758 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/12(月) 23 27 25 ID wqvf+upe ありゃ、立っちった。 とりあえず置いていきます。 「今回は保留キボンヌ」 759 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/12(月) 23 28 16 ID x5krOcBQ 746 28歳の時点でちょっと恐怖を覚えた おばはんやんwwww 760 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/12(月) 23 29 51 ID yPOnFcDW スマン…リロってなかった… 関連いれちゃったよorz 761 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/12(月) 23 32 33 ID wqvf+upe 760 以後語り合えばいいさ。キニスルナ 762 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/12(月) 23 59 33 ID 7Z5KGgGL 746 ものすっげぇ強烈な料理でも、後味は良いものを目指して がんばってください。 この最低な第一印象から、かずくんがどういう風によづりを 受け入れていくのか楽しみに待っています。 763 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/13(火) 00 03 50 ID dJAJczQi 759 バカ、おばはんじゃねえ ヤンデレ熟女高校生だ 764 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/13(火) 00 06 27 ID FnEeh2NW 昔のモーニング娘に、あからさまに娘でない人がいたことを忘れてはならない。 765 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/13(火) 00 09 23 ID J4YNFArw 巨乳で美人で精神年齢やや低でヤンデレで(恐らく)処女だぜ? これでただのおばはんとか言うなら俺はお前を鼻血水流カッターで刻んでやる 766 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/13(火) 00 21 46 ID GQbfbDMd 28歳巨乳が熟女と申すか レーザードバズソーで切り刻んでやる 767 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/13(火) 00 26 07 ID EIaTgmpr ヤンデレなら不倫でなければ39歳まで可能 768 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/13(火) 00 28 15 ID v4rGzLRf はっ!俺なんか某麻木久仁子でもいけるぜ! そんなこと言うやつはエロゲヒロインに噛み切られろ! 769 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/13(火) 00 50 39 ID ZLb7CIwF あはははは こんなスレ埋めてやる あはははははははははは 770 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2007/02/13(火) 01 04 00 ID Jcwk0VJZ オレも参加するぜ! あははははははははははは 771 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2007/02/13(火) 01 05 03 ID Jcwk0VJZ オレも参加するぜ! あははははははははははは 772 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/13(火) 01 07 36 ID 5al/rzxv このスレは私のものこのスレは私のものこのスレは私のもの このスレは私のものこのスレは私のものこのスレは私のもの このスレは私のものこのスレは私のものこのスレは私のもの このスレは私のものこのスレは私のものこのスレは私のもの このスレは私のものこのスレは私のものこのスレは私のもの このスレは私のものこのスレは私のものこのスレは私のもの このスレは私のもノこのスrは私のもnこおここここここ 773 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/13(火) 01 08 10 ID ITwVDmp/ あと9kb……。 このスレは、1スレとは違って短命だったな。 774 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/13(火) 01 29 11 ID TiStBspt それだけの活気があったのだよ 775 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/13(火) 01 45 58 ID SwevXqhF うめえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ 776 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/13(火) 02 07 30 ID gnRHxdtb 知ってた。 ナナシ君にとって私なんて使い捨てだって。 それでも私は好きだった。 私の代わりはいくらでもいる。それこそ次々に現れる。ナナシ君にとって私はきっと たくさんの中の1人でしかないと思う。というか確実にそう。初めての子は印象に残る っていうけど……私は初めてですら無いから。現に初めての子とは結構長く続いてた みたいだけど、私とは1ヶ月も保たなかった。次の子も、その次の子もきっと 短いんだろう。短く無かったら許せない。私だけ短いなんてことになったら…… 呪ってやる。ナナシ君はもう誰とも長く付き合えない……もしそんな運命なら私も 少しは救われるのかな。 ねぇナナシ君。あなたは知らないかもしれないけど私本当に好きだったんだよ。 使い捨てでもいいって本気で思ってたよ。他の誰を好きでもいいって。でもやっぱり 耐えられ無いよ。本当はどこにも行かないで欲しい。ずっと私だけを、他の何をも 見ずに私だけを見て欲しいんだよ。1ヶ月にも満たないけど一緒にいる間は本当に 幸せだった。この思い出だけで私は行ける、誰にも嫉妬なんてせずに独りひっそりと ナナシ君を思っていられると。 思ってた、けど。 そんなのやっぱり無理で。 醜い感情が溢れてくる。私を見て。私だけを見て。私だけを私だけを。……こんな 醜い感情はナナシ君には似つかわしく無い。こんな醜い面を見られる前に捨てられて 良かったよ。ナナシ君を汚さないで済んだから。 うん、良かったよ。 一番良かったわけじゃないけど、最悪では無かったと思う。 ナナシ君はもう私のこと忘れたかな?忘れててもいい。 私が最後に発するのはあなたの名前と別れの言葉。 「ナナシ君……さよなら」 私はそうして、空へと舞った。 777 名前:伊南屋 ◆WsILX6i4pM [sage] 投稿日:2007/02/13(火) 02 36 51 ID TiStBspt 705のリクエストに応えようと描いたイベント絵らしきもの http //imepita.jp/20070213/089040 やはりラフで力尽きたり。ポージングも微妙。 新スレにと思ったけどまずはこっちに。 まとめサイトの如月更紗/白布の海で(TAKE3)について。 あれは頭を右側にした横長の絵です。 なので管理人の方。どうか向きの修正よろしくお願いします。 別スレの話について 絵の投下は別スレにしたらどうか? という意見なんですが、自分一人の為に別スレ立てるのはアレですし、なにより板が違ってしまいます。 なんでまあ、差し支えなければヤンデレスレで続けたいなと思ってます。 778 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/13(火) 03 18 55 ID ITwVDmp/ 777 thx. そしてすんません。 考え無しでした。 今考えたら、リクエストは板違いだった……。 779 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/13(火) 03 36 40 ID ofO+wJaT 777 毎度GJです! 個人的にはここに投下で良いと思いますけど ヤンデレ系のネタなら大体なんでも扱ってきてましたし 780 名前:同族元素(1) ◆6PgigpU576 [sage] 投稿日:2007/02/13(火) 03 37 40 ID TFH/jbmS 「お待たせしたかしら? 射蔵(いぞう)」 「いや、俺も来たばっかりだ」 射蔵と呼ばれた男は立ち上がると、自分の向かいの席を引く。 女はにこりと微笑むと射蔵のエスコートで席に付き、射蔵が元の席に付くのを待って話し掛けた。 「何を注文したの?」 「エスプレッソ。湖杜(こと)はどうする?」 「同じものでいいわ」 「解った」 射蔵は手を上げてウェイトレスを呼び湖杜の分を注文すると、煙草に火を付けた。 そのまま射蔵は黙って煙草を吸い、湖杜もまたその様子を黙って見つめていた。 「お待たせ致しました」 暫く後、頬を染めたウェイトレスがエスプレッソを運んできて、ゆっくりと馬鹿丁寧に 二人の前に注文の品を置くと、名残惜しげに去っていくまで二人は無言のままだった。 人目を惹く射蔵の外見とその連れの湖杜がこれまた人目を惹き、更に厭味すら感じさせない 射蔵のエスコートぶりや湖杜のエスコート慣れに、このカフェの注目を一手に集めていた。 しかし当の二人はいつもの事と、まるで気にはしておらず、どこ吹く風という風情だ。 互いに一口飲んだ所で、漸く射蔵が口を開いた。 「どうだ? 見つかったか?」 「見つかっていたら、真っ先に報告しているわ。射蔵こそ見つかったのかしら?」 美しい柳眉を僅かに顰めて冷たく言い放った湖杜に、軽く肩を竦めてみせ射蔵は鼻で笑う。 「お互い様だったな」 何を言っているのかは聞こえないが、儚げに微笑み合う艶やかな黒髪の美形の二人に、 カフェの客や店員はうっとりと溜息を零す。 射蔵は均整のとれた体型に、長目の前髪から覗く鋭い切れ長な目が印象的な美形で、 湖杜もモデルの様なすらりとした、しかし出ている所は出ている体型に、 やや切れ長の目はけぶる睫毛に色彩られ、日本人形の様な流れる黒髪は腰まで伸びた美形だった。 そんな二人が注目をされない訳がない。 しかし人目の多いこのカフェを選んだのには理由があった。席から席が意外に離れており、 そして店内に流れるクラシックが丁度よく、話し声を他の席へと聞き取れない様にしている為、 密談にはもってこいの穴場なのだ。 だから二人が会うのは、このカフェと決まっていた。 781 名前:同族元素(2) ◆6PgigpU576 [sage] 投稿日:2007/02/13(火) 03 38 17 ID TFH/jbmS 「そういえば… 鹿子(かのこ)に意中の君が出来たらしいわ」 「…本気なのか?」 危うく飲んでいたエスプレッソを吹き出しそうになりながら、辛うじて耐えた射蔵は眉を蹙めた。 優雅に一口飲んだ湖杜は、伏せていた目を射蔵に向けると悪戯っぽく笑う。 「今回は本物、運命の相手だそうよ。業平(なりひら)に頼んで、今はストーキング中。 阿津(あつ)に聞いたから間違いないわ」 「そうか… そういえば阿津の相手は観念したのか?」 「微妙、といった所かしら? まだ監禁して一ヶ月だし、阿津ったら甘いから、 調教はもう少しかかるんじゃないかしらね」 「まあ、よかったな。阿津は20代後半だし、鹿子は大学生だしな。 いつまでも独りじゃ辛いだろ」 「そうね…」 射蔵の言葉に緩く微笑むと、ティースプーンでくるくるとエスプレッソをかき混ぜながら、 湖杜は深い深い溜息を付いた。 「私はいつになったら、巡り逢えるのかしら…」 「大丈夫だ。俺達はまだ鹿子達より若いんだぞ。直に逢えるさ」 テーブルの上に頼りなく置かれた湖杜の手をそっと握ると、射蔵は励ますように笑い掛ける。 「でも、こんなに探しているのに逢えないなんて…」 射蔵の大きな手を細く華奢な手で弄びながら、湖杜はつい弱音を吐いてしまう。 「しょうがないさ。フラグの立ち易い幼馴染はみんな血縁だし、俺達一族は血縁には滅多に萌えないからな。 それに外で相手を見つけるのは難しいよな」 こくりと頷く湖杜の目は生気が無く、かなり煮詰まっているのが射蔵に見て取れた。 「でもね、射蔵。私も早く誰かを見つけたい、そして愛し愛されたいわ。 束縛して束縛されて、どろどろになるまでセックスしたいの」 「解る、俺には、俺だから解る」 ぎゅっと痛いほど強く湖杜の手を握った射蔵は、真っ直ぐ湖杜を見つめて言い聞かせる。 「俺だって同じだ。だけど焦って相手を見誤ったら最悪だぞ?」 「うん…… そうね、その通りだわ」 少し生気が戻った湖杜は、射蔵の言葉に頷き大きく息を吐いた。 「湖杜に運命の相手が見つかったら、ちゃんと手伝ってやるから。 拉致だろうと邪魔者の抹殺だろうと何でも協力は惜しまないからな」 「うん、ありがとう。射蔵も相手が見つかったら、ちゃんと報告してね。 私も協力するわ、監禁の手助けだって何だって、ね」 ふふふといつもの様に微笑み合っていると、湖杜は少し寂しそうに言った。 「…射蔵を好きになれれば良かった」 射蔵もまた淡い笑みを浮かべて頷く。 「そうだな… 俺達、恋愛観そっくりなのにな」 「でも、ダメなんだものね」 「そうだな。お互い恋愛感情で見れないからな」 共に最後の一口を飲み干すと、綺麗で壊れた笑みを浮かべて囁くとカフェを後にした。 「未だ見ぬ愛しい人を探しに」 -了-
https://w.atwiki.jp/i_am_a_yandere/pages/1087.html
201 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/06(火) 01 37 21 ID GXthqWkR 195が男とは限らない 202 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/05/06(火) 02 40 49 ID jaLaL4jP 195「ヤンデレの友達が出来ますように( ´∀` )」 一年後 女「他の女見たら殺すからね・・・。」 195「なんでこんなことに(´・ω・)」 中途半端な覚悟でヤンデレに触れるのはやめましょう。 203 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/06(火) 03 40 47 ID aY4psw1F ヤンデレって彼氏を教祖みたいに崇拝してるから 195を殺すのではなく、195と接触した女を殺すイメージがある 体中に血を浴びて刃物を持ちウフフと笑顔で195の前に現れるヤンデレ 204 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/06(火) 04 38 17 ID OZfefPEC 203 ヤンデレにもいろいろあってだな・・・ もう寝る 205 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/06(火) 05 52 19 ID uxaRjfwO ヤンデレはよく凶器を使うイメージで語られることがあるが 実際には凶器など使わなかったり、デレを見せるシーンも多い 要はヤンデレは多種多様なんだよ病んでるとこばっかとか 凶器ばっかではなくもっとどうして病んだとか どのくらい相手のことを好きなのかというとこに焦点を当てて欲しい自分がいる 206 名前:つながり[sage] 投稿日:2008/05/06(火) 09 00 45 ID a6pKX0TS 「もうやめよう・・・」 ・・・なんで? 「俺たちの関係は・・・ホントは平行線じゃないといけないものだから・・・」 ・・なんで? 「俺と夏輝は兄妹だから・・」 なんで?どうしてダメなの? こんなに好きなのに!ずっとずっと昔から好き合っていたのに。 私たちは誰よりも深く深く繋がった存在なのに・・・なんで? 「だからダメなんだ・・・ここで終わらせないとダメなんだ・・・」 ・・・ ・・ ・ 思い出して涙。世界が歪んで見える。 空を見上げる。やっぱり歪んで見える。 なんで・・・? 「おーい、何泣いちゃってんのなつっちゃん。私が席はなれて一人になったのがそんなに寂しかった?」 ・・・・・・ 涙を拭うと見慣れた顔があった。 さわやかに整った顔立ちのスポーツ少女。工藤近衛だ。 「あー、コラコラ。洋服のすそで涙を拭くな。ほらハンカチ」 「・・・」 「ハア、いったい何があったのか知らないけど最近なつっちゃん元気なさすぎ」 無言でいる私の顔をハンカチで拭きながら近衛がそう言った。 でも私は・・・ 「・・・」 「ハア・・」 また近衛にため息をつかせる。 「なんつーかさぁ、まるで失恋した乙女って感じだね。今のなつっちゃんは」 うつむいた顔を上げ、静かに近衛を見ると、彼女は手のひらを太陽に向かって掲げ、空をまぶしそうに見ていた。 「・・・・・・」 「もしかして正解・・だった?」 近衛を見つめていると彼女もまた静かに私を見つめた。 「ハア」 またため息。そして言葉を続ける。 「なんかショックだな・・・」 「・・・何が?」 間をおき尋ねる。 「ん~・・・なつっちゃんに好きな人なんてもんがいたことが」 「・・・」 「相談してくれてもよかったのになーっと思って」 「・・・・・・・」 わたしがまた俯くと近衛が左手で頭をポリポリと掻いた気がする。近衛は困ったとき必ずそうする癖があるから。 「ごめんね。今度は相談するね・・・できるだけ」 だから私はそういった 「そっか。次の恋は・・・・叶うといいね・・・」 「・・・」 叶うといいね・・か。 少し違うな・・・ なぜ?私と「彼」の恋、いや愛は叶っていたんだから。 ずっとずっと昔。子供の頃から。もしかしたら母さんのお腹の中にいた時から・・・ 207 名前:つながり2[sage] 投稿日:2008/05/06(火) 09 18 38 ID a6pKX0TS 「ねえ、今日さ・・・近衛の家に泊まっていっていい・・・?」 「いいよ」 私の突然の提案に親友は間髪いれずに承諾した。 「できればゴ」 「GWの終わりまでいいよ」 今度は先手を取られた。 5月4日。 近衛の家に厄介になってから3日目だ。 「彼」からの連絡はない。 3日前に「近衛の家に泊まる」と言ってから何の音沙汰も無い。 「でさ、明日はどうする?私も明日部活が無いからどっか遊びに行こうよやつっちゃん」 「そうね・・・」 空返事。そして近衛の表情が曇る。 「・・・もしかして例の彼の連絡待ってるの・・?」 「・・・」 沈黙。 「ハア」 そしてため息。 「ん~・・・あのさ。「彼」って誰なの?私の知ってる人?」 「・・・」 見詰め合う瞳。近衛の眼は真剣そのものだ。 別に近衛には私たちのことなんて関係ないのに。 「・・・・ハア。まあいいや。とりあえず出かけよ」 またため息。そして立ち上がる近衛。 「どこに?」 質問する私。 「知らない。とりあえず出掛けるの!」 私は手を握られ、引かれるまま外へと出て行った・・・ 208 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/06(火) 09 30 58 ID ciVI5/ov ひょっとして書きながら投稿してないか? 209 名前:つながり1-B[sage] 投稿日:2008/05/06(火) 09 45 19 ID a6pKX0TS もうやめよう・・・ 「・・・なんで?」 俺たちの関係は・・・ホントは平行線じゃないといけないものだから・・・ 「・・なんで?」 俺と夏輝は兄妹だから・・ 「なんで?どうしてダメなの?こんなに好きなのに!ずっとずっと昔から好き合っていたのに。 私たちは誰よりも深く深く繋がった存在なのに・・・なんで?」 だからダメなんだ・・・ここで終わらせないとダメなんだ・・・ ・・・ ・・ ・ 「ハア」 思い出すとため息が出る。あの日・・・いや、あの日というには2週間はまだ短すぎるな。 「どうかしたの智行。ため息なんかしちゃって」 「いや、別に。大した事じゃないよ」 話しかけてきたのはロングヘアがよく似合う大和撫子(でいいのかな?)要幸江。 俺にはもったいないような彼女だ。 「ふーん・・・そう。大した事じゃないのにため息が出るんだ」 「いや・・まあ」 俺は右手で頭をポリポリと掻く。困ったときしてしまう俺の昔からの癖だ。 「困ってますね」 「はは・・・」 彼女はSッ気があるのかもしれない。 「でも・・まあ、なんでもないならいいか」 「そうそう。せっかくのデートなんだからいいだよ」 場所は街中にある2階建てのハンバーガーショップ。 俺たちは小腹がすいたため、窓際の席から外を見ながら残り少ないポテトをつつきながら談笑していた。 「でもさ、もし本当に困ったことがあったら迷わず私に相談してね」 幸江が言った。 「ああ」 そして俺はうなずいた。 やっぱり俺にはもったいないくらいの人だ幸江は。 でも、だからこそ今回の事・・・「彼女」のことは絶対に相談なんかできない。 「彼女」は・・・そう俺の妹だから。しかも双子の。 ずっとずっと子供の頃から愛し合ってきた。体も重ねた。そして、世界の基準が俺たちの基準と大きく違うと知って別れた。 そんなこと、絶対に知られてはいけないんだ・・・ 智行が「彼」が窓の向こうの世界から幸江に眼を戻したと同時。 決して見られたくなかったその光景を。 「彼女」は見ていた。決して見たくなかったその光景を 「・・・やだ」 そして「彼女」の見る世界は涙で歪んだ。 210 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/06(火) 11 01 19 ID f133cosA 投下終了ならちゃんとそれを宣言したほうがいいと思うんだが 話自体は面白いので一番槍GJ 211 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/06(火) 17 31 51 ID C5nkjMuS 投下・終了宣言なしの上書きながら投下……これが黄金週間か 212 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/06(火) 17 59 26 ID tDbdzN6e いちいち書き込むな 213 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/06(火) 21 45 24 ID mwEKgzc+ 歪ミ回廊ってゲームやってみたが… あれってヤンデレなのか? 214 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/06(火) 22 49 02 ID tUTeZzSZ 今更だがパッパラ隊のランコってヤンデレですか? 215 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/06(火) 23 57 55 ID ZyAKREZC 213 214 いちいち人に聞くもんじゃないぜ? 自分で判断できないなら違うんだろ。なんでもかんでもヤンデレ扱いはどうよ? 定義の話になったら荒れるからあんま言わないが、基本的には言葉様と楓が典型的なヤンデレだ 最初から病んでて凶器振り回してるのはヤンデレじゃなく基地外。わかってんだろ兄弟? 愛しすぎて徐々に病んでいくその過程がいい 好きな男の心が離れていく時の『病む』スイッチが入るとこれからが本番 思考が歪んで瞳から光が消える瞬間がたまらない 誰かとヤンデレについてアツく語りたい。俺もそう思いながら静かに投下を待ってるんだ… 216 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/07(水) 00 18 41 ID gqpIzkCv 215 全俺がヤンだ 217 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/07(水) 00 37 18 ID WBXihwDn 215 お前さんの熱い思い、文章にしてみないかい? 218 名前:幽霊だったらいけないの?[sage] 投稿日:2008/05/07(水) 00 45 34 ID vSpxNIPX 投下します 219 名前:幽霊だったらいけないの?[sage] 投稿日:2008/05/07(水) 00 46 27 ID vSpxNIPX 「……あなたは、逃げないの?」 違う。 逃げないんじゃない。 逃げられないんだ。腰が抜けちゃってるから。 「……あなたが初めて。 私をみて、逃げなかったの」 いや、だから違うって。本当は逃げ出したいよ。 「私ね、早希っていうの。 松崎早希」 誰も聞いてないのに、勝手に自己紹介を始めやがった。 「あなたの名前は?」 そいつは、ひどく嬉しそうな顔で僕に名前を聞いてきた。 「俺は……えっと、賢一。 大山賢一」 とっさに答えてしまった。 「そう。 よろしくね、賢一君」 これが、僕たちの出会いだった。 220 名前:幽霊だったらいけないの?[sage] 投稿日:2008/05/07(水) 00 51 32 ID vSpxNIPX 最初は、そう、ほんとに気づかないくらい些細なことだった。この服たたんでたっけ? とか、この本この場所に置いてたっけ? とか。 事態が急変したのは1ヶ月ほど前だった。僕が大学から下宿先のアパートに帰ると、なにやら部屋からいい匂いがするではないか。 まさか妹が料理をつくりにきたのか!? と期待したが、よくよく考えてみると僕に妹はいないわけで。 なんだろ、とリビングに入った瞬間、目に入ったのは豪華な夕食だった。 僕がぽかんとしているといつの間にか彼女がでてきて。 後は前述の通りだ。 それ以来、彼女は夜になると、毎晩のように僕の前に姿を現すようになった。恐らく今晩も。 221 名前:幽霊だったらいけないの?[sage] 投稿日:2008/05/07(水) 00 52 34 ID vSpxNIPX ――ああ、やっぱりきた。 神経が特殊な感覚を感知したと同時に、脳内に女性の声が響きわたった。 「あは。 こんばんは、賢一君」 僕がうっすらと目をあけると、もはや日常とかした彼女がいた。 日本人形を彷彿させる、腰のあたりまである長い艶やかな黒髪とぱっちりとした瞳。 そして雪のように白い肌に栄える着物。 その全てが美しかった。 だが彼女のもっとも大きな特徴は目を凝らすと、体が透けていることである。つまり、幽霊。 「賢一君。 今夜もずっと一緒だよ」 恨みや哀しみとはかけ離れた、まだ十代半ばくらいであろう可愛らしい声が脳内に反響する。 「今日も一緒に気持ちよくなろうね」 そう言うと、彼女はニコッと笑い僕に抱きつく。途端に、全身が優しく撫でられているような、むず痒い感覚に襲われる。 「服……脱がせてあげる」 早希は器用に僕のパジャマのボタンをはずしていく。手慣れたものだ。僕は瞬く間に裸に剥かれた。 「……んもう、賢一君のえっち」 僕がじっと早希を見つめていたからだろう。 しかし、早希は顔を真っ赤にしながらも手際よく着物を脱ぎ始める。 一糸纏わぬ姿になった彼女は、美しいとしかいいようがなかった。 「それじゃ、いれるね」 僕は彼女の体に触れられないので、前戯はない。僕が頷くと、早希がゆっくりと腰を沈めていく。同時に僕のあそこが、何 かに包まれているかのような感覚になる。早希いわく肉体には干渉できないので魂に干渉しているらしい。そこのとこの事情は分からないが。 「あぁ……気持ちいいよぉ……」 幽霊であっても快感は感じられるのか、僕の上で早希がいやらしく腰をふっている。 「すごいよぉ……だめ……あんっ……」 普段の和風の美少女の外観からは想像もできない、いやらしい声で喘ぐ早希。そんな早希を見ると、徐々に僕の射精感も高まっていく。 「早希……俺……」 開始して三分経っただろうか、僕は早くも射精しようとしていた。 「早希……」 「うん……いいよ……いつもの通りに……あっ……」 早希の腰を振る速度が速くなる。 頭が快感で真っ白になった瞬間、射精したのだとわかった。 222 名前:幽霊だったらいけないの?[sage] 投稿日:2008/05/07(水) 00 53 54 ID vSpxNIPX 「私が人間だったらなぁ」 ことを終え布団で抱き合っていると、不意に早希がそんな言葉を漏らした。 「早希が幽霊じゃなかったら、俺たち出会えてなかったかもしれないよ」これは僕の本心だった。実際、早希が生きていたら僕みたいな男を好きになることなんてなかっただろうし。 「そっか。 そうだよね」早希は自分を納得させるように頷くと、僕の顔を覗きこんできた。 「賢一君……明日もきていい?」 早希が少し不安を滲ませた表情で表情で語りかけてくる。 いいよ、と返事をして、彼女の髪を撫でる。実際は触れてはいないのだが、早希はとても嬉しそうに笑う。 それから、彼女が消える時間帯まで、僕らはずっと抱き合っていた。例え体温は感じられずとも、お互いを感じていた。 223 名前:幽霊だったらいけないの?[sage] 投稿日:2008/05/07(水) 00 54 26 ID vSpxNIPX 投下終わります 長編になるかもです 224 名前:幽霊だったらいけないの?[sage] 投稿日:2008/05/07(水) 01 16 48 ID vSpxNIPX 勢いで書いた 後悔はしていない 反省はしてる 225 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/07(水) 01 27 34 ID dRmJhqi7 反省しなくてもいいから早く続きを書くんだトム 226 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/07(水) 02 23 16 ID 2G5MUv6v GJ! 最高だ…! 227 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/07(水) 09 53 24 ID GeCyd6dM 215 その言い分だと楓さまはヤンデレではなくなってしまうのだがな 発狂した後にデレたわけで、理由が途中から変わっただけ 228 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/07(水) 10 06 53 ID dlMQKqcO 楓は 事故で病み→事実を知ってデレ→稟の心が離れて病んだからな ↑アニメ版はスタートがここだからまぁデレて病んだともいえる というか俺はヤンデレはデレとヤンの落差の激しさがいいとおもうんだよ デレるから病む、デレた分病む 特に当たり前だと思ってた日常が当たり前じゃなくなったときに病むとかいうのが好きだな 229 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/07(水) 11 15 46 ID ESUeXczX やっぱヤンデレって定義しづらいんだよなあ 230 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/07(水) 12 09 53 ID dlMQKqcO ヤンデレで一番世間に知られてるのが言葉様的凶行だからな だからこそレナがヤンデレだという説がでてきたりする スレ住民それぞれにある程度のヤンデレイメージはあるだろうが ヤンデレのヤンだけ説明したら別物になるからこそなかなか説明しづらい 231 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/07(水) 12 23 01 ID psKkDtYe 定義厨の言ってる事を全部真に受けてたら ヤンデレだって言うキャラクター全部消えるからな 連中既存キャラの名前出さないし。 232 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/07(水) 12 50 55 ID K6SNxMk+ 要するに楓は俺の嫁ってことか 233 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/07(水) 12 57 02 ID 6Q0f/fHG 227 発狂→和解してデレのここまではあまりヤンデレと関係ない これはあくまで好きになったまでの出来事として捉える(反対意見許可) 稟が選んでくれず彼女できて心が離れていき病んでいった→空鍋&首締め これがヤンデレになる過程と結果 これで合ってるはずだと思うが間違ってたらスマソ ごめんね。母ちゃんアニメしか見てないから… ヤンデレは病むまでの過程、またそのシチュが重要だと思う 言葉様も楓様も徐々に病んでいったろ?あの病気が進行していく緊張感 がたまらんのですよ。みんなもそうだったろ? 凶行は結果的なもんでヤンデレだから凶行に及ぶとは限らないんではないか? ヤンデレが起こす結果は様々。だがツンデレがだんだんデレていくように、過程を楽しむのが ヤンデレの「味わいかた」だと私は思うんですよ どうやって病んでいくんだろう?病んでどんな結果を起こすんだろう? このワクワク感が良いんですよ 定義づけるのは難しい。いちいち細かく定義づける必要はないと思う。だがヤンデレとメンヘラの 区別くらいは最低限つくだろう。スレ住人は一応18歳以上の大人なんだしね あくまでこれは俺個人の考え方で押しつけるつもりはない だが「これがヤンデレだ」と押しつけたりメンヘラと区別がつかないのはどうかと思う 結論・ヤンデレ最高! 228 君と一晩中語り明かしたい。もっと語ってくれ 234 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/07(水) 13 14 52 ID zZA/TpRM 231 でもひぐらしのヤンデレは無い、譲歩して詩音だけ 235 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/07(水) 14 25 01 ID dlMQKqcO 233 あまり語るとスレの迷惑になるからここらでやめるわw まぁ明確な形をもってヤンデレというものを見たのが楓が初めてだったからつい語ってしまったな 236 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/07(水) 18 25 53 ID eR07YxZT 今年の七夕は 「俺に監禁してもたまに外出許可してくれるヤンデレの彼女ができますように」 って書く。 237 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/07(水) 19 20 11 ID vM4UaeLD その彼女はきっと朝青龍似だな 238 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/07(水) 20 23 55 ID WBXihwDn 237 人を呪わば穴二つなんだよ 239 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/07(水) 20 25 22 ID rrFRxI64 236 そんな半端な子は、決してヤンデレじゃない… ただのイタイ子だ… 240 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/07(水) 22 01 41 ID cF6JKZ7/ そういえば質問 ヤンデレのエロゲもしくはSSがあるとして、誰視点の話が好き 1 もちろん主人公 2 もちろんヤンデレ3 あえて主人公の親友で、傍観者 4 視点がコロコロかわってくのがいい 241 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/07(水) 22 34 15 ID Jtiq2hku 1か4、ただしヤンデレ視点も必須 242 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/07(水) 23 10 43 ID WBXihwDn どの視点でも、それぞれのよさがある 筆者の筆力次第 243 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/08(木) 06 05 41 ID ynZ/haII 237 死ね、マジで死ね。 お前に監禁しても絶対外出許可しない上に足切断して逃げれなくする怖いヤンデレの彼女ができるように願っておいてやったぜ。 244 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/08(木) 06 48 12 ID ElWSKfJc 243 お前、優しいな 245 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/08(木) 07 04 04 ID qQXD6t4k 気が付いたらヤンデレに添い寝されていたい 246 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/05/08(木) 18 26 33 ID Ki/BrmQN 243 叩いてるつもりが実は相手にはこれ以上にない嬉しい言葉に聞こえている。 初めてそういうの見た。 記念に243に女と目があっただけで激怒して毎日1000通メール送って来て、学校や職場でキス迫ったりする上断ると包丁差し出して私死んじゃうよ?って言って。 最終的に監禁して四脚切断目玉くりぬきするヤンデレ女ができるようにお願いしてやったぜ。 お前のご希望通り外出許可を入れておいたから安心しな^^ 247 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/08(木) 20 33 07 ID 7H8f7PBf デレ&ヤンの続きがないかと思う今日この頃 248 名前:きゃの十三 ◆DT08VUwMk2 [sage] 投稿日:2008/05/08(木) 21 33 34 ID 02Y5mFOI 投下します。 249 名前:お姉ちゃんは妹を愛してる ◆DT08VUwMk2 [sage] 投稿日:2008/05/08(木) 21 35 02 ID 02Y5mFOI 最近、響子の様子がおかしい 普段なら私が起こさなきゃ寝坊する甘えん坊さんだったのに 近頃じゃ私より早く起きてお弁当をこしらえているのだ。しかも2つも。 私が誰の分だと聞くと頬を赤く染めてはぐらかす。 その時、わかった。私の響子は、どこぞの馬の骨に騙されてるんだってね きっと、響子が音波財閥の社長令嬢だという事に目を付けて純粋無垢で清楚な響子を狙ったんだわ あぁ、なんて忌々しい。身元がわかりしだい我が音波財閥の権力と財力と暴力で葬ってくれようぞ!! 「…さま、お姉さま」 馬野骨男(仮)の破滅の妄想に浸っていて、可愛い私の妹の声に気付かなかったようだ。 響子が私になんの用だろうか? はっ!まさか、姉妹の禁断の愛の告白!! きっとあの馬野骨男(仮)は、私を嫉妬させる為の捨て馬。それなら全ての辻褄が合う。 「なにかしら?響子」 私は、すました顔で妹に応対する。 「あ…あの、お姉さま」 もう恥ずかしがり屋さんなんだから、響子は。ほっぺたと両耳真っ赤にしちゃって。 林檎のようなほっぺたにキスをして、火照った両耳を舌で舐め舐めして愛を囁いてあげたい。 でも、響子が頑張って私に告白するのだから姉として我慢しなきゃね。我慢我慢。 さぁ、私に16年間、心に秘めていた私への愛を囁いておくれ。 そしたら私は、それを受け入れて、ご褒美に唇にキスをしてあげますわ。 「き・今日、お友達を我が家に招待してもよろしいですか?」 「私も………え?」 250 名前:お姉ちゃんは妹を愛してる ◆DT08VUwMk2 [sage] 投稿日:2008/05/08(木) 21 35 36 ID 02Y5mFOI 一瞬、私の中で時間が止まった。 え?お友達ですって。 いままで人見知りだった響子は友達を家に連れてきた事はない(まぁ、私がそう仕向けたのだが) だから家に帰るといつも私と一緒に遊んでいた響子が今になって友達を家に連れてくるなんて…… ど・どこのレズ猫だか知らないが私の響子を同性愛なんていう社会的にも倫理的にも禁じられている世界に 連れ込むなんて許せないわ。我が音波財閥の権力と財力と暴力で葬ってくれようぞ!! 「駄目……ですか?やっぱり」 響子のいたいけな瞳が私に何かを訴えかけてきた。 「駄目なわけないでしょ。いいですよ、響子のお友達なら大歓迎よ」 「あ・ありがとう、お姉さま」 私は、その瞳に勝つ事ができなかった。 まぁ、いいでしょう。 いつまでもお姉ちゃんにベッタリくっついてる歳でもなし…ベッタリ……うぅ、お姉ちゃんサビシイよ その日の授業、私は、ずっとボケーっとしていた。 一体、響子は、どんな輩を呼んでくるのだろうか?という事で頭がいっぱいだったからだ。 そして、頭の中に「もしや男ではないか?」という最悪な状況が頭を過ぎった。 あぁ、だとしたら16年間、手塩にかけて育ててきたあの熟れた身体も インターハイ級の清楚な心もすでに馬野骨男(仮)に……くぅ、羨ま…めしい!! こんな事なら共学になんか行かせずに私と同じ女子学院に通わせればよかった。 今、思うと、あんなに共学に行きたがってたのもアイツの為なのでは……ぐ・や・じ・い!! こうなったら先回りして…… 「先生!今日、従姉妹の結婚式なので早退します」 251 名前:お姉ちゃんは妹を愛してる ◆DT08VUwMk2 [sage] 投稿日:2008/05/08(木) 21 36 13 ID 02Y5mFOI 私が帰った6時間後、響子が見知らぬ男と一緒にやって来た。 「お・お邪魔します」 「ふふ、いらっしゃい」 えぇ~い、響子に引っ付くな!この蛆虫野郎めが!! あぁ~、いますぐにでもこの頭を千切りとって、サッカーボールにして蹴り飛ばしてやりたいが 響子が悲しむのでやらない。響子が泣くのは一番嫌だから。 だから命拾いしたな、馬野骨男(仮)。 そういえばコイツの本名を聞いてなかった。 興味ないけど一応、聞いておこう。身元がわかったら関わりのある周囲の人間殺させて発狂させてやるつもりだ。 それには、まずきっかけを作らなくてはならない。 用意周到な私は、アイツと響子のいる部屋に紅茶を届けに向かった。 「紅茶、持ってきたけどお口に合うかしら?え~っと……」 「友永…友永アキラです」 「そういい名前ね」 友永か…ふふふ、珍しい名前だからすぐに私のスーパーコンピューターが 貴様の身元を割り出し、身内はおろか恋人をも社会的、物質的に抹殺してくれるぞ。 「もうお姉ちゃん、あっち行ってよ」 え?今日この方を振り向くと頬を膨らまして睨んでいる、私に向けて。 な・なぜなのだ、すべてはお前の為なのに。 き・きっと、このアキラという男に洗脳されているに違いない。 …洗脳されているということはこの未成熟な胸も熟れたヒップも薄毛の生えたアソコも あの男の手垢が……おのれ、友永アキラめぇ~。 しかし、ここは引き下がってあろう。妹の嫌われるのはなによりも嫌だからな 252 名前:お姉ちゃんは妹を愛してる ◆DT08VUwMk2 [sage] 投稿日:2008/05/08(木) 21 36 41 ID 02Y5mFOI それから2時間、響子の部屋からキャッキャウフフと楽しそうな声が… なんだか愛する妻を目の前で寝取られた夫の気分がわかった気がする。 響子も響子だ。私とキャッキャウフフすればいいのに何が不満なのかあんなのとキャッキャウフフしおってからに そんな事を考えていると響子と雄猫が私のいる居間にやってきた。どうやら帰るようだ。 「では、お邪魔しました」 「また来てね。響子、友永さんを送り迎えして差し上げなさい」 「はい、お姉さま」 響子が屋敷の外までにアイツを送り迎えしている間に、 響子の部屋に向かい、そこに取り付けてある 響子のプライべー…何か万が一の時にと取り付けておいた盗聴機器を取りに向かった。 しかし、取り付けておいた盗聴機器は見事にすべて壊されていた。きっと、アイツが壊したんだ。 ふと、奴の使ったコップが目には入った。 こんな汚らわしい物、我が家の運気が悪くなる前に捨ててしまおうっとコップに手を伸ばそうとしたその時… 「待ってくださいまし、それは私が片付けますわ」 響子は私からアイツの使ったコップを奪い取ると私を追い出して、部屋に鍵を閉めた。 私は、ドアに耳を澄ませた。すると、クチャクチャと卑猥な音を奏でながら 「ああん、アキラくんの口付けしたコップが私のここに当たって… アン、もっと、もっと、してぇーーーーー!!」といままで耳にした事がない 妹の卑猥な言葉に私は、愕然とした。 ――その夜、私は、妹の写真で自慰をした後、静かに泣いた。 253 名前:お姉ちゃんは妹を愛してる ◆DT08VUwMk2 [sage] 投稿日:2008/05/08(木) 21 37 08 ID 02Y5mFOI ★ ★ ★ ★ ★ 誰もいないこの旧校舎がいつもの彼との待ち合わせ場所。 彼は、アキラくんは、私の言う事をちゃんと聞いてくれるいい子です。 「今日は、とっても熱いからショーツが蒸れますわ」と言えば、 このようにしゃがみこんで、私のショーツに向けてフゥ~、フゥ~っと息をかけてくれますの。 1ヶ月前までは、他のお友達と一緒にいて、私の事なんて見向きもしてくれませんでしたのに… まぁ、男の子ですもの。未来の妻になるとはいえ、私のようなか弱き女子よりも 同じ男の子と遊んでいた方が楽しいでしょう。 でも、やっぱりかまって貰えないのは寂しいものでしたわ。 そんなある日、アキラくんのお父様、つまり私のお義父様が私の父が経営している社員だと知った私は、 悪いとは思いましたが彼と関係が欲しくって、お義父様のクビをネタに結婚届を書かせて、 少し強引ですが婚約を結びましたの。 それからこうして夫婦の契りを深めているのですが最近、不安になる事があります。 それは、他の女の事楽しそうの話している時や 昨日のお姉さまをいやらしそうに見ている(ように見える)アキラさんを見てると…… アキラくんは浮気をする人じゃないとわかっているのですが…でも怖いのです。 私のどうやらとっても焼きもち屋のようです。だから…… 「アキラくん、今日からこれを付けて下さい」 私は、鋼鉄でできたパンツ――貞操帯を婚約者に付けさせました。 でも、それじゃお互いフェアじゃありませんね 「アキラくん、これを…」 私は、アキラくんに鍵を渡しました。私が穿いている貞操帯の鍵を――― 254 名前:きゃの十三 ◆DT08VUwMk2 [sage] 投稿日:2008/05/08(木) 21 45 32 ID 02Y5mFOI 投下終了。 もうちょっとだけつづきます。 ところで前にガンダムのパロディネタがあったけど勇者ロボのヤンデレパロって投下OKですか? 255 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/08(木) 22 02 39 ID tnNZcpih 254 GJ!!投下については別にいいんじゃないかな。 それにしても、姉妹そろってヤンデレとは。しかも、ベクトルが 姉→妹→彼 だもんな。今までにこういうタイプの読んだことがないから、新鮮でおもしろかった。 続きを楽しみに待っているよ。 256 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/08(木) 22 32 33 ID RjO/9L7w 254 勇者ロボ大歓迎。 257 名前:コレの続きどこにあったっけ?[] 投稿日:2008/05/09(金) 01 27 40 ID zTIjudTZ 「ここはどこ?僕、どうして縛られてるの!?」 「ごめんなさい。でも○○さんが悪いんですよ、私以外の女に 私だけの精子を与えて・・・」 「そ・そんな、だって僕たち恋人じゃないのに、そんな事できないよ。」 「大丈夫。これから連日連夜の性愛で壊してあげますから。 お母様がお父様を壊して堕としたように。」 「ひいっ!まって、許して!!」 「うふふ・・・この日に備えて性技を磨いてきたんですよ。 どこまで持つか楽しみです、好きなだけ泣き叫んでくださいね・・・」 258 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/09(金) 01 58 48 ID jVFFzTAv ヤンデレ娘にカカオ99%のチョコレートを口移し食べさせるとどうなるの? 259 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/09(金) 02 45 51 ID dvSuSQV0 爆発する(性的な意味で 260 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/09(金) 04 20 37 ID zMzQ70Y+ あれは食べ物じゃないなww 普通の人だとむせるとおもうぞw ヤンデレならどうなるかはしらないがあれは苦すぎておいしくない 261 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/09(金) 07 25 31 ID iOJwAFhM ヤンデレに『いいもんあげるから目ェ閉じてな』 って言って放置して帰りたい 262 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/09(金) 07 43 05 ID 5OqvfEPS おまえの口のなかがうんこの塊でいっぱいなりますように 263 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/09(金) 08 50 38 ID t4qpZEAu むしろうんこになっちまいますように 264 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/09(金) 08 54 04 ID cZMr1Nsg 261 翌日気になって見に行ったらずっと目を閉じて待っていたなんてことがあったら可愛いと思うかも 265 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/09(金) 09 23 25 ID 3GD+FFyy 264 「いらない王様」という話を思い出した 思えばあの道化師は尽くすヤンデレなのかもしれない 266 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/09(金) 20 05 22 ID zMzQ70Y+ そういえばミクシーのヤンデレコミュでヤンデレってことになっててなえたことがある 267 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/09(金) 20 05 53 ID zMzQ70Y+ レナがヤンデレってことになっててだ・・ 268 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/09(金) 20 07 05 ID H5WbJjRs ああ、ミクシィね・・・ 269 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/09(金) 22 21 55 ID oCdVc6Js 招待された事もないこれからもその機会はないだろうしな…… 270 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/09(金) 23 50 28 ID iBGnR8Db 個人の自由で 271 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/10(土) 01 03 01 ID UmellN+C 「後にも先にも、私の彼氏は君だけ」 「あなたの彼女は私でしょ?」 ヤンデレスレ的にこの違いはどう思う? 272 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/10(土) 01 12 56 ID zpKSwXd3 上は前提条件であって殊更に主張するようなことではないな。 273 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/10(土) 01 55 36 ID 74ax6CvX 主人公、元彼に酷い扱いを受けていた女の子に親切心から優しくする ↓ 段々と立ち直り、主人公にも惹かれる様になる女の子 しかし主人公は女の子に恋愛感情を持っていない為に気持ちにすれ違いが発生する ↓ 嫉妬心やら空回りする好意のせいで女の子ヤンデレ化 みたいなパターンでも全然いけます 274 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/10(土) 03 47 56 ID kYZ5sEke 273 元彼は嫌だから両親の死にしてくれ 275 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/10(土) 06 33 21 ID +3OKEvlR 処女なんて飾りです 男を知らない女のほうが浮気しやすいんです 276 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/10(土) 07 57 11 ID 1eBtP8Am そもそも浮気するような女はヤンデレにはいないから大丈夫さ 277 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/10(土) 11 38 25 ID yP7SLz3K 浮気ではなく彼氏が死亡する度に次のターゲットに変わるんですね、わかります 278 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/10(土) 13 06 59 ID 3L4JmFpY 276 俺がヤンデレ好きな理由のうちの一つだ。 279 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/10(土) 16 27 22 ID aH+v3moT 277 お前は何も分かっちゃいない 280 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/10(土) 19 12 23 ID lEW7KQJu 277はにわかヤンデレ好き 281 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/10(土) 19 36 39 ID 2LuBwpOX ・彼氏が死亡する度に、次の転生先まで輪廻して追いかける ・彼氏が死ぬくらいなら、いっそ自分が死ぬ ・でも彼氏を盗られるくらいなら、一緒に死ぬ ・心中を拒まれたら、自分のことを一生忘れられないトラウマを彼氏に残して、一人で死ぬ ・幽霊になっても貴方だけ 282 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/10(土) 20 14 40 ID TeglBgOl 281 1か5で 283 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/10(土) 20 31 21 ID M3TYtOpW 281 4以外ならどれでも 284 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/10(土) 20 45 48 ID SqJx/WSw 4て言葉様じゃんw 285 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/10(土) 20 51 57 ID M3TYtOpW 別に言葉様は心中申し込んだりはしてないじゃないか 286 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/10(土) 21 09 54 ID TqfIKkX3 281 ヤンデレルーキーの俺は2,3,4,5以外ならどれでも 287 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/10(土) 21 51 34 ID AlpDd9x2 そういやヤンデレの浮気を疑って問いただしたらどういう反応を示すのかね 可能性的に 1 笑って絶対にありえないと軽く否定する 2 自分の気持ちを疑われたと思ってぶち切れる 3 勘違いされたと思って必死に弁解→勘違いされた男を愛の証明の為にぶち殺しに行く 4 自分が他の男と話していることに嫉妬してくれている→自分はそこまで愛されていると感動 →もうお互い以外何も要らないと言わんばかりに監禁生活に(ry こんな感じか? 288 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/10(土) 22 07 20 ID aH+v3moT 1か3だな、俺見解だと。 289 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/10(土) 22 10 43 ID Yk9s42RY まず1から始まり4の前半から3の後半へと移行し そしてよくよく考えて2になり監禁生活へ 290 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/10(土) 22 11 55 ID TUDCMSwX まず1からスタートして、それでも誤解がとけなかったら 「どうして分かってもらえないんだろう……」とかどんどん病んでいってしましそうだな。 291 名前:幽霊だったらいけないの?[sage] 投稿日:2008/05/10(土) 22 55 33 ID sGvQN3sL すんません投下します 292 名前:幽霊だったらいけないの?[sage] 投稿日:2008/05/10(土) 22 57 21 ID sGvQN3sL 「あー眠い……」 ついそんな言葉が漏れる。当然といえば当然である。毎晩のように早希と交わっているので、あまり寝ていないからだ。 しかし、単純に寝不足だけなのだろうか、この疲労は。 気づいたら幽霊に精気を吸い取られてました、なんてホラー映画や昔話でよくある話だ。 まあ、早希に限ってそんなことはないだろうが。 293 名前:幽霊だったらいけないの?[sage] 投稿日:2008/05/10(土) 22 57 50 ID sGvQN3sL 「……弁当でも食べよ」 軽い自己嫌悪に陥りながら、バッグから早希が用意してくれた弁当を取り出す。肉体には触れないが物には触れられる、とは早希の談である。なんと都合のいい幽霊だろうか。 ふたを開けると、見事な和風弁当だった。鮭の塩焼きにだし巻き、きんぴらゴボウ。食欲をそそるには十分だ。 「いただきまーす」 未だに友達がいない僕は、独りで昼食を食べた。 294 名前:幽霊だったらいけないの?[sage] 投稿日:2008/05/10(土) 23 01 06 ID sGvQN3sL 彼は、今日も一人で昼食をとっている。単に友達作りが苦手なだけなのか、それとも彼が孤独を好むからであろうか。 私としては後者の方がいい。男友達ならまだしも女友達を作られたら間違いが起こる可能性もある。 しかし、つくづく自分の臆病さを呪いたくなる。大学に入学して彼に一目惚れして、早くも一年が過ぎた。 彼の専攻している講義を全て調べ上げ、一緒の講義をとった。だから、四六時中彼と接触するチャンスはある。 なのに。ただ一言、お昼一緒に食べない?というだけでいいのに。私は、どうやら男の目からはなかなか美人な部類に入るらしい。 中学高校と何度も告白された。だから、本気で好きになったわけではないとしても、付き合った経験はある。 だから、ここまで行動できない自分が歯痒い。そんな経験じゃ、今の胸のときめきにはとるに足らないものなのだということなのだろう。 295 名前:幽霊だったらいけないの?[sage] 投稿日:2008/05/10(土) 23 02 01 ID sGvQN3sL ……まぁいい。これも大事に思っているからこそ。チャンスはまだまだある。 ……そういえば、お昼というと最近気になることがある。1ヶ月ほど前から、彼の昼食がお弁当に変わったのだ。 しかも手作りの、豪華な和のお弁当だ。昔はコンビニ弁当や、パンだったのに。彼女でもできたのか? と心配したが、家の者を使って調べた結果白だった。うーむ…… 思案していると、いつの間にか隣に彼がいなくなっていた。 携帯で時間を確認すると、次の講義まであと五分という時間だった。ちらりとふりむくと、学食をでていく彼の背中が見えた。なんたる不覚! お弁当箱をバッグにしまい、学食をでる。彼に小走りで彼に追いつき、二メートル後方をぴたりと歩く。 まるでストーカーみたいだなと、我ながらちょっと異常に思えてくるが、愛の前ではなんのそのだ。そして教室につき、今日も彼の後ろの席をキープ……したのはよかったが、安堵しかけた後、私は思わずこう呟いていた。 「なん……だと」 296 名前:幽霊だったらいけないの?[sage] 投稿日:2008/05/10(土) 23 04 27 ID sGvQN3sL あたしの名前は、神江優花。家は代々続く由緒正しき陰陽師の家系だ。 現代風にいうとシャーマンだとか霊能者とでも言うべきか。家がそんなだから、あたしは生まれながらに強い対霊能力を持っていた。 そんなあたしに祖父や父は期待したのか、あたしは幼少から修行の毎日だった。 皮肉にも才能があったらしく、あたしはめきめきと実力を伸ばしていった。 と同時に、同年代の子供には異端者として映ったらしく、だんだんと独りぼっちになっていった。 寂しくなかったといえば嘘になる。 だが、ここで父達に反抗してもお金がない自分はどうにもならないことを知っていた。 だから必死に耐え、修行の傍ら勉学に励んだ。 297 名前:幽霊だったらいけないの?[sage] 投稿日:2008/05/10(土) 23 05 50 ID sGvQN3sL すべてはこの実家からぬけだし、一人暮らしをするためだ。努力の結果私は国立大学に合格し、母の手助けもあり、現在の一人暮らしの生活を勝ち取った。 が、つくづくあたしは運がないらしい。あたしのレーダーが、ここ最近一人の男から霊威を感じるようになった。正確には彼に接触している霊からだ。男の名前は大山賢一というらしい。偶然にも専攻している講義も一緒だった。 邪悪な意志は今のところ感じないが、危険因子は取り除いておくべきだ。 早いうちに彼に接触せねばと思ったあたしは、今日の昼食後の講義で彼に接触を試みた。偶然を装い、彼の隣に座る。そしてテキストを忘れた振りをし、一緒に見せてもらったのだ。 単純な計画だが、お礼をするからという理由でアドレスも聞き出せたし、我ながらgoodな計画だった。 ……それにしても先ほどの講義中、後ろから凄まじいプレッシャーを感じたが、あれはなんだったのだ? 298 名前:幽霊だったらいけないの?[sage] 投稿日:2008/05/10(土) 23 07 16 ID sGvQN3sL 投下終わりです そもそも第一話が勢いだったからあとが続かねえ……後悔も反省もしないがな! 299 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/10(土) 23 27 16 ID TqfIKkX3 お疲れさんです。 300 名前:幽霊だったらいけないの?[sage] 投稿日:2008/05/10(土) 23 36 59 ID sGvQN3sL 299 すんません反省はしてます だ、だから怒らないで! 301 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/10(土) 23 43 48 ID Yk9s42RY 300 急にどうしたんだw とりあえずGJ! 302 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/10(土) 23 50 03 ID vLFElmOF うわ、すっげえ期待!! ヤンデレにもやっぱりバリエーションはあるわけで……。 ねえねえ、ここだけの話、教えてよ! 3人ともそれぞれ別の形でヤンデレ化して主人公の精神を、肉体を、魂を無茶苦茶にしていくんでしょ? 違ってもいいけど、それぞれキャラ立ってるし、面白そうだ~!! 作者には素直にエール送ります!! 頑張って下さい!! 303 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/11(日) 13 03 41 ID r5GUu/mr 298 GJであります。ところで、陰陽師さんもヤンでしまうのか? 304 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/11(日) 13 31 11 ID YwY5tuIB 先の展開を聞いたら面白さ半減だろw 298 GJ! 305 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/11(日) 20 48 41 ID c0Ho2I/w 281の1について。 修羅場系総合SSまとめサイトにある 「一万年と二千年前から愛してる」がそんな感じ 306 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/11(日) 20 54 16 ID ha1iGGZz 305 しむらー、「ことのはぐるま」忘れるなー!! それに…いやなんで(ry 307 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/11(日) 20 57 37 ID c0Ho2I/w なにがあったw 308 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/11(日) 21 02 10 ID F1W3cuDg でも確かに「ことのはぐるま」読みたいな。あれ今1番きになっているし。ちなみに2番はほt(ry 309 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/11(日) 21 43 06 ID +t1nJR6W 恋人が死んだ場合の対応 男の家に上がりこみ、両親に頼み込んで直前に着ていた服を貰う。 家に持ち帰り、服に顔を埋めて匂いを堪能しつつ、呟く「ずっと一緒だよ、男さん」 これくらいでよくないか 310 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/11(日) 22 31 10 ID 86diqvsw 308 俺は一番が時鳥だけどな 311 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/11(日) 22 37 08 ID Lk8/2p4v 俺は上書き 312 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/11(日) 22 39 38 ID Gf7XtO1B よづりさんの続きが読みたいです… 313 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/11(日) 23 19 24 ID /fUKj3bl 待つしかないんだけどね! 314 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/12(月) 00 16 49 ID KGEvi2f1 そういやかちかち山の人はどうしたんだろうな きっと新年度だから忙しかったりするから投下が遅れているだけなんだろう もしくはヤンデレっ娘に…… 315 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/12(月) 00 37 01 ID dqRLZ5Y6 ここの作者様方は常に危険と隣り合わせだからあんな良い文章が書けるんですね 羨ましいような恐ろしいような・・・ 316 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/12(月) 05 13 12 ID 6miEhdKP ヤンデレ喫茶みたいに投下量が一定になると監禁されんじゃね? 317 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/12(月) 16 31 27 ID IciKp7al マジでか!? よし、俺も書くぞ、書くぞ! 318 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/12(月) 19 17 29 ID O1RDJEQx 317 お、さっそくお前に一人ほど釣られたらしいな。 今日電柱の後ろに隠れて恥ずかしそうにお前の名前を呼んでた。 319 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/12(月) 20 52 06 ID 1ThXNyEM ttp //gigazine.net/index.php?/news/comments/20080512_bomb_for_lover/ これはヤンデレと言うべきか それともただのDQNと言うべきか 320 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/12(月) 20 56 00 ID 8mF5VZGn 他スレにもカキコしてるだろ そろそろうざい 321 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/12(月) 20 57 08 ID o+hQEiz/ 320 嫉妬スレに落としたがそれ以外はしらねぇぞw 322 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/12(月) 20 59 12 ID v3gFjTLF あぁ、確かに嫉妬スレにもあったな。ギャング集団だったならただのDQNだな。 323 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/12(月) 21 19 58 ID ZjJEx20H 嫉妬スレここ半年くらい見てないんだが まだ荒れてるの? 324 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/12(月) 21 21 19 ID 8Dh2XAyG 聞く前に自分で見てくれば良かろうに 325 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/12(月) 21 40 24 ID 8mF5VZGn 嫉妬スレエロゲ版にもあるぞ 326 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/13(火) 00 28 29 ID 2u7dMEjz だが爆弾魔のヤンデレというのは新しい 327 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/13(火) 01 28 38 ID at3sZuBy ヤンデレいぢめたい… 328 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/13(火) 16 32 44 ID LwBPr/S/ 323 俺もlそのくらい見てない。 てかそろそろ忘れかけてたw 329 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/13(火) 18 16 47 ID BN9/sXAo 他スレの話はよそでやれ 330 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/13(火) 18 17 33 ID 8TzclnZj 323と 328の帰りを待ってます。ずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっと ずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっと待ってます 帰ってこないと刺し 331 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/13(火) 18 35 48 ID ntar9x7B わかったから嫉妬スレに(・∀・)カエレ! いいかげんスレ違いだ 332 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/13(火) 21 49 28 ID mYSeNhKb ストップ、だ 333 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/13(火) 23 00 10 ID pkvhp/xH お茶会の人、期待してます。ゆっくり良い作品を作ってください。 私とあなた、2人のための…… 334 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/14(水) 00 13 01 ID bGlTJQJq 333 何人に刺されると思ってんだ 335 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/14(水) 19 38 46 ID HWuisihh 刺された人数 原さんならきっと知ってる 336 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/15(木) 01 46 18 ID peTyRXqD ドMなヤンデレってのも良いな 337 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/15(木) 02 45 55 ID VGW+GGZ4 336 かなり同意 338 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/15(木) 15 01 45 ID +w/gOZ5r 機械音痴のヤンデレが男にきた出会い系迷惑メールを見てしまうという電波がきた 339 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/15(木) 16 12 04 ID oihrs9AG 338 さあ早くその電波を文章に変換しなさい 340 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/15(木) 18 54 36 ID 5WEEn1Fq 昨晩、軍事+ヤンデレ上官+一兵士な夢をみた。 内容はこんな感じだ。 上官の女性に(性的な意味で)しごかれる新任兵士。 女性事務官と会話しただけで、「業務を怠った罰」として懲戒房に放り込まれる男。 そこに同じ軍学校出の女性兵が現れ、男を口説く。 切れた女上官は、演習中に女を崖から突き落とそうとするが、女が拳銃で反撃。 結局相打ちになる。 341 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/15(木) 18 55 48 ID 2FrliDVC 340 さぁ、今日はもう寝て早くその夢の続きを見る作業に戻るんだ 342 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/05/15(木) 19 35 01 ID z9BKN5ti ネタ出しにお使いください。 http //jbbs.livedoor.jp/music/22563 343 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/05/16(金) 00 18 46 ID VzA4GWBG さてと今日もヤンデレっ娘の夢を見るために寝よう 344 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/16(金) 00 44 51 ID 6aFaEB4a 実は俺も昨晩ヤンデレの夢を見た。 しかし夢といったら悪夢しか見れない俺の夢は、 ヤンデレが神隠しにあったように忽然と消え去る夢だった。 必死に探し回るがどこにも見つからない。 精神がどんどん絶望に染まっていく。 それでも必死に探す。 昨日まであんなに俺に惚れていたじゃないか! 一体、どこにいる! どこにどこにどこにどこにどこにどこにどこにどこにどこにどこにどこにどこに──── 自分がレイプ目になってしまった。 ヤンデレ好きとしては、これはつらい。 345 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/16(金) 00 48 12 ID 1DTCQDol 男のヤンデレは醜いからな・・・ 346 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/16(金) 01 32 38 ID ZlfACvEF 男のヤンデレと言ったらビスケット・オリバとか 347 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/16(金) 01 57 17 ID NN/ADZZd 男と男友、下校中 友「おや、最近おまえにべったりの女いないじゃん。ブチ切れて殺っちゃった?」 男「温厚さに定評のある俺がそんなことするわけがない」 友「そうか殺さない程度にry」 男「ちがうわ!後ろあそこ見てみろよ、隠れてるつもりらしいけどちらちら見えるだろ?」 友「あ、マジだ。おまえのことあきらめたわけじゃないみたいだな」 男「なに企んでんだか・・・さっさと消えてほしいぜ。気持ち悪い」 友「なぁ、あれなんじゃないか?押してダメなら引いてみるってヤツ」 男「今まであいつのおかげでスッゲー迷惑したからな。近寄らなくなるなら助かるぜ」 友「はは、まったくだな。この前は俺まで死にかけたからな」 男「このままほっといてくれたらどんなにいいことか・・・」 ・ ・ ・ ・ 女「こんなに男君のこと愛してるのにちっとも振り向いてくれないなんて・・・ 泥棒猫どもは全員痛めつけてやったし、悪友からも守ってあげようっていうのに! あ!あの糞野郎!男君にあんなに近づいて!!私があそこに居なきゃいけないのに! なんで!なんで!・・・・・ッ!! ハァハァ・・・こらえるのよ女。今は男君に私の愛の重みを気づかせなくっちゃ・・・ ここは(悔しいけど)我慢して私が日々どんなに重大なウェイトを男君の生活で占めてるか 身をもって知らせなくちゃ!」 女、男を監視して1時間後・・・ 女「ハァハァハァ・・・すっごい興奮しちゃう・・・ 見てるだけでこんなに想いが膨らんでくるなんて・・・もう耐えられないよ 立ち姿だけでこんなに女の子を苦しめるなんて男君は残酷だよ・・・ あ、ああ!あ・・・缶ジュース飲む姿かわいい! 写真撮らなきゃ! いいえ、もっともっと完全に男君を保存しなきゃ!」 348 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/16(金) 01 59 14 ID NN/ADZZd それから2ヶ月後・・・ 男の自宅にて 男「女のやつ、ほんとさっぱり消えたな~ 学校にも来なくなったし、俺にもやっとまともな高校生活が・・・」 ブチン! 男「ん?またブレーカー落ちたのか・・・ かぁさーん!またエアコンかけながら電子レンジつかったでしょ! ・ ・ ・ え?使ってない? おかしいな・・・でも最近なんでもないときにしょっちゅうブレーカー落ちるような・・・ ・ ・ ・ そういえば俺の部屋の天井に変なふくらみができたのって・・・ まさかな・・・原因考えたくないや。 糞して寝るか!」 その夜 ・ ・ ・ 女「見てるよ!男君!こんなに近くで! あ!男君がじいしてる! ああ!あああぁ~どんどん男君が入ってくる~ カメラに!マイクに!機材に男君が満ちていく! フフ、あんなに出しちゃってる☆ 男君が寝たらすぐ回収してあげるからね! 男君と私の愛の結晶、絶対作ってあげるからね! クスクスクスクス・・・・」 ノリで書いた反省は一切しない 349 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/16(金) 02 33 31 ID oQ8vqjYc 348 ぬぅ!曲者ッ!!何奴じゃッ!!!(槍でドスンと) 350 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/16(金) 03 06 00 ID ox47lMc3 VIPに帰れ 351 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/05/16(金) 05 58 13 ID zqXtABnM 前略。 13話を投下します。 352 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/05/16(金) 06 00 10 ID zqXtABnM ***** : : : 目を開ける。 すぐに閉じる。 寝起きの眼球に今目にした光景は刺激的すぎた。とても目を開けていられない。 別に、風呂上がりで艶めかしさを三割増やした葉月さんがバスタオルで隠した胸をさらけ出しそうとか、 妹が俺の胸元に入り込んでシャツを弱い力で掴みながら幸せそうな顔をしているとか、 そういった俺の下半身に都合のいい刺激ではない。 白かった。 視界の中が白に染まっているせいで、爛々と輝く蛍光灯を直視してしまったみたいに目が痛い。 眉を強くしかめてから、もう一度挑戦してみる。 今度は高速で目を閉じたりはしなかったが、心の中が疑問符で一杯になってしまった。 なんだコリャ、俺が寝起きで部屋が白で? 頬を摘んでみる。ふむ……痛いだけで部屋の様子は変わらない。 足下が確かであるからして、現実もしくは恒例のリアリティあふれる夢だと見当をつける。 では、主観的な状況把握に努めるとしよう。 場所は日本ではよく見かける洋風を意識したつくりの部屋。家具を含むインテリアも同じく。 特殊なのはそれらの配色が淡泊であるというところ。 雪が降っている訳でもないのに窓の外が真っ白。家の周りが画用紙で覆われているよう。 何かの上に上塗りした白ではない。どちらかというと、何もないから白くなっている、みたいな感じ。 家の壁、家具、天井、フローリング、いずれも染み一つ無いピュアホワイトだ。 白一色のフローリングはなんだか落ち着かない。踏み出すことさえ躊躇ってしまうから、せめて木目ぐらい欲しいところだ。 そして、視界に映るものの九割が白の面と黒の線で構成されているくせに、 テレビ画面や鏡や写真立てなどの顔を確認できる物だけは、つや消しの黒スプレーを吹いたみたいになっていた。 そのせいで部屋の光景が映り込まず、現実感のなさの演出に一役買っていた。 せめてクリアーを吹いてから研ぎ出ししてくれればよかったものを。 この手抜きっぷりは俺の夢らしくない。別に俺が望んで夢を創造したわけじゃないけどさ。 気付いたことがひとつ。ここは、我が家のリビングルームだ。 外の景色を臨める窓、廊下と部屋を繋ぐ入り口の扉、大きいとは言えないものの必要なものはほぼ揃っている台所。 大規模リフォームしない限りは変わらない部屋の構造はそのままのはず。 今朝俺が見た居間の光景と違う点は、配色が白黒になっているところ、もう一つが家具の配置と物の違い。 何気なく我が家の情報収集と娯楽提供に一役買っているテレビは、二回りほど小さくなっていた。 置かれている場所はソファーの近くではなく、テーブル近くの壁際。 カラーボックスの上に置けるほどの大きさのテレビは、テーブルの面と同じ高さにある。 窓際の中途半端なくつろぎ空間を作り出しているソファーは数を増やしており、二つ。 ガラステーブルを挟む配置は、まるで高校の応接室のようである。 住人の視点からすれば意図が理解できない。 来客用に設えているつもりなのだろうか。リビングに入り込んだ来客など数年間いないというのに。 それ以外に違うところはカーテン、観葉植物、カーペット、蛍光灯など多数。 以上を踏まえて、これはおそらく過去か未来の光景だと予想される。 扉が開いた。廊下とリビングが繋がった。 そのはずなのだが、どういうわけだか廊下は見えない。扉を境にした向こう側が芸の無い白だった。 そこから突然小柄な人間がリビングへと飛び込んできた。 お召し物がワンピースであるところからして、女の子だと思われる。 髪が黒、肌が白。女の子の地肌が白いわけではなさそうだ。 根拠? 背景と同一の白だからそう判断したのさ。 女の子の顔には見覚えがある。 母親をデフォルメした妹を、またデフォルメした容姿。女の子には妹の面影がある。 ここは俺の住む家、そこにいる妹そっくりの女の子。 この光景が過去のものであるなら、女の子は妹本人。 未来のものであるなら、妹の娘かな。 面倒だから、ここでは暫定的にちび妹と呼ぶことにする。 353 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/05/16(金) 06 01 26 ID zqXtABnM ちび妹は慌ただしかった。 リビングに入ってくるなりテーブルにぶつかりそうになり、左右を見回してから一度キッチンの方向へ走り、 数秒のうちにまたキッチンから飛び出して今度はソファーの後ろに隠れた。 この動きはかくれんぼでの追われ役に近い。 どこかに一度隠れてはみたがやはりここではダメだと思い直して別の所に隠れる。 でも、改めて隠れた場所もイマイチだったりして移動しようとしたところで鬼が現れたりする。 それから捕まるか隠れおおせるかは運次第だ。 ちび妹がかくれんぼをしているとなると鬼役がいるはずなのだが、未だ姿を見せない。 鬼は誰だろう。もしちび妹が妹本人なら弟か花火が候補に挙がる。 それとも俺か? これぐらい小さい頃だったら俺とも仲が良かったかもしれない。 そうだったらいいなあなんて、妹から他人行儀な態度でお兄さんと呼ばれている自分は思った。 スリッパの音が入り口方向から聞こえた。 ちび妹から視線をそちらへ向けると、妙齢の女性が一人立っていた。 はっきりした年齢はわからない。しかし母より若いのは間違いない。篤子女史と比較すると微妙。 ちなみに篤子女史も母も若作りである。年齢相応の容姿をしていない。 その二人と比べて若く見えるのだから、神秘の化粧術を使っていない限り、現れた女性は二十代であろう。 女性はリビング全体を見回すように首を右へ左へ。キッチンの方を見ると動きを止め、歩いてゆく。 その動きを見たちび妹はキッチンから見て死角になる位置へ移動する。 なるほど、ちび妹を追う鬼役はこの女性か。 近所に住む子供好きか、うちの家族の親戚のどちらかだろう。 しかし、どうも気になる。ちび妹の様子が必死すぎる。 目を強く瞑っているし、鼻と口まで両手でふさいでいる。 怯えているのが一目瞭然だった。 「――ちゃん、出ていらっしゃい」 妹の名前を、女性が呼んだ。 呼び声のもたらした効果は、ちび妹の体の萎縮。肩を一度大きく震わせ、体を丸くさせた。 それと、もう一つ。俺の足を痙攣させる効果まであった。 嫌な汗が額をびっしりと覆う。足裏が床に糊でくっつけられているみたいに動きづらい。 呼吸しづらい。女の声で空気が重くなっていた。 わかる。知っている。聞いたことがある。 ――俺はこの女を知っている。 この光景は過去のもので、ちび妹は妹本人で間違いない。 ただし、そこから先が不明だ。 何で俺と妹は女をここまで恐れているんだ。 今の俺自身が怯えている、すなわち過去の俺もこの女に怯えている。 なぜ怯えているのだ? 原因は? もしかして、今からそれが分かるのか。俺と、昔の妹がこうなっている理由が。 354 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/05/16(金) 06 02 40 ID zqXtABnM ちび妹、もとい妹が小柄な体を使って駆けだした。方向はリビングの入り口。 けど、床を這うような体勢で走っている最中に鍋をぶつけられ、妹は入り口前で転倒した。 鍋を投げたのはキッチンに立つ女。 怒りのあまり怒鳴りそうになったが、声は出なかった。 手を伸ばしてみると、俺の手が透明になって女の体をすり抜ける。 くそ。こんなんじゃ、妹と女をただ見ているだけしかできない。 女は妹の姿を見て嘲るように笑うと、歩き出す。右手にフライパンをぶら下げて。 妹は丸くなったまま立ち上がらない。妹の枕元に女がたどりついた。 女の足が上がる。下には妹の頭。 足が下り、妹の頭にぶつかる――その寸前、闖入者が現れた。 リビングに飛び込んできたのは子供だった。でたらめな叫び声をあげながら二人の間に割って入る。 そのおかげで、妹は守られた。女は妹をかばった子供の背中を踏んでいた。 突然のことに呆然とする女に向けて半袖短パンの子供が言う。 「――――――いで」 呟きが鼓膜にぽつりと当たった。 振動が波紋になって脳の隅々へ行き渡る。 今、この子供――たぶん男の子――は、なんて言った? この声と台詞、聞いた覚えがある。それも間近で。何回も何回も。 もしかして俺はこの現場を何度も目にしたことがあるのか? じゃあ、身を挺して妹をかばっている男の子は、弟か? 背中を盾にして伏せているから顔が見えない。弟だとは断定できない。 もしも弟だとしたら、過去の俺はどこにいる。隠れてないで出てこい。 ていうか何で隠れてるんだよ。それでも長男か。 女が弟と思しき男の子の脇腹をつま先で蹴った。むせかえる声も上げず男の子は耐え続ける。 妹は涙を流し、首をいやいやと横に振る。 震える口から出る言葉は聞き取ることさえできない。やめて、と言っているのだけはかろうじてわかる。 女が妹の髪を掴む。男の子が必死に、無慈悲で乱暴な手を解こうとする。 男の子の背中が踏みつけられる。下にいる妹ごと潰そうとしているよう。 それでも男の子は呻いたり、弱気な声を吐き出したりしない。 ただ、一言だけ呟く。 「妹を、――――で」 女は嘲るように鼻で笑う。もし俺が現場にいるなら問答無用ではり倒している。それぐらい憎らしい仕草だった。 無抵抗の男の子の足を、体格で勝る女の荒々しい両手が掴み上げる。 そして引っこ抜くようにして床から剥がし、よく見もせずに背後へ放り投げる。 男の子は椅子を巻き添えにし、棚にぶつかって止まった。 うつぶせになった男の子の後頭部に、上から落ちてきた花瓶がぶつかる。 花瓶は割れず、白い花と黒く描写された水をまき散らした。 顔を上げた男の子は、顔中が黒い水に濡れていて、頭部から血を流しているように見える。 男の子はそれだけの目にあっても、泣きじゃくる妹にフライパンが襲いかかる前に、女の腕に飛びかかる。 顔を拳で殴られ、足を踵で踏まれ、髪を引きちぎられ、聞くに堪えない言葉で罵られる。 ボロボロになりながらも男の子は泣かなかった。 妹の身代わりに自分を犠牲にし、自分の代わりに妹に涙を流させる。 ほどなくして、女の動きが止まる。荒い息を吐きながら肩を上下させる。 男の子はもはや女の腕にすがりつくことも困難になり、床に横たわり片腕だけで己の意志を伝えていた。 女の手首を掴む右腕は、頑として動かない。 呟く声が聞こえてくる。今度はより鮮明に耳に入り込んでくる。 「……もうやめてよ。妹をいじめないで」 自身ではなく、妹だけをかばうその言葉が、俺の意識をバラバラに攪拌し、すべてを暗転させた。 355 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/05/16(金) 06 04 10 ID zqXtABnM ***** 目を開くと同時に汗が入り込んで、痛いぐらいしみた。 あおむけに寝ころんだままで首を上げる。髪の毛の間を縫い、汗が頭皮を伝って落ちていく。 汗は全身を覆っていた。下着は言わずもがな、もしかしたら制服まで濡れているんじゃないか、と思えてくる。 確認しようと腕を伸ばそうとするも、動かせない。 変な体勢で寝ていたとかいう理由ではなく、後ろ手に縛り付けられていたから。 手首をひねると関節に食い込んでくる。細さと伸縮性のなさからみて、鉄線か釣り糸か。 左右それぞれの足首と膝にも同じものが巻かれている。血管を圧迫するほど強くはないが、かといって緩みそうもない。 手足が不自由になっている他は特に問題ない。 いや、あるか。 「……………………つめてえ」 背にしている床も冷たいが、もっとひどいのは空気だ。 二月中旬はまだまだ暖かくなるには早い。 凍てつくという表現がぴったり似合う夜の外気が、体を満遍なくコーティングしている汗と協力し、俺の体を芯から冷やす。 武者震いでなく、体ががたがた震え出す。止めようとしても止められない。というか止めたら駄目だと体が判断してる。 要するに、俺はとても危険な状況でピンチ。意味が被っているが、とにかくやばいということで。 こうして脳が活動していられるうちはいいが、このままではいずれ生命維持のために思考が止まってしまう。 その前に状況把握、あと解決策を模索しなくては。 今し方見た夢に関しては、この状況では考えないことにしよう。保留だ。 過去よりも今。立ち向かうべきものは現実だ。 「……まず、状況は黒であるぅらあああぁぁぁ……」 ちくしょうめ。口をちょっと開くだけで顎と喉が震えやがる。変な声が出た。 状況は黒だった。グリーンでもイエローでも、ましてやレッドでもない。ピンクが混じれば状況戦隊が完成だ。 「だが、そんなことはどうでもい、いぃぃぃあぁああぁぁぁ、ああぁぁぁ……」 余裕はがりがり削られつつあるのに、余計な思考だけは欠かさない俺の脳。 燃費が相当悪いに違いない。錆びたタンクから漏れているんじゃなかろうか。 現在俺がいる場所は不明である。 気絶しているうちに他人によって連れてこられたのだから、分かるはずがない。 連れてきた犯人は、共犯者がいない限りは澄子ちゃんであろう。 「しかし、あれにはびっくりした……」 しみじみそう思う。 夜の体育館で頭上を見上げたら愉悦の表情を浮かべる女の子がいた。これだけ聞くと学校の怪談みたいだ。 もし俺がこの状況から抜け出せたら仕返しに学校の怪談として噂を流してやろう。 なんてのは、冗談っていうより自分を励ますための方便だ。 だって、今の状況は黒なのだから。 場所がどこだかわからないうえ、淡い光さえどこにも発見できず、先の見通しが立たない状況、つまり黒。 状況黒とは、赤以上の緊急事態のことを指す。黒が赤を塗りつぶしているからである。 具体例として、奥深い山中に不法投棄された自動車のトランクに押し込められた状況が挙げられる…………考えなきゃ良かった。不安すぎる。 だが、こんな状況でも生きるのを諦める気にならない。 まだまだ俺にはやりたいことや、やり残したことが大量にある。 自分の部屋の押し入れにしまってある大量の積みプラを片付けたりとか、弟がいなくなったことで元気をなくした妹を回復させたいとか。 「葉月さんに告白の返事をする、とか」 なんで緊急時になるとやりたいことが浮かんでくるんだろ。 目標を意識させ、絶望を忘れさせるためか? ホント、人間の機能ってよくできてるもんだよ。 356 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/05/16(金) 06 06 22 ID zqXtABnM 上体を起こしてみる。額や頭に何かがぶつかったりはしなかった。 寝ころび、右に転がってみる。再度回る。もう一回回る。ワンモア。 床の固い感触は木製のものではない。ざらざらしたさわり心地はコンクリートのようだ。 俺の体が四回転しても障害物にぶつからない。縛られた両足で宙に蹴りを放っても空振りするだけ。 どうやら、それなりに広い場所にいるらしい。 乗り込んだ場所は体育館で、澄子ちゃんはそこに俺を閉じこめた。とすると、ここは体育館のどこかか。 人目に付きやすい場所に隠す愚を犯すなんて、少し抜けたところのある澄子ちゃんでもやりはすまい。 叫び声をあげられても生徒の耳に届かない場所を選定するはず。 床の裏か、舞台の下、それ以外の俺が知らない空間。 俺が好奇心旺盛な小学生なら体育館を隅から隅まで見て回ってたんだろうなあ。 こうやって俺も感動を憶えづらくなっていくのかね。 「一体どこなんだ、ここは」 悩みを吐き出してみる。すると、わずかな空気の乱れが生じた。 今、誰かが笑った? 「だ、だだだだ、誰、だ!」 不覚にもうわずってしまった声で、真上へ向かって怒鳴ってみる。 返事は息を吹き出す音だった。しかも、驚くほど近くから聞こえた。 「ふふ……っふふ。あはははは、先輩ったら面白いの!」 「へ? え?」 「ちょっとは嘆いたりわめいたり取り乱すかと思ってたら、全然普段と変わらないんですもん! それなのに、さっきからすっごい近くにいるのに気付かないし! 恐怖に鈍くて勘も鈍いだなんてお得な性格してますね!」 よし、とりあえず落ち着いてみろ、俺のブレイン。状況に置き去りにされてる場合じゃない。 声から察するに、近くにいるのは女の子。だけどただの女の子のわけがない。 俺と同じ真っ暗な空間にいるわけだから、つまり、えー…………っと。 「君、木之内さん?」 「先輩。手持ちは金メッキのボールペンと純銀じゃない銀色のボールペンだけしかないですけど、どっちがいいですか?」 「ごめん嘘。ただ敬語を使ってみたかっただけなんだ。……君、澄子ちゃんか?」 「はい、そうですよ。先輩の弟さん限定のアイドルです。 あ。でもどうしてもっていうんなら、片手間に先輩のアイドルになってもいいですよ。 全校集会しているときに放送室から「澄子ちゃん、弟をよろしく頼む!」って、大声で言ってくれたらですけど」 「いや、あの、……遠慮しておくよ」 「あれ、アタシへの告白の方がいいですか? でもごめんなさい。アタシにはもう心に決めた人がいるんです」 「そうだろうね。うん、知ってるよ、とっくに」 澄子ちゃんのテンションについていけない。まともに合いの手を入れられない。 澄子ちゃんがいつも通り過ぎる。不自然さを感じるほど、自然体だ。 弟をさらいついでに俺をどこかに連れて行くということを成したのに、それについて負い目を感じていない。 「確認したいんだけど、いいかな」 「いいですよ。どうぞ、アタシのスリーサイズを言い当ててみてください」 「いや、そういうんじゃなくてね」 こんな状況じゃなければ、目測で上から74、47、76って言うんだけど。 「君が俺をここに連れてきた。合ってる?」 「はい。ついでに白状しちゃいますと、弟さんをバレンタインデイにさらったのもアタシです。それが何か?」 「いいや、なんでもないよ。聞きたかっただけ」 わかってはいたが、やはりそうか。 この子、文化祭の時と何も変わってない。冗談めいた喋りも、何があっても弟を手に入れようとする決意も。 澄子ちゃんは俺が初めて会った時から、弟をさらってしまうぐらい思い詰めていたのだ。 でも、行動を起こさなかった。まだスイッチが入っていなかったから。 じゃあ、行動を起こすスイッチを入れたのは一体誰だ? 357 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/05/16(金) 06 07 26 ID zqXtABnM 「あのさ、澄子ちゃ」 「ばあ」 カチリと音がして澄子ちゃんの顔が暗闇に浮かび上がった。枕元に座っているから顔が逆さに見える。 何がしたいんだこの子。懐中電灯で下から自分の顔を照らして。 「むー……先輩、つまんないです。もっと驚いてくださいよ。 弟さんはもっと大袈裟に、抱きしめたくなるほど可愛らしくリアクションしてくれましたよ? つい抱きしめてウフフなことしちゃいました」 実行してるじゃないか。 それに可愛いって、どんな反応だ――ああ、澄子ちゃんの目で弟の反応を見たらそういうことになるのか。 「あ、どんな反応をされても先輩にはやりませんから。アタシ一途なんです。期待させてごめんなさい」 「つっこまないからね、俺は」 「どこに突っ込みたくなっちゃったんですか?」 「それにもつっこ…………いや、なんでもない」 つっこまないと言うツッコミもツッコミであると気づくほどには落ち着いてきた。 そろそろ話題を切りだそう。逆上させないよう慎重に。 「教えてくれないか。どうしてこんなことをしたのか」 「こんなことっていうのは、どれのことですか? 弟さんを家に帰れないようにしたこと? 先輩を捕まえて床に転がしていること?」 「……前者だけでいいよ」 後者の理由はだいたいわかる。俺が邪魔だから。 俺が弟の隠し場所である体育館に近づいたから、企みに気付かれたと思い、捕まえたってところだろう。 「一から説明しないとわからないですか? アタシがこうしている理由」 「動機はわかっているつもりだよ。俺が知りたいのは、澄子ちゃんが決行するきっかけになったものだ」 「そうですねえ……うん。せっかく男と女が暗闇の中にふたりっきりでいるわけですから、腹を割って話しましょうか」 そう言うと、澄子ちゃんは懐中電灯のスイッチを切った。再び視界が暗黒に染まる。 一人きりだと思っていた時より落ち着いているが、やはり澄子ちゃんといるのは安心しきれない。 まさかいきなりペンを突き立てたりはしないだろうが、油断はできない。 358 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/05/16(金) 06 08 30 ID zqXtABnM 澄子ちゃんは一度咳払いをすると、ゆっくりしたペースで話し始めた。 「先輩もご存じの通り、アタシは彼――先輩の弟さんが大好きです。恋してます、愛してます。 抱きついて額をぐりぐり彼の胸に押しつけて匂いを嗅いで悦に浸るっていうのを、休日を丸一日使ってやるのが夢です。 それぐらい好きなんですけど、アタシは一度も告白したことがありません。理由は知ってますか?」 不知である。知らない、と小声で言ってみた。 「葵紋花火の存在ですよ。前、言いましたよね。彼にはアタシ以外に好きな人が居るって。それがあの女です。 同じクラスに居れば、彼がどこをよく見ているのかわかります。 授業を受けている時はともかく、休み時間は教室から廊下を見てます。あの女が通りがかるか、気にしているんです。 それ以外にも、葵紋がいる教室に色々理由をつけて顔を出したりしています。 そんな様子を見せられたら告白する気だって削がれてしまいますよ。 アタシ、こう見えてもナイーブですから。玉砕覚悟で突っ込むなんてできません」 そうだろうね。無理もない。皆勇気と度胸があるわけじゃないんだ。 「でも、アタシは彼がどうしても欲しい。 寿命が半分、いいえ、あと一年しか生きられなくなっても、彼が手にはいるならアタシは悪魔と契約します。 アタシは彼を強引に手に入れることを決めました。それが去年の文化祭の頃。 あの時は運悪く先輩と葉月さんに見つかってしまったから失敗してしまいました。 けど、今回はそうはならなかった。先輩はたった一人で体育館にやってきた。そして抵抗する間もなくアタシに捕まった。 残る邪魔者は葉月さんと、忌々しい葵紋花火だけ。未来は開かれているも同然です」 うーむ、それはどうだろう。 葉月さんはああ見えて武道を学んでいるし、花火は弟のことになると冗談も挟めないくらい真剣になるし。 「俺がいなくなったぐらいじゃ、あの二人は止まらないよ。きっと」 「そうですかね? 彼を捜すことに関して、一番優れているのはきっと先輩ですよ。 先輩はお兄さんだから行動が読めるんでしょうけど、他の人にとってはそうもいかない。 まぐれでもなんでも、先輩の能力はとってもおいしいんです。アタシだって欲しいですもん」 俺だってくれてやりたいよ。弟を捜索する時ぐらいしか使い道がない能力だ。 個人が持てる特殊能力の欄が限られているなら、邪魔だから真っ先に削除しているところだ。 359 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/05/16(金) 06 09 18 ID zqXtABnM 本題に入ります、と前置きをしてから話が再開される。 「力ずくで彼を手に入れることを決めて臨んだ昨日のバレンタイン。 知恵熱が出るくらい悩んで書き上げた呼び出しの手紙を見た彼は、資料保管室に来てくれました。 室内で待っていたアタシは、彼の前に立ち、チョコレートを渡しました。 そして、まあ、バレンタインっぽく自分の想いを打ち明けたわけです。あなたのことが好きです、付き合ってくださいって。 対して、どんな返事をされたかは…………鈍感な先輩でもわかりますよね」 「なんとなく」 短く答える。そりゃあ当然だろ、とか下手に言ってしまったら刺されそうだ。 「そこまではよかったんです。アタシの気持ち的にはよくないですけど、 上手くいかないのは予定調和みたいなものです。わかっていたことでしたから。 問題はその後の、彼の言葉です。なんて言ったと思います? これ、当てられたらすごいですよ」 はて、なんだろう。 「だらだらと言い訳を続けたとか」 「違います。たった一言ですよ」 「これからも友達のままでいてね、とか」 「ハズレ。もっと、もっとアタシの心に突き刺さる言葉でした」 「……ごめん、俺にはわからない」 弟が澄子ちゃんの欠点を挙げてけなすわけがないし。 他に好きな人がいるから、ってのは言い訳みたいなものだし。 「本当は好きじゃないんでしょ、です」 「好きじゃ……何?」 「ちゃんと聞いてください。あと一回しか言いません」 息を吸う音が聞こえる。次に気怠そうなため息。明らかに口にするのも嫌そうな気配を感じる。 ここまで澄子ちゃんを落ち込ませるとは、一体どんな失言をしでかしたんだ、弟。 「澄子ちゃんは僕のこと、本当は好きじゃないんでしょ……ですって。どうです、これ。ひどいと思いません?」 360 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/05/16(金) 06 10 17 ID zqXtABnM 言葉を反芻する。 告白の返事の後に言った言葉が、好きじゃないんでしょ。それってつまり、告白が嘘だと思ったってことか? 「さすがにカチンときましたよ。アタシ、こう見えても平穏に暮らしてない時期があったから耐えるのは慣れてるんです。 それがいきなりレッドゾーンを振り切りましたよ。メーターの針がぐにゃりって曲がっちゃいました。 だって、真剣な告白をしたのに、気持ちを疑われたんですよ? 怒らない方がどうかしてますって」 あいつ、馬鹿か? 男だろうと女だろうと、告るのには勇気がいる。自分の気持ちを信じていなければできない。 その気持ちを踏みにじるような台詞を吐くなんてどうかしてるぞ。 いくら他に好きな女がいるにしても、断り方ってものがあるだろ。 弟が澄子ちゃんに言った言葉は、中でも最悪のものだ。 こりゃ、さらわれて当然だ。いや、澄子ちゃんが相手なら生きているだけでいい方だ。 「思わずフルスイングでビンタしちゃいました。でも気が済まなかったから、今度は反対側から張りました。 彼は怒りも反省もせず、まばたきをいっぱいしてました。何で頬を張られたかわかってないみたいに。 そこで気付いちゃったんです。彼、本当にアタシのことなんて眼中にないんだ、って」 「そんなこと……」 そんなことはないはずだ。弟は家族だけじゃなく、知り合いに対しても分け隔て無く思いやれる優しい奴だ。……そのはず、だ。 「先輩。慰めの気持ちは有り難く思いますけど、要りません。 事実は事実。彼にとって、アタシはただの友達。群れてきゃいきゃい言っている女たちと同列。 彼を遠くに感じました。アタシの意識は崖から真っ暗な谷底へ落っこちて、彼は崖の上でアタシとは別の方向を見てて。 もう、とっくの昔から葵紋花火だけしか女として見てなかったんです。 他の女なんて、シャーペンの芯みたいにどこでも手に入るお手軽な女としか見てないんです。 そのことを理解した時、入っちゃったんでしょうね。後先考えず、全てを敵に回す覚悟のスイッチが」 「そう、だったのか」 同情はしない。けど、澄子ちゃんが決行した理由はわかる。 自分だけを見てくれなくて悔しい。無理矢理にでも女として意識させたい。 だから、弟をさらって二人きりの場所に連れて行けばうまくいくはずだ、と。 単純明快すぎて自分が賢くなった錯覚までする。 「後はまあ、だいたいお察しの通り。力ずくで彼を気絶させて、隠せる身近な場所を見つけて、そこに連れ込みました。 それがここ、体育館の舞台の下。ここって普段は南京錠で閉じられてるから人が来ないんです。 文化祭とか体育大会ぐらいでしか使わない道具が収まってますから、先生も使いませんし。 しかもどういうわけか中からも錠をかけられるんです。卒業式を控えたこの時期なら、まず見つかりません。 あ、安心していいですよ。アタシと彼の理想郷に彼を連れて行ったら、扉は開けっ放しにしてあげます。 拘束は解きませんけど、運が良ければ一日ぐらいで誰かが見つけてくれるはずです。 無抵抗の先輩をどうにかしたところで、足が付く可能性が発生するだけでアタシの得にはなりませんから」 ということは、俺が邪魔する気満々だったらここでくびるのも厭わなかったわけか。 安心すべきか、自分の意志の弱さを嘆くべきか難しいところだ。 361 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/05/16(金) 06 12 53 ID zqXtABnM 「ところで、こんな真っ暗な場所にいて疲れませんか? さっきから不満そうじゃないし。もしかして、夜行性?」 「……まあ、一番やる気に満ちあふれているのは夜になるかな」 いつもならプラモデルを作りつつ母の妨害と戦うこの時間は、俺にとって癒しそのものだ。 嗚呼。今のこの時ほど我が家に帰りたいと思った日はない。ハロゲンヒーターの付け焼き刃な暖房効果が恋しい。 「じゃあ外、見てみます? 今日は月が出ていて良い夜ですよ」 澄子ちゃんは懐中電灯を付けると、暗闇の中を進んでいった。 錠を解く音がした後、重い音と共に扉が開く。 優しい月明かりが暗闇を照らす。目を凝らさなくても夜空に浮かぶ雲がはっきり見える。 自分の置かれた状況を忘れて夜の明るさに感動していると、澄子ちゃんが入り口の階段に腰を下ろした。 「先輩、今お暇ですか?」 「両手両足を縛られて、何かに励めると思う?」 「あはは。ちょっとだけ声に元気が戻りましたね。 それじゃ、耳かっぽじってぼんやりしつつ右から左へ聞き流すぐらいの心地で、でもやっぱり真剣に聞いてください」 「そうさせてもらうよ」 どうせすることもないし。いやまあ、開放するよう説得するとかあるんだけど、思いとどまらせる一言なんかないからさ。 会話の最中に理想郷とやらの場所をさりげなく聞き出すしかない。 俺がこの世から居なくなったりしたら、両手足の指でようやく数えられるくらいの人が悲しむ…………なら嬉しいな。 ともかく、俺が健在のまま弟を解放するという目的を結果的に果たすために、慎重にいこう。 不自由な体を動かして床に体育座りし、澄子ちゃんと向かい合う。 楽しそうな、澄子ちゃんの弾んだ笑い声。地下倉庫にそれは響かない。 ふと、自分がいる異世界から人間界へ向かうためには澄子ちゃんの話を聞かなければならない、みたいな試練を受けている気分になった。 まったくの外れでないところがファンタジーっぽい。 ボスが目の前にいなくて、手足が自由だったらきっと楽しいんだけどな。 「ちょっと長くなりますけど、聞いてください。 アタシの……そう、友達の話になるんですけどね」 月明かりを背にした澄子ちゃんの顔は薄暗くてよく見えない。 でも、それでいい気がした。 声から、悲愴なものがにじみ出ているのを感じたから。 話が終わる頃には何時になっているんだろう。 時計がどこかにないかと辺りを見回したけど、暗い地下倉庫にも、わずかに見える校庭にも、やっぱり見あたらなかった。 今回はここまでです。 また次回、お会いしましょう。 362 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/05/16(金) 06 21 00 ID fLPe49VD 朝一でGJ! 363 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/16(金) 07 21 45 ID AyeCJ2e+ なんか色々始まったな。みんなが納得できる展開になってくれると嬉しい。 GJでした。 364 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/16(金) 09 46 21 ID 9EJGHFrl GJ! 見てる方向はともかく意外といいコンビだな兄貴と澄子w 皆が予想できない展開だからこそ面白いんだよ。 365 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/16(金) 10 01 17 ID W7qes4ne いいねいいね。前回のお話に浮かんだ疑問に全て応える万全の構えだ。 366 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/16(金) 13 10 00 ID sq6ZUy4V GJ! すごく面白い・・・・が、あんまり話を広げすぎないでくれた方が・・・・ 367 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/16(金) 15 41 48 ID a8pcRKJZ 死んだり辛い目に遭ったりするのは、兄貴だけにして欲しい! 368 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/16(金) 16 37 44 ID hjKH767o 367 お兄さんがかわいそうです 369 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/16(金) 17 05 34 ID igJ9dCeb GJ!! 澄子の言っていた、理想郷がどういう所なのか気になる。 370 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/16(金) 18 39 03 ID 8/eJ2pRE ヤンデレもエロパロも抜きに続きが気になって仕方ないぜ。 弟も弟であんな態度取った理由は何なのやら。 無理せず続けて欲しい。最後にGJ! 371 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/16(金) 19 59 21 ID AyeCJ2e+ 367 俺は嫌だな。澄子ちゃんも含めて死んだり辛い目には遭って欲しくない。 全員が幸せになるのは、まあ無理だとしても。 特に兄貴には幸せになって欲しい。葉月さんと一緒に。 372 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/16(金) 20 19 07 ID vZISdoMc 友人が朝倉やらレナやらをヤンデレだと断言しやがった 思わずヤンデレのなんたるかを1から叩きこんでしまったよ 373 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/16(金) 21 08 58 ID HCkvw41Q 372 よくやった 原作では単に武器持って攻撃するだけの女だしね ただ二次創作だと本当にヤンデレになった作品も無くは無いが 374 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/16(金) 21 21 33 ID m+JwzIG9 372よ。お前にえ○い。二次製作だとしょうがないが、↑の通り朝倉はただ単に武器で襲ってくるだけだし、レナに至っては圭一の妄想だからな。 375 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/16(金) 21 56 15 ID 3LUCLK0S これが本当のヤンデレだ!って友人に教えるなら誰がお薦め? 376 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/16(金) 21 58 48 ID uM2IY3Lz 言葉様とか楓で基本をおさえてもらえ 377 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/16(金) 22 02 45 ID rydkLuIX 未来日記のアレ 378 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/16(金) 22 06 11 ID igJ9dCeb 斧、包丁、ハンマー、を武器とするあいつか。 379 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/16(金) 22 13 19 ID KAKyC0eE 銃も使ったような・・・ あとは必殺、携帯電話 380 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/05/16(金) 22 21 03 ID S8L557Iv あと・・・…愛 381 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/16(金) 22 36 34 ID igJ9dCeb あとは勘的な物 超感覚 …6th戦で斧を使わせる。 瞑想? …5th戦で… この上の描写SSに取り込もうかな。 382 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/16(金) 22 43 35 ID KAKyC0eE プチトマトの重さをグラム単位で気づくんだからたいしたやつだよ 383 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/16(金) 23 26 39 ID FBTPgdiN 我妻由乃スレはここですか? 384 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/17(土) 00 12 01 ID R5oLjIje ゆのっちのすごいところは、普通(か、やや丈夫)の女の子程度の身体能力であれだけ暴れているところだと思う まあ、メンタル弱いと言われてはいるけど。 5thで思い出したが病み女性科学者もいいね。マッドサイエンティストに分類されるのかもしれないが。 「『星殺し』の感染は実に上手くいったみたい。 最初に先進国の微生物研を同時に陥とせたのが良かったんだと思う。あのウィルスはそこらの機関じゃ対処できるレベルの代物じゃないから。 このペースならあと数日で地球全域に広がるはず。まあ、残った人類も1年あれば死に絶えているでしょう。 そしたら媒介も無くなって、ウィルスともさようなら。 ねぇ。そうなったらどうする? 正真正銘、世界に私たち二人だけ……。 そうなったらあなたの答えも変わるんじゃないかな。 なんだっけ。 『君を女性として愛するとしたら、君が人類最後の女性となった時だ』 か…… くふふ……だから私、がんばったんだよ。 ね、お兄ちゃん……」 385 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/17(土) 00 17 34 ID rXfWbTTk 自分の作った人工知能にヤンデレなのをしってる・・・終盤はカオスだった 386 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/17(土) 04 22 04 ID a3TG/TkA 「ちょろいっ!」と斧で頭を一撃と申したか 387 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/17(土) 04 35 22 ID JyKK5tSN 384 ラスト一行www とりあえずキモ姉妹スレに逝け 388 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/17(土) 13 44 59 ID zc/nb+ni 最近最終巻が出たラノベ読み返してたら なかなか素敵なヤンデレがいたwww 当時はヤンデレとか考えもしなかったけど 389 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/17(土) 14 38 18 ID npnMC/yb 今はヤンデレ以外考えられないということですね? 390 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/17(土) 17 42 17 ID dqo9+uE/ 388 文学少女?? 391 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/17(土) 19 54 44 ID F2wn+3dy 今月出た文学少女の本はまだ最終巻ではない。 しかし、 388の言っているラノベがどれなのか気になる。 392 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/17(土) 20 03 16 ID 5HrKPnS3 ななせか 心葉の触れた500円玉と10円玉とっていたり 1巻からずっと心葉をストーカーしてたし 遠子先輩に貸してたマフラーを 「井上の、マフラーが、欲しいの」 と言ったり ヤンデレの卵だな 393 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/05/17(土) 21 41 22 ID ycs8zyFU ヤンデレが出る作品って結構あるんだな 394 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/17(土) 21 42 45 ID tQnH7upY ヤンデレは、日本人の心のふるさとですから 395 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/17(土) 21 44 09 ID IaH8N36u ヤンデレって究極の愛の形だと思うんだ 396 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/17(土) 21 45 42 ID rXfWbTTk 末期患者の集うスレはここですか? 397 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/17(土) 21 56 04 ID cQ/EZr6h 未来日記(TVドラマ版)があったら絶対見るぞ俺。 由乃と雪輝が誰になるか楽しみだ。 後、みねね。椿さんは…どうでも良いや。 398 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/17(土) 22 17 38 ID eo9N2TBS 394 日本人がみんな大好きな夏目漱石曰く 「三角関係は社会の縮図だよ」 らしいからな。三角関係が好きだったらしい。 だから彼の作品は嫉妬でドロドロしたり恋敵が自殺したり…そんなのばっか。 つまり、俺たちの今いる場所は百年以上前に夏目漱石が通ってるのさw 399 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/17(土) 22 28 07 ID UhtTEKEF 未来日記の刷れがあるのにちっともあっちはうごいてないな 俺は文章書きじゃないから…言うだけなんだけど(´・ω・`) 400 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/17(土) 22 51 39 ID zc/nb+ni ダブルブリッド5巻の佐々木さんだよ ヤンデレってか狂っちゃっただけな気もしてきた
https://w.atwiki.jp/i_am_a_yandere/pages/108.html
634 :名無しさん@ピンキー [sage] :2007/08/08(水) 10 34 11 ID Q5nRBCch 埋めネタ。 ~おれらの本音~ 昨日、近所の吉野家行ったんです。吉野家。 そしたらなんか人がめちゃくちゃいっぱいで座れないんです。 で、よく見たらなんか垂れ幕下がってて、竜宮レナ、とか書いてあるんです。 もうね、アホかと。馬鹿かと。 お前らな、レナ如きで普段来てない吉野家に来てんじゃねーよ、ボケが。 レナだよ、レナ。 なんか親子連れとかもいるし。一家4人でひぐらしか。おめでてーな。 よーしパパお持ち帰りしちゃうぞー、とか言ってるの。もう見てらんない。 お前らな、鉈やるからその席空けろと。 ヤンデレ好きってのはな、もっと殺伐としてるべきなんだよ。 Uの字テーブルの向かいに座った奴といつ喧嘩が始まってもおかしくない、 刺すか刺されるか、そんな雰囲気がいいんじゃねーか。女子供は、すっこんでろ。 で、やっと座れたかと思ったら、隣の奴が、Windのみなも!、とか言ってるんです。 そこでまたぶち切れですよ。 あのな、みなもなんてきょうび流行んねーんだよ。ボケが。 得意げな顔して何が、みなも、だ。 お前は本当にヤンデレ好きなのかと問いたい。問い詰めたい。小1時間問い詰めたい。 お前、ヤンデレって言いたいだけちゃうんかと。 ヤンデレ通の俺から言わせてもらえば今、ヤンデレ通の間での最新流行はやっぱり、 未来日記の我妻由乃、これだね。 由乃ってのは雪輝への愛情が多めに入ってる。そん代わりストーカー。これ。 で、それに「ちょろいっ!」。これ最強。 しかしこれを頼むと次から店員にマークされるという危険も伴う、諸刃の剣。 素人にはお薦め出来ない。 まあお前らド素人は、らき☆すたでも見てなさいってこった。
https://w.atwiki.jp/i_am_a_yandere/pages/1161.html
1 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/14(月) 02 47 19 ID xOLeMoxE ここは、ヤンデレの小説を書いて投稿するためのスレッドです。 ○小説以外にも、ヤンデレ系のネタなら大歓迎。(プロット投下、ニュースネタなど) ○ぶつ切りでの作品投下もアリ。 ■ヤンデレとは? ・主人公が好きだが(デレ)、愛するあまりに心を病んでしまった(ヤン)状態、またその状態のヒロインの事をさします。 →(別名:黒化、黒姫化など) ・転じて、病ん(ヤン)だ愛情表現(デレ)、またそれを行うヒロイン全般も含みます。 ■関連サイト ヤンデレの小説を書こう!SS保管庫(本保管庫) http //yandere.web.fc2.com/ ヤンデレ臨時保管庫 @ ウィキ(臨時保管庫) http //www42.atwiki.jp/i_am_a_yandere/ ■前スレ ヤンデレの小説を書こう!Part16 http //yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1212553842/ ■お約束 ・sage進行でお願いします。 ・荒らしはスルーしましょう。 削除対象ですが、もし反応した場合削除人に「荒らしにかまっている」と判断され、 削除されない場合があります。必ずスルーでお願いします。 ・趣味嗜好に合わない作品は読み飛ばすようにしてください。 ・作者さんへの意見は実になるものを。罵倒、バッシングはお門違いです。議論にならないよう、控えめに。 ■投稿のお約束 ・名前欄にはなるべく作品タイトルを。 ・長編になる場合は見分けやすくするためトリップ使用推奨。 ・投稿の前後には、「投稿します」「投稿終わりです」の一言をお願いします。(投稿への割り込み防止のため) ・苦手な人がいるかな、と思うような表現がある場合は、投稿のはじめに宣言してください。お願いします。 ・作品はできるだけ完結させるようにしてください。 ・版権モノは専用スレでお願いします。 ・男のヤンデレは基本的にNGです。 2 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/07/14(月) 03 11 33 ID k5CxXlZi 1乙 病んでる彼女募集中! 3 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/14(月) 05 30 24 ID hGDo2iUH はえーよw 前スレまだ容量430KBだし、レスも70以上残ってるじゃねーか テンプレの保管庫も訂正してないし、もうちょっと落ち着けw 4 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/14(月) 05 41 54 ID xOLeMoxE 450くらいになったら新スレじゃないか しかも70なんて埋めネタきたらすぐだしな・・・ 5 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/14(月) 06 34 15 ID /4bEl4kw 4 ムチャ言うなよ、これはどう考えても早すぎだろ まあ、次ガンバレ 6 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/07/14(月) 08 33 08 ID EAZtaxK8 !(σ゚∀゚)σ 小倉優子 おっぱい丸出しでプールで遊んでる! http //photo.1pa2.info/upload-file-idd0713161.jpg http //photo.1pa2.info/upload-file-idd0713162.jpg http //photo.1pa2.info/upload-file-idd0713163.jpg 7 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/15(火) 13 31 43 ID pezSeAtB 最初に気付いたのは西園寺世界だった 愛する誠の命により、二階からの円を禁じられていた 世界は正門に移動し、人民の動向を監視していたが 上空を見上げる、嫌な予感がしていた。 その嫌な予感が確信に変わる 敵 上空から降りてくるモノが ただならぬ戦闘能力を讃えていることと 世界の直感が通常より 冴えていた事は無関係ではないだろう 鋸 鋸に目を奪われていたのは一瞬 真に見るべきものはその背にいた 世界の円に鋸が触れた瞬間 互いの力量を察知する と同時に世界は円を解いた 完全な臨戦体勢に入るために だが 鋸は分裂、 無数の光る鋸となって 宮殿全体に降り注いだ あのお姉ちゃんの強さの秘密? まぁ…いくつかあるが まず肌がおそろしく純白じゃ 奴の潜伏スキルの流れから次の展開を読むのは誰にも出来んな 伊達に長くストーカーしてない訳よ 精神的にはもうヤンデレ廃人の域じゃろ なにしろあのお姉ちゃん ワシが赤子の頃からお姉ちゃんじゃ 西園寺世界とケンカして生存しておる唯一の人間じゃし お姉ちゃんには違いない……ウム…ま持ちつ持たれつ銭と金 アホッ 対等なわけあるか! いつもこっちが泣かされとるわい!! ん?ああ 強さの秘密だったな あとは……そうさな 戦闘の方でいえば 〝言葉様信者召喚〟これが最も厄介じゃろ 8 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/15(火) 20 48 42 ID 2mLoccaZ わけがわからん 9 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/15(火) 20 54 35 ID DHge51Uc これハンターハンターの結構前のやつがジャンプでのったときにどこかのスレででたやつのコピペだろ 今頃なんでだしたんだか・・・ 10 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/16(水) 01 13 53 ID pmI/LGGF むしろ、ヤンデレSSスレで張られた奴だな 懐かしい 11 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/17(木) 22 27 58 ID uNXjBulq ヤンデレこそが史上のヤンデレブームを引き起こした 12 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/18(金) 08 09 37 ID DLA4AaCU ヤンデレはわしが育てた 13 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/18(金) 08 10 18 ID pEGg4euZ その分にわかも増えたけどな 14 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/18(金) 08 44 03 ID YV5gUPJX こんなジャンルでもテンプレ古参気取りとかいるのにワロタ 15 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/18(金) 10 21 12 ID FZyYDter こういう奴がレナはヤンデレといいだすんだよな 16 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/18(金) 10 52 16 ID oySKEL2p 13-15 これで一つのコピペになってます 17 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/18(金) 12 15 07 ID S2Rh39ka 言葉様こそが真のヤンデレ 18 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/18(金) 17 37 35 ID iEOt7Jhw test 19 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/18(金) 17 41 27 ID iEOt7Jhw ようやく……ようやく規制が解除された…… 実家のtokaiとこっちのaichi.ocn合わせてずっと規制されてて 煽りもフォローも感想も保管庫の閉鎖報告も全くできなくて精神的にすごい辛かった…… 20 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/18(金) 21 29 55 ID vZRrp/9T 19 前の保管庫の人か、長い間ご苦労様。ありがちな事情だし、問題なしです。 21 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/18(金) 23 11 25 ID HkIkWdQV 19 できれば、過去ログをうpしてくれたら助かるんだけど 新しいまとめの方には収録されていない作品もあるし 22 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/19(土) 10 41 40 ID BEw+dpu1 20-21 紛らわしい書き方してごめん 「保管庫の閉鎖報告」ってのは、閉鎖に早いうちに気がついたのに 「閉鎖してるZE! 」っていう書き込みができなかったって事なんだ 21 ttp //yandere.web.fc2.com/list3.html ttp //yandere.web.fc2.com/illust.html CSSと縮小画像が再アップロードされてないからちょっと見づらいけれど 一応読める程度には生きてるぜ 23 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/07/20(日) 21 54 11 ID zHYMwNz0 こんばんは。 投下します。入院編その二です。 24 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/20(日) 21 55 00 ID Jz7sde4q キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !! 25 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/07/20(日) 21 56 07 ID zHYMwNz0 *** 洗濯機の蓋を開けて、中を見る。 そこにあるのは、たった今洗い終わったばかりの、私とお兄ちゃんのそれぞれの下着と服。 他の人の衣類は入っていない。 私が、あえて選り分けてそういうふうにした。 使うお水と洗剤の量が増えちゃうけど、仕方がない。 私とお兄ちゃんは何もかも、全部一緒でなくちゃいけない。 洗濯ものなんかはもちろん、住む家も、部屋も。 ベッドは別。まだそういうことをするにはちょっと早い。 それ以外のものは、家族と一緒に住んでいる以上、どうしても共同になってしまう。 お母さんの手伝いを建前にして家事のほとんどを取り仕切っているけど、 バレずにできるのはせいぜいこうやって洗い物を一緒に洗うぐらいしかない。 脱水が終わって、まだ湿っぽいお兄ちゃんのトランクスをひとつ取り出す。 一瞬だけ躊躇。 でも結局は耐えきれず、トランクスを鼻に押しつけてしまった。 お兄ちゃんの匂いはしない。 私の腰をくだく汗の匂いと体臭は完全に消え去っていた。洗濯したばかりだから当たり前。 だけどそれじゃいけない。こんなものをお兄ちゃんが身につけてはいけない。 お兄ちゃんに近づく邪魔者達――――そう、私以外の女の群れ。 そいつらを遠ざけるためには、私の匂いをお兄ちゃんにつけるのが一番だ。 真っ白いシャツを手に取る。 水に浸され、洗剤で汚れを落とされ、脱水され、シワだらけになったお兄ちゃんのシャツ。 今家にいるのは私だけ。何をしても咎められない。 「お兄ちゃん…………」 だから私は我慢することなく、私の体よりずっと大きいお兄ちゃんのシャツを、ぎゅっと抱きしめる。 こうしていると、幸せがじわじわ胸の奥に染みこんでくるから好き。 現実でお兄ちゃんを抱きしめる機会なんてそうそうやってこない。 たまにアクシデントを装ったり、人混みの中で抱きつくぐらいがせいぜい。 感触を思い出して、妄想の中のお兄ちゃんの現実感を補完して、寂しさを紛らわせている。 寝ても覚めても、という言葉の通りに私はお兄ちゃんのことを考えている。 夜に寝ている時はもちろんだけど、たまに学校で授業中に眠くなり出したときもそうだ。 それをやっちゃうとたまに先生から注意されてしまう。だけどやめられない。 お兄ちゃんへの想いを止めるなんて、まず無理だ。 家族に説得されても、こればかりは譲れない。 特に、お兄ちゃんを狙う馬鹿姉には、絶対に。 26 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/07/20(日) 21 56 47 ID zHYMwNz0 *** 過保護、と聞くと俺はまず両親に甘やかされて育った子供を思い浮かべる。 そこからすると、俺は過保護な育て方をされてはいないと思う。 俺だけでなく、弟や妹もそうかもしれない。 というのも、両親がそういうタイプではないからだ。 二人ともが、子供の自主性に任せて育てる方だ。 何の口出しをしないわけでも、何かやろうとするたびにダメだと言ったりするわけでもない。 よほど無茶を言わない限りは、進路相談にも応じてくれるし、お金も出してくれる。 母が匂いを嗅いだだけで吐き気を催すほど苦手なシンナーを使用するプラモデル作りなどは猛烈な勢いで反対されるが、 それ以外に関してはある程度話が通じる。 許可をもらった後は、他人に迷惑をかけないようにと釘を刺されるだけで、その後は放置だ。 この両親の教育方針を、俺は放任主義レベルワンと名付けよう。 ここから、あまり使わないから立ち絵を準備する必要もないだろうという制作サイドの事情で ゲームに登場しない主人公の親みたいに、家を年中留守にしていればレベルツー。 うちの場合は割と頻繁に帰ってくるからそこには達していない。 自分の食い扶持は自分で稼げとだけ言って、わざわざ子供と別居するような親であれば、 それはさすがにどうだろうという感じだが、戸籍上で親子であれば一応親として認められる。よってレベルスリー。 思いつきで例を挙げてみたが、要はうちの両親の育て方は良い方だと言いたかったのだ。 父と母の関係が兄妹であるところはこの上なく異常だが、それ以外は親としてちゃんとしている。 だから別に、退院一日前になって見舞いにやってきても何もおかしくないと言える。 たまたま祖母と一緒に病室にやってきても、何が不思議があるだろうか。いや、無い。 しかし、さすがにこのタイミングでやってこなくてもいいだろう……と口にしたくなってしまう。 タイムリーすぎる。普段は開け放っている窓を掃除のために閉じたところに燕が突っ込んできたみたいな感じ。 せめてあと五秒でも来るのが遅れていれば良かったのだ。 病室を開けて最初に見えたものが、俺が病院のベッドの上で葉月さんに覆い被さっている姿だったりしたら、 両親だけでなく祖母まで誤解する。絶対に。 端的に説明すればそれだけで誤解されてしまう。 お前はシロでもグレーでもない、クロだ! なんて言われてもおかしくない。 違うのだ。否だ。 こうなったのには経緯があるのだ。 密室状態で葉月さんと二人きりになっているという状況に興奮して、俺から押し倒したわけじゃない。 むしろその逆なんだ。逆転してようやくこの体勢になったんだ。 なんなら俺の右腕に懸けてもいい。今は折れてる、正しくは動かないんだけど、二ヶ月後には直ってるから。 医者から、あくまでその怪我で無茶しなければだけど、とは言われているけど。 落ち着け。自分の置かれた状況を整理しろ。 控えめに見ても葉月さんを押し倒しているとしかとられない体勢になった経緯、俺ならば余すところ無く記憶しているはず。 あれは――――そう、つい四半刻ほど前のことだった。 27 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/07/20(日) 21 58 04 ID zHYMwNz0 その頃の俺は折り紙で鶴を折ることで退屈を紛らわせていた。 左腕一本では鶴を折ることなどできない。 仕方なく右腕の代わりとして買い置きの缶コーヒーを活用していた。 紙の端に重し代わりのコーヒーを置き、左手の指を駆使して作業する。 やってみて初めてわかったが、片手で折り紙工作するのはなかなか難しい。 指先をフルに使わなければ望んだとおりの折り目を付けられない。 しかし、今日の午前十一時に終わったリハビリの後から開始した折り鶴作りにも、 午後四時近くまで続けていれば慣れる。 傍から見ていればよく飽きずにやっていられるな、と口を出したくなるような光景だったろう。 買いかぶらないで欲しい。同じものばかり作っていたら飽きるに決まっている。 十羽ほど作った時点で、折り鶴とはすでに完成されたものだとわかってしまった。 言うなれば、紙を折って動物や乗り物を作る行為そのものがそれ以上手を加えられないものなのだ。 折り紙の楽しみとは、一枚の紙から何を創造するかを選ぶ段階にある。 何色で、どれぐらいの大きさの紙で、何を作るか。 鶴を折ると決めてかかった時点で、俺は自分で自分の楽しみを潰してしまっていた。 折り紙を子供の遊びと甘く見ていたのは、俺だった。 気付いた時にはもう遅く、ビニール入りのカラフルな色紙たちは全滅していた。 他に暇潰しできるものも浮かばず、仕方なく病院のどこかにでも売っていないだろうかと立ち上がり、 病室のドアに指をかけた途端、自動ドアよろしくドアが勝手に開いた。 病室にやってくる人間というと看護士か見舞いに来た知り合いのどちらかがほとんどだ。 そしてこのケースにおいては後者であった。 制服の上のコートを羽織った装いの葉月さんが、見舞いに来てくれた。 「あ、どこかに行くつもりだった?」 「違うよ。ちょっと買い…………じゃなくて、暇だったから散歩にでも行こうとしてたところ」 ドアから離れて、ベッドの方に引き返す。 シーツの上に腰掛けると、葉月さんはコート脱ぎ、手近にあったパイプ椅子に座った。 「昨日は結局来られなくって、ごめんね。家に親戚が来たから、どうしても外せなくって。 怪我の具合はどう? 良くなった? 悪くなったりしてない?」 「悪くはなっていないと思う。良くなっていると信じたいって感じかな。 一週間ぐらいは痛みがしたり腫れたりするって先生が言ってて、実際その通りだから、今はなんとも」 「そっか、そうだよね……じゃあ、肩が凝ったりしてない?」 「ん、肩?」 右肩を意識してみる。そういえばギプスしているからあまり肩を動かしてない。 肩の骨を動かすと、少しではあるけど筋肉が凝っているような…………気もする。 「肩、凝ってるよね?」 「まあ、ちょっとだけ。でもこれぐらいなら放っておいてもなんてことないし」 「肩が凝ってたらすぐにほぐさないといけないよね? なんせ病人だもん!」 正確には怪我人なんだけど、というツッコミも反射的に出てこない。 なんだ、葉月さんのこの必死な様は。 この強引さ、まるで俺の肩の凝りをほぐすまでは家に帰れないみたいじゃないか。 「知ってる? 机の上で仕事したりする人って、肩が凝りやすいんだって。 それは、ずっと同じ姿勢でいるからなの。 骨と筋肉の位置はそのままで長時間過ごしたり、筋肉に力を込めると凝りやすいの。 だからあなたみたいにプラモデルを趣味にする人は、時々肩の関節を動かしたりしないと、 今はまだ良くても、年月を重ねていく毎に肩こりが慢性化しちゃう」 「へえ……そうなんだ」 「解消法としては、腕を内旋もしくは外旋させながら腕全体を大きく回したりとか、 両手を組んで八の字を描いたりとか……そういうのがあるけど。 実は、一番即効性があって効き目抜群なやつがあるんだよ」 「ふむ。それは一体?」 「肩たたきアンドマッサージ! これしかない!」 28 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/07/20(日) 21 58 59 ID zHYMwNz0 ぐっ、と親指をサムズアップする葉月さん。おまけにウインクまでされた。 ラジオ体操のお姉さん、もしくはテレフォンショッピングの外国人の店員みたいな爽やかさ。 葉月さんのこの一連の動きから察するに――――俺の肩の凝りをとりたいとか? ここまで言われて他の答えだったりしたら、俺と葉月さんの間に意思疎通はまったく成されていない。 「どう、どう? 誰かにして欲しかったりしない?」 うむ、どうやら外れではないらしい。 肩が凝っていなくても肩を揉まれるのは気持ちいいもの。お願いしたいところだ。 ――が、しかし。 いくら俺が入院しているからといって、肩こりがひどいわけでもないのに女の子に肩を揉ませるというのは、 なんとなく――いや、ものすごく悪い気がする。抵抗感がある。 肘を固定しているとはいえ、それ以外はほとんど健康体なのであまり気を遣わないで欲しい。 せめてこちらからも何かお返しをしたいところだが……ジュースを奢るか折り鶴の大群を贈るぐらいしかできるものがない。 同じクラスのイケメン西田君みたいにトークで女子の心を虜、じゃなく、トリコロールにできればなあ。 …………上手くも面白くねえよ、俺。失笑を買うだけだ。 「葉月さん、せっかくだけど、俺の肩は本調子だからやってくれなくても――」 いいよ、と言おうとして、俺の口は止まった。 すごい見られてる。 どれぐらいすごいかって言うと、俺の目から一切目を逸らさずまばたきもしないぐらい。 ただ見ているならまだしも、トゲみたいなものでチクチク突かれているような気がして、なんとも落ち着かない。 「……肩を揉まれるの、嫌?」 「嫌ってわけじゃ……肩たたきされるの嫌いなやつっていないだろうし」 「じゃあ、どうしてさせてくれないの? させてくれても、いいじゃない…………」 葉月さんの目から力が抜け、弱々しくなる。 このまましばらく待っていたら涙を浮かべそう。 もうこうなったら、仕方ない。 「じゃあ、今更だけど。やってもらってもいいかな?」 「本当に! 本当の本当に!?」 「う、うん」 「やったやったやった! きゃっほーーーっ! じゃあさっそ、く………………」 失敗した、みたいな顔で葉月さんが動きを止める。 見事な一時停止であった。 どうしたというのだろう。病院の中で騒ぎすぎたことを後悔しているのか、なんなのか。 口に手を当て、咳を一発し、葉月さんが言う。 「えと……じゃあ、そこに座ったまま動かないでね。まず後ろからやるから」 29 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/07/20(日) 22 00 02 ID zHYMwNz0 葉月さんは靴を脱いで、ベッドの上に乗る。 肩に手を添えられ、優しく揉まれる。 指先が、肩の筋肉を弛緩させる。 気持ちいい。もう、あまりに良すぎてこのまま眠ってしまいそう。 イメージ的には、肩の筋肉から脳細胞の活動を抑制する物質が流れ込んでくるよう。 いいなこれ。眠る前にやってもらったら絶対に良い夢見られる。 「なんだかね、こうしてると、お母さんのこと思い出すんだ」 「ん……お母さん?」 「そう。私、お母さんによく肩たたきしてたから。 疲れた顔してる時とか、私の方から頼んでやらせてもらったぐらい。 だから、これにはちょっとだけ自信があるの」 そういえば葉月さん、お父さんよりお母さんが好きそうだな。 直接聞いたことはないけど、お父さんのことをあまりいい風に言わないから、勝手にそう思ってしまう。 それはともかく。 葉月さんの台詞には少しばかり無視しがたい部分がある。 男の肩を揉んで、お母さんのことを思い出すって、なんだか自分が男じゃないと言われたみたいだ。 気にしすぎだろうし、葉月さんも深い意味もなしに言ったんだろうけど。 「あとね……あなたを見てると、なんだかお母さんのことを思い出しちゃうんだ。どうしてか分からないけど」 ……これは、あなたは女っぽいねという葉月さんからのメッセージなんだろうか。 とりあえず俺は、父が居ないうちに部屋を探索して怪しいものがないか調べるところから始めるべき? それとも父が一番風呂に入った後で、空のペットボトルを持って入浴すべきか? 母の真似は男がやるにはハードルが高いからやりたくないなあ。 「あ、勘違いしないで。今のはあなたが女っぽいとか、そんなつもりで言ったんじゃないの。 私がお母さんと一緒の時に感じた幸せな感じが、あなたと過ごしていてもあるから言っただけ」 「そうなんだ。俺が葉月さんの癒しになっているなら嬉しいよ」 「癒しっていうより…………幸せを与えてくれるんだよ、あなたは。 あなたを想うと、毎日が楽しくなってくる。 今日も学校に行ってあなたに会いに行こう、とか。 綺麗にしたら、私のこと惚れ直してくれるかな、とか。 ひとつひとつの行動に意味を見いだせる。前はそんなことなかったのに。 全部、あなたのおかげだよ」 「そ、そう…………」 まずいことになってきた……主に心臓付近が。 葉月さんには一度告白されているものの、不意打ちのようなかたちで言われた今の台詞は、かつてなく俺の心を暴れさせる。 加えて、肩を揉んでくる葉月さんの手つき。 内側から外側から、俺の理性を突いてきやがる。 この心の昂ぶりが、もしも別方向に行ってしまったら。 …………俺は病院のベッドを治療以外の方面の用途に活かしてしまうかもしれない。 30 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/07/20(日) 22 01 10 ID zHYMwNz0 深呼吸。体の中にある流れを意識する。 まだ、心臓が危険の一歩手前ぐらいに高鳴っているだけで、そこから延焼などしていない。 よし、そのまま堰き止めろ。へそのあたりが湖だと想像しろ。 そうでなくては、俺はご先祖様に二度と顔向けできないことをしてしまう。 「……よっと、これでとりあえず後ろは終わり」 と言って、葉月さんが肩もみをやめてくれた。 少し惜しい気もするが、これ以上触れられていたら本当に危険だ。 病院の次に見知らぬ施設に入れられて、家に帰れなくなるかもしれない。 「ありがとう葉月さん。おかげでちょっと肩が軽くなったよ」 「そう? でもまだ終わりじゃないよ。全然やりたりないもの」 ……何が、いや何を? というか何か変だ。 今の発言、単に葉月さんの気がすまないみたいにもとれる。 じゃあ、俺は葉月さんが満足するまで肩を揉まれ、理性を保ち続けなければいけないのか? 冗談ではない、耐えられるわけがない! 今もなんか、さっきのもっとやってくれるんだ、みたいに心のどこかが喜んでいるし! 「葉月さん、ごめん。俺はそろそろ眠くなってきたから、これ以上は……」 「そうなの? でも安心して。今度のは、寝ながらやるから。 途中で眠っちゃってもオッケーだよ」 葉月さんは俺の足をベッドの上に乗せると、体をベッドの真ん中まで移動させた。 なんだ……一体何が始まるんだ……? 「ねえ、肘って動かしたら痛い?」 「え……あ、うん。肘自体を曲げなければ、平気だけど」 「腕を浮かせても?」 「まあ、それぐらいなら」 「じゃあ大丈夫だね。ちょっと、失礼するね……」 右腕の下から葉月さんの手が入り込み、脇の下を通過して背中に到達。 左からも同様に腕を差し込まれる。 眼前には、微笑む葉月さんの顔がある。 「ふふー…………えいっ」 抱、き、つ、か、れ、た、……! ぎゅっと、ぴたっと、がっちりと! 上半身が葉月さんにホールドされている。 左耳から、葉月さんの穏やかな息づかいが聞こえてくる。 しかし、最大のインパクトは、胸から。 ……ふにっとふにふにしている! いや、わけわからん。 だがそもそも、今俺の胸に接触し、内側にあるハートまで貫くこれを言い表すものなどないのだ。 胸が、制服の向こうにある葉月さんの胸が今、俺の体に当たって形を変えている。 今まで特に意識することはなかったけど、葉月さんの胸は、決して小さくない。 むしろこれは、制服越しでも弾力が伝わってくるということは…………それなりのサイズがある、と? やめろ、やめるんだ、俺! 何センチぐらいあるんだろうとか、カップはいくつだろうとか考えるんじゃない! 女性の価値は胸か? 違う、それは……バストとアンダーの差だ! ――――違う! じゃなくて、大事なのは思いやりの心だ! 葉月さんが背中に回した腕に力を込め、より強く抱きついてくる。 やめてやめて、それ以上動かないで! は、反応してしまう…………下半身が! 31 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/07/20(日) 22 02 29 ID zHYMwNz0 抱きつかれたまま、押し倒された。 背中にはまだ葉月さんの腕がある。なにやら、肩の筋肉をぐにぐにと動かしている。 なるほど、これもマッサージの一環か。 マッサージ…………やばい、こんな単語に卑猥なイメージを浮かべるぐらい心が乱れてる! 肩に当てる指の位置を動かすたびに葉月さんの体が動く。 腕がベッドと俺の背中に阻害されているせいで、動くたびに吐息の音が漏れる。耳へダイレクトに届く。 葉月さんの小さな動きが、俺の心をいじくり回す。かき乱す。 くそう、どうしてこの病院は入院患者に薄い生地の服を着させるんだ。 これじゃ、アレが大人しく寝ていないことが、バレてしまう。 「ねえ、聞いて……」 葉月さんの声が、とてつもなく色っぽく聞こえる。 「さっき、お母さんとあなたが似ているって言ったのはね……共通しているところがあるから。 二人とも、私の好きな人なの。もちろんお母さんに対しては恋愛感情抜きだったけど。 でも…………あなたは別。前に告白したとき以上に、思う。 私はあなたに恋してる。……………………好き」 ――――叫びたい! 喜びの雄叫びでも、嫌悪による悲鳴でもなく! 堪えきれない! なんという猛攻! 俺の理性はボロボロだ! くそう、レフェリーは居ないのか。ロープはどこだ? こ、これ以上は……これ以上は! ナースコールを…………駄目だ、右側にあるから手が届かない! 「気付いたんだ。あなたは返事することに迷ってるだけなんだって。 あれから何ヶ月も過ぎているから今更言うのも……なんて思って。私はずっと待ち続けてるのにね。 それならもう、いっそのこと、こっちから、強引に…………」 左耳に吐息が当たる。口から情けない声が漏れた。 エロ過ぎる。この色気、これまでの葉月さんとは全くの別人だ。 「痛いのはやめて、リードしてね。私は、そういうのしたこと一度もないから。 あなたもしたことないかもしれないけ…………ど……………………」 …………ん? あれ、葉月さんの動きが止まった? 呼吸まで止まった? さっきまで密着していた胸の感触までなくなっている。 葉月さんは俺の体から数十センチ離れていた。 ならチャンスだ。今のうちに股間を鎮めてしまおう。 股間へと至る血液の流れを食い止めようと格闘している、まさにその時だった。 物理的に、俺の首の血流が阻害された。 俺が自分で自分の首を絞めたわけではない。 葉月さんが、俺の首に手をかけていた。 「…………ねえ、私の質問に、正直に答えてるって、誓って」 ノーとは言えない空気である。 自分の置かれた状況に戸惑う素振りすら見せられない。 今の俺は葉月さんに支配されている。 ゆっくりと頷きを返すと、葉月さんは言った。 「あなた、私の前に誰か他の女からこんなことされた経験、ある?」 首を絞められた経験? 妹からテンプルにいい蹴りを貰ったり、後輩の手によって光の届かない地下に監禁されたり、 幼なじみからずたずたと色々なものを喰らわされたが、首絞めをされたことはない。 言いたくないけど、正直に答えないと首の辺りをきゅっとされそうだ。 「えっと……さすがにこんな状況に置かれたことは……」 「本当に?」 「う…………でも、似たようなことは何度か、ある」 「な! …………っく、やっぱり、そうなんだ…………」 やっぱりて。そんなに俺はトラブルに巻き込まれるタイプに見えるのか。 そりゃちょっとばかしおかしい両親のもとに生まれたけど、育ち方はいたって普通のはずなのに。 女の子にのし掛かられて首を絞められる経験なんて、格闘技経験者か男女の修羅場経験者ぐらいのもんだぞ。 32 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/07/20(日) 22 03 31 ID zHYMwNz0 「相手は誰? 経験人数は?」 「ええっと…………花火に、去年の文化祭で一発……あ、この間も結構きついのを」 「あの女……弟君が好きだって言ってたくせに!」 「去年のクリスマスには妹からも。あれは、倒れるぐらいきつかった」 「い、妹さんまで?! じゃあもしかして……き、木之内澄子からも……」 「うん、実はそうなんだ」 これまでに攻撃を加えてきた女性の経験人数を述べる俺。 女性と取っ替え引っ替えしているんだな。やるかやられるかの違いはあるけど。 「葵紋花火、木之内澄子、そして…………妹さんまで。 どうして……どうして、私はその中に含まれていないの! 答えて! 説明して!」 「ぐ……ぅえ……」 葉月さんの指が喉を締め付ける。 左手で抵抗するも、止められるのは葉月さんの右腕だけ。しかも止め切れていない。 じわじわと追い詰められていくのを実感する。 「どうして、何も言ってくれないの…………不安なんだよ、好きとも嫌いとも言ってくれないのって。 何も言わないって、何とも思ってくれてないみたいじゃない。 言わないとわからないよ。どうしたらいいのか、どこを居場所にすればいいか、何にも…………」 葉月さんがうつむき、漆黒の髪が肩の上に落ちてきた。 首を絞める力がゼロになった。 その隙を逃さず、葉月さんの下から脱出する。 「…………待って」 しかし、ベッドから出る寸前になって襟を掴まれ、葉月さんに引き寄せられた。 今度は葉月さんの上。数秒前とは正反対のポジション。 「聞かせて。私のこと、あなたはどう思っているの?」 短いけど、それだけで俺と葉月さんの関係を明らかにさせるようという、重要な問いかけだった。 俺がこれまで伝えられなかった答え。 葉月さんがずっと聞きたかった俺の答え。 告白の返事を気に懸けていたのは、俺だけではなかった。 葉月さんも――――いや葉月さんは、俺以上に気にしていたのだ。 それなのにずっと俺は何も言わなくて、不安にさせ続けていた。 もう、いいだろう。 これ以上葉月さんを悲しい気持ちにさせるなんて、俺にはできない。 今更言っても遅いけど、だけど、言わなくちゃいけない。 「葉月さん――――君のこと、俺は友達として好きだ。 好きだけど、それは友達以上の、恋人としてのものじゃない。 それが俺の気持ちだ」 そして、手紙で屋上に呼び出されたあの日の返事を言う。 「ごめん。やっぱり俺……君とは付き合えない」 二回目だ。 葉月さんを振るのはこれで二回目になる。 以前は過去のことを気にして、勝手に葉月さんの気持ちを決めつけて、断った。 今回は、真剣に自分がどうしたいのか考えて結論を出し、断った。 葉月さんには悪いことをしてしまった。 自分の優柔不断で何ヶ月も待たせて、葉月さんをここまで追い詰めてしまったことを申し訳なく思う。 だけどこれでいい。 もう葉月さんは俺を嫌って、話しかけてくることもないだろう。 葉月さんはクラスの中心で、俺はクラスの片隅で、お互いに交わることなく過ごしていく。 それが正しい姿なんだ。 これまで葉月さんと仲良くしていた日々が、まさか病室で終わりを告げるとは。 全く思いも寄らなかった。 ――――そして、続けざまに思いも寄らない出来事が起こった。 ノックの音が聞こえ、続けて祖母の声が聞こえた。 どうして祖母がここに、なんて考えていて、俺は葉月さんを組み敷いていることを忘れていた。 おそらくは、祖母と一緒にやって来ていた両親にとっても思いも寄らない光景だっただろう。 ちょっと待ってて、と言えばいいのだと判断した瞬間に病室のドアが開き、もはや取り繕う暇さえなくなった。 33 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/07/20(日) 22 04 38 ID zHYMwNz0 …………と、このような経緯を経て、見知らぬ美少女を押し倒す十七歳の子供を目撃する祖母と両親、という絵が完成したわけだ。 誰も口を開かない。 祖母はすまなそうな目で俺を見てから明後日の方向を向いた。 父は口を半開きにしていた。あーあ、とでも言いたかったのかもしれない。 母はというと、無表情で俺を見ているだけだった。いわゆるノーリアクション。 俺が上手い説明を考えているうちに、母が父の手を引き病室の前から姿を消した。 「ええと、ごめんなさいね、お兄ちゃん。その…………あまり騒がないようにね」 と言い残し、祖母が退場。 後に残されたのは病院の壁と廊下、と……………………なんでか知らないが俺の妹。 着ているのは制服ではなく私服だから、祖母たちと一緒にやって来たのだろう。 しかし、わけがわからん。どうしてお前がここにいるんだ。 俺の見舞いにお前が来るなんて、お兄さん想像もしていなかったぞ。 「…………何をやってるの、お兄さん?」 「一言で説明するのは実に難しいのだが、なんか、こう…………」 混乱した頭で出した返事は、これだった。 「自分の気持ちに正直になったんだ」 何も言わず、妹が勢いよくドアを閉めた。 またしても葉月さんと二人きりになってしまった。 俺が体を離すと、葉月さんはベッドから降りた。 背中を向けながらコートを纏う姿に、喪失感を覚えた。 もうこれからは、今までみたいに話すこともできなくなってしまうのだ。 傷つけてしまったのだから。 覚悟していたつもりだったのに、喉が締め付けられる。 これでいいのだと自分に言い聞かせなければ、耐えられそうになかった。 葉月さんは出口へ向かう。ドアを引き、そこで立ち止まった。 肩越しに振り向いたその顔は見えない。 泣いているのだろうかと心配した。 でも、慰めるべきではない。 謝ったところで、葉月さんを癒すことなどできないのだ。 「葉月さん。また……学校で」 「うん、さよなら。……私が馬鹿だったみたい、今までごめんね……」 葉月さんが廊下に出た。 ドアが少しずつ動き、彼女の姿を隠していく。 そして、スローモーションになることもなく、事務的にドアが閉じた。。 34 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/20(日) 22 06 20 ID zHYMwNz0 今回はここで終了です。それではまた。 35 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/20(日) 22 15 12 ID 49by9Pd1 GJええええええええ!? 兄貴てめeeeeeeeee 36 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/20(日) 22 17 18 ID 00SAH5fd GJ! 兄が気持ち良いぐらい地雷踏みすぎw 37 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/20(日) 22 24 48 ID fuRsTL1I ああああああああああああああああああ!気になるうううううううううううううううううううう! 38 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/07/20(日) 22 27 50 ID Ucl0Fqjg ヤンデレ家族の展開の焦らしプレーになんかイラつく。 ・・ヤンデレスレだからこれで正しいのか。 39 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/20(日) 22 27 51 ID oaWaYpcm うわああああああああああああああああああああああああ!!!!! これで兄貴を守ってくれる人と想ってくれる人が0にいいいいいいい!!!!!! 40 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/20(日) 22 28 55 ID RD4UsOfR GJ!! ちょw 会話の的が面白いくらいにww にやけがとまらんw すばらしすぎです! 41 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/20(日) 22 42 31 ID cfX5qh6M あああ兄貴崖っぷちぃぃぁぁあ!? 会話の趣旨を確認することは大事だよそこ怠っちゃダメだよ兄貴ぃ。 …マッサージ気持ち良さそうだなぁ。 42 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/20(日) 22 45 11 ID 2DOENR2q GJ! 兄貴はわざとやってんのか?、と思ってしまう 43 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/20(日) 23 02 02 ID wkjNL0Vn 25の一連の伏線がスッゲエ気になる。 誰だよ姉って!この文章は誰の独白だよ!? お兄ちゃんって弟と腕ポッキリ兄貴どっちのこと!?それとも誰か別のお兄ちゃん!? 謎が解決されるどころかどんどん山積みになっていくんですけど!? ちょっといい加減解決編に入れよ!? 44 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/07/20(日) 23 06 47 ID RDVSsurR これから葉月さんがどう変わっちゃうか楽しみ 45 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/20(日) 23 12 53 ID VsUhvsyZ 兄貴って被害者に回ることが多いから勘違いしがちだけど最低だよね 花火にもむかついたし何かしら罰はあって欲しいけど、兄貴にもちゃんと罰を与えて欲しいわ 46 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/20(日) 23 20 14 ID oaWaYpcm 兄貴への罰は葉月さんによる逆レイプね(*´Д`) 47 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/20(日) 23 45 32 ID pmc+0Do0 45 これ以上兄貴に罰与えるってお前どんだけ鬼畜なんだよ 48 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/21(月) 00 11 45 ID GEQM9+lY そろそろ兄が死にそうな気がしてならない 49 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/21(月) 00 15 19 ID yuJuLVr9 でもなんか、タダでは終わらない気がするんだよなぁ… 愛を超越し憎しみになって兄貴を襲ったりとか… 50 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/21(月) 00 48 30 ID cbsvNlfT むかついたからなにかしらの罰 オーコレハナイスゴーマニズムデスネー 51 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/07/21(月) 01 20 12 ID sGJ45j5D いい加減完結編に入って欲しいっす 葉月さんの今後と兄貴の生死が気になるうううううううぅ 52 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/21(月) 01 22 14 ID aI8/GZeO 片腕で折り鶴って攻殻機動隊のクゼ思い出した。 今の葉月さんはヤンデレ度を仮面ライダーで表すとblackぐらいだから早くバイオライダーならないかなと期待してる。 53 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/21(月) 01 45 15 ID yuIeky3B GJ これで葉月さんが弟に鞍替えするなんて展開が来そうで気分が落ちそうなる 54 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/21(月) 01 47 59 ID 6sumNsDD 伏線貼りすぎというか誤解させすぎじゃ・・・ちょっと冷めちゃったな 55 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/21(月) 01 55 22 ID bfei7DeI もちろんGJなんだけど、ちょっと置いてきぼりにされつつあるオレ。 以前の話も含めて何度か読み直したほうがいいかな。 とにかく、葉月さんはこれから順調に病んでいってくれるんだねっと勝手に期待してる。 56 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/07/21(月) 02 38 15 ID 1p04acgb 43 普通に考えれば主人公の父母の話だろ。おそらく姉は今は亡き、といったところか というか、そういう推理は作者がやりにくくなるからできるだけ言うなよ 黙って考えろ、そして全裸で待機するだけだ 57 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/21(月) 03 10 52 ID dG7fIRwK 作者も忘れてしまって伏線回収できませんでした ってのは無しの方向で こんだけ伏線を放置するってことは完結させようと思えば すぐにでも完結できるような中身ってことなんじゃ…… まあ邪推ですよね 58 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/21(月) 03 13 26 ID 2eqOkamT はいはい邪推とおもってるなら自重しような 59 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/21(月) 03 24 06 ID fKtINTPc 俺の考えだよ みたいなコメントしてる奴 作者に対する遠回しな嫌がらせだといい加減に理解したら? うざいんだが 34 GJ! 毎回投下早い上にこの量 本当に感服です これからも頑張って下さい 60 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/21(月) 03 24 57 ID Ypk+3bW1 _ _ _ ,.r ´ ; ヽ、 ,ri 、r-‐ー― ー-、 ヽ、 r; r ´ ヽ ヽ (,;_ 、 l i i、 r ´ i _, _,. _ i il! ヾ ,r - ;! r,.,=,、 rrrテ; lr )) ! ;、 . ;! `´ . . i ,i `-r,.ィ i. _ ; . . !´ .l i. .__`´__, i l r-i. 、_,. . / ! ; ! .、 . r,! l ト __` 二..- ,r -、 l; i l  ̄,.rt / ` -、 ,r ´ ヽr ヽr i ;! ´ r ´ rミl ;! ` く 」 i `ー スルーシ・ロー [Please disregard] (1672~1733 フランス、中国) 61 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/21(月) 03 40 11 ID Y0a96+1n そういうAAが1番うざい 62 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/21(月) 08 12 58 ID 2eqOkamT 新参が多くなったせいかいちいち展開を口だしするやつがおおくてこまるな・・・ ヤンデレがメジャーになったせいか 63 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/21(月) 08 56 08 ID Ypk+3bW1 有名になると困るよねー(・∀・) 64 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/21(月) 09 48 57 ID M6rMjIjt 現役でお茶会投下されてた頃は一部粘着以外は紳士だけだったからな。 65 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/21(月) 10 47 09 ID HxiLA7zH 落ち着きたまえ この程度で声を荒げる様ではヤンデレ紳士失格ですよ 66 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/21(月) 11 40 42 ID Y0a96+1n マナー違反を注意せずに何が紳士か 67 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/21(月) 12 19 45 ID HjDuru7x 敢えて言おう… 『変態』であると! 私達が愛していたヤンデレはメジャーになった 何故だ! 68 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/21(月) 13 22 49 ID tg8/F2JU やっぱ例の大全か 69 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/21(月) 13 40 54 ID H3M7UhdR 何で兄貴はここまでいろいろひどい目にあってるのに成長しないんだろ? 自分が言葉足らずで誤解されてるとか気づくと思うんだけどな 70 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/21(月) 14 40 03 ID RBVkWul/ 69 あなたが落としたのは、この鈍感、勘違い、死亡フラグ立てまくりの主人公ですか? それとも、文武両道、話題豊富、ひたすら女の子に一途で後腐れを残さない主人公ですか? あなたは、どちらを望みますか? 71 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/21(月) 14 57 43 ID 2eqOkamT いいえ誰にでも甘い顔をし、気配り上手でもてまくりな女の子の思いも気づいてるけどスルーしまくりなせいで 幼なじみや妹がヤンデレになりそうな主人公です 72 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/21(月) 15 06 18 ID 9+2r3zlc 70 文武両道ではないな、兄貴に勉強見てもらってるぐらいだし 73 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/21(月) 17 53 34 ID 1p04acgb 69 俺達がヤンデレっ娘に監禁されるようなことになっても、興奮するばかりで何も学ばないのと同じ理屈さ 74 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/21(月) 18 08 41 ID 2nHFpaM/ いい人だけど鈍感な兄貴は可愛いです 75 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/07/21(月) 18 15 28 ID 1anAetPR ヤンデレ家族は先週お休みだった分、連休スペシャルとして連続投下される夢を見た。 76 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/21(月) 18 41 18 ID M6rMjIjt s a g e進行だちくしょう。 ああ、今年も夏厨の季節か #8226; #8226; #8226; 77 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/07/21(月) 19 49 33 ID 1anAetPR 自治厨ウザい。楽しくみんなで語ろう。 78 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/21(月) 19 58 55 ID 1pVJKHdR 夏、真っ盛り 79 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/21(月) 20 47 33 ID rwyJUwA5 うわー・・・・ これはひどいなー・・・・ 80 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/21(月) 21 22 17 ID 8tGko+Oe 69 勘違いと誤解はラブコメの定番です。 81 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/21(月) 21 35 46 ID WhK6sDwn 暑いと思ったら夏だったのか(´・ω・`) 年中全裸だと季節感がなくなる 82 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/21(月) 22 07 36 ID 2eqOkamT sageてすらいないやつが自治厨とか やっぱ新参はひどいよな 83 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/07/21(月) 22 10 36 ID 1anAetPR 小煩い連中は放っておいて自由に盛り上がろう!! 84 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/21(月) 22 13 01 ID XuBYsyta もしかして83は1anAetPRか?透明で見れん。 85 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/21(月) 22 37 41 ID acmXDBNM まともに会話が成り立ってないな さすが夏厨 新参はお帰りください 86 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/21(月) 22 40 34 ID giPEpQ76 今、新規が投稿しても普通に荒れそうだよな 87 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/21(月) 22 41 18 ID v4qFQ+cs テンプレすら読めない馬鹿は氏ねとまでは言わないけどくたばればいいと思うよ 88 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/21(月) 23 05 09 ID /3BXi9fq 86 厨房がいなくなる9月まで我慢だな 下手に投稿して叩かれるだけだし 89 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/21(月) 23 39 00 ID CdwqGkva ここも修羅場スレと同じ道を辿るのか( ・ω・`) 90 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/21(月) 23 53 16 ID WhK6sDwn また、夏風邪を引く季節がやってきたお(´・ω・`) 89お互い頑張るお 91 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/21(月) 23 56 47 ID sGJ45j5D みんなで全裸になろう! 92 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/22(火) 00 24 40 ID tY+qCTcp 修羅場スレはこんなもんじゃなかったぞ。 今ぐらいの流れでダメになるようならそれまでのスレだったということだ。 93 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/22(火) 00 41 05 ID WjxExatn 書き込む前に冷静になって頭冷やすんだぜ 94 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/22(火) 00 59 37 ID V2+RCR7+ ヘタレプログラマーは,今日も仕事で疲れきって,遅くなって家に帰ってきた。すると,彼の5歳になる娘がドアのところで待っていたのである。彼は驚いて言った。 「まだ起きていたのか。もう遅いから早く寝なさい」 「パパ。寝る前に聞きたいことがあるんだけど」 「なんだ?」 「パパは,1時間にいくらお金をかせぐの?」 「お前には関係ないことだ」 ヘタレプログラマーである父親はイライラして言った。 「なんだって,そんなこと聞くんだ?」 「どうしても知りたいだけなの。1時間にいくらなの?」 女の子は嘆願した。 「あまり給料は良くないさ・・・20ドルくらいだな。ただし残業代はタダだ」 「わあ」 女の子は言った。 「ねえ。パパ。私に10ドル貸してくれない?」 「なんだって!」 疲れていた父親は激昂した。 「お前が何不自由なく暮らせるためにオレは働いているんだ。それが金が欲しいだなんて。だめだ!早く部屋に行って寝なさい!」 女の子は,黙って自分の部屋に行った。 しばらくして,父親は後悔し始めた。少し厳しく叱りすぎたかもしれない...。たぶん、娘はどうしても買わなくちゃならないものがあったのだろう。 それに、今まで娘はそんなに何かをねだるってことはしない方だった・・・。 男は娘の部屋に行くとそっとドアを開けた。 「もう,寝ちゃったかい?」 彼は小さな声で言った。 「ううん。パパ」 女の子の声がした。少し泣いているようだ。 「今日は長いこと働いていたし,ちょっとイライラしてたんだ・・・ほら。お前の10ドルだよ」 女の子はベットから起きあがって,顔を輝かせた。 「ありがとう。パパ!」 そして,小さな手を枕の下に入れると,数枚の硬貨を取り出した。 父親はちょっとびっくりして言った。 「おいおい。もういくらか持ってるじゃないか」 「だって足りなかったんだもん。でももう足りたよ」 女の子は答えた。そして,10ドル札と硬貨を父親に差しのべて... 「パパ。私,20ドル持ってるの。これでパパの1時間を買えるよね?」 俺、この泣けるコピペってやつを見ると何故かヤンデレをイメージするんだよな。 将来的にはこうなりそうだ。 95 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/22(火) 01 00 42 ID V2+RCR7+ 「昔はお前にもこんな可愛い時があったもんだな・・・・・」 「いやだわパパったら、今でも貴方の可愛い愛娘でしょうが。コーヒーでも飲む?」 「ふふふ。それじゃあ一杯おいしいのを貰おうか愛娘さん」 男は幸せに満ちていた。 妻を早く亡くし、男手一つで娘を育てることになった時はどうしようかと悩んだものだが、 聞き分けの良い娘はそれ程男の手を煩わせることもなくスクスクと育ち、立派な大人へと成長していった。 「しかも頭が良くて、スタイル抜群ときたもんだ」 「何か言ったパパ~?」 「いや、なんでもない」 その娘がどこの馬の骨ともしらない男に嫁いで行き、娘の着たウェディングドレスを見て涙する日が来るのだろうか。 そう考えるとなんとも言えない心地がして、ふぅ、と溜息がこぼれた。 「はい、パパ」 「おぉ、ありがとう。うぅん、いい香りだし味も最高だ。流石愛m」 「・・・・・あのねパパ」 「ぅん?」 いつもよりトーンの低い声に男は若干緊張した。 「この前買い物していた時、一緒にいた女の人、・・・・・・誰?」 「なんだ、お前もそこにいたのか。声をかけないなんて人が悪いじゃな・・・・」 「誰って聞いてるの。パパ」 男は今、自分の目の前にいるのが本当に自分の娘なのかと一瞬疑ってしまった。 長年、それこそ人一倍愛情をかけてきた娘を疑ってしまう程、今の俯いた状態の娘から聞こえる声は無機質で腹の底から恐怖を感じるものだったからだ。 「サ、サラさんだ。近所に住んでる人でね、たまにお店で会うんだよ」 「いつから?」 「四ヶ月位前じゃないかな?」 「ふ~ん、・・・・・そうなんだ」 「どうしたんだ、さっきから様子がおかしいぞお前」 「まだ、質問は終わってないよパパ」 「え?」 「パパはそのサラさんって人好き?」 「何でお前に言わなければ・・・・ッ」 「いいから答えてッ!!」 大きな声が家中に響きわたる。 男はその代わりといっては何だがこくりと頷いてみせた。 「ふうん、そうなんだ」 俯いて目元はこちらからは見えないが娘のニタリと歪んだ口元は彼にも確認できた。 「だからなんだって言うんだ。これはお前の関わる話ではないだろう」 「ねぇパパ。さっき言ってたけど、昔私がパパと一緒にいたくて20ドルでパパの一時間買ったことがあったでしょ?」 「あ、ああ。そうだったな」 「私ね、あの日からずっと考えてたんだ。もっとパパと一緒にいられるためにはあといくら必要なのかなってね。 だってたった一時間じゃ足りるわけないじゃない。私はずっとずっと寂しかったんだもの。もっともっとパパと一緒にいたかったんだもの。 だからね、パパの給料とか他にも色んなことぜ~んぶ合わせて計算してみたの。 そしたら・・・・・・・」 娘は顔を上げつつゆっくりとした動作で一枚の紙を見せた。 「この金額がパパの一生分のお金だってことがわかったんだ」 「っ!?」 男が驚いたのは娘が出した金額だけではない。娘の顔が形作る表情を見て男は息を飲んだ。 「以外と少ないって思った?そんなことないよ、そこんじょそこらの家族よりは稼いでるよ」 「・・・・・・・」 「それでね、私、実はこの金額ならすでに持ってるんだぁ」 「・・・・・・・・・」 「ふふふ、どうしてって聞かないいんだ。それともクはははは、さっきえへへ、コーヒーに入れた薬がアハハ効いてきたのかなぁぁあああ?」 娘、いや娘の皮を被った一人の女は壊れた笑みを浮かべて言った。 「さぁパパ。貴方の稼げる一生分のお金なら既に準備できたわ。だから買えるわよね? パ パ の 一 生 を 」 96 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/22(火) 01 02 57 ID V2+RCR7+ あぁ、いい感じに腐ってるなぁ俺の頭・・・・。 97 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/22(火) 01 15 43 ID jwKmRiGm ああ、だが腐敗ではなく醗酵だ。卑下することはない。GJ! 98 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/07/22(火) 01 24 37 ID I4JSD2iF グッジョブ! いい話で終わっておけばいいところをそこからひっくり返すとは 頭の具合を心配してしまうぜ 99 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/22(火) 01 30 51 ID YWyoU1QO 肉や果物も腐る寸前が旨いらしいぞ!! GJ!! 100 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/22(火) 02 21 48 ID lElMc/VP 人間の創造力ってすげぇ 101 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/22(火) 04 01 43 ID 3OpBx/nU ( ;∀;)イイハナシダナー 102 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/22(火) 11 05 36 ID wl3KEM3i GJ 103 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/22(火) 12 10 57 ID h5r7kU+0 こういう風に短いながらも想像をかき立て、魅せることのできるssっていいよな 104 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/22(火) 16 15 18 ID JNDdm42F 96 良い熟し具合だ。 105 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/22(火) 16 53 32 ID 8ertv3J0 96 ウン、ウマイ! 106 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/07/22(火) 17 29 59 ID lIk2KGAB さあ盛り上がってきました!! 107 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/22(火) 18 19 55 ID EY83tirl 96 これは面白い この調子で新規が頑張ってくれればいいんだがな 暑い時期に沸く奴に関してはもう俺は何も言わないが 108 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/22(火) 18 50 02 ID RPBPvF1O 96のような男になりたい 109 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/22(火) 18 56 28 ID E8bRzliF 96 映画化決定! 110 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/22(火) 21 33 03 ID yiHV5EgD むしろ子供の時の話のパパの一時間を買うという単語に 一時間でパパとの子供をこさえてやる、と脳内変換された俺って…… 111 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/23(水) 00 29 35 ID VVSZnajJ 96 泣いた。 正直すばらしすぎる。 GJっす! 112 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/23(水) 02 20 21 ID F6QzPAtj あ~テステス 113 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/23(水) 03 22 16 ID PhuK/Ldd 112 テストしたんだから書けよ。 いや、書いて下さい 114 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/23(水) 04 16 44 ID F6QzPAtj 朝、女の子が死んでいた。 人だかりを蟹スタイルで割って進み見た女の子はマンションから落ちたらしく見事にトマトだった。向いの寮から出て数分、僕はそれを眺め続けていた。 入学当初から良くしてくれてた女の子だった。一か月もたってないけど。愛着もあんまり湧いてないけど。 「南無南無……」 両手を胸の前で合し力を込めて豊胸……では無く黙祷を捧げる。 しばらくそうしたら時間を見てそそくさと学校へ、いちおうほかに野次馬となっていた同学の子達にも「学校に遅れるよ」と忠告して置いた。 「■■~。○○ちゃん自殺したらしいぜい~」 学校について席に着席するとすぐに一人の女の子が歩み寄ってきた。というか、走り……いや、瞬間移動? 「知ってるよ。見てて気分悪くなった」 「おおそうかぁ、怖かったな」 可哀想なモノを見る目で頭を撫でてくる。ついでなんか抱きしめて来た。薄い胸に圧迫されて息が出来なくなる。 少しずつ強くなる圧力を危険視して痛かったら右手を上げる歯医者さんに反攻して左手を上げて事態の冷却を図る。 「おおぅ、すまんすまん。柴犬の様な可愛さに、ついいつもの調子で」 「いつもの調子で人を窒息死させるとは大した奴だ。まぁ慣れてるからいいけど」 ひとつ注意。窒息死に慣れてるんじゃなくて、この行為に慣れてるってこと。え? 分かってるって? 「女の子に抱きつかれるなんて思春期まっしぐらな■■には夢のような行為だろう? しかもこんな美少女に」 「可愛いのは認めるけど、自分で言うのは自信過剰って言うんだよ? ▼▼」 周りの男子からの羨望の視線を心の臓で受け止めて、こうゆう女運だけはいいなぁとか、通学途中に踏んだ僅かにフルーティーな匂いのガムを地面で無理やり剥がしながら思う。 「でも■■に関わる女の子皆死んでるけどな、死神さん。踏んだガムは梅ガムと見た」 115 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/23(水) 04 17 22 ID F6QzPAtj 「あら、口に出ちゃってた? こんな公衆の面前でそんなあだ名言っちゃう▼▼も殺しちゃいたい」 「はははっ、私は死なないぞ」 腰に手を当てて高らかに笑う▼▼。 うん。まぁ、たしかに死なないわな、妹も姉も母も死んだけど(皆投身自殺)小学生の頃からの腐れ縁のこいつだけは何故か死なない。女の子キラー(文字通り)の僕の汚点だぜ。 ついでに言うと僕と関わって死んだor行方不明になった人は両手と両足と両目と両耳の数を×2だ。つまり16人。皆女の子。 「……うん。周りの視線が痛い」 チクチクと突き刺さる。なんというか、クマとかトラを見るような目で見られてる感じ。 とりあえず僕は悪くない。多分。流し目で▼▼に助けてくれ舟を出す。当然ながら、そんな穴の開いてそうな船はたたき潰された。 「皆さん! 緊急の朝会が始まるよ!」 教室の行きがけに発見された担任に言われたことを思い出して、即座に言葉を下に乗せて押し出した。 同時に校内放送が流れる。内容は僕のセリフの反復。朝会のテーマはご理解いただけたようで、みんな無言でグラウンドに言ってくれた。 「校長先生の話は長かったので編集します」 「便利な機能ですな」 そして授業も終了。窓の外は若干オレンジになってきてる。 ちなみに僕が死神どうたらこうたらは▼▼の戯言として二時間目ぐらいには明後日の方面へ飛んで行ってた。 高校生活を満喫するべく僕は部活へ赴く。言うまでも無く帰宅部だ。 「ある~ひ~」 「もりのな~か~」 とか森のクマさんを歌いながら▼▼と帰宅する。迷子にならない様に手をつなぎながら。 「あ、そうだ」 歩みを止める。▼▼を何事かと首をかしげて寄ってくる。というか寄りすぎ、抱きつくな。 ▼▼を引き剥がしてカバンを漁る。 「はい、これ」 「ラブレターか」 「言っとくけど僕からじゃない」 「チッ」 116 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/23(水) 04 18 33 ID F6QzPAtj 舌打ち……? なぜか妙に女の子にモテる僕。そんな八方美人に振舞ってる気はないんだけどなぁ、天然の魅力とかフェロモンとかカリスマとかあるんだろうか。……どれも僕に似合わない。 再度抱きついてきた▼▼をおぶりながら、駅へと向かう。背の上では手紙を真剣なまなざしをしながら読む▼▼。 「いつも通り断っといて、僕が断ってじゃあお友達から! になんてことになって死んだら困るし」 「男からだぞぃ」 「そ、それは別の意味で困るなぁ」 「嘘だ。女だ」 「それはそれでやっぱり困るから困る」 「贅沢な奴だ。世の男性が敵になったな今」 「なんということだい。でもまぁ、僕は死んだほうがいいと思うよ」 後頭部に頭突きをされた。反動で▼▼が背から落ちる。 「いてて……」 「お前が死んだら私も死ぬぞ」 「え、なんでよ?」 振りかえると、お尻を擦りながらこっちの目を真剣に見てくる▼▼がいた。 「愛してるから」 117 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/23(水) 04 19 39 ID F6QzPAtj それだけ言って▼▼は俯いて黙り込んでしまった。多分自分で言って死にそうになってるんだろう。過去に何回か言われてるけど、正直、毎回対応に困る。 50分経過。 このままでもしょうがないのでとりあえず手を握って再度駅へ進撃する。 「じゃーにー」 手をグッパと広げて別れの挨拶をしてホームへ降りる。が、ひっぱり戻される。襟を掴むな、「ぐぇ」とか変な声が出たぞ。 「今日は家に泊って行くといいぞ■■」 「ほほぉ、でもお泊りセットとマクラがないからまた今度な」 とか言ってる間に電車のドアが閉まった。せっかちな奴だぜ。 「初めてでもないでわないかい。ベッドはダブルだから私の心地いい腕枕で熟睡するがいい」 「腕枕は男の仕事だよ▼▼、僕はしないけど」 会話してる間も窓の外の景色は流れて行く。なし崩し的な感じで、今日はお泊り会である。 ▼▼の家はけっこうデカイ、庭とかあるし、家というよりお屋敷だ使用人は居ない、なので使わないとこは汚い。あと、この屋敷は▼▼の『部屋』としてされてるから驚きだ。実家はどんくらいでかいわかったものじゃない。 いつかの時にそれを話題に出すと 「近いうちに■■も私の両親に挨拶に行くからその時見ればいい」 とか言われた。わけわからん。いや、まったくもってわからん。 なぜかファーストフードの夕食を済ませて、バカデカイ風呂に使って▼▼の部屋へ向かう。 扉を開けると▼▼が布団を広げて待っていた。壁には見事なナイフセットが飾ってある。一本欲しいな。 「――なぁ」 「ん」 「毎回思うんだけど、冷蔵庫に入ってる人誰?」 「秘密」 * 113これでいいかい? 118 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/23(水) 05 07 22 ID NWYmPMXp なんだかハンバーグが食べたくなってきたぜ・・・ 119 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/23(水) 05 32 04 ID MLpAG5Y4 ああそうだな ハンバーグが食べたいな しかし肉じゃがも捨てがたい 120 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/23(水) 07 36 57 ID rVXBW8Y7 つばめグリルにでも行くか… 121 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/23(水) 18 28 42 ID LzYY9wtK なに…これ…… 122 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/23(水) 19 03 54 ID 5DNkqXPt 「もう卒業して4年になるのか。」ふと、深夜のファミレスで友人達と安いドリンクバーを飲みながら、他愛も無い話をしていた時、友人の一人が言った言葉に忘れていたはずの高校時代の事を思い出していた。 俺は大学3年。一浪をしてるから本当は4年の筈なのだけれど、もう就職は決定し後は卒業を迎えるだけ。高校時代から続けていたラグビーは大学に入ると同時に引退して、大学生活を満喫したんだ。 色々な地域からやってくる同級生達に色々な遊びを教えてもらった。髪も染めた。車の免許も取った。女の味を知った。 最近は合コンやコンパ、飲み会にアルバイト。遊んでばっかりの様な気がする。 俺は、見ての通り体格が、かなり大きい。ラグビーばかりしていたから、無駄にデカいんだ。 大学に入ってからは、俺みたいな体格の奴が珍しいのかやたらと女の子に声をかけられたけど、やれ最後まで体を持っていっても俺は達しはしなかった。 友人達からは「緊張しすぎだ」とからかわれた。 興奮はする、けどなぜだか、最後まで達しない。何かでガードされてるみたいで女を抱いても感覚がないというか・・・不思議な感じ。 高校時代からラグ日ーに打ち込んでた反動で、入学から今日までとにかく色々な事をした。 123 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/23(水) 19 05 55 ID 5DNkqXPt うわ、すいません!書く場所を間違えてしまいました(汗) 失礼致しました~! 124 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/23(水) 20 04 24 ID VrI+3V+U 117 GJ 主人公は気づいて黙ってるのか超が付く鈍感さんなのか っていうか名前を考えるのって面倒だよね。そこに凄く共感できたよ 125 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/23(水) 20 14 59 ID ymBTZKXM 123 俺の知り合いにヤンデレが居るんだ。 もしそいつに殺されたくなければお前はここで一つヤンデレが出てくるSSを書くんだな。 フフフフフ(・∀・) 126 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/23(水) 20 31 34 ID 5DNkqXPt 125 ひぃいい。・゚・(ノД`)・゚・。 実は上の作品は、かなりの長文でまだ完成していないのですが、ヤンデレが出る予定の作品なのです。 場所を間違えたのは本当なのですが、また続き完成したらお詫びにコッソリと投稿しておきます~ 127 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/23(水) 21 09 53 ID rVXBW8Y7 みんな!ラグ日ーしようぜ!ラグ日ー!じゃなきゃSS書くんだ! 128 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/23(水) 21 29 00 ID NWYmPMXp 妙に新規がおおいきがするな・・ 129 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/23(水) 21 39 57 ID Ea85ZGeK 夏休みだから。 130 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/23(水) 22 10 51 ID wXcNfxGA いいじゃまいか。sage等最低限のマナーさえ守っていれば。 sage無い人はROMってて欲しいけど 131 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/07/24(木) 07 23 10 ID T+6ofJvR 投下と感想以外の雑談をだらだら書き込む迷惑行為こそヤメロよ。 132 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/24(木) 08 17 51 ID fj4lU+k7 131みたいな奴を最近よく見かけるな 133 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/24(木) 08 24 04 ID HYPoqk9K 132 131はチンパンジーのあいちゃんによる訓練用の書き込みです。 ご迷惑をおかけして申し訳ございませんでした。 134 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/24(木) 09 30 04 ID ZUxRJJv6 何で雑談が駄目なのか、ちゃんとした理由を書き込んでくれないか? 135 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/24(木) 09 34 46 ID 27jmyhLu あいちゃんもっと力抜けよw 136 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/24(木) 10 11 17 ID KaAZkMop おいおい釣られるなよ 煽り目的としか考えられないじゃないか 137 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/24(木) 10 14 44 ID +OJRGMw9 あいちゃん喧嘩腰かよw 138 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/24(木) 10 31 54 ID DBgqi+p3 あいちゃんが飼育員さんを取られそうになって嫉妬しているようです 139 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/24(木) 10 39 11 ID HYPoqk9K 138 アザラシの話ならそう言うの聞いたことあるwww 女の飼育員さんと楽しそうに話をしたりなんかしたらすげー体当たりしてた。 140 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/24(木) 11 44 34 ID u3hzCGoz 擬人化・・・ ヤンデレ・・・ 141 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/24(木) 13 19 44 ID zaYoX0ik だがチンパンジーだから毛深い・・・ 142 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/24(木) 13 24 41 ID nAwhXzFS 俺から5レス後にカキコした奴はヤンデレにストーカーされる 143 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/24(木) 14 27 28 ID KaAZkMop 夏って暑いよな 暑いから夏なのか 144 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/24(木) 15 29 46 ID aamMqx9H チンパンジーで現首相をイメージしたのは俺だけじゃないはず ヤンデレな女独裁者がいる国ねーのかよ…… 145 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/24(木) 15 56 51 ID P62tgHV6 政治ネタは本気で荒れるからやめようぜ 146 名前:野獣とアングレカム ◆OxLd.ko4ak [sage] 投稿日:2008/07/24(木) 17 48 59 ID rzDVq6FD プロローグ 「もう卒業して4年になるのか。」 ふと、深夜のファミレスで大学の友人達と安いドリンクバーを飲みながら、他愛も無い話をしていた時、友人の一人が言った言葉に忘れていたはずの高校時代の事を思い出していた。 俺は大学3年。一浪をしてるから本当は4年の筈なのだけれど、もう就職は決定し後は卒業を迎えるだけ。 高校時代から続けていたラグビーは大学に入ると同時に引退して、大学生活を満喫していた。 色々な地域からやってくる同級生達に色々な遊びを教えてもらった。 最近は合コンやコンパ、飲み会にアルバイト。海とか山とか、とにかく遊んでばっかりの様な気がする。 147 名前:野獣とアングレカム ◆OxLd.ko4ak [sage] 投稿日:2008/07/24(木) 17 51 23 ID rzDVq6FD ん。あれ・・?そういえば、なんで高校時代にひたすらラグビーに明け暮れていたんだろう。 別にそこまで真剣に頑張ってはいなかったと思うんだけどな。特に3年の夏はあまり覚えていない、 いや、なんというか何かとても凄い事が起きた筈なのだけれど、それが何か思い出せない。時々思い出そうとすると頭が凄く痛くなる。風邪なのかそれとも病気なのか。 でも俺は、風邪なんか滅多にひかないし、健康そのものだ。 頭痛になるのが、嫌で直ぐに思い出すのを止める内に忘れてしまったのか。変なクセだよな。 そうこう頭の中で考えていると、高校時代の話をしていた友人達の話が聞こえてきた。 148 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/24(木) 17 51 47 ID wE+AhrQf 支援 149 名前:野獣とアングレカム ◆OxLd.ko4ak [sage] 投稿日:2008/07/24(木) 17 53 56 ID rzDVq6FD 「ハハハ!そいつがバカでさ~授業は真面目に出るのにテストでいつもビリなんだよ~」 「懐かしいな~!お~!そういえばさ、高校の時に不思議な娘がいたよな~」 「おおお!いたなぁ!えっと名前は~・・・」 「ば、バカ!!」 「お・・・おい!お前その話は!」 「あ・・ごめ!は、話変えようぜ・・・」 高校時代からの馴染みの友人が何かの話をしていた。・・・あの娘?誰だろう。 女子は多い高校だったけど、そんな話題になる娘が誰かは特定出来なかった。 何で、友人の何人かはその話を止めさせたんだろう。 俺の顔を伺っている様にも見えた、いや伺っている、何で焦っているんだろう。 その時だった、友人の放った一言で場の空気は一変する。 「月咲美代子!月咲美代子だろ?お前らの桜花学園の話題の子。俺の高校でも噂で持ちきりだったんだぜ~」 大声で話をしていた、友人の声を聞いていたのかドリンクバーの飲み物を汲みに行っていた別の高校出身の友人の一人が席に戻りながら言い放ち笑いながら席に座った。、 その声に俺以外の桜花学園高校時代の友人達の顔に緊張が走る。 150 名前:野獣とアングレカム ◆OxLd.ko4ak [sage] 投稿日:2008/07/24(木) 17 58 01 ID rzDVq6FD 「あ・・・ああ!そういえばさ!!桜花時代の先生なんだけどさ~!!!めちゃくちゃ面白い人がいたんだけどよー!!!」 「な、なんだよ、いきなり。それより月咲ってどうだったの?彼女、中退しちゃったんだろ?なあ~詳しく聞かせろよ!あ、昂四郎!お前月咲と仲良かったじゃん!いつも電車で一緒に帰ってたの見かけたんだぜ!おい教えろよ~!」 「お、おい!やめろって!」 月・・・咲・・美代子・・・?俺と仲が良かった・・・?いや、そんな女子知らない、一緒に帰った事なんて・・・・あれ、なんだろう。その名前を聞いた途端汗が滲みだす。 ・・・頭が痛い。暑い、店内はエアコンが寒い程効いてるのに、なんで・・・震えてるんだ、俺。・・え、なんだこれ・・・!! 気付けば、俺の大きな体は掃除をしたばかりの、ファミレスの床へと握っていたドリンクバーのコップと共に震えながら崩れ落ちていた。 周りに居た友人達が慌てて駆け寄りながら俺の名前を呼ぶ。・・・恥ずかしいな、いい齢して・・・救急車でも呼ばれるのかよ・・。 そこで俺の記憶が途絶え、次に目を覚ますと一人暮らしの自分の部屋にベットだった。周りには友人達が床にいびきをかきながら寝ている。そうか、俺はあのまま。 駄目だ、風邪を引いたみたいにダルイ。起きれない。・・ああ、そうか・・・月咲美代子。少しだけ思い出した。あの娘か。 151 名前:野獣とアングレカム ◆OxLd.ko4ak [sage] 投稿日:2008/07/24(木) 18 07 31 ID rzDVq6FD 第1話 瞬 夏 俺は、ラグビー部に通う高校生。 ・・・暑い。もう受験の時期だけど、俺はそんなの気にしない。 まぁなんとかなるだろう、そんな軽い気持のまま迎えた夏だったと思う。 それにスポーツ推薦を使えば進学には困らないだろうし。高校から始めたラグビーは自然と自分に合っていて、苦にはならなかった。 きっと大学でもラグビーでやっていけるだろう。けど、俺は今ラグビーやってないよな。・・・まぁ、人の気持ちは変わるもんだしな。 高校はなかなか楽しかった、友人もいたし。 まぁ彼女はこの通りの大きな体格だから女子と友達になる事はあっても恋人。とまでは、いかない。 俺の高校時代のニックネームは「野獣」だし。 別に暴れるわけではないんだけれど、クラスの男子が命名して自然と広まった。 告白された事?まぁ、何回かは。けれど、俺の何処がいいんだろうな。・・・え?付き合ったのかって?ああ、もちろ・・・あれ、思い出せない。いやいや、嘘だろ?何でこういう大事な事を思い出せないんだよ。 152 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/24(木) 18 11 33 ID joSx3Xv4 書きながら投稿? 153 名前:野獣とアングレカム ◆OxLd.ko4ak [sage] 投稿日:2008/07/24(木) 18 13 47 ID rzDVq6FD それから、月咲美代子の事だっけ。ぼやけているけど俺の知ってるかぎりの事を話す。 月咲美代子。俺と同級生の女子生徒。170センチぐらいの身長に細身の体に大きな胸。 極めつけの大きな特徴は髪を金髪にしていてセミロング。校則的に問題は無いけど、金髪という感じだからやはり目立つ。 え?容姿を詳しく言え?ああ、一言で言うなら、フランス人形をそのままにした感じ。え?解りにくい?う~ん・・俺に容姿を聞くなよ、本当にそういう感じなんだ。 独特の雰囲気というか、控えめな子。 成績優秀で学年順位はいつも5番以内に入る。スポーツも堪能、リレーでは女子陸上部エースの野田を3秒の差で圧勝した。そんな万能な人間だ。 でも唯一の欠点というか、なんというかそんな感じの子なのに人とあまり関ろうとしない。 女子からも話かけようとするが、無視をしたりすぐに逃げる。まるで「貴女達には興味なんかない」と言わないばかりに、それは男子生徒にも同じで、告白をしてくる男子には、かなり冷たく興味が無さそうに断りを入れる。ラブレターを目の前で破られた奴もいたらしい。 そんな俺と月咲との接点はまるで無く、同じ高校にいながらも話す事は一度も無かった。 ―――あの時を除いて。 154 名前:野獣とアングレカム ◆OxLd.ko4ak [sage] 投稿日:2008/07/24(木) 18 15 45 ID rzDVq6FD 152 あ、一応1話は完成しているのですけれど、長文規制にひっかかっていて編集しながら投稿してます。 慣れてなくてしかも遅くて申し訳ないです。 155 名前:野獣とアングレカム ◆OxLd.ko4ak [sage] 投稿日:2008/07/24(木) 18 19 44 ID rzDVq6FD ――――2年の夏、教室に向かう階段を登っている時、背後に足音が聞こえて何気なく後ろを見ると月咲が後ろから階段を登っている事に気付いた。 あれが、月咲美代子。成程、なかなか可愛いな。 男共が騒ぐのなんとなく理解出来る、白い肌に明るい程の金髪、スタイルの良い体つきに大きな胸。 ・・・何言ってんだ俺は、そんな男が部屋で考えそうな事を思いながら階段を登りきる、すると再び月咲の顔を見る。 何か顔色が悪いな。 暑さで熱にやられたのか、軽く汗を滲ませ、息を少し粗く吐いている。階段をもう登りきる所なのに、どうしたんだろう? 俺が階段の頂上で気になり、見下ろしていると月咲が俺の方を気分が悪そうに見上げると少し驚いた様子で俺に向けて口を開いた。 156 名前:野獣とアングレカム ◆OxLd.ko4ak [sage] 投稿日:2008/07/24(木) 18 21 59 ID rzDVq6FD 「・・・さん・・・?」 何かを呟いたが聞こえない、さん?何だ、何を言ったんだ?俺に向かって言ったんだよな。聞き返そうとした。 すると月咲が急に止まったかと思うと、フラフラと頭を触りながら膝がガクッ!と下がりそのまま後ろに倒れかかる。 ――お、おいッ!? 後ろは階段、転べば確実に大怪我だ。俺は無我夢中で叫びながら、部活のバックを落としそのまま、月咲へ自分の方へ抱き寄せると勢いのまま階段を一緒に転げ落ちた。 階段から凄い音が響き渡る。階段の下落で俺は月咲を抱きしめながら蹲る。 無事だ・・月咲は、俺の上に乗る形で抱きしめられていた。俺は背中を少し強打したけれど、痛いと言えば痛いがラグビーのタックルに比べればまだ大丈夫だ。 こういう時に大きな体だったという事に感謝をした。 157 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/24(木) 18 29 39 ID rzDVq6FD 「いてぇ・・・あぶねぇ~・・・柔道の受身を習ってて正解だったな。痛ッ・・」 「あ・・あの・・」 「あ、わ、悪ぃ・・!!」 「すいま・・せん・・・」 月咲は、何が起きたのかを理解していたのか、御礼を告げるとそのまま俺の上で動かなくなった。 気絶している、俺は慌てて月咲を担ぎ、痛い背中に耐えながら保健室へと向かった。 「軽い日射病ね。今日は暑いから。君は~・・・軽い打撲ね。冷やしとけば治るわよ。階段から落ちたのに、それだけ動ければ大丈夫よ。もし、何か痛みだしたら念の為病院に行きなさい。彼女は、暫く休ませるといいわ。」 「どうもッス・・・。」 俺はやれやれと思いながら眠っている月咲を見た。頭に冷えピタを乗せたその姿は、本当にフランス人形みたいで、その、なんというか・・・うん可愛いんだ。 「こらこら、寝てるんだから邪魔しない!今日部活でしょう?行った行った!」 「す、すいません・・・」 俺は先生が届けてくれたバックを肩に乗せ、部活へ向けて大きな体を走らせた。 ―――・・・・助けなかった方が良かったに決まってる、後にファミレスで倒れた俺を運んだ友人はそう俺に言った。 第1話 完 つづく 158 名前:野獣とアングレカム ◆OxLd.ko4ak [sage] 投稿日:2008/07/24(木) 18 30 51 ID rzDVq6FD 名前入れ忘れ失礼しました。以上、第1話終了です。なかなか慣れなくてすいません。また投稿します。 連レス失礼致しました。 159 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/24(木) 18 40 25 ID Azj897Bf GJ 続き待ってるから頑張って書いてね 160 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/24(木) 18 44 49 ID Wn4NnR8P wktkして待ってる 161 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/24(木) 18 58 50 ID HYPoqk9K matteruyo- 162 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/24(木) 19 27 35 ID K8ij7rcv 158 これはいい依存の兆し 続きを楽しみに待ってます 163 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/24(木) 19 42 44 ID RoLVtNq7 全裸で正座して続き待ってる!! 164 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/24(木) 19 53 32 ID nAwhXzFS 全裸で仰向けになりながらまってる 165 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/24(木) 19 56 31 ID HYPoqk9K 1時間待ったけどまだー? 166 名前:野獣とアングレカム ◆OxLd.ko4ak [sage] 投稿日:2008/07/24(木) 21 36 16 ID rzDVq6FD 第2話 再 会 【大学時代/昂四郎のマンション】 「ん・・・んん?昂四郎、もう平気か?」 「お、おう・・・ちょっとだりぃけど。・・・俺、あのまま倒れた時の事までしか覚えてないんだけど、悪かったな、運んでくれたのか?」 「ったく・・「お、おう」じゃねーよ。 お前担いで帰るのどれだけ大変だったか知ってるのかぁ?時春とキヨちゃんで4人ががりで運んだんだぜ?救急車呼べ!って叫ばれるわ、店員は騒ぐわでもう大変だったぜ。 キヨちゃんが医学部だったから、直ぐ応急手当してもらってさ。 逃げる様に皆で出て行ったんだぜ?・・・・あ~あ、暫くあのファミレスに行けねーよ。 ま、途中まで車だったけどな。けど、お前ちょっと太ったんじゃねぇの~?疲れて家に帰る気なくしちまったよ。 今日は泊めさせて貰うぜ~?後で、他の連中にも侘びいれとけよ~?」 「ああ・・・ごめんな、ビールでも飲めよ、エイジ。冷蔵庫にあるから。」 「お、サンキュー♪お、黒ビールじゃん~!昂四郎、お前俺の趣味分かってるな!」 軽く早口で話すこいつは、桜花学園出身の友人の1人、名前はエイジだ。 中学からの腐れ縁で、バスケット部に所属していた。 同じく一浪して、同じ大学の工学部にいる。 農学部の俺とは違うけれど、大学になってからもいつもつるんでいる仲間だ。 なかなか面倒見が良い男でいつも行動している周りからは信頼を置かれている。 167 名前:野獣とアングレカム ◆OxLd.ko4ak [sage] 投稿日:2008/07/24(木) 21 39 58 ID rzDVq6FD エイジがビールを持って部屋の灯りをつける、暗闇に慣れていたせいて酷く眩しく感じ再び目を閉じる。 テレビをつけて、観客がわざとらしく笑う声が流れて静かだった部屋が少し騒がしくなった。 「ああ~!うめぇ!!最高だぜ、けどよ!もうそんな事忘れてさ、もうすぐ夏だし、みんなで北海道とか行こうぜ!どんどん遊びにいこ――――」 「エイジ・・俺、少し思い出したよ。・・・なんとなくだけど、月咲の事。」 エイジの相変わらずの口調を遮る様に俺の発した言葉に固まったかの様に見えた。 暫く、深夜放送の芸人の笑い声とエアコンの冷房の音だけが部屋に流れていた。 エイジはビールを飲んだ缶を持ったまま急に眉を潜め、険しい顔つきになりながら俺を見る。 けれど怒っている感じではない。 なんというか、俺を心配する様な・・・なんとも言えない表情だった。 そのまま何度が再びビールを飲み始め、飲み込むとゆっくりと顔を上げて俺に言った。 「そっか、そうだよな。思い出したのか・・・そうだな、もう4年になるんだ、忘れろって方が無理だよ。」 「俺と月咲に何があったのか知ってるのか、教えてくれよ!俺・・・・このままじゃ何かすげぇ気持ち悪いんだ。」 俺はこのもどがしい気持ちとなんとも言えないザラッとした感覚から抜け出したかった。 そして何故、月咲の事を忘れていたのか、ラグビーを大学で続けなかったのか、それには、大きな理由があるんじゃないのか。 恐らくそれを知っている高校時代のエイジ達に頼るしかないと感じた。 俺の言葉に暫く黙っていたエイジが口を開く。 168 名前:野獣とアングレカム ◆OxLd.ko4ak [sage] 投稿日:2008/07/24(木) 21 47 36 ID rzDVq6FD 「後悔しねーか?知らない方が良いって事もあるんだぜ?」 『・・・ああ、知らない方が逆に後悔しちまいそうなんだ。エイジ・・頼む。』 俺の言葉にエイジは「はぁ・・」と軽くため息をつくと立ち上がり床で眠るキヨちゃん達をまたがって、俺のお気に入りのソファーに深くもたれかかりながら俺を見た。 「たくっ・・・世話のかかる奴だ。デカイのは気持ちだけじゃなくて体だけにしとけっての。 いいか昂四郎、何を聞いても受け止めろよ。直ぐには無理でもお前なら大丈夫だと思ってるけどな、後全てを知ったら二度とこの事に関して関るな、お前の為だぜ。・・・じゃあ話すぜ?いいか、昂四郎お前、高校3年の時に月咲にな―――」 ―――エイジがゆっくりと最後まで言うとエイジの終盤の言葉に俺は、驚きを隠せず固まる、それと同時に体中に鳥肌が上ったのを感じた。 部屋の時計の針は12時を過ぎていた。 【高校時代2学年/桜花学園にて】 月咲を階段から助けてからかれこれ4日になろうとしている。 エイジ達からは、「へぇ~良い事したじゃん。もしかして御礼貰えるかもしれないぜ!昂四郎君やるぅ~」と言われたけれど、そんな気配は全く無い。 というか、月咲は特別進学クラスで校舎は別に別れている。会う確立すら低い。 どこかのインターネットのサイトでは、電車で女の人を救って凄い事になっているらしい。 もしかしたら月咲が御礼を言いに俺のところに高いティーカップを持ってくるのかもしれない・・・そんな空想をしつつボーッとしながらラグビーをしていたら、案の定顧問に怒られて、学園の周りを3週ランニングしてこい!と言い渡された。 その一部始終を見ていた陸上部とテニス部、更にサッカー部の連中にも笑われる始末だ。 ・・ったくバカだ、空想なんて家でするもんだ、やれやれ、もう月咲の事は忘れてラグビーに集中しよう。 169 名前:野獣とアングレカム ◆OxLd.ko4ak [sage] 投稿日:2008/07/24(木) 21 54 11 ID rzDVq6FD ―――そう汗だくて走りながらの時だった、誰かが俺を見ている気配を感じた。 どこの部活の奴だ?いや、制服に・・金髪・・・月咲? 大きな木の日陰に隠れた人気のある校庭のベンチに座り月咲が走る俺を見ていた。 まるで棚に置かれたフランス人形の様に、澄んだ瞳で俺に視線を向ける。大きな熊の様な俺が走るのがおかしいのか、こんな暑いのに何をしているんだと笑っているのかは知る余地は無いが、とにかく月咲は、ひたすら間違いなく俺を見続けていた。 階段の件が頭を過ぎり、不思議に思い気になりながらも3週走りきり、ラグビー部のメンバーにボーッとしていた事を茶化されながら練習に戻った。 ―――部活が終わり、シャワーを浴びた後エイジ達と別れて家に急ぐ。 今日は、俺の好きなロックバンドがテレビで新曲を発表するんだ。部活の疲れなんかどこかにぶっ飛び軽い足取りで家に急ぐ。 携帯を手に電車を待つ、後10分後ぐらいか、早く帰りたいんだ急いでくれよ。 ―――ふと、誰かに見られている気配がする。 またか、エイジ達やラグビー部の奴かな?後ろを振り返る、・・・・・月咲だ・・・今日学校で見たけどよく見るよな、今度は遠くからじゃなく、俺に用がある様な感じだった。 何か言えよ。近い、近いって。 真後ろに居た月咲は俺を見ていた。俺は少しキョトンとしながら月咲に視線を向け見下ろす。 170 名前:野獣とアングレカム ◆OxLd.ko4ak [sage] 投稿日:2008/07/24(木) 21 56 18 ID rzDVq6FD 「・・・片桐昂四郎君・・ですよね・・?」 『あ・・そう・・だけど・・・?』 「あの、階段の時、助けてくれてありがとうございました。」 『あ・・ああ!いやいや!とんでもない!無事で良かったよ、ってか・・俺の名前どうして?』 「もう平気です。あ・・保健室の先生に聞きました。同級生って聞いたから御礼言いたくて・・」 『そ、そうだったんだ。ってか俺の名前・・・どうして』 「探したの!・・・あ、ごめんなさい。勝手な真似をしてしまって・・」 『い・・いやいや。とにかくさ、怪我とかなくて良かったよ。体調はどう?』 「・・・もう大丈夫ですよ。本当にありがとうございました。」 『おお~・・良かったなぁ~』 正直嬉しかった。 話す機会なんか無いとばかり思っていたし、御礼を言いにわざわざ来てくれるなんてあの時の階段から落ちた痛みは、報われたってものだ。 それから同じ方面の電車だった為電車に揺られながら、話をする。 「私、あの時睡眠不足で・・遅刻しそうになって朝ごはんを食べれなかったんです。」 『あ~そりゃあ体調悪くなるよな~朝飯は食わないと駄目だぜ!俺なんて朝どんぶり2杯ぐらいは食べるんだぜ?』 「そ・・そんなには無理です・・・昂四郎君すごいんですね」 『凄い・・ってかまぁ只の食いすぎなだけなんだけどさ』 「うふふ」 171 名前:野獣とアングレカム ◆OxLd.ko4ak [sage] 投稿日:2008/07/24(木) 22 00 08 ID rzDVq6FD ・・・・おいおい、誰だよ。月咲を冷酷みたいに言ったのは。本当に良い子だった。俺は笑う月咲との会話でそんな噂は絶対に嘘だと確信し始めていた。 きっと振られた奴が月咲に逆恨みしてやったんだ、そう思い疑う事はなかった。 「昂四郎君、良かったら・・・その・・・携帯の番号を交換してくれませんか?」 『ん?携帯の?お、俺なんかで良いのか?』 「・・・昂四郎君のがいいんです」 『お、お、おう!勿論いいぜ!』 俺は慌てて携帯を取り出し赤外線機能を使って月咲の携帯に自分の番号とアドレスを送る。 そして、月咲は俺にアドレスと番号を送る。 月咲 美代子 をアドレスに登録しました。 090-XXXX-XXXX Angrcom.k.rfk@XXXXX 嘘の様だった、俺の携帯アドレスに月咲のアドレスが・・俺は自然と笑みがこぼれて仕方がなかった。 同じく携帯の受信を完了する携帯の電子音が鳴ると淡い笑みを浮かべる月咲を見て胸が鼓動する音を聞きながら携帯を仕舞う。 「それじゃあ、私はここなので。本当にありがとうございました、昂四郎君」 『こっちこそ、ありがとう。またメールするよ!じゃあ学校で』 「はい・・学校で。お休みなさい」 172 名前:野獣とアングレカム ◆OxLd.ko4ak [sage] 投稿日:2008/07/24(木) 22 03 26 ID rzDVq6FD 軽く手を振った月咲は電車を降りると電車が見えなくなるまで、手を振り続けていた。 何か嬉しくてたまらない俺は、携帯のアドレスに記載されている月咲美代子という名前を何をするわけでもなく見始めていた。 すると電車が、月咲を降ろした駅から3分もたっていないのに俺のメールのバイブが響く。 ・・・月咲だ。早いな、もうメールをくれたのか。俺は少し興奮を覚えながら、なんら違和感を持つ事なく未開封のメールを開く。 From:月咲美代子 件名:今日はありがとう。 昂四郎君、今日はありがとう。 携帯アドレスを交換出来て本当に嬉しいです。本当ですよ。ラグビー頑張ってましたね。 今日は暑かったけど、応援しようと思って見ていました。水分を欠かさないでね。あ、私もですね。 また明日学校で待ってます。あ、それと、お弁当を作りたいんです。体力をつける様にスタミナのお弁当です。 迷惑じゃなかったら良いですか? 173 名前:野獣とアングレカム ◆OxLd.ko4ak [sage] 投稿日:2008/07/24(木) 22 07 53 ID rzDVq6FD 携帯には画像の未開封のデータも添付されていた。 見てみると、駅近くにある24thのスーパーと思われる画像とスーパーの商品を手に持つ月咲の手が写っており2枚載せてあった。 女の子からのお弁当、まるで漫画みたいな話だ。俺は子どもの様に喜びながらOKの返事を返信する。 From:月咲美代子 件名;嬉しいです! 昂四郎君、ありがとう。 私頑張って作るね。楽しみにしてて下さい。 昂四郎君は、いっぱい食べるって言ってたから、工夫して作りますね。 頑張ります、楽しみにしていてねq(^^)p 174 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/24(木) 22 12 08 ID gQu5Vf6K 一回の投稿で60行・4096Bytes(全角で2048文字)までおkなんだぜ? 175 名前:野獣とアングレカム ◆OxLd.ko4ak [sage] 投稿日:2008/07/24(木) 22 20 11 ID rzDVq6FD その返事が届いた時には、自分の駅に到着し電車から降り立つ。 返信を忘れ、携帯をカバンに入れ自宅に戻ると、風呂に入って汗を流し、母親の飯を食いながらテレビのロックバンドの新曲を聞いていた。 ああ・・・今日はなんて良い日なんだろう。月咲の番号を聞かれたし、好きな音楽を聴きながら飯を食う。とても良い気持ちで音楽を聴いて新曲の鑑賞は大成功だった。 そうだ、明日エイジ達にこの話しよう。きっと羨ましがるだろうな。 そんな事を考えながら浮かれたまま、部屋に戻り学校の課題をしていると携帯の事を思い出した。 エイジやクラスの音楽が好きな友達からの新曲の感想が届いているに違いない。シャープペンシルを机に置き、カバンの携帯取出しを見ると、それまでの浮かれていた気持ちが一気に飛んで思わず呟いてしまった。 『・・・なんだこれ・・・・』 ―――目を疑う様な事が起きていた。 メール件数が30件を超えていたのだ。 確かにエイジやクラスの友達からのメールは届いていたが、エイジ達からのメールは5件。残りの25件は月咲からだった。 こんなに大量のメールはなんなんだろう。 内容は、弁当の材料や、学校の話。ラグビー部の俺の事を細かく書かれていた。 風呂に入ったばかりなのに汗が軽く滲む、恐怖と不安が入り混じった感覚が全身を巡る。 『いや・・・何かのミスだろう。・・そうだ、何か間違えて送っちゃたんじゃねーかな。・・まぁ、明日は弁当作ってくれるみたいだし・・月咲は個性的なんだよ、きっとそうだ。・・・もう寝よ寝よ・・』 エイジ達に新曲の感想の返信するのを忘れて俺は、携帯の電源を切り充電器に差し込みそのままベット倒れこんだ。 ―――今、思えばこの時もっと別の方法やエイジ達に相談していれば、考えていれば、これから先俺が経験をする事は、起きなかったのかもしれない。 けれど、当時の俺はそんな事など気にもせず明日の希望を抱きつつ深い眠りについていた。 第2話 完 つづく 176 名前:野獣とアングレカム ◆OxLd.ko4ak [sage] 投稿日:2008/07/24(木) 22 26 24 ID rzDVq6FD 第3話 予告 憐 炎 月咲美代子と交流を深める昂四郎。 昂四郎の優しさに少しずつ加速度的に引かれていく美代子。 しかし、月咲の変わった行動に昂四郎は、少しずつ戸惑いを見せていく。 ―――そして、昂四郎の周りに被害者が。 次回第3話 憐 炎 お楽しみ下さい。 遅れてすいません、第2話投稿完了です。第3話は次回投稿致します。 暖かいレスを下さった人本当にありがとうございました。めちゃくちゃ嬉しいです。 未熟者ですが、少しでも楽しめる要に頑張ります。連レス失礼致しました。 177 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/24(木) 22 27 50 ID LK8PZuOY 176 乙 イイヨイイヨー。これはwktkする展開。 月咲このままどんどんいって欲しいw 178 名前:野獣とアングレカム ◆OxLd.ko4ak [sage] 投稿日:2008/07/24(木) 22 36 41 ID rzDVq6FD 174 すいません!今気付きました!他の板だと混合していました!(汗) もうちょっとコンパクトにしますね!アドバイスありがとうございます、申し訳ない! 177 ありがとうです。もう加速度的にヤンデレ化していくので舞っていてください、 もう少しコンパクトにしますね。本当ありがとうございます。 では、また次回書きます。(明日?) 頑張ります。コンパクトを目指して頑張ります。失礼しました。連レス失礼しました。 179 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/24(木) 22 40 39 ID DBgqi+p3 投稿はやっ!w でもGJ 次も全裸で待機してます 180 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/25(金) 01 08 32 ID g7GpyuOz 主人公がイケメンとかじゃないのが良いね。 惹きつけられる。 wktkが止まらない!!速く全裸で待ってるから続きを速く! 181 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/25(金) 01 28 57 ID QJNTo0Nv 好きな人に嫌われると不安に思ったヒロインがヤンデレ化するのは萌えるな 特に彼氏が彼女を一方的に振って、彼女が必死に寄りを戻そうと彼氏の家に合鍵を作って 先に待っていたりと…… ヤンデレの需要は無限大!! 182 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/25(金) 01 36 01 ID EQZRmPfr 第二話のタイトル見た瞬間キタッッッ!!!って思ったぜ GJ 181 自宅に潜伏系はマジキチ だがそこがいい 183 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/25(金) 02 32 22 ID ijUfWiBw 作者自演乙 厨臭い上下手なSSに厨臭い感想とはお似合いだね 184 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/25(金) 02 51 05 ID QJNTo0Nv 183 面白いですよ。とっても 見る目がないんですね 185 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/25(金) 03 10 16 ID ijUfWiBw 184「俺は面白いと思ったんだけど、あいつは面白くないと思ったんだって。アイツ頭おかしいよな」 186 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/25(金) 03 26 07 ID kHj0j3lO 夏だからしょうがないな うん 187 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/25(金) 03 27 34 ID CIBNpHW6 ここは建設的ではない批判を述べる場ではない つまらんと思ったらスルーしろ。少しはヤンデレっ娘のスルースキルを見習え 188 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/25(金) 03 40 00 ID ijUfWiBw お前が一番できてない 189 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/25(金) 03 49 43 ID 7ocWmfgK 188 だからあいちゃんそんなにムキになるなよ 190 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/25(金) 05 20 17 ID mV+kou0x 184,187,189 一年ROMれ そういうあからさまなマジレス止めろよ 削除依頼できなくなるだろうが 191 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/25(金) 05 21 56 ID 2zMXrEhz 夏だなあ 9月までは我慢 192 名前:伊南屋 ◆WsILX6i4pM [sage] 投稿日:2008/07/25(金) 05 50 46 ID Vqtv/Bm7 今更なのは重々承知 使い回しなのは言い訳不能 しかし敢えてこれを投下する自分をお許し下さい。 須藤冬華/リメイク http //imepita.jp/20080725/206210 193 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/25(金) 06 29 12 ID krCOygab 190 少なくとも 189はマジレスではないでしょw どうでもいいけどあいちゃん 183一人で頑張りすぎだろ。 飼育員どこよw 194 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/25(金) 06 55 24 ID gYDdjVQB 192 お久 そしてこれまた懐かしい&カワイイ冬華でつね 195 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/25(金) 07 33 51 ID V0wYf8GF あれ?これってお茶会じゃね?なつかしいな 196 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/25(金) 08 59 50 ID EP5200FY 早く九月にならないかなぁ そうすりゃこっちだけ休みだ 197 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/25(金) 09 13 58 ID op/Umvxd 荒らしだって嫉妬してるあいちゃんだと思えば 可愛いもんだな 飼育員さーん!!!! 198 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/07/25(金) 09 24 06 ID 6YcsWuPM アイちゃんとかクダラねぇネタいらん、投下と感想だけにしろよ。伸びてるからwktkしてたのに。ったく。 199 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/25(金) 09 44 53 ID kHj0j3lO もはや夏真っ盛り 200 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/25(金) 10 30 04 ID ECgoE7P6 お茶会か~懐かしいな 本当にあの頃が懐かしい・・・ 201 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/25(金) 10 32 53 ID IChv+YP5 夏厨かどうかがコメントみれば一発でわかるな 職人にも夏厨がいるのは問題だが 202 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/25(金) 10 47 12 ID ofIHJtZh 198 sageろ屑 203 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/25(金) 12 10 49 ID 6tL+0OA0 198 ここは18歳未満のお子様が来ていい所ではありません。 夏休みの宿題でもしてろクソガキ。 204 名前:野獣とアングレカム ◆OxLd.ko4ak [sage] 投稿日:2008/07/25(金) 12 43 37 ID 0Dg+H06n 第3話 憐 炎 【高校時代2学年/昂四郎自宅/AM7;00】 制服のネクタイを絞めながら、携帯の充電を完了した携帯を手に取り電源を入れる。 メールセンターに問い合わせをすると、メールが更に20件も着ていた。 『月咲・・・まとめて送るか、俺が返事送ってからすればいいのに。・・あ~・・新しい携帯とか・・んなバカな・・・』 呟くとあまりのメールの多さに月咲のミスや携帯電話の故障などでは無いと確信した。 寝起きの気だるさと電車通学の面倒さ、月咲の行動に疑問が重なって、朝から憂鬱になる。 とにかく、学校に行こう。今日は月咲が俺に弁当を作ってくれるんだから、良い日になるに違いないだろう。 メールの事はまた聞けばいいだろうし。 今日の朝食は、月咲の弁当に備えて、ベーコンエッグとパン1枚、牛乳だけにした。 『んじゃ、行ってきまーす』 食べかけのパンを口の中で噛みながら、部活のバックを肩に下げて家を出る。 6月後半だってのにもうセミが現れて声が五月蝿いくらいに鳴り響く道を歩いていく。 今年は猛暑で随分暑くなってきた。後一ヶ月ぐらいで夏休みだ。 それでも、夏休み中の午前は部活だし、場合によって受験対策をしなくちゃならない。 俺の高校はまがりなりにも、進学校だしあまり部活に力は入れてないのかもしれない。 けれど、ラグビーは好きだし、きっと大学に行っても続けているんだろうな。 そんな事を考えながら駅に着く、口の中で噛んでいたパンは気付けば飲み込んでいて、乗客が半分以上埋まっている電車に乗る、冷房がガンガンに効いていて爽快だった。。 俺の駅からは、乗る人は少ないけれど、次の駅からは凄い人が乗り込む。 そういえば、月咲はこの駅で降りたよな。そんな事を考えていると駅に止まり、大勢の乗客で電車内は溢れ直ぐに考えは消え去った。とにかく人の多さに流されない様に耐える。 『さて、相変わらずの人の多さだ・・・』 桜花学園周辺には、6つの高校があって電車はいつも生徒達で混雑する。 それに通勤する社会人を含めるとかなりの人数だ。 エイジも昔、電車通学をしていたのだけれど、この人混みが嫌で自転車に切り替えた。 それくらいの人の多さから、俺が朝から憂鬱になる原因の1つだ。 それでも大勢の人に押されながら、人混みに耐えていると後ろから誰かが背中にギュっと抱きかれる感触を感じる。 誰だ・・普通押されるのは分かるけど抱きつかれるのは初めてだ。 あまりの事に驚きつつ、後ろを向き抱きついている人物に目を向ける。 205 名前:野獣とアングレカム ◆OxLd.ko4ak [sage] 投稿日:2008/07/25(金) 12 48 25 ID 0Dg+H06n 『月咲・・・?』 金髪の明るい髪が目につき、顔を見上げ笑みを浮かべて「おはようございます」と小声で呟いた。 そう抱きついていたのは、月咲だった。 『あ・・ああ。ど、どうした・・・の?』 「電車人が多くて・・押されてしまって・・・気付いたら昂四郎君だったんです。」 『そ、そうなんだ・・』 「ごめんなさい・・人が多くて動けなくて・・・昂四郎君、こういうの嫌ですか?」 『いや、嫌とかじゃそういうのじゃないんだけど・・・』 俺は電車の中で偶然人に会うのはよくある事だったけれど、こうも背中と言えど抱きつかれる事に赤面しながらひたすら前を向く。 前を向かないと、心臓の鼓動の早さでどうにかなりそうだった。 それに電車の乗客も沢山いるし、これを桜花学園の生徒に見られたら説明のしようにも何と言えばいいのか分らない。 メールの事を聞きたかったけれど、そんな事はどこかに飛んでしまい、とにかく一刻も早く学校に着きたかった。 それに追い討ちをかける様に、月咲が俺の背中に耳を当てる。 おい、何だよ眠いのか、俺は枕じゃないんだぞ。 「昂四郎君、心臓がドキドキしてる・・・可愛いんですね」 『い、いや・・それは、その』 「昂四郎君?お弁当作ってきたんですよ。後で渡しますね?」 『・・・あ、ありがとう』 後ろから俺の背中に顔を休ませる月咲がそう告げると益々、心臓の鼓動が早くなるのが分った。 「昂四郎君、今日のお弁当は豪華なんですよ。楽しみにしていてくださいね。」 『お、おう。弁当の為に朝食軽く済ませてきたんだ』 「え・・・?」 『いや、残したらいけないと思ってさ~・・・昨日から楽しみだったよ。』 「・・・・嬉しい・・・・・・」 『ん?今なんか・・・言った?』 「いいえ・・・何も」 月咲が言った小声は電車の線路を走る音でかき消されて、聞こえなかった。 聞き返しても月咲は何も言わなかった。 すると電車が急にスピードが弱まり車内が揺れる。何かに掴まっていないと倒れそうだ。 それと同時に月咲の体が俺に密着する。 ・・・苦しいくらいに強く抱きつかれる。 揺れが収まっても離れるどころか、逆に体を俺に近づけてくる。月咲の大きな胸が俺の背中に当たる。 ―――俺は色々な意味で限界を感じていた。 206 名前:野獣とアングレカム ◆OxLd.ko4ak [sage] 投稿日:2008/07/25(金) 12 50 29 ID 0Dg+H06n ―――次は~桜花駅前~桜花駅前~左側のお客様、開く扉にご注意下さい――― 天の助けの駅員のアナウンスが車内に響く。 扉が開くと、直ぐに外に出て開放感に目を伏せた。 俺にとって流石にこれは拷問に近い。 ふと、降り立つ乗客の中に俺に視線を向ける子に気付く。 ―――大沢明美・・・・?同じクラスの大沢だ。クラスの学級委員で剣道部。同じ運動部とあってか馬が合う。 何か不思議そうな表情で俺を見ている。 何だろう、俺は大沢を呼ぼうとするが大沢は、俺を見るなり何かに驚いた様にサッとその場から走って行った。 『何だありゃ。騒がしい奴だなぁ・・どうしたんだろう。』 「・・・・昂四郎君、行きましょう?」 『お、おう。行こうか』 後ろに居た月咲に促され共に学校へと向かう。 【桜花学園通学路】 桜花学園は、小高い山の頂上に建てられていて俺と歩く姿を見た桜花学園の生徒達は皆が皆驚いていた。中には立ち止まり凝視する者もいた。。 恐らく皆の気持ちは1つ―――なんで野獣のあいつと!?――― ・・・悪かったな、俺で。成り行きなんだよ成り行き。 そんな驚き騒ぐ生徒達をよそに俺と月咲は学園へ到着した。 「昂四郎君、じゃあ私はここですので、お弁当昼休みに届けに行きますね。」 『うお、それは月咲に悪いって。俺が弁当取りに行くから。月咲の教室まで』 「・・それじゃあ、昂四郎君に悪いです」 『ん~・・・それじゃあさ?屋上で待ち合わせしようか?』 「屋上?」 『うん、ついでに一緒に食べようぜ。昼飯』 「・あ・・・はい!」 やけに明るく月咲は、返事をした。 特に気にしなかったが、この時、大沢明美がこの光景を見ていたとは俺は知らなかった。 教室に着くと、早速クラスの男子達が俺に絡む。 「ようようよう~!見せ付けてくれるじゃないの~!!」 「おい、何で月咲と一緒に登校してくんだよ!何したんだ!どうしてなんだよ!俺あいつに話しかけても無視されたんだぜ!?」 「お前羨ましいってかムカつくな!!!」 『別に・・・なんもねーよ。おら、席に寄るな暑苦しいなぁ~!』 予想通りの反応に呆れながら席に着くと、エイジが話しかけてくる。エイジも月咲の事を聞くのかと、少し警戒しながらエイジに視線を向ける。 207 名前:野獣とアングレカム ◆OxLd.ko4ak [sage] 投稿日:2008/07/25(金) 12 54 47 ID 0Dg+H06n エイジ 「オッス、昂四郎!いや~昨日のFUZの新曲最高だったよな~!ってかお前メール返せって~!」 『オッス。メール悪い・・・ってか・・・お前は驚かねーの?』 エイジのいつもと変わらない様子に『・・・月咲の事を聞かないのか?』と思いながら恐る恐る尋ねる。 エイジ 「あん?どうせ月咲の事だろ?昂四郎、お前うぬぼれてんじゃねぇええぞぉぉ~?おめ~天狗かぁ?鼻折るぞ鼻!いちいち騒いでたら疲れるだけだし、何で昂四郎の恋沙汰でいちいち、俺が一喜一憂しないといけねーんだぁ? そんな事より、FUZだFUZ!お前のそっち方面の話は、もうちょっと進展してから聞いてやるよ、ほら、とにかくFUZの新曲どうよ!あのベース音最高だっただろ~!?」 エイジらしい答えだった。 そうだよな、偶然電車で会って、偶然通学路を歩いてた。どこでも聞く話だ。変に騒いで恥をかくのも嫌だ。 遠まわしにエイジが注意してくれたかの様に聞こえた。気持ちを切り替えて俺はエイジとFUZの新曲の話で盛り上がる。 そんなエイジと話をしている時、俺を呼びかける声がした。 ―――大沢明美だ、何だ駅だとそのまま走って行ったのにどうしたんだろう、どこか怪訝そうな顔つきで俺に話しかける。 大沢明美 「昂四郎、悪いけどちょっといい?」 『おお、大沢・・・何だよ?生物のノートならさっき提出したぜ?』 大沢明美 「いや、そうじゃなくてさ・・・・あんた月咲とどういう関係なの?」 『どういうって・・・いや別に。ちょっと知り合いでな。それより、朝、駅で同じだったよな。どうしたんだよ無視して行くなんて大沢らしくもないな。』 大沢明美 「いや、それは・・・その。昂四郎があの子と居たから気になってて・・・・・あ、あのね、昂四郎。実は私、あの時電車で見―――」 ―――大沢の言葉を遮るかの様に、始業開始の鐘が鳴り響く。 教室との雑音と入り混じった中で大沢は言葉を途中で止めてしまった。 『電車で・・・な、なんだよ?』 大沢明美 「あ・・・ま、まぁいいわ!昂四郎ごめん、また話すよ。別に対した事じゃないし、本当ごめんね!」 大沢は、両手を俺に合わせ誤魔化す様に笑いながら自分の席へと戻って行った。 何かを俺に伝えようとしたのか、何かを知っている様な感じだった。席に座り髪を自分の髪を撫でる様子の大沢は、何かに怯えている様な顔つきだった。 エイジ 「大沢どうしたんだ~?」 『わかんねぇ・・・エイジ、大沢に何かやったか俺?』 エイジ 「昂四郎・・・!貴方、只でさえ夏なのに本当に暑苦しいのよっ!私がいる車両に近づかないで!というか電車にもう乗らないで頂戴っ! とかじゃねーの?」 『・・・うっせ!!』 大沢の声のトーンを真似て茶化す隣の席のエイジと冗談を混じりながら笑ってふざけ合い、大沢の真剣さはどこかへ飛んで行ってしまった。 本人が対した事じゃないって言ってるんだから対した事じゃないんだろう。 気にする事ではないし、また聞けばいい。 そうこうしている内に授業が始まる。 ―――俺は後に、大沢の言葉をキチンと聞けば良かったと後悔する。 208 名前:野獣とアングレカム ◆OxLd.ko4ak [sage] 投稿日:2008/07/25(金) 12 58 30 ID 0Dg+H06n 【桜花学園屋上】 ――――昼を知らせる鐘が鳴り響いて、大体18分弱。 屋上で待ち続けているけれど、月咲はまだ来ていない。 どうしたんだろう、ちょっと俺が早く来すぎだのか。 月咲は特別進学クラスだから、授業が長引く事もあるだろうし、別に弁当が逃げるわけでもない。 それに10時ぐらいか、月咲から少し遅れるとメールが着た。 俺はその時、メールの事を聞くのが段々億劫になってきていた電車で聞ければ良かったけれど、タイミングを逃してしまった。 確かに20件以上のメールを送るのは、アレだけれど、悪気はないよな。内容も普通だし気にしすぎなのかもしれない。 そうこう考えていると俺に向けて声がする。 月咲美代子 「・・・・昂四郎君、お待たせしました。遅れてしまってごめんなさい。授業が長引いてしまって」 『おお、月咲~・・・どうも。別に気にするなよ、特別進学クラスなんだからさ夏前だしそんな事ザラだろ?』 月咲美代子 「ありがとうございます。・・これお弁当です。」 『うお~ありがとうな月咲。じゃあ~・・・・あそこに座ろうぜ?』 月咲は俺の言葉を聞くと嬉しそうに微笑みながら、手さげ袋から弁当を取り出し近くにあったベンチまで移動し腰を降ろす。 隣に座り弁当を開ける準備をする月咲は、本当に品があって動作の1つ1つが綺麗だ。 弁当の袋もキチンと折り畳んで膝の上に乗せる。 弁当の蓋をゆっくり開けると色鮮やかな弁当を俺に差し出す。 そんな光景に思わず見とれてしまっていた。 月咲美代子 「・・・どうぞ、昂四郎君。」 『お、おう!美味そうだなぁ~・・・・じゃあ遠慮なく、いただきます。』 月咲美代子 「どうですか・・・?お口に合いますか?」 『美味い。すげぇ美味いよこれ!』 月咲美代子 「良かった・・・!」 俺の返答に月咲は、とても喜び笑みを零す。 月咲の弁当の料理は本当に美味かった。なんと表現したらいいんだろう、お腹がとても空いた時に食べるご飯の感覚。飯の美味さと空腹が満たされる感覚で俺は無我夢中で弁当を食べていた。 お互いの弁当を食べながら、勉強の話や部活の話、昨日の料理でうっかりして、卵を焦がしてしまった話などどこにでもある会話をしながら弁当を食べ終わる。 『ふう・・・美味かった。ご馳走様!』 月咲美代子 「綺麗に食べてくれたんですね、嬉しいです。」 『いや~やっぱ美味いよ月咲のご飯は。こんな料理なら昼と言わずずっと食べたいぜ~・・なんちゃってな、アハハハ』 月咲美代子 「・・・私頑張って作ります。」 『・・・ん?』 月咲が微笑みを浮かべながら小声で何かを呟いていたけれど、聞こえなかった。 その時は冗談で言ったつもりだった。まさか本気にしてないよな、まさかな、そんな筈はないだろう。 けれど、昼飯の満足感で俺の考えは消えていった。 209 名前:野獣とアングレカム ◆OxLd.ko4ak [sage] 投稿日:2008/07/25(金) 13 04 57 ID 0Dg+H06n ――――その時だった、校舎が騒がしい。 昼休みは確かに騒がしいものだけれど、いつもと違った騒がしさ・・なんというか耳につく様な騒がしさだった。 女子生徒の悲鳴や先生の大声が校舎に響く。おかしい、何か普通じゃない。俺は直ぐに立ち上がると月咲と共に外に視線を向ける。 同じ屋上にいた生徒達も、フェンスに近づきながら何が起きたのか確認しようとするが、よくわからない。 それと同時に救急車のサイレンが近づいてくる、遠くから段々と学園に、目的地は間違いなく学園だった。 校舎から入り口へ向け数人の男子生徒が、走り慌てて門の入り口を開く姿を確認する。 救急隊員が、担架を引きながら迅速に行動している、向かっている場所は西校舎。 さっきまで俺達のクラスが音楽の授業で使っていた音楽室がある校舎だった。 一体何が起きたのだろう、桜花学園は不良などが喧嘩をして大怪我をする様な雰囲気の学校ではない。 そんな事は先ず有り得ない。 ―――すると、携帯電話のバイブの振動音が響く、携帯のディスプレイを見るとエイジからの着信だった。 俺は直ぐ様携帯に答え、携帯から伝わるエイジの第一声に衝撃を覚えた。 『もしもしエイジ?おい、救急車がいるけど何かあった―――』 エイジ 「もしもし!?昂四郎!おい、大変だ、大沢が・・・大沢が落ちた!」 俺の返答を待たずにエイジが慌てた口調で言い終える。 ―――大沢が落ちた。ちょっと待てくれ。どういう事だ、・・・落ちた?どこから?なんで落ちた?何で大沢が?ってか落ちたってどういう意味だ。 俺の頭の中で様々な憶測が過り混乱していた。 エイジ 「凄い怪我で、さっき1年が倒れてる大沢を見つけて、ちょ・・また後でかけなおす、おい!大沢!大沢!大丈夫か、・・・―――」 現場の緊張感が肌に伝わり電話は切れた。外を見ると担架に運ばれる大沢がいた、近くに大声で大沢の名前を叫ぶエイジやキヨちゃん、クラスの女子生徒達。 担架で運ばれる大沢は顔から出血をし床に滴り落ちていた。 酷い怪我の様子だと誰が見てもそう思う姿だった。 回りには野次馬で溢れていたり、悲鳴を上げたり泣いている生徒も居た。先生達は生徒を近づけ無い様に教室に戻る様に声を張る。 屋上にいた生徒達も事の重大さに呆然としていた。 月咲美代子 「昂四郎君・・・!怖い・・」 フェンスから光景を見て着信が終わった携帯を握りながら唖然とする俺に、月咲がギュッと強く抱きしめてくる。 月咲は震えながら一連の流れを見ないように顔を俺の胸板に埋めていた。 暫くすると澄んだ瞳から大粒の涙を出しながら俺に抱きつく、涙で俺の制服のシャツは濡れるがそんな事も忘れて俺は月咲を見下ろしていた。 『だ、大丈夫、月咲大丈夫だぞ。大丈夫・・・』 月咲美代子 「昂四郎君・・・このまま・・・抱きしめて下さい。このまま」 俺はこんな光景を女子が見たら泣くに決まっていると思いながら、月咲を泣かない様促す。そして月咲を抱きしめる。 ―――そうだ、こういう時に俺がしっかりしないと駄目なんだ、俺がしっかりしないと。 とにかくしっかりしよう、俺の中で気持ちは高まっていった。それがどういう未来に向かうのかそんな事も知らず、俺はひたすら月咲を、ただただ、抱きしめていた。 第3話 完 つづく 210 名前:野獣とアングレカム ◆OxLd.ko4ak [sage] 投稿日:2008/07/25(金) 13 06 11 ID 0Dg+H06n 第4話 次回予告 純 粋 同じクラスの学級委員、大沢明美が校舎から落ちるというショッキングな事件に桜花学園は揺動く。 そんな中月咲と昂四郎は絆を深めていき月咲の行動はますますエスカレートし、月咲の行動に疑問を少しずつ蓄積していく昂四郎。 ―――そして大沢の事件を調べるエイジ達が知った事実とは・・・ 次回第4話 純 粋 お楽しみ下さい。 投稿完了です、また次回投稿します、連レス失礼しました。次回はもっとコンパクトにする様に頑張ります(汗) 失礼しました! 211 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/25(金) 13 23 17 ID V0wYf8GF GJです。 昼飯がてらに読んでいたくど、なんか腹減りが治まった 212 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/25(金) 14 01 03 ID LTtk+voH 192 うぉぉおおぉおぉぉ伊南屋さん来てたのかっ!!!!久しいな!今更ながら超GJ! 213 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/25(金) 14 03 39 ID jeguDLO9 GJ 名前「」ってのはできたらやめてもらいたいんだがダメかな? 正直読みにくい 面白いだけにそこだけが残念 214 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/25(金) 14 13 25 ID 6+lcC6d2 210 前半のデレの裏で月咲さんはなにやってたんだろうか、しかしこれは怖いw 215 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/07/25(金) 15 10 41 ID 6YcsWuPM 210 次回にも期待していますよー♪ 216 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/25(金) 15 30 23 ID wWC2tYc6 210 ハイペースGJ 192 おひさです 217 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/25(金) 17 12 09 ID Q33/OgFh いやいやgj! 218 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/25(金) 19 13 08 ID g7GpyuOz もう3話キター!!!!GJGJGJGJ 大沢さん(´・ω・`)カワイソス 219 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/25(金) 22 48 54 ID L9vvQbsP どうも、前回いい感じに頭が腐ってる文章を投下した者です。 今回はオリジナルを書いてみました。 題名は『歪ンダ家』です。 220 名前:『歪ンダ家』[sage] 投稿日:2008/07/25(金) 22 49 32 ID L9vvQbsP 数年前、母は父に見捨てられた。 家に残された母と別れる主旨がつづられた一枚の紙切れと共に父は家から出て行ってしまった。 中学一年だったその頃の俺はサッカー部に入っていて、いつも夜の八時まで練習に明け暮れていた。 そんなある日いつものように腹を空かせて家に帰ると俺は家の雰囲気がおかしいことにすぐに気がついた。 夜の八時という辺りが暗闇に包まれる時間にも関わらず全く電気のついていない我が家。 そして暗い玄関の入り口で体育座りで泣きじゃくる小学一年生の妹の姿。 「桜っ!?」 「・・・・お兄ちゃん?うわぁああああお兄ちゃぁぁああんん!!」 俺は泣き叫びながら抱きついてきた妹に一体どうしてしまったんだと聞いた。 嗚咽でなかなか声を聞き取れなかったが、何とか母親に何かが起きたという事だけは理解できた。 妹の頭を撫でながら俺は玄関を開ける。しんとした廊下が現れ、下には母の靴だけが綺麗に置かれていた。 「母さん、どこ?」 「えぐっ、う、うぅ、だ、台、どころぉ。」 「そうか。ありがとう」 妹の頭をくしゃりと撫で、俺は母がいる台所へ向かった。 「母さん?」 自分の呼びかけに返ってきたのはやはり静寂。照明スイッチを手で探し当てスイッチを押す。 辺りが明るくなり全体が見えてきた。 「っ!!」 母は冷蔵庫にもたれかかる様に座っていた。 「母さんなんで台所を暗くしてこんなところで座ってるんだよ!桜が怖がって泣いちゃってるじゃない・・・・うっ」 思わず言葉を止めてしまったのは母が異常な状態だったからだ。 「か、母さん?」 「ママ・・・・・・、さ、桜が帰ってから・・・・・・・ずっと・・・・・ひっく、このままなの・・・・・・」 背中にしがみついた状態で妹は説明した。 「ずっとこのまま!?」 思わず大きな声で聞き返してしまったせいで妹はびくりと身体を震わせた。 俺は後ろを振り向きごめんと謝罪し、再び母を見据えた。 221 名前:『歪ンダ家』[sage] 投稿日:2008/07/25(金) 22 50 32 ID L9vvQbsP 明らかにおかしかった。 まるで何時間も泣いていたかのように充血し、どこを見ているかわからない焦点の合わない瞳。 いつもにこにこと微笑み、自分や妹を暖かくさせた顔は人形のように固まっている。 ウェーブのかかったセミロングの綺麗な髪はぼさぼさ状態でまるで化け物みたいだった。 「うぅ・・・・・・」 知らない、自分の知らない誰かがそこにいた。 「かあさん、なあ母さんどうしちゃったんだよ!母さんってばあ!!」 数度、肩を揺らし続けやっと母に動く気配が感じられた。 「どうしたの?」 「・・・・・・・・・・」 まだ焦点の定まってない目で俺を見つめ母は一人ごとのように語った。 「あのね、お母さんね、パパに捨てられちゃったの。パパは他のオンナと一緒に家から出ていっちゃったの・・・・・・」 乾いた笑い声を上げて母はくしゃくしゃにした紙くずを俺に投げてきた。それがあの紙切れだった。 「うふ、捨てられたぁ。優治さんに・・・・・・、あはははは」 母が壊れていく。 多分その頃の俺は直感的にそれを感じたのだろう。きっとここで自分が何かをしなければ母は二度と帰ってこれなくなると。 そう感じてからは俺の身体は迅速に行動した。 母の両手を握り締め、こういった言った。 「大丈夫、だよ。僕が、僕がずっと母さんの側にいるから。ずっと、すっと側にいるから! だから・・・・・・、安心してよ。ね?母さん」 「かずみ・・・・・・・」 その後母は桜よりも大きな声で泣くし、痛いくらいの力で抱きしめてくるし、次の朝まで離れてくれなかったしでそれは大変だった。 けど俺はきっとこれで母は元に戻ってくれると安心した。 母を捨てた父、優治が母を捨てる直前まで見せていた笑顔は嘘だったのかと思うと殺してやりたい位にむかついたが、 きっと母なら立ち直ってくれるとその頃の俺は信じていた。 信じていたんだ・・・・・・・。 222 名前:『歪ンダ家』[sage] 投稿日:2008/07/25(金) 22 51 17 ID L9vvQbsP 月日は流れ、俺は高校三年生、妹の桜は小学六年生になった。 「ただいま」 「お帰りなさい和実」 そう言って玄関を開けるといつものように母が廊下で俺の帰りを待っていた。 「今日も時間通りに帰ってきたわね。偉いわ和実」 うふふふと微笑みながら彼女は靴さえも脱いでない和実の胸に抱きついて背中をゆっくりと撫でた。 「今日の晩飯何?腹減った」 「今日はすき焼きよ」 「そうなんだ」 そんな他愛の無い会話をして和実は母の抱擁から抜け出て靴を脱ぐ。 そして台所に向かおうとすると母に手首を掴まれた。 「何母さん。俺腹減ってんだけど」 「もう、和実ったら何度言わせたら解るの?」 「・・・・・・わかったよ」 和実は無言で母の両肩を掴み、 キスをした。 「ん、くちゅ、んふ、んん!!」 強く唇を押し付け舌を口内に侵入させる。唾液を流し込む。 「んぐ、ごく、んちゅ、んん・・・・。ぁふぅ・・・・・。じゃあ・・・・、晩御飯に、・・・・しましょうか」 はぁはぁと息を切らす母は満足げに言った。 和実は恍惚としている母に見えないように口を拭った。 そう、母はあれから立ち直れなかったのだ。 あの時母の心はすでに壊れていて修復不可能の状態になっていたのだ。 あの日から母を何とかしようと少しずつ努力はしたがそれは空しい結果に終わった。 あの日から母は異常なまでに俺という存在を求めてきた。 先程のキスもそうだ。学校に行っている間の埋め合わせのように毎日家に帰れば同じことを求めて来る。 うんざりするが俺は断ったりはしない。断ればまたああなるのは目に見えるからだ。 「ご馳走さま。うまかったよすき焼き」 「よかった。母さん頑張ったかいがあったわ」 「夜食頂戴」 「はい。和実は中学生から勉強頑張るようになったわねぇ」 「みんなやってることだよ。じゃあ勉強してくるね」 「頑張ってね」 和実は母に作り笑いを見せ、手にしたおにぎり三個と少し残ったすき焼きを入れたタッパーと箸を持って二階の自室へ向かった。 223 名前:『歪ンダ家』[sage] 投稿日:2008/07/25(金) 22 51 45 ID L9vvQbsP 「ごめん、遅くなって。お腹減ったろ?」 部屋には妹、桜がベットに仰向けに寝転がっていた。 「ううん、全然大丈夫。気にしないで兄さん」 むくりと起き上がり瞼をこする桜。 「寝てたのか?まぁいい、今日はすき焼きだったんだ。うまかったぞ、ほら」 和実は妹の隣に座り、タッパーの中身を見せた。 「わぁ本当だ、美味しそう。ふふ、何だかこれ見てたらお腹減ってきちゃった」 「だろうな」 「 ね、だから早く食べさせてよ 」 「・・・・・わかった」 すき焼きの肉を二、三枚箸で摘み和実はそれを咀嚼する。その光景をみて桜はごくりと喉を鳴らした。 もぐもぐと噛む事十秒、和実は自分の口の中にあるどろどろになった肉を妹の口の中にキスをする形で流しこんだ。 「ん、んぐぅ、むぐむぐ・・・・・。ぷはぁ、美味しぃ。ねぇ、もっと頂戴?」 「わかった」 ぺろりと唇を舐める桜に和実は心が痛んだ。 あの日以降母が変わったのは俺を求めるようになっただけではない。 妹を完全に無視するようになったのだ。何故だかは知らない、ただその事実は小学校一年生の桜の心に深い傷を負わせた。 母は妹の世話を全くしなくなくなり代わりに俺がしなければならなくなった。 とにかく妹に食事をさせなければならないので俺はコンビニで買ってきたパンを妹に与えたが、一向に妹は食べようとしない。 最初は腹が空いてないのかと思っていた。しかし二日もそういうのが続くと流石に俺もおかしいと気づき始めた。 何度食べてくれと願っても自ら食べようとしない桜に俺は意を決してパンを自らの口に入れた。 そしてペースト状になるまで噛んだ後、妹の口の中に無理矢理ねじ込んだ。 桜の驚きに満ちた目が俺を見る。何て言われても構いはしない。 食べてくれなければ妹は、桜は死んでしまう。 そんな俺の思いに応えてくれたのか、桜はやっと食事を取ってくれるようになった。この方法でならばだ。 「んぷ、ちゅっちゅ、あはぁ、んぐぅ」 最近はやっと学校の給食を一人で食べれるようになったらしいが、家にいる間は断固して食べてくれなかった。 「えへへ、うんん」 頬を蒸気させた妹を見て、目的が自分の口にある食物を絡め取る以外のために舌を積極的に絡め、 そして淫らに長い髪を揺らす桜を見て、和実はしきりに痛む胸に俺は間違っちゃあいないと何度も言い聞かせた。 224 名前:『歪ンダ家』[sage] 投稿日:2008/07/25(金) 22 52 19 ID L9vvQbsP 母だってそうだ。 母は美しい、綺麗だ、美人だ。そんな母が昔のように微笑んでくれるのはとても嬉しいのだ。ほんの少し目を瞑っていれば母は昔の母でいてくれる。 自分は母を精神の崩壊から守っているのだ。 妹だって同じだ。 自分があのまま桜を放置していたら絶対桜は衰弱していく一方で死んでいたに違いない。純粋で俺の心を癒してくれる桜がいない生活なんて想像もしたくない。 自分は桜を生かしているのだ。 そうだ、俺は俺の世界を守ってるだけなんだ。 「んふぁあ・・・・・。美味しかったよ兄さん、ご馳走様」 「ああ・・・・・」 妹の食事が終わった。あとは妹は自分でやってくれる。 俺は妹に風呂に入ると告げ一階に降りた。 脱衣所につき、扉を開けると下には母の下着と曇りガラス越しに見える母の姿とシャワーの音が奥から聞こえた。 俺は素早く撤退しようと後ろを向いたが母は見逃さなかった。すでに、母の手がバスルームのドアを開けて俺の肩を捉えていた。 「どこ行くの和実、お風呂に入りに来たんでしょ?」 「いや、母さんが先に入ってたから俺は後で・・・・」 言い終わる前に母が肩を引っ張り、俺と母が正面を向かわせる形にした。 「そんなつれないこと言わないでよ。 嫌なの? 」 そこには母の顔が な か っ た 。 「あ、あぁ・・・・・・」 即座に和実の頭が警報を鳴らす。 まずい、やばい、いけない、と。母を守らなければ、己の世界を守らねければ・・・・・・、と。 「・・・・ち、違うよ、ちょっとした冗談だよ」 「なぁんだ、母さんびっくりしたじゃない。じゃあ早く入ってきてね?待ってるから」 「うん」 ニタリと昔とは違う、異質な微笑みを見せた母はとても四十を超えたものとは思えない一糸纏わぬ身体で和実を抱きしめてからバスルームに戻っていった。 和実は思った。 俺は間違っちゃぁいない・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 225 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/25(金) 22 56 09 ID L9vvQbsP 異常です( ゚ω。)ノうっほっほ 226 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/25(金) 22 56 52 ID 3nxFYHsk 225 一番槍GJ これは良いwww続きが楽しみ 227 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/25(金) 23 02 27 ID F+35Q1+Z なんという腐り具合 だがそれがいい 228 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/25(金) 23 09 03 ID W3OX/nFO 225 いいぞ もっとやれ 229 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/25(金) 23 12 36 ID gYDdjVQB 225 これは兄カワイソス だがそれがいい 230 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/25(金) 23 24 45 ID LQdwtzN3 225 GJ! これはいい病みっぷりですね。 231 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/25(金) 23 29 23 ID lXI0LHnq 225 母も妹も良い感じにキモくて最高ですね 232 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/26(土) 00 01 01 ID V0wYf8GF キモ妹とキモ母か けしからんもっとやれ 233 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/26(土) 00 02 23 ID F+35Q1+Z ヤンデレの幼なじみはどこいった 234 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/26(土) 00 18 16 ID PJP2k+Ej 225 マインドフレイアに脳みそ吸われたんだな おかげでいい感じにGJ! 235 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/26(土) 01 25 54 ID ge+PWwM8 225 果物は腐りかけが一番甘いという GJ 236 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/26(土) 03 40 02 ID miMOVaJR 225俺も腐ってるから安心しろ 237 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/26(土) 06 00 06 ID E+sOBD/x 225 また、逢うたな 238 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/26(土) 08 30 23 ID GGudx1V7 225 あ、腐ってる人だー!(ほめ言葉) 239 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/26(土) 12 06 03 ID P0Rh6nix 次の敵は病んだ従姉妹や幼馴染とかですね! 240 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/26(土) 13 44 42 ID 4rhSOgRS 225 神ktkr 241 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/26(土) 14 23 25 ID 4rhSOgRS ところで続きはまだかね? ( ・∀・ ) 242 名前:野獣とアングレカム ◆OxLd.ko4ak [sage] 投稿日:2008/07/26(土) 15 22 15 ID dMMwxQ9z 第4話 純 粋 【大学生時代/昂四郎マンション】 『そうだ・・・大沢が落ちたんだっけな・・・』 「別に・・昂四郎は悪くねーよ。忘れてたのは、そのなんだ・・・まぁ~後で言うわ。」 体が少しずつだけれど、軽くなってきた俺はベットに座りながら自分の足の親指に特に、意味もなく視線を向け、ソファーに座るエイジの話を聞いていた。 そうだ、大沢明美が校舎から転落した事件。 当時、新聞やテレビで特集されるほど大変な騒ぎだったと思う。自殺未遂か、はたまた事故か、学校側の安全面の配慮はどうなっているんだとか、テレビの評論家達が偉そうに批判していたのを思い出す。 それよりもエイジが言った俺が月咲に起こった事、その言葉がいまだに顔面を殴られたかの様な衝撃を覚えて深夜の眠さに重なって気持ちは沈みがちだった。 月咲が、俺に・・・。そんな事ありえるのかよ。完璧に記憶から消えている。とにかく、エイジの話を引き続き聞いた。 「・・・今、大沢は北海道の大学に行ってて元気にやってるけどな。まぁ、それはいい。昂四郎。お前は高校2年の夏休みから冬までの事覚えてるか?」 『正直、部分部分を覚えたり覚えてなかったりだ・・・俺は、そうラグビーしてたっけ。そんくらいしか・・・けれどさ、そんな鮮明に覚えてる奴なんて滅多にいねぇぞ?俺みたいなの、普通だと思うんだけれどな・・・』 「・・まあな。簡単に言えば、今「小学校に通っていた時の事を毎日、鮮明に何が起きたか覚えてるか?」ってのを聞かれてる様なもんだし。けどな、昂四郎?お前は覚えていなくちゃいけねーんだよ。あの後起きた、月咲との事を。」 『月咲との・・・事・・・?』 エイジはそう言うと、煙草を歯で噛みライターで火をつけ、白紫煙を吐き出しながら、そう告げた。 その後起こった事をゆっくりと落ち着いた口調で話をしてくれた。 あれから起きた事。 ―――そうだ、転落事件以降、俺達の周りに色々な事が起きたんだ。 【高校生時代/桜花学園】 大沢が校舎から転落してから3週間が経とうとしていた。校門の前には、いまだにチラホラとテレビ局のリポーターやマスコミが取材をしている。 学校に行くたびに取材を受けていい迷惑だった。 緊急保護者会が開かれ、職員室は対応で大忙しの様子で授業が自習になる事も珍しく無かった。 転落をした大沢を見た何人かの生徒が、精神的なショックで学校を休むという報告もあり、桜花学園は今までにない混乱に包まれていた。 幸いにも大沢の症状は、命に別状はなく落ちた場所が花壇であった為に土がクッションになり難を逃れたそうだ。 事件から一週間、まだ落ち着き取り戻さない学園では、急遽放課後、クラス毎でHRを開始し話し合いが始められた。 「学級委員の大沢が校舎から転落した件は、皆も知っていると思う。今、色々な情報が錯綜していて、先生達も正直、把握出来ていない部分が多くある。 大沢が転落したのは、西校舎の花壇だ。恐らく音楽室か上の図書室から転落したんじゃないかと、警察の方からのお話だ。 皆は大沢が最近元気が無かったとか、何か悩みを抱えていた様子だったっていうのはないか? 何でもいいから教えて欲しい。ご両親の方も心配なさっている、一刻も早くみんなが学業やスポーツに打ち込める様に先生達も努力する、力を貸してくれ。」 担任教師の話が終わると、大沢が欠けたまま、学級委員が1人、教壇に立つと意見を求めた。 教室が生徒達の声でざわつく。 ふざけているざわつきではなく、何かを相談しているざわつきだった。 隣の席のエイジが、怪訝そうに俺に話す。 「昂四郎、お前どう思う?」 『どうって・・・何が?』 「大沢の事だよ、お前はどう思ってるかなって。」 『おう・・・・俺は事故じゃないかなって漠然だけど思ってる、本人に聞くのが一番早いんだけれど・・・今はそれは難しいし、自殺とかそっち方面じゃないだろ、あいつもうすぐ剣道の大会だったし。けど正直わからねぇな。』 「そうだよな。・・・・うし、昂四郎!俺さちょっと大沢の事調べてみるわ。あいつが、何で落ちたのかさ」 『エイジ、そういうのは警察に任せとけよ。俺達じゃ足手まといになるだけだぞ?』 「大丈夫だって、危ない場所に行くわけじゃあるまいし。それに何か気になるんだよね。心配しすぎだ熊さんは。」 『・・たくっ、俺は知らねぇかんな?』 243 名前:野獣とアングレカム ◆OxLd.ko4ak [sage] 投稿日:2008/07/26(土) 15 26 34 ID dMMwxQ9z エイジと会話をしている中、俺も色々と考えていた。 大沢があの時俺に言おうとした事は何なのか、電車で何を見ていたのか、それが今回の転落の事と何か関係でもあるのか。そんな事を考えていると懐に仕舞っている携帯がバイブの振動を鳴らしていた。 ―――月咲だ、最近は前にもまして頻繁にメールが来る。こっちが返信すればする程、月咲もそれに答える様に返事を出す。 最近は、メールを返せない事も多くなってきた。話題は月咲が振ってくれるが、部活から帰ってきてメールがきても返せない事が多い。 流石に疲れてしまうからだ。俺の携帯には見開封のメールさえある程だった。 最近は画像も多く添付されている、月咲の写真が殆どだ、今帰り道です。とか、今からお風呂です。明日一緒に帰りましょう。とか正直返信には困るけど、女の子ってこんなものなのか? そんな事を考えている内に、HRは終わった。暫くは部活動や文化部の活動は一週間程、自粛になってしまった。 部活を終えた生徒達にしつこくマスコミなどが取材をし、苦情が学校側に殺到したのが理由らしい。 「・・・昂四郎君!」 部活が中止になった為に俺も帰宅しようと校門を抜けた時、誰かに声をかけられる。 月咲だった、校門のところで後ろに手を組みながら微笑んでいた。 最近は月咲とよく帰る。昨日、初めて俺から手を繋いだ。 何かお互い仲が良くなっていく感じになってきたし、まぁほんの数秒間だけれど、月咲も嫌な顔はしていなかった。 不思議に思うのは何で、俺の下校時間が解ったんだろう。部活ならある程度の下校時間が解るけれど、誰かから聞いてるんだろうか。 月咲は俺以外の人にはあまり話さない筈だ。 「・・・一緒に帰りませんか?」 『お、おう。いいぜ』 特に断る理由も無かったし、直ぐに了解し帰る。駅までの続く道、ゆっくり歩いてだいたい10分かそれくらいか。 近道の公園の並木道を通りながら月咲は俺の腕に両手を握り軽くもたれ、何を言うわけでもなく微笑みを浮かべていた。 俺も、月咲に特別な想いが芽生え始めていた、俺の腕によりかかるのも最初は緊張していたが、慣れなのか、「月咲はこういう奴なんだ」という、先入観で俺の中では決めつけていた。 付き合うのも告白するだけの感じだった。俺もそれでもいいかなっという気持ちで溢れていたし、きっと月咲も同じ気持ちなんだろう。 俺は暑い日差しに目を伏せながらそんな事を考えていた。 ―――暫く歩いていると月咲が俺に言う。 「大変な騒ぎですね・・・」 『・・・ああ、流石に大怪我だったしな。とにかく、大沢が無事で良かったよ』 「あの時私、嬉しかったんです・・・」 『・・・え?』 「だって・・・昂四郎君が私を抱きしめてくれたんですもの」 突然の月咲の言葉に俺は、少し困惑した。大沢の事は、知り合いではないかもしれないけど、まるで「大沢の事はどうでもいい」と言われた気がした。俺は不愉快になった。 『・・・月咲。その言い方はちょっと酷いと思うぞ?大沢と知り合いじゃないかもしれないけど、大沢だって今は怪我で大変なんだ。もうちょっとさ―――』 軽く注意するつもりで言ったつもりだった。もうちょっと言い方ってもんがある。月咲は俺を見上げながら聞いていると突然哀しそうな目をして俺に言う。 「昂四郎君・・・何でムキになるんですか・・・?」 『え、別にムキになってるわけじゃ・・』 「なってます・・・昂四郎君、何で最近、私のメールの返事くれないんですか?前は、返信しても直ぐに送ってくれたのに!!」 『いや、それとこれとは・・・』 「・・・昨日のお弁当のオカズちょっと残ってました。何で食べてくれないんですか?せっかく作ったのに・・・・・・」 『そ、その、別に残すつもりじゃなくて食べきれなくてさ、・・・・ごめん。』 「大沢さんの事ばっかりじゃないですか・・・なんで友達のあに人の話ばっかりなんですか!?」 俺の言葉を遮って月咲が俺に言葉を交える。 段々と口調が荒くなる月咲に俺は固まってつい謝ってしまった。すると、突然月咲が抱きつき俺の胸板に顔を埋める。 俺は突然の事に動けない。 244 名前:野獣とアングレカム ◆OxLd.ko4ak [sage] 投稿日:2008/07/26(土) 15 31 04 ID dMMwxQ9z 「昂四郎君、私の事だけ見ていて下さい。私だけ感じていて下さい。大沢さんの事なんて心配しないで、私だけ心配してください!!昂四郎君は、私を見ていればいいんです!昂四郎君・・・!昂四郎君・・・・!」 『・・・つ、月咲・・・どうしたんだよ、何か・・あったのか?』 「あ・・・ご、ごめんなさい、あの私、不安で・・・どうしたんだろう、いきなり。本当にごめんなさい・・・でも昂四郎君は・・・私の・・・」 月咲の予想外の行動に驚くばかりだった。 いつもは大人しく控えめな月咲が突然、口調を変え道の真ん中で俺に詰め寄り、見上げ涙を浮かべながら俺に想いをぶつけ、俺が動揺しているのを見ると素に戻ったかの様に自分の涙を手で拭い謝罪をする。 まるで今まで我慢していた感情を一気に出された様な感じだった。 俺に好意を持ってくれているのは、解るが月咲のあまりの異常さに不信感が募る。 『・・・おう、月咲悪い。ちょっと今日寄るところがあるから先、・・・行くわ。』 「・・・・・・・」 『本当ごめんな、んじゃあ、・・・またな』 『・・・・・・はい・・・』 悲しそうな表情で黙って俺を見上げる月咲にたまらなくなり俺は、寄るところも無いのに嘘を言って公園の並木道を早々と駆け出し、俺は月咲と別れた。嘘なんてつきたくはなかった。 けれど、月咲が怖かった、あの目、あの顔。 月咲との仲がもっと悪化するんじゃないかと心配になった俺は、そのまま家へと帰った。 「昂四郎君・・・・どうしてなんですか・・・昂四郎君・・・私以外の人に優しくしないで下さい・・・」 並木道に残って俺が見えなくなるまで視線を向けた月咲が、そう呟き公園のセミの音がうるさく泣いていた。 【桜花学園/図書室】 「怖ッ!・・・こんなところから普通落ちるか~?俺は絶対、無理。無理。何かてがかりないか、時春、何か見つけた」 「だ~か~らぁ、何もねーよぉ。証拠とかあっても素人の俺達じゃ無理ぃ。キヨちゃんも予備校で帰るしぃ、俺もバンドの練習あんだけどぉ~」 図書室の棚を眺めながら、時春がけだるそうにエイジに大きな声で言った。 ―――滝本時春。高校時代からの友人。バンドを結成していて歌は上手い。 どうやら、下校の時にエイジに無理矢理誘われていたらしい。時春は、面倒くさそうに辺りを見渡して欠伸をしていた。 その頃、エイジと時春は図書館から大沢が落ちたという、花壇を窓から眺めていた。 音楽室は鍵がかかっており、入れはしなかったが運よく図書室の鍵は開いていた。 もう学園には、殆どの生徒が帰宅していたけれど、エイジはそれを狙って誰もいない図書室を見て回ったが特に変わった形式はなかった。 「はぁ~やっぱ警察とかじゃないと証拠探すのとか無理か。昂四郎の言ってた通りになるとは情けないぜ。・・・・帰るか」 「もう俺はぁ~帰るぜぇ~エイジまたなぁ~」 「お、おいおい!時春!俺、一人にすんなよ~・・・」 時春が痺れを切らして図書室の扉を開けて時春は帰って行った。 時春が帰った事に溜息を吐きながら、椅子に座り静かな図書室を見渡す。 ―――その時、誰かが図書室の扉を再び開く。 目に写ったのは、女子生徒だった。 雰囲気から見て図書委員の様だった、大量の本を台車に乗せ中へ運ぶと、エイジを不思議そうに見つめている。 245 名前:野獣とアングレカム ◆OxLd.ko4ak [sage] 投稿日:2008/07/26(土) 15 34 52 ID dMMwxQ9z 「なんだよ驚かせるなって!あん、一年か。お~い、さっさと帰えらねーと先生に怒られんぞ~」 「あの、ごめんなさい。でも、あなたも早く帰らないと!」 「お、俺はいいんだよ!ったく、俺は今大切な仕事の最中なんだよ! 「大切な仕事?」 「おう、転落した女子の事。事故にしてはおかしいだろ?だから証拠探しだよ証拠探し、誰にも言うなよ~?」 「・・・・・・・」 「あん・・?な、何黙ってんだよ・・?おかしいかよ」 「あの、私・・事件の時、大沢さんが図書室に入るところ、見たんです。」 「はぁ!?マジで!!?お、おい詳しく聞かせろって!」 「は、はい。お昼ちょっと前に私、準備室の鍵を閉めを確かめに見に行ったんです。誰かと一緒に図書館に」 「おい!誰か、って誰だよ!誰と一緒に入ったんだよ!」 「よく見えなかったんですけど、あの、えっと、確か金髪の女の子と一緒に・・・」 「金髪の女の子・・・月咲・・?お、お前!!なんでそれ先生とかに言わなかったんだよ!!」 「で、でも大沢さん一度図書室から出て行ったし私、あんまり関係ないかなって・・その・・・」 「図書室から一回出て行った?・・・・どういう事だ、図書室から落ちたんじゃねーのか、何で月咲と・・ああああ!!わけわかんねぇ~!!!」 ―――意外な場所でエイジが重要な証拠を掴んでいた時、俺は電車に揺られながら見開封の大量のメールを削除していた。 あの時の月咲の黒い目。表現できない嫉妬で一杯になった視線で俺を見つめた痺れる様な感覚。 月咲の事はどこかで気にはなっているし好いているのも嘘ではない。 けれど、とにかく月咲が怖い。 今までの行動が段々と違和感に感じる様になってきた、そんな感覚にとにかく逃げたい一身だった。 第4話 完 つづく 246 名前:野獣とアングレカム ◆OxLd.ko4ak [sage] 投稿日:2008/07/26(土) 15 39 31 ID dMMwxQ9z 第5話 次回予告 彼 岸 月咲の異常な愛情に引かれながらも困惑する昂四郎。 エイジの月咲に対する不信感に、昂四郎は月咲に尋ね。 ―――昂四郎を熱愛する、月咲の行動は止まる事はなく、そして・・・・・ 次回第5話 彼 岸 お楽しみ下さい。 213 アドバイス本当にありがとうございます、実験でやったつもりがやはり見えにくいですね(汗) 気をつけます。本当にありがとうございました! 皆さんレスありがとうございました、また次回投稿します、ありがとうございました。連レス失礼。 247 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/26(土) 15 40 40 ID W7MEVQ3S いい感じに黒いね。 楽しみに待たせていただきます。 248 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/26(土) 16 15 41 ID VxL8Ksdz 246 乙乙 月咲さんが詰め寄る場面で思わずニヤニヤしてしまった 249 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/26(土) 17 24 25 ID 4rhSOgRS GJ 250 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/07/26(土) 19 17 27 ID mAFOnIuF 246 いいねいいね。次回も期待。
https://w.atwiki.jp/i_am_a_yandere/pages/1081.html
1 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/01/10(木) 13 40 17 ID Xx7H6fdy ここは、ヤンデレの小説を書いて投稿するためのスレッドです。 ○小説以外にも、ヤンデレ系のネタなら大歓迎。(プロット投下、ニュースネタなど) ○ぶつ切りでの作品投下もアリ。 ■ヤンデレとは? ・主人公が好きだが(デレ)、愛するあまりに心を病んでしまった(ヤン)状態、またその状態のヒロインの事をさします。 →(別名:黒化、黒姫化など) ・ヒロインは、ライバルがいてもいなくても主人公を思っていくうちに少しずつだが確実に病んでいく。 ・トラウマ・精神の不安定さから覚醒することもある。 ■関連サイト ヤンデレの小説を書こう!SS保管庫(本保管庫) http //yandere.web.fc2.com/ ヤンデレ臨時保管庫 @ ウィキ(臨時保管庫) http //www42.atwiki.jp/i_am_a_yandere/ ■前スレ ヤンデレの小説を書こう!Part12 http //sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1196567848/ ■お約束 ・sage進行でお願いします。 ・荒らしはスルーしましょう。 削除対象ですが、もし反応した場合削除人に「荒らしにかまっている」と判断され、 削除されない場合があります。必ずスルーでお願いします。 ・趣味嗜好に合わない作品は読み飛ばすようにしてください。 ・作者さんへの意見は実になるものを。罵倒、バッシングはお門違いです。議論にならないよう、控えめに。 ■投稿のお約束 ・名前欄にはなるべく作品タイトルを。 ・長編になる場合は見分けやすくするためトリップ使用推奨。 ・投稿の前後には、「投稿します」「投稿終わりです」の一言をお願いします。(投稿への割り込み防止のため) ・苦手な人がいるかな、と思うような表現がある場合は、投稿のはじめに宣言してください。お願いします。 ・作品はできるだけ完結させるようにしてください。 2 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/10(木) 13 50 35 ID 1bEeow00 1 *、 *、 。*゚ *-+。・+。-*。+。* / ゚+、 ゚+、 *゚ ・゚ \ 。*゚ ∩ *。 *。 +゚ ∩ * (´・ω・`) +。 +。 ゚* (´・ω・`) と ノ *゚ *゚ ・ 。ヽ、 つ と、ノ ・゚ ・゚ +゚ * ヽ、 ⊃ ~∪ *゚ *゚ * +゚ ∪~ ☆ +′ +′ +゚ ゚+。*。・+。-*。+。*゚ 3 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/10(木) 14 55 21 ID vK0u66jz 1 乙です 4 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/10(木) 15 37 51 ID 0F7a8S2Y 1 乙 5 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/10(木) 20 52 41 ID v6b08AQV 乙っす 6 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/10(木) 21 16 46 ID gXF8+qHR オツマントルコ 7 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/10(木) 21 32 12 ID leGMajbU http //jp.youtube.com/watch?v=-bFye6tDbus やんデレが倒せない? 8 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/10(木) 21 34 16 ID 0jW5/URE いちおつ 9 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/10(木) 22 19 30 ID uVb4D2GB 乙! 10 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/11(金) 00 12 05 ID b4riooay 1 乙です 11 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/11(金) 01 50 43 ID WorItLoe 稚拙な文章、ご容赦を。思い切って投下してみる ヤンデレ万歳! 《闇母(やみはは)》 トントンと軽快な音をキッチンに響かせて、私は最愛のあの人に、夕御飯を作る。長年付き合ってきたこの包丁で、私は仕事でくたくたになって帰ってくる彼のために、腕を振るう。 私、織田市代(おだいちよ)が深海市代(ふかみ)となって早12年。 最愛の夫の深海聡史(さとし)と私はご近所の幼馴染みだった。幼い頃にはよく遊んでいた私たちも、中学に上がった頃にはお互いを意識して、疎遠になった。けれど、それが逆に私に彼を意識させてくれた。 彼の何を好きになったかなんて、きっと一生、いや永遠に分からないだろう。分かっていそうで、分からない。解けそうで、解けない。そういうもの。それが愛なのだ。 けれど、これだけははっきり言える。《私は、あなたを愛しています。》 12 名前:闇母[sage] 投稿日:2008/01/11(金) 01 57 02 ID WorItLoe 「ただいまー」 玄関を開ける音とともに、彼の声が私に届く。その声で私はひとまず料理を中断する。もちろん、彼の労をねぎらうために。 私たちはお互い今年で32歳。20歳の時、二人とも学生だったが、無理言って学生結婚をした。彼の良さは言うまでもなく、その良さ故にくっついてくる『蟲』や後をついてくる『猫』がいた。 私は言いようもなく不安だったのだ。人の優しさ、そして弱さを知っているから。 私は高校に上がった頃に必死になって、彼を自分に振り向いてもらおうと努力をした。料理を学び、オシャレをし、身も心も美しく、理想の女性となるために。 そのおかげで私は自分に料理において特に秀でた能力があることを知った。私の味覚・嗅覚は常人のそれを遥かに上回っていたのだ 。料理は好きだったので、私は料理を極めるため、大学ではそちらの進路をとったところ、先生方から訪問にきた一流シェフの方まで様々な人々に大絶賛を受け何度かヨーロッパにも足を運んだ。 そして、彼の専業主婦として今に至る。シェフの道なんて、彼との生活と天秤に掛けたなら結果は目に見えている。 私の腕は、彼のため。 私の料理は彼のため。 私の愛は、彼のため。 私の刃は、私のために。 13 名前:闇母[sage] 投稿日:2008/01/11(金) 01 58 24 ID WorItLoe ただ、私たちの生活にはいくつかの大きな問題があった。それは────。 「お帰りなさーい♪」 私より若干早く、あの娘が彼を出迎えた。まただ。また先を越された。 今年で中学生になった私たちの一人娘の深海茉奈(まな)。彼女は生まれてからずっと、彼にべったりだった。普通の女の子ならば、思春期ともなれば遅かれ早かれ一定の距離をとるもの。私はそう思い、野放しにしておいてしまった。 後に確かに距離はとった。しかし私にだけ。その分だけ彼女は彼にとりついた。まだまだ現役で、短髪の似合う彼はとても若く見え、どうみてもまだ二十歳ほどにしか見えない。 きっとそんなことから、大人の異性の割に親しみを感じる彼になついているのだろう。 今も彼女は私をさしおき、彼の首に腕をまわし抱きついている。まぁいわゆる親子のコミュニケーションの範囲内かな。 あの時までは、そう信じていた。私はこの12年の平穏を通して、『あの感覚』をすっかり忘れてしまっていたのだ。 14 名前:闇母[sage] 投稿日:2008/01/11(金) 02 02 54 ID WorItLoe 一応一段落 プロローグみたいにww このスレの繁栄のためにと、良かれと思ってやってしまった。今は少し反省してる 15 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/11(金) 07 18 33 ID PW7NK5rn これはGJ 母娘物は久しぶりだからこれからの展開にwktk 16 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/11(金) 08 12 16 ID elJgP89e グッジョブ! 続きが気になる 17 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/11(金) 08 22 36 ID s3HfeAZb GJっす 正に獅子身中の虫 母娘物・・・・しかも旦那の取り合いは大好物です 18 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/11(金) 12 49 54 ID 1fTJtV4K 1乙 19 名前:名無しさん@ピンキー[三角関係sage] 投稿日:2008/01/11(金) 18 00 48 ID +CdfYyII 続き町wktk 20 名前:闇母[sage] 投稿日:2008/01/11(金) 21 25 51 ID WorItLoe 《闇母》続き投下します。ゆっくりですがご容赦を。 〈聡史Side〉 俺、深海聡史はしがない会社員だ。 既に32歳となった俺は、今はなかなか給料のいい営業の仕事についており、幾つになっても若さを失わない、それどころかますます美しくなっている妻と、最近は成長の著しいかわいい一人娘に恵まれている。 今のところ、娘は反抗期はまだのようで、家庭内の治安は安泰だ。女の子の親は苦労すると聞いていたから、同僚や先輩の話を聞いたり本を読んだりと大切に育ててきた。 その甲斐あってか、妻の美しさとはまた違う、かわいい女の子へと成長してくれた。親として、なんと微笑ましいことか。 ただ、もう中学生になったというのに父親に甘えるのはどうかと思っている。ついつい構ってしまうのが、男の性というものかもしれない。 我が家は都心から少し離れた団地マンション503号室。 新築であり、眺めがよく、各部屋は広くとってある、というのがウリだったか。実際快適で、文句なんかつけようがない。それと家は五階にあるのでエレベーターがあるのが有難い。 「ただいまー」 21 名前:闇母[sage] 投稿日:2008/01/11(金) 21 28 21 ID WorItLoe 玄関を開けるとすぐに、ポニーテールの髪が目にはいった。 「お帰りなさーい♪」 開口一番に抱きついてくる茉奈。胸があたってドキッとしたのは秘密だ。 「なんだ、やけに上機嫌じゃないか。なんかいいことでもあったか?」 茉奈は頭を撫でてやると本当に嬉しそうにするもんだから、気づけば撫でてやるのが癖になっていた。 「へへっ、なぁ~いしょ」「なんだ、隠し事か?ゆるさんぞ~」 自分のことは棚にあげ、いつものように玄関でじゃれあうこと数分。 「あなた、お帰りなさい」 長めの黒髪をたなびかせ、妻の市代が廊下にでてきた。類希な美貌の持ち主。茉奈のくりくりとした目ではなく細目な彼女は、外見によらずなにかと不器用だ。 ところが包丁を持つと途端にそこらのレストラン顔負けの一流シェフに早変わりする。 市代は謙遜しているが、市代の味覚と嗅覚は常人の三倍なのだという。事実市代は匂いで鮮度まであててみせた。 そんな素晴らしい才能を持っていたにも関わらず、市代はシェフでなく、俺との愛を選んだ。それを聞かされたとき、無我夢中で抱きしめていたのを覚えている。 22 名前:闇母[sage] 投稿日:2008/01/11(金) 21 31 53 ID WorItLoe 「お疲れさま。荷物もつね」 市代の言葉で、右手に携えたかばんを意識すると、忘れていた重さが蘇る。 「おお、サンキュ」 「わたしがもったげる!!」 瞬間、茉奈は俺のかばんをひったくり、空いた手で俺の手を握り居間にひっぱっていく。 「まぁそう急かすなって」口がにやけちまうよ、ちくしょー! だが、俺はこの時一人浮かれていたから気づけなかったんだろう。家族の空気が大きく変わり始めていることに。 23 名前:闇母[sage] 投稿日:2008/01/11(金) 21 33 30 ID WorItLoe それは突然訪れた。 「じゃあ茉奈。この料理リビングに運ん」 「いや」 な、なんだ!?ぞっとする冷たい声に、俺は一瞬誰が言ったのかわからなかった。 「なっ…茉奈、あなた」 「自分で作った料理なんだから自分で運べば~?」 さっきとはうってかわって心底気だるそうに茉奈は吐き捨てた。俺はこんな茉奈を見るのは初めてだった。 「だってお母さんの手、血がついてるじゃん。そんな汚いのまじ運びたくない」 「ッ!」 「血!?」 俺は席を立ち市代の手をとった。 「なっ!?」 俺は言葉を失った。綺麗な彼女の手のひらに、爪を刺したと思われる跡があり、今は血は止まってはいるが、見ると痛々しい。 「おい、これどした?なんかあったのか?」 「いや、別になんでもないの」 市代が無理に笑おうとしたときだった。 「嘘」 茉奈は今度は何か汚物でも見るような目でこう言った。 「近所の安藤さんといろいろしてたくせに」 24 名前:闇母[sage] 投稿日:2008/01/11(金) 21 40 19 ID WorItLoe 安藤…安藤って同じ階の大学生か!!いろいろって、なんだよ。俺は急に安藤に対し言いようもない怒りがこみあげてきた。 「安藤くんと、何があったんだ?」 「か、彼となんて、なにもありません!」 「茉奈もいいかげんに」 市代は必死の形相で、しかし俺が何か言う前にまた茉奈が。 「私こないだ習ったからわかるよ。あれセックスっていうんでしょ。安藤さんを家に呼んでさ、私がいるのにあんあーんってうるさいったらないし」 少しの静寂がリビングを支配し。 俺は震えていた。怒っているのか絶望なのかは自分でも分からない。市代と目が合い、彼女と安藤がやっている姿を嫌でも想像してしまう。俺は彼女を愛している。愛しているからこそ、愛しているからこそ、許せなかった。 なんとか首だけを市代に向け何か言おうとしたが、言葉にならず、彼女も何かを言おうとしたが俺は構わずに市代を初めて、そう、生まれて初めて、本気で『殴った』。 俺の右手には、今までのどんなそれより強い痛みが走った。 25 名前:闇母[sage] 投稿日:2008/01/11(金) 21 42 15 ID WorItLoe 今回はこれで投下終了です(´∀`;) このスレの良作には到底及ばない(泣) 26 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/11(金) 22 10 44 ID h4r7cIuQ GJ!! 安藤くん、とばっちりで一番可哀相だ とりあえずヤンママがどうやってこの状況を切り返して 娘にどのように制裁を加えるかwktk 27 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/11(金) 22 13 28 ID PW7NK5rn GJ!! かなり好きなシチュエーションだ 続きを楽しみに待ってます てかパパさん 最低でも話は聞いてあげよう (´・ω・`) 28 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/11(金) 22 19 35 ID oxt0kF95 good job. 妻よりも娘の言うことを信じるという反応は、娘への愛とか信頼によるものかな? 娘に死亡フラグが立っているような気がするが、果たしてどうなることか。 これからの展開に期待。 29 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/11(金) 22 29 56 ID s3HfeAZb GJlっす 旦那さん、手出すのが早すぎるよ・・・ 30 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/01/11(金) 23 12 08 ID vH/sPFqN 712 名前: 名無しさん@ピンキー [sage] 投稿日: 2008/01/11(金) 22 51 05 ID auji+D04 ちょwwwおまwww メチャクチャ萌えた! 埋めネタには惜しすぎる! GJ! では埋めええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ こういう書き込みを見ると本当に十八歳以上かと疑わざるを得ない 31 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/11(金) 23 15 16 ID RAvOkCEZ ここって21以上じゃなかったっけ 32 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/11(金) 23 18 52 ID auji+D04 いや、マジで二十一歳以上だよ(´・ω・`) てか 30sageないヤツに言われたくないわwww 33 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/11(金) 23 28 26 ID IfTOL0jI よくわからんが わざわざageてまで晒す必要はないわな 34 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/11(金) 23 58 10 ID QoAMIA8j 別にいいけど今は18以上だよ。 24 安藤くん…カワイソス(・ω・`) あ、もちろんGJ. 35 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/12(土) 00 11 58 ID XrnaARgO 前スレ埋めネタ及び闇母の執筆者様 大変素晴らしいssをありがとうございました あまりにもツボですた… 36 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/12(土) 01 07 14 ID LEyUBh62 娘死ね 37 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/12(土) 01 11 48 ID LEyUBh62 娘死ねああ娘死ね娘死ね 安藤さんに迷惑かけてんじゃねぇよ!! 恋敵貶めるのはいいけどそれ以外に迷惑かけんな 38 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/12(土) 02 03 29 ID VEhg6w78 娘wwwwww 市代さんガンガレ!! 39 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/12(土) 02 10 04 ID WPL0JEe4 お兄ちゃん、殺していい? あはっ、お兄ちゃんの中、温かいね。 凄ぉい。もう、こんなにびしょびしょだよ。 血管少ないトコ狙って刺したんだけどな。 ねぇ、痛い?もっと痛くしたげよっか? うわぁ、さすがにお腹は血が一杯出るね。 あ、腸が見えるよ。 あたしね、焼き肉とかでホルモンが一番好きなんだぁ。 ちょっとだけ貰うね。 へぇー、内臓には痛覚が無いって言うけど、ホントなんだね。つまんない。 あれ?どうしたの、お兄ちゃん? あっ、横隔膜、傷付けちゃったんだ。呼吸、出来ないの? 苦しそう。すごく、かわいいよ 大好き、お兄ちゃん 40 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/12(土) 03 00 42 ID XrnaARgO 39 キモ姉妹スレの転載じゃんか、それ あとサイコとヤンデレは ハヤシライスとカレーライス位違う 41 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/12(土) 08 06 58 ID dXFe86os パスタとスパゲティくらいだな 42 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/12(土) 08 45 26 ID JNtkgiW4 新ジャンル:サイデレ ヤンデレ大全買ったが微妙(´・ω・`) 43 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/12(土) 09 02 39 ID Vp8du6q9 サイコデレ→元から狂ってる者が狂ってる方法で愛する ヤンデレ→元々は普通の人が、好きな人に関わる不安要素(近くにいる女)や、 恐怖(取られるかも)の思いに駆られて恋の病の症状が悪化し、一生治らない病気にかかる 44 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/12(土) 09 53 58 ID 7dVHJ5GJ 43 それでいくといない君はサイデレで大河内さんはヤンデレ? 45 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/12(土) 17 43 33 ID yjZouDa1 元からの狂気か 愛故の狂気の違いだと思う 46 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/12(土) 17 56 07 ID 6eBYJiu3 愛故に病むくらいだから、多少なりとも元から狂ってるところがあるだろうし、 そこのところの区別は難しいんじゃないかな。 合わせ鏡の水樹は、元々は狂気の人でないっぽいのに愛故に病んでいってるから、 まさしく本来の意味のヤンデレだな、と思ったが、弟を愛してる時点で狂気かも しれん。 47 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/12(土) 18 39 21 ID zq7sbqhA 今月のガンガン読んだら、ひょっとしたら杉小路は女だったら一種のヤンデレなのではと思ってしまった …さっきからスカリーが脳内で貴方疲れてるのよって連呼してるのはきっと気のせいだ 48 名前:転載[sage] 投稿日:2008/01/12(土) 18 53 57 ID khe7/9v9 参考までに ヤンデレとは──┬─愛情表現が病的なヒロインのことだよ(王道派) │ ├─最初はまともだけどだんだん狂うよ(エスカレート派) │ │ └精神の変化で色が黒に変わるよ(黒化派) │ ├─他人の目なんてこの子は気にしないよ(二人の世界派) | | └むしろ世界に二人だけだったら良いのに(アダムとイブ派) │ ├─極度の恥ずかしがり屋さんだよ(ストーカー派) │ └─惚れた男のためなら何でもするよ(直接行動派) │ └殺人だっていとわないよ(ちょろい派) ├─日頃の行動が病的なヒロインのことだよ(切れたナイフ派) │ ├─気を引くために自傷するよ(リスカ派) │ │ └やる気はないけど言ってるだけだよ(狂言派) │ ├─なんかいつでも武器を携帯してるよ(サバイバル派) │ │ └むしろ肉体がウェポンだよ(肉体言語派) │ └─死んじゃえば他の女に取られないわ(永遠を生きる派) │ └あなたを殺して私も死ぬわ(心中派) └─精神を病んでるヒロインのことだよ(過激派) └─精神病だったらなんでも良いよ(超過激派) └むしろ俺が精神病だよ(ミイラ取り派) 49 名前:闇母[sage] 投稿日:2008/01/12(土) 19 47 20 ID f5RU4BjJ 《闇母》投下させていただきます。視点が何度か変わりますが、あしからず(_ _) 〈茉奈Side〉 スカッとするくらい気持ちいい音がリビングに響いた。ついに、お父さんが、荒だった。お母さん、いや、あの年増、ほんと無様。 泣いたところで無駄無駄。“今のお父さん”にはね。 私はいつからなんて分からないけれど、ずっとずっとずーーっとお父さんといたいって思ってた。お父さんの笑顔に、仕草に、言葉に、私のこの小さな胸はドキドキしてしまう。お父さんの全てが欲しい。ただそれだけ。 けれど、人の恋路を邪魔するヤツがいる。お父さんの幼馴染み?知らないよ、そんなこと。 不思議なのは、私はあの年増をなんとかしなくちゃいけないって分かること。何をすればいいのかも、身体が分かるの。 『嘘も方便』。過程なんて、関係ない。私が欲しいのは、結果だけ。悪いね、お母さん。いや、年増。 私、私のために最善を尽くすから。 50 名前:闇母[sage] 投稿日:2008/01/12(土) 19 48 03 ID f5RU4BjJ もう私なんて眼中にない。半分嬉しくて、半分悲しい。私だけみていて欲しいんだもの。でもいいの。ホントいい気味だから。 お父さんはあの後も何十回も年増を殴り、蹴った。年増はただただうずくまって、必死に耐えるだけ。弁解の言葉は聡史さんには届かない。だって人間が『猫』の言ってること分かるわけないじゃん。 「お父さん…もう許してあげようよ」 お父さんが鬼の形相で振り返る。 「茉奈、まさかお前まで」目が血走ってる。吸いすぎたかな。 「ちがうよ。私はお父さん愛してるから…絶対裏切ったりなんかしないよ」 私はスカートをめくってパンツを晒す。かなり恥ずい。私の顔きっと真っ赤になってる。 「お父さんの、好きにして」 目がパンツに釘づけになってるよ、お父さん。 あの年増は気絶してる。血だらけの顔と床。掃除しとけよ、負け猫。けれどね、まだまだ足りないの。あんたからは全部奪うから。 「お父さん、先お風呂入ってて」 さすがに落ち着いてきたお父さんをお風呂に促し、私はやるべきことをやってしまう。 まだお父さんを我に返してもいけないし、あの年増からは『存在意義』を奪ってやらなくちゃ。 「あは、あははははははははははははは!!」 51 名前:闇母[sage] 投稿日:2008/01/12(土) 19 50 30 ID f5RU4BjJ 〈市代Side〉 気付けば、私はリビングの隅でまるくなっていた。身体中が痛い。頭がぐらぐらする。喉もヒリヒリする。軋む身体を起こして、私は周りを見渡す。 真っ暗なリビング。私は電気をつけて、初めて愛のムチの凄まじさを知った。時計を確認すると、午前三時を少し過ぎたところだった。 やられた。懐かしい手法だった。多分聡史さんは薬でもあの小娘にかがされたのだろう。かつて私がやったように。しかし全く同じシチュエーションを真逆の立場で味わうとは思わなかった。 そして悔しかった。まんまと策にはまったこと、そしていくら薬でとはいえ、聡史さんに誤解されたことが。涙が止まらなかった。 リビングを綺麗にし、仕方なしにシャワーを浴びた。。そこそこに上がり、寝室へ向かう。そこには、彼の字で“入るな”と扉に紙が貼ってあった。 仕方なくリビングで寝ようかと思い、背を向けたときに、その信じがたいものがギシギシという音とともにかすかに耳に届いた。 「んあっ、あっ、だめ、もうらめ、らめ、あんっ」 「いく、いく、ま、また、いっちゃうよおぉ、んーーっ!」 信じられない。まさか、あの人がまさか、ね。はは。 52 名前:闇母[sage] 投稿日:2008/01/12(土) 19 51 22 ID f5RU4BjJ 〈聡史Side〉 どうやら朝のようで。行為の後特有の気だるさとともに意識が覚醒してきた。 「市代…」 隣にさっきまでいたのだろうか。市代の温もりがまだ残っていた。 だが不思議だ。普段なら行為を思い出して朝も“あれ”が元気なのに、昨日のことをまるで覚えていない。学生時代にも似たようなことがあったような、なかったような。 今日は土曜日。俺は久しぶりの休日を享受できるわけだ。娘の教育の為にも、一応着替えてからリビングに向かう。 「………。」 誰もいない。 明かりはついているが人の気配がしない。 「朝食もまだか…」 なんだ?こんな珍しい。市代が朝食を作ってないとは。それのために毎朝毎朝俺より一時間も早く起きるのが市代の優しさだ。 キッチンを覗いて言葉を失った。まるで何かが大暴れしたかのようにぐちゃぐちゃになっている。バラバラの野菜。ひしゃげたおたま。 「こ、これは、これは一体…」 なんだよ、これ。 53 名前:闇母[sage] 投稿日:2008/01/12(土) 19 56 16 ID f5RU4BjJ その時俺は視界の端にうずくまる市代を見つけた。 「い、市代!!」 市代の身体がピクリとする。 しかし俺は足がすくみ、すぐには近寄れなかった。なぜなら、市代の手には結婚して初めて贈った包丁が握られていたから。 (危ない!) 俺の本能がそう告げている。いやそれははっきりと雰囲気で分かる。 でも俺、俺はあいつの夫だから、それ以前に市代を愛しているんじゃないのか!?お前はあの日約束したろ? 俺はついに駆け寄り、彼女の顔をあげさせたところで、またも言葉を失ってしまった。 市代の顔は殴られたあとのような青痣と腫れでいっぱいだった。 「聡史さん…」 そしてその目は何も見ていなかった。 「私…私…」 「い、一体何があったんだ!?まさか、強盗か!?お、おまえ、まさかや、やられたんじゃ」 かなりパニクっていて、自分が何言ってるかも分からない。 「わか…ない…」 ボソッと言った市代と目が合うと、腫れたまぶたの下、彼女の瞳からぼろぼろと惜しみなく涙がながれて。彼女の口からは衝撃的な事実を聞かされた。 「味が、味がわかんないの…全然わかんないよぉ!!!」 後で分かったことだが、その日、彼女の舌は永遠に味覚を失った。 54 名前:闇母[sage] 投稿日:2008/01/12(土) 20 00 32 ID f5RU4BjJ ↑投下終了です。 グダグダになっているやもしれない。(;∀;*)シンパイ 55 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/12(土) 20 02 34 ID khe7/9v9 54 お母さんが可哀想です°・(ノД`)・°・ てか娘はもちろん親父もムカつくなw 56 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/12(土) 20 05 55 ID P6jTl3AV 薬盛られたんだから仕方ない 57 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/12(土) 20 06 13 ID yjZouDa1 乙 そしてGJ 薬のせいとはいえ さすがに父親ムカつくなw 私は何も思いだせない、みたいなのが…… まだ娘のターンぽいけど ここから母親がどう動くのかwktk 58 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/12(土) 21 25 30 ID VEhg6w78 なにこれ…市代さん可哀想すぎるだろ・・・ 59 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/12(土) 21 49 19 ID tKTtAWQX お母さんに救済SSを書いてほしい… 父親が慣れない料理を作ったりして精一杯奉仕するとか スレの趣旨からズレルか 60 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/12(土) 21 58 04 ID mG4zbXC5 おまいら、まだ始まったばかりじゃないか。 そんなに必死になるなよw とりあえず茉奈と聡史氏ね 61 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/13(日) 00 36 06 ID KMahz0qe とりあえず全員に死亡フラグが… とりあえず娘氏ね 62 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/13(日) 01 00 02 ID 5ChAM5LN うーん、gjとは… ただの気違いジャマイカ(´・ω・`)ショボーン 63 名前:合わせ鏡 ◆GGVULrPJKw [sage] 投稿日:2008/01/13(日) 02 07 18 ID 4c8uAKM4 茉奈もヤンデレなのに…まあ、俺も市代さん派だけど。 ヤンデレとサイデレ?の違いは難しい。 俺の最萌の如月更紗も、元々病んでるだけで、愛情表現は至極まっとうだし。 それとも、彼女の愛情表現をまっとうだと感じる俺が侵食されてる? それでは、投下します。 64 名前:合わせ鏡 ◆GGVULrPJKw [sage] 投稿日:2008/01/13(日) 02 08 06 ID 4c8uAKM4 朝早く、電話があった。 昼過ぎに、電話があった。 この二つの電話が、喜劇の最終幕を告げる、ベルとなった。 言葉がうまく像を結ばない。 何を、言っているのか、脳が理解を拒否しているのだ。 「今……その、なんて?」 喉にからまった痰に邪魔され、かすれる声で問うと、電話の向こうの人物は、事務的な、しかし 十分にいたわりをこめた声でもう一度繰り返した。 「ご自宅で、白石勝さん、佐和子さんご夫妻が亡くなりました」 伯父さんと、伯母さんが、死んだ……? まさか。今朝まであの二人はぴんぴんしていたのだ。今日の午後の便で帰ると言って、私と こーたを大学に送り出した。 あんなに元気だった二人が、揃って死ぬということは。 「まさか……あんなに元気だったのに……死因……は?」 「殺人です。何者かに襲われたようです」 「犯人は、犯人は、誰ですか?!」 受話器の向こうの人は、一瞬、言葉を切って、息を飲んだ。 「まだ不明ですが、目撃者が存在します」 私が何度聞いても、その犯人について、その警察の人は、何も言ってはくれなかった。 ただ、警察の人間が迎えに行くから、研究棟にいてくれ、と言うだけだった。 65 名前:合わせ鏡 ◆GGVULrPJKw [sage] 投稿日:2008/01/13(日) 02 08 36 ID 4c8uAKM4 呆然とうなだれ、備え付けられた電話の受話器を持った手を下ろす。 研究室棟の実験室。朝から私と一緒にいた同期と後輩が一人ずつ、電話に向かって不穏な言葉を 叫んだ私を、気遣わしげに見つめている。 沈黙に耐えられなかったか、後輩が私に声をかけようとし、同期に止められた。 何かを言う気力もなく、私はただ、立ち尽くしたままでいた。思考が奔流する。 おかしい。 では、何がおかしいのか? 伯父と伯母は殺された。目撃者が存在するのに、犯人が誰かはわからないという。 この言い方自体がまず、おかしくないだろうか? 犯人がわからないというのなら、それだけを述べるだろう。目撃者が存在するかどうかという ことは、犯人の正体の知・不知に関して、重要ではあるが直接の関係はない。 それをわざわざ私に告げた意図は何か? 目撃者の証言を元に犯人を捜しているところならば、その特徴を告げ、知人であるかを私に 問わなかったのはおかしい。 しかし、犯人がわかっているならば、不明であると言う必要も、目撃者が存在すると述べる 必要もない……。 目撃者が存在し、犯人の身元について私に確かめる必要がないが、犯人が不明である。 これに当てはまる解は一つだけ。 犯人は、私の顔をしていたのだ。 66 名前:合わせ鏡 ◆GGVULrPJKw [sage] 投稿日:2008/01/13(日) 02 09 08 ID 4c8uAKM4 目撃者が誰であれ、マンションの人間ならば、私の顔を知っている可能性は高い。 たとえ知らずに、私だと名指しできなくとも、特徴を述べるだけで、私だと警察にはすぐに 知れるだろう。 そして、警察は私を疑っている…? いや、違う。 私を犯人と確信しているのならば、私に、伯父と伯母が死んだことも、警察が研究棟に向かって いることも告げたりしない。 私が犯人ならば、間違いなく逃げてしまう。 警察は、まずこーたに連絡をとったに違いない。いや、事件の発覚が早すぎることを考えると こーたが第一発見者の可能性すらある。 こーたは、前の事件についても、警察に話したはずだ。 だから、この顔が二人いるということを、警察は既に知っていて……どちらかが犯人であることも、 既に知っている。 そしておそらく、こーたは、犯人が私ではないと、主張しているはずだ。 今、警察は、どちらが犯人なのか、まだ確証がとれていないのだろう。 わざわざ「目撃者がいる」と告げたのは、私の反応を見るためだったのだ。 ここで私が逃げようとしたら、私が犯人であるということを示すことになる。 警察が「こちらに向かっている」というのも、ブラフだろう。おそらく、研究室棟の玄関先 から電話をかけたのではないか。きっと、非常出口にも、警察がいるだろう。 出口に警察がいれば、私を『確保』することはたやすいのだから。 67 名前:合わせ鏡 ◆GGVULrPJKw [sage] 投稿日:2008/01/13(日) 02 09 47 ID 4c8uAKM4 不思議なほど、私は冷静だった。 そして、何の疑問も持たずに、私は『全て』を理解し、『全て』を『受け入れた』。 犯人を導くための思考は、本当は、ただの確認作業にしか過ぎなかったのだ。本当は、二人が 死んだと聞いた時から、全部わかっていた。 いや、もしかしたら、もっと前から、こうなると知っていた。 天啓を受けていた……と言っていいかもしれない。 だから私は、私がすべき『全て』を知って、まよわず実行すると決めた。 覚悟などという大層なものではない。ただ、為すべきことは為さなければならないという、 それだけのことに過ぎない。 「ふ…くうっ、う…っ!」 知らず、嗚咽が漏れた。涙が次から次へと頬を伝う。 でも、私を満たしていた感情は、悲しみではなかった。 父母を殺されたこーたの苦しみを思うと、胸がつぶれそうになるはずだった。 でも、今の私は、そういった感情すら、持たなかった。 そこにあった感情は……。 携帯電話を手提げ鞄に入れ、ただショールだけを纏って、実験室を出た。 わかりにくい場所に扉があって、その先に資材搬入用のエレベーターがある。 この研究棟は、元は二つの建物を繋ぎ、その後も建て増しを繰り返したため、いびつな構造を している。瑞希は、玄関から近いエレベーターの存在しか知らないはずだ。 私は、エレベーターのボタンを押した。低いモーター音がして、小気味良いくらいに順調に 階数表示が下ってくる。 エレベーターの扉、奈落を見せる小窓に、うっすら、私の顔が映る。 鏡の向こうの自分は、自分と同じ顔をして、自分と違う行動をする。 でも、それが私である限り……同じなのだ。 だから、瑞希が伯父と伯母を殺した理由を、私は知っている。瑞希がどこにいて、次に 何をするのかを、私は知っている。 68 名前:合わせ鏡 ◆GGVULrPJKw [sage] 投稿日:2008/01/13(日) 02 11 07 ID 4c8uAKM4 朝、瑞希から電話があった。 遠くへ行くことになった。水樹に会えるのは最後かもしれない。だから直接会って謝りたい。 二人で買ったおそろいの服を着て、夕方の五時に、会おう。 瑞希は、そう言った。 高崎瑞希及び水樹と白石浩太が姉弟であると知っているのは、伯父と伯母と私である。 白石浩太は高崎瑞希及び水樹と『戸籍上は』従姉弟なのだから、この三人がいなくなれば、 結ばれるのに何の問題もなくなる。 だから、瑞希はこの三人を消さなければならない。伯父と伯母を殺したならば、次は私の 所に来るのは当たり前だ。 私が研究棟にいるというのは、伯父と伯母から聞いたのだろう。彼女は二人を殺してすぐに 私の研究室に向かったに違いない。 用意周到な彼女のことだ、返り血を浴びるなどと言う愚をおかすことはないだろう。 誰にも不審に思われずに、ここまで来れたに違いない。 本来、IDカードがなければ玄関ホールから先の研究棟には入れないことになっているが、 この棟のセキュリティーシステムには、人的な穴がある。知り合いが後ろで待っていれば、 一緒に入るのが礼儀といった風潮があるのだ。 私と同じ顔をした瑞希にとっては、私の研究室までたどりつくことくらい、容易いことだった だろう。 後は私を殺せばよい。 私にアリバイがないのなら、全てを私に押し付けて、水樹を犯人にして殺せばよい。 私にアリバイがあるのなら、生きている方が水樹で、死んだ方が瑞希になる。伯父と伯母と妹が 死んだショックという理由で、学校をやめれば、私と瑞希の違いなど、なくなる。 だから、同じ服である必要があった。 69 名前:合わせ鏡 ◆GGVULrPJKw [sage] 投稿日:2008/01/13(日) 02 11 45 ID 4c8uAKM4 でも、彼女にとっては不幸なことに、私にとっては幸いなことに、私は今日、地下の実験室で 実験をしていた。今日、私がいた場所は、放射能漏れの危険性のある、レッドゾーン区域だ。 探し回ってもわかる場所ではないし、私の居場所を知っているのは、私と一緒にいた同期と後輩の 二人だけ。 今、彼女は、私の3階の研究室の前で、歯噛みする思いで私を待っているのだろう。 エレベーターが開く。乗り込んで、6階のボタンを押した。 警察はそんなにすぐには私を探しに来ないだろう。でも、時間が経ち、私がいないことに 気づいたならば、行動するに違いない。 それに、3階にいる瑞希の存在が警察にわかったならば、やはり私の計画は無駄になる。 低いモーター音が止み、エレベーターが止まる。 私は小走りに、屋上へと向かう階段へと向かった。立ち入り禁止のロープを、鞄に入っていた ハサミで裁ち、近くのゴミ箱に捨てる。 自分の記憶力に感謝しつつ、数年前に先輩から聞いた屋上の電子ロックの番号を入力する。 電子音とともに、扉が開いた。 時間は、あまりない。焦りながら、準備を終える。 一つ、深呼吸をした。 さあ、瑞希に電話をかけないと。 70 名前:合わせ鏡 ◆GGVULrPJKw [sage] 投稿日:2008/01/13(日) 02 13 03 ID 4c8uAKM4 携帯をパカリと開けたその時、私の心に、弱さが忍び寄った。こーたの声が聞きたくなったのだ。 思わず、こーたに繋がるショートカット番号を押す。 ……話し中だ。事件のことで、誰かに電話をして知らせているのかもしれない。 私は苦笑し、通話ボタンを押して切った。これはきっと、神様からの戒めに違いない。 今度は、迷わず、瑞希に繋がる番号を選択した。 コール1回、息をつく間もなく、電話は繋がった。 瑞希が言葉を発する前に、一息に告げる。 「私は、今屋上にいるから、来て欲しい。エレベーターでも、階段でも来れる。6階で降りたら 屋上へ続く階段はすぐにわかる。扉を開けて待っているから」 そうして、瑞希が、何も言わないうちに、電話を切った。 おそらく、瑞希がここまでたどりつくのには、3分ほどかかる。 きっとその3分は、永遠にも思えるほどに長いことだろう。 私は、大きく深呼吸をした。青い空を見上げる。 悲しいほど綺麗な、秋の空。心は、どこまでも澄み渡って、静かだった。 こーた、お姉ちゃん、今度こそ頑張るからね。今度こそ、こーたを守るから。 愛してるよ。 71 名前:合わせ鏡 ◆GGVULrPJKw [sage] 投稿日:2008/01/13(日) 02 14 24 ID 4c8uAKM4 以上です。 幸いながら事件に巻き込まれたことがないので、警察の動きが話に都合よい 形で不自然かもしれません。そこらへんはお目こぼしください。 72 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/13(日) 03 32 11 ID 2MvyKI1S GJ! 水樹には幸せになってもらいたい。 続き投下まで全裸待機してます。 73 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/13(日) 03 38 13 ID d1AmQR1c GJ 何だか物凄い勢いで死亡臭がするのはきっと気のせいだ 74 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/13(日) 10 42 52 ID KMahz0qe 前スレのちび姉の続きプリーズ… もしよければちび姉を書いてみたい… 75 名前:墜落の夢 プロローグ1[sage] 投稿日:2008/01/13(日) 11 30 37 ID jazuqUMY 彼女が、生きるために何があれば生きられるのだろう? そんなことを彼女は、考えた事があったのだろうか。 彼女は座って泣いていた。 長い髪を振り乱し目からは、止めどない涙を流しながら 「どうして?どうして?どうして?」 「私たちがまともになんてムリだったのかな?」 しかしあまりに弱弱しいこえだった。 普段の彼女からは考えられない。 「あまりこれ以上かんがえるな。」 我ながらひどいとおもう。 彼女に対していった言葉は何の慰めにもならないのに。 「私たちがまともになんてムリだったのかな?」 食料と水と空気なんてお決まりの答え? そんなの全然彼女は望んじゃいない。 現に俺達には、お決まりの答えくらい問題じゃなかった。 でもそれがこの結果だ。それだけじゃ、たった1人も守れない。 それだけじゃ、悲しみで心が潰れてしまう。 彼女は、現にそれだけでは生きては、いけなかった。 そんなのは、心のない本能だけの動物だろう。 動物園なんてわざわざ区分けしてるしな。 ただ生きるだけならお決まりの答えで理屈上十分だろう。 心なんていらない。 彼女が望むのは、その先だ。 まとも、当たり前、普通、そんな他人との心の触れ合いを夢見た。 だが、求めた瞬間それは、粉々に現実に壊された。 そして彼女の心も壊された。 76 名前:墜落の夢 プロローグ1[sage] 投稿日:2008/01/13(日) 11 59 59 ID jazuqUMY 彼女は、凶器をもっていたのに傷つける側なのに壊れた。 いじめられていたから、仕返しした。 それだけで……。 いや、それだけのことをしたのだろう。あやうくずれるところだった。 罪や悪意は、残り続ける。どうやっても抹消できない。 人が3人死んだのだ。十分罪深い。 しかし、救いが無さ過ぎる。 もう彼女は、立ち直れないかもしれない。 強く在れといつも俺にいっていた彼女。 いままでの日々を思い返す。幸せから絶望。そんな時 俺たちは、出会った。 そうだ。かつて交わしたあの約束の時から俺は、彼女によく助けられたんだ。 彼女を助けたい。俺は悩んだ。 人に踏み込まないよう生きてきた俺は、戸惑っていた。 リスクが頭にちらつく。孤独、そんな単語が頭を埋め尽くした。 さみしい、つらい、こわい。感情の波が俺を襲う。 妹達が逃げ出した。悲鳴をあげていた。家族だった。 目の前の俺を同じ人間と認識していなかった。 人とまったくの別物。俺を見てまるで化け物のように。 幼い俺は、しばらく理解できなかった。俺は、化け物。 俺は逃げ出した。姉が追ってくる。 目の前の人間は、俺を家族と認識していない。敵。攻撃される。 傷つけられる。理解は、出来た。俺は、家族の敵。 幼いとき感じたあの感覚に恐怖した。 一度失敗した俺は、臆病だった。 現状維持、それは甘美な響きだった。 俺は、逃避しようとしているのか。 ふいに彼女との約束が浮かんだ。 「いつか楽しいと思える日々まで、ふたりで生きよう」 大切な言葉だ。 俺にとって一番大事な約束。 そうだ約束したんだ。 いま果たさずにいつ果たすんだ。 覚悟の決意をした。最後に理由を聞いた。思い残すことが無いように。 「なんで俺を選んだんだ?。」 その俺の質問に彼女は、すぐ答えてはくれなかった。 しばらく黙っていて、俺は不安になった。 無視されているのか、それとも聞いていないだけなんだろうか? 見下し見下される関係が、続いていたので怖かった。 もう遅いのだろうか? 5分くらいだろうか、突然俯いていた顔が俺に向いた。 「好きだったから。」 それまでずれていた焦点が俺の目と重なる。 ひたむきな姿で告白してきた。俺にはいまだ到底無理な感情。誠 実、真心愛情。 不思議と嫉妬は、しなかった。その言葉は、純粋にうれしかったと思う。 だから、うけとめられるだけの器が自分にないのは、悲しかった。 突然の投下すいません。 続きは、できたら書きます。 77 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/13(日) 15 14 21 ID IGUDAla6 76 続き期待してるぜ!! 78 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/13(日) 17 45 47 ID wT36kRCu 水樹ガンガレ超ガンガレ でも瑞希視点も読んでみたいなあと思ったり 79 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/13(日) 18 59 11 ID /XtATejZ 74 書いてもいいんじゃないかな。 俺は読んでみたい。 80 名前:上書き ◆kNPkZ2h.ro [sage] 投稿日:2008/01/13(日) 21 42 26 ID 637IVz6l 投下します。 81 名前:上書き ◆kNPkZ2h.ro [sage] 投稿日:2008/01/13(日) 21 43 21 ID 637IVz6l 「加奈を、本当に、好きか?」 島村の質問を、そのまま口にしてみる。 そうでもしないとそのまま聞き流してしまいそうな程、それは当たり前なことだ。 頭の中でも、言葉でも、繰り返し繰り返し確認してきた――俺という人間の前提。 「お前にしては愚問だな」 「真面目に答えて下さい」 準備していましたと言わんばかりに即答された。 完全に返答を読んでいなければ絶対に出来ないであろうスピードだった。 それだけ真剣なのだということは理解したが……改めて思う。 愚問にも程がある。 島村は何を言っているんだ? 自分で、俺が加奈を好きだということは分かっていると言っておきながら、何で再びその一言を要求しているんだ? 経験上島村がどこか呑み込み難い性格の持ち主だということは知っているが、同時に言っていることに意味があることも解していた。 だが今の島村は、俺の理解の範疇を完全に超えている。 何か目的あってのことだという確信はあるが、その周囲が煙っていて全く見えない。 兎にも角にも――俺に出来るのは、肯定することだけだ。 人様に誇れるほど大層なものは俺には何もないが、加奈への気持ちだけは負けない自信だけはある。 この唯一無二の感情は、誰にだって否定させはしない。 「加奈のことが、誰よりも好きだ――」 力強く宣言した俺をよそに、瞬きする間もなく、島村は俺の頬を叩いてきた。 それも、かなり重い平手打ちだ。 掌でやられた筈なのに、破裂音と言うには程遠い、鈍い音が響いた。 頬が腫れを通り越して打撲のように青ざめてるんじゃないかと心配してしまうほどの痛みが走る。 手で頬を押さえるという恥を忍びながら、若干呆然としたままの状態で島村を見返す。 「ふざけんのも大概にしろよ」 思わずそんな汚い言葉が漏れたのは、先程ニュアンス的に俺の加奈への想いを否認されたような気分になったというのもある。 しかし何よりも俺を怒りに駆り立てているのは、今俺を見下ろしている島村の目に、溢れんばかりの非難めいたものが込められているからだ。 言葉にはしないが、お前はどういった了見でそんな視線を浴びせてくるんだと言いたくなる。 お前の命令に近い要求を呑んでやったというのに、した途端の仕打ちがこれか。 さっきまでの穏やかな気持ちが払拭されてしまったよ、全く以ってな。 「ふざけて、そんな暴力振るう訳ありませんよ」 「どの口が言うんだ。人のことつい前まで奴隷扱いしておいて」 脳裏に浮かぶ男として屈辱としか表現し様のない光景。 少しだけ笑ってしまったのは、その惨めな姿が自分であるという事実を受け入れたくないが為に、客観視したからだ。 ますます、虚しくなった。 「何で笑っているんですか」 「どうでもいいことだ。それより、こんなに豪快にぶっ叩いてくれたんだ。何か意図あってのことだよな?」 「意味のない行動だってありますでしょうに」 「そんなことはどうでもいいから、俺の質問に答えてくれ」 島村から、悪びれた様子は欠片も見受けられない。 逆に清々しくなる程に当然を身に纏ったその立ち居振る舞いに、沸々湧いていた憤りも萎縮してしまった。 いつもそうだ、こいつは。 俺に対して、傲慢としか取れないような言動を、半強制的納得と共にぶつけてくる。 人並の頭があるなら、いつかそれが俺の逆鱗に触れる時が来るかもしれないという場合を想定出来る筈だ。 にも関わらず、島村はまるで――俺が怒っても、行動には出さないと確信しているかのように振舞っている。 そこまで、俺を信用――そう呼んでいいのかは定かではないが――出来るその要因は、一体何だというのだ? ……今更だが、考えるだけ無駄か。 とりあえず思い直して、間もなく島村が返してくるであろう解答に耳の全神経を集中する。 筋道すら見えなければ、永遠に正解には辿り着けないんだ。 「一つは……単なる、嫉妬です」 「は?」 「今のところは諦めるとは言いましたが、私が誠人くんを好きだという気持ちに変わりはありません。絶賛継続中なんですけど」 「あ……」 「もう少し、乙女心というものを分かって下さい。女の子は繊細なガラス玉なんですから」 「どの口が――」 言うんだか、とは言えなかった。 ふざけて開けてた大口に、島村の親指を除いた右手の四指がすっぽり入れられたからだ。 「憎まれ口しか叩けない、いけない口は、こうして塞いでしまいますからね」 82 名前:上書き ◆kNPkZ2h.ro [sage] 投稿日:2008/01/13(日) 21 43 48 ID 637IVz6l 島村の指咥えるのって、これで二度目だな。 同じ女の子の指を強制的に二度も口に含まされるってのは、男としてどうなのかね。 自分の認識を遥か遠くへと追放しながら、追憶してみる。 一度目は、保健室で治療と称した拷問をされた時だったな。 あの時は、頭踏まれたりして、その影響で半ば自棄になって丹念に消毒液を舐め取ってやったんだったな。 ……そういえば、俺が意味を読み取れない素振りもあの頃から始まっていたな。 確か、島村の質問にへの返答に皮肉を込めたら、どこか物悲しい顔をしていたんだっけか。 結局、その真意も分からず終いだったな。 ま、今頃訊いたところで、当の島村本人が覚えている可能性は薄いし、何より俺の勘違いって線も捨て切れない。 どちらにせよ、今となってはどうでもいいことだ。 「あ」 いい加減、涎が溜まってきたので慌てて指を放す。 本来ならば顔を真っ赤にして早急に引き抜くべきところを、何を冷静に俺は数秒間も犬のように咥えていたんだ。 島村の言う通り、身体に受動的快楽を享受する経路みたいなものが確立してしまったのかもしれないな。 「ご主人様とペットごっこは、この辺りで打ち止めにしておこうぜ」 そう言いながら、口内に残った唾を嚥下した。 若干塩辛く感じたが、その理由を追究した先にはきっと恥ずかしい現実が待っているであろうから、そこで思考を打ち切った。 出来ればこの話題はそろそろ転換したい俺をよそに、島村は俺の涎で滑っている自身の指を色々な角度から凝視している。 見てるこっちも恥ずかしくなる程、島村は平然とそれを眺めている。 そのまま続けること十数秒。 「そうですね」 相変わらず自分の指を見るのに夢中になっている様子の島村は、若干心此処にあらずな不安定極まりない口調で呟いた。 それを聞いて、ひとまず安堵の一息を吐こうとしたのも束の間――。 いきなり、島村は自分の人差し指を舐めた。 その唐突さに一瞬度肝を抜かれつつ、何とか平生を装いながらその光景を見据える。 猶も島村はアイスバーでも舐めるかのように、中指、薬指と次々に咥えている。 そんな扇情的な場面を前にして、今俺の中で渦巻いているものはと言えば、情けないながらも「厭らしい」の一言……。 島村を本当の意味で“知る”までに俺が彼女に対して抱いていた清楚――と言うと大袈裟だが――なイメージとのギャップが大き過ぎるんだよな。 半分以上言い訳だけど。 「以前みたいに飾る必要なんてないんですよね」 若干追及したい節があったが、否定されなかった時の反応に困るだろうから無視することにした。 「今は一応ただの友達同士なんですから。友達って、そういう関係なんですよね? 誠人くん」 「そうなんじゃないのか……ねぇ?」 ――友達、か。 頭の中でその言葉を反芻してみるが、いまいち実感が掴めない。 別に気心の知れた友人がいなかった訳ではないが、彼ら(彼女ら)が果たして俺にどれだけの影響を与えていたのか? 俺を占める割合の中で、当然のことながら一番は加奈であり、後は言い方は悪いがその他のようなものだからな。 そんな風に一括り出来る程、友達って存在は矮小なものなのか? それとも、そう思うことは、単に俺が求め過ぎているだけだとでも言うのか? ……馬鹿だな、俺は。 普通の奴は、俺みたいに無駄に深く考えたりなんかしないよ。 皆、小さい頃に心で理解する術を学んでいるんだ――加奈のことに夢中な俺を除いて。 「だとしたら、私は加奈さんより少しだけ得したかもしれません」 俺の適当甚だしい回答に、表情はそのままながらも、島村は僅かながら声を和らげた。 罪悪感に心が軋む音が聞こえたような気がした。 「彼女って立場では決して見れない誠人くんの一面を、垣間見れたんですからね」 「それって――」 「そのこととも関係があるんですか、もう一つの理由を教えてあげます」 続きは遮られた。 だが、そのことはもうどうでも良くなっていた。 島村の言葉から察するに、俺の言おうとした疑問も全てひっくるめた解答を用意しているに違いない。 さっきまでそれを半ば怒りに任せて要求していたんだ。 素直に受け取るのが礼儀だ。 「後、話している間はおとなしく聞くだけで、割り込まないで下さいよ。私語厳禁、これ命令ですからね」 「わかったよ」 島村由紀――彼女に関する幾つもの疑点、それが分かるということへの期待からか、俺は子供のように嘗てない程ワクワクしていた。 「それじゃ、まずは一つ告白しておきます。宿題は早目に終わらせるタイプなんでね」 精一杯の深呼吸を披露した後、始めた。 「私、処女じゃないんですよ」 83 名前:上書き ◆kNPkZ2h.ro [sage] 投稿日:2008/01/13(日) 21 44 15 ID 637IVz6l 俺は今、ドッと噴き出る冷汗を感じながらも、心底ホッとしている。 もし発言を禁じられていなければ、島村のあまりにも突発的且つ突飛な告白に対して、俺は何か答えなければなかったのだ。 異性の繊細極まりない問題に、果たして俺はどんな対応が出来ただろうか……? 仮に慰めたとして、それは“処女”の重要性を肯定することになり、そうでない彼女を傷付けてしまう。 かと言って平生を装ったとしても、単純に薄情だと思われてしまうかもしれない。 完全な袋小路――どんな反応も、彼女を追い詰めてしまうのではないか? 「処女喪失の時は、高一の夏。当時付き合っていた男とです」 必死に思慮している俺を置いてきぼりにして、島村は平気な顔でどんどんプライベートなところへと進んで行く。 その吹っ切れた感のある表情と口ぶりだけが、今の俺にとっては救いの手であった。 「事後の第一印象は、男の性欲旺盛な様です。だって、私と彼が付き合い始めたの、その三日前だったんですよ?」 “手”は払い除けられた。 とんだ勘違いをしていたことに、気付かされてしまった。 確かに、島村の淡白過ぎる物言いには、心残りは欠片も見受けられない。 代わりにそこに込められているのは、悲しみや怒りを超越した――純然たる、呆れ。 それは、本来の上下関係を無視した威圧感を備えており、又、俺に畏怖の念を与えるのに足るものであった。 「でも、私に彼を貶める権利はありません。彼の『愛している』が当時の私にとっては全てだったんですからね。馬鹿はお互い様ですよ」 すっかり冷静にさせられた思考の中で、俺を気持ち悪くしていたのは一種の矛盾であった。 女王の風格すら漂う、男を小馬鹿にした島村と、俺に一途に想いをぶつけてきた彼女――その二つの像が、全く一致しないのだ。 結局その根源を辿っていけば、島村が俺をあれ程に好いていた理由は何かという疑問にぶち当たるので、何も進んではいないんだがな。 「その頃の私は、それはもう“いい娘”でしたよ」 島村は、苦笑を間に置いた。 「朝は彼と一緒に登校する為に、まだ光がない時間に起きて、彼の弁当を持参して家まで迎えに行きました。 学校でも彼に恥じない彼女になるよう世間体を気にして過ごすようになりました。 彼と下校する為に部活も辞めました。夜は、彼が求める日はいつでも応じました」 島村から語られる過去の彼女の姿を脳裏に思い浮かべてみる。 あくまで傍観者としての率直な感想を述べるなら――。 「ちなみに、それは全て彼が私に要求してきたことなんですよ」 異常だ。 「まるでゲームみたいですよね。自分の操作通りに動いてくれる人間なんて。 薄気味悪いことこの上ありませんが、彼にとってはそれが至福だったんです」 彼女のそんな様子を見て注意を促さないどころか、逆に火に油を注ぐようなことをしでかすその男も。 「それが彼にとっての幸せと割り切って我慢していた、私にとっても」 傍目から見れば最低極まりないそんな男を妄信的に好きになっていた、島村も。 「“恋は盲目”とは良く言ったものです。私は献身的に尽くしました」 再び、苦笑を一つ。 「ですが、どんなゲームにもいつか必ず訪れてしまいます――“飽き”という段階がね。その後の展開は、大体予想つくでしょう」 言われなくても、今まで散々考えるということに没頭してきた身の俺にとって、それ位のことは訳ないことだ。 今までしてきた努力の継続では、彼氏を自分の下に繋ぎ止めておけない。 そんな状況に陥った島村が――恋の奴隷になった彼女が導き出す答えは、“足りない”ということ。 彼氏の非を決して認めない島村は、彼氏が離れていくのは自分の愛が足りないだけと信じて疑わないだろう。 彼氏は彼氏で、島村への好意を失くしたことでようやく客観的な視点で彼女を見て、気付いたに違いない――彼女の異常性に。 余計に彼氏は離れ、島村は原因を誤解したまま自ら彼氏に恐怖を植え付けるという、負の連鎖が形成される。 ……俺の想定し得る、最悪の結末だ。 「双方にとって非生産的な状況のまま、高二の春になりました。 春――あの男のことですし、けじめをつけるいい機会だとでも思ったのでしょう」 三度目の苦笑を、島村は漏らした。 今まで最も深く、そして陰気な感がした。 「とうとう、別れを言い渡されました」 84 名前:上書き ◆kNPkZ2h.ro [sage] 投稿日:2008/01/13(日) 21 44 57 ID 637IVz6l 打って変って、自らの体験談を語るその口調には、やはり清々しさが漂っていた。 その言い草の軽快さたるや、まるで話すことを楽しんでいるかのようにすら思えてしまう程だ。 「当然反発しましたよ。省みると羞恥心で身が溶けそうな位取り乱して、とにかく何としてでも気を変えてもらおうとしましたね」 懐かしむように島村は遠くを見回しているが、俺の心にはそんな余裕は露ほどもない。 感覚的にはほんの前に俺は、正に島村が口にした自身の像と類似する姿を見せ付けられたのだから。 俺の為に体を傷付け、心を侵し、自分を捨てた――形振り構わない、一人の女としての姿。 それがくっきり脳裏に焼きついて離れてくれない。 今でも耳にこそばゆい甘い囁きと、何度も与えられた肉体的苦痛。 飴と鞭を駆使して翻弄された感覚が、体にも心にも染み付いている。 だが、それは決して忘れてはいけないものなのだと思う。 同情だとか罪悪感なんて理性的なことを抜きにして、ただ本能がそうあるべきだと訴えかけてくるから。 「そんな私の様子を見て、狼狽し切った彼が私に言ったこと……何だと思います?」 突然の問い掛けに一瞬戸惑い掛けたが、深呼吸をしている島村を見るに、回答は求められていないようだ。 胸を撫で下ろしていると、島村はゆっくりと俺の方へと近付いてくる。 そして何を思ったか、俺の右耳を親指と中指で抓んで、自分の口元に引っ張る。 「『もう俺に付き纏わないでくれっ!』」 島村の言葉は、至近距離だったのと壮絶な音量だったのとが災いして、聞き取れたものの耳が痛くなった。 キーンとかいう擬音が俺の周りを飛んでいる気がして、耳を押さえる他どうしようもない。 その上、声量という点を除いても、島村の先程の言葉には有無を言わせない気迫があった。 結果的に俺に出来るのは、馬鹿になりかけた耳を壊れ物のように撫でながら、島村の次の言葉を待っていることのみだ。 「彼に最後に感謝した瞬間でした。その言葉を聞いて、私はようやく夢から覚めることが出来たんですからね」 和解――島村が語るこの結末が、俺には少し腑に落ちなかった。 今の島村は俺が好きだということを考えれば当然のこととも言えるだろうが、彼女の常軌を逸した愛情を肌で感じ取った身としては、最終的にはあっさりと退いたことをおかしく思った。 「さて、誠人くん。問題です。私は何故こうもあっさり関係を断ったのか? あ、勿論もう喋っていいですからね」 「……」 「何ですか? その目は」 「いや、お前やっぱり俺の心の中見えてんじゃないかって思っただけだよ」 「そうだったらどれだけ幸せか」 真顔の島村をよそに、俺は女々しく髪を弄くっている。 島村からの問いに答えようなどとは微塵も思っていない。 正解が導ける筈がないと諦めているからというのもあるが、何よりも俺は勘違いすることを恐れていた。 相手の心中についての懐疑の末に間違った結論を出して、そのことで相手を傷付けることだけはもう沢山だった。 ――涙なんて、もう見たくない。 「ところで無言でいるのは、わからないってことでいいですね」 沈黙で肯定する。 「難しく考える必要なんてありません。簡単なことです。私は人として彼を見損なった。だから別れた。それだけです」 「見損なった?」 「女を人形のように使い古して、飽きたら自身の罪悪を自覚しないで一方的に相手のせいにする。どこに魅力があるのですか」 正直、意外だった。 あれだけ俺に対して一途に思いをぶつけてきた島村のことだから、前の相手にも同じだけの愛情を向けているのだと思っていた。 現にさっきまで島村が話していたことによれば、彼女は異常なほど元彼氏に尽くしていたようだ。 なのに、今は彼氏に未練どころか、逆に軽蔑している節すらある。 このことに対して、俺は失礼承知で尋ねずにはいられなかった。 「幾らなんでも、心変わり早過ぎないか?」 「全然」 島村は目を丸くして俺を見つめてきた。 心底言っている意味がわからないとでも言いたげな、おかしな表情をしている。 この即答に、俺は再び沈黙の殻に閉じこもる他の選択を取り上げられてしまった。 「すぐに男を代えられるような軽い女と思うのならご自由にどうぞ。でも、これだけは言っておきます」 息を若干大きく漏らしながら続けた。 「私は、弱い人は嫌いです」 85 名前:上書き ◆kNPkZ2h.ro [sage] 投稿日:2008/01/13(日) 21 45 39 ID 637IVz6l 断固として捻じ曲げさせまいという心意気が伝わってくるその言い振りは、島村が胸を張っているような錯覚すら覚えさせた。 「自分の正当性を疑わず、自省をしない――彼のような心が脆い存在を好きにはなれません」 島村のことを軽い女だなんて思わないし、思える訳もない。 一人の相手にあそこまで執着する様は寧ろ、恋愛に対して実直だとすら評価出来るものだ。 だからこそ、島村が元彼氏への好意を完全に喪失した背景には、何か彼女自身の思考回路からの影響があるに違いない。 無論、俺には分からないが。 「彼は私に飽きて、そこで初めて客観視したことで私を気持ち悪く思ったんでしょう。 それは私も同じで、彼のあの言葉で事態を客観視したんです」 言いながら、島村は自分の顔を右人差し指で指した。 「誠人くん、あなたは私の過去を聞いた時、十中八九こう思った筈です。狂っている、と」 「そこまでは思っていないが……」 「なら異常だ、位ですかね。どちらにせよ、常識的に見れば明らかにおかしいと感じましたよね?」 問い掛けながら、目で『分かっている』と教えてくる……島村らしい、実に厭らしい攻めだ。 「全く以ってその通りです。彼は私を玩具にし、私は彼を愛すだけ。 お互い相手のことばかりで、自分を見つめようとしない――そんなの、恋愛とは呼べませんよね?」 ……恋愛とは呼べない……恋愛トハ呼ベナイ…………レンアイトハヨベナイ…………レンアイジャナイ……………… アレ? 「愛すことしかせず反省をしない、私が嫌いな人間に自身がなっていたショックもあって、私は彼と別れました。 ですが、その時はほんの少し、それこそ米粒ほどの未練があったんですよ。 それを完全に払拭してくれたのが、後の誠人くんとの出会いでした。 誠人くん、あなたは知らないでしょうけど、私はあなたのことをあの女子トイレの時以前から知っていたんですよ。 その時、あなたは丁度加奈さんに――“上書き”されているところでしたよ。 当時の光景を振り返ってみても、壮絶だったとしか言い様がない程、衝撃的でしたよ。 自分より一回りも小さな女の子に滅茶苦茶にされているあなたの姿は、惨めという言葉がお似合いでしたよ。 でも、泣きながら謝っている加奈さんを笑顔で許しているあなたの姿を見た瞬間、胸が高鳴りました。 『俺も悪い』と言いながら加奈さんの頭を撫でているあなたは、私が見てきた誰よりも格好良かった。 あなたとなら、自分の罪を認める強さのあるあなたとなら、私は幸せになれる……あなたが欲しい、こう思うようになったんです。 それからは密かに機会を伺っていたんですが、まさか女子トイレ前で会うとは思いませんでしたね。 しかも、また“上書き”されているんですから、二重に驚かされましたよ。 でも、そこから関係を持てるようになったんですから…………って、誠人くん、聞いているんですか?」 「……」 「誠人くん?」 「……どういうことだよ、島村? どうして、どうしてそんなこと言うんだよ!?」 荒れる息をそのまま、俺はベッドから瞬時に飛び退いて島村から距離を取った。 訝しげな視線を送る島村に対して、威嚇するように俺は彼女を睨みつけている。 「そんなことって、何のことですか? ほら、冷静になって――」 「来るなよっ!!」 立ち上がろうとした島村を言葉で制してみるものの、俺の言葉など意に介さず彼女はスッと立ち上がった。 更に俺は島村から離れる為に後退りした。 「本当にどうしたんですか? もしかしたら傷が深かったのかも……」 「おかしいぞ、この病院。さっき島村は大声を出した。そうでなくとも今俺は叫んだのに、何で看護婦も誰も来ないんだよ?」 島村と話している間は熱中していてそんな些細なことにすら気付かなかった。 それに、俺が今いるこの部屋にはベッドが幾つもあるのに、俺の以外は全て空席状態。 俺以外は患者が誰もいないなんて、どう考えたって変だ。 「誠人くん、落ち着いて下さい……。話し合いましょうよ……」 「もう一つ」 何よりも島村に追及したいことがある。 知りたいのは、あの言葉に関して――“故意があるかないか”ということ。 「お前は元彼氏と自分の関係を恋愛とは呼べないって言ったよな? それは、俺と加奈の関係に対しても言ったのかよ?」 86 名前:上書き ◆kNPkZ2h.ro [sage] 投稿日:2008/01/13(日) 21 47 18 ID 637IVz6l お互いに相手のことばかりを気にして、自分の行動を振り返れない。 そんな緊張状態の中で何とか保たれてきた、俺と加奈の関係。 島村と元彼氏との関係に類似するそれを、島村は恋愛ではないと否定した。 自分は俺から身を引くと言っておきながらだ。 ……勿論、俺の思い過ごしだという可能性もある。 そうであってくれ。 いつもみたいに、馬鹿にして一蹴してくれ。 「ははは……私、馬鹿ですね」 束の間を置いて放たれた言葉。 似ているけど、違う。 『私』は余計だ。 素直に俺を馬鹿呼ばわりしてくれて構わないから……。 「気付いていましたよ、“矛盾”に。私が求めているものと、それがそうである為に必要なことは、決して交わらないってことにね。 でも……もう戻れないところまで来てしまったんです。私もあなたもね。こうなったら、形振り構っていられません……ははは」 島村が近付いてくる。 再び下がろうとしたが、壁にぶつかってしまった。 ドアを探したが、島村を挟んで逆側にあった。 逃げ道はない。 「誠人くん、私は二つ嘘をつきました。それを教えて、謝りますから、その暁には……ふふふ、ははは……」 島村しかいない。 87 名前:上書き ◆kNPkZ2h.ro [sage] 投稿日:2008/01/13(日) 21 47 59 ID 637IVz6l 投下終了。次回で終わりです。 88 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/13(日) 23 02 26 ID c8PX/t8a グッジョブお疲れ 次回で終わりかー… 89 名前:機動兵器ヤンダム00[sage] 投稿日:2008/01/14(月) 00 03 11 ID PTqGLfpw 投下します ヒロインの恋愛対象が人外なんで苦手な人はスルーで 90 名前:機動兵器ヤンダム00[sage] 投稿日:2008/01/14(月) 00 06 12 ID PTqGLfpw #8230; #8230;この世界に #8220;神 #8221;なんていない。 私は、ずっとそう思っていたんだ。 だって、いくら祈り続けても、私のお願いを叶えてくれなかったんだもの。 あの頃は毎日、毎日、一生懸命に祈っていた。 #8230; #8230;祈るしか、できなかったんだ。 #8220;どうか、私を助けて下さい #8221;って。 西暦2XXX年。 宇宙へと進出した人類は枯渇した化石燃料に代わり、宇宙太陽光発電によって新たなエネルギーを手に入れる。 しかし、その恩恵に与れるのは莫大な建造費がかかる軌道エレベーターを有する巨大国家群のみで、それぞれの超大国は全面的な衝突こそないものの、軍事技術の開発による冷戦状態に。 そしてそれらに属さない小国は資源の枯渇による貧困にあえぎ、紛争と内乱を繰り返し続ける。 そんな世界に、突如として #8220;彼ら #8221;は現れた。 「 #8230; #8230; #8220;ゼノグラシア #8221;、作戦を遂行します」 <了解、あなたの無事を祈っているわ> ぷつん #8230; #8230;と音を立てて通信が切れる。 オペレーターが告げたお決まりの台詞をもう一度思い返し、少女は薄く笑う。 「 #8220;祈る #8221;だけじゃ、願いは叶わない。 #8230; #8230;そうだよね?」 91 名前:機動兵器ヤンダム00[sage] 投稿日:2008/01/14(月) 00 07 10 ID PTqGLfpw 現場は、数瞬の空隙の後、騒然となる。 新型の機動兵器の公開演習に突如として現れた、純白の人型機動兵器によって。 まるで重力など感じさせず、ふわりと地に降り立ったその機体は、突然の出現にあっけにとられるお披露目中の機動兵器へと右腕部に携えたライフルを向ける。 「野蛮で、無骨で、品性の欠片も感じられない #8230; #8230;」 そのコクピット内で、少女は顔を歪め、吐き捨てるように呟く。 機体のカラーリングとは対照的に真紅のパイロットスーツに身を包んだ少女は、そっと手にしたレバーを撫でさすり、同意を求める。 「あなたもそう思うよね? #8220;ゼノグラシア #8221;」 #8220;ゼノグラシア #8221;と呼ばれたその機体は少女の問いかけには答えず、目前の新型機の詳細を分析し、彼女にデータを提示するのみ。 しかし少女は提示されたデータを確認しつつ、満足げにこくこくと頷く。 「やっぱり、あなたもそう思うよね! #8230; #8230;うん、分かる。あなたの考えていること。だって、長い付き合いだもの」 自分と意見が一致したことに少女は嬉しそうに顔を綻ばせる。 #8230; #8230;が、その幸福を味わい、噛み締める時間はここにはない。鳴り響く警告音。 「ごめん、嬉しくなっちゃって今が作戦行動中だってこと忘れちゃってた。 #8230; #8230;大丈夫、あなたには私が指一本だって触れさせないから」 我に返り、謎の乱入者の迎撃へと打って出た #8220;新型 #8221;が背部のハッチから誘導式のミサイルを乱れ撃つ。 一斉に迫りくるミサイル群。しかし、少女は、 #8220;ゼノグラシア #8221;は動かない。 ぐんぐんとミサイルとの距離が縮まる。縮まり、 #8230; #8230; #8230; #8230;と、ふいに純白の機体の姿が消える。 寸前で目標を失ったミサイルは互いが互いと衝突し、爆ぜる。盛大な爆発音と、立ち込める黒煙。 #8220;新型 #8221;はモノ・アイのカメラをせわしなく左右へ動かし、敵機の姿を探す。 #8230; #8230;見当たらない。 「本当に見苦しい機体 #8230; #8230;」 影が差す。 #8220;新型 #8221;のモノ・アイがぐるりと頭頂部へ移動する。 そして、太陽を背に淡い輝きを放つその機体を、 #8220;ゼノグラシア #8221;を視界に捉えた瞬間 #8230; #8230; 「だから、私たちの前から消えて」 両腕に備えた機関銃を向けることすら叶わず、 #8220;新型 #8221;は #8220;ゼノグラシア #8221;のライフルから放たれた光弾によって打ち抜かれる。 92 名前:機動兵器ヤンダム00[sage] 投稿日:2008/01/14(月) 00 07 53 ID PTqGLfpw 「 #8220;ゼノグラシア #8221;、作戦を完遂。 #8230; #8230;次の作戦へ移ります」 少女が必要最低限の用件だけを通信で伝えると、再びコクピット内に鳴り響く警告音。 レーダーに映る、無数の機影。 #8230; #8230;突然に起こったこの事態にようやく対応し、送り込んできたこの基地の機動部隊だろう。 うっとうしそうにそれを見つめ、少女はゆっくりとヘルメットを外す。 「うん、今はこれで我慢してね。これが終わったら #8230; #8230;ふふっ、後でたっぷり、ね?」 そう言って、少女はそっと機体のコンソールに顔を近づけ #8230; #8230; 「大好きだよ。愛してる。 #8230; #8230;ずっと一緒だよ、 #8220;ゼノグラシア #8221;」 #8220;彼 #8221;に口付けを交わす。 武力による戦争根絶を目指す私設武装組織によって、世界は変革を促される。 これはそんな時代を駆け抜けた、一人の少女の物語である。 そう、物語はすでに始まっている。 世界に絶望し、唯一のよすがであった神への信仰も失った少女の下に、 #8220;彼 #8221;が舞い降りたその時から。 93 名前:機動兵器ヤンダム00[sage] 投稿日:2008/01/14(月) 00 09 25 ID PTqGLfpw 投下終了です 初投下がこんな話で本当にすまないorz 94 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/14(月) 02 20 12 ID N1u3dnjd 86 ずっと楽しく読んでます ………楽しく、うん楽しく読んでます。GJ 92 ヤンダムktkr 期待GJ 95 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/14(月) 02 22 26 ID h733mn0/ どうしてだろう、GJと言いたいのに ○ミ<スポーン という言葉が先に出るのは 96 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/14(月) 08 01 21 ID yW5hkD/j 87 島村さん派の俺としてはちょっと複雑な気持ちになった、かなあ。 でもやっぱり可愛いからおkw 97 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/14(月) 09 43 52 ID JCV+IWZC 71 GJ 水樹には幸せになってもらいたい 87 GJ 上書き楽しみ待ってました 98 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/14(月) 22 04 31 ID TzlQWb6v 89 元ネタの元ネタの信者だからあまり笑えない… まあ別にそんなことどうでもいいんですけどね 99 名前:深月[sage] 投稿日:2008/01/14(月) 22 39 33 ID pk/0UBFF タイトルの読み方は、【深月(しんげつ)】。 最初はわけが分からないかもしれませんが、何卒ご容赦をm(_ _)m 細かな設定や質問などは極力お答えします。 (この先の物語が分かるようなネタバレ的な質問はお答えできませんが) では投下↓ 100 名前:深月[sage] 投稿日:2008/01/14(月) 22 43 50 ID pk/0UBFF 闇に包まれた山道を深山蒼佑(みやま そうすけ)は走っていた。立ち止まることもなく、後ろも振り返らずに。切れ切れに吐き出される吐息は白く、瞬く間に昏い空に溶けていく。 今宵は満月。見慣れていたはずの月はいつもより、ひと際白い気がする。 その中で火照った体を冷やしてくれる冬の寒さと、夜の山道を照らし出してくれる月の光だけが彼にとって唯一の救いだった。 もうどれほど走っただろうか。 今は少しでもあそこから離れ、街に近づけさえいればいい。 街にさえ出ることができれば救いはきっとある。そう信じて蒼佑は走り続けた。 「っ!……あった」 闇の向こう側一筋の光が見える。ようやく山道から街へ続く道路へ出たのだ。 ここまで来れば、街はそう遠くはない。やっとあいつから逃げられる。 走り際に標識を見ると、あと数百メートルで街に出られるようだ。 数百メートル。陸上部だった彼からすればそんな距離、五分も満たない内に完走できただろう。 けれど―――――――――――――――――――― 「…は、はは……」 冷たい月の光がその人影を映し出す。 希望を絶望に変えるかのように、蒼佑の前に一人の少女が立塞がっていた。 西岡美月(にしおか みつき)。小学校からずっと一緒だった、幼馴染。 「そうだよな…無闇に追うよりも逃走経路に網張った方が確実、か。まあ、予想はしてたけど……」 それでも彼女とは会いたくはなかった。 蒼佑から乾いた笑いが自然と零れる。 「なんで、こうなったんだろうな……美月」 彼女の着た白いワンピースは血塗られている。 彼女の白い肌は血塗られている。 故にそれを意味することは一つ。 「……ねえ、そー君」 幼馴染はいつものような柔和な笑顔を浮かべる。 何一つ変わったことなど無い、とでも否定するように。 「早く帰ろうよ。お家は向こうだよ?」 彼女が指差す方向は数時間前まで自分が監禁されていた場所。逃げ出した地獄。 そこに戻れ、と彼女は言う。 まるでそここそが深山蒼佑の帰る唯一の場所とでも言うかのように。 101 名前:深月[sage] 投稿日:2008/01/14(月) 22 45 26 ID pk/0UBFF 蒼佑は背負っていたリュックの中から小刀を取り出す。ずっしりとした重量感がこれが“目の前に居る者”を殺す凶器なのだと告げている。 それを慣れない手つきで幼馴染に向けた。 「そこを、退け」 短く。自分の感情を抑えるように、警告する。 けれどそこに躊躇いがある限り、今の彼女に通用するとは思わない。 「……そー君。そんなことしても無駄だよ」 美月は彼の持つ凶器を気にも留めない様子で近づいてきた。 「いつもそうだったよね。テスト勉強頑張っても勉強する範囲を間違えたり、大会のために必死で練習してたら大会当日に風邪引いちゃったり……そー君って頑張れば頑張るほど空振りするんだよね」 呼吸は荒く、手の震えが止まらない。 「だからね―――――――――」 彼女が近づく度に、足は自然と後ろに下がる。 「これもきっと無駄。いつもみたいに徒労に終わるよ」 白い月の下。 昏い空は深く、底が見えない湖の様。 今宵はいつもよりも月が白かった。 何故、こうなってしまったのだろう。 102 名前:深月[sage] 投稿日:2008/01/14(月) 23 02 16 ID pk/0UBFF 投下終了。書き忘れていましたが、第一話です。 103 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/14(月) 23 17 35 ID pnwDPEhI 102 愛する監禁大歓迎頑張ってGJ 104 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/15(火) 00 02 37 ID FV3Jb57N これは期待 105 名前:深月[sage] 投稿日:2008/01/15(火) 00 08 47 ID O+x5QWq8 投下後改めて自分のスレを読んでみて驚愕。 途中から投稿できてねえっ!? なにぶん今までスレは完全に傍観者側だったので恐らくこちらの不手際かと… 感想を書いてくださった 103氏と、 104氏には悪いのですが再投下 (本当にすみません><) 106 名前:深月[sage] 投稿日:2008/01/15(火) 00 18 19 ID QJH77RNn 夢を見た。 白く、孤独な少女が出てくる夢。 そこが何処だったかは思い出せない。その子が誰だったかは思い出せない。 けれど、確かに僕はその少女を知っているような気がした。 夢に出てきた場所はどこか山の中。古い日本屋敷の最奥。 僕は今は亡き祖父に連れられて、幾重にも連なる赤い鳥居を潜っていた。 どこまでも続く同じような風景に飽きていた僕は「どこに行くの?」と尋ねると、祖父は困ったような顔をして、「これからね、蒼佑と同い年の女の子と会ってもらうんだよ」 それだけでは意味が分からない、と僕は答えた。まるで祖父は僕に何かを、いや自分から本題を遠ざけるような、そんな態度だ。 「その子はね、お前の番いになるかもしれない大事な子なんだ」 「つがい、って何?」 「んー…分かりやすく言うと、お前のお嫁さん、かな?ああ、でも、絶対というわけではないんだ。何人もそういう“候補の子”がいてね、その中の一人から選ばれるんだ」 その時の僕は、祖父が言っていたことがよく理解できなかった。まだ会ったことも、話をしたこともない女の子をなぜ嫁にしなくてはならないのか? 「もし、選ばれたら――――――――――」 だから僕は祖父に聞いた。 「断ったらいけないの?」 暫くの沈黙が続いた後、祖父は今にも泣き出しそうな顔で、 「これはね、【新月】が決めたことなんだ」 【新月】。それは昔から僕にとって大嫌いなものだった。 父と母は【新月】のせいで死んだ、と祖母は言っていたし友達と遊べなくなるのも、決まって【新月】に呼び出されるからだ。 だからきっとこれも、ロクでもないことだろう。ようやく辿り着いた離れの門を前にして、僕はそう確信していた。 107 名前:深月[sage] 投稿日:2008/01/15(火) 00 20 46 ID IKcIIjn4 hr 「ようやくあの子に会える」 「この刻をどれだけ待ち侘びただろう」 「この瞬間が来るのをどれだけ夢見ただろう」 「彼が来るというだけで、何事にも無関心だったボクの心は掻き乱される」 「彼の笑顔を思い出すだけで、氷のようなボクの体は熱くなる」 「彼のことを想うだけで、空っぽだった自分の中が満たされるような気がする……」 「でも……まだ足りない。想うだけでは足りない……」 「だから、アナタのことが、欲しい」 hr 部屋に入った瞬間、彼女と目が合った。そして魅入られるように、彼女から目が離せなかった。 白い、月。 それが彼女を目にした感想。 光の届かない部屋の奥で、白い少女は幽閉されるように“存在”していた。 だから、暗い部屋の奥に居た白い少女がまるで夜空に浮かぶ白い月のように思えたからだろう。 彼女の来た藍色の着物は闇に溶け、足元まである長い銀髪と色素を感じさせない白い肌、そしてその奥に光る朱い瞳。外国人とも違う異質な雰囲気に、自然と息を呑んだ。 それはまるで人形の様に。 全てを見透かすような朱の瞳はそれまで何も、誰も見てはいなかった。たった今入ってきた自分を除いては。 「――――――」 彼女は何かを呟いた後、僕に向かって、笑った。 声は聞こえなかったけれど、何故か彼女が呟いたことがはっきりと理解できた。けれど、なぜ彼女が僕にあんなことを言ったのかは、理解できなかった。 彼女は言った。「お帰りなさい」、と。 まるでここが僕の帰る家だとでもいうように。 108 名前:深月[sage] 投稿日:2008/01/15(火) 00 23 49 ID IKcIIjn4 再投下完了。今度こそ本当に投下完了です。 ご迷惑をおかけして本当にすみませんでした。 109 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/15(火) 00 36 41 ID /fsQVnjI 乙 レスが誘い受けみたいに見れるから、止めた方がいい 次回に期待 110 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/15(火) 05 15 18 ID 3TWRvj5U 歴史上のヤンデレを発見した! 「フアナ女王」か「狂女フアナ」で調べてみてくれ! あと聡史くたばれ! 111 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/15(火) 08 38 08 ID JDfLoMJh ヤンダムの人の記号が見えないのは携帯のせいかな? 112 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/15(火) 12 16 30 ID xHt9gAsu 108 こういう雰囲気は好きだ。 いい依存の兆候も出てるし続き待ってる 113 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/15(火) 17 49 04 ID c3YyXhk/ 序盤マッタリの、姉一人、妹一人、クラスメイト一人がヒロインの話を、 中編くらいで書こうと思うんですが、投下していいですか? 114 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/15(火) 18 23 15 ID VIOGqAAI どうぞどうぞ 115 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/15(火) 18 36 55 ID dl5lKStF 私は一向にかまわんっ! 116 名前:デレ&ヤン[sage] 投稿日:2008/01/15(火) 19 20 13 ID c3YyXhk/ 113ですが投下します。 序盤ハイテンションなので(しかもまだ病んでないし) 嫌いな方注意願います。 117 名前:デレ&ヤン[sage] 投稿日:2008/01/15(火) 19 22 03 ID c3YyXhk/ 俺の名前は裕(ゆう)。 高校二年の男子生徒だ。 家族構成は高3の京(みやこ)という姉が一人、中2の梢(こずえ)という妹が一人だ。 京姐(”みやこねぇ”と俺は呼んでいる)は黒髪ロングストレートで、家の外では性格もよく、 優しげな顔立ちと、175センチの長身とスレンダーな体つき(ただしバストも)で、 どこに出しても恥ずかしくないモテモテの姉だ。 梢の方は、150センチくらいと小柄で、やっぱり黒髪のツインテール。 京姐とは違い、口数は少なく、毒吐きで急所を抉るタイプである。しかも”すぐにキレる”子だ。 バストのほうは・・・ODAが必要かもしれない。 いつも眠そうな目がツボに入るのか、彼女もモテモテである。 両親はというと、母は五年前に他界し、父は俺が小学校に上がるころには、ほとんど家に寄り付かなくなっていた。 118 名前:デレ&ヤン[sage] 投稿日:2008/01/15(火) 19 23 33 ID c3YyXhk/ 「朝ご飯できてますよ、裕君。おきて下さい」 京姐の微かな声に目を開けると、京姐の顔がアップで飛び込んでくる。 横向きに寝ていた俺は、丸めていた背をのばし、さらにそれをもう一度丸めることで、 柔道の寝技回避法「エビ」を繰り出し、京姐の突き出している唇を回避する。 ゴン!! 「ぐわぁっ!?」 突如、後頭部を襲う痛みに悶絶する俺。 ベッドは壁際に配置されており、「エビ」を繰り出せば確実にこうなるのだ。 「ふふ。裕君、梢ちゃんが朝ご飯作ってくれていますから、早く着替えてきてくださいね?」 京姐は楽しそうに笑うと、一階の居間に下りていった。 「京姐は俺に何か恨み・・むしろ怨みでもあるのかな?」 一人つぶやく俺。 何しろ、京姐が起こしにくるときは、いつもキスをしようとしてくるのだ。 で、俺はいつも「エビ」を使っては、頭を打ち付ける羽目になる。 それでも、重度のシスコン(ちなみに姉にも妹にも)の俺は、 キスを甘んじて受ける、という選択はなく、京姐を傷物にしないように、 後頭部を打ち付ける毎日なのだ。 119 名前:デレ&ヤン[sage] 投稿日:2008/01/15(火) 19 24 14 ID c3YyXhk/ 一通りの準備をし、居間に下りると、お吸い物の木の芽の香りが鼻腔をくすぐる。 自慢じゃないが、俺は食べ物にはうるさく、匂いを嗅いだだけで、 ある程度の献立を予想することができる。 「おはよう、京姐、梢!!今日のメニューは、お吸い物と塩鮭、りんごのトルタ、あとラピュタパンだろう!!?」 俺は背景に稲妻を背負い、ピシャーン!!という効果音と共に、梢に指を突きつける。 「おはよう、そうだよ」 梢は、うるさいといわんばかりに言い捨て、食卓に着く。 ・・・目もあわせてくれない。 俺はまたひとつ、心に傷を負った・・・。 ちなみにトルタはイタリアかぶれの京姐の分で、和食は俺の分、 ラピュタパンは梢のお気に入りである。・・・奇妙な取り合わせだ。 「「「いただきます」」」 家訓の皆でいただきますを済ませ、食事(京姐は食餌)に取り掛かる。 京姐は、宅配ピザLサイズはある、巨大トルタを恍惚とした表情で貪り食っている。 いつものことだが、あの体のどこに入っているんだろう? ・・まぁ気にしないでおこう。 そういえば梢は、トルタとラピュタパンと和食、三種類も用意するの大変だよなぁ。 「そうだ、梢。俺も梢と同じメニューでいいぞ?和食って手間かかるし、 三種類も用意するの大変だろう?」 梢は目をパチクリとさせ、急に、恐る恐る、といった風になった。 「でも・・兄は、それが・・好きなんだよね?」 「あ、あぁ、俺は和食党だからな」 慌てて答える俺。 すると梢は、ホッとしたような顔になり・・・次に、鬼の顔になった。 「だ、だったら、黙って食えぇー!!」 梢が、気合と共に腕を一線すると、なにやら粉末状のものが俺を襲う。 「は、ハックション!!・・・?・・・!!ギャー!!」 粉は、ラピュタパン用の黒胡椒だったのだ。 目はビリビリ、喉はカッカッ、鼻はダラダラだ。 読者諸兄には、擬音しか使えない俺の状況を理解してほしい。 「あっ!?兄!ゴメン!つい勢いで・・」 謝辞より水を!釈明より目薬を! 慌てている梢。恍惚のままの京姐。苦しむ俺。 まさに、地獄絵図と化した朝食だった。 120 名前:デレ&ヤン[sage] 投稿日:2008/01/15(火) 19 27 05 ID c3YyXhk/ 京サイド 今朝の裕君は、いつにも増して可愛い寝顔でした。 あまりにも可愛いので、いつものようにキスしようとしたら、 やっぱり避けられてしまいました。 なんで避けるんでしょう? でも頭を打って悶えている裕君は可愛いので、許してあげます。 あぁ、しかし、いけないいけないと思いつつも、 梢ちゃんのドルチェ作戦には逆らえません。 朝食の記憶はおいしいトルタのことばかりです。 ・・・ちょっと反省。 気合を入れなおして泥棒退治をがんばります。 梢サイド 兄に、和食じゃなくてもいい、と言われ、 不覚にもうろたえてしまった。 せっかくの好物なんだから黙って食べてればいいのに・・・ でも胡椒はやりすぎたかなぁ? でも、京姉さんは、ドルチェに夢中だったから、 「裕争奪戦朝の陣」は私の勝ちだね。 さて、争奪戦は家の中だけだから、 あとは協力だよ京姉さん。 高校の泥棒猫を兄に近づけないでよね。 投下終了 121 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/15(火) 20 00 15 ID dBcAdoaS いつも思うんだけど何で主人公はいつも周りが見えないやつばっかなんだろう。 普通に相手の意思を読んでコミュニケーションを取れる主人公のヤンデレ小説は ないのかな? 122 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/15(火) 20 15 57 ID WWCwQ9X1 120 GJ 姉妹可愛いよ姉妹。 123 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/15(火) 20 50 26 ID /6+PPD/e 120 GJ!これからが楽しみだ 121 主人公が上手く立ち回るとヒロインが病みにくいからでは? 124 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/15(火) 21 01 27 ID dl5lKStF 120 グッジョブ 次が待ち遠しいぜ 125 名前:わたしを食べて、みたいな?[sage] 投稿日:2008/01/15(火) 21 53 57 ID WPpTwP0j 「なあ、お前、彼女できたんだって?」 「あ? ああ、うん……」 「なんだよ、あんまり嬉しそうじゃないな?」 「いや……ちょっとね、困ったことがあって」 「困ったことって?」 「彼女さ……今は隠してるけど、手首のところに傷があってさ」 「うわ、なんだそれ、メンヘラってやつ?」 「いや……違うんだよ。リスカ女とかじゃないんだ。傷できたの、僕と付き合い始めてからだし」 「はぁ!? どういうこった、そりゃ」 「実は、何日か前に道を歩いているとき……」 「暑いねえ、瞬君」 「そうだね穂波……あー、なんか喉渇いたなー」 「え、大丈夫?」 「まあ、我慢できないほどではないんだけどね……」 「ダメだよ油断しちゃ! 脱水症状で倒れたらどうするの!?」 「ははは、そんな大袈裟な……」 「ああ、でもどうしよどうしよ、この辺自動販売機もないし……そうだ!」 「? どうしたの、カッターなんか取り出して」 「えいっ」 スパッ! ブシュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ! 「ギャーッ! 穂波の腕から間欠泉の如き熱き血潮がーっ!? な、なにやってんの君ーっ!?」 「えへへ……さ、飲んで瞬君。わたし健康には気を遣ってるから、きっとおいしいよ?」 「そういう問題じゃないよーっ! ちょ、救急車、救急車ーっ!?」 「あはは、大袈裟だねえ瞬君は」 「真っ青な顔して言っても全然説得力ないってば!」 「……ってな具合でさ」 「うわぁ……っつーかよく生きてたなそれ」 「本人は『えへ、あいのちからだよ瞬君』って言ってた」 「間違いではないんだろうが……はぁ、メンヘラより数段性質悪いなお前の彼女」 「まあ、そんなところが物凄く愛しいんだけどね」 「結局幸せなんじゃねえかよ!」 「今度肝臓食べさせてもらう約束を」 「話さなくていいよ怖いから!」 126 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/15(火) 22 09 17 ID 82Uw8w1a 120 GJ! 続きwktk 127 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/16(水) 00 54 50 ID nH+RdVbX 最近スレの進行がクライマックスだなw 追い付くのも一苦労だぜ 皆GJ 128 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/16(水) 01 07 44 ID lEFvRcLI 125これってただの気違いじゃん(´・ω・`) 129 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/16(水) 03 36 08 ID ODXfJBE3 伊南屋さんの「いない君といる誰か」を今でも待ってます。 130 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/16(水) 08 31 14 ID 3246YMCB 絵をか 131 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/16(水) 11 00 05 ID 1JieWkOC 121 沃野とかは? 気持ちを分かっていて、最善を尽くそうとしたけど…… 132 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/16(水) 11 04 25 ID 1JieWkOC しまった……、ごめん ヤンデレスレで嫉妬三角関係スレのことを話して、何してんだ自分 133 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/16(水) 13 05 47 ID dJUB5Vzn 住人の多くは被ってるからいいんじゃね? 134 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/16(水) 14 58 09 ID qyLdUxZV だが断る。 被ってない住人もいるし、 時々他スレの事情を持ち込んで無用なトラブルを起こす輩もいる。 よそのことはそっちでやってくれ。 135 名前:デレ&ヤン[sage] 投稿日:2008/01/16(水) 21 49 49 ID gzK135GS 投下します。 軽いノリ嫌いな人はスルーしてください。 136 名前:デレ&ヤン[sage] 投稿日:2008/01/16(水) 21 52 17 ID gzK135GS 京姐と、梢と連れ立って家を出た。 三人とも一貫教育制の病出学園(やんでるがくえん)に通っているため、 一緒に登校している。 「三兄妹!!おっはよう!!」 通学路の半分くらいを過ぎたところで、 唐突に、大変さわやかな挨拶をかまされる。 挨拶をしてきたのは、 活発さをうかがわせる顔立ちに、ショートカットが似合う 160センチほどの身長の舞という名の少女だった。 ちなみに、俺のクラスメイトで、 ムードメイカーとしてかなりの人気を誇る。 「「おはようございます、舞さん」」 京姐と梢はハモリで挨拶するが、俺はそのまま通り過ぎようとする。 こいつの相手をすると、いつもろくな事にならないからだ。 137 名前:デレ&ヤン[sage] 投稿日:2008/01/16(水) 21 55 04 ID gzK135GS 「待ちたまえゆっちん!!僕との激しい情事のあとだから、 恥ずかしいのは解るが、挨拶くらいはするべきではないのかね!?」 舞はいきなり大声でとんでもないことを言い出す。 次の瞬間、マイシスターズから俺への視線が、冷凍光線に変わる。 さらに、通学路にいた男子生徒が殺気立って俺を睨む。 まずい。・・非常にまずい。 「俺と貴様が、いつ、どこで情事に及んだのだ!!?」 弁解のために舞に詰め寄る俺。 舞は頬を赤く染め、ものすごく恥ずかしそうに言った。 「・・昨日の深夜、僕の夢の中で」 「・・それは非現実だろうが・・・!!」 和らいだ殺気に俺は一息ついた。 舞はそんな俺の油断を見抜いたのか、 素早く、俺の手をとり、自分の胸に押し付けながら言った。 「そんなに興奮してぇ・・じゃあ・・いまから・・する?」 「えっ・・?あぅ・・」 いきなりの色仕掛けに、 俺の顔面が真っ赤になっていくのがわかる。 恥ずかしいことに!俺は!・・色仕掛けにメチャメチャ弱いのだ。 うろたえる俺を見て、舞はクスクス笑っている。 と、ついにマイシスターズが動いた! 「はい、そこまでね?」 瞬間移動で舞の背後に回りこんだ京姐が、舞の脳天にチョップを入れる。 「しねーーー」 いつの間にか舞の懐に潜り込んだ梢が、棒読みで危険な発言をしながら、 アッパーで舞のアゴを打ち上げる。 上下に揺さぶられる舞の脳。 「死んだか・・・?」 舞はピクリとも動かなくなった。 「兄、早く行こう」 「裕君。遅刻しますよ?」 マイシスターズは何事もなかったかのように歩き出した。 俺は軽く舞の冥福を祈り、姉妹のあとを追うのだった。 138 名前:デレ&ヤン[sage] 投稿日:2008/01/16(水) 21 56 17 ID gzK135GS 今日の分は終了 139 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/16(水) 23 33 32 ID yi6OzT3v 舞があっけなさすぎるw ま、この先があるのかな? 140 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/16(水) 23 48 48 ID PpfgFJOx いや、これくらいのソフトなのもたまにはいい 141 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/17(木) 00 10 40 ID PZ1PUTeD 138 GJ! 俺はかなり楽しんでるクチだぜ 142 名前:デレ&ヤン[sage] 投稿日:2008/01/17(木) 23 39 09 ID DPQ73JRh 投下開始 ちなみに、今はデレ期だから物足りなくても、 見放さないでください。病み期までもう少しです。 143 名前:デレ&ヤン[sage] 投稿日:2008/01/17(木) 23 40 12 ID DPQ73JRh 俺が教室に着くと、そこには既に舞がいた。 「た、確かに置いて来たはず・・・!?」 びっくりする俺に舞が気づく。 「ゆっちん、置いて行くなんてひどくなぁい?」 「わ、悪かった・・って言うか、どうして俺より先に着いている・・?」 舞は首をかしげ人差し指を唇にあてる、「考え中」のポーズをとり、 3秒ほど悩む。 「ゆっちんの靴箱から有害図書を捨てるため、かな?」 「俺は動機ではなく手段を聞いているのだが・・ん?」 気付くと、クラス中の視線が俺に向けられている。 (なんでそこスルーなのよ) そんなヒソヒソ話が聞こえてくる。 「なぁ舞、俺何か変なことしたのかな?」 「さぁね?ゆっちんらしくていいんじゃない?」 舞はそんなこと言いながらクスクスと笑っていた。 144 名前:デレ&ヤン[sage] 投稿日:2008/01/17(木) 23 40 57 ID DPQ73JRh 1、2限は体育だ。 選択制で人数が少ないので、男女混合で行われる。 今日の内容はサッカーで、男子の試合が終わり、 今から女子のフットサルの試合だ。 「ゆっちん!僕の活躍を見ていたまえ!そして惚れ直すのだ!」 「あ~活躍を見るのはいいが、直すもなにも、元から惚れてないぞ?」 って言うか大声でそういうことをいうなよ、 いつか男子の誰かに刺されそうで嫌だ。 ピーーーーー。 キックオフの笛と共にフォワードの舞が中央をドリブル突破する。 は、早い・・・! 惜しくもシュートは逸れてしまったが、それでもすごかった。 ・・・ ・・・・ ・・・・・・ 試合終了まで残りわずか。 舞は警戒した相手チームが、 フットサルクラブの人間を2枚付けてきたため、 最初以外は思うように動けないでいる。 試合経過の方はというと、0-0で終わりかけている。 おそらくこのコーナーキックが、 舞チームの最後のチャンスだろう。 ピッ!! 笛の合図で、キッカーがセンタリングをあげる。 すると、舞が味方からのセンタリングを受けるため強引に位置取りに出た。 もちろん相手ディフェンダーとかなりの競り合いになる。 「だぁ!!」 舞は、コートの外にまで聞こえる声と共に 高く飛び上がった。 バス! ピ、ピーー!! 舞がヘディングで点を取るのと、 試合終了の笛はほとんど同時だった。 145 名前:デレ&ヤン[sage] 投稿日:2008/01/17(木) 23 44 00 ID DPQ73JRh あれ?舞の歓声が聞こえないな? 大体こういうときは、大騒ぎする筈なんだが? 「舞!?」 舞は、グラウンドに仰向けになって、足を抱え込んでいた。 俺は咄嗟に駆け寄っていく。 「舞!大丈夫か!?」 舞はかなり痛そうな顔をしているし、 体育教官が足を軽く触るだけで、うめいている。 「着地のときに捻ったらしいな。裕君、悪いんだが 舞君を保健室に運んであげてくれないか? 私は、授業を終わらせないといかんから」 「解りました。舞、悪いな」 俺は舞を、いわゆるお姫様抱っこして保健室へ向かう。 146 名前:デレ&ヤン[sage] 投稿日:2008/01/17(木) 23 44 30 ID DPQ73JRh 「わわ、は、恥ずかしいよゆっちん!! 肩貸してくれればいいから!!」 「こっちのほうが早いし、足への負担も軽い。我慢してくれ」 「う、うん・・」 舞は急にしおらしくなる。 「あんまり張り切るから怪我するんだぞ?」 「ご、ごめんね?ゆっちん」 「まぁ、でも、その・・あれだ、が、がんばったな!!」 梢や京姐を褒めることはあっても、 舞を褒めることはあまりないために、 かなり恥ずかしい。 「っ!!あ、ありがとう・・・ ・・・僕のフラグ立っちゃったかも?」 「えっ?」 「なんでもないよ!!」 舞も俺から褒められることは少ないために、 かなり恥ずかしいようだ。 俺達はなんか変な雰囲気になりながら 保健室にたどり着くのだった。 147 名前:デレ&ヤン[sage] 投稿日:2008/01/17(木) 23 46 14 ID DPQ73JRh 今日の分は終わりです。 全体としては中編より少し長くなるかも? 148 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/18(金) 00 40 31 ID KU5IAqwz 以前『異色物語』って作品を書いていた者ですが、今更続きを書くとか赦されますかね? いやま、理由が無かったわけでもなかったんですが、なんか場違いな気がして…… 覚えてる人いないかなぁ……なんかごめんなさい。 149 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/18(金) 00 51 18 ID s1JJoNU8 ”覚醒進化”とか”一を食べて一に戻る”とかがキーワード? の話ですよね?ぜひ続き読みたいです!! 150 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/18(金) 02 07 52 ID oL6tt301 先ずは投下だ 151 名前:129[sage] 投稿日:2008/01/18(金) 05 57 31 ID cUPpaAtV 130 A-1ルートとBルートが未完結ッス 152 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/18(金) 06 14 53 ID jTvfuMgd 151 絵か?伊南屋さんは絵師だったと思うが 153 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/18(金) 10 09 50 ID eCyeFIoA 147 うむ。これはいいデレ。 154 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/18(金) 14 37 31 ID cUPpaAtV 152 うぁっ間違えたorz ちょっとヤマネに刺されてくる 155 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/18(金) 20 22 39 ID 19tgTHBt ヤンデレな女の子と日常を過ごすのってどんな感じなんだろ…… 156 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/18(金) 20 24 37 ID XHS9dmhf まあ、基地外と暮らしてた俺の経験ではノイローゼになるが精神が基地外サイドに引張られる 157 名前:デレ&ヤン[sage] 投稿日:2008/01/18(金) 20 32 45 ID BIOnKyMu 昼休み、俺は梢と一緒に弁当を広げていた。 弁当は、梢がお重で三人分学校に持ってきているため、 俺と京姐は、毎回、梢と一緒に食べないとメシにありつけないのだ。 以前、一人用弁当箱を新しく買ったら、「洗い物が増える」 との理由で焼却処分されてしまった。 「そういえば京姐は?」 「今日、月曜日」 「なるほど・・・」 病出学園で毎週月曜に行われるイベント、「血涙の月曜日」 まぁ、告白される→ゴメンナサイを京姐が繰り返すイベントのことだ。 なぜ月曜かというと、日曜にラブレターを書くやつが多いってだけだ。 「もてるって言うのも考えものだよなぁ」 158 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/18(金) 20 33 45 ID /OPEUWE+ まあ、二股とかしなければ純粋でいい子なんじゃないか? 159 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/18(金) 20 33 56 ID rgXeQoJ3 三次はヒス持ちか精神病か養って欲しい甘ったれのどれか どの条件と引き替えにセックスするかという問題に過ぎない 160 名前:デレ&ヤン[sage] 投稿日:2008/01/18(金) 20 33 58 ID BIOnKyMu そんなことを呟きながら、卵焼きを口に運ぶ。 「む、これは?」 絶妙な歯ごたえ!甘さ加減! 何より、飲み込んだあとに残る微かなブランデーの香り! う、うまい!! 「寿司屋のヤマイモと鱧のすり身のテクと、 洋酒の使い方の折衷がなんともいえない・・!!腕を上げたな!」 俺は梢の頭をワシャワシャと撫でる。 梢はすぐに首を傾けることで俺の手を回避し、 手櫛でクシャクシャになった髪を直す。 姉さん・・・俺、妹にウザがられてます(泣) 「兄、・・これも・・」 ショックを受けていた俺の前に、 恐る恐る、梢がカツを差し出してくる。 あれ?別にウザがられてないのかな? それとも何か、毒でも入っているのか・・? 俺はとりあえずカツにかじり付く。 「な、何てカツだ・・!!」 肉は豚ではなく牛!しかも薄い牛肉と、 癖の強いヤギのチーズを層にして、小麦粉を使わず、 粉チーズとパン粉をあわせた衣で包んである! 俗にいう”ミラノ風カツレツ”のアレンジだ! 俺の好みを完璧に突いている。 妹でなければプロポーズしている所だ。 「う、うますぎる・・・!!嫁に来てくれ・・・!!」 って言うかプロポーズしてるよ俺。 まぁ、冗談で済むからいいか。 「ほ、本当・・・?」(”嫁に来てくれ”が) 「本当だ!!」(”うますぎる”が) 俺はそういってまた梢の頭をワシャワシャと撫でた。 梢は顔を真っ赤にしてうつむいていたが、 今度は抵抗しなかった。 161 名前:デレ&ヤン[sage] 投稿日:2008/01/18(金) 20 35 05 ID BIOnKyMu 帰り道の一幕 急に委員会の仕事が入った梢を残し、 俺は京姐と家路についていた。 結局昼を食べ損なった京姐はヘロヘロのようだ。 これも、血涙の月曜日のせいなんだろうな 「なぁ、京姐」 「ん~?なぁに~?」 「告白、とかさ、あんまり迷惑だったら言ってくれよ。 俺、何か作戦考えるからさ。今日だって、 結局ご飯食べられなかっただろ?」 京姐は、ちょっと驚いた顔をした後に笑顔になった。 「あら珍しい。心配してくれてるのかしら?」 「べ、別に」 俺はなんだか恥ずかしくなり、ぶっきらぼうになってしまう。 普段しないことをするのは慣れないな。 「大丈夫よ♪それより、お腹すいたなぁ~」 京姐が俺に上目遣いに言う。 暗に何か作ってくれ、と言っているらしい。 「まかせろって!」 俺は、普段は梢と京姐がやらせてくれないから、 家事をしないだけで、主夫を名乗れるくらいの家事スキルを持っている。 「じゃあスーパー寄ってから帰ろう!」 俺達は寄り道することにした。 162 名前:デレ&ヤン[sage] 投稿日:2008/01/18(金) 20 35 50 ID BIOnKyMu スーパーの一番奥、生鮮食品コーナー。 俺は、今日の献立に頭を悩ませていた。 「京姐、肉と魚どっちがいい?」 「裕君が作ってくれるなら、何でも♪」 むぅ、ならばイワシが良さそうだから、 トマトソースで仕立てようか・・ 「ねぇ、裕君?」 京姐はいいながら、 イワシとにらめっこしている俺の腕に、自分の腕を絡めてくる。 「わわ、な、なに?」 かなり慌てる俺。 「こうしてると、私達学生夫婦みたいだよね?」 照れくさそうに言う京姐。 「な、何言ってんだよ京姐」 「冗談っ!早く買い物終わらせようか? 私、お腹空きすぎで死にそうなの~」 京姐はそう言ってレジへと向かっていった。 163 名前:デレ&ヤン[sage] 投稿日:2008/01/18(金) 20 36 35 ID BIOnKyMu 今日の分は終わりです 164 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/18(金) 21 38 34 ID i2P/D07e 163 主人公無意識にフラグ立ててるなあw 意識されないってちょっと梢カワイソス 165 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/19(土) 00 39 38 ID amvSYpQN 163 じれったいから一気に投下してwwwww 166 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/19(土) 00 42 48 ID 2p2r3GNH ここでは死亡フラグに等しいが。一人が病むのか、皆が病むのかそれが問題だ。 しかし…ここの住人は三次に対して異様に冷徹だな。何ぞ、童貞には分からない境地でもあるのだろうか。 167 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/01/19(土) 06 31 21 ID q6ZhXnmH 168 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/19(土) 08 16 47 ID jOaeJmCi 166 俺の知る限り、エロパロ板と角煮の住人はリアルの話題に対してとても冷たい反応をする。 あれだ。リアルツンデレが可愛くなかったりうざったく感じたりするのと同じようなもの。 リアルヤンデレも本当に凶行に走ったら犯罪者にしかならないだろ。 可愛く感じるラインは、男と仲のいい女友達にやきもちを妬くぐらいじゃないか? 169 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/19(土) 08 53 43 ID jI06MJPf 僕っ娘とか惨事でみてると殺意しか沸かないもんな。 と、書き込もうとしたら僕っ娘ヤンデレという電波を受信した。 170 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/19(土) 10 42 07 ID hLUYV7Pk 137 なんか舞は 亜沙先輩みたいでいいなあw 空鍋を想像してしまうw 171 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/19(土) 15 53 47 ID 41wzIhE0 169 ボクっ娘は三次だとなー 二人でいるのは恥ずかしい 二次ならヤンデレでも可愛くね? 172 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/19(土) 17 53 26 ID msqn9l87 ヤンデレなら惨事でも 173 名前:デレ&ヤン[sage] 投稿日:2008/01/19(土) 22 18 54 ID ulkKILrz 次の日の夕食。 「お、今日は京姐のたらこパスタか」 京姐はパスタ類が特に得意だ。 もちろん市販のペーストなど使わない。 フライパンにオリーブオイルを多めにしき、 刻んだ長ネギとパセリを炒める。 そこに、オーブントースターで炙ったたらこをブツ切にしていれて、 茹でたパスタにサッと絡めれば完成だ。 たらこは食べる人の好みに合わせて火を入れるべし。 読者諸兄もお試しあれ。 「うむ、絶妙の火加減!うまい!」 「おだてても何も出ませんよ、裕君」 京姐はうれしそうに笑う。 そういえば、舞の家が持ってる別荘に 悪友連中と遊びに行く計画立てたんだっけ。 二人に伝えなくちゃ。 「あ、そうだ。俺、週末・・・金曜の夜から、月曜の夜まで、泊まりで遊びに行くから」 月曜日は創立記念で休みなのだ。 「そ、そうなの~それで・・」 「ど、どこに、誰と行くの、兄?」 なんだか、二人ともすごく慌てている。 「内田とか川中とかと、舞の別荘に」 グニャリ! あ、二人がフォーク握りつぶした。 ・・・確かこのフォーク、チタンだぞ? 「あら、ちょっと代えのフォーク取ってくるわね」 「・・・ジュース取ってくる」 キッチンに消えるマイシスターズ。 「舞が別荘持ってるって知って驚いたのかな?」 俺はとりあえずパスタにかぶりつくことにした。 174 名前:デレ&ヤン[sage] 投稿日:2008/01/19(土) 22 19 53 ID ulkKILrz 短くて申し訳ないんですが、今日はこれだけです 175 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/19(土) 22 56 32 ID bO2neGiW 174 ちょw GJでwktkしてきたんだけど、さすがに短すぎるw 無理に毎日投下しなくてもいいと思われ 176 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/19(土) 23 27 13 ID qqN6mW2D 頑張りすぎだ グッジョブお疲れ 177 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/20(日) 00 14 35 ID FrdBK8N7 gj 無理し過ぎんなよ 178 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/20(日) 01 00 43 ID 2w7H1Eos 数日かけて長い文章創って投下でもいいからwww GJです 179 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2008/01/20(日) 10 21 01 ID Czr6Onq7 投下します。 かなこルート、24話です。 180 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2008/01/20(日) 10 22 00 ID Czr6Onq7 第二十四話~逃亡~ 「さあ、雄志様。参りましょう」 かなこさんが一歩詰めてきて、手を差し出した。 手を取ってくれ、ということか? 「どこ、に……」 「もう一度、共に私の屋敷に来てくださいませ。そこに、殺されるにふさわしい場所を用意してありますわ」 自分の家に殺される場所の用意を済ませてから、ここにやってきたのか? 死の覚悟は既に済ませているということなんだろう。でも、どうしてかなこさんは普段と変わらないんだ。 少しも恐れを見せず、堂々として、澄ました顔でいられるなんて。 かなこさんは死すら恐れないというのか? 俺を――たった今殺してくれと自ら頼んだ人間を、自分の死地へと連れて行こうとしている。 死ぬことを恐れるどころか、望んでさえいる。 さっき言っていたのは、もちろん俺の真の望みじゃない。 きっと自分の望みを、俺の望みへと投影しているんだ。 「……死に急いじゃ駄目です。死ぬってことは、そこで、もう……」 「もちろん、理解しております。既にわたくしは一度死を迎え、それを越えているのですから」 そこで、かなこさんが物憂げな表情になった。 「……胸を貫かれる瞬間に脳裏に浮かんだのは、雄志様のお顔でした。 常に傍に寄り添い、共に日々を過ごしてきた、大切なお方。 これでもう、雄志様と顔を向き合わせて喋ることも、不意に困らせてしまうこともなくなってしまう。 そう思うと無性に寂しくなり、最期にもう一度お話ししたい、と願いました。 体中から力が抜け、目を開けることすら精一杯になった頃、雄志様はやってきてくださいました。 あのまま、一言も告げることなく離ればなれにならず、本当に、本当に良かったですわ。 おかげで、こうして出会うことができ、そして望みに応えていただけたのですから」 手を差し出したままのかなこさんが近づいてきた。 「さあ、手をお取りくださいまし。そして、あなた様の望みを達してくださいまし」 この人は全てわかっているんだ。死の意味も、自分自身の望むことも。 ただ、俺自身に関することだけはわかっていない。 「俺は、かなこさんを殺しません。 誰かを殺したいなんて、これっぽっちも望んでなんかいませんよ。 俺が、かなこさんを好きだったとしても」 目を泳がせて華を見る。 俺の言葉に大きな反応をせず、かなこさんを見ているだけだった。 そのことに安堵して、続きの言葉を言う。 「好きだったとしても、殺したいだなんて絶対に思いません。 誰が、好きな人を殺したいなんて願うっていうんです」 「わたくしにはわかります、雄志様のお気持ちが」 ……まだそんなことを言うのか。 「少しばかり話が離れますが――わたくし、ふと雄志様のお命を奪いたいと思うときがあるのでございます。 憎いから、ではありません。大事にされているお命を奪って全てを手中に収めたい、という考えとも少々違います。 それ以外に、それ以上に想いを伝える方法が浮かばず、また、雄志様の想いを知る方法も考えに浮かばないのです。 愛していると幾多の言い回しで伝える、体を重ね合わせて全てを委ねる、というだけでは足りないのです。 抱きしめて、そのまま一つに溶け合う想像をしていると、最後には体を腕で潰してしまいます。 その時は結果として雄志様を殺してしまうであろう――ということでございます。おわかりになりましたか?」 「…………なんとなくは」 「その想像の、わたくしと雄志様の立場を交換することで、お気持ちが理解できましたわ。 愛するがゆえに、雄志様はわたくしを殺したいと望んだのだ、と」 181 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2008/01/20(日) 10 22 43 ID Czr6Onq7 力を込めて抱きしめても、好きだと言っても想いが全て伝わらない。 愛しいと思う気持ちを感じとってくれないかもしれない。言葉はいくらだってごまかせる。 いっそのこと、自分の思うまま、相手がどうなろうと気が済むまで好きにしたい。 そうすることで相手も気持ちをわかってくれるのではないか、と思ったことはあった――かもしれない。 なんとなくだけど、同じ気持ちを想像することができる。 それでも、やっぱり俺の考えは変わらない。 「さっきから言っているじゃないですか。俺は、かなこさんを殺しませんよ。絶対に」 「では、なぜ今朝、わたくしを殺そうとなさったのです?」 「それは……」 正直に理由を言いそうになったところで、口をつぐむ。 かなこさんを目の前にしたら暴力を振るいそうになる。これが理由だ。 もし、そのことを言ってしまったら、どうなっていたか。 自分を殺してくれと頼んでくる人間が、今の俺の状態を利用しないはずがない。 今のこの状況だからわかる。この衝動は、たった一発殴るだけじゃ収まらない。 全力で腕を振り回して、相手が動かなくなるまで止まらない。 頭は冷静なままなのに、腕がぶるぶると震えている。 すぐに駆け出せるほどに脚の筋肉に力が漲っている。 全ての力の向きが目前のかなこさんへと向けられている。 これが本物の、純粋な殺意なのか。 今までの人生で経験してきたどんな怒りよりも、強力に思考を熱くさせ、理性をかき乱して走り回る。 頭の中がドロドロしているのに体だけは恐ろしく醒めていて、どんな無理でも利きそうだ。 これは俺の憎しみじゃない。かなこさんを憎んだりしていない。 じゃあ、一体何が原因だ? あの本と、前世が関わっている? 今抱いている憎悪は、あの本が与えたもの? ああくそ、俺自身がもう一人憎たらしく感じる奴が出来た。 どこのどいつだ、あの本を作り直した迷惑な人間は。 あんなものがなければ難題を抱えずに平凡に暮らせていたんだ。 就職先を探しつつバイトして、華の料理にびくびくしつつアパートで過ごして、香織と親友――いや、それ以上の関係でいられたのに。 駄目だ。流されてしまう。 今朝以上に誘惑が強い。力を振るいたくて仕方がない。 拳が力を持て余している。ぶつける先を求めて暴走しそうだ。 爪を手のひらに食い込ませながら、口を開く。 「あの時は……かなこさんを止めようと思っただけです。あのままだと、香織の命が危なかったから」 「なるほど、そういうことでございましたか。それでは、あの女の命を先に奪うといたしましょう」 「なんっ……?!」 「そういたしますれば、怒りに我を忘れた雄志様が、その気になるかもしれません。 それに、あの女には恨みもございます。わたくしの居ない隙に横から奪おうとした女など、死んでしまえばいいのです」 香織を、かなこさんが? 香織は無関係なのに。 そんなことをさせるわけにはいかない。絶対に。 ここでかなこさんを強引にでも止めなければ香織が危ない。 今はあいつに近づくことはできないけど、それ以外にもできることはあるはず。 182 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2008/01/20(日) 10 23 47 ID Czr6Onq7 ――俺が今するべきこと。それは、 「それでは雄志様。わたくしは天野香織の命を奪って参ります」 ――この、人を殺すことをなんとも思っていない人を、 「次にお会いするときは、その証を持って参ります。それまでにどうか、覚悟をお決めになってくださいまし」 ――■すことだ。止めるんじゃなくて、■すこと。 この人は止めたって無駄だ。動けないようにしてやらないと、絶対に諦めない。 感情に流されている気がするが、そんなことはどうでもいい。 脳裏に浮かんでくるいくつもある手段のうち、どれかをとればいいだけだ。 どれも簡単だ。呼吸のタイミングや肉と骨に伝わる感触まで想像できる。 単純に後ろから殴り倒す、これで行こう。 歯を噛みしめ、標的を捉える。 弾けるような快感と、力を解き放つ開放感を味わう。 かなこさんが背中を向けた。その背中へと睨みを飛ばす。拳を固める。 体の重心を前傾させ、地面を蹴ろうとする、その直前。 目前の光景が一変した。 まず左側から何かが素早く視界に入り込み、かなこさんの後頭部へ向けて走る。 直撃する前に、かなこさんはしゃがんでそれを躱した。 「ちっ!」 飛来したものは、華の放った右の回し蹴りだった。 振り抜いた右足の勢いをそのままに回転して、しゃがんでの足払い。 これをかなこさんは前転で回避する。振り返ってお互いに向き合い、にらみ合う。 俺はその様子を離れた位置から見ていた。 気づけば抱いていた殺気は不気味なまでに霧散していた。 まるで、歯を抜き取られる悪夢から目覚めたときのような爽快感が残っている。 華の後ろ姿を視界に収めながら、かなこさんを見ると、なんとも恨めしげな目をしていた。 「今のは、どういうつもりでしょうか?」 「わかりませんでしたか? あなたの望む通り、殺してあげようっていうんですよ、私が」 華の言葉を聞き、さらに表情の険が強くなる。 「わたくしはあなたではなく、雄志様に殺されることを望んでいるのですよ。話が難しくて、理解できなかったのですか?」 「難しくはなかったですけど、理解不能でしたね」 「まあ……一体どの辺りが?」 「まず、おにいさんがあなたみたいな女を愛している、というところからです。 話を聞いていないんですか? それとも耳の穴に汚れでも溜まっているんですか? おにいさんは、あなたのことなんかちっとも好きじゃないんですよ。むしろ…………、言わなくても、わかるでしょう?」 「雄志様は素直になれないお方です。ならば、こちらが想いを察するべきである、とわたくしは考えます」 「ふうっ……」 華が馬鹿でかいため息を漏らした。 「あなたの自分勝手な妄想に付き合っているだけで、こっちまで疲れてきちゃいますよ」 「それならば早々にお引き取りを。雄志様とわたくしの間にあなたが割り込むことそのものが間違いですわ」 「ですね。面倒なことは省いて――手早く片づけてあげますよ」 183 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2008/01/20(日) 10 25 12 ID Czr6Onq7 頭一つ分だけ華の背が低くなる。 重心を落とした状態から駆け出し、三歩目で跳躍。右の跳び蹴りがかなこさんの頭部を襲う。 腕で防ぐことはできていたが、威力は殺しきれず体が傾ぐ。 続けて、至近距離からの右拳を受けてかなこさんの体が後ろへと勢いよく倒れた。 「つっ……」 「ふん、たいしたことのない。これなら十本松あすかの方がずっと手強かったですよ」 腹を押さえて苦悶の表情を浮かべる様子を、華は見下ろしていた。 今のは手加減抜きの攻撃だった。ということは、今ので殺すつもりでいたのか? いけない。華に人殺しをさせるなんて、それを見ながら何もせずにいるなんて、できない。 誰も死ななければいいんだ。ただそれだけでいい。 なら、どうすればいい? 二人を近づけさせないようにするには――――できる。簡単だ。 根本的な解決にはなっていないけど、この場をしのぐことは出来る。 「それじゃあ、そのまま惨めに、勘違いしたままで亡くなってください」 「…………誰が、あなた、などに」 「言っても無駄です。とっくに詰めの状態になっているんですよ、この勝負は。 じゃあ、さようなら。元大学の先輩で、無力なお嬢様」 華の足が高く上がる。踵の位置が頭の頂上まで達している。 それがかなこさんへと振り下ろされるより早く、俺は動く。 「んん?! ……わわわっ!」 腕を伸ばして襟を掴み、華の体を後ろに倒す。 振り向くと同時に、倒れつつあった体を脇に抱えて、そのまま走りだす。 俺がとった選択肢は、かなこさんの前から逃げ出す、というもの。 こんなことをやってもいつかは見つかってしまうかもしれない。 だが、現状でかなこさんを説得する材料を持ち合わせていない以上、それは不可能。 なら、逃げる以外の選択肢はない。 184 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2008/01/20(日) 10 27 56 ID Czr6Onq7 ただ一心に足を動かし続ける。どんなペースで走っているのかも把握できない。 左腕に振動。華が腕の中で暴れている。落とさないよう、抱え直す。 「なんで逃げるんですか! せっかくのチャンスだったのに!」 「あんなのチャンスでも何でもない!」 「ここで仕留めておかないといつかおにいさんに危害が及びますよ!」 「その時は、その時だ」 俺に危害が及ぶぐらいなんてことない。死なない限りは。 だが、かなこさんや華や、香織が死んでしまうかもしれないなら、それを回避するべく動く。 別に理由も何もない。見知っている人に死んでもらいたくないと思っているだけ。 たったそれだけの簡単なことが、さっき目の前で破られようとしていた。 「お前も簡単にああいうことをするな! 後先を考えろ!」 「後先なんかどうだっていいんですよ。今が大事なんです、私には。 もう…………居なくなって欲しくないんですよ。寂しいのは御免です」 ん? 何か今、小声で言ったような……。 「てゆうかおにいさん、さっきからどこに手を回してるんです!」 「何が? どこか変なところでも触ってるか?」 ただ華の胴に腕を回して、その状態で走り続けているだけなんだが。 「こんな、誘拐犯みたいな抱え方をするのはやめてください!」 「やろうか? 姫だっこ」 「やり方の問題じゃなくって……ああもう、自分で走れますから! 放してください!」 一際強く暴れられたので、立ち止まって華の体を解放した。 目を合わせた時の華は、あからさまに不機嫌そうで、照れてなんかいなかった。 小言を言われる前に走り出す。 後ろから制止の声が聞こえてきたが、もちろん立ち止まらずに走り続ける。 かなこさんの声や、車の追ってくるような音は一切聞こえてこなかった。 185 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2008/01/20(日) 10 31 04 ID Czr6Onq7 路地が左右に分かれている。普段ならば右へ向かうが、今はそちらへは行かない。 速度を落として華にスピードを合わせる。手を強引に引き、左へ折れる。 この先をまっすぐ走れば、国道沿いの歩道に出る。 「ちょ、どこに行くつもりですか! アパートは反対側ですよ!」 「だからだよ!」 右の道はアパートへ帰宅する際に使用するルートだ。いつもなら迷わずそっち側に進んでいる。 だが、アパートに逃げ込んでも、すぐにかなこさんは行き先を突き止めてやってくるだろう。 もしかしたらすでに誰かが待っているかもしれない。 「じゃあ、どこに行く気なんです?!」 「……わからないけど、とにかく逃げるしかないだろ!」 とりあえずバスか、タクシーにでも乗って、時間を稼ぐしかない。 行方をくらまし、落ち着いた場所で、これからの行動を決めよう。 華の手を引いて歩道を走り続けていると、後ろから車がやってきた。 追い越した車は、かなこさんと初めて会った日に見た、でかい黒リムジンだった。 リムジンは次の電柱の傍で路肩により、停止した。 この路地は一本道。左右にも道はあるが、どれも誰かの家に向かうだけ。 「止まったら駄目ですよ!」 「わかってる!」 あの車には、おそらくかなこさんが乗っている。運転しているのは執事の室田さんか、他の誰かか。 待て。だとしたら通り過ぎるときにドアを開けられでもしたら、足を止められる。 道の幅は二メートルくらいだから、リムジンが左右どちらかのドアを広げでもしたら通れない。 ドアを飛び越す――のは、無理だ。あの車高、俺の首よりも高い。 運良く窓が閉まってる、なんてご都合主義な展開はないだろうし。どうすれば。 「おにいさん、手を離します!」 突然、華が俺の手をふりほどき、前に出た。 考え事をしていたせいで俺のスピードが落ちたのか、と疑ったが、そうじゃなかった。 華は俺より速く走っている。走り続ける俺の進路に割り込み、リムジンの背中へ一直線に進んでいく。 ぶつかる! と思った瞬間。 「――――ぇ」 跳んだ。 スペースの少ないリムジンのトランクの上に着地し、続けてルーフに飛び乗る。 なんてことするんだ! と、叫びたくなった。 だって、こんな高そうな、俺じゃあ一生かかっても買えそうにない、それこそ宝くじで夢を叶えなければ 手の届かない車に華の奴は飛び乗ったのだ。 乗ったということは当然靴で踏んづけている。足蹴にしている。 気が引けて、同じ行動をとれない。靴跡をつけただけで数十万請求されそうな気がする。 トランクの手前で足を止めると、上から怒鳴りつけられた。 186 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2008/01/20(日) 10 33 44 ID Czr6Onq7 「何ぼけっとしてるんです! 早く!」 「いや、だってこれ」 「いいんですよ! 下にいるこいつらが悪いんですから!」 「そりゃそうだけど、やっぱりどうも――」 「ああ、もう! こんなのただの四輪車じゃないですか!」 ただの四輪車、て。どう見たって三千万は下らないぞ、この車。 「傷つけられたくなければこんなところで止らなきゃいいんですよ!」 とか言いながら、持ち上げた右足でルーフを踏みつける。 踏みつけられてもまぬけな音が鳴らない。冷水を浴びせられたみたいに俺の心が震えた。 「早く乗ってください! これだけやったんだからこれ以上やったって同じですよ!」 説得になってない! こいつはなんでこんな頭の痛くなることばっかり! 「あー…………」 「早く!」 「くっ……でぇえい!」 もうヤケだ! 既にかなこさんから逃げてるんだから、塗装費の請求からも逃げ切ってやる! バンパーに足をかけ、トランクを踏み台にして、ルーフに乗る。車の上に乗ったのは今日が初めてだ。 ルーフに乗ったと同時に、華はボンネットを踏んづけて地面に降りた。 俺もそれに続く。結構大胆に着地したつもりだったが、足裏はボンネットの硬質な感覚だけしか覚えない。 どれだけ堅いんだろうか、とか確かめる間もなく、歩道に着地。 待ちきれなかったのか、華は俺の手を握って走り出した。 もつれる足の運びを直しながら、後ろを少しだけ振り返る。 リムジンは追ってくることもなく、止った場所で佇んでいた。 187 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2008/01/20(日) 10 36 18 ID Czr6Onq7 国道の前に出て、近くにあったバス停で待っていると、焦る気持ちが進まないうちにバスがやってきた。 行き先は隣の市になっている。どこでも行き先は構わなかったので、迷わずそれに飛び乗った。 他に乗客は一人もいない。一番後ろの座席に向かい、倒れ込むように座った。 左側に華が座る。それを待っていたかのように、バスが動き出した。 大きく息を吸い、首をうなだれながら吐く。同じ動きを三回繰り返すと、ようやく気持ちが落ち着いた。 「そんなに疲れました?」 「……おー」 「だらしない生活を送っているから、たったあれだけの距離でバテるんですよ。まったく、もう」 「あー、すまん悪かったごめんお前が正しい、だから静かにしてくれ」 手をひらひらと振って言うと、華は眉根を寄せたが、黙ってくれた。 今は相手をする気力がない。確かに俺はバテている。それは認めよう。 だが、その原因は走ったからではなく、追われていて心が焦っていたから。 もう一つは逃げるためには仕方がないとはいえ、結果的に二人してリムジンを足蹴にしてしまったからだ。 最高の高級車の塗装代っていくらだろう。全塗装したら百万じゃ足りないよな、間違いなく。 これで、かなこさんと塗装代の請求、二つから逃げ切らなければいけなくなってしまった。 どちらに捕まっても俺はとても困る。いや、別々じゃなくて、セットになっているか。 つまり、もし捕まりでもしたら、とても手の届かない金額の借金を背負い、かなこさんに自分を殺してくれと迫られる。 金の問題は、地道に返していけばなんとかなる。解決できる類の問題だ。 しかし、かなこさんを諦めさせることは、時間を置いて解決するようなものじゃない。 何か、諦めさせることができる材料でもなければ。 数日のうちは逃げ続けることができるだろうが、いずれかなこさんは強硬手段に出て、俺に手を下させようとするだろう。 たとえば、香織や華、もしくは俺の家族や知り合いの誰かを人質にとって、殺すことを強要してきたり。 他にも、いくつか手段はあるはずだ。 かなこさんを殺す以外で、問題を解決させる方法。 それを見つけ出さなければいけない。 「……んだけどなあ」 「何か言いました?」 「いや、独り言」 方法が見つからない。 このままかなこさんから逃げ続けることなんかできっこないのに。 もし次に会ったときもまた逃げて、その次も逃げて、その次も……なんていつまでも続けていられない。 このバスが目的地に着くまでに、いい方法が浮かべばいいんだが。 188 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/20(日) 10 37 45 ID Czr6Onq7 今回はここまでです。 展開が遅くて申し訳ない。 189 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/20(日) 11 36 25 ID tdiuiFSc 188 GJ! 華、いいキャラしてるなぁ 190 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/20(日) 14 56 29 ID APk4e+Lm GJ 華かわいいよ華。 でも悲しいけどこれかなこルートなのよね(´・ω・`) 191 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/21(月) 00 44 23 ID AsZQQZlR GJ 次回も楽しみにしてます 192 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/22(火) 16 31 00 ID m/kCkc0L ことのはぐるまキテター。 GJっす。。続きにwktk 193 名前:無形 ◆UHh3YBA8aM [sage] 投稿日:2008/01/23(水) 20 23 12 ID WIoPUPLv 新年明けましておめでとうございます 本年も宜しく申し上げます では、投下します 194 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/23(水) 20 39 01 ID 3nTQac9i 支援? 195 名前:ほトトギす ◆UHh3YBA8aM [sage] 投稿日:2008/01/23(水) 20 41 21 ID WIoPUPLv 朝の通学路。 僕は今、そこを歩いている。 これは僕の意思なのか。 それとも、別の何者かの意思なのか。 実のところ、理解が及んでいない。 無論、学校へ往くと云う目的――或は慣例があり、それに従って行動しているのだから、大元では、僕 の意思であり、決定であると云える。 けれど、と、僕は思う。 こうして歩く。 否。 『歩かされている』ことは、自身の望んだそれではない。 僕の馬手に笑顔で腕を廻す一人の女性。 これは、その人の意思ではないだろうか。 織倉由良。 一昨日までは、尊敬する世話焼きな先輩。 そして、昨日からは、僕の恋人。 僕の弓手には、包帯が巻かれている。 云うまでも無い、従妹によって与えられた『罰』だ。 他方、織倉由良の押手にも、包帯が巻きついている。 それも、僕に与えられた『罰』なのだと云う。 「素直にならず」、「本心を偽った」、「悪い後輩に対する」、「本気の現れ」だと。 僕の腕にしがみ付く織倉先輩の表情は明るい。 道往く人人は、そんな僕らをどんな風に眺めているのだろう。 少なくとも、僕自身は冷ややかだ。 願わくば、今この瞬間が、夢幻であらんことを―― 「ねえ、日ノ本くん」 昨日の早朝。 立ち上がった織倉由良は、銀色の金属を片手に笑っていた。 それは折りたたみ式の果物ナイフ。 刃は大きめで、一般のそれよりも若干分厚い。 彼女は刃をむき出しにして、しっかりと柄を握り締めていた。 先輩は笑顔。 華の様な、晴れやかな笑顔。 破顔したまま、僕ににじり寄る。 「・・・先輩・・・?それ、何です、か?」 僕は引きつった顔のまま、銀色の金属を指差す。 この人は、どうしてこんなものを握り締めているのだろう。 どうしてこんな事になっているのだろう。 竦んでしまったのか、上手く身体が動かない。 「これ?これはね、保険」 「ほ、保険?」 「そう、保険。日ノ本くんが素直になってくれなかったときのために、一応持ってるだけだから」 だから気にしないで? 小首を傾げるように笑う。 (そんなこと云われても) 気にならないわけが無い。 「保険って、何の保険ですか・・・?」 声が震えている。 これは本当に自分の声だろうか。 僕が問うと、彼女は奇妙な笑顔のままで、ふふふと笑った。 子供の悪戯を微笑ましく見守る様な、そんな場違いの笑みだった。 「ねえ、日ノ本くん。私、知ってるんだ」 「何を、ですか・・・?」 “銀色”ばかりに目を奪われる。彼女の顔が、よく見えない。 ゆらゆら。 由良由良。 刃物が揺れる。 196 名前:ほトトギす ◆UHh3YBA8aM [sage] 投稿日:2008/01/23(水) 20 43 35 ID WIoPUPLv 「ふふ・・・」 織倉由良は、声を出して笑ったようだった。 声を出して笑って、それから無造作に僕に抱きついた。 「日ノ本くん、貴方、私のこと、好きでしょう?」 「――は?」 白。 頭の中が、真っ白になる。 “銀色”のことも忘れて僕は呆けた。 片耳は聞こえない。 故に聞き違えたのかも知れぬ、と、そう思った。 それほどまでに彼女の言動は突飛で、この状況には不釣合いだったのだ。 「日ノ本くん、いつも私のこと、見てたでしょう?いつも私のこと、気にしてたでしょう?・・・知っ てるんだ、そういうの全部。全部知ってるの」 「なに、」 云っているんだ、この人は? そりゃ今までは、食事を御馳走になるとか、普通の先輩後輩に比べても、仲が良かったけれど。 でも、逆に云えばそれだけだ。 綺麗な人とは思うけれど、この人に懸想したことなど一度も無い。 勿論、誤解させるような言葉も云った事が無いはずだ。どうしてそういう結論になるのだろうか。 なのに、この人は何かを確信しているように、 「そうでしょう?」 等と質して来た。 (違う) そんな風に思っていはしない。 そう伝えようとして、思い出した。 僕の背中に廻っているこの人の右手には、刃物が握られているのだと。 「・・・・・」 僕は答えに窮する。 何と云えば良いだろうか、思いつきもしない。 時間にして数秒。 僅か数回分の呼吸の間。 けれど彼女は焦れたのか。 「答えて日ノ本くん。素直に云ってくれれば良いのよ?」 耳元に囁かれる声は強い。 (素直に?) 素直になんて、答えられるわけも無い。 「と、兎に角離れて下さい。このままじゃ、答えられないです」 取り敢えず、僕はそう返した。 背中に流れる汗が冷たい。自分の顔は多分に引きつっていただろう。 なのに、この人はどう解釈したのだろうか。 照れたような、奇妙な笑顔で頷いた。 「そうよね。日ノ本くん、奥手だものね。こうしていたら、答え難いかな?」 くすくすと身体を揺らしながら、彼女は距離を戻した。 「・・・・」 僕は彼女の持つ“銀色”に再び目をやって、じりじりと後ずさる。 一先ず答えを先延ばしにした。 けれど、このままではマズイだろう。 僕の背後は出入り口。 いざとなれば―― 「駄目よ?」 織倉由良は背後に廻る。 唯一の出入り口。 それを塞がれる。 「ちゃぁあぁんと答えてくれるまで・・・・・、帰してあーげない・・・」 僕の胸中を看破した先輩は、悪戯っぽく笑う。 一寸した悪ふざけみたいに、悪意無く。 だけど、僕には、それが却って怖ろしく感じられた。 『壊れている』 197 名前:ほトトギす ◆UHh3YBA8aM [sage] 投稿日:2008/01/23(水) 20 45 38 ID WIoPUPLv 織倉由良の反応は、明らかにおかしい。 目の前の人間は、どこか壊れているのではないか。 僕には、そんな風に思えたのだ。 「せ、先輩・・・」 「ん?何、ナニ、なぁに?」 これから確実に訪れる幸福。 それを判りきっていて、尚恍ける様な仕種をする先輩。 この人は。 この人は僕が自分を愛していると“確信”しているのだ。 このすぐ後に、愛の言葉が囁かれるものと決め付けている。 何故そう思えるのか。 それを知る術は無いが、彼女がそう思い込んでいることだけが現実だ。 僕は―― 「先輩」 「何かな?」 嘘だけは吐きたくなかった。 だから。 「申し訳ないです」 勢いよく頭を下げる。 「僕は、貴女を異性としては意識していない。素敵な人だとは思うけど、恋愛感情は持ってません」 ついこの間。 実の妹のように思っていたある少女に婚約を持ち掛けられた時と、類似する状況。 “あの時”は片耳を失って尚、思い通りには往かなかったが。 今回はどうなるのだろう。 嫌な予感がする。 僕は拳を握り締め、反応を待った。 「・・・・・」 答えは返ってこない。 腰を折っているので、対象の表情も見えない。 (どうなった・・・?) 恐る恐る顔を上げる。 先輩は。 織倉由良は笑顔を消していた。 「ふぅん?」 けれど意外なことに、そこに怒りは無いようだった。 予測の範囲内。 僕をまじまじと見つめる先輩の表情は、無言のままそう云っていた。 「やっぱり聞いた通りなんだ?」 「え?」 「可哀想・・・」 憐憫の表情で、織倉由良は僕を抱きしめる。 (どういう事だ・・・?) 理解出来ない。 何がどう可哀想だと云うのだろうか。 何が聞いた通りなのだろうか。 「その事も知っているのよ?」 「その事?」 先輩は頷いて抱擁を強める。 「日ノ本くん、昔好きだった娘に、酷い振られ方をしたんでしょう?」 「!!」 ――藤夢。 僕の脳裏に泣きながら走り去る女の子の姿が浮かんだ。 あれは、僕にとっての忌むべき記憶。 けれど、気に病んでも仕様の無い昔話。 (いや、それよりも・・・) 「何で先輩が、その事を・・・!」 「私は知ってる」 聞こえる声は片方だけに。 198 名前:ほトトギす ◆UHh3YBA8aM [sage] 投稿日:2008/01/23(水) 20 48 07 ID WIoPUPLv 「私は、日ノ本くんの事なら、何でも知ってるよ?その事で日ノ本くんが傷ついて、恋愛に臆病になっ てしまった事も。だから私に想いを打ち明けられないって事も。皆、皆、知っているの」 何を云っている? 藤夢の事は、確かに辛かったけど、それで恋に引け目を感じたことは無い。 どうしてそうなる? どうしてそう思う? どうして僕の過去を知っている? どうして。 「でも安心して?私だけは日ノ本くんを裏切らない。傷つけない。ずっと傍で護ってあげる。だから、 素直になって良いのよ?」 「ち、違う・・・」 僕は首を振る。 「あの娘の事は関係なくて・・・。僕は、先輩を恋愛対象としては、」 「見せてあげる」 織倉由良は言葉を遮った。 そして、自らの左手に、肉厚のナイフを寄せ、 「私は、貴方のために、命だって掛けられる」 呆然とする僕の目の前で、織倉由良は刃物を引いたのだ。 飛び散るのは、赤。 生命の赤。 先輩の、命。 「う、うわあああああああああああ!!!!!」 僕は叫ぶ。 「せ、先輩!!何してるんですか!!!!」 「どう?信じて貰える?」 彼女は微笑む。 僕には意味がわからない。 何をやっている。 何でこうなるんだ!? 「ほら、素直になって?云って良いのよ?私のこと、好きだって。付き合って欲しいって」 どくどく。 ドクドク。 生命が流れて往く。 「せ、先輩!手!手、押さえて!!」 「駄目よ!」 慌てて近づく僕を突き飛ばす。 僕の顔に。 先輩の制服に。 部屋の壁に。 和室の畳に。 生命が、飛び散った。 「云ったでしょう?命を掛けられるって。日ノ本くんが素直になれないうちは、治療なんてしない」 素直って、こんな時まで・・・・! 状況がわかっていないのか!? 「まだ素直になれない?それなら・・・」 赤く染まった金属が、自身の首へと移動して往く。 動きに躊躇が無い。 それは、『結末』が確定すると云う事。 駄目だ。 この人は本気だ。 壊れている。 壊れたままで、本気で命を掛けてしまう! 「先輩!やめて下さい!!」 僕は彼女の腕を強引に押さえ込む。 彼女は激しく暴れて、傷口は益益開いて往った。 僕の服に滴った血液が、じくじくと染み込んで往く。 「離して!離して!!私は日ノ本くんのためだったら命だって掛けられる!それを証明するの!!だか ら離して!!!!!」 199 名前:ほトトギす ◆UHh3YBA8aM [sage] 投稿日:2008/01/23(水) 20 50 53 ID WIoPUPLv 「離せるわけ無いでしょう!!死ぬ気ですか!?」 「離して!離しなさい!!」 「だから、先輩、落ち着いて下さい!!」 「落ち着いてる!私は落ち着いてる!!落ち着いているから、こうしているの!日ノ本くんのために、 本気の証明をしてあげるの!私のこと、好きだって云える様にしてあげるの!!!!!」 駄目だ。 話が繋がっていない。 死んでしまう。 こんなくだらない、訳の判らない事で。 この人は死んでしまう。 「わ、わかりました!!」 叫んだ。 彼女を止めるために、僕は力の限り大きな声で叫んでいた。 「ぼ、僕は、」 他に選択肢が無いのだから。 「僕は先輩を・・・・・愛しています!」 紡がれた言葉は全くの偽り。 その場逃れの為の方便。 自分を曲げた事に対する慙愧の念が渦巻いた。 それは多分、一人の人間をこの世に繋ぎ止める為に、より深みに嵌る行為。 暗く澱み、捩れた洞窟の奥底へ入り込むことと同義。 目の前には、真っ赤な笑顔がある。 酷く歪な、狂気と安堵を混合した緩い口元。 「あは・・・」 そこから、弛緩した空気が漏れて往く。 「やっと素直になってくれたね、日ノ本くん」 そして。 僕の腕には蕩けた笑顔の織倉由良が纏わり付いている。 傷を考えると登校なんて出来ないだろうに、それでも包帯を巻いた彼女は遣って来た。 「日ノ本くん、一緒に学校へ往きましょう?」 そう云った彼女の笑顔は、以前見た、平常なそれであった。 先の事象を忘れさせるような、いつもの笑顔。 だけど僕は知っていた。 彼女の持ち物の中に、昨日のナイフがあることを。 それは即ち、何時でも“あれ”が起こり得る事を示唆しているのだ。 今僕に絡み付いている先輩の腕は、きっと物質的なものだけでない、別の次元で僕を捕らえているのだ ろう。 『離れれば、死ぬ』 暗にそう宣言されているように感じた。 だから、僕は気が重い。 この人自体の状況は勿論、今この状態を従妹が知ったらどうなるのだろう。 あの美しい鶯は、先輩と僕を是とするだろうか。 彼女の父。 楢柴文人は、あの婚約は破棄して良いと云ってくれた。 けれど、綾緒がそれを承諾するとは思えない。 宙ぶらりん。 否。 左右から身体を引っ張られ、宙に浮いているような状態だ。 どちらかの手が離れるにせよ、残っているのは“落下”だけではないだろうか。 そしてこの先、かなりの確率で“それ”は起こるだろう。 そうなる前に・・・この身体に命綱を巻いてくれる人間でもいれば良いのだが―― ―――――――――――――――――――――――――――――――――――― 200 名前:ほトトギす ◆UHh3YBA8aM [sage] 投稿日:2008/01/23(水) 20 52 57 ID WIoPUPLv 楢柴綾緒が楢柴文人に呼ばれたのは、その日の内の事である。 従兄――日ノ本創が病院を抜け出したその日。 名閥の総帥が自ら彼に謝罪に赴いた、数刻の後の話。 家の者に娘の健康状況を聞き、問題無しと判断した文人は、我が子を一室に通させた。 「とうさま、この忙しい最中、どの様な御話でしょうか?事業の方も佳境であると聞き及んでおりまし たが、会社を空けて大丈夫なのでしょうか?」 「・・・・」 彼は答えない。 拱手したまま、じっと娘を見つめている。 顔色はそう悪くない。 表情もいつものそれだ。 血液の交換等と云う狂行を引き起こしたとは、とても思われない程に。 けれど文人は顔を引き締める。 外貌や雰囲気だけで他者を判断する愚者では、名閥の長は務まらない。 対する娘は、実父の表情から、重い真剣な話であると読み取り、脳内を切り替える。それでも彼女の 口元は、穏やかな薄笑みを浮かべているのだが。 「綾緒」 「はい」 重厚な声と、涼やかな返答。 鋭い瞳と、柔らかな笑顔。 それらが交叉した後、文人はゆっくりと口を開く。 「病院から連絡があった」 「病院?とうさま、何処か御身体を壊して御出でですか?」 「韜晦は無用だ。お前が創くんにした事――その一部始終を聞いたと云ったのだ」 「さて・・・」 綾緒は首を傾げる。 穏やかな笑みは、酷く妖艶に。 それは、人ではなく、妖しの者の気配であるように彼は感じた。 「わたくしが創さまに為した行為が、とうさまにどのような関係がありますか?」 「私は楢柴の総帥だ」 「存じております」 「なれば――家中の者の愚行は見逃せん」 彼の瞳は強い。 並の人間ならば、竦みあがる程に。 けれどその娘は、柳に風と受け流す。 「愚行、で御座いますか。それはどれを指しているのでしょうか?」 「莫迦者っ!!!」 獅子が吼える様に。 彼の一喝は空気を振動させる。しかし、娘に動じた様子は見られない。 「とうさま、何故その様に声を荒げるのですか。わたくしにも判るように御話下さいませ」 「お前は自分の仕出かした事の是非も判らんのか!?」 「判っているから――判っているから、質しているのです。わたくしにとって、創さまは総てです。命 よりも、楢柴の名よりも大切な御方です。その様な御方に、わたくしが無礼を働くでしょうか?」 「では問う。血液を無理矢理に取り替える。その様なことが、許されると思っているのか」 「許し?」 ふっと、綾緒は笑う。 「わたくしと創さまの間に起きた事に、何故余人の許しが必要でありましょう?創さまに流れる薄汚い 血を清算し、雑種の頸木からあの方を開放したことは、わたくしの人生の中でも屈指の善事であったと 自惚れております。その件に関しては、たとえ楢柴の長と云えども踏み入れぬ領域の話。とうさまと云 えど、立ち入って良い事ではありません」 「その様な一方的な思い込みで他者を傷つけるな!!」 「思い込み?」 綾緒の表情が消える。 何も無いのに、何処か冷たい。 そんな顔に。 「“外様”の貴方がなにを仰るのですか?創さまは一言でも、不愉快であると、苦痛であると云いまし たか?云っていないでしょう。あの方も綾緒の行為を喜んでおられるのですから」 「そう云い切るのであれば、お前には彼の妻になる資格は無い。慕っているならばこそ、その顔で、そ の立ち居振る舞いで、胸中を察してやるべきであろうが」 201 名前:ほトトギす ◆UHh3YBA8aM [sage] 投稿日:2008/01/23(水) 20 55 07 ID WIoPUPLv 「察しているからこそ、ああしたのです。血抜きはそれなりに苦しいのですよ?奉仕と喜びがあるから こそ、艱難辛苦に耐えることが出来るのです」 「・・・・」 誇りに満ちた表情で云い切る娘を見て、楢柴文人は眉を顰める。 (話にならん) ここまでとは。 ここまで歪んでいるとは、思いもしなかったのだ。 「・・・綾緒」 「はい」 「お前と創くんとの婚約は無かったことにする。その事は、彼にも伝えてある」 「――」 無。 今度は、冷たさも無い、完全な無。 突然の出来事に、綾緒は呆然とする。 「これは楢柴の総帥としての決定だ、そして、お前には謹慎を命ずる」 「・・・・・」 「本来なら、お前を引き摺ってでも彼の元に連れて往き謝罪させるべきなのだろうが、お前が自らの過 ちを認識していない状態では、謝らせる意味も無い。暫く頭を冷やせ。良いな」 これ以上言葉を交わすことは無意味。 説得も箴言も無用。 そう判断した文人は、娘に一瞥もくれずに退室して往く。 一人残された綾緒は、理解の及ばぬ状況に心がついて往かず、反駁も疑問も口に出せなかった。 何故、愛しい兄の為に行動した自分が叱責されるのか。 何故、愛しい兄への想いを説明した途端にこうなるのか。 父親が諧謔を好まぬ人間だとは知っている。 だからこそ、降って沸いた婚約の解消に呆然とする。 その決定が覆らないことを知っているから。 あの人は何故、急に婚約破棄をさせるのか。 愛しているから、尽くしたい。 愛しているから、料理をしてあげたい。 愛しているから、掃除をしてあげたい。 愛しているから、洗濯をしてあげたい。 愛しているから、ひとつになりたい。 愛しているから、不安や不満を解消してあげたい。 あれは。 血の交換は。 将来、一定以上の血統を持つ人間と交わる時に、引け目を感じないようにと考えた結果だ。 契って後、子を為した時、その子に血統を誇って貰うためでもある。 つまり、奉仕の一部でしかないのだ。 食事を作り、清掃をする。 それらとなんら変わらない“御世話”の一環なのだ。 何故それが理解できないのだろう? 父は今まで、自分を良く出来た女と評価していたはずだ。 それは、喩えるならば、料理で尽くす事を褒めておいて、掃除でも尽くしたら途端に“悪”と罵られる ようなものだ。 何でそうなるのだろう。 綾緒には判らなかった。 その中で一つだけ理解できたこと―― それを彼女は口にする。 「・・・・とうさま、貴方は、綾緒の“敵”なのですね――」 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――― 202 名前:無形 ◆UHh3YBA8aM [sage] 投稿日:2008/01/23(水) 20 57 17 ID WIoPUPLv 投下、ここで止めておきます 「書き込みました」と出るのに反映されないとは、一体何故・・・? 次回は3月予定です では、また 203 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/23(水) 20 58 36 ID aGmTpRxS ぐっじょぶ 204 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/23(水) 21 03 05 ID E4ZcE+pv くっそ、リアル投下見てたのに一番槍とられた! しかしいよいよ話が血生臭くなってきました。 日ノ本クンもいい加減攻撃する覚悟決めないと死んじゃうよw 次回は三月ですか。楽しみにしてます。GJでした。 205 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/23(水) 21 15 41 ID 7WSLsvKk お父さん逃げてえぇぇッ!! 206 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/23(水) 21 28 03 ID W/ERc/Dj GJです。 二人とも怖いよ……。お父さん、やっぱりダメっぽいか……。 次回も楽しみにしてます。 乙でした。 207 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/23(水) 21 31 36 ID cSmytw3q 202 GJ!オラ、ワクワクしてきたぞ 208 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/01/23(水) 23 20 50 ID ATngRAzz 202 あけおめことよろ。 そして先輩も従妹も二人とも怖いよ可愛いよ 209 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/01/24(木) 03 28 34 ID TSgfRSKY
https://w.atwiki.jp/i_am_a_yandere/pages/1050.html
501 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/13(金) 07 57 32 ID F/Sg7DcP 498 内気なお嬢様と、ブラコンの妹。 俺的には両方ともとりたいところだが、果たして松本君はどちらを選ぶ、 もとい、どちらを選ばされてしまうのだろうか。wktkだな。 あと、次回からタイトルをつけることを推奨する。 502 名前:484[sage] 投稿日:2007/04/13(金) 08 12 19 ID yENYCBb5 498 超乙!! オレ、携帯厨だから連投出来ないんだよ………orz 503 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/13(金) 10 38 32 ID lhh8o4NS 498 …グッド! 504 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2007/04/13(金) 14 52 23 ID ulgq1hJz 498 ナイスだ!! 505 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/13(金) 15 09 45 ID p7/wCqYe 真面目なかんじでいいね。 506 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/13(金) 17 43 26 ID EBozwjHw 502 はやく投下するだ 507 名前:トライデント ◆J7GMgIOEyA [sage] 投稿日:2007/04/14(土) 01 07 24 ID 2xtY9pJZ では久々に投稿致します 508 名前:黒の領域 最終話 ◆J7GMgIOEyA [sage] 投稿日:2007/04/14(土) 01 11 08 ID 2xtY9pJZ 始めての唇を奪われてから、僕と英津子さんの関係は否応にも深まって行った。 寂しさと孤独に耐えられない英津子さんは更に僕を求めるようになった。 愛玩動物の役割を果たしているとしても、僕は彼女の手厚い看病をなしでは生きられない体だったし、 愛情を同情として向けることしか僕にはできなかった。 監禁生活が長引くと監禁犯に対して被害者は親近感が沸いてしまうという心理学的な内容はあるかもしれないが、 僕の場合は親近感よりも大根自体が畏怖の対象になってしまっていた。 そうである。もう、僕は大根おろしや大根の具が入った味噌汁 おでんの中に入っている大根、そして、大根を焼くという焼き大根すらも 僕は見るだけで鳥肌が立って、失神してしまうのだ。それが一番の難関である。 ひきこもりやニートよりも立ち直ることはどんな精神科医でも治療するには首を傾げることであろう。 大根は日常的に様々なところで使用されている食材だ。 これがトラウマになるってことは、日常生活にいろいろと支障が出ることは間違ない。 さて、僕は大根トラウマ物語は本当にどうでもいいのだが。 本題に入ろう。 英津子さんと僕の共同生活の終わりがようやくやってきた。 「あ、あ、あなたたち誰ですかっっ!!」 今日も僕と英津子さんはのんびりと一緒に居る一時を充分に楽しんでいた。 骨折して退屈な僕を退屈させないように英津子さんは頑張って面白い話をしている最中に インターホンが鳴り響いたのだ。僕もこんなお日様が昇って洗濯日和な日に友人もいない 英津子さんの家に尋ねてくるのはどこかの集金人ぐらいだと思っていた。 だが、英津子さんの取り乱した様子に僕は真剣に玄関の方向に耳を傾けた。 「須藤英津子。河野京介を拉致監禁及び暴行罪の容疑で逮捕する。ちゃんと礼状は出ているからな」 「い、い、いやぁぁああ。来ないで!! 私から京介君を取らないでぇぇぇ!!」 「容疑者をさっさと確保して、被害者を保護しろ」 刑事らしい人間が数人で発狂して暴れる英津子さんを取り押さえていた。 その間に僕の所にももう一人の若い刑事さんがやってきて心配そうな表情を浮かべて言った。 「京介君。もう大丈夫だよ。監禁犯はもうすぐ逮捕されて署の方に連行するから」 その大きな手で僕を気遣うように髪をぐしゃぐしゃと撫でてくる。 僕は何も答えることができなかった。 この場所から解放されるということが全く理解ができずに、英津子さんが顔を真っ赤にして 僕の名前を悲鳴のように叫びながら呼んでいる光景に呆気に取られていた。 この状況を僕は渇望していたはずであった。 電波女から解放される瞬間を望んでいたのに。 予知することもなく英津子さんと僕の共同生活が終わってしまうことに寂しさを覚えてしまっていた。 「き、き、き、き、京介くぅぅぅんんっっ!!」 数人がかりで英津子さんを抑えた刑事さんたちが彼女の細い手首に手錠をかけた。 金属の冷たい閉じる音が僕達の奇妙な監禁生活の終わりを意味していた。 こうして、僕は英津子さんから強制的に解放されてしまった。 509 名前:黒の領域 最終話 ◆J7GMgIOEyA [sage] 投稿日:2007/04/14(土) 01 14 10 ID 2xtY9pJZ 警察に通報したのはアパートに住んでいる住人であった。 とある日から男の子の悲鳴が聞こえるようになってきたので大家と相談して警察に通報した。 僕の両親が僕を拉致されてから数日後ぐらいに警察に行方不明者だと届けを出したそうだ。 たまたま行方を捜査していた警察が男の子の悲鳴がうんぬんの報告を呼んで、 容疑者である英津子さんのアパ-トと僕の家が近いという接点に気付いた。 もし、自宅の途中で拉致されたと考えるならば、これ以上容疑者に相応しい人物はいない。 須藤英津子の行動を常に監視していれば、一人暮らしなのに明らかに一人では食べる量ではない食料を買い込んでいる。 更に男性用の下着まで買っているのが極め付けであった。 あっさりと礼状が降りて英津子さんは逮捕されて、僕は病院に搬送されていた。 長い監禁生活で身体がやつれてしまった僕は骨折していた足を適切な治療を受けて 病院のベットで天井を眺めている日々が続いていた。 心配した担任やクラスの友人たちは見舞いにやってきてくれたが、 両親は最初にやってきただけでそれ以降は全く来る気配もなかった。 こうして、一人でいるととてつもない不安だけが襲ってくる。 あの両親は僕が誘拐や拉致をされたとしても、結局は何の心配もしてなかったことだ。 世間体のことを考えて、行方不明になった僕の捜索を警察に届けただけ。 他は何にもやってない。 拉致から解放した僕を元気付ける言葉をかけてもらったこともなかったんだ。 (京介君。今日は何が食べたい?) (お姉ちゃんは京介君が傍に居てくれるだけで嬉しいんだから) (京介君がいないと私は本当にダメになっちゃう。一人は本当に寂しいんだよ) 僕を拉致した英津子さんとの日々が自然と思い出した。 どんな時も笑顔を絶やさずに俺と一緒に居ることで自分の孤独と寂しさを紛らわした人。 だが、不思議なことに拉致監禁されていたというのにあんな日常が夢のようで楽しかった。 「大人しく病院で入院している場合じゃないぞ」 悪夢の日々から解放されてから始めて気付いた。 英津子さんが僕にとって大事な人だったんだと。 僕も英津子さんと同じで孤独で寂しがり屋。 同じ痛みを持っていた二人が傷口を舐め合う関係こそが僕らに相応しかった。 狭いアパ-トの一室で一緒に暮らして、英津子さんが寂しさの余りに 僕に甘えてくるような今までの生活こそが僕達が望んでいた物なんだと。 だから、取り戻そう。 あの素晴らしき監禁生活をっっ!! 510 名前:黒の領域 最終話 ◆J7GMgIOEyA [sage] 投稿日:2007/04/14(土) 01 17 10 ID 2xtY9pJZ すぐに警察へ告訴の取り下げを僕は求めた。 あの監禁生活の真実は僕がとある場所で転んで頭を打って、 一時的な記憶喪失を陥った所を英津子さんに保護された。 足を骨折して、精神的に病んでいた僕の様子を気遣って 警察や病院に連れて行くのを躊躇している間に警察官たちが勝手に部屋へと踏み込まれたと言った 辻褄が合うような弁解を僕は警察側は主張した。 さすがに容疑者を庇う被害者の僕が監禁されている間にマインドコントロ-ルを受けた可能性が あると精神科で強制的な精神鑑定を受けた結果。精神的に正常だと認められた。 その主張と腹黒い取引を繰り返したおかげで、英津子さんは証拠不十分で釈放されることなった。 僕は英津子さんが釈放されるまでの間に……親と勘当して、学校には退学届けを提出していた。 今まで大切にしていた全ての物を失っていても、それに勝る価値がここに存在している。 「京介君っっっ!!」 感動の再会を果たされる英津子さんが釈放される日に 僕は拘置所まで松葉杖で必死に目的の場所まで歩いた。 今日は僕と英津子さんの新たな旅立ちを祝うかのようにどこまでも澄み渡る蒼い空が限りなく広がっていた。 「うぇぇっっんん。助けてくれてありがとう。本当にありがとうっ」 「そんなの大したことじゃないですよ」 久々に再会した英津子さんは監禁されてあの頃と比べると痩せ細っていた。 拘置所の生活がそこまでも過酷だったのだろうか。 顔には生気が篭もっていないが、その瞳の輝きは僕と再び出会ったことで光を取り戻していた。 「私、思ったんです。薄暗い牢獄でずっと京介君の事を想っていたけど……。 私が京介君を監禁してしまったことは自分勝手で酷いことをしたんじゃないのかなって」 いや、酷いってレベルじゃねぇぞ……。 あえて、口は出さないけど。 「最初からこうしておけば良かったんです」 「えっ?」 英津子さんは衣服の中から取り出した大根を手慣れた仕草で僕の頭に素早く叩きつけた。 予想すらできなかった事に反応できない僕は間抜けな声をあげて、その場に倒れ伏せた。 「監禁生活は犯罪ということはよ~くわかったので。 次は私が京介君にちゃんと首輪をしておけば大丈夫だったんです」 いつものように優しい微笑を浮かべる英津子さん。 僕は薄れゆく意識の中で頬が少しだけにやついていた。 「今日からまたよろしくね。京介君」 また、英津子さんによる監禁される日々が始まった。 次は首輪を付けてワンちゃんプレイに走るらしい……。 やっぱり、僕は早まったことをしてしまったのかな。 黒の領域 完 511 名前:トライデント ◆J7GMgIOEyA [sage] 投稿日:2007/04/14(土) 01 20 19 ID 2xtY9pJZ 以上で投下終了します。 黒の領域はこれで完結です 前回から日が空いてしまいましたが・・ ついに書き上げる事が出来ました。 では失礼致します 512 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/14(土) 01 21 06 ID sJTwUeE4 おおお、久しぶりに来たらすごいことに・・・ 何でこんなに盛り上がっているんだ、ここ。 513 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/14(土) 01 25 44 ID /9PFfCb+ すげー! 良かったよ、またきてくれ! 514 名前:ヤンデレ喫茶の、ある一日 ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/04/14(土) 06 52 59 ID 2tUI6eH6 投下します。 ----- 私は、少し変わった趣のある喫茶店で従業員をやっています。 なにせ、女性の従業員・アルバイト全員がメイド服を着ているのですから。 店員がメイドさんだと言えばわかるでしょう。つまり、メイド喫茶です。 そして、そここそが私の勤める、愛すべき喫茶店です。 私がこの喫茶店に勤めはじめたのは、喫茶店がオープンした初日からでした。 オープンしてから今まで、私は一日も欠かすことなく出勤しています。 つまり、皆勤賞に値する勤務姿勢を維持し続けているのです。 だというのに、いままで手書きの給与明細に『皆勤手当』の項目が記されたことは一度もありません。 労働組合があれば手当てを要求することも可ですが、この喫茶店にそんなものは存在せず、 本来要求すべき相手である店長は副店長の春香のいいなりであるため相手にならず、 それならばと春香に話を振っても首を縦には振りません。 従業員の意思を汲んでくれない雇い主です。 春香の父親であるオーナーに直訴してやろうとも思いましたが、 私が勤めてきてからこれまで、一度も顔を見たことがありません。 そのため、誰にも訴えることができない状態にあるわけです。 いっそのこと、私が経理担当になってしまおうかと思ったこともあります。 とはいえ、春香が譲ってくれない以上、経理の椅子には座れそうもありません。 私にとって、この喫茶店はとても愛着のある場所です。 不満点は、給与明細の中身を除いては一つもありません。 店長は椅子に座っているだけでうるさくはないですし、 春香は副店長であると同時に親しい友人でもあるし、アルバイトの女の子もいい子ばかりです。 メイド服のデザインも私は気に入っています。 ワンピースタイプではなく、ブラウスとスカートとエプロンが別々になっているので、 少々着るのが面倒なのが難点ではありますが。 この喫茶店の変わっているところは、お客様へのサービスにあります。 どのようなサービスか具体的に言いますと、10回お店に来られた男性に対して、 その男性を愛している女性をプレゼントする、という内容です。 そのため、女性達全員がアルバイトの子です。 全員が自分を男性にプレゼントすることを目的にして働いています。 つまり、この喫茶店は女の子たちの恋の橋渡し役を担ってもいるのです。 515 名前:ヤンデレ喫茶の、ある一日 ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/04/14(土) 06 55 16 ID 2tUI6eH6 喫茶店での一日は、店内の掃除から始まります。 厨房の掃除から始まり、カウンター、店内の床やテーブル、お店の窓拭き、 トイレの掃除まで私が全て一人で行っています。 働き始めて何年も経とうというこのお店の掃除にはすっかり慣れてしまいました。 そして、店長はともかく春香さえ手伝おうという素振りを見せないことにもすっかり慣れました。 その次は仕込みです。 店内で出す軽食メニューに使用する食材を、調理しやすいように加工しておきます。 食材は私がいないうちに春香が仕入れているようで、準備する必要はありません。 仕込みの作業は春香が手伝ってくれるので、楽なものです。 仕込みが終わったころ、アルバイトの女の子たちがやってきます。 年の頃は10代後半から20代前半。 子供っぽい子もいれば、私より大人に見える子もいます。 彼女達全員がお店にやってくる男性に、お店に勤める以前から好意を寄せています。 好きな男性に「ご主人様」と言えるということに、彼女達もまんざらではない様子です。 しかし、(これは私も疑問ですが)都合良く好きな男性がやってくるのはどういうことでしょう? それも、一度喫茶店に来た男性はその後も必ずお店にやってきます。 こんなに上手くことが運ぶことは、現実主義者の私には理解できない状況です。 以前春香に疑問をぶつけてみたところ、 「それはきっと、運命の赤い糸で結ばれているからですわ」 という答えが返ってきました。 それだけの理由で納得できるほど、私は夢を見ていません。 その後で、アルバイトの女の子にお店で働くことになったきっかけを聞いてみました。 すると。 「私が彼のことを考えながら歩いているとき、おじいさんがやってきたんです。 おじいさんは私の気持ちを全て見抜きました。 そして、彼が欲しいのなら奪ってしまえばいい、と言ってこの喫茶店の連絡先を教えてくれたんです。 続けて、彼を独占したいのならばそこのお店で働きなさい、と言うとおじいさんは立ち去りました。 最初はどういうことかわからなかったけど、せっかくだからとりあえずアルバイトすることに決めました。 お店に来て、店内に彼がいたときはびっくりしました。 彼は硬派な人で、メイド喫茶には来そうになかったから」 どうやら、そのおじいさんが女の子たちを勧誘しているようです。 同時に、(これは予測ですが)おじいさんが男の子を喫茶店に連れてきてもいるようです。 一体どうやればそんなことができるのか分かりませんが、状況は理解できました。 そのおじいさんが現れてくれれば全ての謎が解き明かされるのですが、 アルバイトの女の子はそのおじいさんに二度と会うことはなかったそうです。 春香にそのおじいさんの話をしてみたところ、 「きっと、そのおじいさんは恋のキューピッドさまですわ」 と言って、得意の癒しの微笑みを浮かべていました。 本当に恋のキューピッドであるならば、私の恋を実らせてほしいものです。 516 名前:ヤンデレ喫茶の、ある一日 ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/04/14(土) 06 56 39 ID 2tUI6eH6 私の失恋話をします。 と言っても、振られたわけではないですし、そもそも告白すらしていません。 彼の名前は南君と言って、21歳の大学生の男の子です。 短期間のアルバイトということで、一ヶ月間だけこの喫茶店のウェイターをやっていました。 アルバイトにやってきた回数は、9回。 あと1回で誰か他の女の子とくっついてしまうのか、と不安に思っていた私としては嬉しくもありましたが、 もう南君の顔を見られないと思うと、胸が張り裂けそうになりました。 私が南君を好きになったきっかけは、閉店時の掃除のときに起こりました。 いつも閉店時間がくると、春香がアルバイトの女の子達を帰してしまうので、 店内の掃除は私一人でやっています。もちろん春香は手伝いません。 一人黙々と掃除を続けていたとき、突然お店のドアが開きました。 ドアを開けて、そこに立っていたのは南君でした。 私がじっと見つめていると、彼は口を開きました。 「忘れ物を取りに来たんですけど……あの、いつも一人で掃除をしているんですか?」 私が無言で頷くと、彼はこう言いました。 「僕も手伝いますよ」 南君は、一人だけで喫茶店の掃除をしている私を見かねて、手伝ってくれると言ったのです。 そのときの私は、初めて掃除を手伝ってくれる人が現れた喜びと、 彼の優しい言葉に胸を打たれて、思わず泣いてしまいました。 涙を流す私に、南君はハンカチを差し出してくれました。 そのハンカチで涙を拭いて彼の顔を見ると、何故か目を離せなくなっていました。 彼のくせのある短い黒髪と、首から突き出している喉仏と、 嫌味のない瞳を見ているうちに顔が熱くなり、同時に胸の奥と下半身も熱くなりました。 私は、南君の優しさの虜になってしまったのです。 それからというもの、南君と二人きりで閉店時の掃除をするのが楽しみになってしまいました。 掃除の時間だけは二人だけの世界。 私がテーブルを拭いていると、南君が床を掃いてくれて。 南君が食器を洗っていたら、私がそれを拭いたあとで食器棚に収めて。 まるで二人だけのお芝居をしているような気分でした。 そんな楽しい日々は彼が突然アルバイトを辞めたことで終わりをつげました。 なんの挨拶も無いまま辞めてしまったことを不審に思い、店長を問い詰めると、 「怒るなよ? 絶対に怒って手を出したりするなよ? ……実は、………に命令されたから、俺がやめさせたんだ。勤務態度がわるかったからってことで……」 その言葉を聞いているうちに頭に血が上り、その怒りが頂点に達した瞬間意識が暗転し、 意識が戻ったときには顔を腫らした状態でテーブルに伏せている店長が目の前にいました。 そんなことがあって、楽しい日々と同時に私の恋は終わりをつげたのです。 もしキューピッドがいるのならば、あの恋も実らせてくれてもいいのではないでしょうか。 517 名前:ヤンデレ喫茶の、ある一日 ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/04/14(土) 06 58 31 ID 2tUI6eH6 しかし、実際はそうなるはずもなく、今日もお店は普段どおりに営業しています。 アルバイトの女の子達は嬉々とした様子で憧れの男性の接客をして、 突然床に倒れた男性に対しては満面の笑みを浮かべたまま店の奥へと連れ込みます。 私はその光景をカウンター越しに、時々厨房越しに観察します。 皆、うれしそうです。でも、私は……。 ステンレスでできた調理台の上に涙が落ちて、跳ねました。 落ちたときの勢いで、涙はつぶれて四方に飛び散りました。 下あごが震えて、歯が音を立てます。 頭の中から、どんどん、どんどん悲しみが沸いてきます。 両手で顔を覆いました。 けれども、涙は指の間を伝って溢れてきます。 手のひらを伝って顔を濡らし、腕を伝って袖を濡らします。 嗚咽が短い間隔で、しゃっくりのように繰り返し起こりました。 寂しい。寂しくて、耐えられない。 すぐ近くで恋を実らせている女の子がいて、男性と二人きりでいるというのに、私はひとりぼっち。 彼がいれば、南君がいれば私の目からあふれ出す涙を優しく拭ってくれるのに。 それなのに、南君はここにはいない。 そして、きっとここには戻ってこない。 もう二度と彼には会うことができない。 私なんか、もうこのまま消えてしまえばいいのに―――― 「……起きて………起きて…ださい」 その声に聞いて目を覚ますと、春香が目の前にいて、私の肩を揺すっていました。 私は厨房の床に倒れていました。 きっと泣いたまま眠ってしまったのでしょう。 「……もう閉店時間ですから今日はお帰りください。 今日の掃除は私がしておきますから」 私は首を振りました。 閉店時の掃除の時間は私にとって南君との思い出の時間です。 まだ、私は彼を忘れられないんです。 南君が後ろにいるかもしれない、と思いながら掃除することが私の心のよりどころなんです。 「……わかりました。では、いつも通りお願いいたしますわね」 その言葉に対して頷きを返して、立ち上がります。 そして、掃除棚から箒を取り出してから、掃除を始めることにしました。 518 名前:ヤンデレ喫茶の、ある一日 ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/04/14(土) 07 00 56 ID 2tUI6eH6 箒で床を掃く音だけが聞こえます。 木目の床と箒の繊維が擦れあい、しゃ、しゃ、しゃ、という音を立てます。 他の音は聞こえません。人の気配もしません。 私一人だけがこの喫茶店にいます。 それだけのことなのに、なぜこんなに心がからっぽなんでしょう。 それだけのことなのに、どうして涙が流れて止まらないんでしょう。 ほこりをちりとりに掃きこみ、ゴミ箱に入れます。 次にやることはなんでしたっけ――ああ、テーブルの拭き掃除でした。 布巾を持った手をテーブルに置きました。 ふと、南君のことが思い浮かびました。 以前はいつも私が箒を持って掃いている間に、テーブルを拭いてくれました。 けれども、今は南君がいないから全て一人でやっています。 不安が襲い掛かってきて、視界を大きく揺らしました。 こうやってずっと、私は一人ぼっちで過ごすのではないか。 南君の影を忘れられないまま、ずっと泣いたままでいるのではないか。 膝から力が抜けて、床にへたりこみました。 顔が下を向いているから、涙が頬を伝うことなく、スカートの上に落ちました。 スカートに黒いしみが浮かぶ様子をぼんやりと眺めます。 いくら待っても涙が止まることはありません。 ずっと涙が落ちつづけます。 このまま泣き続けてしまえばいい。 そうすればきっと、体中の水分が抜けて脱水症状になって、気絶する。 ここにいれば朝までは発見されないから、上手くいけば死ねるかもしれない。 南君がいないのなら、そのほうがいい―――― すると。 カランカラン、という鈴の音が聞こえて、その後に誰かが喫茶店に入ってきました。 ……このタイミングで来るということは、まだ死ぬな、と誰かが言っているのでしょう。 恋のキューピッドでしょうか。 もしそうなら、声をかけるのではなくて私の恋を実らせてくれればいいのに―― 519 名前:ヤンデレ喫茶の、ある一日 ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/04/14(土) 07 03 57 ID 2tUI6eH6 「あの……大丈夫ですか?」 その遠慮がちに発せられたような声は、男性の声でした。けれども、店長の声とは全く違います。 この声に私は聞き覚えがありました。 そして、その可能性を否定しました。 彼がこの喫茶店にくるはずがありません。彼は店長からクビを言い渡されたのですから。 「どこか怪我でもしたんですか?」 また、耳に覚えのある声で話しかけられました。 いたわるような、優しい声でした。まるで、あの人のようです。 そうだったらいいな、と思いながらやってきた人の顔を見ると。 そこに居たのは、何度も会いたいと夢に見る人でした。 その人と二人だけで力を合わせて掃除をしたいと、何度も願った相手でした。 そこには、いつでも私が一番会いたい人――南君がいました。 嬉しさのあまり素早く身を起こすと、ふらついてしまいました。 前のめりになる私の肩を掴んでくれたのは、南君の大きな手でした。 その手を握ります。とても柔らかくて、温かかったです。 「……どうして泣いているんです?」 私の顔を見て、南君は怪訝な表情で聞いてきました。 私は首を横に振って、心の底からの笑顔を作りました。 嬉しくて、悲しみなどなくなってしまいました。 涙はもう、あふれてきませんでした。 南君がハンカチを取り出して、目と頬に残っていた涙の後を拭いました。 その手つきは壊れ物を扱うような繊細さで、大事にしたいという思いがじんわりと伝わってきました。 今の私にその優しい刺激は強すぎました。 南君の背中に手を回して抱きついて、彼の胸に顔を当てます。 頬に、くすぐったい感触があらわれました。 柔らかい。そのくすぐったさも、彼の肉体も。 抱きついたまま、私は口を開いて自分の胸のうちを明かしました。 閉店後の掃除時間に手伝ってくれたときに感じた喜び。 二人きりで過ごした、短い時間だけれど心を占める大事な思い出。 南君が居なくなったときに感じた、息が詰まるほどの喪失感。 今までずっと心の中で暖め続けていた強い恋慕。 私は彼にはっきりと伝えました。――南君のことが好きです。と。 南君の胸板にある私の目線からは、彼の顔は見えません。 喜んでいるのか、顔をしかめているのかはわかりません。 すると、南君の腕が私の頭を包み込み、ぎゅっ、と抱きしめてきました。 「また会えて、本当に嬉しいです。それに、同じ気持ちでいたってことも。 ……はい。僕も好きです。僕はあなたのこと、誰よりも想っています」 そう言うと、南君は私の唇にキスをしました。 また涙がこぼれました。――幸せすぎます。こんなの。 520 名前:ヤンデレ喫茶の、ある一日 ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/04/14(土) 07 06 44 ID 2tUI6eH6 体全体を南君の体に当てて、密着します。 すると、突然南君が腰を引きました。 当然、私は物足りないので自分の腰を再度押し当てます。 「ちょ、ちょっと待ってください。少しだけ……」 待つわけがないでしょう。 今まで何日、何ヶ月おあずけを食らったと思っているんですか。 というわけで、逃がしません。うふふふふ。 南君の腰に手を回し、両足の間に体を滑り込ませます。 すると、おへそに何かが当たるのを感じました。 メイド服越しですので、何があるのかは分かりませんが。 お腹を離すと、そこには南君の穿いている綿パンがありました。 そして、ベルトのバックルの下だけが突き出していました。 なるほど。だから腰を離そうとしたんですね。 嬉しいです。私と抱き合っているだけで興奮してくれるなんて。 「ぇ……」 大丈夫ですよ。……私の体を使って、鎮めてあげます。 膝を床についた状態で、南君が身に着けているベルトを外し、 続いて突き出したモノの上に伸びているチャックを下ろします。 綿パンを下ろすと、薄布に阻まれた状態のイチモツがでてきました。 私の顔に、先端が真っ直ぐに向けられています。 ――うふふ。そんなに慌てなくても、きっちりと面倒を見てあげますよ。 南君の突き出したモノを避けるように下着をずらしていきます。 ほどなくして、南君の突き出したペニスがあらわれました。 ときどきビクン、と上に跳ねていて、我慢できない様子でした。 ――いただきます。南君。 鈴口の先端にキスをします。 南君がうめき声をあげて、ペニスが大きく揺れました。 陰茎を右手で握り、再度くちづけます。 今度は舌の先端で切れ目、出口を責めます。 そうしているうちに、ぬめりを持った液体が出てきました。 くちづけた状態から、そのまま首を前に動かして肉棒を口の中に含みます。 傘の裏に唇の裏を合わせて擦り、同時に舌も動かします。 「あ、はぁぁぁ……」 より深く肉棒を咥えて、全体に舌を這わせます。 とても熱くて、固くて、そのせいで無性に体が熱くなってきます。 続けていくうちに、陰茎が脈を打って膨らみ始めました。射精の兆候です。 その瞬間に合わせて、肉棒の先端を強く吸引します。 南君の声とともに、精液が口の中に大量に発射されました。 鼻から漏れる匂いは、とても濃くて臭くて――つい、一気に口の中のものを飲み下してしまいました。 521 名前:ヤンデレ喫茶の、ある一日 ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/04/14(土) 07 08 33 ID 2tUI6eH6 気持ちよかったですか?南君。 「……ええ。とっても」 うっふふふふ。嬉しい……じゃあ、もっといいことさせてあげます。 いい子の南君への、ご褒美です。 私はエプロンを外し、スカートも脱ぎ、ブラウスも外しました。 今はブラとショーツとソックスだけしか身に着けていません。 仰向けに寝転がります。膝を立てて、ふとももの裏側を南君に見せ付けます。 南君はハイソックスを脱がせると、私の体の上にきました。 私にキスをすると、唇を這わせながら顎、首筋、鎖骨まで下っていきます。 胸の谷間を通過しておへそまでたどりつくと、また往復してきました。 南君は手を動かして、ブラの肩紐をずらし、全体を下にずらしていきます。 隠すものが一切なくなって、私の胸がさらけだされました。 南君の唇が右の乳首に触れました。 彼の両手は私の左右の乳房を揉んでいます。 くちづけていない方の乳首は指でこねて、次は左右を入れ替えて同じことをします。 私の腕で、南君の頭を強く抱きしめます。こうすると、彼をより強く感じられました。 乳首を歯で甘噛みされました。噛みながら、舌の表面は肌を往復しています。 甘噛みをやめたと思ったら、唇の先端でついばまれました。 乳首を挟んで、軽く引っ張りながら離す。南君はそれを左右の乳首で繰り返しました。 南君が体を移動させて、私の両足の間でとまりました。 指でショーツの上から秘裂を撫でられました。 その途端、びくり、と自分の背中が跳ねます。 今度は二本の指が割れ目に当てられて、円を描くように動き出しました。 だんだんショーツが濡れていくのがわかります。 それなのに、南君の指はますます加速します。 くちくちくち、と肌と濡れた布が擦れたときの音がしました。 その音が繰り返されたあと、南君の手がショーツの横に当てられました。 段々とショーツをずらしていくので、私もそれに合わせて足をうごかします。 そして、南君の手が肌から離れたとき、濡れきったショーツは私の足から脱がされていました。 私の秘所は、南君の前に隠すものの無い状態でさらけだされています。 彼は私の足を広げると、両手で割れ目を広げて、舌を入れました。 一定の間隔で舌が往復します。入り口も、奥まった場所も舌の届く限り舐められました。 522 名前:ヤンデレ喫茶の、ある一日 ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/04/14(土) 07 19 27 ID 2tUI6eH6 南君は私の体から顔を離して、両足を掴んだ状態で私を見つめています。 その目は私の反応を見ているようでした。 こんなときでも、彼は私のことを想ってくれる。そう思うと、自然と笑みがこぼれました。 その笑顔を見た南君は私から目を反らし、下を向きました。 少し遅れて、秘所に固いものが当たりました。 南君の熱いペニスが、私の中に侵入していきます。 腰が密着した瞬間、私の顔が大きな喜びに満たされて、微笑を作りました。 腰が離れて、肉棒の感触が遠ざかります。口から小さな声をが漏れました。 しかし、すぐにまた貫かれました。腰が触れて、歓喜の声が漏れます。 肉棒を出し入れされるたびに、私の口は同じことを繰り返します。 南君も同じでした。彼は荒く、断続的な呼吸を繰り返しながら腰を動かしています。 打ち付けられるたび、膣壁がこすれて、奥にペニスの先端が触れます。 ときどき浅くついたときは奥の手前で寸止めされた気分になり、身がよじれました。 もう、快感と南君の熱しか感じられません。 強い快楽に脳をかき回されて、前も後ろもわかりません。 ただ、南君から注がれる熱だけが変わらずにそこにありました。 喉の奥から、だんだん耐えようのない波が押し寄せてきました。 それがもっとも大きな快感であるとわかっていた私は、それを受け入れました。 同時に南君の動きが止まり、とびきり熱いものを注がれて、 私は喉から大きな声を絞り出して――そのまま、脱力してしまいました。 呼吸が落ち着いてから目を開けると、南君の顔が私の目の前にありました。 「…………」 彼は口を開きませんでした。 何も言わずに、そのまま顔を近づけて私にキスをしました。 強くもなく、弱くもなく、お互いの唇が重なり合いました。 唇を浅く当てて、離して、またくちづける。 しばらくそれを続けた後に顔を離した南君は、目を細め口の端を軽く上げて微笑みました。 ――ああ、満足してくれたんだ。 私も、同じ顔を作りました。 けど、上手く笑えたかどうか自信はありません。 ただ、南君に私の気持ちが伝わればいいな、とだけ思いました。 523 名前:ヤンデレ喫茶の、ある一日 ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/04/14(土) 07 26 44 ID 2tUI6eH6 翌日。 いつものように喫茶店へ行くと、私の部屋に泊まっていって、 まだ寝ているはずの南君がウェイターの姿をして待っていました。 「おはよう……じゃなくて、おはようございます」 唖然としている私に向かって、南君が礼をしました。 反射的に、私も「おはよう」と言ってから頭を下げました。 「おはようございます。……どうされましたか? 呆けた顔をされていますよ」 メイド服を身に着けた春香が店の奥からやってきました。 私は朝の挨拶もそこそこに、これはどういうことか、と春香に問いました。 「実はお父様から、彼をもう一度雇うように頼まれたのです。 彼はこの喫茶店に必要な人材だ、と言っておられましたわ。 ……それに、実際にそのようですし、ね」 春香は私と南君を見た後、誰に向けているのかわからない笑顔を浮かべました。 春香が立ち去った後、私と南君の二人で開店前の掃除をすることにしました。 毎日のルーチンに組み込まれているから、いつも短く感じていましたが、 今日はあっというまに終わってしまった感覚までしました。 不思議です。 南君がいるだけで心が浮かれて、時間が短く感じられます。 春香のお父さんに感謝です。 もしかしたら、春香のお父さんが恋のキューピッドなのかもしれません。 幸福のあまり、ふらふらとおぼつかない足取りで歩いていると、後ろから肩を支えられました。 まるでソファのように体を柔らかく包み込む腕でした。 こんなに優しい感触を持った人は、一人しかいません。 「大丈夫か? 気分が悪かったら言えよ。 お前に怪我してもらうのはなんか、その……嫌だからさ」 私にここまで優しくしてくれる人は、恋人の南君だけです。 ――ね、ずっと、ずぅっと、私と一緒にいてね? ――もう私の前から消えたりしないでね。 ――離れたりしたら、ひどいことしちゃうから…………。 終 ----- 終わりです。 南の元ネタは、 373です。 524 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/14(土) 08 13 20 ID xBmeTw/t GJ!なんとなく病んでる感じがいいね~ おかげで朝同僚に「やばいくらい顔にやけてるよ。」と言われてしまった。 オーナーは俺の中では英国風紳士に脳内補修された。 それにしても、 373からあれ以来恋愛がない………………まさか!? 525 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/14(土) 08 15 36 ID xBmeTw/t 524 あれ以来恋愛× あれ以来連絡○ 何やってんだ俺 orz 526 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/14(土) 12 50 09 ID nLumqhtu 511 完結乙でした。 世間には理解されなくっても二人が幸せならそれでいいのさ まあ、京介君はまだ吹っ切れてないみたいですがw 523 純愛だなあ……しかし > ――離れたりしたら、ひどいことしちゃうから…………。 ぜひ南君には再度離れてもらって彼女をどん底に病ませて欲しい と思ってしまった俺はもう駄目かも分からんね 527 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/14(土) 13 02 54 ID e/IWOR+b 524-525 心配するな。きっと元気でやってるさ。 何しろ 373は、180cm余りの身長に人類史に前例を見ない150kgの筋肉を搭載したアンチェインだからな! 528 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/14(土) 15 17 58 ID 4ShENLdu 511 完結乙です。 最後までヤンデいるのが良い感じ。 ヤンデレって本当素晴らしいですね。 523 新作乙です。 ひどいことをされる南君を希望する。 529 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/14(土) 18 14 28 ID 8WiwnQbw 作者たちに感謝しつつ萌えるとする 530 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/14(土) 23 16 01 ID JA96F4K9 一週間の疲れも吹っ飛ぶような作品を有難う、有難う。 これでまた一週間頑張れるような気がするよ あ~どっかにヤンデレいないかな… 531 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/14(土) 23 50 08 ID 7U4afUzh 530 YOU作り出しちゃいなYO 532 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/15(日) 09 08 39 ID p1DwZiHa おまいら!既に480KB逝ってるぞ! 533 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/15(日) 11 56 45 ID udCC2KtL じゃあスレ立てしてくる 534 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/15(日) 11 59 26 ID udCC2KtL 立ててきました ヤンデレの小説を書こう!Part6 http //sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1176605863/ 535 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/15(日) 15 39 48 ID aJYi9tgO おはようございます、お兄様。 え?何故お兄様がベッドに縛り付けられているのか、ですか。 それは御自分の胸に手を当てて良く考えてください。 あ、縛られていては手を動かせませんね。 クスクス・・・でもお兄様がいけないんですよ? 私が一生懸命尽くしてきてさしあげたのに・・・他の女の所に行こうとするから お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様 お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様 お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様 ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい・・・ でもね、お兄様? こんな事するのもお兄様のことを思ってなんですよ? 私気付いたんです。お隣の修羅場家の御兄弟を見ていて・・・ 「愛とは縛り付けるものなんだ・・・って」 お兄様が外の雌豚に穢されないよう、誘惑されないよう、変な想いを抱かないよう・・・ せっかく一ヶ月前に害獣から救ってさしあげたのに あら、どうしたんですかお兄様?そんなに驚いた顔をなせって お兄様、これからはずっとずっと私がお兄様の世話をしてさしあげますわ ウフフ、大丈夫。何も怖がることはありませんわ。 あぁ、お兄様お兄様お兄様お兄様・・・ 536 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/15(日) 20 39 34 ID ZMrktNJ5 だけどすぐに姉に七氏君を盗られてしまう妹……と 537 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/15(日) 20 40 53 ID ZMrktNJ5 あ……違う! 妹じゃ名無し君は成立しない! ゴメ今のナシ 538 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/15(日) 23 26 27 ID k+Swyyig 最近常連さんが来ない 巫女さんの話の続きマダー 539 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/15(日) 23 48 01 ID cVONe1Wn ヤンデレ喫茶と 538の話を受けて、ヤンデレ神社という小ネタを思いついたんだが、容量的に次スレに投下したほうがいいだろうか? 540 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/15(日) 23 55 37 ID Xq+m85Sd 539 小ネタなら埋めネタになっていいのでは まあ、やはり容量次第ですが 541 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/16(月) 00 53 25 ID V2e0VOOK ん~、まだ考えがまとまらないし、いつ投下できるかわからないから次スレにするよ 540 アドバイスありがとう それにしても小ネタで悩む俺っていったい…… orz 542 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/18(水) 13 48 25 ID GSYvBZtm 後残りわずか 埋めネタか雑談で埋めればいいのかな? 543 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/18(水) 16 07 23 ID yG92ZErN まあ埋めヌタ推奨だな 544 名前:Part4 671の埋めネタの続き[sage] 投稿日:2007/04/19(木) 01 18 18 ID 9e8kdSYE 名無し君! 見つけたっ♪ 酷いよ、名無し君…… 一緒に埋まろうって、前スレで言ったのに、どうして逃げちゃったの? 逃げても、無駄なのに…… え? 一人で埋まれって? あははははははははは! 何言ってるか、意味が解んないよ? 名無し君 二人で埋まらないと意味がないじゃない え? 解んないの? 本当に? しょうがないなぁ、名無し君は! じゃあ特別に教えてあげる! 二人で埋まれば、ずっとずーっと一緒にいられるんだよ? 二人だけの世界だよ? 誰にも邪魔されないんだよ? ね、ね、ね! 素敵でしょ? 素晴らしいでしょ? 最高でしょ! だから、一緒に埋まろう♪ え? まだそんなこと言って… どうしてそんなに聞き分けが悪いのかなぁ、名無し君は これは決められたことなの! 決定事項なの! え? 誰が決めたかって? それは…… 勿論、運命だよ! もう、そんなことも解んないなんて、名無し君はダメダメだなぁ♪ あれ~? どうしたのかなぁ? 名無し君 身体が痺れる? 動けない? お前がやったのかって? うん、そうだよ だって名無し君、逃げようとするんだもん♪ …よいしょっと 仰向けなら苦しくないよね? ねぇねぇ、膝枕、してあげよっか? ふふふ… 照れなくてもいいのに 545 名前:Part4 671の埋めネタの続き[sage] 投稿日:2007/04/19(木) 01 18 55 ID 9e8kdSYE ……じゃあさ、名無し君 もっと、イイコトしよっか? 大丈夫だよ、もう誰もいないから だって、みんな新スレに引っ越ししちゃったもん 服なんて邪魔だよね、ね じゃあ脱がすね、脱がしちゃうよ… うわー、どきどきする… …やっぱり、恥かしいね あ! ゴメン! 名無し君だけ裸じゃ、ズルイよね 今、あたしも脱ぐね… うー、恥かしいぃー…… ……ね、名無し君 ぎゅってしていい? あー! 名無し君、顔赤いぞ! あたしも赤いって? 当り前だよ、好きな人とぎゅってしてるんだもん! …それに裸だし !! ……名無し君、その……… そうだよね、裸でぎゅってしてたら当然だよね 男の人だったらそうなっちゃうよね うん、解ってる あたしの所為だよね あたしの所為だもん、ちゃんとしてあげる… あむぅ… んっ… ぅむ… ちゅ… んん… ね、気持ちいい? ここ、気持ちいい? すっごく熱いよ、ぴくぴくしてる ……名無し君 名無し君のしてたら、熱くなってきて… ぬるぬるだよ ほら、こんなになっちゃった… え? 跨ぐ、の? …こう? あぁっ! ひゃ、あっ! あぁんっ! やっ、そんなっ… 舐めちゃ、だめぇ! ぁああんんっ! そこっ …あっ! くりくりしちゃっ! ああぁっ! 吸っちゃ… あぁぁっ! 吸っちゃ! ひあぁあっ! もう… もう… あぁぁぁあああっ!! 546 名前:Part4 671の埋めネタの続き[sage] 投稿日:2007/04/19(木) 01 19 32 ID 9e8kdSYE はぁ、はぁ、はぁ……… 名無し君、激しすぎ… ん、名無し君も… 気持ちよく、なって… 見て、名無し君 今からあたしのここに、名無し君のが入っちゃうんだよ… ぅんんんんんんんんっ! …あ はっ… ふぅっ…… 入ってくるよぅ… 名無し君のっ… あたしの中に、入ってくるぅ… 大… 丈夫っ へいき… だよ んんっ! はぁはぁっ… んんんんんんんんんっ…! …ほら、全部… 入った、よ…… 気持ちいい? 名無し君、あたしの中、気持ちいい? よかったぁ… じゃあ、もっと気持ちよくなって? ぅうんっ! んんっ! …っ! んぁっ! いい、の…… 名無し君が、気持ちよくっ… なってくれればっ… あたしっ、あたしっ… 名無し君ので… いっぱい、いっぱいなのぉっ! ぅうぁんっ! …いいよっ 出して、出してっ! いっぱい名無し君のっ… 出してぇ! あたしの中にぃ… 奥に… 一番奥までっ、…出してぇっ! あっ、ひぅぅぅぅぅんっ!! はぁ… はぁ… はぁ… はぁ… いっぱい… 出たね、名無し君 中が名無し君ので、いっぱいだよぅ…… んんっ… 溢れてきちゃうよ… あっ! 名無し君、また…… 大きくなってきたよ… ふふふ…… も一回、しちゃう? あ、その前に ほら! もうこんなに埋まってきたよ もう直だね もう直、二人だけの世界が完成するね! 繋がったまま、こうして、二人で、埋まろうね…… ずっと、ずーっと、一緒だよ? ね、名無し君……… 547 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/19(木) 06 40 08 ID OC1NL07z 不覚にもオッキした。 548 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/19(木) 08 15 41 ID YtKDSJWq ごめんみんな、俺はこっちの世界で埋まってるわ ノシ 549 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/19(木) 09 59 33 ID 1OGQLC+4 そうか、じゃあ俺は餞別として生コンを流し込んでやるよ 550 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/19(木) 12 54 51 ID UbUmVZN8 あと十キロバイトか…… 551 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/19(木) 22 04 02 ID iCBaAwMl 埋めるのはいいんだが、保管庫の管理人さんは追いついているんだろうか?現行スレがPart5のままだし…… 552 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/21(土) 05 24 43 ID zHWKhTYh 保管庫更新キタ━━━━━ヽ(゚∀゚)ノ━━━━━!!!! 管理人様乙! これでこのスレも埋めて大丈夫かな 553 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/21(土) 13 17 02 ID IxgvNTX3 保管庫君は更新されたわ。 もうあなたなんか用済みよ あははははははははははははははは 埋めてやる あははははははははははははははははははははは 554 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/21(土) 18 28 36 ID VFBMaF3L 553 あんたなんかにこのスレは埋めさせないんだから!! この卑しい雌豚が! あんたなんかね、一人寂しく過疎してりゃいいのよ。 何よ、その目は? ふふ、大丈夫。私だけが一緒に埋まってあげるの。 ずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずぅ~~っとね 555 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/21(土) 21 20 31 ID QCALM4aJ ヤンデレkoeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeee 556 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/21(土) 21 31 39 ID l9Kjchlk ふふふっ、555さんは私といっしょに行くの。 553、554さんは二人で埋まっててね。 後で掘り返してあげるから、待っててね、555さん。 557 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/21(土) 21 34 23 ID ASdejwRJ 埋め そして次スレに・・ 558 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/22(日) 00 00 53 ID tAGMvFoY ここは558 559 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/22(日) 01 13 55 ID Q28PM51b 保管庫更新キタコレ! 保管庫管理人さん、お疲れ様です! 埋め埋め手伝うぞコラ! 560 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/22(日) 08 28 01 ID xryv25wr 見つけた… 見つけた…Part5ちゃん どうしてあなたは…私の大切なスレ住人を奪おうとするの? ずるいよね…ずるいよね…? Part6の私なんかより、ずっとスレ住人の側にいたくせに… いらない…あなたが一番いらないっ! Part5なんか埋まっちゃえ!きゃははははは!! 561 名前:埋めネタ[sage] 投稿日:2007/04/23(月) 14 19 55 ID zZqFCD+j 最近弟が冷たい。 姉弟のスキンシップがやけに少なくなっているのだ。 以前から弟は私に肉体的接触を持とうとはしなかったが、最近は特にその傾向が強い。 風呂上りの体にバスタオルを巻いて、「このほてった体をさらに熱くして!」と迫ったら、 以前は顔を紅くして部屋に閉じこもるという行動をとっていたのに、最近では私が風呂から出てくると 必ず部屋に閉じこもっていて、顔も合わせてくれない。 部屋に入れずにドアの前で弟の名前を呼んでも、喋りかけても、泣き続けても、ドアを開けてくれない。 弟が居ないときにこっそり忍び込んでいるのがばれたときには口もきいてくれなくなった。 何をやっているのだろう?もしかしてナニをやっているのだろうか。 それなら私の体を見ながらしてくれればいい。 むしろその滾ったモノで私を貫いてほしい。こちらとしてはオールタイムでバッチコイだ。 弟が何をしているのか探るため、私は弟の部屋に忍び込むことにした。 深夜3時。すでに弟は寝静まっているだろうと思ったが、弟の部屋のドアの隙間からは光が漏れていた。 鍵はかかっていない。……なるほど、私を誘っているわけか。 ならば私も48手の性技をもってそれに応えることにしよう。弟よ、今夜は寝かさないぞ。 ドアを開けたら弟がベッドの上で待っている様子を想像していたが、それは裏切られた。 弟は机に顔をつけて眠っている。そして弟の頭の上にはノートパソコンがある。 一体どんなものをズリネタにしているのか気になったので、画面を覗き込む。 画面に表示されているのはテキストエディタだった。なにやら文章が書いてある。なになに…… 『 深夜の3時に目が覚めた俺は、姉が目の前にいることに驚いた。 何をしにきたのかと問うと、 「たまには一緒に寝ましょう」 という応えが返ってきた。 起きるのがめんどくさかった俺は姉が眠れるよう、スペースを作った。 すると、姉が子供のころのような無邪気さで俺の体を抱きしめてきた。 姉のふくよかな胸と、温かな体温を感じているうちに、だんだん欲望が強くなってきた。 たまらず、姉の胸に手を伸ばす。揉むと手を動かしたとおりに形を変える。 姉の顔を見る。その表情に拒絶の色はなく、より強くしてほしいと訴えていた。 ブラをめくり、直に触ると姉は声を漏らした。その声は俺をさらに興奮させる。 力任せにもみしだくと優しくしてほしい、と言われた。 誘っておいてそれはないだろう。さらに激しく乳房を弄る。 562 名前:埋めネタ[sage] 投稿日:2007/04/23(月) 14 23 37 ID zZqFCD+j そうやっているうちに、溜まりだした欲望をこらえきれなくなった俺は、 姉の乳房に肉棒を挟みこんで強くしごいた。 そして、たっぷりと姉の顔と胸に精液を放った。 射精した後も俺の肉棒は衰えることなくそそりたっていた。 目の前には姉の白濁液にまみれた、あられもない姿があった。 嫌がる姉のショーツを脱がし、一気にその体を貫く。 腰を動かしだすと姉は嫌がるそぶりを見せず、自分から腰を振ってきた。 我慢の限界を迎えた俺は姉の中に精液を注ぎこんだ。 二度の射精では俺の欲望はおさまるはずもない。 続けて、脱力した姉の腰を掴み後背位の体勢にして挿入する。 腰を打ち付けるとまるで犬のような声を上げだした。 いつも俺をからかっている姉から想像もできないような姿に、ますます俺の肉棒は盛る。 「ああ、あ、いっちゃう! いっちゃう! いっちゃうよぉ!」 姉の絶頂が目前に迫っていた。 その声を聞いて、俺は肉棒を引き抜いた。 「あぁっ! いやぁぁ! 抜いちゃだめぇぇぇ!」 切なげな叫び声をあげ、俺に再度挿入するように懇願してきた。 俺は姉に条件を出した。そうして欲しければ、これから俺の性奴隷になれ、と。 姉はその言葉を聞いていないようで、何度も首を縦に振っていた。 その行動がこれから先にどんな結末をもたらすのか、考えもせずに。 姉の中に再度挿入すると、歓喜の声があがった。 「いいよぉ! だしてっ! どろどろの精液、全部ちょうだい!」 射精の感覚をとらえて、深く腰を突き入れる。 そのまま、姉の子宮に向けて子種を放つ。 「ああ、あああああぁぁぁぁぁっっ!!」 一際大きな叫び声が響き、のけぞった姉の体はベッドに倒れ伏した。 姉を犯しているという自覚と、いままで自身に課していた近親相姦を破ったという事実。 横たわる姉の白い体を仰向けにして、衰えることを知らない肉棒の先端を秘所にあてがう。 「もう、堪忍して……お願い……」 そう訴える姉の姿は、さらに俺を欲情させる。 腰を打ちつけ、再度姉の体を貪る。 姉の体は豊満な乳房を上下させながら、俺の欲望を受け入れている。 そうして、俺は姉の体を日が登っても、次の夜が来ても貪り続けた。 埋め』 563 名前:埋めネタ[sage] 投稿日:2007/04/23(月) 14 24 50 ID zZqFCD+j ふくく、くく……あははははははははは、うぁははははっはぁ! そう、そういうことだったの。 近頃私に近寄ろうとしなかったのは、この妄想を私に叩きつけてしまいそうな自分を抑えるためだったのね。 ふくくくくく。本当、おかしくて嬉しくてたまらない。 まさか弟も私と同じ事を考えていたなんて、ね。 この妄想を叶えるためには……ベッドに忍びこんで抱きつけばいいのね。 すぐにまぐわいたい気分だけど、やめておくわ。 だって、弟の性欲を全部受け止めるなら、私もいろいろと準備しなきゃいけないし。 うふふ……赤ちゃん、できちゃうかな? 「う~~ん……埋め……早く、埋め……」 やん、そんなに急かさないでよ。焦らなくても、すぐにできるわよ。 明日から毎晩、夜通し愛し合いましょう。そうしたら、来年には……うふふふふ。 あはははははははは、あぁっははははははははははははははは! おわり 564 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/23(月) 23 49 35 ID ZSuPWYcO それでも、好きなんだよ 夜の道でぽつんと呟く。昼間はそれなりに人通りのある道も今は私と月しかいない。 独り、2人、2人ぼっち。あなたと私。白い月に話しかけながら私は笑う。 悲しいような、寂しいような。それでいておかしくてたまらない。 不思議な気持ちで私は笑う。 好きなんだよ どうしても 足は自然にステップを踏む。ワン、ツー、スリー、アン、ドゥ、トロワ。 一緒に踊っていただけませんか?私の愛しい人が私にそう手を差し伸べることは無い。 私は独りで月の光と踊るから。あの人の相手は出来ないから。 でたらめなステップでワン、ツー、スリー、アン、ドゥ、トロワ。 好きなのに 月は私を見ているけど。私も月を見ているけど。私が見たいのは月じゃない。 目をつぶれば愛しい人の顔。目を開ければ柔らかな月の光。 手を伸ばせば届くところにあっても、決して触れることは無い。 涙がすっと一筋流れた。 「悪魔でもいいわ。あの人を私にくれるなら何でもするのに」 「本当ですか?」 振り返ると白いコートの背の高い男性が立っていた。黒いシルクハットを被っている。 奇異な存在であるのは確かだったけど今の私には普通に見えた。 きっと月が見せた幻だ。 「ええもちろん」 私はにっこり微笑んだ。 565 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/23(月) 23 51 35 ID ZSuPWYcO ↑病めてる? 566 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/24(火) 04 39 12 ID 1ATfAhUY 565 何か綺麗な病み方でつね 続きキボン 567 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/24(火) 12 22 33 ID qGV5j/89 こいつでとどめだ!ヤンデレスレよ! 埋 め え ぇ ! 568 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/24(火) 12 40 06 ID cDOciTsT 残念だが最後のレスは私がいただいた。 病み埋め病み埋め… 569 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/24(火) 14 18 13 ID xNL7phBJ ふふ、わたしを忘れて貰っちゃ困るわね これで最後よおおおおおおおおおおおおおおおお 埋めええええええええええええええええええええええええ 570 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/24(火) 14 36 20 ID tdEgibxf わはわは 571 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/24(火) 14 48 19 ID cDOciTsT 病み埋め病み埋めキモ姉は俺の嫁… 572 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/24(火) 15 00 48 ID qLQtDiB/ <三 =========∩=========== /=l ∩ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ./// |=l ∠ 待ってよ~ン / /^ ` l | ll| \_______ ,./ ソ (^) lノ ./Y/ ハァハァ ( ノ/*´Д`)ン. / | コ-v-l^ / - = |ヽ Y / |ヲー/l⌒l = 三 |ー/ ./ ̄| ヽ ノ | / ニ | ゙ー | L | /(_ ヽ ノ__/ ゙し キモイヨー ( ( /ヽノ 彡 ((( ))) / ̄ ̄ ̄ ̄ / / 三 ( ´Д⊂ヽ < なんで追ってくるんだよ~ / ./ 三 (つ ノ \____ ( `ヽ 三 人 Y ヽ、_) し (_)
https://w.atwiki.jp/i_am_a_yandere/pages/1180.html
501 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/31(土) 23 33 49 ID 0/CKz9Zw これは……すげえ 予想外ってか度肝抜かれた、でもこれでりお派になってしまった俺ガイルw 502 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/31(土) 23 41 54 ID gb0kC3eT 494 GJっす! まさかりおちゃんまでお兄ちゃんを狙ってたとは… 503 名前: ◆Tfj.6osZJM [sage] 投稿日:2009/02/01(日) 00 01 00 ID BmLkeDkU 投下間隔、これくらい空ければ大丈夫ですかね? 似せ者第三話投下します。 504 名前:似せ者 ◆Tfj.6osZJM [sage] 投稿日:2009/02/01(日) 00 03 24 ID BmLkeDkU 第三話 ~亡くし者~ 別れの言葉を言う事は寂しい 別れの言葉を言えない事は苦しい 「おめでとう」 朝練に参加するや否や、杉下に言われた。 朝のあいさつは、おはよう、だろうとツッコミをいれようかとも思ったが、気分がいいので止めておこう。 「伝わるの、随分早いんだな」 告白した日の次の朝。まだ24時間も経っていないというのに… 「仁衣高校三大美女と付き合うっていうのはそういうことだ。今じゃお前はこの学校の大半の男子の敵だぜ。俺も含めてな」 「お前は姉さん狙いじゃなかったっけ?」 「お前さえよければ狙うけど?」 「俺の家に招待してやるって話、無しにしようか?」 「冗談だよ、未来の弟よ」 おどけて笑ってみせる杉下。こいつがそういう事を言うと本気に見えるから怖い。 「さて、のろけ話でも聞かせてもらおうか。昨日は一緒に下校して、その途中で喫茶店に寄って一時間近く談話で合っているか?」 「おいおい…。そこまで知れ渡っているのか?」 「いや、これは俺が個人的に尾行して知っただけだが」 「…」 昨日は部活がオフ。だから少しでも親交を深めようと優奈を誘って一緒に帰ったのだ。 しかしただ尾行するだけならまだしも、何故、喫茶店に居た時間まで把握しているんだ? 「あそこのカフェラテ美味いよな~。あ、お前はキャラメルラテを頼んでいたっけ?」 「…。全部見ていたのか?」 「もう何から何まで。会話の内容は聞き取れなかったけどな」 「…」 「おいおい、怒るなよ。結構近くで見ていたんだぜ。気付いておかしくない距離だった。んで、気付かれたらちょっと茶化して去ろうと思っていたんだが…。あまりにお前が気付かないから、引っ込みがつかなくなっちゃってな」 「緊張していて、周りなんて見えてねーよ」 「いやいや悪かった。素直に謝ろう。この通りだ」 頭を深く下げる杉下。まったく…、調子のいい奴だ。 505 名前:似せ者 ◆Tfj.6osZJM [sage] 投稿日:2009/02/01(日) 00 04 17 ID 0UdZTbIV 「でも、お似合いのカップルに見えたぜ。お前も藤堂優奈も本当に楽しそうに笑っていた。幸せオーラばんばん振りまいていたな」 「お似合いに見えたか?」 「そりゃもう。お前と藤堂優奈ってどことなく雰囲気似ているしな」 「雰囲気が似ている…、か」 優奈の兄と俺が瓜二つなのだから当たり前と言ったら当たり前なのかもしれない。 「まぁお前の妹さんに少し似ているもんな、藤堂優奈って」 「え?」 「なんだよ、突拍子もないことを言われた~、みたいな顔して。自分で気付いてなかったのか?」 「いや、全然」 「お前が藤堂優奈が好きだと聞いた時に自然とそれに納得出来たのも、俺がお前の妹さんの顔を知っていたからだったんだが…」 優奈が唯に似ている。まったく気付かなかった。 確かに優奈の兄に俺が瓜二つなら俺の妹と優奈が似ているのも必然だ。 「俺が唯の面影を求めて藤堂優奈に惹かれたと?」 「俺はそう思っていた」 「俺が好きなのは藤堂優奈。唯の偽者ではないよ」 「さらに妹さんに瓜二つの女の子が居ても、藤堂優奈を選ぶと?」 「もちろんだ」 俺はきっぱり言い放った。 「そろそろ行こうぜ、俺はともかく、お前は昨日、たいした練習してないだろ?」 杉下との会話に終止符を打ち、ランニングに向かおうとした。 「あ、ちょっと待った」 「何だよ?」 「お前の家に行くって話、明日でもいいか?」 明日は土曜、学校はない。部活も午前中で終わる。姉さんは居るか知らんが… 「分かった、姉さんにそれとなく明日の予定聞いておくよ」 「感謝する、我が弟」 まったく、抜け目のない奴だ。 少し長話が過ぎたので俺らは急ぎめにそれぞれの練習を始めた。 506 名前:似せ者 ◆Tfj.6osZJM [sage] 投稿日:2009/02/01(日) 00 06 29 ID 0UdZTbIV 昼休み、俺は屋上に向かい優奈と合流した。 「兄さんの弁当を作らせてください。私の料理の腕、さらに上達したんですよ?」 と昨日言われたのだ。 好きな子の弁当を食べる学生生活。絵に書いたような青春だ。 「悪い、優奈。待ったか?」 「いえ、今来たところです」 二人でベンチに腰を掛ける。 「さて、さっそく見てもらえますか?私の作った弁当を」 「おう、楽しみにしてたよ」 持っていた二つの弁当を順に開けていく。 一つは主食のサンドイッチとおかずのステーキ・マリネの3品をメインにして、人参やパセリで彩りを整えた洋風の弁当。 一つは梅干が乗ったご飯と、鮭・ほうれん草の御浸し・黒豆・漬物などの日本の昔ながらのおかずが入った和風の弁当。 「洋風と和風、兄さんがどちらを食べたいか分からなかったので二つ作ってきました。どちらがいいですか?」 「ちょっと待って。これ全部、優奈が作ったの?」 「すみません、こっちの弁当の黒豆は買ってきたものです」 「いや、そういうことじゃなくて…」 凄すぎる。その一言だ。これだけの品数を朝一日だけで作ったのだろうか。しかも一つ一つクオリティーが高い。 「本当に料理上手いんだなー」 「そういうことは食べてから言ってください」 「じゃこっちの和風の弁当を貰うよ」 俺は弁当と箸を受け取った。 「いただきます」 好物のほうれん草から口に運ぶ。 優奈は合格発表を待つ受験生のような顔で俺を見ていた。 「うん、美味い!物凄く美味い!」 「それは良かったです」 優奈の顔がパァーと輝く。やっぱり可愛い。 優奈も洋風の方の弁当を取り、食べ始めた。 507 名前:似せ者 ◆Tfj.6osZJM [sage] 投稿日:2009/02/01(日) 00 07 39 ID BmLkeDkU 「友達付き合いとか大丈夫でしたか?昨日の今日で昼休み呼び出してしまって」 「優奈のこの弁当を食べられない方が大丈夫じゃないよ」 俺は夢中になって食べていた。 「兄さん?」 「うん?」 「私の事、恨んでいませんか?」 「え?」 「いえ、何でもないです」 どういう意味だろうか? 「こっちの弁当も少し食べてくれませんか?」 「いいの?」 「私こんなに食べられないですよ。それにこのハンバーグ、自信作なんです」 言われるがままにハンバーグをとる。 「美味い!俺の姉さんの百倍は美味い!」 「姉さんの?」 「俺の姉さんな、料理にはまってるんだけど、これがもう下手で…。この前はハンバーグ食べさせられたんだけど、焦げているわ味付けおかしいわで…。もう勘弁してください、って感じだったよ」 「絵里さんがですか?」 「あ、知っているの?」 「知っているも何もこの学校で絵里さんのことを知らない女子は居ませんよ」 笑いながら言った。 「姉さん、そんなに凄かったのか…」 「でも絵里さんにそんな弱点があるなんて知りませんでした。あまりの完璧ぶりから女神様という通り名まで付いているんですよ」 「食関係はめっぽう駄目なんだよ。作るのは駄目だし、食べるのも瓜科のものは何も食べられない。だからサンドイッチもハンバーガーも食えないんだぜ」 「驚きです」 「瓜科のものは95パーセント以上が水分だからそんなもの食べる腹の空きがあるなら栄養豊富な緑黄色野菜でもとりなさい!なんていつも俺に言ってくるよ」 姉さんの口調を真似しながら言った。俺と優奈から笑い声がこぼれる。 「でも、不思議ですね」 「え?」 「私の兄さんの姉さんは、私の姉さんじゃないなんて…」 「あ…」 「私、頭では分かってるんです。兄さん、いや赤坂君が兄さんの生まれ変わりでもなければ、もちろん偽者でもないって。でも今はまだ…」 「分かってる、優奈の気持ちの整理がつくまで、俺は優奈の兄さんだ」 「ありがとう。兄さん」 ちょっと切なそうに、でも嬉しそうに笑う優奈。 この笑顔が見られるなら、俺はいつまでも偽者で構わない。 いや本心ではそんなことないのかもしれない。でも今の俺には優奈の彼女になることよりこっちの笑顔の方が大事だ。 「なぁ、もう一個ハンバーグくれないか?」 「はい、どうぞ、兄さん。また作ってきますね」 優しく笑う優奈。 うん、今はまだこれでいい… 508 名前:似せ者 ◆Tfj.6osZJM [sage] 投稿日:2009/02/01(日) 00 08 59 ID BmLkeDkU その日の深夜、妹の墓参りに行った。 学校帰りに行く事もあれば、ランニングウェアでトレーニングついでに行く事もある。 かなり定期的に妹の墓には通っていた。 「唯。俺な、彼女が出来たんだ。まぁ正確には彼女ではないんだけど…」 墓石に向かって話しかける。もちろん返事はない。 「藤堂優奈って言うんだ。仁衣高校三大美女って呼ばれるほど可愛いんだぜ」 そう言って墓石に優奈の写真を向ける。 「杉下がお前に少し似ているって。お前も三大美女並みだってことだぜ。嬉しいだろ」 唯も姉さんに負けず劣らず相当モテた。兄として、誇らしくもあり、気に入らなくもありとそんな感じだった。 「高校生になったお前、見たかったな。きっと可愛かったよな」 もう涙は出てこない。でも依然、虚しさは湧き上がってくる。 「話、まだまだあるんだ。陸上部の話とか、姉さんの料理の愚痴とか」 映太だけには 「お兄ちゃん」 きっと、そんな声が聞こえている。 死んだ人間はこの世から居なくなる。 この世界に赤坂唯という人間は居ない。 墓石は確かに死者のものだ。 しかし墓参りは死者のためだけのものでない。 生者のためのものでもある。 映太の墓参りは週2・3回。 赤坂唯の死から一年少し。今もそのペースは落ちていない。 深夜の墓場の真ん中に、男が一人。 墓石達はいつもの来客を気にもせず、しんみりと眠っている。 今日も映太の墓参りは長い。 509 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/01(日) 00 09 48 ID JlshmiRz 支援? 510 名前: ◆Tfj.6osZJM [sage] 投稿日:2009/02/01(日) 00 14 33 ID BmLkeDkU 終了です。 病み化まではもうしばらくお待ちください。 後、第四話の前に追加TIPSを入れます。 近いうちに投下する予定です。 511 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/01(日) 00 16 32 ID 1fK5f/N7 509 支援気付きませんでした。感謝です (作者携帯) 512 名前: ◆j1vYueMMw6 [sage] 投稿日:2009/02/01(日) 01 01 04 ID WY22T+kg 乙乙 投下間隔はそれほど気にしなくて良いと思われ 513 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/01(日) 01 01 49 ID WY22T+kg 512 すいません、トリつけっぱでした 514 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/01(日) 02 22 54 ID WPdsLQv8 乙 515 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/01(日) 12 51 57 ID MXTxYhuH GJ!! 516 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2009/02/01(日) 20 44 49 ID 7kLJOZU5 次回に期待! 517 名前: ◆YOLz5qIxQc [sage] 投稿日:2009/02/01(日) 20 54 45 ID GuZQVk1C 投下します。 518 名前:胡蝶病夢 ◆YOLz5qIxQc [sage] 投稿日:2009/02/01(日) 20 55 52 ID GuZQVk1C 夢。 夢はいつか終わる。 朝になれば人は起き、そこで夢は終わる。 しかし、目が覚めてもそこが現実だとは限らない。 それが『目が覚めた夢』でないとは限らない。 今の俺は『夢』と『現実』どちらにいるんだろう…… 最近、妙な夢を見る。何が妙なのかというと『分からない』のだ。 その夢は、俺の日常をそのまま映したかのような世界。 朝起きて学校へ行き、退屈な授業を受け、放課後に友人と遊ぶ。 夢の中の人々は皆、現実と同じ人だし、通っている学校も一緒。 まさに、もうひとつの『日常』だった。 なのに、何かが違う。 朝起きるたびに俺は夢の内容を思い出し、モヤモヤとした気分になっていた。 「どうしたの? 迎えにいった時から冴えない顔してるけど」 「どんなシチュエーションでお前に告白しようかと一晩中考えてた」 「へー、わたしに告白……ってえぇえええぇぇ!! こっこ告白だなんてそんなだめだよ急にいやでもわたしは別にいいんだけど できればわたしからしたかったというかなんというか計画が台無しとか」 「いや、嘘なんだけど」 「へ? ……いや分かってたよ? そんな簡単な嘘にこの奈菜様は引っかかりません」 「嘘つけ」 「う、嘘じゃないもん!」 「じゃあ…… 奈菜、好きだ。俺と付き合ってくれ」 「え!? え、えっとあのよよよろこn……はっ!?」 「思いっきり引っかかってんじゃん」 「うぅ、ひどいよ祐介……」 朝から俺とアホアホトークをしているコイツは恩田奈菜。俺の幼馴染である。 ちょっと頭が抜けているが、容姿は良いほうで、けっこうモテてるらしい。 肩まで伸びた茶髪を頭の横で二つに縛っている。いわゆるツインテールってやつ。 毎朝迎えに来てくれるコイツをからかいながら登校するのがこの俺、清水祐介の日課だ。 「で、なにかあったの? 話してくれれば相談に乗るよ?」 「ああ、最近、変な夢を見るんだよ」 「変な? なにが変なの?」 「それが分からないんだ。だから変なんだよ」 「?? うーん……よく分からないや。それより、その夢にわたしも出てる?」 「分からないってお前……出てるぜ。夢の中でもお節介な幼馴染ってな」 「むぅー……祐介はいつも一言多いんだよ」 「それが俺だ。ま、早く行こうぜ。ゆっくりしてると学校遅れちまう」 「うぅー……」 「あ、そういやさっきお前俺の告白に『よろこんで』って言おうと……」 「わぁー!! い、言ってない! そんなこと言ってないよ!!! ほら早くしないと学校遅れちゃうよ!!!」 「ちょ、おい、わかった! わかったから押すなって!」 (ふぅ、あぶないあぶない、ばれちゃうとこだった。でも、私のこと すきって言ってくれた……うれしかったな……ふふふふふふふふふふふふ……) 519 名前:胡蝶病夢 ◆YOLz5qIxQc [sage] 投稿日:2009/02/01(日) 20 57 17 ID GuZQVk1C 「つっかれたあ~~!」 部屋に入るなり鞄を傍らに投げ捨て、ベッドにダイブする。あ~気持ちいい。 この行為をするためだけに俺は学校に行ってるな、うん。 「さて、晩飯まですることないし……寝るか」 そこで勉強という単語がでないのかよ俺。と一人ごちるも、 溜まっていた疲れからか、結局すぐに夢の中へ落ちていった。 ――ぇ 夢。 ―ぇ――――? これは夢。 ―――てば 夢って自分が認識できるのって確か…明晰夢……だっけ? ねぇ、だい――ぶ? まあどうでもいいか。ここは夢、現実じゃないんだし。 「ねぇ!聞こえてるの!?」 「そんな大声で呼ばなくても聞こえてるよ」 「だって祐介、さっきからずっと空返事ばっかりなんだもん」 そう、ここは夢。現実じゃない。だったら思いっきり楽しまなきゃ損だ。 「悪い悪い。さ、早く学校行こうぜ。由紀」 そう言って俺はお節介な幼馴染――松本由紀へ手を差し伸べた。 520 名前: ◆YOLz5qIxQc [sage] 投稿日:2009/02/01(日) 20 57 58 ID GuZQVk1C 短いですが、投下終了です。 521 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/01(日) 21 06 33 ID zyMvg2UK 乙 522 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/01(日) 22 14 28 ID PMymGX9c ちょっと待て。え?これヤンデレ?誰がヤンデレなん? 523 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/01(日) 22 28 00 ID s3zX3kgQ 522 現在トップギアな娘だって(作中で語られているいないは別として)序々に病んでいった結果だぞ 今病んでいなくても未来がある 524 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/01(日) 22 49 38 ID BmLkeDkU GJ!後が楽しみだ! 525 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/01(日) 23 01 20 ID MXTxYhuH GJ!! 522 経過を楽しむのもいいものだぞ 526 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/01(日) 23 03 56 ID O5kjfA/J 最初からヤンデレ全開なんて それに行き着くまでの楽しみが無くなるじゃないか 527 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/01(日) 23 12 24 ID WPdsLQv8 だよな ヤンデレになるまでの過程がいいんだよ 528 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/01(日) 23 29 50 ID PMymGX9c おおぅ……一話完結だと思いきや続きがあんのかよ…orz なんという早とちり!なんという先走り…ッ!一生の不覚……ッ!! 529 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/02(月) 02 21 05 ID u8thUTUr マックスの22話思い出した 530 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/02(月) 03 33 00 ID B9BwBvsq ほトトギすの続きを全力で待っているのは俺だけではないはず。 531 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/02(月) 05 10 27 ID lCrIKroC 俺もまってる カチカチ山もまってる 532 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/02(月) 09 56 49 ID zDZqGqgh 俺も待ってる 首吊りラプソディアと氷雨デイズの続きも待ってる 533 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/02(月) 10 05 17 ID ijkSIlHD 最後から一年も経たないうちに続きねだるとか…… idealを二年待っている俺のように我慢しろw 534 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/02(月) 11 27 43 ID IJNxxwMi よづり…… 535 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/02(月) 12 00 00 ID CP/19lxv 待ち人を文句も言わずに待ち続けるとか…… お前らこそがヤンデレなんじゃないか? 536 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/02(月) 12 09 33 ID y0l4aYd1 私は死ぬまで待つわよ、ことのはぐるまを 537 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/02(月) 16 59 14 ID lC/nl5+M じゃあ、俺は姉ちゃんが体育教師のやつ 538 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/02(月) 20 25 51 ID yURrbs7O 和菓子と洋菓子のB、Cルートを待つ 539 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/02(月) 20 51 25 ID zWBl4wh9 俺はいない君といる誰か…… しかし長編って未完多いな、それだけ大変って事なんだろうけど 540 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/02(月) 21 45 51 ID 6MmcXplU 俺はことのはぐると真夜中のよづりを死ぬまで待つよ 541 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/02(月) 22 17 34 ID ZPajTZQv オレモ コトノハグルマ ヲ マッテル 542 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2009/02/02(月) 22 28 34 ID 3g5eMINL 俺は『ヤンデレ家族と傍観者の兄』と『上書き』を待つ。 543 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/02(月) 22 45 11 ID 5qW9d0xc 投下しにくいしモチベーションも下がりかねないからこういう話題はやめないか? 544 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/02(月) 22 48 23 ID 2/w9Mvip 俺はほトトギすを紳士的に待ってる まだ寒いからヤンデレスキーな紳士は風邪やインフルに気を付けて下さい 545 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/02(月) 22 54 16 ID EO7aIwIs あんまりプレッシャーかけるのもねぇ 546 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/02(月) 23 03 54 ID zFvmp4mf あみんの待つわってヤンデレっぽいな。 547 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/02(月) 23 39 09 ID g0Q2TtuF ヤンデレ家族みたいに作者の生存確認ができればどんなに待たされても 心配ないけどねえ。 溶けない雪も最後が4月4日でもうすぐ一年にになりそうだし。 そういえば、goodのこはるの日々ってヤンデレになりそうだな。 548 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/02(月) 23 52 59 ID CP/19lxv 547 おい、お前の所為でその漫画が気になってしょうがなくなっちまったじゃねえか どうしてくれるんだ 549 名前: ◆Tfj.6osZJM [sage] 投稿日:2009/02/03(火) 01 09 15 ID MyvGUxgz 予告通り追加TIPS投下します。 TIPSは視点が映太以外だったり過去の話だったりします。 おまけというよりは3.5話みたいな感じに思って頂いた方がいいかもです。 では投下します。 550 名前:似せ者 ◆Tfj.6osZJM [sage] 投稿日:2009/02/03(火) 01 10 29 ID MyvGUxgz TIPS サッカーゲーム 映太から来訪OKの返事が来たので俺は赤坂家へと向かった。 赤坂家は白が基調の一軒家だった。それなりに広く、庭もある。俺の家より遥かにいい家だろう。 「いらっしゃい」 「はじめまして、杉下隆志です」 「映太から話は聞いているわ、どうぞ上がって」 迎えてくれたのは姉さんの方だった。 赤坂絵里。三年生。弓術部所属。仁衣高校三大美女の一人。 容姿端麗、頭脳明晰、活溌溌地。「女神様」という通称の通りのパーフェクトウーマン。 力強さ・可愛さ・美しさの全てを兼ね備えている。 そのため、俺のように惚れている男子は非常に多い。 しかし、より特筆すべきは女子からの人気の高さであろうか。女子全員の憧れであり永遠の目標。彼女を慕って弓術部に入った部員は数知れず。 本人は自覚してないみたいだが映太もかなりモテる。 ただ、これは純粋に、映太の顔が良いからというのもあるのだが、赤坂絵里の弟という理由もかなり大きかったりする。 赤坂絵里の影響力の高さはそれほどなのだ。 三大美女の一人という位置付けではあるが、生徒への影響力という意味では、彼女は間違いなく仁衣高校一だった。 「いらっしゃい。五分遅れだ」 居間に上がると映太がいた。 「人の家に来る時はそれが礼儀なんだよ」 まぁ純粋に遅れただけなんだが。 「って言っても、俺も菓子やら飲み物やらを買い忘れていたから今から買いに行くんだがな。まぁそこでゲームでもして待っていてくれ」 「了解」 これは、メールで打ち合わせした通りであった。絵里さんと二人の時間が欲しい。そう伝えておいたのだ。 「姉さん、ちょっと相手していてよ。サッカーゲームなら出来るだろう」 「OK、いいわよー。杉下君。私、結構ゲーム強いから覚悟してね」 「望む所です」 映太が外出していく。さて始めるか。 551 名前:似せ者 ◆Tfj.6osZJM [sage] 投稿日:2009/02/03(火) 01 12 18 ID MyvGUxgz 俺は、ゲームのセッティングをしながら絵里さんに話しかけた。 「さて、鋭い絵里さんなら気付いていると思うのですが」 「映太が私と杉下君を二人きりにしようとしたことかな?」 「御名答です」 流石、「女神様」と言われる事なだけはある。話が早い 「その目的の一つはもちろん、絵里さんのことを好きな僕が絵里さんと親交を深める、というものなんですが…」 話しながらゲームの電源をつける。 「随分と正直なのね」 「隠し事とか出来ない性格なので」 笑いながらコントローラーを絵里さんに渡した。受け取る絵里さんも笑顔だ。 「女神様」な面と、こういうお茶目な面のギャップもまたいい。 俺はやっぱりこの人が好きなんだと、改めて実感した。 「まぁ本当はそっちの目的のために絵里さんの趣味とか聞いていきたいところなんですが、時間に限りがあるので最優先の方の目的を済まします」 「最優先の方の目的?」 「映太のことです」 ロードが終了しゲームがつく。俺はマッチモードを始め、日本をセレクトする。 「映太が絵里さんと同じ仁衣高校三大美女の一人と付き合っているのはご存知ですよね?」 「もちろん、知っているわ。藤堂優奈ちゃん、だっけ?」 絵里さんもチームを選ぶ。アルゼンチンクラシックスだった。 「日本相手にアルゼンチンクラシックスとは容赦ないですね」 「勝つためには最善を尽くすというのが私の主義なの」 それぞれフォーメーションを微妙にいじった後、キックオフがされた。 「では藤堂優奈の顔はご存知ですか?」 「昨日、友達に見せてもらったわ」 「妹の唯ちゃんに似ていると感じませんでしたか?」 「あら、唯のことまで知っているの?驚いたわ」 「あいつの財布の中の写真を見ました。墓参りも一緒に行ったことがありますし」 「まぁ確かに少し似ているわね」 「あいつは今でも妹に罪悪感を持っている。今でも妹を求めている。僕はあいつが藤堂優奈に惹かれたのは唯ちゃんに似ていることが原因だと考えています」 「それを伝えたかったの?」 「いえ、それだけなら良いんです。藤堂優奈が唯ちゃんに似ていると言っても、あくまで似ているのレベルですから」 552 名前:似せ者 ◆Tfj.6osZJM [sage] 投稿日:2009/02/03(火) 01 13 39 ID MyvGUxgz また、パスをインターセプトされた。自分で強いというだけあって本当に手強い。チーム力の差も相まって俺は押されて行く。 「実は藤堂優奈は同学年の従姉妹と一緒に住んでいるんです。名前は吉岡瑠衣。この従姉妹も仁衣高校に通っていて、藤堂優奈に負けず劣らず可愛いので、仁衣高校三大美女の一人になっています」 「それで?」 きわどいシュートに襲われるがバーに助けられた。こぼれ球をクリアに行く。 「吉岡瑠衣の顔はご存知ですか?」 「いや、知らないわ」 アルゼンチンクラシックスのコーナーキックになって、一度プレーが切れる。 「これが写真です」 俺は携帯の画像を見せた。 「嘘!?」 絵里さんの声が大きくなる。 「どう思います?」 「どう思うも何もこんなの…」 プレーはまだ再開されない。空白の時間がしばし流れた。 「僕がこの事を知ったのはあいつが藤堂優奈に告白した日の昼休み。丁度、告白をしていた時です。あいつが藤堂優奈に告白するようトリガーを引いたのは僕なんですが、今はそれを心底後悔しています」 「…」 「それだけ伝えたかったんです。絵里さんに謝っても仕方ないかもしれませんが謝罪をします、すみません」 「杉下君は悪くないわ。いや、誰も悪くない」 「すみません」 「ゲームの続き、やりましょう?」 二人は画面に向き直った。 553 名前:似せ者 ◆Tfj.6osZJM [sage] 投稿日:2009/02/03(火) 01 15 31 ID MyvGUxgz 「ねぇ、杉下君。サッカーゲームのクラシックチームが異常に強いのは何でだと思う?」 「分母が多いからですか?」 「それももちろんあるかもしれない。でも一番の理由は、人が過去を美化する生き物だからなのよ。偉人は世界を退いてから偉人になる」 アルゼンチンクラシックスに一点入る。マラドーナの左足からのボレーシュートだった。 「だから現代のサッカーにも美しい過去を追い求めて、マラドーナ2世とかペレ2世とか作り上げるのよ。今はメッシがマラドーナ2世でしたっけ?」 「メッシはマラドーナを超えますよ」 「あら、メッシのファンなのかしら?」 俺が強く反論したのを見て、絵里さんがクスクスと笑う。 「私もマラドーナ2世とかいう呼び名は好きじゃない。どんなにプレースタイルがそっくりでもそれは似ているだけ。似せ者でしかないのよ。 そう、杉下君が言う通り、メッシがマラドーナを超える可能性もある。もちろん、結局マラドーナには及ばない可能性もある。でもどんなに頑張っても、メッシがマラドーナになることは出来ないわ」 俺はまだアルゼンチンクラシックスの猛攻を受けている。 「あ、最後に僕の自己満足で、これだけは言わせてください」 「何かしら?」 「僕は現在生きている絵里さんが好きですよ」 「あら、私を狙うのは大変よ?」 「覚悟のうえです」 これで一応は二つ目標を達成出来たかな? 今日、俺なんかが出来る行動はここまでだろう。絵里さんのことも、映太のことも。 ここからは話しを止めて、逆転のため、ゲームの方に集中することにした。 なんとかボールを奪い、日本の良さを最大限生かすパス中心の早くて速い展開で攻め立てる。 結果は1―2でアルゼンチンクラシックスの勝利だった。 554 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/03(火) 01 17 47 ID fMUnkldn しえん 555 名前: ◆Tfj.6osZJM [sage] 投稿日:2009/02/03(火) 01 20 00 ID MyvGUxgz 終了です。ちなみにウイイレのクラシックチームは本当に異常に強いです。 このTIPSに出てきた吉岡瑠衣でメインキャラクターは全部です。 絵里はお気に入りのキャラクターです。残念ながら病みませんが。 ではまた。 554 支援感謝です! 556 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/03(火) 02 24 46 ID KM/m7OTQ GJ!! 557 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/03(火) 04 03 04 ID Fg04RarV ここはエロパロだと何度言えば 続きを全裸でお待ちしています 558 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/03(火) 07 39 20 ID T5buv+w0 555 なんだ絵里さんは病まないのか残念。だがGJ! 559 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/03(火) 18 22 19 ID NYtyKk2x 絵里さんが病み化したらヤバそうだな 560 名前:変歴伝 9 ◆AW8HpW0FVA [sage] 投稿日:2009/02/03(火) 19 32 49 ID z29d2Xng 投稿します。 561 名前:変歴伝 9 ◆AW8HpW0FVA [sage] 投稿日:2009/02/03(火) 19 33 31 ID z29d2Xng 行き付けの青果店に向かう途中の業盛に、子供がぶつかってきた。 子供は謝ることなく、その場から走り去ってしまった。 怪訝そうにそれを見つめていた業盛は、ふと腰の辺りが軽く感じた。 「あれ…ない!袋がない!」 なんと、金が入っていた袋を盗まれていたのだ。 「あの餓鬼…。逃がすか!」 業盛は凄まじい速さで子供を追った。 子供の足で大人を撒けるはずはない。子供はあっという間に捕まった。 「は…放せ~!」 子供は足をばたつかせ、必死に逃げようとする。 「誰が放すか馬鹿め!このまま役所に突き出してやる」 「放せ、放せ、放せ~!このままじゃ…姉ちゃんが…」 「姉さん?姉さんがどうしたというのだ?」 急に涙声になったので、思わず聞き返してしまった。 「姉ちゃんが…病気なんだ。でも…お金がないから…だから…だから…」 「両親がいるだろう。お前の両親はなにをしているんだ?」 「父ちゃんも母ちゃんも、とっくの昔に死んじゃったよ。 今までだって姉ちゃんが稼いでなんとか生きてきたんだ。 でも、姉ちゃんが倒れちゃったから…、だから…こうするしかなかったんだ!」 なるほど、だからスリなんてことをしたのか。 業盛は子供を降ろしてやった。 「おい、お前の名前はなんて言うんだ?」 「…一郎…」 「一郎か。お前、こんなことやっていいと思っているのか?」 「…駄目だってことは…分かってるけど…」 「確かに姉を助けたいと思うのは分かる。 だが、盗んだ金で助けたって、お前の姉が悲しむだけだぞ。 それぐらい分かるだろ?」 一郎は黙って俯いてしまった。 「とにかく、お前にはやることがある。未遂とはいえ、スリはスリだ。 ちゃんと罪を償うんだ」 業盛は一郎を連れて、役所に向かった。その間、一郎は無言だった。 562 名前:変歴伝 9 ◆AW8HpW0FVA [sage] 投稿日:2009/02/03(火) 19 34 01 ID z29d2Xng 役所に着くと、一郎を役人に引き渡した。 「おい一郎。お前の姉さんの病状と場所を教えてくれ」 役所に連行される一郎に、業盛が声を掛けた。 「熱か出て、咳が止まらなくて、寒いって言ってた。 場所は都から北に進んだ山だけど…なんでそんなことを…?」 姉を救えないと思ったのか、一郎の声は震えていて今にも泣きそうだ。 業盛としても、このまま無視してしまうのは人倫に反するクズであると思っている。 だからこの言葉は、一郎にとっても、自分にとっても救いになる言葉だと思って言った。 「助けてやるよ。お前の姉さん。 このまま放っておくのも夢見が悪いんでな」 思った通り、一郎の顔色が明るくなった。 門が閉まる直前、一郎が深くお辞儀をしたのが垣間見えた。 門が閉まるなり、業盛は門衛に近寄り、金一粒を握らせた。 「これは…」 「あんたに頼みたいことがある。聞いてくれたらもう一粒やる。どうかな?」 「な…なにをすれば…」 「なに、簡単なことだ。この金を役人達と獄卒達に渡してくれるだけでいいんだ。 これだけ言えば分かるだろ?」 門衛は頷き、渡した金を持って門の中に入っていき、しばらくすると帰ってきた。 「言われた通り、配ってきました」 「本当に配ってきたのか?途中でくすねたりしてないだろうな?」 「ばっ…馬鹿なこと言わないでください。ちゃんと配ってきましたよ」 「そうか…?…懐が少し膨らんでるぞ?」 「えっ…あっ…!」 門衛が慌てて胸に手を当て、そして、自分がはめられたことに気付いた。 「やっぱりな…。今度そんなまねしたら…分かってるよな?」 少し刀を抜いてみせる。門衛は小さく悲鳴を上げ、再び門の中に入っていった。 またしばらくして、門衛が帰ってきた。 「今度はちゃんと渡してきたんだろうな?」 「はい、ちゃんと渡してきました。だから、命だけは…」 「嘘付け、お前、まだ隠し持ってるだろ。白々しい芝居しやがって」 業盛は刀を抜き門衛に向けた。門衛が再び悲鳴を上げ、その場にへたり込んだ。 「ほ…本当です。今度はちゃんと渡してきました。 こ…この金も、もういりませんから、どうか…命だけは…」 門衛がさっき渡した金一粒を差し出した。 「どうやら本当の様だな。いいだろう、信じよう」 そう言うと、門衛から金を受け取り、その場から去った。 563 名前:変歴伝 9 ◆AW8HpW0FVA [sage] 投稿日:2009/02/03(火) 19 34 41 ID z29d2Xng 「思いの外、簡単に引っかかるものだな。 さぁてと、優しい門衛さんから『返してもらった』この金で、薬でも買うとするか」 業盛は結構したたかであった。 564 名前:変歴伝 9 ◆AW8HpW0FVA [sage] 投稿日:2009/02/03(火) 19 35 15 ID z29d2Xng 薬を買った業盛は、いったん清盛邸に戻った。 弥太郎にしばらくの間、鯉の餌やりを頼もうと思ったのだ。しかし、一向に見つからない。 「どこにいるんだ、弥太は?」 しばらく歩き回ると、部屋から微かに話し声が聞こえてきた。 「この声は清盛様…もう一人は誰だ…?」 ふと、好奇心から部屋の戸に耳を近づけようとした… 「そこでなにをしている!」 が、後ろから怒鳴り声を浴びせられ、慌てて振り返った。 そこにいたのはしたり顔の弥太郎だった。 「どうだ、びっくりしただろ」 「お…驚かせるなよ。心の蔵が飛び出るかと思ったぞ」 「ふふ、お前の驚いた顔は見物だったぞ。それにしても、盗み聞きとは悪趣味だな~三郎」 別に叱責する訳でもなく、茶化した様な口振りで、業盛に皮肉を言う弥太郎。 少しむかつく。まるで平蔵だ。 「そ…そんなことより、お前、今までどこにいたんだ?館中探したんだぞ」 話の流れを変えるべく、もとい照れ隠しのため、文句を言った。 「ちょっと野暮用でな…。所で、探していたということは俺になにか用か?」 「あぁ、実は用事ができてさ、 しばらく俺の仕事を代行してくれないかと頼もうと思ってな…」 「そんなことか。いいぜ。代わりに、なにか奢れよ」 「分かっているよ」 許可が取れた業盛は、弥太郎に別れを告げて、北の山に向かって走り出した。 565 名前:変歴伝 9 ◆AW8HpW0FVA [sage] 投稿日:2009/02/03(火) 19 37 09 ID z29d2Xng 投稿終了です。 なかなか進まないし、歴史的出来事も起こらない。 最低なヤンデレ小説ですね。 少し、自分の頭に自信がなくなります。 566 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/03(火) 19 41 24 ID J3sNSq8v GJ!! 567 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/03(火) 20 56 20 ID KM/m7OTQ 565 いやいやGJだぜ!歴史物書こうというのがそもそも凄い! 559 単なるワガママだけど、俺も絵里さんの病みがみたい!病んだ女神様とかツボすぎる! 568 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/03(火) 23 03 38 ID /zvpMOQV 女神様→ああっ!女神様→ベルダンディがヤンデレ→いやむしろスクルドがヤンデレ 何か幸せな気分になった 569 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/03(火) 23 05 11 ID UuSD58/D スクなんとかはいりません 570 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/03(火) 23 14 39 ID F92dEfdz 565 GJ 面白いよ 571 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/03(火) 23 16 30 ID F92dEfdz 確かベルダンディーって嫉妬心半端なかった奴か 572 名前: ◆AW8HpW0FVA [sage] 投稿日:2009/02/04(水) 00 08 44 ID 45hroetS 訂正お願いします。 563の文章を562の文章に一行空けて入れてください。 お願いします。 慰めてくださった皆さん、ありがとうございます。 573 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/04(水) 02 27 46 ID vCW0Zul5 Wikiなんだから自分でやれ 574 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/04(水) 10 07 47 ID Okpj5yXN 本当は、お金なんていらない。謝罪もいらない。 ただ、あなたの気を惹きたいだけ。 私が一番あなたの近くにいるんだよ。 私だけがあなたのそばに在り続けることができるんだよ。 だから、他の人なんかと仲良くしないで。 ずっと私だけを見て―――― そんな韓国なら萌えるのに 575 名前: ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄○ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄[sage] 投稿日:2009/02/04(水) 12 07 04 ID AH6UQNBN O 。 , ─ヽ ________ /,/\ヾ\ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ |__|__|__|_ 〃__(( #180; #8704;`\ )< ・・・というお話 / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ |_|__|__|__ /ノハ,,ハゝ/ )ヽ \_____< お断りします ||__| | | \ ゚ #969;゚ )/ 丿/ \_____ |_|_| 从.从从 | \__ ̄ ̄ #8834;|丿/ |__|| 从人人从. | /\__/ ||| |_|_|///ヽヾ\ / 彡 ゝ/|| ────────(~~ヽ |/ 576 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/04(水) 19 22 33 ID HSmFQEFV 女神様で思い出したが神話っていいヤンデレ多いよな。 ブリュンヒルデとか最高だぜ! ってかもう残り50KBか、速くて素晴らしい。 577 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/04(水) 19 32 22 ID K4A+FUmv 576 ギリシャ神話最高だぞ。 キモ姉、キモウト、ヤンデレよりどりみどりだ。 ヘラ姐さんは少し嫉妬しすぎだがね。 578 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/04(水) 21 06 46 ID ixHtf7Tu 弟がレイプした相手にまで嫉妬してとんでもないことするからな 被害者哀れすぎw 579 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/05(木) 00 29 52 ID WLxrf7Xu 最近劣化してきたな 580 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/05(木) 01 03 59 ID tAOQLDhx 聖書に出てくるカインもヤンデレかな 俺の頭の中ではカインとアベルは女になってるが 581 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2009/02/05(木) 06 05 35 ID sOgM6HT9 最近長編ばっかで短編ないですよね 582 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/05(木) 08 51 06 ID SIllh/P/ カインと言えばFF4のアレだろ。 最近携帯コンテンツの方で配信された奴だと、 スタッフが悪ノリしたのか更に大活躍だ。 583 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/05(木) 11 05 26 ID 5+v/3y3o さすが 581先生 短編楽しみにしてますよ 584 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/05(木) 23 18 57 ID q1pdPdqh た んぺ (ん) タウンページ 585 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/06(金) 00 51 34 ID ajq1lMkn 584 大好きな584君の住所どこだろう… そんな時!タウンページ! これで侵入・待ち伏せし放題! って良純が言ってた。 586 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/06(金) 01 25 54 ID ynKSX52j チン☆⌒ 凵\(\・∀・) まだぁ? 587 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/06(金) 11 16 55 ID JN7dkEbH 質問なんだがただのキ○ガイ紙一重な上にグロ でもそこに愛があればおk? 588 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/06(金) 11 32 01 ID zZk/812m 俺個人の意見だが、完全NG。 グロやら殺しを書きたいためにヤンデレを使っているようにしか見えん。 手段のために目的を選んでいるというか。 そもそも読みたいのは「男が女の狂った愛情に飲み込まれていく」ことであって、 「男が自分以外の誰かと仲が良い→そいつ殺す」なんてただの異常な人じゃんw まー、それがヤンデレだっていうのならそれでいいんじゃないの? ツンデレだって最初は「みんなの前だとツンツン、二人きりだとデレデレ」とかいろんな説あるけど 今じゃ単なる素直じゃない性格のことを言うしw 589 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/06(金) 13 03 31 ID u4obyO1B それって猟奇系スレとか悪女系スレとかあるからそっちのほうがいい ヤンデレにグロはいらないとまではいわないが その書き方だとグロを出すためにヤンデレとかいってるように確かに見える それだともうレナはヤンデレryの流れになっちゃうからな ただのキチガイが愛情に芽生えるのと 愛情に目覚めたが故に病んでしまうのとでは 結果が似ていても根本が違う 590 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/06(金) 14 22 15 ID RfFJrFJ5 まぁ、俺からしてみれば 心が病んでるとはいえ、一途でいいと思うんだけどな ツンデレははっきり言ってキモくて、やかましくウザイだけ あんなののどこが良いのか、理解に苦しむ 591 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/06(金) 14 26 47 ID gFgisO/5 まあ今までも「節子、それヤンデレやない。ただの殺人鬼や」なSSが何本もあったけどな “愛故に病む”がヤンデレの原点だと思う。グロとか殺人は可能性の一つの結果であって、それが ヤンデレだから起こす結果ってわけじゃない 587の質問自体がヤンデレの認識をどこか間違ってる気がする 592 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/06(金) 14 32 17 ID u4obyO1B まぁラブラブで箇条書きにすればバカップルっぽいSSでも 実は彼女はヤンデレっていうのもあるしな 要はどれだけ狂った愛情を見せられるかということであって 狂った行動を取らせるのはその手段でしかない 587はなんか手段と目的が逆転してるきがする 593 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/06(金) 14 58 08 ID JN7dkEbH 587です ただ普通に憧れてたのにアプローチの仕方が判らず、出来ずに歪んでしまい結果アプローチするがそこがグロで…っていう感じで別に殺人とかいれるつもりじゃないんだけどね 俺も愛しすぎるが故に病んでしまうのがヤンデレで、何かしないといけないとは思ってない。ただ悲しいかな俺の文章力・創造力じゃそうしないとただの束縛のキツい変な女にしか見えず… 答えてくれた方々ありがとう もうちょい力つけてから出直すわ 594 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/06(金) 15 03 15 ID PjnzQp8B 逆に元々狂ってる娘が一途な愛情で自分の狂気を押さえつけて 精一杯普通なふりをするのっていうもなかなかいいもんだと最近思い始めたな 595 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/06(金) 16 32 48 ID YJmryuq6 594 いつ飲みにいく? 596 名前:無形 ◆UHh3YBA8aM [sage] 投稿日:2009/02/06(金) 16 49 29 ID TeLSZvAo 投下します 597 名前:ほトトギす ◆UHh3YBA8aM [sage] 投稿日:2009/02/06(金) 16 52 06 ID TeLSZvAo ――受動。 ひたすらに、受動的。 それが、日ノ本創の性質である。 生まれついてのものか。或は生きて往く上で確立された能力なのか。 自分では知ることが出来ないし、あまり興味もなかった事柄だ。 だけど、僕は生まれて初めて。 そんな自分を忌み嫌っている。 僕の受動は、多分そのままの『弱さ』なのだと思う。 強弱とは相対的なもので、また流動的な現象でもある。 けれど、総じて。 或はトータルで、『僕』と云う人間は、虚弱なのだ。 強く出られると逆らえない。 痛みには抗えない。 恐怖には耐えられない。 心が酷く痛がりだ。 臆病だから、傷ついて。 臆病だから、傷つける。 大切に思っていたはずの従妹と『あんな事に』なったのは、僕の弱さが原因だろう。 慕っていた先輩と『あんな仲』になったのは、僕の弱さが招いた結果だ。 僕はこの『弱さ』をどうするべきだろうか。 人は急には変われない。 簡単に強くなどなれるはずもない。 だから、弱さとの決別など出来るはずがない。 ならば、一体何が出来るだろうか。 一ツ橋朝歌は、結局何も聞かなかった。 僕に何があったか、どうしてふらついていたのか。 何も問わず、何も尋ねず。 朝食と熱いお茶を勧めただけで。 「好きなだけここにいて下さい」 そう云って、何事もないように振る舞う。 けれどいつまで経ってもも登校しようとしないのだから、僕に気を遣っているのは、明白だった。 澱んだ瞳と擦れた声で僕は尋ねる。 学校へは往かないのかと。 傍らで本を読む痩せた少女は、興味なさそうに呟いた。 必要があればそうします、と。 膝を抱えて俯く兄貴分に、彼女は何も語らない。 ちいさく寄り添うように、傍にいるだけ。 それは、幽かであっても、確かに貴重な温もりであった。 太陽が頂点に昇り。 この家に来て二回目の食事を終えても。 僕は。そして一ツ橋は外へは出なかった。 陽の射すソファでぼんやりしているだけの僕と、その膝の上に座って本を読むだけの一ツ橋。 交わすべき言葉は何もなく。 語るべき言葉も何もない。 唯、時間だけが過ぎていく。 或はこれは僕の思い込みかも知れないが、一ツ橋はこうやって、僕が癒えるのを待っているのではない だろうか。 だとすれば、随分と気を遣わせたものだ。 高校一年生と呼ぶには、あまりにも細い腰に腕を廻した。 一ツ橋は一瞬だけピクリと身体を跳ねさせたが、後は微動だにしない。何事もないように読書を続けて いる。 僕は無抵抗の後輩を弄びながら、瞳を閉じて考える。 これまでとこれから。 そして、理想と現実。 僕の願望はシンプルだ・・・と思う。 以前に戻りたい。それだけだ。 けれど、それが無理な事は、莫迦な僕でも判っている。 シンプル―― 598 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/06(金) 16 54 29 ID G5snLz6O ④ 599 名前:ほトトギす ◆UHh3YBA8aM [sage] 投稿日:2009/02/06(金) 16 54 37 ID TeLSZvAo そう。 誰であっても、願いくらいはシンプルなものだ。 『彼女』や『彼女』の願いだって、きっとシンプルだ。 僕とは違った意味で、良好な関係を築きたかっただけなのだろうから。 もしも彼女等を愛せたら、或は愛する事が出来たのなら、もう少し結果は変わったろうか? 否。 そうは思えない。 そうは思えないからこそ、問題がより複雑になる。 感情の暴発による他者への排撃は、僕に御し得るものではない。 御し得なかったからこそ、今の僕等の状況があるのだが。 (感情と云えば――) この痩身の少女は、今現在をどう思っているのだろうか。 深深と身体を沈めて来ている姿を覗き込んだ。 一ツ橋朝歌はあまり表情が変わらない。 それは『すぐ顔に出る人』の逆位置にあるだけであって、内面には僕等と同等の世界が広がっている、 と思っているのだが、確証はないし、仮に合っていたとしても、彼女の心象風景を見つめる事は不可能 だろう。 せいぜい、迷惑になっていなければ良いなとは思うけれど、迷惑であるに決まっている。 (そもそも、ここに居る事自体がもう迷惑なんだよな) 今更ながら、思い至った。 自分の事だけ見て。 自分の事情だけで落ち込んで。 誰に負担を掛けているかなんて、考えもしなかった。 その点において、僕は織倉由良や楢柴綾緒と何等変わらない。 覗き見る後輩の頬は赤く腫れている。 云うまでもない、僕の為に暴力に晒されたが故である。 織倉由良に殴打されたのは昨日の昼だ。腫れが引くはずもないのに。 そんな事にも、気付かなかった。 今の今まで。 礼を云う事も。 謝る事すらも。 「頬は・・・痛くないのか」 自分でも驚くくらい、情けない声だった。 死に往く病人のような弱り切った声。 そんな半死人に一ツ橋は瞳も向けず、 「お兄ちゃんが気にする事ではありません」 ちいさく一言だけ呟いた。 僕の所為で殴られたのに、僕の所為では無いように振る舞う。 怪我をさせて。 遅刻をさせて。 結局、僕は一ツ橋に迷惑しか掛けていない。 今も。 その前も。 このままでは、これからも。 僕に関わるだけで、この娘は被害に遭うのだろう。 (居るべきではない。ここに) それが僕に出来る、せめてもの行動。 せめてもの責任の取り方だ。 「――帰る」 呟くと、一ツ橋はこちらを向いた。 「そうですか」 と、いつもの言葉が返ってくると思っていた。 だが、一ツ橋は膝の上で身体の向きを180度換え、 「止めた方が良いです」 珍しく首を動かした。 「戻れば状況が悪化します」 「そう思わないでもないけどな」 だからと云って、居候じみた状態に甘んじるを良とは出来ない。 それは更なる迷惑を掛ける事と同義だから。 600 名前:ほトトギす ◆UHh3YBA8aM [sage] 投稿日:2009/02/06(金) 16 57 36 ID TeLSZvAo 「駄目、です」 身を起こしかけた僕を、一ツ橋は押さえつけた――のだと思う。 彼女にしては珍しい、能動的な所作は。 端から見ると、抱きしめられていると勘違いされるかもしれない。 そういう体勢だった。 「一ツ橋・・・」 「朝歌です」 表情のない瞳に、不可視の意識が見えた。 本当に、どこまでも気を遣ってくれているのだと判る。 だからこそ、これ以上巻き込む訳にはいかない。 あの時。 一ツ橋朝歌を殴りつけた織倉由良は、多分、本気だった。 本気・本当の憎しみをもって、年下の矮躯を殴りつけたのだろう。 憤怒と激情のみに支配された瞳には、気遣いや手加減の文字が見えなかった。 あの鶯にしても、一度敵対者を定めてしまえば、呵責無く責め立てる事、疑いない。 綾緒は織倉由良の名は口にした事があるが、一ツ橋朝歌の名を呼んだ事はない。 つまり、今はまだ、あの鶯には敵視されてはいないと云う事。 ならば、『そうなる』前に関わりを断つべきだろう。 一ツ橋が僕を助ける限り、綾緒に誤解される可能性は付きまとうのだから。 迷惑を掛けて、掛けて、掛け続けて、その果てに一生を左右する瑕疵を残すことになった時、僕はその 現実を受け入れられるのだろうか。 誰よりも弱い僕が。 消えぬ傷。 或は障害。 無関係でいられた人間が自分の所為で癒えぬ疵痕を残すような事態に直面した時、僕は正気でいられる 自信がない。 そんな事態は避けねばならぬ。 だから、この場からの辞去は一ツ橋への気遣いなんかじゃなく、唯の逃避。 僕自身の弱さを、走らせるだけの行為。 けれど、それでも起こりうる大きな災いを未然に防げるのならば、まだマシな逃避と云えるのではない か。 そう思う事にして、僕は立ち上がった。 組み付いている一ツ橋は恐ろしく軽い。 吹けば飛ぶようなこの少女を、嵐の中へ巻き込む訳には往かないと改めて思う。 「一ツ橋・・・もう、充分だ」 もう充分救って貰った。 もう充分、癒して貰った。 痩身矮躯を引き離し、床の上へと降ろし置く。 掌を乗せた頭は、こんなにも低く、ちいさくて。 「充分とはどういう意味ですか」 「・・・」 言葉通り。 答えるべき何ものも無い。 「私が邪魔ですか」 「邪魔じゃない」 「・・・」 「邪魔じゃないから、帰るんだ」 お前は『外』にいるべきだ。 今まで通り、傍観者でいるべきだ。 嵐の中に、来てはいけない。 僕は背を向ける。 「待って、下さい」 細い指が、服を摘んだ。 力が込められている様子が感じられる。 僕はそれを振り払う。 「ごめんな」 そう呟いたつもりだけれど。 ちいさすぎた僕の声は、多分彼女には届かなかった事だろう。 601 名前:ほトトギす ◆UHh3YBA8aM [sage] 投稿日:2009/02/06(金) 16 59 54 ID TeLSZvAo 振り返って考える。 今の今まで、僕は一体、何をどうして来たのかと。 傍観している者が居れば、唯一言。 右往左往。 そう、評する事だろう。 否定はしない。 そもそも出来ない。 能力と実績と、その両方で拵えた結果であるからだ。 どうせ過去の改変など出来はしない。 ならば、これから先をどう生き、どう過ごすかが重要だ。 思い出してみれば、幾度あの後輩に助けられていた事か。 直接的に間接的に。 或は積極的に消極的に。 フォローと云い援助と云うべき行動で、事ある度に救われて来た。 これからは、『それ』が無い。 差し伸べられた手を、自ら振り払った。 その行動自体に間違いは無いと考えたいし、妥当であったと思いもするが、僕の決断が正しかった事と 今後起こりうるであろう事象に対する困難性の増大とは、また別の問題である。 たとえば、今。 現在のこの瞬間。 僕の自宅で僕を抱きしめているこの人を掣肘してくれる人間は、もういない。 「日ノ本くん、どこへ往ってたの?心配したんだから」 幽かに怒気を孕む織倉由良の声は、それでも安堵の方が、より主立った成分であっただろう。 僕の背に回る腕が、ちいさく蠕動している。『情愛』が伝わる所作ではあった。 聞けば昨晩の電話の後、真っ直ぐここへ来て、ずっと留まっていたらしい。 心配されもされたり――と云うべきではあるのだろう。 しかし鬱鬱として楽しまない。 彼女の好意を、重く感じる。 そう考えてしまうのは、僕の傲慢なのだろうか。 ともあれ、家を空けたのは、結果的に正解であったように思う。 昨夜の精神状況では、とてもこの人の相手は出来なかったであろうから。 勿論今も度し難いし、御し得るとは思えない。 けれど、これ以上一ツ橋を巻き込む事の出来ぬ僕である。 自分の力一つでもって、事態に当たらねばならぬ。 どれ程それがぎこちなく、不格好であろうとも。 「日ノ本くん・・・何があったか聞かせて欲しいの。鍵も掛けずに家を空けるなんて」 「・・・」 それは、彼女の立場からすれば、尤もな疑問であったろう。 僕と彼女の中の僕の齟齬は置いておくとして、『恋人』が――いや、知己が一晩行方を眩ませているの だから、気にしない方がおかしい。 そういう意味で、先輩は正しい。 けれど、どうにも対蹠的な態度を取った矮躯の少女と比較してしまう。 何も聞かない。 何も云わない。 その上で他所の男を自宅に上げる。 無防備に過ぎる後輩の態度の方が、気が休まった。 無論それは僕にとって都合が良いと云うだけの、身勝手な云い分に過ぎない。だが、確かにそれで救わ れたのは事実だ。 ――その結果として、無口な少女は休学と云う名の迷惑を被った訳ではあるが。 織倉由良も、今日は欠席のはずだ。本人の弁を信じるならば、昨晩も家に戻っていないのだろうし、品 行方正で通っているのだから、それは流石にまずいだろう。 「先輩・・・」 「なぁに、日ノ本くん」 「学校へは往かなかったんですか」 「今はそんな場合じゃないでしょう?日ノ本くん、凄く窶れた顔してる。事情を聞かないと学校どころ じゃないわよ」 「・・・」 方向性が異なるとしても、僕を心配してくれているというのは間違いないようだ。 602 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/06(金) 17 01 54 ID G5snLz6O ④ 603 名前:ほトトギす ◆UHh3YBA8aM [sage] 投稿日:2009/02/06(金) 17 02 14 ID TeLSZvAo 元来、彼女は面倒見の良い好人物だった。それがいつの間にか変質しただけで、本質的には善良なのか もしれない。 蓋し、性格の善悪と、行動の善悪と、結果としての善悪は、総て別のものだ。 ――強き想いは善であるか悪であるか。 等と云う問いには、答えられるはずもない。 悪心が発端で幸福をもたらす事もあろうし、その逆もあるであろう。 善悪とは事象の周囲と影響にこそ付いて回る言葉なのだから。 だから、いや、だからこそ、何があったかなんて話せる訳もない。 話せば、そこから先は、奈落だけ。 誰も望まぬ暗い滝壺だけが、筏に揺られる乗員達の往き先となるだろう。 『妻』と『恋人』の凄惨な争いを目にするつもりは更更無い。 だから僕は、昨日失踪した理由と、それ以前――『恋人』をほったらかしにして『別の女』と昼食を取 っていた理由を再三、再四問われても答えなかった。 唯、擦れた声でこう云った。 「先輩・・・兎に角、今日は休ませて下さい」 疲労は事実ではあるが、欺瞞である事も判っている。問題の先送りである事も。 だが、先延ばしであったとしても、何も云わない事が正解であると信じた。 必要なのは時間であると思いたかった。 僕の顔には覇気も生気も無い。 元からそんなものは具備していないが、昨日の出来事で根刮ぎ消えた。 それが顔に出ている事は、後輩の家を出る時に確認している。 陰鬱な表情が、この場合は発言に重みを与えてくれるであろうと思われた。 「・・・」 織倉由良は黙って僕を見ている。 暫くそうしていたが、やがて変化が顕れる。 強ばったような、けれど笑顔でも作ろうといているような、不思議な顔であった。 「・・・判ったわ。日ノ本くん、本当に疲れてるみたいだし、今は何も聞かない。でも、約束して?何 があったか、今度話してくれるって。それから、何かあったらすぐに私を呼んで欲しいの。私は日ノ本 くんの恋人なんだから。日ノ本くん為だったら、命だって掛けられるんだから」 そう云って、彼女は包帯の巻かれた腕を押さえた。 生命が流れ出した跡の残る、細く綺麗な左腕。 命を掛けられる―― それは多分、本気なのだろう。 心配していると云うのもそうだ。 だけど、僕には彼女の気遣いがどうにも横滑りして往く。 噛み合わないから、心に響かない。 失礼な云い分だとは思うけれど、織倉由良が思う程、僕は彼女と相性が良いわけではないみたいだ。 ともあれ、今は二つの嵐を引き離す必要がある。 この人と綾緒を逢わせてはいけない。 『妻』と『恋人』の問題は、あくまで別個の件に留めねばならない。 個別な対処ならば、まだ望みはあるだろう。 どうするかを考える為にも、今は時間が必要だ。 だから、心配を寄せる先輩を丁重に送り出す。 「傍にいる」、と云い張られでもするかと思ったが、彼女は意外な程アッサリと帰宅を了承した。 (先輩を“否定”するのではなく、“納得”させれば、ある程度行動を律する事が出来るのかも知れな い・・・) 誤った認識かも知れないが、もしもそうならば、貴重な発見である。 その点、閲する為にも、時間と空間が必須であろう。 去り際、織倉由良は何度も何度も振り返りながら、こう云った。 「夜にでも、また様子を見に来るからね?」 「・・・・・・」 ああ、成程。 簡単に引き下がる訳だ。 僕は力なくに肩を竦めるだけだった。 604 名前:ほトトギす ◆UHh3YBA8aM [sage] 投稿日:2009/02/06(金) 17 04 36 ID TeLSZvAo 一体、疲労とは思考を鈍らせるものである。 今後の身の振り方を云云する前に、今の身体を休める必要がある。 そう思って休もうとした矢先、来客があった。 ここのところ色色あった所為か、恐怖と警戒とが付きまとい、来訪者の確認に手間取った。 「綾緒お嬢様より、創様の御世話を私が仰せつかりました」 玄関先に居た人物は、そう云って恭しく頭を垂れる。 相手は僕の既知で、源逆灯(みなさか あかり)と云う少女であった。 穏やかな雰囲気と外見を持つこの女性は、楢柴家の使用人だ。 使用人と云っても、タダノヒトではない。 従者の身分が『一般人』と云うのは、『普通の名家』だけである。『名家の中の名家』である楢柴家で は、従者になるにも一定以上の『資格』が必要だ。 源逆家は、北面の武士を先祖に持ち、更に遡れば、その血は嵯峨源氏に突き当たる。当然のように長い 長い家系図を持った、『血統書付き』の人物――要はお嬢様である。 名家の子女が他家へ奉公へ出るのは、心身の修養と、そしてそれ以上に政治的な配慮が働くが故だ。 彼女もそんな両親の思惑から、楢柴家へ仕えている。 尤も、本人は本気で社会勉強兼、花嫁修業と考えている節がある。 楢柴の当主は、嘗て彼女を評して、『善人』と云った。 「灯は無邪気ですから――」 綾緒も嘗て、彼女をそう評した。 これ等は褒め言葉ではなく、若干の皮肉を含んでいる。 あの従妹は、たとえ使用人であっても、それが女性ならば、僕に近づく事を好まない。 それなのに源逆灯を寄越したのは、ある意味で安心されているからだ。 それが、彼女が『善人』であり『無邪気』であると云う事。 彼女は両親の政治的意図も知らず、財閥が大を成すには影を纏う必要があるという事も知らない。 花嫁修業も“いつか現れる素敵な殿方”を夢想してのものだと云うが、源逆家クラスの家ともなると、 往き着く先は政略結婚である可能性が高い。 尤も、楢柴の当主である伯父の文人氏は完全な政略結婚であったにも関わらず良好な夫婦関係を営んで いるから、一概に政略結婚が駄目と云う訳ではないだろうが。 だが、それでも一般的な恋愛が困難なのは云うまでもない。 文人氏は人間的に煉れた人柄ではあるが、それでも未だ僕の父を憎悪する事一方ではない。 それらを付き合わせて考えると、恋愛観含め、源逆灯がやって往くには、この先大変であろうなとは僕 も思うところである。 疲労の極みにあった僕は、この来訪者を受け入れる気にはなれなかった。が、門前払いを食らわす訳に も往かない。 取り敢えず、あがって貰うことにした。 少し話してみて判ったのだが、彼女は綾緒が謹慎させられた事は知っていても、謹慎させられた理由は 知らないらしい。 単純に、綾緒の替わりとして僕の世話をしに来たのだと。 これは他者が堅く口外しなかったからではあるのだろうが、彼女自身に周囲を察する能力が欠けている 事を示唆するものでもある。 この際、それは僕にとっては有り難い事ではある。 鋭い人間、事情を知る人間では、気が休まらない。 尤も、察していても気を遣ってくれる人物でもいるならば話は別だが、そんな者はそうは居ない。 「綾緒の様子はどうですか?」 表面しか見えない人に聞いてみる。 表層だけを見る者には、今のあいつは、どう映るのだろう。 「この間までは凄く落ち込んでいましたが、今日はとても晴れやかなお顔をしておりましたよ。穏やか で、心が凪いでいるようでした」 兎に角、幸せそうでした。 源逆灯はそう云って笑った。 (幸せそう、か・・・) 想い人と身も心も結ばれた―― 少なくとも、綾緒はそう思っているはずだ。 だから環境が同じでも、形相は変化する。観測する側も、また。 「伯父さんの方はどうですか?」 「旦那様ですか?旦那様とは連絡が取れていないので、何とも・・・申し訳ありません」 「連絡、取れてないんですか」 「お忙しい方ですからね」 605 名前:ほトトギす ◆UHh3YBA8aM [sage] 投稿日:2009/02/06(金) 17 07 37 ID TeLSZvAo 答えながらも、身支度を調えて往く。若年の頃から奉公に出ているだけあって、様になっているし、ま た、手早い。 「綾緒お嬢様は私等より余程家事に秀でています。至らぬ点はあるかと思いますが、精一杯務めさせて 頂くつもりですので、よしなにお願い致します」 家事の腕が綾緒に劣る。 それは事実だろう、と思う。 純然たる大和撫子である綾緒は、良妻賢母の鑑のようだと以前は考えていた。 技量的には、源逆灯の上を往くのは、経験として知っている。 だが―― 包帯の巻かれた左手を見つめる。 能力的には充分でも、精神的にはどうなのだろうか―― 多少、複雑な気分になる。 楢柴綾緒と云う妹には端倪すべからざる面が多多あって、諸事判断が難しい。 従妹は貴種である為か、『下等』な血統を蔑む傾向がある。 ただしそれは完全な平民に限られ、下級下位でも『貴族』相手には穏当であるらしい。 源逆灯との仲は良好であるし、光陰館でも面倒見が良い事で評判が良いと聞く。 多くの人間に慕われているのは僕も目の当たりにした事実だから、それは正しいのだろう。 一方で、同校の在学生でも『雑種』には冷淡極まりない。 光陰館は貴種の学舎なのであって、有象無象の民草が来て良い場所ではない、というのが、その思想の 根底であろうと思われる。 爵位や階級が分かれ、整備されているのは、序列を明らかにする事で秩序を守る為。 それが、多くの光陰館に通う生徒の共通認識であるらしい。 だから、卑賤の身で光陰館に通う者は、肩身の狭い思いをするようだ。 綾緒自身、肩身の狭い思いを“させる側”なのだ。 だが、その一方で従妹は在学する『雑種』に尊敬されている。 身分の尊さと外見の美しさは単純に憧れを抱かせるに充分であったが、事実、実績を挙げた事も尊崇さ れる大きな理由である。 その実績とは、中等部に所属している時、下級生を暴漢から守った事。 不審者二人を叩きのめし、或女生徒を危地より救ったのだ。 光陰館には貴種と平民の間に大きな溝があるが、これによって彼女は両者から賞賛され、慕われる存在 となった。 更に、一部の『雑種組』には、身分を問わず接してくれる人物であると幻想を抱かせたようである。 この話を聞いた当時、僕は綾緒を褒めたのだが、従妹は内容的には喜ばなかった。 僕に褒められたと云う一事だけで終始満足げで、頬を染めて微笑んでいたのだが、内容に関しては褒め られるべきものではないとハッキリと云い切った。 「護民は我我の責務ですから」 我我――つまり、貴種である。 諸外国でもそうだが、貴族は平民と己を同格とは考えない。 にもかかわらず、戦があれば真っ先に先頭に立って剣を振るう。 それは、牧畜をする人間が家畜を保護するのに近い心情であっただろう。 noblesse oblige 、と云う訳だ。 高貴なる義務、と云えば、彼女――源逆灯の通う聯鏡院(れんきょういん)にも独特な制度がある。 聯鏡院は、光陰館と双璧を為す名門校である。 軍服を思わせる黒白の制服は、「華麗」「秀麗」「壮麗」と讃えられ、院の内外より評価が高い。 その聯鏡院には、他の学院とは大きく異なる制度がひとつある。 それが、『礼装』と呼ばれる武装の権利。 生徒が武器を所持すると云う現実である。 半世紀以上昔――当時の聯鏡院で陰惨な猟奇殺人が起こった。 聯鏡院は、名門の子弟の通う場所。 警察に捜査を任せ、後は無為無策でいる等、許される訳がない。 学院側は調査に乗り出すと共に、自衛の為の手段を講じた。 それが『礼装』――即ち、生徒の武装である。 家格高く、血統も尊い“別世界”故に、それはすんなりと受け入れられた。 在学生の親族達が、持てる“力”を使い、『外』に認めさせた結果がそれだ。 治外法権の誕生である。 爾来、聯鏡院の生徒は、その身に武器を帯びる。 しかし武器とは諸刃の剣だ。 自身を。 或は他人を。 606 名前:ほトトギす ◆UHh3YBA8aM [sage] 投稿日:2009/02/06(金) 17 10 14 ID TeLSZvAo 望むと望まざると、傷つける可能性を内包する。 だから、時代が進み平和が当たり前になると、『礼装』の役割は変化していった。 大切な我が子に危険な武器など持たせられない。 その思いが『礼装』の伝統だけを残し、制度を形骸化させた。 現在の聯鏡院在学生が帯びる『礼装』の多くは、装飾を施され、刃落としされたサーベルであったり、 デザイン重視の優美なナイフ等、実戦に耐えるものではなくなっている。 『礼装』は身を守る術ではなく、その家の格を表す為の道具となった。 『礼装』は noblesse oblige. そして、stutus symbol. そう定義付けられ、用いられることになった。 正しく、飾りとして。 しかし、中には現在も“本物”を用いる者がいる。 “実戦”に耐えうる、正真正銘の武器。 “殺傷”を可能とする、本物の兇器。 その持ち手がいる。 身に合わぬ袈裟。 唯持っているだけならば、そう嘲笑される事だろう。 故に、“本物”の所持者達は、器物に相応しい技量を持つよう鍛錬される。 従って、本物の『礼装』持ちは、かなりの確率で、その武器の熟練者である。 この少女も、そんな一人であった。 「そういえば、創様にお願いがあるのです」 目の前に紅茶を置きながら、源逆灯は云う。 来訪者はこの家の使用人でもあるかのように、僕の傍に立っている。 「お願いですか。何でしょう?」 「綾緒お嬢様を訪ねて頂きたいのです」 「――」 その言葉に。 僕の身体が震えた。 昨日の今日で綾緒に逢える訳がない。 何故そのような事を云うのだろうか。 恐怖混じりの疑問を問う前に、彼女は言葉を続けた。 「本日は機嫌良くありましたが・・・それ以前は本当に塞ぎ込んでおりました。それはもう、痛痛しい くらいに。肌身離さず持っている創様のお写真を、じっと見つめておいででした・・・」 「・・・」 「綾緒お嬢様にとって、創様は総てです。謹慎を申しつけられてからはお逢いになっていないのでしょ う?どうか、お嬢様を元気付けてあげて下さい」 (逢っていない?) 知らない。 この少女は、僕が昨夜楢柴邸に居たことを知らないのか。 だとすれば、昨日あった事も知らないのだろう。 源逆灯は従妹の命でここへ来た。 当然、言葉を交わしたはずである。 なのに、彼女は知らない。 綾緒はアレを口外していないと云う事なのか。 (他人に語るようなものではないから、それは当然か・・・) 「どうでしょうか・・・?」 不安そうに僕を見つめる。 綾緒に対する好意と善意が伝わる瞳だった。 しかし、彼女の提案を受け入れる訳には往かない。 無策のまま綾緒に逢っても、状況が悪化するだけであろう。僕には従妹を御す法がない。 何より、今はまだ、怖い。 「・・・今度、暇を見付けて逢いに往きますよ」 拒絶すれば角が立つし、またその理由を話せねばならないので、そう答えた。 当たり障りのない、引き延ばし。 善処しますと誤魔化した。 目の前の『善人』はそれをどう取ったのだろうか。 目を輝かせて、柏手を打つ。 「本当ですか!?綾緒お嬢様を訪ねて下さるのですね!お嬢様、きっと喜びます」 「・・・」 607 名前:ほトトギす ◆UHh3YBA8aM [sage] 投稿日:2009/02/06(金) 17 12 37 ID TeLSZvAo その今度がいつになるか判ったものではないが、それを云う必要は無いだろう。 それよりも、今は今で別の問題がある。 源逆灯をあげてから気付いたのだが、厄介な事がひとつある。 織倉由良。 あの、僕の恋人だ。 彼女はさっき、夜にでも様子を見に来ると云った。 つまり、この人と鉢合わせする可能性がある。 源逆灯は専業で使用人をやっている訳ではないから長居はしないタイプだが、万が一織倉由良と遭遇し てしまった場合、あまり良くない結果になるのは目に見えている。 自分以外の女とは口をきかないで欲しいと提案する人物だ。 僕の傍に女性が居ると云うだけで怒り出す可能性は高い。そうなったら、僕には対処の術が無い。 元元疲労している僕である。 その事を理由に、早めに引き取って貰うが上策だろう。 「あの・・・」 口を開きかけた瞬間。 「きゃぁっ」 源逆灯は飛び退った。 「どうかしましたか?」 「え、ええ・・・その・・・」 彼女は硝子戸の向こうを見ている。 視線を追っても何もない。 いつも通りの、狭い庭が見えるだけであった。 「今――そこに誰かが立っていたんです・・・」 「そこに、って、庭にですか?」 戸を開け、顔を出すが、姿は勿論、気配もなかった。 「誰もいないみたいですが?」 「いえ・・・でも、確かに・・・」 「・・・」 改めて見るが、人影はない。 気のせいか。それとも本当に何かがいたのか。 どちらにせよ、判断できるほどの情報はない。 源逆灯は強ばった面持ちで呟いた。 「お、お化け・・・じゃないですよね?」 「お化け?」 不審者や見間違いの可能性を素通りして、いきなり超常的な可能性を示した少女に首を傾げる。 「まだ昼間ですよ?どうしてそう思うんです?」 「だって・・・ちっちゃな女の子が見えました。泥棒さんには思えませんから」 「ちっちゃな女の子って・・・なら、ここいらに棲んでる子が何かの理由で通り過ぎただけでは?」 それならば、既に姿がない理由も説明出来るというものだ。 だが、少女は首を左右する。 「歩いてなんかいませんでした。こう、ぼーっとして、存在感が希薄で、表情の無い女の子が、じぃっ とこちらを見つめてたんです」 源逆灯の声は必死さの熱を帯びていたが、それ以上に恐怖を抱いていることを感じさせた。 もしかしたら、彼女はオカルトやそれに類することが苦手なのかもしれない。 しかし、と、僕は考える。 源逆灯が見た『幽霊』。それは、本当に実在したのではないか。 「灯さん」 「は、はい?」 僕に向ける表情に穏やかさはない。不安そうに肩を縮めている。 「そういえばこの間、近所で交通事故がありましてね。小学生の女の子が亡くなったそうです」 「っ・・・」 判りやすいくらい、身体が震えた。 今見たモノと、今聞いた話を脳内で直結させているのは明白だった。 源逆灯はオドオドと落ち着き無く周囲を見渡している。 少し可哀想なことをしただろうか。 だが、彼女がこの場に居辛いというのであれば、酷い話ではあるが、僕の望みに適う。 来たばかりの少女に、こう云った。 「実は、一寸疲れてまして。少し休みたいと思っていたんです」 これは本当のこと。 608 名前:ほトトギす ◆UHh3YBA8aM [sage] 投稿日:2009/02/06(金) 17 14 59 ID TeLSZvAo もとから、そのつもりだったのだ。 「折角御世話に来てくれたのになんですが、横にならせて貰っても良いでしょうか?」 恐怖心を利用し、仮病じみた理由で追い払うというのは無礼にも程があろうが、こちらも形振り構って はいられない。 彼女を織倉先輩と逢わせる訳には往かないのだから。 結源逆灯は僕の身体を気遣って辞去することを承諾した。 綾緒に僕の世話を厳命されていたらしく、その事を随分気にしてはいたのだが、休みたい、の一言を改 めて口にすると、身辺を騒がせる訳には往きませんものねと引き下がった。 荷物と、そして台所から一撮みの塩を持った源逆灯は、何度も何度もお辞儀して、申し訳なさそうにこ の場を去った。 悪いのはこちらなのだから、非礼はいずれ詫びねばならないだろう。 ともあれ、鉢合わせを避けることが出来たのは事実だ。 織倉由良の時もそうであったが、塞翁が馬と云うべきなのだろうか。 静寂を取り戻した居間のソファに凭れ掛かる。 交通事故云云の件は全くの創作であるので、少女の幽霊等いるはずもないが、源逆灯は確かに『誰か』 を見たのだろう。 振り返る庭先には誰もいない。 けれど、そこには多分。 迷惑を掛けられて。 怪我までさせられて。 それでも尚、誰かを心配してくれた誰か。 そんな少女が、いたはずなのだ。 聞こえるはずはない。 自己満足だと云う事も判る。 それでも――僕は呟かずには居られなかった。 目を閉じて、意識が暗黒に沈む、その前に。 唯一言の、ちいさな謝意を。 「ありがとな、一ツ橋」 609 名前:無形 ◆UHh3YBA8aM [sage] 投稿日:2009/02/06(金) 17 16 54 ID TeLSZvAo 投下ここまでです 支援の方、感謝します では、また 610 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/06(金) 17 23 42 ID qCbrPY0A GJ 待ってました 611 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/06(金) 17 24 23 ID w9Y5mfUY GJです! 612 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/06(金) 17 33 53 ID xMFf91UM 待ってました! 何気なく更新したらまさにちょうど来てたので興奮しますた! 613 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/06(金) 17 46 48 ID ANwLfCJ2 ありがとうー神様作者様ー 信じて待ってました、GJですー 614 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/06(金) 17 51 21 ID xMFf91UM とりあえず気配の主が先輩かと思ってしまってちょっとホラーだったぜw 朝歌とのハッピーな結末を望みたいが 朝歌が病んでしまうってのも見たい気もする… 615 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/06(金) 17 52 15 ID gmmwf+M8 GJ! しかし、改めて勝てる気がしないなぁ 616 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/06(金) 17 59 33 ID 3mvV1cuQ GJよー!朝歌かわいいなぁ、堪能しました。 でも創君が何時壊れてもおかしくなくなってきたので早く助けてやってください 617 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/06(金) 18 36 22 ID PjnzQp8B 無形氏GJ!! 595 うれしい事いってくれるじゃないの 618 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/06(金) 20 22 08 ID YonnDH6P キタ――――(゚∀゚)―――――!! そして、GJ!! 619 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/06(金) 21 09 59 ID aOUsV10U 無形氏が降臨したのか まだまだ捨てたもんじゃないなこのスレも 620 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/06(金) 21 25 34 ID 7eBkrF4I GJ!! 619 わざわざそういうことを言わない 621 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/06(金) 22 00 46 ID c7y1helc GJ! 容量的にこのスレ最後かな。次スレもいい作品が多いといいなー 620 最近の作者さんの中にも好きな人いる俺的にはここ数日の風潮で作者さんが居なくならないか心配。 622 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/06(金) 23 06 07 ID FbboBTKS 609 乙。そしてあけましておめでとう。 日ノ本が哀れ過ぎる。 この主人公が安心して眠れる日が来ることを切に願う。 623 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/06(金) 23 26 30 ID LNt1tmvE 547 今更読んできたが、確かにコレは病みそうだ 624 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/06(金) 23 28 46 ID mEP4j2D2 定義厨って言えばいいのか、そういう輩はだいぶ前から居付いてるけど。 まあSSとかネタ雑談はテンプレから大きく外れてなければ特に気にしなくていいんじゃないかなあ、そういったスレのルール以外の事柄はもう個人の趣味趣向の範疇だしね。 といいつつ次スレ立ててきます 625 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/06(金) 23 32 40 ID mEP4j2D2 ヤンデレの小説を書こう!Part22 http //yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1233930672/ 626 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/07(土) 11 18 37 ID zM6b2Fjl エロパロ板にある他の版権スレで、オススメのヤンデレ小説ありませんか? 627 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/07(土) 17 25 48 ID hTaKXhWv スレを開いた瞬間ホトドキしゅー! と叫んで危ない人になりましたGJです! 628 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/07(土) 17 46 09 ID iyNKHa3x 609 乙、GJ!! 629 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/09(月) 22 44 42 ID fgER4Fsb 埋まってないな 630 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/10(火) 08 00 06 ID d5V83RJS 埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め 埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め 埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め 埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め 埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め 埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め 埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め 埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め 埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め 埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め 埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め 埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め 埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め 埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め 埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め 埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め 埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め 埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め 埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め 埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め 埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め 埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め 埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め 埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め 埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め 埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め 埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め 埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め 埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め 埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め 埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め 埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め 埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め 埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め 埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め 埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め 埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め 埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め 埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め 埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め 埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め 埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め 埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め 埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め 埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め 埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め 埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め 埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め 埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め 埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め 埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め 埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め 埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め 埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め 631 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/10(火) 21 22 58 ID TRB33fSn 梅ー酒ッ 632 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/10(火) 23 54 51 ID V7HhMdmO 埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め 埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め 埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め 埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め 埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め 埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め 埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め 埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め 埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め 埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め 埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め 埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め 埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め 埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め 埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め 埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め 埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め 埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め 埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め 埋め埋め埋め埋め埋め立ててあげますよ。この泥棒猫。 633 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2009/02/11(水) 02 06 41 ID PsA/0hDi うめ 634 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/11(水) 09 16 40 ID K4E5hBTH 梅 635 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/11(水) 10 10 08 ID AVx+lLu6 ヤン 「こんなに苦しいのならば、愛などいらぬ!!」 デレ 「お師さん……もう一度、ぬくもりを」 636 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/11(水) 12 26 50 ID /I8IUj9n 全然埋まってないじゃん 637 名前:うめ[sage] 投稿日:2009/02/11(水) 13 38 33 ID AVx+lLu6 妹「おっっにぃちゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ(中略)ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんんっッ!!!!! あっそっぼーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっッ♪♪♪」 638 名前:うめ[sage] 投稿日:2009/02/11(水) 13 45 22 ID AVx+lLu6 妹「私とプロレスごっこしようよ♪♪ えっ、なに……イヤなの? へぇっ、なら、そんな身体いらないね? 切り刻んじゃおっか? んっ、そうよね! おにいちゃんは私と遊ぶよねっ!! でね、私ねっ、凄い必殺技を考えたの♪♪ 受けてみて♪♪♪ その名も、超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超 超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超 超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超 超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超(中略)超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超 超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超 超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超 超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超正中線五段突き!! それじゃあ行くわよっ!! 超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超 超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超 超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超(中略)超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超 超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超 超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超……」 639 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/11(水) 14 05 17 ID LMiDuR1B 埋 640 名前:うめ[sage] 投稿日:2009/02/11(水) 14 06 27 ID AVx+lLu6 妹「ごめんねお兄ちゃん。身体、倒れたまま動かないよね? でもね、安心して良いよ! 後10分もしたら普通に動けるから。 うんっ、そうだよー♪♪ 後10分したら、お兄ちゃんはハンザイシャになるのん♪♪ 六歳の女子幼稚園児を、しかも妹をっ、大人チンポでレープして、ゴーカンマになるんだよぉっ♪♪ 嬉しいよねロリコンさん♪ えっ、ヤメろって? もー、うるさいなー! おにいちゃんは、ぬぎたての園児パンツでも咥えててくださーい♪ あははははははははっ♪♪ やっぱりロリコンじゃーん♪♪ 子供の、幼稚園児の、それも実の妹のパンツを口に入れて、どーして……おちんちんがおっきくなるの? んっ? ほらぁっ、ゆってみてよ? 言いなさいよロリコンハンザイシャ!!! 口に物が詰まってるなんて、そんなヘリクツ聞きたくないよっ!! ふふっ、じゃあねっ♪ 私ねっ♪ みゆねっ♪ おにいちゃんのオチンチンを使って、勝手に大人へなっちゃうね? おにいちゃんのオチンチンにレープされちゃうからねっ♪♪ これからも、ずっと一緒だよ。オニイチャン?」 641 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/11(水) 14 24 26 ID VRrh1svQ キモウトスレじゃね? 642 名前: ◆uC4PiS7dQ6 [sage] 投稿日:2009/02/11(水) 14 37 06 ID AVx+lLu6 姉「んっ? 勝手に部屋に入ったくらいで、何をそんなに驚いてるの? だって仕方無いじゃない、弟のオナニーが煩くて寝れないんだから。 ふふっ、なーに。聞こえてないとでも思ってたの? あんなにっ……はぁっ、お姉ちゃん、お姉ちゃんって名前呼んでぇっ♪ そんなにおちんちんカチカチにしちゃってぇっ♪♪ 毎日、まいにち、熱の篭った声でオナペットにされちゃったら、私……ふふっ、それだけで妊娠しちゃいそうよぉっ♪♪ ねっ、どうなの? お姉ちゃんを孕ませてどうする気なの? ほらっ、シコシコし過ぎて赤く腫れ上がってるじゃない……かわいそう。 そうだ弟、付き合ってる幼馴染みと別れなさいよ。彼女がセックスさせてくれないから、私をオカズにしてオナニーしてるんでしょ? 彼女より、私の方が好きなんでしょ? 考えるまでも無いと思うけど? 彼女と付き合って、いつかゴム付きセックスをするか…… それとも、今から電話で別れを告げて、お姉ちゃんと生セックスで……ちつないシャセイするか。 弟にとって、どっちが幸せかしら? うん、そうね。大好きなお姉ちゃんよねっ♪ ふっ……ハハッ……ザマアミロ雌豚がっ! お前がカマトトぶってる間に、弟は私が貰うわっ!! あはははははははははははっ♪♪」 643 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/11(水) 14 38 04 ID AVx+lLu6 酉つけちまった…… うめ。 644 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/11(水) 14 40 08 ID AVx+lLu6 641 どーせ、直書きの埋めネタだしね。 うめ 645 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/11(水) 15 08 10 ID ye0A+n8I 641 私が貰うわっ!!!より、 弟は返してもらうわっ!!!のほうがよりキモくって素敵な気がする。 646 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/11(水) 15 10 30 ID AVx+lLu6 触手子「ちょっと男さん、ワイシャツの襟にキスマーク付いてるわよっ!! あの女ねっ!? 人が下手に出てれば調子に乗りやがってぇっ!! もう許さない!! 穴と言う穴に触手突っ込んで、二度とセックスできなくなるぐらいガバガバにしてやるわっ!!! 安心して、何回浮気しても、男さんにはなにもしない。その代わり相手は、女としての役割を果たせなくなるまでボロボロにしますから」 647 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/11(水) 15 13 15 ID Zgo5lcK6 むしろ触手がヤンデレに追いまわされるんじゃね?w 648 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/11(水) 15 15 02 ID AVx+lLu6 愛犬「ワンワンッ!! ワンワンワンッ!!! キャンキャゥーン……クーン、クーン、クーン。 ワゥッ、キャ、キャッ、キャワアァァァァァン!!! ワウワゥッ! ワオッ、ワオォォォォォォン!!!」 649 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/11(水) 15 28 30 ID AVx+lLu6 日本ヤンデレ物語り。 『桃太郎』 昔々、お爺さんとお婆さんが住んでいました。 お爺さんは山へ芝刈りへ、お婆さんは川へ洗濯に行きました。 しかしお婆さんは、川へ行かずにお爺さんの後を着けると、山奥でお爺さんの心臓を抜き手で貫いてしまいました。 そうです。お爺さんは末期癌だったのです。 もうしばらくすると、お爺さんは症状が表れて苦しい闘病生活が始まります。 お婆さんは、愛するお爺さんを苦しませたくないと言う、愛故に、お爺さんの心臓を抜き手で貫いたのでした。 その後、お爺さんの亡き柄を抱え上げたお婆さんはさんは、二人で川に身を投げ、都は鬼に滅ぼされましたとさ。 でめたし、でめたし。 650 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/11(水) 15 34 44 ID B37fuvVY 久々の埋めネタがテラカオスw 651 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/11(水) 15 45 02 ID AVx+lLu6 日本ヤンデレ物語り。 『桃太郎2』 桃太郎は子分の犬子、猿絵、雉美を連れて、鬼ヶ島に乗り込みました。 しかし子分の三人は、鬼の大群を前に、誰が桃太郎を一番愛しているかで、殺し愛を始めてしまいました。 桃太郎の周囲を、子分の三人が凄い早さでグルグルと回ります。 その内に竜巻が起こり、三人はメタリックに輝き出しました。 すると桃太郎の頭に、ファイナルフュージョン昇任! と声が聞こえます。 それに合わせてファイナルフュージョンと桃太郎が叫ぶと、雉美は戦闘機、猿絵は新幹線、犬子はドリルクラッシャーに変形しました。 そして次々と合体して竜巻が止むと、そこには……勇者王ヤンデレガイガーが聳え立っていました。 これには、流石の鬼達も驚きます。みんな急いで逃げ出しますが、空間湾曲のディバイディングドライバーで、島ごと沈められてはたまりません。 鬼達は一匹残らず海の藻屑と消えました。 こうして、都の平和は守られたのです。 でめたし、でめたし。 652 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/11(水) 15 52 57 ID CeZA7KOf ___ ━┓ ___ ━┓ / ― \ ┏┛ / ―\ ┏┛ / (●) \ヽ ・ /ノ (●)\ ・ / (⌒ (●) / . | (●) ⌒)\ /  ̄ヽ__) / . . | (__ノ ̄ | . / #180; ___/ \ / | \ \ _ノ | | / #180; `\ 653 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/11(水) 16 01 04 ID AVx+lLu6 世界ヤンデレ劇場 『アルプスの少女ハイジ』 ○月×日 今日も、ハイジに車椅子を押して貰った。嬉しい。 クララはハイジが大好きでした。セックスしたいと思っていました。 だからと言って、クララがレズな訳では有りません。 ハイジが男の娘なのです! 女装子好きの変態お爺さんに女として育てられ、本人は女だと思い込んでいますが、おちんちんの付いてる男の娘なのです!! クララはハイジと一緒に居ると、子宮が疼いて、お腹の卵がキュンキュンして堪りません。 なので、クララは足が動かないフリをして、ハイジに世話をして貰っていたのです。 ですが、クララの怒りゲージはMAXでした。 ○月△日 今日、ハイジに言われて、仕方なく立った。バレないように、最高の演技をして。 私の幸せな生活は消えた。 きっと、あの糞ジジイが何か吹き込んだんだ。 寿命が残り少ないと思って、仏心で生かしてやってたのに…… コ ロ シ テ ヤ ル ジジィィィィィィッ!!! 654 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/11(水) 16 33 57 ID AVx+lLu6 宮崎ヤンデレお 『もののけひめ』 猪神の頭部は返還され、森に緑は還元された。 戻したのは二人の男女。アシタカとサン。 「アシタカ……私と一緒に居ろ。私とたくさん……コウビをするんだ」 二人は山の中、密着した状態で、獣姫は青年を誘う。 青年は全裸に剥かれ、大木に胸部と腹部を腕ごとグルグルに巻かれ、足首め同様にされて、起立の体制で身動きを封じられていた。 更に口には、幾つも重ねたツタを噛まされ、声を出す事もままならない。 そんな状態で、青年は脅されていたのだ。私の下を去れば殺すと。私とツガイいになれと。 「お願いだ、ここに居てくれ……私が、なんでも、するからっ」 獣姫は青年の前で膝立ちになると、目を細め、頬を染め、唾液をいっぱいに溜めて唇を開き、 ぢゅぷぢゅぷ、にゅくにゅくにゅぷ、ぢゅぷり…… 何の躊躇いも無く、股ぐらに顔をうずめた。 上目で青年を見上げ、舌と唇で揉みほぐすようにペニスを咀嚼する。 「ん、ん、んっ、んっ、んっ……」 熱くトロトロにヌメる咥内は、縮まっていた青年の雄を簡単に呼び起こし、瞬く間にガチガチの棒状に変えてしまう。 血管を浮かび上がらせ、咽の奥深くまで突き刺さって埋まる…… 埋まる 埋まる 埋め。 655 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/11(水) 16 40 37 ID AVx+lLu6 ヤン坊マー坊、天気予報っ!! ヤン坊「明日の天気は雨よ! なによ、そんな顔して? えっ、私と遊園地に行くのを愉しみにしてたですって!? 何言ってるのバカっ! そ、そんなの別に……あ、あんたと二人でいれるなら、どこでも……ゴニョゴニョ」 マー坊「あーーーーっ!! ヤンがデレたーーーーーっ!!!」 埋め 656 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/11(水) 16 44 10 ID AVx+lLu6 ヤンバルクイナ「クギュゥゥゥゥゥゥッ!!!」 男「ヤンバルクイナが、デレ(ry」 埋め。 657 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/11(水) 16 45 23 ID AVx+lLu6 疲れた。 ラスト埋め。後はバトンタッチ。 658 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/11(水) 16 52 19 ID XOM3UiSL ちょwwwwwwwww ここまで来たんだから最後まで頑張れよwwwwwwwwwww 659 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/11(水) 17 17 26 ID AVx+lLu6 1 鬼浜爆走愚蓮隊・三代目総長、太刀川 玲奈(たちかわ れいな)。 でも、それは去年まで。誰もが恐れるレディースのヘッドは、十七の冬、初恋の開始と共に終わった。 去年の十二月。弟の誕生日。九歳になった、弟の誕生日。 デパートで安い服を買って上げた時、弟が初めて私に笑顔を向けた。 私は、それを見た瞬間、フォーリンラブ。 左手で弟の口を塞ぎ、右腕で後ろから羽交い締めにして、試着室に引きずり込んだ。 半ズボンをズリ下ろして、パンツを引き裂いて、そのまま、弟のおにゅんにゅんを…… 660 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/11(水) 17 43 17 ID B37fuvVY 659 / ̄\ | | \_/ | /  ̄  ̄ \ / \ / \ / ⌒ ⌒ \ 乙よくぞこのスレを埋めてくれた | (__人__) | 褒美としてオプーナを買う権利をやる \ ` ⌒´ / ☆ /ヽ、--ー、__,-‐´ \─/ / ヽ▼●▼ \ ||ー、. / ヽ、 \ i |。| |/ ヽ (ニ、`ヽ. .l ヽ l |。| | r-、y `ニ ノ \ l | |ー─ |  ̄ l `~ヽ_ノ____ / ̄ ̄ ̄ ̄ヽ- ヽ-- / オープナ /| .| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|/| | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|/| ______ / ̄オプーナ/|  ̄|__」/_オーブナ /| ̄|__,」___ /| | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|/オナプー ̄/ ̄ ̄ ̄ ̄|/ オプーナ /| / .| | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|/l ̄ ̄ ̄ ̄| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|/| / | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
https://w.atwiki.jp/i_am_a_yandere/pages/1084.html
401 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/21(金) 16 39 25 ID EOKPgj40 399 世界が自己完結してるヤンデレがそれじゃないかね 自己完結してるヤンデレとしてないヤンデレってなんだよってことになるが ちなみに俺は両方好きです 402 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/21(金) 17 17 14 ID NagY7J3v ヤンデレは自分さえ幸せならいいって思考のことだと思うんだ 想う相手はあくまで自分が幸せになるための手段なんだよ。 403 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/21(金) 17 21 22 ID LpcOAw1A 402 それはヤンデレってよりメンヘラじゃね? ヤンデレはあくまで相手本位だと思うぜ? 404 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/21(金) 17 26 38 ID StDaKrYX 自分は相手本位だと思い込んでる自分本位というのもあり? そのズレっぷりが悲劇に転じるところもまた良いと思うのだが。 405 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/21(金) 17 29 06 ID hFVXOicj よし書けすぐ書け 406 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/21(金) 17 29 50 ID My4xHj1C 402 404 それは嫉妬深いだけ スクイズでいうと、世界と言葉様の違いみたいなもん 407 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/21(金) 17 42 08 ID cgk1mK/W 368 その程度じゃ、まだヤンデレじゃないよ。それが、監禁へと移るとヤンデレじゃない? ま、ヤンデレのボーダーラインは人それぞれだから、なんとも言えないけど。 408 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/21(金) 18 26 48 ID 2XDMBNaZ あああ、なんか定義の話になるとわけわかんなくなるわ とりあえずヨッピーはヤンデレかメンヘルかを教えてくれ 409 名前:ヤンデレの扉 ◆ZUUeTAYj76 [sage] 投稿日:2008/03/21(金) 18 32 49 ID uy+ZxvCh この病院には「暗黙の了解」があった 『404号室に入る患者とは関ってはならない』 けれど私は、その4階の端にぽつりとある個室が気になっていた まるで他の患者から隔離されているその病室 入るのは毎回女性で、大体1ヶ月周期で入れ替わる患者 なぜ気になるのか自分でよく分からない だからこそ、会いたかった、あって話をしてみたかった ――チャンスは意外と早く訪れた その日、私は夜勤だった 突然の搬送、近くで大規模な玉突き事故があったようだ スタッフは皆その対処におわれ、私もそうするハズだった 私が向かったのは404号室 ダレも居ない4階、きっとチャンスは今しかない 鍵を空け、私は404号室に入った 「いらっしゃい、なにも無いけれど、ゆっくりしていって」 直後、暗闇の中から声をかけられた 儚げな少女の声、暗くて姿は見えない でも間違いない、この病室の主だ 410 名前:ヤンデレの扉 ◆ZUUeTAYj76 [sage] 投稿日:2008/03/21(金) 18 33 34 ID uy+ZxvCh 「私に、会いに来たのでしょ? 違う?」 「あなたと、一度でいいからお話したくて」 「だったら、そんな所に立ってないで、座ってください」 私は暗闇にぼんやり浮かぶパイプ椅子に座った 「なにか悩みがあるのね、たとえば、恋……とか」 ……! 「うふふ、図星ね。彼と上手く言ってないみたいね」 「そうだけど、どうして、どうして分かるの?」 「だってあなた、そっくりなんですもの、私に」 そして私は話した、自分のこと、彼のこと、二人の関係 彼との付き合いが上手くいっていないこと どうすればいいのか分からなくなっていることを 彼女はそれを全て聴いてくれた そして私に語りかける、当然のことを言うように 「好きにすればいいのよ 彼の幸せのために貴女の幸せのために 二人の幸せのためなら彼だって喜んでくれるわ だって貴女達は愛し合っているのでしょう? 愛し合う二人が幸せになるのは当然のことじゃない、ねぇ? 幸せになるために思い浮かぶことの全てをしてあげるの 少し手荒な手段をとっても彼なら許してくれるわ、 だって貴女を愛しているから。貴女も、彼を愛しているから。 今は拒絶していても、きっと将来感謝されるわ 貴女に愛されてよかったって、幸せだって うふふ、私の彼もよく泣きながら……あ、惚気てごめんなさいね」 411 名前:ヤンデレの扉 ◆ZUUeTAYj76 [sage] 投稿日:2008/03/21(金) 18 35 49 ID uy+ZxvCh すぅっ、と心のモヤが晴れていくのを感じた きっと私は迷っていたのだ、 今ならきっと何だって出来る、彼のために それを感じたのか、彼女は満足そうに頷き言った 「さあ、早く行動に移したほうがいいわよ、邪魔が入る前に、ね そうそう、お礼を言うの、忘れていたわ」 お礼を言わなければならないのは私のほうなのに 「開けてくれて、ありがとう」 「……あ」 気づいたとき、彼女は病室から消えていた 彼女がどうなったのかは分からない、きっと恋人と幸せにしているのだろう あれから、私は病院を辞めて彼に会いに行った 彼は酷く驚いていたけれど会いにきてくれたのを喜んでいたんだと思う 「これからはずっと一緒に居られるからね」 そういうと、彼は泣きながら何度も謝った ああそっか、自分のせいで仕事をやめたと勘違いしているんだ 自分を責めないで、私は自分の意思で仕事を辞めたんだから さあ、一緒に幸せになりましょう 412 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/21(金) 18 52 42 ID K9GmB92b 411 うわぁ病みが感染した……! GJ! 413 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/21(金) 18 57 09 ID K9GmB92b 連レスになるが、 408 よっぴーは ・重度の依存 ・私が彼を一番幸せにできる ・レオの幸せ第一(=自分のそばにいなくちゃ駄目 ……だったよな。 俺はヤンデレだと思うんだが…… 414 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/21(金) 19 20 55 ID DLZ3gaPY 411 普通に( ;∀;)イイハナシダナー と思ったけど、やっぱりどこか怖いなw 415 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/21(金) 19 38 53 ID xLEVKPVk 411 GJ! 次はこの女が404号室の患者になるのか 416 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/21(金) 19 39 05 ID 2XDMBNaZ 411 GJ、こうして素敵な女性が増えていくんですね!! 413 だけど惚れる前の段階でトラウマで病んでるから そこらへんの解釈がわけわかんなくなった 417 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/21(金) 20 09 21 ID EOKPgj40 411 ヤンデレっ娘世にはばかる! GJっした! 416 ヤンでからデレるのか、デレてからヤむのかってことじゃなくて 飛びっきり強烈なヤンとデレが同時進行するのがヤンデレだと思う俺 なのでよっぴーはヤンデレだと思います 418 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/21(金) 20 21 10 ID PFWXziNM 病みの扉~叩~い~て~ ここから今飛び出そう 419 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/21(金) 20 44 35 ID aOtlMoFe 413 よっぴーwwww 楽しいゲームだと思って楽しんでた俺を最後に突き落としてくれたやつか。 あれから俺はおかしくなった。 420 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/21(金) 20 47 14 ID PN9mLsIE 384 日本書紀にヤンデレ 前スレ以前の亊はよく知らないけど、百襲姫の事かな? 荻原規子著 白鳥異伝に出て来る百襲姫がスゲー病んでる。 421 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/21(金) 21 11 39 ID Qbljri6A ギリシア神話とか日本書紀の話題が出てて気になってググったら、北欧神話、ギルガメッシュ叙事詩なんかにもヤンデレがいたw 422 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/21(金) 22 47 33 ID 7PH7kIAE 甘えん坊なヤンデレが見てみたいです 423 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/21(金) 23 16 08 ID 0TKOBkKj 422 「えへへ~監禁しちゃうのであります~」 「浮気したらお尻ペンペンだよ~…剣山で~」 「必殺カレーで幸せになろうね~…あの世で~」 異論反論は覚悟の上だ。 ただ後悔はしてる。 424 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/21(金) 23 22 07 ID CpX9mH9E あれ?あのキャラの声で聞こえてくるのは俺だけだろうか 425 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/21(金) 23 27 23 ID EH6HI3oB りゅうおうたん保管庫を見てた俺には 自然とあのキャラの声で聞こえてきたよ。 426 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/21(金) 23 29 26 ID YMWzdsoS 423 何か違うwww 427 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/21(金) 23 41 02 ID iRUUH8T1 423 甘え……てんのかコレ? 428 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/22(土) 00 20 58 ID cuknJhSh 台本形式で悪いがこんな感じじゃね? 女:えへへ~(すりすり 男:あー……女。離せ。 女:やだよぅ、離したらどこかに行っちゃうでしょ?(すりすり 男:戻ってくるって。な? だからせめて手錠を外せ。 429 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/22(土) 00 21 05 ID LrNpDTcP お茶会の人が降臨されなくてとても寂しい。 更紗タソの続きが気になるよ…。 430 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/22(土) 00 42 07 ID PLgZfThC 俺はヤンデレ家族の人とかちかち山の人が待ち遠しい 431 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/22(土) 01 40 43 ID LH1OM7WJ 俺はことのはぐるまをずっと待ってる 華ルートが気になって仕方ない 432 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/22(土) 01 58 15 ID wVGM9x27 423 To Heart2のこのみ? 422 俺に彼女ができてから急に学校を休んでいた美弥が突然飯を作るから家に来ないか、とメールを送ってきた。 幼馴染のコイツは小さい頃からいつも俺に甘えてきて、よく彼女ではないのかと周囲から言われ続けていたが、実は違う。 俺はコイツのことを妹くらいにしか思ってないし、どうしてもそうとしか認識できない。 たぶん、俺はコイツに慣れすぎたんだと思う。 「てへへ、こうして二人っきりでご飯食べるの久しぶりだよね♪」 そう言って俺にすり寄って来る美弥。 ほんの一瞬、俺は躊躇ったが、俺は美弥を振りほどく。 「……なあ、美弥。俺も彼女がいる身分になったわけなんだが……その、もっと自重してくれないか?」 「…………え?」 男が操をたてるっていうのもアレだと思うが、ケジメはつけないといけない。 俺に依存しっぱなしの美弥とも、そろそろケリをつけようと思う。 このまま、コイツが俺に甘え続けるわけにもいかないのだから。 「俺さ、お前の気持ちに応えてやりたくて、お前を女として見ようとした時もあったんだ。 でもな、やっぱり俺はお前の事が友人以上には想えないんだ……だから、」 「もう、いいよ」 俺が言い終えるのを待たずに、美弥は言葉を遮った。 「………シュウ君。ボクもね、もう決心はついているんだ」 悲しみを覆い隠すように、美弥は笑っている。 それが痛々しくて、申し訳なかった。 「学校を休んでいたのもね、心の整理のためだったんだ。あははは、ボクでも乙女らしいところってあったんだね」 「……美弥」 「さ、ご飯食べようよ♪今日は腕によりをかけたんだから!」 この時、美弥の目が虚ろだったことに、俺はもっと早く気づけば良かった。 ・ ・ ・ 「ねえねえ、シュウ君。ボクの料理どうだった?」 「ああ、美味かったよ。でも、妙に味が濃かったかな」 「えへへ、分かる?実は今日作ったの、特別な料理なんだ♪」 「特別?それってどういう……………っ!?」 「あは、薬が効いてきたみたいだね♪」 一瞬、コイツが何を言っているのか分からなかった。 否、信じられなかったんだ。いつも俺の後ろで能天気に笑っていたコイツがこんな事をするなんて……。 「お、前……どういう、つもり、だっ!?」 満足に動かない体で俺は這い蹲るように、美弥を睨みつける。 「だって、シュウ君が悪いんだよ?ボクがこんなに、シュウ君のことが好きって昔からアピールしてるのに、あの女と付き合うなんてさ」 そう言って美弥は俺の服を脱がし始めた。 「どうしたら良いか分からなかったよ。誰に相談しても諦めろって言うし……」 ズボンにまで手を掛けて来た美弥に、俺は必死で抵抗する。 だが、俺の抵抗も虚しく、ズボンは徐々に脱がされていく。 「でもね、ボクはどうしてもシュウ君のことが好きなんだ。 好きで好きで、もうシュウ君無しじゃ生きていけないんじゃないかってくらい」 ついにトランクス姿になった俺を美弥はうっとりと眺めている。 俺の意識は段々と朦朧としていき、い識することさえ、鈍ってきた。 「だからね、ボクがシュウ君にいっっっっぱい甘えて、もっと好きだって教え込んであげるよ」 もう、ミヤがなにをいっているのかも、わからなくなってきた。 「時間はたっぷりあるよ。だから―――――――ずっと、甘えさせてね?」 自分も微妙か……orz 433 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/03/22(土) 02 13 18 ID NHBOf4UT うんこw 」うんこおおっっっっっw 434 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/22(土) 02 19 36 ID DrWuKc+V 428 432 どちらも結構萌えるんだが 435 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/22(土) 06 13 53 ID zfdUJPCP 432そこまで書けたなら、全部書いてくれって。 こんな甘いヤンデレ見せられたら、堪らんのですよ。 436 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/22(土) 06 29 58 ID G8fkVcW7 今度発売されるコードギアスのゲームの学園編に恋愛ギアス(だっけ?)を使う主人公が登場する。 使用した相手に好意を持たせるギアスなのだが、どうやらギアスを使いすぎるとBADに直行ぽい…… もしや黒化するのでは?と予想してみる。 437 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/22(土) 06 57 19 ID YqHCsKx7 まあ、二次のヤンデレはよく見かけるよな。 あれはあれで面白い 438 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/22(土) 07 35 01 ID me5llFN+ 君の知っている全部の二次創作のヤンデレをkwsk教えてもらおうか 439 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/22(土) 09 24 30 ID YqHCsKx7 438 ハルヒ 長門 らきすた D.C GIFT SHFFLE! ゼロの使い魔 火魅子伝 CLANNAD かな。 まあ、コアなのもあるが 440 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/22(土) 10 01 10 ID mSCqw5ZC ハルヒのヤンデレは見たことあるな 二次創作も悪くないなと思ったよ 441 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/22(土) 11 13 42 ID Z62TI4Jk 428 あんた最高 442 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/22(土) 11 26 19 ID 7vI8MAFK 人気な作品はSSの数が多すぎて読む気、探す気が起きないんだよな よろしければ作品名をplz 443 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/22(土) 11 58 49 ID YqHCsKx7 442 そうしたいが作者じゃないのでここでやっちゃまずいだろ。 たぶん、それぞれの作品に『ヤンデレ』ってつければいけるんじゃないか? 444 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/22(土) 16 22 48 ID UzjpbA2F 前ここで貼られてた東方のSSがいいヤミっぷりだった 445 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/22(土) 20 02 06 ID /JWGshb7 ヒロインが病むのはやっぱ主人公のせいかね? 誠みたいのは論外だが、これっぽっちも原因がない主人公ってのもいないよな 446 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/22(土) 20 35 06 ID FIPTFBYv 445 いきなり病む、なんてことはないだろうからねぇ。最初っからクライマックスはただのメンヘラと間違われそうだし。 原因としてなんらかの形で主人公(というか彼氏のほうか)が原因として関わる形が普通じゃないかな。 447 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/22(土) 20 46 57 ID PLgZfThC 445 未来日記のユッキーみたいに、まったく無関係といえるものが無いわけじゃない でも大半は主人公のせいだけどな 448 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/22(土) 21 15 13 ID frT+J6Ji 主人公は普通に接していても 女のほうにヤンデレ因子みたいなのがあって ほんの少しの勘違いからってのはありそうだが だがそうなると主人公は本当に悲惨だ 449 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/22(土) 21 23 32 ID /JWGshb7 446 だよなぁ。ただ余りにも理不尽な理由でヒロインが病むと 「主人公悪くないだろw」と思ってしまうw 447 そうなのかw 未来日記読んだこと無いから興味出たw㌧クス 450 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/22(土) 21 50 31 ID PLgZfThC 448 悲惨じゃなくて幸運だろJK 451 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/22(土) 22 22 36 ID LH1OM7WJ 話題変えてすまんが、ヤンデレの恋人が轢き逃げで殺されたとして、次の内どれが一番病み度が高いと思う? 1、轢き逃げ犯を人間の精神では想像出来ないぐらい残酷に殺し尽くす 2、轢き逃げ犯の周りにいる人間一人一人を轢き逃げ犯の目の前で残酷に殺す 3、殺して下さいと懇願するほどに拷問しつくす 4、恋人の後を追い、来世で幸せになる 5、復讐する気力も死ぬ気力も失い、抜け殻のように壊れていく 452 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/22(土) 22 31 02 ID PLgZfThC 451 6、彼氏の幻覚を見て、その幻覚の彼氏と暮らす 453 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/22(土) 22 33 18 ID GizpjVrL 2→3→1→4 で、( ;∀;)イイハナシダナー 454 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/22(土) 22 35 15 ID eYZgFUu5 轢き逃げだからなあ・・・ 過失であって故意でないのが難しいところだな 彼氏が強盗殺人や通り魔にあったのなら 453と同じでFAなんだが 455 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/23(日) 00 13 11 ID sl7Uu8FJ 454 彼氏が強姦殺人~にみえた俺はある意味病んでるのかもしれない 456 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/23(日) 00 31 12 ID A1FWuYRH 俺は5かなぁ…または4 ヤンデレは、主人公さえ生きていれば無敵かもしれない。 他の女に寝取られたぐらいなら「彼の気の迷い」と断定して、いくらでも奪い返すことができる。でも、生死はなぁ… 復讐心を燃やすのにはエネルギーがいるし、支えを失ったヤンデレがそこまで強くなれるとは思えない 完全崩壊。こういう脆さもあるからこその、ヤンデレだと思うんだがいかに。 457 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/23(日) 00 32 06 ID XaENO2HJ その辺は好みだろ 458 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/23(日) 00 33 12 ID ZE6PRlQg 275に触発されてポケモン擬人化でヤンデレss書いてるんだが…… 長編になりそうな上に、しばらく病みそうにない なんか書いてるうちにスレチな気がしてきたんだが、果たして投下していいものだろうか 459 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/23(日) 01 09 21 ID 8skwDCGH 私は一向に構わん! というかむしろお前の様な奴を待っていた!! と言いたい所だが二時創作の上擬人化となると難しいわな そりゃ 俺としては是非とも投下して欲しいが ちなみにポケモンは何? 460 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/23(日) 01 13 21 ID ZE6PRlQg 459 275のとおりにメインはチコリータで。まあアニメ見てないからアニメのとは性格が異なるでしょうが 舞台はポケモン金なのですが、やったのがかなり昔なので、攻略サイトを見ながら書いていますが曖昧だと思います 461 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/23(日) 01 14 43 ID XaENO2HJ ポケモンは二次創作になるんじゃないのか? 462 名前:名無しさん@ピンキー[kyd2enj] 投稿日:2008/03/23(日) 01 37 23 ID ZA9D1YWx 気にするな。 自らの魂の限り書き尽くすんだ……! お願いします。 463 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/23(日) 02 01 58 ID 8skwDCGH 二次創作といってもポケモンはストーリーあって無きが如しだから取っ付きやすいと思うんだがなぁ 464 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/23(日) 02 05 09 ID KucUlQAK とりあえず投下してみるといいよ 465 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/23(日) 02 13 01 ID ZE6PRlQg それではお言葉に甘えて とりあえずプロローグ的部分だけ投下します まだ一章の途中くらいまでしか書いてませんが 466 名前:ぽけもん 黒 旅立ちの朝 ◆wzYAo8XQT. [sage] 投稿日:2008/03/23(日) 02 14 26 ID ZE6PRlQg ポケットには収まりきらないような怪物、縮めてポケモン―― 僕達が住んでいるこの世界には、そう呼ばれる、人間とも、その他の動物とも一線を画した独自の生物群が存在している。 容姿は種族によって異なるのだが、人間と、植物や動物とのハイブリッドのような見た目をしているものが多い。 ポケモンは種によっては、動物や植物、はたまた人間と交わり種を残す、という特殊な芸当が出来るものもいる。 そしてそんな容姿どおり、彼らは、人間に使えないような特殊な能力と、植物や動物には無いような、人間に近い高等な頭脳を備えている。 我々人間は、そんな彼らと時に協力し、時に相愛し、そして時に対立しながら生きていた。 今日は十五の誕生日。 僕達の国には、ポケモンと人間の相互理解のために、十五になるとパートナーとなるポケモンをつれて、国内を旅する、ということが法律で定められている この旅は、パートナーとの友好度や戦術、出会ったポケモンの数やパートナーとなる契約をしたポケモンの数、それらのポケモンの生態などの研究等々の個人の資質と、人間とポケモンの人格を測る、国による試験も兼ねている。 将来ポケモンの研究をしたい僕にとっては、研究員の資格を得るために、厳しい試練をクリアしてポケモンマスターを目指すというシビアな旅なのだった。 というわけで、夢の実現を果たすための第一歩、パートナー候補のポケモンとパートナー契約を結ぶべく、あのポケモン研究の権威である大木戸博士の助教授を勤めていたこともあった、宇津木博士の勤める上都ポケモン研究所に来ていた。 467 名前:ぽけもん 黒 旅立ちの朝 ◆wzYAo8XQT. [sage] 投稿日:2008/03/23(日) 02 14 49 ID ZE6PRlQg 「はあ……」 白を基調をした明るい色合いの研究所の前で、僕はため息をついた。 実は落ち着かなくて、ついつい説明会の三時間も前に来てしまったのだ。我ながら、度胸がない自分が恥ずかしい。 「はあ……」 さすがに三時間前じゃ研究所内に入ることも出来ない。もう一つため息をつくと、その辺で暇を潰そうと、研究所をあとにしようとする。 「はあ……」 と、研究所に背を向けた僕の耳に、僕のものではないため息と思われる声が聞こえてきた。 右を見れば、大きな赤い目を持つ、女の子がいた。 髪は萌黄のような黄緑色をしていて、深緑の玉で縁取られた黄緑のワンピースを着ている。 そしてこれまた黄緑のポシェットを脇に提げていた。 ここまでなら、ちょっと変わった可愛い子だなー、で通っただろう。 しかし、彼女の頭頂部からは、深緑のような深い緑色をした大きな葉っぱが生えていた。 ポケモンだ。 見た目から考えて、おそらく草タイプに分類されるであろうポケモンの美少女が、悩ましげな表情を浮かべて、研究所を見ていたのだ。 もしかして、彼女も旅の参加者なのだろうか。 若干幼い印象を受けなくも無いものの、十五に見えないことも無い。 しかし参加者ならば普通まだ集まってもいないだろう。なにせ三時間も前だし。 まあ、ここで出会ったのも何かの縁だ、どうせこれから暇だし、話しかけてみるか。 「あのー、もしかして参加者の方ですか?」 「ひゃ! あ、あの、どちらさまですか?」 驚かれてしまった。僕はそんなに怪しい風貌をしているのだろうか。ここ数日、緊張のあまり満足に寝れなかったからかなり血色は悪いだろうけど。 「い、いやー、こんなところにいるから、もしかして参加者の仲間かなーと思ってさ。僕は参加者のゴールド。人間だよ」 「まだ説明会まで三時間もありますよ? 一体何を考えているんですか?」 と、少女から冷たい口調で厳しい台詞と、アホを見るような視線を受けた。 まったくの正論なんだけどさ……。 「は、ははは、落ち着かなくてさ。じゃあ君は個人的用事なのかな?」 僕は苛立ちが表面にでるのをなんとか押さえ、苦笑いをしながら、彼女に尋ねた。 「いえ、私も参加者なので」 彼女は平然とそう答えた。 468 名前:ぽけもん 黒 旅立ちの朝 ◆wzYAo8XQT. [sage] 投稿日:2008/03/23(日) 02 15 17 ID ZE6PRlQg ……おい。 人を馬鹿にしといて、自分も参加者かよ。 「じゃあ、どうして三時間も前に来たのさ?」 「そんなの、私の勝手です。いちいちうるさい人ですね」 彼女は顔をしかめ、煩わしそうに答えた。 ……あれぇ? 僕うるさかったかなあ。うーん、そんなにうるさくした覚えはないんだけれども。 「もしかして、緊張のあまり早く来すぎた、なんてことはないよね?」 「そ、そんな訳ないです! どこかのバカと一緒にしないで下さい!」 まさかと思いつつもカマをかけて見たら、ものすごく分かりやすいリアクションをしてくれた。 「ぷ、くくく」 僕はそんな彼女の様子がおかしくなって、思わず笑い出してしまった。 「な、そんなにおかしいですか! あなただって同じなくせに!」 「いやあ、僕のほかにこんな人がいるなんて思っても見なかったからさ」 「一緒にしないで下さい!」 同じだと言ったり、一緒にするなと言ったり忙しい子だ。 しかし、こうしてみると、彼女のふくれっつらも、厳しい言葉も可愛らしく思えるから不思議だ。 彼女はしばらく僕を睨んでいたが――もしかしてこれがにらみつける? 僕の防御力を下げているのか?――、突然プイっとそっぽを向き、そのままズンズンと大股で歩き出した。 「どこに行くのさ」 「ついてこないで下さい! 警察に訴えますよ!」 う……随分と嫌われたものだなあ。もしかして僕はポケモンが不快になるような何かを出しているのだろうか――いやいやそんなはずは無い。ポケモンの友人も結構いるし。 となると、やはり寝不足のせいかな。 原因をそうと決め付けた僕は――け、決して現実と向き合うことを逃げたわけじゃない――、ちょうど研究所の傍にある公園にベンチがあるのを見つけ、時間までそこで横になることにした。 ポカポカとした朝の日差しとさわやかな春の風が気持ちいい。 寝不足の僕がそんなコンボを喰らって無事でいられるわけがなかった。 僕はそのまま眠りに落ちていってしまった。 「う、うーん……」 眩い日差しに照らされて僕は眼を覚ました。 目を開けると、太陽がかなり高く見える。 上体を起こし、寝ぼけ眼をこすりながらポケギアを開く。 表示されていた時間は、説明会の開始時間を三十分も過ぎていた。 頭の中にかかっていた霞が、一瞬で蹴散らされた。 ベンチから飛び降り、ダッシュで研究所に向かう。 入り口には研究員と思しき、白衣を着た男が一人立っていた。 「す、すいません! 説明会って」 「ああ、もう始まってるよ。早くポケギア出して」 研究員は参加する予定だった人数がそろってないことから、僕が遅刻していることを分かっていて立っていたのだろう、呆れたような視線を僕に向ける。研究員は態度だけでも「余計な手間増やさせやがって」という言葉が聞こえてきそうな様子だ。 469 名前:ぽけもん 黒 旅立ちの朝 ◆wzYAo8XQT. [sage] 投稿日:2008/03/23(日) 02 15 42 ID ZE6PRlQg 僕はさっきから手に握り締めっぱなしのポケギアを研究員に渡すと、男はそのポケギアを機械にかざした。 ピッ、と電子音が鳴る。 「はい、これでOK。会場は壁に貼ってある順路図のとおりに進んでいけば分かるから、急いでね」 「はい! すいませんでした!」 僕は研究員から返してもらったポケギアを握り締め、研究所に入った。 壁には分かりやすいように矢印の印刷された紙が貼ってある。 僕が走ってその矢印のとおりに進むと、程なく会場の前の角についた。 角を曲がった先、つまり会場と思われる場所から人の話し声が漏れ聞こえてくる。 まずいな……。当然だけど完全に遅刻じゃないか……。 立ち止まって少し呼吸を整える。 「はあ……」 ため息を一つつき、覚悟を決める。 「はあ……」 と、僕のものじゃないため息がどこかから聞こえてきた。 冷静になって見てみれば、角の陰から黄緑の物体が覗いて見れる。 そして、深緑の葉っぱがピョコンと陰から飛び出した。 ……見、見なかったことにしよう。 それだけで陰にいるのが誰だか分かってしまったけど、彼女と話している時間はない。それに遅刻しといて、その上廊下で話しているとかどれだけ非常識なんだ。 ……こんな日に遅刻しただけで十分非常識であることはよく理解している。 こんな時間にこんなところにいるってことは、やはりなんらかの事情で遅刻してしまい、そしてそのことが後ろめたくて会場に入るに入れず途方にくれている、といったところだろう。 まるで僕みた――いや、こんなこと、知るだけで彼女は怒るだろうな。 僕は胸を張って大股に歩き、角を曲がり彼女の前を通り過ぎた。 横目に、目を見開き、口をポカーンと空けている彼女が見えたが、視線も向けずにスルーした。 目を合わせれば、確実に会話か口論が始まる、という確信があったからだ。 僕はそのまま一息に会場の扉の前まで来ると、ゆっくりと扉を引いた。 「すいません! 遅刻しました!」 人の頭を見なくていいように、深々と頭を下げる。 会場は一瞬間静寂に包まれ、そしてその後笑いが巻き起こった。 見えないが、痛いほどの視線が降り注がれているのがよく分かる。 「あー、いいから空いている席に座りなさい」 困惑したような声が僕に向けられた。 宇津木博士のものだろう。 顔を上げると、会場には五十人くらいの人間と、同数のポケモンがいた。 ほとんどはもう前に向き直っているが、中に数人、ニヤニヤしならがこちらを見ている者もいる。 470 名前:ぽけもん 黒 旅立ちの朝 ◆wzYAo8XQT. [sage] 投稿日:2008/03/23(日) 02 16 19 ID ZE6PRlQg 会場内を見回すと、空いている席は前のほうにしかない。 僕は小さくなりながら、人々の脇をとおり、その空いた席に着いた。 と、僕に続くように席に着いた者がもう一人。 見れば、例の彼女だった。 僕に便乗して、目立たないようにしたわけか。 僕は恨みがましい視線を向けてやるが、彼女は微妙に視線を正面から反らして、顔が見えないようにしている。 心の中でまたため息をつくと、机に置かれた資料を開いた。 宇津木博士の説明はその資料に準拠したものであり、その資料を見れば遅れてきても困るような点は無いようだった。 しばらく続けられた説明の後、宇津木博士は机の上に置かれた封筒の中を見るように指示した。 「これが、人間とポケモンとのパートナー契約書です。先ほど説明したとおり、必ずこの会場内で一人一人がパートナー契約を結ばなくてはなりません。 ご存知のとおり、整備された街道から僅かに外れただけでも野生のポケモンが出没します。もしそれが凶暴なものであったら、無力な人間だけではどうすることもできないからです。 逆に街では人間と共にいるということが警察の保護を受けられるということになり、ポケモン自身の身を守ることになります。というわけで、これから自由時間としますので、パートナーとなる人を決めてください」 その言葉で、静かだった会場内がワッと騒がしくなった。 ……パートナー契約ってどうやったらいいんだ? もしかしたら、いやもしかしなくても最初の方に説明があったのかもしれない。 資料の目次を見て、それと思しきページを見る。 えーと、役所が発行している人間とポケモンで契約書を交換して、その後その契約書を役所に届け出るらしい。……ここ研究所だよな。 と当惑していたら、早くも契約を結んだと思しきペアが宇津木博士に契約書を渡していた。なるほど、今回に限り、博士のほうで手続きしてくれるのか。 そうこうしているうちに、もう半分近い人たちが契約を済ませたか契約に入ったかしている。これはまずい。 とりあえず、序盤のジムの都合上、炎タイプか電気タイプ等の属性のポケモンと契約したい。一番まずいのが草だな。飛行にも虫にも弱点とかいいとこなしだ。序盤はまだ慣れないのに弱点続きは避けたい。それに草タイプは全体的に弱い、という研究報告もある。 となればうかうかしれられない。一人でいるポケモンを見つけると、早速話しかけてみる。 「あのー、契約まだですよね? 僕とけいや……」 「ごめん、こんな大事な日に遅刻してくるような非常識な奴とは契約できない」 冷ややかな視線を向けられ、一蹴されてしまった。 う……やはりかなり悪印象のようだ。 しかし気にしてもいられない。すぐに別のポケモンに声をかける。 「あのー」 「すいません……」 声をかけただけなのに、頭を下げられ、そしてそのまま歩き去られてしまった。 そりゃあポケモンにとってもパートナー選びは大切だ。人によって長さは異なるが、しばらく旅を共にすることになる相手だ。もし僕がポケモンだったとしても、こんな日に遅刻してくるような常識の欠如した奴とは契約したいだなんて思わない。 そうと分かっていてもこれは凹む。どうして寝過ごしてなんかしまったんだ、と悔やまずにはいられない。 471 名前:ぽけもん 黒 旅立ちの朝 ◆wzYAo8XQT. [sage] 投稿日:2008/03/23(日) 02 17 01 ID ZE6PRlQg そうこうしているうちに、ほとんどの人が宇津木博士の前に出来た列に加わっているか、契約を終えて会場から出てるかしてしまっていた。 残っているのは…… と、会場内を見回したところで、あの彼女と目が会った。 彼女もコッソリ入ったとはいえ、大体の人が遅刻してきたことに気づいているだろうし、それに見るからに草ポケモンだから倦厭されているのだろう。 ジムリーダーは定期的に入れ替わるっていうけど、草にとって相性の悪いタイプが最初に二つ続くなんて、今年旅立つことになる草ポケモンはかなり理不尽な思いをしているに違いない。 しかし同情はしても彼女と組む気にはなれない。 彼女も考えていることは同じらしく、すぐに視線を逸らした。 しかし妙なことに、彼女は自分から人に声をかけている様子がない。 おかしいとは思ったものの、僕も視線を逸らして人を探す。が、もう全員が契約を結んでしまったようだ。 なんてこった……。じゃあ彼女と契約を結ぶほかないじゃないか。 しかし僕はそんなことはおくびにも出さず、彼女に歩み寄る。 「あ、あのさ、もうみんな契約しちゃったみたいだし、僕と契約しない?」 だが、僕の言葉を聞いた彼女は露骨に嫌そうな顔をして、会場内を見渡した後、多分誰も他に残りがいないことを確認したのだろう、大きくため息をついて、契約書を差し出してきた。 「早く出しなさいよ……」 彼女は苛立たしげに僕を睨む。 それで僕は慌ててその契約書を受け取ると、急いで契約書を取り出した。 「あ、朝も言ったけど、僕はゴールド。ポケモンマスターを目指してるんだ。よろしくね」 僕はなるべく明るい口調で言いながら契約書を差し出した。 彼女はそれをぞんざいに奪い取ると、ボソボソと話し出した。 「私はチコ……何その手?」 「あ、握手でもしようかと思って」 「止めてよ」 厳しい口調で言うと、彼女は僕の手をはらった。 さ、さすがの僕でもこれだけやられたら平常心ではいられない。……でも、ポケモンマスターを目指す旅となれば、かなり長い旅になることは必至。ならば旅に出る前から関係を悪化させるようなことは出来ない。 しかしこんなに失礼な態度をとり続けているってことは、彼女――チコは必須課題の“おつかい”だけで旅を終える気なのだろうか。 確かに、必修の課題はこれだけだ。これを終えれば、一応旅を終えることは出来る。……その代わり、ポケモンと人間の双方が関わるような仕事には絶対に就けないが。 彼女はもしかしてかなりの差別主義者で、最初から自分の出身のポケモンコミュニティー内で、人間とは関わらずに生きていくつもりなのかもしれない。となると、早々に野生のポケモンとパートナー契約しなくてはな。 僕は陰鬱な気持ちに包まれたが、だからといって仏頂面を向けてるなんて無礼だと思い――もっとも、チコはずっと無表情なのだが――、一応の笑みを作っておく。 チコは僕の顔を一瞥すると、目を伏せた。 か、顔も見たくないってことか!? 「じゃ、じゃあ宇津木博士のところ行こうよ」 僕はそれでもくじけず、顔に笑みを貼り付けたまま努めて明るい声で言った。 「……はい」 それに対して彼女は、もはやダウナーとも言える空気を出している。 く、くじけないぞ! くじけるもんか! 僕は心の中で自分を励ましながら、宇津木博士の前の列に並んだ。当然最後尾だ。 他のコンビはぎこちないながらも、互いに自己紹介をしたり、談笑したりしている。 それなのに、僕達ときたら……。 まったくの無言だ。しかも彼女はうつむいていて、表情すら伺えない。 ……なんだか、少し泣きたくなってきた。 そんな地味な罰ゲームのような一時を耐え、ようやく僕達の番が回ってきた。 472 名前:ぽけもん 黒 旅立ちの朝 ◆wzYAo8XQT. [sage] 投稿日:2008/03/23(日) 02 17 24 ID ZE6PRlQg 僕達は博士に契約書を差し出す。 「君達で最後か……えーっと、若葉町在住の若葉ゴールド君と、若葉町在住の香草(かくさ)チコさんだね」 「はい」 「……はい」 宇津木博士は僕達の名前を読み上げると――香草さんっていうのか。しかしこの町に住んでいるのに一度も会ったこと無いなんて――契約書をスキャナーで取り込んだ。 「はい、これで登録されたよ。後はお互いに契約証明書にあるバーコードをポケギアで読み込んでね。後、これがおつかいで届けるものだから。それと、入り口にいる助手から傷薬を受け取ってね」 そう言って博士は二通の契約証明書とポケギアくらいの大きさの、茶色い紙で包装された小さな小包を差し出した。 僕はそれを受け取ると、僕のものだった契約書を香草さんに差し出した。道具類の管理は人間の仕事だから、この小包は当然僕が持つことになる。 彼女はポシェットからポケギアを取り出すと、契約証明書のバーコードをリードしていた。 僕もそれにならって、ポケットからポケギアを取り出すと、バーコードをリードした。 するとポケギアがピピッっと電子音を発し、写真を含む彼女のデータを表示した。 へー、タイプはやはり草、それも単色だ。特性は深緑。使える技は蔓の鞭に宿木の種、それに体当たりの三つか。……睨みつけるは使えないんだな。確かに僕の防御力が低下したように思ったんだけれども。 「じゃあ行こうか」 僕はまだポケギアを覗き込んでいる香草さんに声をかける。……人間のデータなんてほとんど見るところ無いんだけれどな。 彼女は答えることも無かったが、ポケギアをしまって歩き出した。 やれやれ、とため息をつきたいのをなんとかこらえながら彼女の後に続く。 そしてそのまま無言で研究所の入り口まで来た。 「はい、傷薬ね。これで仕事終わりだー」 入り口に立っていた白衣のお兄さんから傷薬を渡された。お兄さんは大きく伸びをしている。 「まだ日も高いし、早く行きましょ」 見れば彼女はもう研究所から数十メートル進んでいる。 「もう、遅いわね。何もたもたしてるのよ」 僕が走って追いつくと、彼女は苛立たしげに言ってきた。 「な、なんかさっきとテンション違わない?」 彼女の声質は先ほどのボソボソした陰気ものとはまったく異なり、大きく明るいものになっている。それに表情もどこか晴れやかだ。 「ああ、室内の蛍光灯の明かりじゃほとんど光合成出来ないんだもん。まあ鈍感な人間には十分みたいだけど」 なるほど、やはり草ポケモン、日差しが強いと活発になるらしい。 しかし、なんだか遠まわしに悪口を言われたような。 まあそんな些細なこと気にしていたら、これからのしばらくの彼女との二人旅を生きていけそうも無い。 「何ぼーっとしてるのよ、急いでよ」 「あ、歩くの早いよ」 僕は、短時間でかなり減少してしまった僅かな期待と、これからの莫大な不安を胸に、ポケモントレーナーとしての一歩を踏み出した。 473 名前:ぽけもん 黒 旅立ちの朝 ◆wzYAo8XQT. [sage] 投稿日:2008/03/23(日) 02 18 26 ID ZE6PRlQg 今回はここまでです 474 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/23(日) 02 34 31 ID yQWFOz2/ 473 GJ! 意外とすんなり読めた、というか続きが気になる 475 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/23(日) 02 48 30 ID 8skwDCGH GJ!! ぽけもんと人間の関係の設定とか上手く処理してあって感心しますた 自分も赤緑と同じ感覚で最初にチコリータ選んでエライ目にあったクチだから他人事におもえんわw 続き期待させていただきます 投下乙でした 476 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/23(日) 08 30 32 ID lbrHanJK 473GJ! 凄い斬新で上手な設定だな。不自然さも無いし、ここまで出来る力量と想像力が羨ましい。 俺も見た目の可愛さでチコリータ(♀)選んで散々苦労したなぁ。それでも最後まで彼女一匹で全て攻略しきった時は、最高のパートナーになってた気がする。 この二人もこんな関係になるのかね(これにヤンデレ追加したら凄そうだww)wktkして続き待ってる。 477 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/23(日) 12 28 28 ID LVRH+zlS GJ! しかし、作者さんは草ポケモンの恐ろしさを知ってるのか・・・? 478 名前: ◆wzYAo8XQT. [sage] 投稿日:2008/03/23(日) 12 33 47 ID ZE6PRlQg 皆さん、GJありがとうございます。安心しました 続き頑張ります 477 今でこそ補助や状態異常、宿木の種の陰湿さなど理解できますが、当時も今もポケモンは火力だ! パワーこそ正義だ! とほざいているような単純バカゆえw ゴールドもそういう路線で行かせたいと思います 全ては病みのための布石としてw ポケモンの話題はそろそろスレチになりそうなので自重します 479 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/23(日) 13 08 05 ID cdP6otyC 知らず知らずアニメのチコリータに萌えていたあの頃・・・ いやー、続きが楽しみです。頑張ってください。 480 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/23(日) 15 10 56 ID 2XHQvgPc えーと、 473はヤンデレ小説だよね?ぜんぜんそんな感じがしないのだが……。 481 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/23(日) 15 14 01 ID kpZjxA5G 480 458 しばらく病みそうにない 482 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/23(日) 15 14 21 ID Yq2eBpsn ツンデレと思わせといて微妙にヤンデレの下地が見え隠れしてるな。 まさかポケモンに萌える日が来ようとはおもわなんだ。 483 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/23(日) 15 31 01 ID 2XHQvgPc 481 あ、注意書きあったのね。ごめん。 484 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/23(日) 15 41 49 ID kpZjxA5G 483 気にしなさんな。 最初からヤンデレもいいけど、段々と病んでいくのも味がありますぜ…フヒヒ 485 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/23(日) 22 15 10 ID XGyL0owV 二次創作か…ドラクエⅤのビアンカが病んだ『ドラゴンクエストⅤ~ヤンデレの花嫁~』なら良く妄想したな。 文才ないのでSSにはできないが、金髪で勝気な女の子が病んで主人公を振り回すのはイイよ。 486 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/23(日) 22 23 47 ID SHNTP4CN ビ病ンカさんか… いいぞ!もっとやれ! 487 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/23(日) 22 35 38 ID zthSgpLc 二次創作でヤンデレといえば月姫や空の境界を忘れちゃいけない、と言ってみる・ω・` 鮮花なんて監禁願望ありありですよ? 488 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/24(月) 02 09 30 ID 6zpHIdD6 487 kwsk 489 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/24(月) 03 54 06 ID Y7LSUZ8V 487 二次創作って? 490 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/24(月) 09 03 57 ID 1+6r89IL 二次も何も月姫は素でヤンデレでてくっだろーがよ 491 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/24(月) 10 16 01 ID T2q5968/ 二次創作はそっちでやったほうがいいと思う 492 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/24(月) 11 26 58 ID C0DMGSxB 俺は キャラ改変なし→二次 キャラ改変あり→ここ でいいと思ってる 493 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/24(月) 11 51 21 ID xRxpWfuW ポケモンはここにしか投下できないな 他のはいくらでも 494 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/24(月) 16 54 28 ID qM4+RjYB この線引きが二次創作の難しいとこだなぁ 495 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/24(月) 17 27 40 ID Kd82dR+1 ぱちモン? 496 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/24(月) 18 30 58 ID GemILKQa ミニリュウとヨーギラスを育てるときの苦労は計り知れないぜ・・・・。 497 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/24(月) 19 20 54 ID zJg2Jgjn スレチ 498 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/24(月) 20 06 55 ID r+mcos5t なんかこう人外のヤンデレっ娘に激しく萌えを感じる 特に人間を馬鹿にしてたり下にみる様な態度の人外娘が病むとヤバい 499 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/24(月) 20 27 13 ID hXWoMypE 498 スキュラ娘さんとかラミア姐さんとか最高ッスよね 500 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/24(月) 21 31 26 ID qM4+RjYB 498 他の泥棒猫共のことは人間の分際で!とか怒って 愛しい彼の場合は特別なんですね! 501 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/24(月) 21 55 54 ID kTzvK7RU 497 誤爆したと察してください>< 反映されないと思ったらこんなところに投下されれてた。 502 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/25(火) 00 13 42 ID jSbzWyb9 とりあえず、ポケモン金買ってくる 503 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/25(火) 00 27 03 ID JPrS6PFZ もうやめて!内蔵電池の残量は0よ!! ソースは俺、5百円無駄にしちまったぜorz 504 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/25(火) 01 11 07 ID nIpgtuwu 503 電池が無いなら入れ替えれば良いじゃない。関係無いが金銀版が最高傑作だと思うんだ俺。 ところで人外ヤンデレってどんな娘がいたっけ? なんか直ぐに思いつかない 505 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/25(火) 01 26 00 ID QS0ZWvIf 504 ……遊戯王のユベル?(一応人外でヤンデレ) 506 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/25(火) 03 00 05 ID H8cxfP0l 504 沙耶(沙耶の唄)とか? ……あれは厳密にはヤンデレとは言わないのかも。数年前の記憶なんで曖昧だ。 つーか、ヤンデレはみんな人g(ry 507 名前:名無しさん@ピンキー[age] 投稿日:2008/03/25(火) 04 10 47 ID 7zKIr5Xq 人外ヤンデレか… 何かこう…そそるものがあるな。 スライム娘とかにヤンデレられたら、私をあなたの体の一部にしてとか言って飲まされたりするのかな… 508 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/25(火) 06 28 43 ID fqJZ2CPc ヤンデレは基本攻撃的&能動的で、対象の男より優位に立つ傾向がある しかし、それを逆にしたらどうなるだろうか? 浮気をしたことを男に責められ、許してほしければ誠意を見せろといわれ 足の裏を舐めたり指を詰めたりなど許してもらえるなら何でもする 次第にそれが原因で病んでしまい、男の奴隷になってしまうって話はどうだろう ヤンデレの魅力ってのは強烈な依存心なんだからさ 509 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/25(火) 07 40 58 ID qU27LlRi 508 それはただの鬼畜陵辱物だろ 510 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/25(火) 08 34 26 ID ZMb5cmj7 506 何言ってんだよ、アレは純愛だ 世界を犯す純愛だが 511 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/25(火) 09 35 17 ID /TBxY3iy ドラゴンが王女を浚って幽閉するシチュを逆に(別に王子じゃなくても可)してみれば、 監禁モノの人外ヤンデレのできあがりかと・ω・` 512 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/25(火) 09 52 46 ID G+SCwoq0 511 憧れの人間様と結ばれたいと、 いつも心に思ってたドラゴンの少女が、 ちょっとしたきっかけで、とある小国の王子に恋をして、 日に日に想いを募らせていき、とうとう爆発。 王子を自分の根城に拉致監禁してしまう。 脱出を試みようとする王子だが、いつも失敗に終り、 その度にドラゴン娘は涙混じりに自分の王子への愛の深さを語る。 そんな日々に次第に王子の心もやられていく・・・。 ・・・・・・うん、俺にできるのはここまでだ。 513 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/25(火) 10 45 10 ID SYIUCLQi 512 早く続きを書くんだ 514 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/25(火) 11 03 32 ID RO+J8ydT いやあえてDQ1のさらわれた王女が実は竜王にヤンデレ状態だったということは・・・ 生まれ持った容姿と力からコンプレックスありありな竜王 配下のモンスターたちに囲まれながらも1人さびしい毎日を過ごしていた ある日竜王は自分の城から対岸を見渡すと、その先には人間の城がありそこにいる王女に一目ぼれしてしまう そして竜王は悪いことだとしりつつも日に日につのる孤独に耐え切れず王女をさらってしまう しかしさらってきた王女は竜王の行いに怒ると思っていたが 静かに竜王の行いを受け入れ優しく竜王を受け止める そして王女は竜王の孤独に触れ合ううちに、自分も持って生まれた立場から孤独な境遇のために だんだんと同情しつつも自分が竜王を守らなければみたいな状態になり それがどんどん悪化し竜王は私のもの・・・!みたいな状態になtって あまりに束縛がひどくなってきたので 困った竜王は王女を幽閉し、門番にドラゴンをたて、自分は城の奥深くに隠れるという電波が舞い降りた 515 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/25(火) 12 27 33 ID Zhz1gjv9 512 ところがドラゴンの棲む洞窟の環境は、人間の身体にはあまりにも過酷だった。 ドラゴン娘に惹かれつつある王子だったが、遂には病に倒れてしまう 半狂乱になったヤンデレドラゴン娘は、根城の洞窟を飛び出した。 七の昼と七つの夜を駆け、はるか遠い東の島にある、神々の住む霊峰の頂へ。 そこに生える「仙草」――不老長寿を与える神秘の霊薬を手に入れるために。 しかし神々は悪しきドラゴンの飛来に槍を向ける。 こうして千の神々と一匹の女ドラゴンとの、激しい戦争が始まった。 一方、王子救出の命を受けた女勇者がいた。 しかしドラゴンは留守中で、ベッドでは王子様が苦しそうにうなされているだけだった。 美少年の苦しみ臥せる様は、ある意味エロティックだ。女勇者もコロッと参ってしまう。 そのままお姫さまだっこでお持ち帰りする。 やがてドラゴン娘がボロボロになって帰ってきた。 角は折れ、翼はもがれ、身に何十本もの神の矢が突き刺さっている。 けれども王子がいない。自分の留守中に何が起こったのかを悟ったドラゴンは、怒りの雄叫びを上げた。 流した血の涙は、竜の心を真っ赤に染め上げる。愛らしい少女の姿が、灼熱のドラゴンの身体へと変貌していく。 『ドラゴンは正体をあらわした!』 愛と狂気の竜は、荒れ狂う炎の嵐となって、王子が連れ去られた王城の方へと飛んでいく。 一方、女勇者は王子様をお城へ帰す気にはならず、町の宿屋にお泊りしようとしていた。 はぁはぁ苦しそうな王子さまにハァハァしながら、「昨夜はお楽しみでしたね」するためだ。 しかし王子のベルトに手をかけたところで、巨大なドラゴンが町を襲ってきた。 ドラゴンは女勇者から王子の匂いがすることに気が付いた。ラスボス戦である。 傍迷惑な女同士の最終決戦であった。多くの住民が巻き添えになって死んだ。 ピンチになるとベホマ唱えやがるせこい女勇者だったが、嫉妬に狂った竜の前にはMPもゼロになった。 渾身のドラゴンブレスが、不貞な女勇者を焼き尽くす。だがドラゴン娘の腹にも、ロト6の剣が突き刺さっていた。 神々との戦いの傷で、彼女は既に限界だったのだ。女勇者と戦える身体ではなかったのである。 ひゅうひゅうとか細い息を吐きながら、ドラゴンは王子の元へ這っていった。もう少女に化ける魔力もなく、醜い竜の本性のままだ。 ドラゴンは霊峰から取ってきた仙草を咥えている。これさえ飲み下せば、どんな致命傷もたちどころに治るだろう。 でも、目の前には苦しそうな王子の姿がある。だから、彼女はそっと王子の口に仙草を押し込んだ。 だって、ヤンデレだもん。愛してるんだもん。 もうドラゴン娘の目はかすみ、何も見えない。最後に王子の元気そうな笑顔を見たかったが、それが残念だった。 ふと頬に冷たい感触があった。ひょっとしたら王子が泣いてくれているのかもしれないし、ただの雨なのかもしれない。 それでもドラゴン娘は、幸せそうに、最期の息を吐いた。 ――Fin―― スタッフロールの後は、王城のテラスからドラゴンの死体を見下ろす女王(王子のキモ姉)のニヤリ笑いで〆 何が言いたいかというと、ヤンデレの魅力は依存心でも攻撃性でもない、「(見境なしの)愛」なんだということだ。 516 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/25(火) 13 22 12 ID 34nzP/kp まさかドラゴンに萌える日がこようとは…… 517 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/25(火) 13 27 12 ID d+lo1JPh 誰でもいい、ライアンでヤンデレ書いてくれ 518 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/25(火) 13 30 53 ID Zhz1gjv9 それはホイミンがヤンデレなのか それともライアンがヤンデレなのかw 519 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/25(火) 13 44 08 ID nthKglw7 515 さぁ一刻もはやくそれを文章にする作業に取りかかるんだ! 520 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/25(火) 18 42 11 ID wkdCY2iL 俺は色々な小説やエロパロを書いているんだが…… このヤンデレというジャンルは書くよりも読む方が面白いのはなぜだろう? 521 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/25(火) 18 48 19 ID wnhDzvOz ,,,,,,,,,,,,,,,,,,,, / \ /-─-,,,_ \ / -,,, i /、 / i ________ r-、 ,,,,,,,,,,、 / i / L_, , 、 \ i / 恋したら /●) (● | __,=-、 / < 負けかなと思ってる l イ - | / tbノノ \ l ,`-=- \ `l ι ;/ \ ニート(24・男性) ヽトェ-ェェ- ) -r  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ヾ=- / / ____ヽ ... / | / ̄ l `── | 522 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/25(火) 18 54 04 ID wkdCY2iL 確かに大した文章じゃないけど……悪いwまぁ、そういうことだよなww 523 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/03/25(火) 19 53 16 ID TAMPPMk4 やべぇ 515にかなり心がじーんときたwwwwというか、学生、ヤンデレ、逆レイプな小説ないかなぁ。 524 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/25(火) 20 44 24 ID 5Tr/haTI 523 書け、書くんだよ 525 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/26(水) 00 34 50 ID 4HDCUk8Y 523 書け、臆病者! 526 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/26(水) 00 58 06 ID RbSGD/2G サイファー自重しろwwww 527 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/26(水) 00 59 43 ID SQrJDxuu ピクシーだろ? 528 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/26(水) 01 15 23 ID znGUH1xQ solo wing pixyさんだな 529 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/26(水) 01 17 11 ID zD1lI3Ay 何の話してるのかワカンネ そんなどうでもいいことより、ヤンデレを! 530 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/26(水) 05 21 26 ID m74JuDyo 529エースコンバット 今思えばこういう戦争系のも、かなりいいヤンデレになるよな。 数多の死線をくぐり抜けてきた相棒(男 女)男に拾われ、育てたれてずっと一緒に生きてきた女には男が必要不可欠になっていた。 しかし男は幼馴染みと婚約した。しかし相棒の女は「私の方がずっと彼の事をわかってる。だって15年間ほとんど一緒に過ごしてきたんだから!」 そして…的な 531 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/26(水) 06 46 56 ID qTAeE7zm この中でいない君といる誰かを知っている人挙手 532 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/26(水) 07 38 13 ID 1fQ0OUCi ……知らない人がいるのか? 533 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/03/26(水) 07 47 07 ID qTAeE7zm あ、良かった。知っている人いたわ。 534 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/26(水) 08 08 15 ID fd506/K4 他のルートを半裸で待ってる 535 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/26(水) 13 01 35 ID 0mZ8ECep 挙手とスレの無駄だから 536 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/26(水) 14 15 02 ID GwBk2HqC 挙手厨死ね 537 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/26(水) 15 41 52 ID wOESRvro 今、保管庫読んでいるのだが、未完の長編で続きが気になるのが本当に多い いない君もそうだし、よづりとしまっちゃうメイドさんも凄い気になる 538 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/26(水) 20 43 07 ID IOob4XI+ 537 激しく同意だが仕方ないよな… 作者さんなりの事情があるんだろう 539 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/27(木) 00 53 23 ID 5b+n33UR ほととぎすまだかな 540 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/27(木) 06 02 40 ID 6zFuHBd4 変に急いで出来の悪いのを公開されるのもなんだし、商業誌ならともかく義理はあっても義務はない世界だからなぁ。 俺にそんな未完の対策を忘れさせるだけの名作が書ければいいんだが、読書感想文もまともに書けぬ身だ。すまん。 話は変わるが、現在アパシーミッドナイトコレクションやってるんだが、これの送り犬編Cルートがかなり良い。 普通に良い話な展開もあるんだが、選択肢次第ではかなりヤンデレといういうか、女の情念を強調した展開にもなる。 個人的にお勧め 541 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/27(木) 11 16 26 ID 1bSY2eTG ナリカ可愛いよナリカ 542 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/27(木) 11 28 50 ID LhqqAoXS 540 そういうのよく肩透かし食らうから、よければkwsk 543 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/27(木) 12 29 53 ID 0lXkI3hj 539 3月は忙しいみたいなこと別スレで言ってたから 今月中は難しいかもな 544 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/27(木) 15 07 17 ID qMo5fsyq それにしても保管庫漁ってみると結構名作が揃っているね(そして未完の多いこと) まだwikiしか見てない人も漁ってみる事をお勧めするよ 537 しまっちゃうメイドさん読み返してみたら腹筋崩壊したw 545 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/27(木) 20 23 20 ID 9zbuzsVL 投稿ヤンデレSSってやっぱりこのスレ周辺の保管庫とかwiki が一番多いのかな? 546 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/27(木) 21 46 27 ID PJggZNxE 妖精の本読んでたら、すっげーの見つけた リャナン・シィー(アイルランド) ゲール語で「妖精の恋人」という意味の名をもつ、泉や井戸の周りに現れる妖精。 美しい女性の姿をした妖精で、常に人間の男性からの愛を求めている。 リャナン・シィーは愛した男性以外には見向きもしなくなるので、 惚れられてしまった人間は生涯付きまとわれる。 その愛を拒んでも、対象の男性に一方的に奴隷の様に媚び、傅き、尽くす。 その愛を受け入れてしまうと、生命力を吸い取られていってしまう。 しかし、愛を受け入れた男性に芸術的な才能を授けるとされており、 詩人に夭折した人間が多いのは、このリャナン・シィーを受け入れた為と言われている。 547 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/27(木) 21 52 51 ID q1g0Q9VF 546 なんという修羅場トリガー 548 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/27(木) 22 03 50 ID 9/th75xt 546 ちょっと井戸掘ってくる! 549 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/27(木) 22 24 27 ID 9kX309Co 546 なんか皮肉な話だな 愛した男に好かれなければ長くその惚れた男と一緒にいれるが、好かれたら殺したくないのに自分のせいで死んでしまう 550 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/27(木) 22 25 32 ID T8VfrP0p 548 よせ。やたらめったに穴を掘っても、出てくるのは…… 遅かったか。やはりヤンデレモグラ娘に…… 551 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/27(木) 22 28 35 ID qShjnu3i メガテンだと鬼女なんだぜ。 しかも回復魔法とアギ系の魔法を持っているので、天使や女神を作るための 合体材料に何度も何度も仲魔にしては合体を繰り返してた。 552 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/27(木) 22 29 34 ID PJggZNxE 549 本によると、モンスターとしては吸血鬼に分類されるらしいです 愛した男を我が身に取り込もうとしてるんでしょう 553 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2008/03/28(金) 00 09 07 ID RF+iNqTl 投下します。かなこルート26話です。 554 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2008/03/28(金) 00 10 45 ID RF+iNqTl 第二十六話~令嬢と地下室で~ 「遠山様。どうぞ、中へお入りください」 室田さんの手によって、ドアが開いていく。 開ける前に自分の身分がそうするのにふさわしいのかと省みたくなるほど、重厚な扉だ。 今来ている場所はかなこさんの住む菊川邸。 三度目となる今回は望んでここにやってきた。俺がそうしてくれ、とかなこさんに頼んだのだ。 怪我をした華を助けるために。 バスの中で華を気絶させたのは、その後の会話を聞かせないため。 華も一緒に来たら邪魔になるから降ろして欲しい、と言って頼んだ。もし聞いたら、あいつは拒むに違いない。 それに、あのままにしておいたら、またかなこさんへ挑みにいっていただろう。 勝ち目のない戦いへ向かうのを放っておくわけにはいかなかった。 華が左肩を負傷しているから勝てないと思ったわけではない。 もし万全の状態であってもかなこさんには敵わないだろう、と踏んだのだ。 肩だけで済んで良かったと思う。現に今、華は生きているのだから。 今頃はバスを降ろされた運転手に連れられて病院に行っているはずだ。 扉が開ききった。ドアの傍で黙礼する室田さんの前を通り過ぎ、邸内へ足を踏み入れる。 しん、としていた。 踏み込んだ途端に外界からの音から隔絶された。空間の静寂に聴覚を支配された。 冗談みたいに広い屋敷なのに、他に人がいないのか? かなこさんと室田さん以外、誰も? 立ち尽くしたまま耳を澄ませていると、背後から声がかかった。室田さんだ。 「ただいま、屋敷の使用人は私一人しかおりません。他のものは皆出て行きました」 「出て行った? 全員が一度に?」 「はい。昨日の夜、遠山様と私が一緒に屋敷へ入ったときにはすでにそうなっておりました。 もっとも、そのことに気づいたのは今朝のことでしたが」 「十本松が居なくなったからですか」 「いいえ、どうやら十本松あすかがそうしたようです。 連絡の取れた元使用人に聞いたところ、十本松あすか自らが解雇を言い渡したということでした。 どうやら、純粋な契約で使用人を雇っていたようです」 そこで一旦言葉を切ると、一段階低い声音で続けた。 「菊川家では使用人を希望する人間に対して、私が面接を行っていました。 ですが、邪な考えを抱いていると見抜けていなかったようです。そして十本松あすかの企みにも気付けなかった。 災いをもたらす人間を招いたのは私です。全ての責任は私にあります」 そう言う室田さんの表情には悔恨が浮かんでいた。 見て分かるとおりに、室田さんは執事という職業に誇りを持っているのだろう。 だからこそ、俺には納得のゆかないことがある。 555 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2008/03/28(金) 00 12 13 ID RF+iNqTl 「室田さんはどうしてかなこさんを……止めないんですか? 今のかなこさんが普通じゃないことぐらいわかっているんでしょう?」 「もちろんでございます」 「わかっているのに、止めないのはなんでです?」 「主が過ちを犯そうとしているなら、止めるのが執事の役目である、と思います。 ですから、今の私がこうして遠山様を屋敷にお連れしたのは執事としてではございません。ただの年寄りの妄動です。 図書館まで車で送ったのも、私がそうしたいと望んだから。バス会社へ連絡をしてバスを止めさせたのも私です。 遠山様を追い詰め、ご友人の方に傷を負わせたのも私の責任です。 私はただ、かなこ様に幸せになっていただきたいのです。それこそが私の幸せでございます」 「……かなこさんは死のうとしているんです。俺に殺されることを望んでます。 それでも幸せになれますか? かなこさん……と室田さんは」 「それがかなこ様の望むことであれば。どのような形でも、それが幸せと言えます。 遠山様はご存じないでしょう。かなこ様が以前、どんな方だったのか」 かなこさんの顔を脳裏に浮かべてから、頷く。 考えてみれば俺は、かなこさんのことをよく知らない。 今までは踏み込もうともしなかった。知ったところで無駄になるから。 俺が金持ちの家のお嬢様と接触する機会なんてないと考えていた。 「とても繊細なお方でした。普段は静かに物思いにふけり、夜が近づくといつも寂しそうにしておりました。 菊川家の長女であらせられますから、連日資産家や政治家の息子からお見合いの話はやってきます。 それら全て、かなこ様は受けませんでした。桂造様や私が説得しても無駄でした。 決まった相手がいるような話は耳にしません。それなのになぜお見合いを受けないのかわかりませんでした。 謎が解けたのは二週間ほど前のことです。かなこ様はその日、図書館へ行かれました。 屋敷で待っていた私は、帰ってこられたかなこ様の表情を見て、年甲斐もなく心を動かされました。 ついぞ見たことのない柔らかな微笑みを浮かべておられました。 もう、おわかりでしょう。その日はかなこ様と遠山様が初めて出会った日です。 あれから、かなこ様はずっと…………」 556 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2008/03/28(金) 00 13 55 ID RF+iNqTl 「そこまでです、室田」 芯の通った強い声がその場に響いた。 声が聞こえてきた方向を向くと、階段を降りてきているかなこさんがいた。 「ほどほどになさい。雄志様をここへお呼びしたのは、あなたと長話をさせるためではないのですよ」 「申し訳ございません、かなこ様!」 「……もういいわ。下がりなさい。あなたはあなたのするべきことをなさい」 「かしこまりました。それでは……遠山さま、失礼いたします」 一礼して室田さんは立ち去った。 廊下の角を曲がって姿が見えなくなってから、俺はかなこさんに向き直った。 「いきなりですけど、はっきり言っておきます」 「なんでございましょう?」 「俺の気持ちは変わりません。かなこさんを殺したりしませんから。 ここに来たのは言うとおりにするためじゃなくて、二人きりで説得するためです」 「どうしても、でございますか?」 「……ええ。しないと言ったらしないんです」 断りを入れたことで、怒鳴られるか斬りつけられるかと予想していたのだが、かなこさんに動きはない。 バスの中で遭遇したときのような危ない感じもしない。 にこやかに微笑んでいるだけだ。 「雄志様がそうおっしゃること、予測していましたわ。ですが、わたくしは諦めません。 ここにお連れしたのは、雄志様のお気持ちを変えさせるためです」 「俺の話、聞いてました?」 「あなた様のお言葉は一字一句、聞き逃しませんわ。 見ていただきたいものがあるのです。それを見て下されば、お気持ちも変わるはずです」 自信たっぷりの淀みのない口調だった。 俺の気持ちを変えさせるほどのもの? これ以上、この屋敷の中に何があるっていうんだ? 「ご案内いたしますわ。わたくしの後についてきてくださいませ」 557 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2008/03/28(金) 00 15 57 ID RF+iNqTl 五歩先を歩くかなこさんに導かれて向かう先は、屋敷の地下室だ。 といっても、昨日十本松が死んだ地下室ではない。もう一つの古い地下室だ。 昨日は向かう必要がなかったから行かなかったが、やはり何かがあるらしい。 壁のランプによって薄暗く照らされた螺旋階段をこうして下っていると、嫌な気配がひしひしと伝わってくる。 かなこさんが見せたいもの。それが何なのかは知らない。予想もつかない。 だが何を見せられようと俺は気を変えてはならないし、逃げてもいけない。 俺と香織と華、そしてかなこさん。 これ以上誰も死なせずに過ごすためには、俺が力を尽くすしかない。 黙ったまま階段を下り続けていると、扉に遭遇した。 扉の縁やノブの辺りに錆や苔が付いて変色している。ただし鍵穴までは錆び付いていない。 かなこさんの言う、見せたい物がとうに準備されているということだろう。 室田さんでさえ近寄ることの許されない地下室の向こう側。 そこへいたる扉が、かなこさんの取り出した鍵によって重い音を立てて開かれた。 最初に目に飛び込んできたのはまばゆい光だった。 すっかり暗がりに慣れていた目が眩む。 十秒ほど待ち、まぶたの向こうにある光に慣れはじめてから、薄く目を開く。 かなこさんの足が見えた。床は石を繋ぎ合わせて作ってあるようだ。 視線を上げる。少しの段差が出来ていて、その先には畳が敷いてあった。 「…………たたみ?」 見間違い? いや、何度目を凝らしても同じだ。 床には畳が敷き詰められていた。地下室の入り口に石畳があり、木製の敷居の先に畳がずっと続いている。 地下室は和室だった。しかも、部屋と言うにはあまりにも広大な。 広さは、六畳間の俺の部屋の三四倍はある。 壁は無機質なコンクリートではなく障子で覆われている。左右の障子の向こうに白い光源が見える。 天井板にはプリントではない本物の木目が並んでいる。 部屋の奥、床柱で遮られた左には床の間が、右には天袋と違い棚がある。 余分な物など一切この和室には無かった。 「何なんですか、この部屋は」 「見てお分かりになりませんか? 雄志様は見覚えがあるはずです」 ――無い。 実家の内装は和風だけどここまで広くもないし立派でもない。 これまで行ったことのあるどんな場所だってここの光景とは似ていない。 「ここは、前世のわたくしが過ごしていた部屋をそのまま模した部屋ですわ。 お忘れですか? ここで雄志様とわたくしは幾度も言葉を交わしあったというのに」 「……なるほど」 そりゃ見覚えがないはずだ。俺は前世の記憶なんて持ち合わせていないんだから。 「どうぞ、お上がりください」 かなこさんが靴を脱いで畳の上へ上がった。俺もそれに続く。 踏みしめた畳の感触は固く、冷たかった。 足下を警戒しながら歩き、部屋の中央辺りで立ち止まる。 障子の向こうから何かが飛んできたりしないか、と疑ったが、白い光以外のものが入り込んでくる気配はない。 静か過ぎる。かなこさんの足音さえ聞こえない。 558 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2008/03/28(金) 00 17 01 ID RF+iNqTl かなこさんは和室の奥にある天袋の前に立つと、振り返って俺を見た。 「雄志様。心はお決まりになりましたか?」 「心……ああ、かなこさんを手にかけるって意味ですか」 「はい」 この人は殺されることを望んでいるのに、どうして柔らかな笑みを浮かべて居られるんだろう。 かなこさんの考えが俺には分からない。 最上の愛情表現は相手を殺すことだと、かなこさんは言っている。 性的なカニバリズムに似たものなんだろうか。どちらにせよ、俺には理解できない思考だ。 「心は決まってますよ。自分がどうしたいのか、はっきり自覚しています。 ――何度も言っているように、俺はかなこさんを殺したりしません」 「……そうでございますか」 悲しそうな、残念そうな声だった。 少しだけ心が痛むが、悪いことをしたとは思わない。 間違ったことをしているわけではないのだから。 「それともう一つ、言いたいことがあります。 かなこさん、もう俺につきまとわないでくれませんか?」 「雄志様……? 何をおっしゃっておられるのです?」 「聞いてください。俺は、本気なんです」 強く息を吸い込む。これから台詞を言う心構えを作るために。 「かなこさんは俺と前世で恋人同士だったから、という理由で俺に近づいていますよね。 でも、前世でそんなことがあったのだとしても、おかしいんですよ。 違う人間として生まれてきた二人がまた結ばれるなんて」 「いいえ。おかしくなどありません。何も間違っているところなどありません。 雄志様とわたくしは将来を約束しあった仲なのです。だからこそ、今こうして巡り会えたのです。 これを運命と言わずしてなんと言うのですか」 「かなこさんの勘違い、です」 自分でも驚くほど、はっきりと告げてしまった。 だけど、これぐらい強く言わないといけない。 信じられないような行動をとる人が相手なんだから、強気で行かなくては。 559 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2008/03/28(金) 00 18 35 ID RF+iNqTl 「勘違い……? わたくしの……?」 「そうです。あなたは何かが原因で俺のことを好きになったのかもしれない。 その何かを前世からの縁だと勘違いして、自分で納得してしまっているだけです。 俺にはそう見えます。 だって、俺みたいなどこにでも転がっている男が、かなこさんみたいな高嶺の花の人と 少しでも関係があったり、するわけがないじゃないですか」 「そのような……現世での家柄など、わたくしにとっては何の価値もございません。 雄志様に愛されることのみが、わたくしの幸せなのです」 かなこさんが近づいてくる。部屋の向こうから、中央にいる俺の方へと。 悲しさをあらわすように伏せられた眉と目尻、涙を零しそうなほど潤んだ瞳。 小刻みに震える唇からは、嗚咽と共に呟きが漏れている。 「お願いでございます。どうか、どうか……」 とうとう、お互いが腕を伸ばせば触れ合える位置まで近づいてきた。 かなこさんは両手で顔を押さえ、項垂れている。 無意識のうちに俺の足が少しだけ前に出ていた。 ――また出てきた。発作だ。 かなこさんと香織を前にした時だけ起こる、吐き出さずにはいられない暴力の衝動。 距離を空けていれば抑えることができるが、ここまで近づいてこられると勝手に表に出てくる。 かなこさんが顔を上げた。見えたのは、大粒の涙を流し続ける泣き顔。 突然、呼吸が楽になった。 衝動を抑える必要が無くなった。衝動が瞬間的にかき消えたのだ。 訳も分からず悲しくなった。そして、自分に対しての激しい怒りが湧いてきた。 女性を泣かせたからではない。もっと深い、心の奥の奥にある暗闇の中からこみ上げてきた。 ――どうしてこの人を泣かせた! ――なぜ悲しませるようなことを言った! ――何が勘違いだ、ふざけるな! そんな声が聞こえた気がした。 560 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2008/03/28(金) 00 20 21 ID RF+iNqTl 悲しみと怒りと、予期しない心からの声に混乱していると、肩に手が触れた。 相手の顔しか見えない距離にまでかなこさんの顔は近づいていた。 静寂に包まれた地下の和室には、かなこさんの嗚咽しか音がない。 鳥の羽ばたきよりも小さい呟きもここまで近づけば全て耳に入ってくる。 「お願いでございます。……どうか、どうか、そのような悲しいことは言わないで。 思い出してくださいませ……本当のわたくしのことを…………寄り添って過ごしたあの日々を……」 不意に、朝に目を覚ましたときのような感覚が襲ってきた。 頭の中がクリアになり、軽くなった。 そこへ押し寄せたのは喜びや悲しみや怒りや後悔などの強い感情がない交ぜになった混沌。 偏頭痛、そして目眩。立っているのがやっとだ。 かなこさんの顔はすぐ近くにあるはずなのに、認識できない。 頭の中にある感情のうち、どれから片づけていけばいいのか分からない。 複雑に絡み合ったそれらと自分の意識が混ざり、さらに膨らんでいく。 痛い。頭の中でギリギリと音がする。意識もろとも吹き飛びそう。 首に冷たいものが触れた。感触が上へと上がっていく。 撫でられただけなのに、背筋に冷や水を浴びせられたように芯から震えた。 「一度だけ……一度だけでいいのです。わたくしに唇を許してくださいまし。 そうすればきっと、いえ、今度こそ思い出してくださるはずです」 首を軽く前へと引かれた。 倒れそうになったが、首に触れている冷たい感触と胸に当たるやわな体を支えにして耐えた。 歪んだ思考のまま目を開くと、そこには目を閉じて唇を薄く開けた女性の顔があった。 どんどん近づいてくる。だがこんな満身創痍の精神状態では何も出来ない。 唇に柔らかな感触。なんとなく、俺はキスされたんだと分かった。 頬に息がかかる。首の後ろを弱い力で押されている。だけど、唇を押しつけられている感じはしない。 安らぎがあった。ずっとこの場に留まって休んでいたくなる。 しかしその時、それを押しとどめる囁きが聞こえてきた。 体の感覚が全て耳に集中した。鮮明な声が、頭の中を深くえぐる。 ――お前はそんなことをしてはいけない。 意識に浸透していく。 ――お前がするべきことはすぐにその女を振り解くことだ。 何よりも正しい忠告に聞こえる。 ――お前が一番愛しているのはその女ではない。他の娘だ。 そうなのか? ……そうなのかもな。 ――その女の唇は汚らわしい。すぐに離れるべきだ。 離れて、それから、どうする? ――拒絶しろ。憎み、恨め。そして、殺してしまえ! そんなことはしたくない。 ――ならば、嫌え。見つめられる、近づかれる、話しかけられる、たったそれだけのことさえ許してはいけない! どうして? ――お前には好きな女がいるからだ。そんなことをしていて、好きな女に失礼だと思わないのか。 ああ、そうだった。 そうだったよ。俺には恋人が居る。だから、この人のことは嫌って―――――― 561 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2008/03/28(金) 00 24 14 ID RF+iNqTl 引きつるような息の音が聞こえた。 いつの間にかすっきりしていた視界の中には、顔を歪めたかなこさんの顔があった。 俺の首の後ろからはとっくに手を離して、距離を空けて立っていた。 「あ……あああ…………ああ、あああああ! う、ああああああああ!」 その場にくずおれ、かなこさんは慟哭した。 「また! ……また間に合わなかった! ここまで性急に動いたというのに、もう雄志様は毒されていた! 今度こそはと強く願ったというのにまだ、雄志様に取り憑くものがいる!」 「か、かなこさん?」 座り込んだかなこさんに右手を引かれて、抵抗する間もなく床に座らされた。 上着の襟を掴まれ、引き寄せられる。憎しみの籠もった眼差しに一直線に見つめられる。 「なぜ邪魔をする! 一体貴様はなんだ! なぜわたくしの雄志様を独占している! なぜ独占できる! わたくしは……幾たび生まれ変わっても一緒にはいられないのに、どうして貴様は……」 胸の中にかなこさんが顔を埋めてきた。 すすり泣く声が耳に入り込んでくる。 俺はかける言葉も見つからず、ただ泣き崩れるかなこさんの肩に手を添えるだけしかできなかった。 そうしているうちに、かなこさんの嗚咽が鎮まってきた。 肩を掴んでかなこさんの体を起こす。俯いたままだから表情までは見えない。 「もう、大丈夫ですか」 「…………………………しなさい」 「え?」 「離しなさい。雄志様に取り憑いた悪霊めが、わたくしに触れるな」 充血して真っ赤になった目で睨み上げられた。反射的に手を離す。 かなこさんはふらつきながら立ち上がると、俺の後ろへと歩いていった。 放心したままその場に座り込んでいると、背後から重い鉄の音が聞こえてきた。 振り返ると、地下室の入り口に立つかなこさんの後ろ姿があった。 鉄製の扉の上に開いている小窓に指を入れている。 小さな音が耳に届いた。アパートの鍵を廊下に落とした時に立つような音。 かなこさんが近づいてくる。ずっと俺を恨めしげに睨んだまま。 畳から腰を浮かす。同じ目線から見つめ返したが、かなこさんは気にも留めずに歩き、通り過ぎた。 「何をしたんです、今」 「鍵をかけました。もう二度とこの部屋から出ることはできませぬ。わたくしも、あなたも」 素っ気ない声が俺の心を激しくかき乱した。 「……え? 出られないなんて、そんなの……嘘でしょう」 「あの扉は内からも外からも鍵をかけられます。鍵が無くなってしまえば二度と開けられませぬ」 「じゃあ、鍵は…………まさか、今のって!」 「扉の向こうに落としました。これでもう、あなたはここから逃げられない」 閉じこめられた。かなこさんと二人で、絶対に出られない密室に。 「は、はは……そんなの、嘘でしょう。どこかに出られる道があるはず」 「そのようなものはありませぬ。 この部屋は、雄志様が今のように取り返しの付かない状態になった時のことも考えて作らせました」 「そんなの……こんな! 取り返しのつかない状況にしたのはあなたじゃないか!」 「わたくしにとっては些細なこと。これからすることを考えるならばこの状況こそが望ましい」 背後からの戸を開ける音に振り返る。 天袋の戸を開けたかなこさんが布の袋に包まれた長物を取り出していた。 紫色の紐の結びが解かれていく。布が取り除かれ、中身が姿を見せる。 かなこさんの手に緩やかな弧を描いた白木が握られていた。 それがただの白木であって欲しいという間抜けなことを俺は願っていた。 だが、もちろんそんな願望が叶うことなどありはしない。 何の感情も映さないかなこさんの瞳が俺の目を見据える。穏やかな口調で告げる。 「雄志様、聞いておられますか? わたくし、これから取り憑かれ苦しむあなたさまをお助けいたします。 悪霊をこの刃で、二度と甦らぬよう、残滓も残さず、退治いたします。 ですから、聞いておられるのでしたら――どうか、力をお貸しくださいまし」 かなこさんが、白木の端を右手で握った。 562 名前:ことのはぐるま ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2008/03/28(金) 00 26 12 ID RF+iNqTl というところで、26話は終わりです。 かなこルートはあと2~3回の投下で終わる予定です。 563 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/28(金) 00 29 01 ID MHQHZQkJ リアルタイムGJ! 564 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/28(金) 01 02 15 ID CKWHsc/O ついにリアルタイムきた 主人公もパワーアップしているけど、どうなるかな? 565 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/28(金) 03 25 02 ID kJAvi2Mn おぉ!ことのはぐるまキテタwww このままBAD ENDに直行か…? ていうかまだ物語始まって二週間しか経ってないんだな 566 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/28(金) 09 02 27 ID W9fs2vNq 523だがこんなところにあったわ、望みのものが。 しかも襲った方じゃなくて華の方がなんか好みだ。 567 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/03/29(土) 15 57 43 ID nAKCBPIg 568 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/29(土) 19 51 27 ID C4QRnsy+ 最近投下されるSSの量が減ってきてる気がする。 まさか、このスレに書きこんだ奴はヤンデレ娘に狙われて ある回数書きこむとそのヤンデレ娘にお持ち帰りされてしまうのか?! とか考えていた俺はただの阿呆ですね。作者さんたち、頑張ってくれよ~ 569 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/29(土) 20 09 25 ID FmCYkgY4 568 そのネタで書いて投下すればいいんじゃね? 570 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/29(土) 20 28 39 ID BlF/euAA 年度末はみんな忙しいのさ 571 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/29(土) 20 57 16 ID C4QRnsy+ 最近投下されるSSの量が減ってきてる気がする。 まさか、このスレに書きこんだ奴はヤンデレ娘に狙われて ある回数書きこむとそのヤンデレ娘にお持ち帰りされてしまうのか?! とか考えていた俺はただの阿呆ですね。作者さんたち、頑張ってくれよ~ 572 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/29(土) 20 59 29 ID C4QRnsy+ あれ?なんで二回書き込んでんだ?スマンかった 573 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/29(土) 21 56 35 ID DgZ9uoqN 前そんな感じの「ヤンデレ喫茶」ってなかったっけ?あれは良かったな。 574 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/03/30(日) 07 55 28 ID 8g44rgIe 575 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/30(日) 23 41 02 ID uv/QcFjK 569 ためしに書いてみてるが、gdgdすぎてなんだかもう・・・ 明日頃投下できるかもね。 576 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/03/31(月) 00 31 18 ID nuujFB3L 575 誘い受けうぜ 577 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/31(月) 01 50 02 ID oToJsXb/ 過敏うっぜ 578 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/31(月) 01 53 25 ID mHzd0mal はいはいワロスワロス 579 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/31(月) 02 12 06 ID ikjCDlIA でも実際書いてる本人すら駄目だと思ってるのに、わざわざこんな風に書き込む意味が解らん? 投下した後おべんちゃらで「全然下手じゃない」「面白かった」って言って欲しいのか? それなら黙って投下すりゃ良いのに。このスレでは反論、批判は荒らし認定で封じられてんだし。 580 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/31(月) 02 16 25 ID eKB/0asU 579 議論厨乙 そうやって釣り針に引っ掛けようったってそうはいかね…… っは!? 581 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/31(月) 02 18 53 ID KlmpPkm8 昨日、駅で突然見ず知らずの姉ちゃんに飴貰って会話が始まった 俺より一個年上だとか俺を年上だと思ったとか、仕事で他県に研修に行ってたとか 背が低くて学生に間違われるとか言ってきたんだがヤンデレフラグなのか?メンヘラか?ビッチか? 身長150センチくらいの可愛い子だったんだが、初対面の二十歳過ぎた野郎に飴は無いよな普通 582 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/31(月) 02 25 38 ID GDwyf222 逆に考えるんだ それは本当にただの飴だったのか、と考えるんだ 583 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/31(月) 02 26 59 ID vlz3uXoh 天然なのか、ゆとりなのか……それともネタ? 世間知らずって恐いな 584 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/31(月) 02 28 53 ID vlz3uXohi ↑のは 581のことね 585 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/31(月) 02 32 54 ID r/vqFgVk つつもたs…いや、なんでもない 586 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/31(月) 02 40 21 ID KlmpPkm8 食ってから自分もそうとうアレだとは思ったが童貞が自分の好みの女の子に 話しかけられて頭がまともに動くはずないだろ? 587 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/31(月) 02 42 35 ID r/vqFgVk それには同意せざるを得ない 壷とか普通に買ってしまいそうだ 588 名前:540[sage] 投稿日:2008/03/31(月) 02 51 42 ID 4fz9kcFj 542 亀レスごめん。とりあえず概要を語ると 主人公は千葉の大学に通う女子大生。容姿は良いのだが流行に疎く、考え方もどことなく古風。恋愛の方も慣れておらず、まともに異性とつきあったことがない。差出人不明の手紙に悩まされている。 しかし数合わせで参加した合コンで出会ったサラリーマンと、出身地が同じという事もあり意気投合。恋をする。 今までにない気持ちに大いに浮かれる主人公だが、郵便受けに今まで一通しかこなかった手紙が山ほど送り込まれるようになり、不安にかられサラリーマンに相談する。 サラリーマンは大いに憤り、二人は良い雰囲気になりそのまま一夜を共に。 翌日目を覚ますとサラリーマンは既におらず、簡単な書置きが残されている。既に仕事先に向かっていた。 元々不安にかられており、縋る対象を求めていた主人公は相手に強く執着し、物陰から見つめるだけと仕事先にまで向かってしまう。 サラリーマンの仕事先であるビル出入り口付近にある喫茶店で待つこと数時間。昼頃に一人出てきたサラリーマンを見つける。 しかし、サラリーマンはその後なんと主人公を合コンに招いた友人と合流し、親しげに肩を抱きながら近くのレストランに入っていく。 呆然とした主人公はそのまま逃げるように走り去り、自宅に引き返す。 翌日友人を問い詰めるが、マトモに相手にしてくれず、一回寝ただけで恋人と考える純情な発想をからかわれる。 納得できずサラリーマンに直接問いただしてみると、友人はセフレで主人公とも遊びだったとあっさり開き直り、信じられず縋りつく主人公を今までとうって変わって冷たく突き放す。 それでも諦められない主人公は、もう一度話せばきっと優しい彼に戻ってくれると固く信じ何度も会おうとするが、もちろんそんな事が起きるわけもなく、どんどん邪険にされていく。 とうとう相手の会社前で待ち伏せまでするようになったところで、ストーカーとして警察に逮捕される。 しかし悪い話ばかりでもない。主人公はあの夜にサラリーマンの子供を妊娠していた。彼に会えないのならばせめてこの子は私の手で育てようと決意したところで場面が転換。 川原を主人公はベビーカーを押しながら歩いている。乗せているのは彼との子供、などではなく白い子犬である。しかし主人公はその子犬が自分とサラリーマンの子供である事を信じて疑っていない。 道行く人は主人公を奇異な目で見るが、主人公は気にしない。彼女は至福の幸せを手に入れたのだ。 とまぁ、こんな展開。 もっとも、このルートははっきり言って基本設定からは外れるパラレルワールドな展開なんだけどね。 589 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/03/31(月) 02 57 09 ID KlmpPkm8 俺はそれの警備員さんの飴玉婆さんルートが好きだな、ヤンデレ娘も出てくるし 590 名前:無形 ◆UHh3YBA8aM [sage] 投稿日:2008/03/31(月) 18 49 20 ID EsE5f1aD ぎりぎり3月間に合った・・・ 投下します 591 名前:ほトトギす ◆UHh3YBA8aM [sage] 投稿日:2008/03/31(月) 18 51 23 ID EsE5f1aD 楢柴文人から改めての謝罪があったのは、昨夜の事だった。 財閥の長のそれとは思えない丁重な謝意と、従妹との婚約の解消を正式に告げられた。 騒動の発端――綾緒は謹慎を申し付けられたらしい。 自分の罪を自覚できるようになったら、本人にも頭を下げさせる。 伯父はそう云って額を地面に擦り付けた。 楢柴文人は有言実行の人だ。 彼がそう云う以上、その言葉を信じない訳には往かない。 綾緒の件は一件落着と考えて良いのだろうか。僕の胸は少しだけ軽くなった。 従妹とはここ最近で色色あったけれど、以前のような関係に戻れたら良いな、とは思う。それが可能か どうかは置いておいて。 だから。 「日ノ本くん」 今は。 「朝ご飯作りに来たわよ」 この人――“日ノ本創の恋人”、織倉由良こそが最大の問題になったと云える。 チェーン越しに覗く笑顔。 手にはスーパーの袋。 そして、包帯。 「開けて?日ノ本くん」 「・・・・」 綾緒には織倉由良は家に入れるなと云われたが、今はそれ以上の理由で入れるべきではない、と思う。 けれど。 「ね?」 どこか不気味な笑顔を浮かべるこの人を、拒む力が僕にはなかった。 チェーンを外す僕の顔は、一体どの様であったろうか。 すぐ傍の壁を見上げる。 そこには綾緒の設置した能面があり、面はじぃっと、僕を見つめている。 (綾緒に知れたらただじゃ済まないんだろうな・・・) だけど、拒んでもただでは済まない。 痛痛しく巻かれた包帯が、拒むことを拒ませる。 「ふふ、おはよう、日ノ本くん」 「・・・おはようございます、織倉先輩」 彼女は上機嫌で靴を脱ぐ。心底嬉しいのだろう、雰囲気が明るい。 「ねえ、日ノ本くん」 「はい?」 「防犯のつもりだか何だか知らないけど、チェーン掛けるの止めてね?」 「え?」 「だって、そんなのがあると、私がこの家に入りにくくなるでしょう?窓ガラスを破ったり、鎖を切断 するのも面倒臭いし、すんなり入れるようにしてくれると嬉しいな?」 「・・・・・」 彼女は笑顔。 何て事の無い話しをするように、笑顔でそう云った。 「はい、めしあがれ」 暫く後。 テーブルにつく僕の前には、朝食とは思えぬ力の入った料理が並べられている。 僕はそれを力なく口に運ぶ。 「どう?美味しい?」 なんて先輩は微笑むが、僕には味がわからなかった。 今まで何度も先輩のご飯は御馳走になった。 だから、今咀嚼している『これ』も良い出来なのだろう。見るからに腕によりをかけたとわかる品品な のだから。 先輩は重ねて「美味しい?」と問う。 味覚を機能させていないまま、僕は頷いた。これも嘘になるのだろうか。 「良かった。まだまだあるから、沢山食べてね?」 織倉由良は上機嫌に微笑んで、頬杖をつきながら僕を見つめている。 「ふふ、嬉しいなぁ。日ノ本くんが私のご飯、食べてくれてる」 「・・・・」 「・・・ねぇ、日ノ本くん」 592 名前:ほトトギす ◆UHh3YBA8aM [sage] 投稿日:2008/03/31(月) 18 53 50 ID EsE5f1aD 「はい?」 「日ノ本くんには、イトコの女がいたわよね?」 一瞬動きが固まる。ここでその名前が出てくるとは思わなかった。 「綾緒の、ことですか」 「そう、その娘」 先輩は自身の作った料理に目を落とす。 「前にあの娘、自分が日ノ本くんのお世話をする、何て云ってたけど、その後どうなったの?」 「・・・・」 僕は手を止めた。 先輩と綾緒の相性は間違いなく悪い。 ただ、不幸中の幸いと云うべきか、接点があまりない。余計なことにならずにいる。 先輩を刺激するようなことは云わない方が良い。 それが僕の下した決断だった。 「綾緒は、そうそうここには来れませんよ。あいつ、雪見台(ゆきみだい)に住んでるんで。習い事も 多いし、家の付き合いもありますから」 本来の綾緒はそうだ。 ここ最近が特別だっただけで、それは、嘘ではない。 「ふぅん」 先輩は指で皿を弾く。 「まあ、中学の時から日ノ本くんが私のお誘いを断ったのって6回だけだったから、それはその通りな んだろうね。――それにしても、雪見台かぁ、遠いねぇ。じゃあ、“後回し”かな」 「え?」 「ううん、こっちの話。それよりも日ノ本くん」 織倉由良は笑顔で僕を見る。 「私達、恋人同士よね?」 「――」 「どうしたの?どうして答えてくれないの?」 「いえ・・・」 僕は首を振る。 包帯ばかりが目に入る。 「先輩、手、痛くないんですか?」 「ん?これ?」 織倉由良は自らの腕に目を落とし、それからくすくすと笑った。 「ふふふ。これはね、日ノ本くんに安心して貰うために付けた傷だもの。日ノ本くんが私のことを好き だって云えるようにした代価なの。だから、平気。ジンジンと疼くけど、日ノ本くんのことを考えると この痛みも心地良いのよ?私は何度でも命を掛けられる。貴方が望むなら、今この瞬間にだって」 どこか夢見るような表情で彼女は包丁に目をやった。 「や、止めて下さい」 「でも」 「お願いですから、怪我するようなことはしないで下さい」 「・・・・・」 僕がそう云うと、彼女は口を止め、動きを止めた。 織倉由良は頬を染めている。 頬を染めて、僕の掌を両手で包む。 「嬉しいなぁ。やっぱり日ノ本くんは私を愛してるのね?私のことを気遣ってくれているのね?」 掌を引き寄せ、その甲に頬を擦り付ける。 陶酔とはこういう状況をさすのだろうか。いずれにしても、『僕』と『彼女の中の僕』には大きな乖離 があるようだ。 「私、日ノ本くんがいれば、他は何もいらない・・・。日ノ本くんもそうでしょう?だからね、お願い があるの」 「・・・・」 僕は答えない。 何を云われるか判らないのだから、返事など出来るはずも無い。 けれど彼女は沈黙を肯定と受け取ったらしい。そのまま言葉を紡ぎ、『お願い』を口にした。 「あのね、私以外の女の子とは、口を利かないで欲しいの」 「――え」 「誰とも。何とも。どこでも。女と云う女とは、口を利かないで?そのかわり、私も日ノ本くん以外の 男の子とは、口を利かないから」 「そんなの」 593 名前:ほトトギす ◆UHh3YBA8aM [sage] 投稿日:2008/03/31(月) 18 56 03 ID EsE5f1aD 無理に決まっている。 第一部活をどうしろと云うのだろうか。茶道部は僕以外、皆女子なのだ。 「部活なら気にしなくて良いのよ?もうあんな所へ往く必要なんて無いの。あそこは元元、日ノ本くん を保護するために拵えたのだから。これからの放課後は、ここか私の部屋ですごせば良いの。この世界 には2人だけで良い。他はいらないの」 そうでしょう? 先輩は当たり前のことを確認するかのように僕に微笑みかける。 けれど僕は首を振った。 「そんなこと出来る訳無いじゃないですか。先輩だって、そのくらい判るでしょう?」 「・・・・・」 織倉由良は笑顔を消して、悲しそうな顔をする。 「日ノ本くん、どうして判ってくれないの?私達は愛し合ってる。そうでしょう?」 「・・・・・」 「なら、お互いを大切にしたいじゃない。お互いだけにしたいじゃない。だから“他”は不要だし、そ うなる様に努力すべきでしょう?」 違う。 この人は。 織倉由良の考えはどこかおかしい。 仮に僕が彼女の本当の恋人だったとしても、こんな考え方についていけはしないだろう。 いや、それ以前に。 (織倉先輩は、こんな人間ではなかったはずだ) ここ最近の――そして、今の彼女の態度。 それは、明らかに常軌を逸している。 『彼女の中の僕』が先輩を愛しているとしても、ここまで歪な愛情になるものだろうか。俄には信じら れない。 彼女が変わってしまう様な、そんな事があったのだろうか。それとも僕の目が節穴だっただけで、元か らこういう人だったのだろうか。判断が付きかねる。 「ね?そうしてくれるわよね?」 「・・・・・」 彼女は僕の手をぎゅっと握る。 (何とかしないと) 僕は冷静でいるであろう後輩の姿を思い浮かべた。 「それは申し訳ありませんでした」 一ツ橋朝歌は深深と頭を垂れた。 申し訳ありませんと云っている割には、表情に変化は無い。 ここは学校の屋上。 時間は昼休み。 織倉先輩から逃れ、比較的発見され難いこの場所へ一ツ橋を連れて来た。勿論話を聞いて貰うためだ。 ここ最近の織倉先輩の行動と僕の立場。そして綾緒の境遇も説明した。 一ツ橋はいつも通りの無表情で黙って話を聞いていたが、聞き終えると前述のように頭を下げたのだ。 「何でお前が謝るんだ?」 「責任の一端が私にもあるようですから」 後輩は無表情に面を上げる。隣同士に座っているので、顔が近い。 「責任の一端?」 「部長がお兄ちゃんのことを好いている事は知っていました。お兄ちゃんは、知らなかったでしょうけ ど」 「寝耳に水だった」 「部長には、想いが届いていないからお兄ちゃんは振り向かないと云いました。それでああしたのだと 思います。加えて云えば、お兄ちゃんの過去を話したのも私です。今思えば余計なことをしましたね」 「そうか。藤夢のこと話したの、お前だったか。確かに、一ツ橋なら、僕の過去を知っているか」 「すみません」 「いや、そのくらいなら別にお前のせいじゃない。謝らなくて良い」 僕が云うと、一ツ橋はもう一度、無言で頭を下げた。 「これをどうぞ」 ひと段落すると、一ツ橋は掌を差し出した。そこには何かが乗っている。 「これは?」 「御守りです。今回のものも効果が無かったようですから、交換します」 使い方は一緒です。 594 名前:ほトトギす ◆UHh3YBA8aM [sage] 投稿日:2008/03/31(月) 18 58 27 ID EsE5f1aD そう云って立ち上がる。以前貰った御守りは首からかけているので、架け替えるつもりなのだろう。 「お兄ちゃん」 「ん?」 「確認ですが、お兄ちゃんは、部長のことを愛してはいないんですよね」 「異性に対する愛情という意味ではね」 「そうですか」 ちいさな妹分は頷いて、じっと僕の顔を見つめる。凄く顔が近い。息が掛かりそうだ。彼女はそのまま の姿勢で、身じろぎもしない。 「どうかしたか?」 「いえ何でもありません。終わりました」 後輩は以前の御守りを仕舞うと、そのまま僕の膝の上に座った。相変わらず、軽い。 「なあ一ツ橋、僕はどうしたら良いと思う?」 「朝歌です」 「・・・朝歌」 「お兄ちゃんは、どうしたいんですか?」 「僕か?」 目を閉じる。 想起するのは、少しだけ前の日常。 普通に暮らしていた毎日。 そんな光景。 「以前の境遇に戻ることは、不可能だと思います」 胸中を察したのか。一ツ橋は僕が答える前に云う。 「そうだろうな」 納得はしている。 それは理想、否、妄執だ。 どう纏めても、戻ることの無い日日なのだ。 「それでも僕は、先輩には昔の尊敬できる人に戻って欲しい。仲の良い、唯の後輩に戻りたいんだよ」 「具体策はあるんですか?」 「ない。だから相談してる」 「・・・・」 「まあ、当面の問題として、“恋人関係”を解消しないとな」 けれど、峻拒できない。 すれば、あの人は再び自身の身体に刃物を突き立てるかも知れない。 「なあ、朝歌、何か良いアイデアはないか?」 「時間切れです」 「え?」 後輩は僕の膝の上から降りた。 刹那、屋上の扉が開かれる音がする。 「日ノ本くんっ」 「織倉先輩・・・」 音のしたほうに目をやると、そこには息を切らした『恋人』の姿。 随分走り回っていたのだろうか、白い肌に珠の汗が浮かんでいる。 (時間切れ、か) 「探したのよ?どうして私とお昼を一緒してくれなかったの?」 「・・・・・」 怒ったような。 拗ねたような。 それでいて安堵したような。 そんな表情で、僕の傍へと遣って来る。 「朝も云ったでしょう?私達はもっと一緒にいる時間を作らないといけないの。1秒も無駄には出来な いのに・・・」 云いかけて、先輩は動きを止める。 「・・・・・何、それ」 白く長い指が、華奢な矮躯を指差した。僕の傍に在る後輩の姿に気づいたらしい。 「どうして?どうして私じゃなくて、朝歌ちゃんと一緒にいるの?」 「あ、これは・・・」 「私、朝云ったわよね?私以外の女の子と、口を利かないでって。なのに、なのに、なのに!なのに! なのに!!何で私以外の女といるのよ!?」 炎のような瞳だった。 595 名前:ほトトギす ◆UHh3YBA8aM [sage] 投稿日:2008/03/31(月) 19 00 40 ID EsE5f1aD 怒りを燻らせ、揺れる双眸が僕を捉えた。 僕は一瞬、身を竦める。 刺激しない方が良い。 それは判っている。 判っているが、長い付き合いの後輩を無視の対象には出来ない。 「先輩、流石に一ツ橋とまで口を利かないなん、」 「黙って!!」 僕の言葉を遮って、織倉由良は一ツ橋を睨みつける。 「朝歌ちゃん。貴女が私の日ノ本くんをここへ連れて来たの?」 「・・・・・・」 一ツ橋は答えない。 澱みの無い瞳で、じっと年長者を観察している。 「私と日ノ本くんは付き合ってるの。愛し合ってるのよ?貴女が日ノ本くんと古い知り合いなのは知っ ているけど、そんな理由で私達の間に入り込んじゃいけないの。どうなの?貴女が日ノ本くんをここに 攫ったの?」 「はい。私が先輩に無理を云ってお付き合い頂きました」 「なっ」 違う。 相談を持ちかけたのは僕なのに。 「そう。やっぱりそうなのね。――じゃあ」 ゴツッと。 鈍い音が屋上に響く。 それは織倉由良が一ツ橋朝歌を殴りつけた音だった。 一ツ橋は一瞬身体を揺らしたが、すぐに直立の姿勢に戻った。口を切ったのか、口端から血が滲んでい る。 「と、朝歌!」 僕は思わず駆け寄ろうとする。 けれど、後輩は目でそれを制した。 「余計なことはしなくて良い」 そういう瞳だった。 「・・・・・・」 ここで本当のことを話せば、織倉先輩は逆上し、更に話が拗れる。それを知っているから、一ツ橋は嘘 云ったのだ。 (でも駄目だ) それでも一ツ橋を悪者にするわけには往かない。 「織倉先輩、待って下さい!一ツ橋を誘ったのは僕のほうだ。悪いのはこいつじゃない」 「日ノ本、くん・・・・?」 織倉由良は信じられないものを見たかのような顔をする。 「どうして?どうしてこの娘を庇うの?悪いのは朝歌ちゃんなのに。私達の貴重な時間を奪った張本人 なのに・・・」 「そうじゃないんです。本当に僕が一ツ橋を誘ったんだ」 「・・・・」 先輩は呆ける。 次いで俯いて。 そして、怒りに歪んだ顔を上げた。 「このっ、浮気ものッッッ!!!!」 先輩は腕を振り上げる。拳ではなく、平手。 僕は目を閉じた。別に殴られるくらいは構わない。 けれど。 「うぁあっ!痛いッ・・・・!!!」 先程まで微動だにしなかった一ツ橋が、織倉由良の腕を捻り上げていた。余程に力が入っているのか、 指が腕に食い込んでいる。 「ひ、一ツ橋」 「朝歌ちゃん、な、何するのよ・・・!」 「それは私の科白です」 淡淡と。 いつものように抑揚の無い、無機質な喋り方だった。 「私を叩くのは構いません。ですが、兄に手を上げるなら話は別です」 「ぅ、ああああ!痛い、痛い、痛いぃぃ!!!」 596 名前:ほトトギす ◆UHh3YBA8aM [sage] 投稿日:2008/03/31(月) 19 02 54 ID EsE5f1aD 「そうですか」 ぎりぎりと指が食い込み、白い手首が鬱血して往く。包帯を巻いていないその腕も、このままでは治療 が必要になってしまう。 「朝歌!止めろ!!!」 僕は叫ぶ。 「・・・・」 一ツ橋は僕の顔を見る。 本気でそう云っていると判ったからか、 「わかりました」 アッサリと手を離した。 「~~~~~!」 戒めを解かれた織倉由良は驚愕し、それから怒りが込み上げた様な顔をする。 「何するのよっ」 力任せに頬を張る。 一ツ橋は抵抗もしない。避けもしない。黙って叩かれている。 「織倉先輩、もう止めてください」 僕はたまらず腕を掴んだ。一ツ橋はどれほどの力を込めていたのだろう。彼女の腕は真っ赤になってい た。 「日ノ本くん!まだこの女の肩を持つの!?」 「そうじゃありません。暴力は止めて下さい。悪いのは僕なんです」 「酷いよ、日ノ本くん、悪いのは朝歌ちゃんなのに・・・っ」 織倉由良は腕を振り解くと、涙を浮かべて走り去る。 「先輩・・・」 「今はそっとしておいたほうが良いです」 追いかけようとした僕を、後輩が制した。 「後で私が謝っておきます。多分、それで解決します」 「けど、それじゃ、お前が」 「構いません」 一ツ橋は織倉由良の消えた方角を見つめている。 「お兄ちゃんは、自分の問題を解決してください。それで良いんです」 「でも、」 「“これ”は見物料みたいなものです。気にしていません」 そう云って頬を撫でる。 痛痛しく腫れ上がっているが、何事も無いかのような表情だった。 「気にしないって、お前・・・」 「気にしてません。」 一ツ橋は涼やかな瞳で僕を見る。 「私、ただの傍観者ですから」 597 名前:ほトトギす ◆UHh3YBA8aM [sage] 投稿日:2008/03/31(月) 19 04 59 ID EsE5f1aD 放課後になった。 先の宣言どおり、一ツ橋は織倉先輩に謝罪に往ったらしい。 元元の原因は僕にあり、更には先輩の狂行があり、その結果の出来事なのだから一ツ橋に非は無いはず なのだ。 けれど、扱い次第で命に関わる話だからと泥を被った。 「あとで一ツ橋に謝っておかないとな」 勿論、お礼も。 そんなこんなで、帰路に着く。 先輩も後輩もいない。 珍しく、今日は一人の放課後になりそうだ。 酷い話だが、少し心が軽くなった。僕は自分で思っているよりも、性格が悪いのかもしれない。 校門まで来て、異変に気付く。 疎らにだが、人だかりが出来ていた。 「?」 何だろう。 僕もそちらに歩き出す。 「あれは・・・」 そこには、見覚えのある高級車が止まっていた。 僕の血。 それが交換になったときに乗った、あの車だった。 車の傍には使用人と思しき人物が立っている。 彼は僕に気付くと、人だかりを気にせずこちらへ来て、丁寧な礼をした。 「日ノ本様。お待ち申し上げておりました」 確かに見覚えのある人だ。楢柴の屋敷で、何度か合った事がある。 「あの、僕に何か・・・」 『どちら』の用事だろうか。 父か、子か。 それとも、別の誰かか。 彼はもう一度丁寧に礼をした。 「綾緒お嬢様の云い付けで参りました。どうか、御同行下さい」 598 名前:無形 ◆UHh3YBA8aM [sage] 投稿日:2008/03/31(月) 19 07 37 ID EsE5f1aD 投下終了です 次回は投下は未定になります、申し訳ありません では、また 599 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/31(月) 19 10 16 ID EeU/Srfx この作品の良さに脱帽 600 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/31(月) 19 39 32 ID XxW1dQPx ほトトギすキター!作者マジでGJ!これからもよろしくお願いします!次回も楽しみにしています!